JP3525145B2 - 多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子 - Google Patents
多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子Info
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Description
動超伝導量子干渉素子に関するものである。
超伝導量子干渉素子(特開2000−338209)が
提案されている。
いたトンネル型ジョセフソン素子に高周波信号を印加し
た際にカオス的に生ずるゼロバイアス電流ステップを用
いている。この方法では、容量が大きく、電流−電圧特
性上にヒステリシスを有するようなジョセフソン素子が
要求される。
技術では、このようなジョセフソン素子の実現には金属
超伝導体を用いる必要があり、そのために必然的に動作
温度が低く抑えられてしまう。また、ゼロバイアス電流
ステップはカオス的に発生することから、出現するステ
ップの次数や極性を一意に制御することができず、高精
度の電圧計を備えた電圧測定サブシステムを利用してロ
ックすべき電圧を探し出す必要がある。
た磁束計においては、その出力電圧の極性はバイアス電
流の極性によって決定されるため、単極性出力のみしか
得られなかった。
電源の極性に従った単極性の高出力状態(1)と低出力
状態(0)を出力としている。よって両極性の出力(±
1)を得るには、両極性の電源、もしくは複雑な回路構
成が必要となる。
子干渉素子の出力が両極性となるため、多値論理素子や
ニューロン素子といった高機能論理素子を実現すること
ができる多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子を提供
することを目的とする。
成するために、 〔1〕多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子におい
て、3個のジョセフソン素子と超伝導インダクタから構
成される超伝導量子干渉素子に、位相の異なる高周波磁
束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加し、これら
により発生する磁束量子の超伝導ループ内への注入・排
出に起因して高周波磁束の周波数に比例した電圧位置に
一つのゼロバイアス電流ステップが生じることを利用し
て、電圧標準器としての機能を持たせることを特徴とす
る。
素子において、3個のジョセフソン素子と超伝導インダ
クタから構成される超伝導量子干渉素子に、位相の異な
る高周波磁束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加
し、これらにより発生する磁束量子の超伝導ループ内へ
の注入・排出に起因して前記直流磁束Bdcを印加するた
めの電流Idcをピックアップコイルからの信号電流とみ
なし、磁束計として用いることにより、両極性の出力電
圧を得ることを特徴とする。
素子において、3個のジョセフソン素子と超伝導インダ
クタから構成される超伝導量子干渉素子に、位相の異な
る高周波磁束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加
し、これらにより発生する磁束量子の超伝導ループ内へ
の注入・排出に起因して前記直流磁束Bdcを印加するた
めの電流Idcを前段の論理素子からの両極性論理信号電
流とみなすことにより、両極性出力型論理素子として用
いることを特徴とする。
て詳細に説明する。
フソン素子および超伝導インダクタから構成される超伝
導量子干渉素子の等価回路図である。
線、2,3は二つの超伝導ループ、4は電流Irf1 を流
す制御線(左側)、5は電流Irf2 を流す制御線(右
側)、6は素子の電流端子、7は素子の電圧端子、8は
電流Irf1 の外部電源、9はその外部電源8の終端アー
ス端子、10は制御線(左側)4の終端アース端子、1
1は電流Irf2 の外部電源、12はその外部電源11の
終端アース端子、13は制御線(右側)5の終端アース
端子、14は電流Idcの外部電源、15はその外部電源
14の終端アース端子、16は制御線1の終端アース端
子、17はバイアス電流Ib の外部電源、18はバイア
ス電流Ib の外部電源17のアース端子、19は素子の
アース端子である。
n2,Rn3とキャパシタCj1,Cj2,Cj3が並列に接続さ
れたモデルである、Resistively and
