JP3527433B2 - 距離検出装置 - Google Patents

距離検出装置

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JP3527433B2
JP3527433B2 JP07226499A JP7226499A JP3527433B2 JP 3527433 B2 JP3527433 B2 JP 3527433B2 JP 07226499 A JP07226499 A JP 07226499A JP 7226499 A JP7226499 A JP 7226499A JP 3527433 B2 JP3527433 B2 JP 3527433B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波を利用した
距離検出装置に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】例えば、自動車におい
ては、後方の障害物との間の距離を超音波を利用して検
出し、その距離情報を表示部や警報器を通じて報知する
ようにしたバックソナーや、自動車のコーナー部から所
定距離以内の障害物を超音波を利用して検出し、その距
離及び位置情報を報知するようにしたクリアランスソナ
ーのような距離検出装置が提供されている。この種の距
離検出装置においては、超音波振動子を備えた超音波セ
ンサから超音波を送信すると共に、障害物での反射波を
当該超音波センサで受信するようにしており、超音波を
送信したタイミングから所定レベル以上の反射超音波を
受信するタイミングまでの時間に基づいて障害物までの
距離を演算するようにしている。
【0003】このような距離検出装置にあっては、障害
物までの最大検出距離が3m程度以下の状態において
は、超音波センサに対する印加電圧が比較的低い状態で
も十分なレベルの反射超音波を受信可能となって高い検
出能力を得ることができる。しかしながら、上記距離検
出装置を、例えば先行する自動車との間の距離検出に応
用しようとする場合、つまり最大検出距離が20m程度
まで要求される場合には、その応用が事実上不可能にな
る。具体的には、最大検出距離が20m程度に達する
と、先行車で反射された超音波の受信レベルがきわめて
小さくなるため、実用レベルの距離検出精度を得ること
が困難になる。十分な距離検出精度を得るためには、例
えば最大検出距離が20mの場合、超音波センサから送
信する超音波は、少なくとも往復相当分の40m(反射
時の減衰を考慮するとさらに長い距離)伝送された後に
もある程度のレベル(振幅)を維持することが条件にな
る。このような条件を満足するためには、超音波センサ
を構成する超音波振動子に対して非常に高い電圧を印加
する必要があるが、これでは超音波センサでの消費電力
がきわめて大きくなるため、自動車に搭載することは事
実上困難になる。
【0004】一方、前記距離検出装置においては、風な
どの環境条件、他の物体での超音波反射によるマルチパ
ス、超音波振動子での残響などの影響により、超音波セ
ンサが受信する超音波に波形の割れや欠落が生じたり、
その受信超音波にノイズが混入したりすることがある。
このような現象が発生した場合、従来の距離検出装置で
は、障害物の誤検出や未検出が起きる可能性があり、こ
れが検出信頼性の低下原因になるという問題点があっ
た。しかも、このような問題点は、最大検出距離が延長
されるほど顕著になるものであり、これが未解決の課題
となっていた。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、の目的は、消費電力を抑制し且つ距離検出精度
を高めた状態を保持しながら最大検出距離を延長するこ
とが可能になると共に、検出信頼性の大幅な向上を実現
できる距離検出装置を提供することにある。
【0006】
【0007】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項に記載した手段を採用できる。この手段に
よれば、検出体側に設けられた送受信制御手段は、複数
個の超音波センサの何れか一つからコード体系化超音波
信号を順次送信する動作を所定周期にて繰り返すもので
あり、このように送信された超音波信号は被検出体で反
射されて上記超音波センサで受信される。検出体側に設
けられた距離演算手段は、超音波センサによるコード体
系化超音波信号の受信タイミングと当該超音波センサを
通じた信号送信タイミングとの時間差に基づいて被検出
体との間の距離を演算する処理を行う。この場合、距離
演算手段は、受信したコード体系化超音波信号のコード
が予め記憶したコードと一致するときのみ上記距離演算
処理を有効化する構成となっている。このように、距離
検出のために複数系統の送受信経路が設定されると共
に、コード体系化超音波信号が使用される結果、風など
の環境条件やマルチパスなどの影響により、超音波セン
サが受信する超音波信号に波形の割れや欠落が生じたり
或いはノイズが混入した場合であっても、障害物の誤検
出や未検出が起きる可能性が低くなり、検出信頼性が大
幅に向上するようになる。
【0013】
【0014】
【0015】また、被検出体側には、複数個の超音波セ
ンサと、これらの超音波センサの何れか一つがコード体
系化超音波信号を受信したときに超音波センサを通じて
コード体系化超音波信号を送信する動作を実行するアン
サバック用制御手段が設けられているから、検出体側及
び被検出体側に設けられた超音波センサから送信する各
超音波信号は、検出体及び被検出体間の距離だけ届けば
良いことになる。この結果、超音波センサに高い電圧を
印加しなくても、各超音波信号の受信レベルをある程度
以上のレベルに維持できるようになり、消費電力を抑制
し且つ十分な距離検出精度を保持しながら、最大検出距
離を延長することが可能になる。
【0016】請求項記載の手段によれば、上記アンサ
バック用制御手段は、被検出体側超音波センサが検出体
側からのコード体系化超音波信号を各々受信したとき
に、それら受信信号を予め記憶したコードと照合する動
作をその受信順に行うと共に、その照合結果が一致した
時点で超音波センサを通じてコード体系化超音波信号を
送信する動作を実行するようになる。この結果、アンサ
バック用制御手段において、上記検出体側からのコード
体系化超音波信号以外の他の超音波信号に応答してコー
