JP3524129B2 - 超音波カラードプラ診断装置 - Google Patents

超音波カラードプラ診断装置

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JP3524129B2
JP3524129B2 JP33087093A JP33087093A JP3524129B2 JP 3524129 B2 JP3524129 B2 JP 3524129B2 JP 33087093 A JP33087093 A JP 33087093A JP 33087093 A JP33087093 A JP 33087093A JP 3524129 B2 JP3524129 B2 JP 3524129B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、血流や心筋など、被
検体内で動く物体(動き要素)の情報(速度の大きさ及
び方向)の2次元分布像をカラー表示する超音波カラー
ドプラ診断装置に係り、とくに、その表示状態の改善に
関する。
【0002】
【従来の技術】超音波カラードプラ診断装置は、被検体
に向けて送波した超音波パルスのドプラ効果に伴う周波
数偏移を、受信エコー信号の周波数分析などにより検出
し、その検出結果に基づいて、被検体内の動き要素とし
ての例えば血流の2次元分布像を表示する診断装置であ
る。
【0003】この診断において検出できるエコー信号の
ドプラ効果による周波数偏移(以下、ドプラシフト成分
と呼ぶ)は、超音波ビーム方向の速度成分に対応する。
つまり、図23に示す如く、例えば速度Vで運動してい
る血流に探触子から超音波ビームを当てた場合、その血
流の運動方向と超音波ビーム方向との成す角度をθとす
ると、ドプラシフト成分、即ち、ドプラ効果として検出
できる速度Vaは、
【数1】Va=V・cosθ となる。この結果、血流が超音波ビームの軸上で運動し
ている(即ち角度θ=0)のときは、最大のドプラシフ
ト成分が得られるから、精度良く血流速度を測定でき
る。しかし、血流方向が超音波ビーム軸からずれてしま
うと、その成す角度θに起因した分「V−Va」だけド
プラシフト成分が低下するため、測定精度も低下してし
まう。
【0004】そこで、血流方向と超音波ビーム方向との
成す角度θに起因した分だけ自動的に補正して、より精
度の高い血流の絶対速度を求める手法が、例えば特公昭
62−53182号に開示されている。この公報記載の
ものによれば、観測部位に対して僅かな角度Δθだけず
らした方向からのドプラ信号を求めて補正する手法や、
一つの探触子内の分割された複数の振動子群を用いて電
子走査することにより、複数の超音波ビームを異なる方
向から同一検出部位に向けて送受波し、2つのドプラ信
号を得て補正する方法が示されている。
【0005】このようにして求められた血流の絶対速度
に係るベクトル情報を表示する場合、通常、振動子に近
づいてくる血流を赤系統の色で、また遠ざかる血流を青
系統の色でカラー表示する手法が広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、検者が患者の
血流異常を診断する際に重要なことは、血管が心臓など
の中枢から臓器などの末梢に向かって流れているか、又
はその反対に末梢から中枢に向かって流れているかにつ
いての情報であると言われている。
【0007】ところが、表在血管など、体表に平行に走
行している血管では、血液の流れも体表にほぼ平行で、
プローブに対してほぼ直交する。このため、従来の超音
波診断装置に係る、プローブに対して近づく流れか遠ざ
かる流れかの二者択一のカラー表示にあっては、プロー
ブの方向変化が血流方向の判断結果に及ぼす影響は大き
く、プローブの方向が僅かに変化しただけで、プローブ
に対して近づく流れになったり遠ざかる流れになったり
する。また、セクタ走査やコンベクス走査の場合には同
一の血管であっても、表示される色が赤から青に変化し
てしまい、血管の走行方向を認識し難い。このような場