Capacitively Shunted Junc
tion Model(RCSJモデル)で表されてい
る。
ループ2,3が含まれる。この超伝導量子干渉素子に直
流磁束Bdcを印加するために、電流Idcを流す制御線1
を二つの超伝導ループ2,3にそれぞれ相互インダクタ
ンスMdc1 とMdc2 を介して結合させる。また、左側の
超伝導ループ2に交流磁束Brf1 を印加するために、電
流Irf1 を流す制御線4を左側の超伝導ループ2に相互
インダクタンスMrf1を介して結合させる。
Brf2 を印加するために電流Irf2を流す制御線5を右
側の超伝導ループ3に相互インダクタンスMrf2 を介し
て結合させる。さらに、素子の電流端子6と電圧端子7
を設け、バイアス電流Ib に対する発生電圧Vを測定で
きるようにする。
伝導量子条件から素子の量子状態図を求める。図1にあ
るようにループ電流i1 とi2 をとると、左右の超伝導
量子条件は次の2式で表される。 −φ1 +(2π/Φ0 )L1 i1 +(2π/Φ0 )Mdc1 Idc+(2π/Φ0 ) Mrf1 Irf1 +φ2 =2πn1 …(1) −φ2 +(2π/Φ0 )L2 i2 +(2π/Φ0 )Mdc2 Idc+(2π/Φ0 ) Mrf2 Irf2 +φ3 =2πn2 …(2) ここで、φ1 ,φ2 ,φ3 は、それぞれ左、中、右のジ
ョセフソン素子の位相差である。また、Φ0 は磁束量子
(2.07×10-15 Wb)、n1 とn2 は整数であ
り、それぞれ左側、右側の超伝導ループ中に含まれる磁
束量子の数を表す。これらの上記した式(1),(2)
を元に素子の量子状態図を求めることができる。
Mrf1 =Mrf2 ≡L、Ic1=Ic2=Ic3≡Ic とし、イ
ンダクタンス・パラメータβL ≡LIc /Φ0 を0.2
5とした場合の結果である(なお、以下においてはジョ
セフソン素子の抵抗とキャパシタンスについてもRn1=
Rn2≡Rn 、Cj1=Cj2≡Cj として議論する)。横軸
γ1 は、左側のループに磁束を印加する電流をIc で規
格化した値〔すなわち(Idc+Irf1 )/Ic 〕であ
り、縦軸γ2 は、右側のループに磁束を印加する電流を
Ic で規格化した値〔すなわち(Idc+Irf2 )/
Ic 〕である。
として、(0,0)、(1,0)、(0,1)、(1,
1)を保てる範囲をγ1 −γ2 平面上に示している。
作することで、素子の量子状態を隣接する量子状態に遷
移させることができる。簡単な例として、図3に示すよ
うな位相が90°ずれた2つの正弦波電流をγ1 とγ2
に印加する。
上でみると、図4中の円周上を反時計回りに移動するこ
とになる。ここで、(n1 、n2 )の状態が(0,0)
にあると仮定する。時間が進むにしたがって動作点は図
4中の円周上を反時計回りに移動していく。すると動作
点は、図中のA点にて(0,0)状態から(1,0)状
態へ遷移する。これは、左のジョセフソン素子をゲート
として磁束量子が左側の超伝導ループに注入されること
を意味する。
0)状態から(0,1)状態へ遷移する。これは真中の
ジョセフソン素子をゲートとして磁束量子が左側の超伝
導ループから右側の超伝導ループに移動することを意味
する。
1)状態から(0,0)状態へ遷移する。これは、右側
の超伝導ループ3から右のジョセフソン素子をゲートと
して磁束量子が外に排出されることを意味する。すなわ
ち、正弦波の1周期の間に超伝導量子干渉素子内を1つ
の磁束量子が通過する。この場合、交流ジョセフソン効
果により、素子の両端に生ずる直流電圧Vは、 V=Φ0 f …(3) となる。ここで、fは正弦波の周波数である。
導量子干渉素子へのバイアス電流なしに磁束量子が超伝
導量子干渉素子内を伝搬することにある。磁束量子の運
動は、2つの高周波磁束の位相差によって制御されてい
る。このことは、超伝導量子干渉素子の電流−電圧特性
上に、ゼロバイアス電流ステップが生じることを意味す
る。数値計算によって求められた電流−電圧特性を図5
に示す。
合のヒステリシス・パラメータβc≡2πIc Cj Rn
2 /Φ0 を1とし、高周波磁束の規格化周波数〔Φ0 f
/(Ic Rn )〕を0.0129、Idc/Ic を1、I
rf1 /Ic とIrf2 /Ic を2に設定した。
(0.0129)に相当する電圧位置にゼロバイアス電
流ステップが生じている。
である必要はなく、3つの量子状態を遷移できるような
信号であれば、波形は問わない。正弦波以外に利用可能