ド体系化超音波信号を送信するという誤動作が行われる
恐れがなくなり、結果的に距離検出の信頼性が向上する
ようになる。また、アンサバック用制御手段は、コード
照合結果が一致した時点で、コード体系化超音波信号を
送信する動作を行うから、そのコード照合動作が不要に
行われることがなくなる。
【0017】
【0018】
【0019】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、本発
明を自動車用の距離検出装置に適用した第1実施例につ
いて図1〜図6を参照しながら説明する。尚、この第1
実施例は、請求項1、5、6記載の各発明に対応するも
のである。
【0020】図2には、本実施例による距離検出装置を
先行する自動車との距離検出に利用するようにしたシス
テムの構成例が概略的に示され、図3には、先行する自
動車1(被検出体)とこれに後続する自動車2(検出
体)との位置関係が概略的に示されている。まず、図3
において、自動車1及び2には、各前部に例えば40K
Hz程度の超音波のサーチ信号SXを前方へ送信するた
めの超音波センサ3が設けられ、各後部に同じく40K
Hz程度の超音波のアンサバック信号SZを後方へ送信
するための超音波センサ4が設けられている。
【0021】一方、図2において、自動車1及び2にそ
れぞれ搭載された自動運転ECU5は、先行車検出EC
U6から出力される先行車との距離情報並びに障害物と
の距離情報に基づいて走行速度の制御やブレーキ制御な
どを行うようになっている。先行車検出ECU6は、自
動運転ECU5から出力される制御許可/禁止信号Sa
が制御許可を示すモードであった場合に先行車検出制御
及び障害物検出制御を実行し、当該制御許可/禁止信号
Saが制御禁止を示すモードであった場合に先行車検出
制御及び障害物検出制御を停止するようになっている。
【0022】また、先行車検出ECU6は、後述するよ
うな距離演算処理により先行車との距離を示すデータを
得た場合に、アナログ値の先行車検出信号Sb1及びデジ
タル値(例えば3ビット)の先行車検出信号Sb2を自動
運転ECU5に与えると共に、後述するような障害物に
対する距離演算処理により当該障害物との距離を示すデ
ータを得た場合に、アナログ値の近距離障害物検出信号
Sc1及びデジタル値(例えば3ビット)の近距離障害物
検出信号Sc2を自動運転ECU5に出力するようになっ
ている。このように、先行車との距離情報を示す先行車
検出信号Sb1及びSb2並びに障害物との距離情報を示す
近距離障害物検出信号Sc1及びSc2を、それぞれアナロ
グ値及びデジタル値による二重伝送系とすることによ
り、フェールセーフ性の向上を図っている。
【0023】さらに、先行車検出ECU6は、各超音波
センサ3及び4の残響をモニタすることによりそれらの
故障の有無を監視しており、その監視結果を示すフェー
ル情報信号Sfを自動運転ECU5に与えるようになっ
ている。そして、自動運転ECU5は、フェール情報信
号Sfに基づいて先行車検出ECU6による検出制御を
許容するか否かを判断し、その判断結果に応じたモード
の制御許可/禁止信号Saを出力する構成となってい
る。
【0024】図1には、先行車検出ECU6の具体的な
回路構成例が機能ブロックの組み合わせにより示されて
いる。この図1において、前記アンサバック信号SZ送
信用の超音波センサ4を含んで成る超音波トランスポン
ダ7(本発明でいうアンサバック手段に相当)は、超音
波センサ4を通じてアンサバック信号SZを送信するた
めの送信部8、超音波センサ4が受信した前記サーチ信
号SXを検波するための受信部9、送信部8の制御並び
に受信部9による受信信号の処理制御を行うためのリア
用マイコン10を備えた構成となっている。この場合、
上記受信部9は、超音波センサ4による受信信号のうち
サーチ信号SXの周波数帯域(40KHz前後)の信号
を通過させるフィルタ9a、その受信信号を増幅する増
幅部9b、所定のしきい値レベル以上ある増幅信号のみ
波形整形した状態で出力する判定部9cによって構成さ
れている。尚、上記所定のしきい値レベルは、マルチパ
スによる影響を受けないようなレベル(例えば、フロン
ト側の超音波センサ3から送信したサーチ信号SXが自
車のリア側の超音波センサ4で受信されてしまうレベ
ル、逆にリア側の超音波センサ4から送信したアンサバ
ック信号SZが自車のフロント側の超音波センサ3で受
信されてしまうレベル)以上に設定しておく。
【0025】前記サーチ信号SX送信用の超音波センサ
3を含んで成る送受信回路11(本発明でいうサーチ用
送受信手段に相当)は、超音波センサ3を通じてサーチ
信号SXを送信するための送信部12、超音波センサ3
が受信した前記アンサバック信号SZを検波するための
受信部13、送信部12の制御並びに受信部13による
受信信号の処理制御を行うためのフロント用マイコン1
4(本発明でいう距離演算手段に相当)を備えた構成と
なっている。この場合、上記受信部13は、超音波セン
サ3による受信信号のうちアンサバック信号SZの周波
数帯域(40KHz前後)の信号を通過させるフィルタ
13a、その受信信号を増幅する増幅部13b、所定の
しきい値レベル以上ある増幅信号のみ波形整形した状態
で出力する判定部13cによって構成されている。
【0026】尚、フロント用マイコン14及びリア用マ
イコン10は同一の発振器15からクロックパルスが与
えられる構成となっており、両者はマスター・スレーブ
システムを構築している(フロント用マイコン14がマ
スター側)。この場合、フロント用マイコン14は、リ
ア用マイコン10に対し所定周期毎に応答要求信号を出
力しており、リア用マイコン10は、その動作が正常な
状態では上記応答要求信号に対する応答信号を出力する
ようになっている。フロント用マイコン14は、このよ
うな応答信号の有無に応じてリア用マイコン10が正常
に動作しているか否かを監視している。また、図1中の
破線はシールドケースを示す。
【0027】フロント用マイコン14は、入出力インタ
フェース16を介して前記制御許可/禁止信号Saを入
力すると共に、前記フェール情報信号Sfをその入出力
インタフェース16を介して出力するようになってい
る。また、フロント用マイコン14は、前記デジタル値
の先行車検出信号Sb2及び近距離障害物検出信号Sc2を
直接的に出力すると共に、前記アナログ値の先行車検出