合には、血液の流れが中枢(心臓など)から末梢(臓器
など)に向かっているのか、その逆に向かっているのか
分かり難い。このときには、超音波ビーム方向を調整す
るか、画像の血管走行とビーム方向を考えて流れの方向
を割り出すという余分な操作や手間が必要であった。
【0008】また、このような余分な操作や手間を嫌っ
て、方向に関係無く血流速度の絶対値に対応したカラー
表示を行うだけでは、流れが正常な方向か異常な方向か
が全く判定できないため、診断にとっては不十分な情報
になっていた。
【0009】さらに、血流分布を断層面で表示する場
合、血管が断層面内を長い距離にわたって縦断している
ときは、その走行方向を容易に推測できる。しかし、血
管が断層面を横断しているときは、その血管と断層面が
交差する角度を推定して血管の走行方向を測定すること
は非常に難しいことから、そのような場合、断面を2面
検査する必要があった。
【0010】さらにまた、ドプラ法によれば、超音波ビ
ームの方向と血流の方向とがなす角度が大きくなると、
検出できる最高速度及び最低速度共に大きくなる。つま
り、角度に拠って検出可能な限界速度が異なるという依
存性があり、その限界速度が分かり難い。
【0011】この発明は、上述した従来技術の問題に鑑
みてなされたもので、プローブの角度変化や超音波ビー
ムの方向変化があっても画面上で、同一血管の表示色が
変わってしまうなどの状態を排除し、血流(流体)の運
動方向を精度良く且つ容易に認識できるカラー分布像を
得ることを目的とする。また、流体の運動方向とその方
向における運動速度とを合わせて表示できる上記カラー
分布像を得ることを目的とする。さらに、リニアスキャ
ン、セクタスキャン、コンベクススキャンの装置であっ
ても、上記カラー分布像を得ることができるようにす
る。さらに、血流の方向毎の最低検出速度、最高検出速
度などの付加情報を上記カラー分布像と共に表示できる
ようにする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成させるた
め、この発明に係る超音波カラードプラ診断装置は、振
動子から超音波パルスを被検体に向けて送波することに
より当該被検体の断層面をスキャンし、当該超音波パル
スの反射信号からドプラ偏移に基づく前記断層面に対す
る動き要素(例えば血流)の2次元分布像をカラー表示
する構成を有する。具体的には、この診断装置は、前記
反射信号から前記動き要素の前記断層面の各位置におけ
る運動速度の大きさ及び運動方向を含む分布情報を演算
する運動情報演算手段と、前記断層面における前記動き
要素の運動の方向を基準として任意の基準方向を設定
能な基準方向設定手段と、前記運動情報演算手段により
演算された前記断層面上の各位置の運動方向が前記基準
方向設定手段により設定された基準方向に対してどの方
向を向いているかを示す色振分けの情報を少なくとも含
む、前記動き要素の2次元分布像を表すカラー表示デー
タを生成する表示データ生成手段と、前記基準方向に基
づいて前記動き要素の運動方向とその表示色との対応を
示す色見本の情報を少なくとも含む色見本データを生成
する色見本データ生成手段と、前記表示データ生成手段
により生成されたカラー表示データと前記色見本データ
生成手段により生成された色見本データとを同一の画面
に表示するカラー表示手段とを備えたことを要部とす
る。
【0013】
【作用】この発明に係る超音波カラードプラ診断装置で
は、被検体の断層面の各位置毎に血流などの動き要素の
運動速度及び運動方向が少なくとも含まれる運動情報が
ドプラ法の元に演算される。これにより、運動情報の2
次元分布情報が演算される。この断層面には、動き要素
に対する動きの方向を基準として任意の基準方向が設定
される。さらに、断層面の各位置毎に演算された運動方
向が基準方向に対していずれの方向を向いているかを示
す色振分けの情報を少なくとも含む、動き要素の2次元
分布のカラー表示データが生成される。また、基準方向
に基づいて動き要素の運動方向とその表示色の対応を示