な波形としては、図6に示すような位相のずれたパルス
波が例としてあげられる。
軌跡を図7に示す。
ずれた2つのパルス波電流を用いた場合でも、量子状態
が(0,0)→(1,0)→(0,1)→(0,0)→
・・・と遷移し、これによりゼロバイアス電流ステップ
が生じることになる。
とで、次の3種類の適用が可能となる。
子では印加高周波磁束の周波数に比例した電圧位置に、
一つのゼロバイアス電流ステップが生じる。従来のジョ
セフソン電圧標準器と同様に、これを基本電圧として用
いることができる。多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉
素子では、ジョセフソン素子の電流−電圧特性上にヒス
テリシスを必要としないことから、酸化物高温超伝導体
を用いたジョセフソン素子を利用することが可能とな
り、動作温度を大きく向上させることができる。
電流ステップは一意に決定されるため、電圧標準システ
ムから高精度電圧測定サブシステムを省くことが可能と
なる。
ルからの信号電流とみなすことで、多相高周波磁束駆動
超伝導量子干渉素子を両極性出力型磁束計として用いる
ことができる。磁束計として用いた場合の素子動作原理
を図8の量子状態図を用いて説明する。
この場合、ピックアップコイルを流れる電流値は小さく
なることから、動作点は図8のBL で示された円周上を
動くことになる。この場合の量子状態の遷移は、(0,
0)→(1,0)→(0,1)→(0,0)→・・・と
なり、上述のように正電圧にゼロバイアス電流ステップ
が生じる。
この場合、ピックアップコイルを流れる電流値が大きく
なることから、動作点は図8のBH で示された円周上を
動くことになる。この場合の量子状態の遷移は(1,
0)→(1,1)→(0,1)→(1,0)→・・・と
なる。
側から左側の向きで注入・排出されていることを意味し
ており、BL の場合と向きが逆となっている。よって、
ゼロバイアス電流ステップが発生する電圧が逆極性の負
となる。
量子干渉素子を磁束計として用いた場合は、両極性の出
力電圧を得ることができる。被測定磁束−出力電圧特性
は図9に示すようになる。出力電圧幅は2Φ0 fとな
る。よって、従来の超伝導量子干渉素子磁束計と比べて
2倍となり、高感度・高出力の磁束計として機能するこ
とになる。
らの両極性論理信号電流とみなすことで、多相高周波磁
束駆動超伝導量子干渉素子を両極性出力型論理素子とし
て用いることができる。論理素子として用いた場合の素
子動作原理を図10の量子状態図を用いて説明する。
の場合を考える。
ら、動作点は図10のB−で示された円周上を動くこと
になる。この場合の量子状態の遷移は、(0,0)→
(−1,0)→(0,−1)→(0,0)→・・・とな
る。これは、1周期の間に負の向きの1個の磁束量子が
左側から右側の向きで注入・排出されていることを意味
しており、ゼロバイアス電流ステップが発生する電圧が
負極性となる。
の場合を考える。
ら、動作点は、図10のB+で示された円周上を動くこ
とになる。この場合の量子状態の遷移は、(0,0)→
(1,0)→(0,1)→(0,0)→・・・となる。
これは1周期の間に正の向きの1個の磁束量子が左側か
ら右側の向きで注入・排出されていることを意味してお
り、ゼロバイアス電流ステップが発生する電圧が正極性
となる。
量子干渉素子を論理素子として用いた場合は、両極性の
出力電圧を得ることができる。
圧値は±Φ0 fとなる。これにより、論理出力として±
1を必要とする多値論理素子やニューロン素子といった
高機能論理素子を実現できる。
のではなく、本発明の趣旨に基づいて種々の変形が可能
であり、これらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
よれば、以下のような効果を奏することができる。
せる方法として、3つのジョセフソン素子と超伝導イン
ダクタとからなる超伝導量子干渉素子に、位相の異なる
2種類の高周波磁束を印加することでその量子状態遷移
を制御するようにしたので、ジョセフソン素子の電流−
電圧特性上にヒステリシスを必要としないことから、酸
化物高温超伝導体を用いたジョセフソン素子を利用する
ことが可能となり、動作温度を大きく向上させることが
できる。また、この方法で実現されるゼロバイアス電流
ステップは一意に決定されるため、電圧標準システムか
ら高精度電圧測定サブシステムを省くことが可能とな
る。
となるため、従来の超伝導量子干渉素子による磁束計の
2倍の出力が得られる。
(±1)となるため、多値論理素子やニューロン素子と