信号Sb1及び近距離障害物検出信号Sc1をそれぞれDA
コンバータ17及び18を介して出力する構成となって
いる。
【0028】安定化電源回路19は、図示しない外部電
源(車載バッテリ)から給電されて前記両マイコン10
及び14やDAコンバータ17、18などの回路要素の
ための安定化電圧出力(5V)を発生する。昇圧回路2
0は、安定化電源回路19の出力を昇圧して受信部9及
び13のための電圧出力(例えば8V)を発生する。昇
圧回路21は、安定化電源回路19の出力を昇圧して送
信部8及び12のための電圧出力(例えば±15V)を
発生する。
【0029】図4には、後続車(自動車2)におけるサ
ーチ信号SXの送信タイミング及びアンサバック信号S
Zの受信タイミングと、先行車(自動車1)におけるサ
ーチ信号SXの受信タイミング及びアンサバック信号S
Zの送信タイミングとの関係が模式的に示されており、
以下、この図4を参照しながら先行車検出ECU6の動
作内容について説明する。
【0030】後続の自動車2側の先行車検出ECU6が
有する送受信回路11は、図4に示すように、パルス状
のサーチ信号SXを送信する動作を所定周期T(例えば
250ms)にて反復する。このサーチ信号SXは、所
定時間taが経過したときに、先行する自動車1側の先
行車検出ECU6が有する超音波トランスポンダ7にて
受信され、当該トランスポンダ7は、所定の処理時間t
mが経過したときにパルス状のアンサバック信号SZを
送信する動作を行う。このアンサバック信号SZは、所
定時間taが経過したときに、後続する自動車2側の先
行車検出ECU6が有する送受信回路11にて受信され
る。
【0031】このようにアンサバック信号SZを受信し
た後続自動車2側の送受信回路11にあっては、内部の
フロント用マイコン14が、サーチ信号SXの送信タイ
ミングとアンサバック信号SZの受信タイミングとの時
間差Σt(2×ta+tm)を演算用データとして算出
するものであり、この時間差Σtを示すデータと予め設
定された前記処理時間tmを示すデータに基づいて先行
する自動車1との間の距離L(図3参照)を演算する処
理を行う。
【0032】尚、ここでいうサーチ信号SX及びアンサ
バック信号SZの受信タイミングとは、送受信回路11
内における増幅部13bでの増幅信号のレベルが、判定
部13cに設定されたしきい値レベル以上になったとき
のタイミングである。
【0033】上記距離Lの演算処理は、具体的には以下
のように行われる。即ち、距離Lは次式で求めること
ができる。 L=v×(Σt−tm)/2 ……… 但し、vは超音波の空気中伝搬速度である。
【0034】後続する自動車2側のフロント用マイコン
14は、上記式に基づいた演算により先行する自動車
1との距離Lをデジタルデータとして算出し、その算出
データを先行車検出信号Sb2として出力すると共に、D
Aコンバータ17を通じてアナログ値の先行車検出信号
Sb1として出力する。尚、超音波の空気中伝搬速度vを
示すデータは、予め固定的な値に設定しておいても良い
が、その値を周囲温度により補正しながら利用する構成
とすることもできる。
【0035】一方、フロント用マイコン14は、図4に
示すように、サーチ信号SXの送信後に当該サーチ信号
SXの反射波を予め設定された時間Tmin 内に受信した
ときには、そのサーチ信号SXの送信タイミングと受信
タイミングとの時間差Δtに基づいた距離演算処理を行
うものである。このように時間Tmin 内にサーチ信号S
Xの反射波を受信する状態は、図5に示すように、自動
車2の前方における所定の近距離範囲N内に障害物22
が存在する状態に相当するものであり、自動車2及び障
害物22間の距離L0 は次式で求めることができる。 L0 =v×Δt/2 ………
【0036】尚、近距離範囲Nの大きさは、v×Tmin
/2により求まるものであるから、Tmin の値を適宜に
設定することにより、その範囲Nの大きさを容易に変更
することができる(本実施例では、近距離範囲Nの大き
さを例えば2.5m程度に設定している)。
【0037】後続する自動車2側のフロント用マイコン
14は、上記式に基づいた演算により障害物22との
距離L0 をデジタルデータとして算出し、その算出デー
タを近距離障害物検出信号Sc2として出力すると共に、
DAコンバータ18を通じてアナログ値の近距離障害物
検出信号Sc1として出力する。
【0038】さらに、フロント用マイコン14は、上記
のようにサーチ信号SXの送信動作を行った後に当該サ
ーチ信号SXの反射波を予め設定された時間Tmin 内に
受信したとき、つまり所定の近距離範囲N内に障害物2
2が存在することを検出したときには、その後において
サーチ信号SXの送信周期Tを短縮する制御を行うよう
になっている。具体的には、フロント用マイコン14
は、図6のフローチャートに示すような制御動作を行
う。
【0039】即ち、図6は、サーチ信号SXの送信周期
を切り替えるための制御内容のみを便宜的に抽出して示
したものである。この図6において、フロント用マイコ
ン14は、初期状態では超音波センサ3からパルス状の
サーチ信号SXを送信する動作を所定周期T(例えば2
50ms)にて反復するという通常モードに切り替わる
(ステップA1)。次いで、設定された近距離範囲N内
に存在する障害物22を検出したか否かを判断し(ステ
ップA2)、被検出状態では前記通常モードを継続する
(ステップA3)。これに対して、近距離範囲N内で障
害物を検出したとき、つまり前記近距離障害物検出信号
Sc1及びSc2を出力したときには、近距離重視モードを
開始してサーチ信号SXの送信周期をTa(例えば60
ms)に変更する(ステップA4)。
【0040】このようなモード変更後には、近距離範囲
N内に障害物22が存在しなくなったか否かを判断し
(ステップA5)、存在しないと判断したときには、前
記通常モードに復帰してサーチ信号SXの送信周期をT
(=250ms)に戻し(ステップA6)、この後にス
テップA2へ戻る。これに対して、近距離範囲N内で障
害物が存在すると判断したときには、近距離重視モード
をそのまま継続する(ステップA7)。
【0041】上記した本実施例によれば、以下に述べる
ような効果を奏することができる。超音波のサーチ信号
SX及びアンサバック信号SZは、自動車1及び2間の
距離Lだけ届けば良いから、超音波センサ3及び4に高