す色見本の情報を少なくとも含む色見本データが形成さ
れる。このカラー表示データと色見本データとが同一の
画面に動き要素の2次元分布像として表示される。これ
により、断層面に対し、基準方向に準じる運動方向を呈
する位置が例えば青の色相で表され、一方、基準方向と
反対の運動方向を呈する位置が例えば赤の色相で表され
た2次元分布カラー像が色見本と共に表示される。した
がって、基準方向として例えば頸静脈の流れ方向を指定
した場合には、表示画面上において、頸静脈は全て同一
の青で表示され、その反対の頸動脈は全て同一の赤で表
示される。とくに、頸静脈や頸動脈が分岐した流れであ
っても、逆流していない限り、夫々の色が変化すること
はなく、また表在血管であっても超音波ビームの角度変
化を受け難く、血流の走行状態を容易に且つ精度良く把
握できる。
【0014】
【実施例】以下、この発明の実施例を説明する。
【0015】(第1実施例)第1実施例を図1〜図7に
基づき説明する。
【0016】第1実施例に係る超音波カラードプラ診断
装置の概略構成を図1に示す。この超音波カラードプラ
診断装置は、被検体としての血管10に超音波パルスを
送受する圧電振動子11を備えている。この圧電振動子
11は超音波プローブに内蔵されるもので、複数の振動
子片をリニアに配列して形成されている。この複数の振
動子片には励振用の送信回路12が接続されており、こ
の送信回路12は送受信制御回路13から送信指令を受
けたときに、各振動子片を励振する。この励振がある
と、各振動子片から超音波パルスが血管10を含む部位
に向けて送信される。
【0017】送信された超音波ビームは血管10を含む
部位で反射する。この反射ビームは再び複数の振動子片
で受信され、対応する電圧信号に変換される。この受信
時には、振動子11全体が2分割された開口を成すよう
に信号処理される。この2つの開口を成す半分ずつの振
動子片は、2個の受信回路14a,14bに各々接続さ
れている。この受信回路14a,14bは各々、担当す
る振動子片に接続されるプリアンプ及びディレーライン
と、このディレーラインの出力信号を加算する加算器と
を有している。ディレーラインに拠る遅延時間は送受信
制御回路13からの指令で決まるようになっているた
め、この遅延時間パターンを制御することにより、観測
するサンプルボリューム位置を焦点とする受信超音波ビ
ームを、受信処理の中で開口毎に形成できる。この受信
回路14a,14bにおける受信ビームの形成処理にあ
っては、時分割の処理も可能である。
【0018】上記受信回路14a,14bの内、一方の
受信回路14aの出力端は包絡線検波回路15及び対数
圧縮回路16を介して2入力のデジタル・スキャン・コ
ンバータ(DSC)17の一方の入力端に接続されてい
る。これにより、BモードやMモードの断層像データが
得られ、DSC17に供給される。
【0019】一方、前記受信回路14a,14bの出力
端はさらに、位相検波回路20a,20bを個別に介し
て、フィルタ・速度解析回路21a,21bに個別に接
続されている。このため、受信回路14a,14bで形
成された受信ビーム(エコービーム)の信号は位相検波
回路20a,20bで各々位相検波され、それらの検波
信号がフィルタ・速度解析回路21a,21bで各々、
クラッタ除去のためのフィルタ処理が施され、また速度
解析処理される。つまり、この速度解析処理では、フー
リエ変換により超音波受信ビーム方向におけるドプラシ
フト周波数(血流の速度の各ビーム方向成分に対応)が
求められる。
【0020】このフィルタ・速度解析回路21a,21
bの出力信号は、次段の速度・方向演算回路22に出力
される。この速度・方向演算回路22は、解析されたド
プラシフト周波数の結果に基づいて、動き要素としての
血流の速度(絶対速度)及び方向を演算するもので、こ
こでは以下の演算方式を採用している。
【0021】いま、説明を簡単にするため、図2に示す
ように、そのサンプルボリュームSの位置は振動子の正
面にあるとし、2つの超音波受信ビームA,Bは夫々の