いった高機能論理素子を実現することができる。
および超伝導インダクタから構成される超伝導量子干渉
素子の等価回路図である。
である。
る。
である。
特性図である。
図である。
御線 2 左側の超伝導ループ 3 右側の超伝導ループ 4 制御線(左側) 5 制御線(右側) 6 電流端子 7 電圧端子 8 電流Irf1 の外部電源 9 外部電源の終端アース端子 10 制御線(左側)の終端アース端子 11 電流Irf2 の外部電源 12 外部電源の終端アース端子 13 制御線(右側)の終端アース端子 14 電流Idcの外部電源 15 外部電源の終端アース端子 16 制御線の終端アース端子 17 バイアス電流Ib の外部電源 18 バイアス電流Ib の外部電源のアース端子 19 素子のアース端子
Claims (3)
- 【請求項1】 3個のジョセフソン素子と超伝導インダ
クタから構成される超伝導量子干渉素子に、位相の異な
る高周波磁束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加
し、これらにより発生する磁束量子の超伝導ループ内へ
の注入・排出に起因して高周波磁束の周波数に比例した
電圧位置に一つのゼロバイアス電流ステップが生じるこ
とを利用して、電圧標準器としての機能を持たせること
を特徴とする多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子。 - 【請求項2】 3個のジョセフソン素子と超伝導インダ
クタから構成される超伝導量子干渉素子に、位相の異な
る高周波磁束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加
し、これらにより発生する磁束量子の超伝導ループ内へ
の注入・排出に起因して前記直流磁束Bdcを印加するた
めの電流Idcをピックアップコイルからの信号電流とみ
なし、磁束計として用いることにより、両極性の出力電
圧を得ることを特徴とする多相高周波磁束駆動超伝導量
子干渉素子。 - 【請求項3】 3個のジョセフソン素子と超伝導インダ
クタから構成される超伝導量子干渉素子に、位相の異な
る高周波磁束Brf1 とBrf2 および直流磁束Bdcを印加
し、これらにより発生する磁束量子の超伝導ループ内へ
の注入・排出に起因して前記直流磁束Bdcを印加するた
めの電流Idcを前段の論理素子からの両極性論理信号電
流とみなすことにより、両極性出力型論理素子として用
いることを特徴とする多相高周波磁束駆動超伝導量子干
渉素子。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001117779A JP3525145B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001117779A JP3525145B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002314155A JP2002314155A (ja) | 2002-10-25 |
JP3525145B2 true JP3525145B2 (ja) | 2004-05-10 |
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ID=18968264
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001117779A Expired - Fee Related JP3525145B2 (ja) | 2001-04-17 | 2001-04-17 | 多相高周波磁束駆動超伝導量子干渉素子 |
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---|---|---|---|---|
CN116415675B (zh) * | 2023-06-09 | 2023-09-22 | 中国科学技术大学 | 一种用于调制超导量子比特跃迁频率的系统及方法 |
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- 2001-04-17 JP JP2001117779A patent/JP3525145B2/ja not_active Expired - Fee Related
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