い電圧を印加しなくても、各信号SX及びSZの受信レ
ベルをある程度以上のレベルに維持することができる。
この結果、消費電力を抑制し且つ十分な距離検出精度を
保持しながら、最大検出距離を延長することが可能にな
る。因みに、本実施例の構成によれば、最大検出距離が
20m程度になっても十分な距離検出精度が得られるも
のである。
【0042】また、送受信回路11においてサーチ信号
SXの送信動作を行った後に当該サーチ信号SXの反射
波を予め設定された時間Tmin 内に受信した場合(自動
車2から比較的近い近距離範囲N内に障害物22のよう
な物体が存在する場合)には、送受信回路11内のフロ
ント用マイコン14は、サーチ信号SXの送信タイミン
グとその反射波の受信タイミングとの時間差Δtに基づ
いた距離演算処理を行うようになる。この結果、自動車
2の前方近くに障害物22が存在する場合には、その障
害物22までの距離検出を迅速に行い得ることになり、
結果的に近距離から長距離までの広い範囲での物体検出
を的確に行い得るようになる。
【0043】さらに、上記のように近距離範囲N内で障
害物22を検出した場合には、サーチ信号SXの送信周
期が通常モード時のT(=250ms)から近距離重視
モード時のTa(=60ms)に短縮されるようになる
から、自動車2の走行状況下において、上記障害物22
までの距離検出を頻繁に行い得るようになる。従って、
先行車検出ECU6を本実施例のように自動車に搭載す
る場合にきわめて有用になるものであり、勿論、自動車
以外の移動体(例えば無人搬送ロボット)に搭載する場
合にも有用になる。
【0044】(第2の実施の形態)図7には、上記第1
実施例に変更を加えた本発明の第2実施例が示されてお
り、以下これについて異なる部分のみ説明する。尚、こ
の第2実施例は、請求項2、4記載の各発明に対応する
ものである。
【0045】即ち、本実施例は、先行車検出ECU6に
おいて、サーチ信号SX及びアンサバック信号SZをコ
ード体系化した状態で送受信するシステムを構築した点
に特徴を有する。図7には、後続する自動車2における
サーチ信号SXの送信タイミング及びアンサバック信号
SZの受信タイミングと、先行する自動車1におけるサ
ーチ信号SXの受信タイミング及びアンサバック信号S
Zの送信タイミングとの関係が模式的に示されている。
【0046】後続の自動車2側の先行車検出ECU6が
有する送受信回路11は、図7に示すように、n回目
(nは自然数)の周期Tnにパルス状のサーチ信号SX
を一定時間τをおいて2回送信する動作を行い、(n+
1)回目の周期T(n+1) にサーチ信号SXを一定時間τ
をおいて3回送信する動作を行い、(n+2)回目の周
期T(n+2)にサーチ信号SXを一定時間τをおいて4回
送信する動作を行うようになっており、これ以降は上記
のような送信動作を最初から反復する。この場合、Tn
=T(n+1) =T(n+2) =250msである。つまり、サ
ーチ信号SXは、パルス状に構成されると共に、複数個
が時系列的に組み合わされることによりコード体系化さ
れるものであり、送受信回路11は、サーチ信号SXの
送信動作毎に当該サーチ信号SXの組み合わせ個数を2
個から4個の範囲でサイクリックに異ならせる動作を所
定時間(Tn+T(n+1) +T(n+2) =750ms)毎に
反復して行うものである。
【0047】上記のように送信されるサーチ信号SX
は、所定時間taが経過したときに、先行する自動車1
側の先行車検出ECU6が有する超音波トランスポンダ
7にて受信され、当該トランスポンダ7は、所定の処理
時間tmが経過したときに受信したサーチ信号SXと同
じ数のパルス状アンサバック信号SZを一定時間τをお
いて送信する動作を行う。このように送信されるアンサ
バック信号SZは、所定時間taが経過したときに、後
続する自動車2側の先行車検出ECU6が有する送受信
回路11にて受信される。
【0048】このようにアンサバック信号SZを受信し
た後続自動車2側の送受信回路11にあっては、内部の
フロント用マイコン14が、サーチ信号SXの送信タイ
ミングと1個目のアンサバック信号SZの受信タイミン
グとの時間差Σt(2×ta+tm)に基づいて先行す
る自動車1との間の距離L(図3参照)を演算する処理
を前記式に基づいて行う。さらに、上記フロント用マ
イコン14は、受信したアンサバック信号SZのパルス
数及びパルス間隔τと、サーチ信号SXの送信時に記憶
しておいたサーチ信号SXのパルス数及びパルス間隔τ
とを比較照合し、両者が同一とあると判断した場合に、
上記距離Lの演算結果を当該サーチ信号SXの送信周期
における先行自動車1との間の距離として確定する。
【0049】要するに、本実施例によれば、サーチ信号
SX及びアンサバック信号SZをコード体系化した状態
で送受信する構成とした上で、受信したアンサバック信
号SZと予め記憶したコード(実際にはサーチ信号SX
のパルス数及びパルス間隔)とを比較照合した結果が一
致するときのみ、距離Lの演算処理結果を有効化する構
成となっている。このような構成によれば、後続の自動
車2側の先行車検出ECU6で受信するアンサバック信
号SZが、どの送信周期で送信したサーチ信号SXに対
応したものであるかを的確に認識できるようになって、
常に正確な距離演算処理を行い得るものであり、先行自
動車1との間の距離Lを誤検出する事態を確実に防止で
きる。
【0050】また、サーチ信号SX及びアンサバック信
号SZは、パルス状に構成されると共に、複数個が時系
列的に組み合わされることによりコード体系化されたも
のであるから、それらの信号SX及びSZの作成並びに
信号処理動作を、主にマイコンのプログラムに基づいた
時間管理だけで行うことが可能になって特別な回路構成
が不要となるものであり、全体構成を簡単化できるよう
になる。
【0051】尚、上記第2実施例では、超音波トランス
ポンダ7を、サーチ信号SXの受信時に、その受信サー
チ信号SXと同じ数のパルス状アンサバック信号SZを
一定時間τをおいて送信する動作を無条件で実行する構
成としたが、受信したサーチ信号SXのコード(パルス
数及びパルス間隔)が予め記憶したコードと一致すると
きのみアンサバック信号SZを送信する動作を行う構成
(請求項3記載の発明に対応)としても良い。この構成
によれば、先行する自動車1側の超音波トランスポンダ
7にあっては、後続する自動車2側の送受信回路11か
ら送信されるサーチ信号SX以外の他の超音波信号に応
答してアンサバック信号SZを送信するという誤動作を
行う恐れがなくなり、結果的に両自動車1及び2間の距
離Lの検出信頼性が向上するようになる。
【0052】上記第2実施例では、パルス状のサーチ信
号SX及びアンサバック信号SZをコード体系化するの
に、そのパルス個数及びパルス間隔を異ならせる構成と
したが、例えば、図8に示すように、サーチ信号SX及
びアンサバック信号SZの各送信周期Tでのパルス数を
同じ状態(図の例では2個)とした上で、そのパルス幅
(超音波送信時間)Waを、各送信周期Tにおいて順次
異ならせることによりコード体系化することも可能であ
り、また、同図8に示すパルス周期Wtを周期的に異な
らせることによりコード体系化しても良い。この他、サ
ーチ信号SX及びアンサバック信号SZの各送信周期毎
に、それらの信号SX及びSZに対し周波数変調をかけ
てコード体系化しても良いなど、そのコード体系化の手
段には種々の手法を用いることができる。
【0053】(第3の実施の形態)図9〜図12には本
発明の第3実施例が示されており、以下これについて異
なる部分のみ説明する。尚、この第3実施例は、請求項
7、8、10、11記載の各発明に対応するものであ
る。
【0054】図10には、本実施例による距離検出装置
を先行する自動車との距離検出に利用するようにしたシ
ステムの構成例が概略的に示され、図11には自動車の
概略的な平面図が示されている。まず、図11におい
て、自動車23には、前部に例えば40KHz程度の超
音波のサーチ信号SX(コード体系化超音波信号)を前
方へ送信するための合計3個の超音波センサ3a、3
b、3cが設けられ、後部に同じく40KHz程度の超
音波のアンサバック信号SZ(コード体系化超音波信
号)を後方へ送信するための合計3個の超音波センサ4
a、4b、4cが設けられている。
【0055】一方、図10において、自動車23に搭載
された自動運転ECU24は、先行車検出ECU25か
ら出力される先行車との距離情報並びに障害物との距離
情報に基づいて走行速度の制御やブレーキ制御などを行
うようになっている。先行車検出ECU25は、自動運
転ECU24から出力される制御許可/禁止信号Saが
制御許可を示すモードであった場合に先行車検出制御及
び障害物検出制御を実行し、当該制御許可/禁止信号S
aが制御禁止を示すモードであった場合に先行車検出制
御及び障害物検出制御を停止するようになっている。
【0056】また、先行車検出ECU25は、後述する
ような距離演算処理により先行車との距離を示すデータ
を得た場合に、アナログ値の先行車検出信号Sb1及びデ
ジタル値(例えば3ビット)の先行車検出信号Sb2を自
動運転ECU24に与えると共に、後述するような障害
物検出制御により障害物との距離を示すデータを得た場
合に、アナログ値の近距離障害物検出信号Sc1及びデジ
タル値(例えば3ビット)の近距離障害物検出信号Sc2
を自動運転ECU24に出力するようになっている。
【0057】さらに、先行車検出ECU25は、各超音
波センサ3a〜3c及び4a〜4cの残響をモニタする
ことによりそれらの故障の有無を監視しており、その監
視結果を示すフェール情報信号Sfを自動運転ECU2
4に与えるようになっている。そして、自動運転ECU
24は、フェール情報信号Sfに基づいて先行車検出E
CU25による検出制御を許容するか否かを判断し、そ
の判断結果に応じたモードの制御許可/禁止信号Saを
出力する構成となっている。
【0058】図9には、先行車検出ECU25の具体的
な回路構成例が機能ブロックの組み合わせにより示され
ている。この図9において、超音波トランスポンダ26
(本発明でいうアンサバック用制御手段に相当)は、超
音波センサ4a〜4cを通じてアンサバック信号SZを
それぞれ送信するための合計3個の送信部27、超音波
センサ4a〜4cが受信した前記サーチ信号SXをそれ
ぞれ検波するための合計3個の受信部28、送信部27
の制御並びに受信部28による受信信号の処理制御を行
うためのリア用マイコン29を備えた構成となってい
る。この場合、上記受信部28は、超音波センサ4によ
る受信信号のうちサーチ信号SXの周波数帯域(40K
Hz前後)の信号を通過させるフィルタ28a、その受
信信号を増幅する増幅部28b、所定のしきい値レベル
以上ある増幅信号のみ波形整形した状態で出力する判定
部28cによって構成されている。
【0059】送受信回路30(本発明でいう送受信制御
手段に相当)は、超音波センサ3a〜3cを通じてサー
チ信号SXをそれぞれ送信するための合計3個の送信部
311、超音波センサ3a〜3cが受信した前記アンサ
バック信号SZをそれぞれ検波するための合計3個の受
信部32、送信部31の制御並びに受信部32による受
信信号の処理制御を行うためのフロント用マイコン33
(本発明でいう距離演算手段に相当)を備えた構成とな
っている。この場合、上記受信部32は、超音波センサ
3a〜3cによる受信信号のうちアンサバック信号SZ
の周波数帯域(40KHz前後)の信号を通過させるフ
ィルタ32a、その受信信号を増幅する増幅部32b、
所定のしきい値レベル以上ある増幅信号のみ波形整形し
た状態で出力する判定部32cによって構成されてい
る。
【0060】尚、本実施例においても、フロント用マイ
コン33及びリア用マイコン29は同一の発振器15か
らクロックパルスが与えられる構成となっており、両者
はマスター・スレーブシステムを構築すると共に、リア
用マイコン29が正常に動作しているか否かをフロント
用マイコン33側で監視している。また、図9中の破線
はシールドケースを示す。この他、先行車検出ECU2
5内には、前記第1実施例と同様の入出力インタフェー
ス16、DAコンバータ17及び18、安定化電源回路
19、昇圧回路20及び21が設けられている。
【0061】図12には、後続の自動車23(検出体)
の各超音波センサ3a〜3cによるサーチ信号SXの送
信タイミング及びアンサバック信号SZの受信タイミン
グと、これに先行する自動車23(被検出体)の各超音
波センサ4a〜4cによるサーチ信号SXの受信タイミ
ング及びアンサバック信号SZの送信タイミングとの関
係の一例が模式的に示されており、以下、この図12を
参照しながら先行車検出ECU25の動作内容について
説明する。
【0062】後続の自動車23側の先行車検出ECU2
5が有する送受信回路30は、図12に示すように、n
回目の送信期間TMnに、第1番目の超音波センサ3a
からパルス状のサーチ信号SXを一定時間をおいて2回
送信する動作を行い、次の送信期間TM(n+1) に、第2
番目の超音波センサ3bからサーチ信号SXを一定時間
をおいて3回送信する動作を行い、さらに次の送信期間
TM(n+2)に、第3番目の超音波センサ3cからサーチ
信号SXを一定時間をおいて2回送信するという動作を
行うようになっており、これ以降は各超音波センサ3a
〜3cから上記のような順序でサーチ信号SXを2回ま
たは3回ずつ交互に出力する動作を反復する。つまり、
サーチ信号SXは、パルス状に構成されると共に、複数
個が時系列的に組み合わされることによりコード体系化
されるものであり、送受信回路30は、各超音波センサ
3a〜3cのうちの一つから異なる組み合わせ個数(2
個または3個)のサーチ信号SXをサイクリックに送信
する動作(サーチ信号SXの送信動作毎にそのコードを
異ならせる動作)を反復して行うものである。この場
合、各送信期間TMn、TM(n+1)、TM(n+2) の長さ
はそれぞれ250msずつに設定されるものであり、各
超音波センサ3a〜3cによるサーチ信号SXの送信周
期(TMn+TM(n+1) +TM(n+2) )は750msに
なる。
【0063】上記のように送信されるサーチ信号SX
は、所定時間taが経過したときに、先行する自動車2
3側の超音波センサ4a〜4cにて受信される。当該先
行自動車23が有する超音波トランスポンダ26内のリ
ア用マイコン29は、受信サーチ信号SXを予め記憶し
たコードと照合する動作を、その受信順に行うものであ
り、その照合結果が一致したときには所定の処理時間t
mが経過した時点で、超音波センサ4a〜4cのうち上
記照合結果が一致したサーチ信号SXを受信したもの
(図12の例では、周期Tnでは超音波センサ4a、周
期T(n+1) では超音波センサ4b)からパルス状のアン
サバック信号SZを送信する動作を行い、このような送
信動作を行ったときには残りの受信サーチ信号の照合動
作をキャンセルする。つまり、超音波センサ4a〜4c
で受信されたサーチ信号SXの何れか一つが適正なもの
であった時点で、そのサーチ信号SXに応答してアンサ
バック信号SZを送信するという一種のOR動作を行う
ものである。
【0064】この場合、超音波トランスポンダ26は、
2パルス状のサーチ信号SXを受信したときに、アンサ
バック信号SZを一定時間をおいて4回送信する動作を
行い、3パルス状のサーチ信号SXを受信したときに、
アンサバック信号SZを一定時間をおいて5回送信する
動作を行うようになっている。
【0065】尚、ここでは、超音波トランスポンダ26
において、超音波センサ4a〜4cがサーチ信号SXを
受信したときには、そのサーチ信号SXをコード照合す
る構成としたが、その照合を行うことなくサーチ信号S
Xの受信に応答してアンサバック信号SZを送信する構
成を採用することも可能である。
【0066】さて、上記のように先行する自動車23の
超音波センサ4a〜4cの何れかから送信されたアンサ
バック信号SZは、所定時間taが経過したときに、後
続する自動車23側の超音波センサ3a〜3cにて受信
される。当該後続自動車23が有する先行車検出ECU
25内の送受信回路30は、内部のフロント用マイコン
33が、サーチ信号SXの送信タイミングと、超音波セ
ンサ3a〜3cの何れかで最初に受信したアンサバック
信号SZの受信タイミングとの時間差Σt(2×ta+
tm)に基づいて先行する自動車23との間の距離を演
算する処理を前記式に基づいて行う。さらに、上記フ
ロント用マイコン33は、上記最初に受信したアンサバ
ック信号SZのコード(パルス数及びパルス間隔)と、
サーチ信号SXの送信時に記憶しておいたサーチ信号S
Xのコードとを比較照合し、両者が同一とあると判断し
た場合に、上記距離の演算結果を当該サーチ信号SXの
送信周期における先行自動車23との間の距離として確
定し、その距離を示すデータを先行車検出信号Sb1及び
Sb2として出力する。
【0067】また、上記のような照合結果が不一致であ
った場合には、超音波センサ3a〜3cにおいて次に受
信したアンサバック信号SZに基づいた距離演算処理及
びコード照合動作を上述同様に行い、この照合結果も不
一致であった場合には、超音波センサ3a〜3cにおい
て最後に受信したアンサバック信号SZに基づいた距離
演算処理及びコード照合動作を上述同様に行う。さら
に、この照合結果も不一致であった場合(超音波センサ
3a〜3cで受信した1周期分のアンサバック信号SZ
の全てが不適正なものであった場合)には、その受信ア
ンサバック信号SZに基づいた距離検出が不可能である
と判断し、先行車検出信号Sb2(3ビットのデジタルデ
ータ)を、そのデータ値を距離検出不能状態を示す例え
ば「111」にした状態で自動運転ECU24に送信す
る。
【0068】要するに、送受信回路30は、受信アンサ
バック信号SZに基づいた距離演算処理並びにその信号
SZのコード照合動作を、その受信順に行うものであ
り、その照合結果が一致したときには、残りの受信アン
サバック信号SZによる距離演算処理及びその照合動作
をキャンセルする。つまり、超音波センサ3a〜3cで
受信されたアンサバック信号SZの何れか一つが適正な
ものであった時点で、そのアンサバック信号SZに基づ
いた距離演算結果を示す先行車検出信号Sb1及びSb2を
出力するという一種のOR動作を行うものである。
【0069】また、図示しないが、先行車検出ECU2
5内のフロント用マイコン33は、サーチ信号SXの送
信後に当該サーチ信号SXの反射波を予め設定された時
間Tmin (図12参照)内に受信したときには、そのサ
ーチ信号SXの送信タイミングと受信タイミングとの時
間差に基づいた距離演算処理、つまり前記第1実施例で
述べたような障害物との間の距離演算処理、並びにサー
チ信号SXの送信周期を短縮する制御を、当該第1実施
例と同様に行うものである。
【0070】上記した本実施例によれば、以下に述べる
ような効果を奏することができる。即ち、本実施例で
は、サーチ信号SX及びアンサバック信号SZの送受信
動作を行うために3個ずつの超音波センサ3a〜3c及
び4a〜4dを設ける構成、つまり、複数系統の送受信
経路が存在する構成とし、この送受信経路を介して複数
種類(実施例では2種類)のコードを有したサーチ信号
SX及びアンサバック信号SZの送受信を行い、その送
受信結果に基づいて距離検出動作を行う構成としてい
る。これにより、風などの環境条件や自動車23の走行
経路でのマルチパスなどの影響により、超音波センサ3
a〜3c及び4a〜4cが受信する超音波信号(アンサ
バック信号SZ及びサーチ信号SX)に波形の割れや欠
落が生じたり或いはノイズが混入した場合であっても、
先行車及び障害物の誤検出や未検出が起きる可能性が低
くなり、検出信頼性が大幅に向上するようになる。
【0071】特に、送受信回路30は、サーチ信号SX
の送信動作毎にそのサーチ信号SXのコードを異ならせ
る動作を所定周期で反復する構成となっているから、超
音波センサ3a〜3cが受信する超音波信号(先行車か
らのアンサバック信号SZ若しくは障害物で反射された
サーチ信号SX)が、どの送信周期で送信したサーチ信
号SXに対応したのもであるかを的確に認識できるよう
になり、結果的に距離を誤検出する恐れがなくなる。
【0072】この場合、距離演算処理を行うためのフロ
ント用マイコン33は、各超音波センサ4a〜4cで受
信したアンサバック信号SZに基づいた距離演算処理及
びコード照合動作を、その受信順に行うと共に、そのア
ンサバック信号SZの一つが適正と判断した時点で、残
りの受信アンサバック信号SZによる距離演算処理及び
その照合動作をキャンセルするというOR動作を行うよ
うになっているから、無駄な演算処理が行われる恐れが
なくなって、その処理能力を有効に利用できるようにな
る。
【0073】また、先行車検出ECU25には、サーチ
信号SXを受信したときにアンサバック信号SZを送信
する超音波トランスポンダ26が設けられているから、
超音波のサーチ信号SX及びアンサバック信号SZは、
先行する自動車23と後続の自動車23の距離だけ届け
ば良いことになる。従って、超音波センサ3a〜3c及
び4a〜4cに高い電圧を印加しなくても、各信号SX
及びSZの受信レベルをある程度以上のレベルに維持す
ることができる。この結果、消費電力を抑制し且つ十分
な距離検出精度を保持しながら、最大検出距離を延長す
ることが可能になる。
【0074】送受信回路30においてサーチ信号SXの
送信動作を行った後に当該サーチ信号SXの反射波を予
め設定された時間Tmin 内に受信した場合(自動車23
から比較的近い距離範囲内に障害物が存在する場合)に
は、そのサーチ信号SXの送信タイミングと反射波サー
チ信号SXの受信タイミングとの時間差に基づい距離演
算処理が行われるから、近距離から長距離までの広い範
囲での物体検出を的確に行い得るようになる。
【0075】超音波トランスポンダ26内のリア用マイ
コン29は、超音波センサ4a〜4cがサーチ信号SX
を各々受信したときに、それらサーチ信号SXを予め記
憶したコードと照合する動作をその受信順に行うと共
に、その照合結果が一致した時点でアンサバック信号S
Zの送信動作を行う共に、残りの受信サーチ信号SXの
照合動作をキャンセルするというOR動作を行う構成と
なっている。この結果、超音波トランスポンダ26にお
いて、サーチ信号SX以外の他の超音波信号に応答して
アンサバック信号SZを送信するという誤動作が行われ
る恐れがなくなって、距離検出の信頼性が向上するよう
になり、また、サーチ信号SXのコード照合動作が不要
に行われることがなくなって、リア用マイコン29の処
理能力を有効に利用できるようになる。
【0076】(その他の実施の形態)本発明は上記した
実施例に限定されるものではなく、次のような変形また
は拡張が可能である。第3実施例において、フロント用
マイコン33に対して、超音波センサ3a〜3cでの故
障発生を残響モニタなどに基づいて検出する故障検出手
段としての機能を付加し、その故障発生を検出したとき
には、残りの正常な超音波センサの何れか一つからサー
チ信号SXを順次送信する状態に切り替えることによ
り、その送信周期を短縮する制御を行う構成(請求項9
記載の発明に対応)としても良い。具体的には、第3実
施例の構成において、例えば超音波センサ3bにて故障
発生した場合には、残りの正常な超音波センサ3a、3
cの一方からサーチ信号SXを順次送信する状態に切り
替えるものである。これにより図12に示した送信期間
TM(n+1)が省略されて、サーチ信号SXの送信周期が
750msから500msに短縮されることになる。こ
のような構成によればサーチ信号SXの送信周期ひいて
は距離検出動作の間隔がいたずらに冗長化する事態を未
然に防止できるようになる。
【0077】
【0078】また、第3実施例のようなハードウェア構
成を採用する場合、フロント用マイコン33は、超音波
センサ3a〜3cからサーチ信号SXを送信した時点か
ら当該超音波センサ3a〜3cを通じて所定レベル以上
の超音波信号(先行自動車23からのアンサバック信号
SZ若しくは障害物で反射されたサーチ信号SX)を各
々受信するまでの時間差データに基づいて、各超音波セ
ンサ3a〜3cが受信した複数の超音波信号の波形をそ
れぞれ再現すると共に、各再現波形を予め記憶した送信
サーチ信号SXのパルス幅データと個別に比較すること
により、受信超音波信号の波形を順次照合する動作を行
う構成(請求項13記載の発明に対応)としても良い。
この構成によれば、受信した超音波信号の照合精度を高
めることができて距離を誤検出する可能性が低くなる。
しかも、複数の受信超音波信号の再現波形のうちの一つ
から最初のパルス波形(アンサバック信号SZや反射サ
ーチ信号SXの1個分に相当)の存在を検出した時点で
次のパルス波形の有無を照合する動作に移行するという
OR動作が可能であるから、その照合に要する時間を短
縮できて、フロント用マイコン33の処理能力を有効に
利用できるようになる。
【0079】第3実施例において、フロント用マイコン
33により、受信アンサバック信号SZのコード(パル
ス数及びパルス間隔)と送信サーチ信号SXのコード
(パルス数及びパルス間隔)とを比較照合する際に、パ
ルス波形が存在すると想定される範囲を示す時間幅デー
タを上記パルス間隔に対応させて予め設定しておき、こ
の時間幅データの範囲にパルス波形が存在するか否かを
調べることよってコード照合動作を行う構成としても良
く、この構成によればフロント用マイコン33の必要メ
モリ容量を減らすことが可能になる。
【0080】上記した各実施例では、アンサバック信号
SZは、その受信レベルが予め設定されたしきい値レベ
ル(第1実施例では受信部13内の判定部13cに設定
され、第3実施例では受信部32内の判定部32cに設
定される)以上あるときに受信したものと判断する構成
となっているが、そのしきい値レベルを、被検出体との
距離が長くなるのに応じて段階的に下げる制御を行う構
成としても良い。
【0081】第3実施例では、自動車23の前方に3個
の超音波センサ3a〜3cを設けて、これらにより時分
割送信動作を行うようにしているが、道路幅が狭い場所
を走行する場合などには、両側に位置した超音波センサ
3b、3cが道路両サイドの物体(塀、家屋など)から
の反射ノイズによる悪影響を受け易くなるため、中央に
位置した超音波センサ3bのみを送信用に用いて距離検
出動作を行うように切り替える構成としても良い。
【0082】第3実施例では、3個ずつの超音波センサ
3a〜3c、4a〜4cを設ける構成としたが、少なく
とも2個ずつ以上の超音波センサを設ければ良く、勿
論、さらに多数個の超音波センサを設ける構成も可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す先行車検出ECUの
回路構成図
【図2】システム構成例を示す機能ブロック図
【図3】自動車の位置関係を概略的に示す図
【図4】動作説明用の模式的なタイミングチャート
【図5】自動車及び障害物の位置関係を概略的に示す図
【図6】制御内容の一部を示すフローチャート
【図7】本発明の第2実施例を示す図4相当図
【図8】第2実施例の変形例を説明するための模式的な
タイミングチャート
【図9】本発明の第3実施例を示す図1相当図
【図10】図2相当図
【図11】自動車の平面図
【図12】図4相当図
【符号の説明】
1は自動車(被検出体)、2は自動車(検出体)、3、
3a〜3c、4、4a〜4cは超音波センサ、5は自動
運転ECU、6は先行車検出ECU、7は超音波トラン
スポンダ(アンサバック手段)、10はリア用マイコ
ン、11は送受信回路(サーチ用送受信手段)、14は
フロント用マイコン(距離演算手段)、22は障害物、
23は自動車(検出体、被検出体)、24は自動運転E
CU、25は先行車検出ECU、26は超音波トランス
ポンダ(アンサバック用制御手段)、29はリア用マイ
コン、30は送受信回路(送受信制御手段)、33はフ
ロント用マイコン(距離演算手段)を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 浅倉 史生 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 河合 寿 愛知県西尾市下羽角町岩谷14番地 株式 会社日本自動車部品総合研究所内 (72)発明者 都築 威夫 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式 会社デンソー内 (72)発明者 橘 彰英 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (72)発明者 村野 隆彦 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自 動車株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−196985(JP,A) 特開 平3−102281(JP,A) 特開 平3−130688(JP,A) 特開 平3−130687(JP,A) 特開 平2−161384(JP,A) 特開 昭55−138668(JP,A) 特開 平8−188102(JP,A) 特開 平8−166450(JP,A) 特開 平4−186187(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01S 1/72 - 1/82 G01S 3/80 - 3/86 G01S 5/18 - 5/30 G01S 7/52 - 7/64 G01S 13/58 - 13/72 G01S 15/00 - 15/96

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 検出体と被検出体との間の距離を超音波
    を利用して検出する距離検出装置において、前記検出体側に設けられた複数個の超音波センサと、 前記検出体側に設けられ、前記複数個の超音波センサの
    何れか一つからコード体系化超音波信号を順次送信する
    動作を実行すると共に、それらの超音波センサを通じて
    超音波信号を受信する動作を行う送受信制御手段と、 前記検出体側に設けられ、前記複数個の超音波センサが
    コード体系化超音波信号を受信したときに、その受信タ
    イミングと当該超音波センサを通じたコード体系化超音
    波信号の送信タイミングとの時間差に基づいて前記被検
    出体との間の距離を演算する処理を行う距離演算手段と
    を備え、 前記距離演算手段は、前記複数個の超音波センサが受信
    したコード体系化超音波信号のコードが予め記憶したコ
    ードと一致するときのみ前記距離演算処理を有効化する
    構成とされ、 前記被検出体側には、複数個の超音波センサと、これら
    の超音波センサの何れか一つが前記コード体系化超音波
    信号を受信したときに超音波センサを通じてコード体系
    化超音波信号を送信する動作を実行するアンサバック用
    制御手段とが設けられている ことを特徴とする距離検出
    装置。
  2. 【請求項2】 前記アンサバック用制御手段は、前記複
    数個の被検出体側超音波センサがコード体系化超音波信
    号を各々受信したときに、それら受信信号を予め記憶し
    たコードと照合する動作をその受信順に行うと共に、そ
    の照合結果が一致した時点で前記超音波センサを通じて
    コード体系化超音波信号を送信する動作を実行すること
    を特徴とする請求項1記載の距離検出装置。
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