開口から同一サンプルボリューム(検出位置)Sを焦点
にするように遅延制御されているものとする。このと
き、フィルタ・速度解析回路21a,21bからは上述
したように、各ビーム方向におけるドプラシフト周波数
A ,fB が出力されるが、それらの周波数fA ,fB
は次式によって表される。
【0022】
【数2】
【数3】 ここで、f0 は超音波パルスの送信周波数、vはサンプ
ルボリューム位置の反射体(血流)の絶対速度、cは媒
質中の音速、θは超音波送信ビームの方向と血流の運動
方向との成す角度、Wは振動子の口径長さ、Rは振動子
とサンプルボリューム位置との間の距離、である(図2
参照)。
【0023】上記式(1)(2)において、fA ,fB
が演算により求められ、f0 ,c,W,Rは既知である
から、角度θは上記2式を変形した以下の如く求められ
る。
【数4】
【0024】この(3)式を(1)式に代入することに
より、血流の絶対速度vは下記(4)式の如く求められ
る。
【0025】
【数5】
【0026】前記速度・方向演算回路22は、上記
(3)(4)式に基づく演算を行って、血流のベクトル
速度(v,θ)を演算する。この内、血流速度の絶対値
vのデータは、DSC17に送られる。
【0027】さらに、この実施例に係る超音波カラード
プラ診断装置は、基準位置(一定の領域を指すこともあ
る)における血流の方向を基準方向とし、この基準方向
と速度・方向演算回路22の演算結果との関係付けの中
で、血流の運動速度をカラー表示するための各種の回路
を備えている。この回路としては、入力器23、基準位
置設定回路24、基準方向設定回路25、基準方向平均
・記憶回路26、コード変換回路27、及び色見本発生
回路28がある。入力器23は例えばトラックボールで
成る。
【0028】まず、基準位置設定回路24は、オペレー
タが操作する入力器23からの指示情報を得て、オペレ
ータが望む基準位置を設定する回路である。この設定回
路24で設定された基準位置は2入力のDSC17の他
方の入力端に供給され、後述するカラーモニタ32に例
えば矩形状のROIとして逐次表示される。このため、
オペレータはカラーモニタ32に画面を見ながら所望の
位置に基準位置を設定できる。
【0029】基準位置設定回路24で設定された基準位
置の情報はまた、基準方向設定回路25にも供給され
る。基準方向設定回路25には速度・方向演算回路22
から方向に関するデータも供給されている。基準方向設
定回路25は、基準位置(範囲)における自己相関関数
の平均化処理又は各点での方向データのベクトル平均処
理を行うなど、基準位置(範囲)での平均的方向を演算
するようになっている。
【0030】この基準方向の情報は、基準方向平均・記
憶回路26に供給されるようになっている。基準方向平
均・記憶回路26では、基準方向の情報が所定時間、平
均処理され、記憶されると共に、コード変換回路27及
び色見本発生回路28に供給される。コード変換回路2
7にはまた、速度・方向演算回路22から血流速度の内
の方向データが供給されるようになっている。コード変
換回路27は、演算された血流方向を基準方向に比較し
た相対的な方向データのコードに変換し、この変換コー
ドを前述したDSC17及び色見本発生回路28に供給
する。
【0031】ここで、コード変換回路27で実施される
コード変換を詳述する。コード変換回路27は図3に示
すように、与えられた基準方向(角度)と推定された各
サンプルボリューム位置毎の血流方向(角度)との差を
演算する減算回路27aと、その演算された差を、予め
格納してある記憶テーブル27bに参照してコード変換
するコード発生回路27cと、基準方向を何色で表示す
るかをプリセット(ここでは、青色又は赤色を選択可能
とする:ここでいう青色、赤色は青系統の中の任意の一
つの色、赤系統の中の任意の一つの色をいう。それらの
青色、赤色の輝度は一定とする)するプリセット回路2
7dとを有する。
【0032】これを具体的な例で説明する。いま、図4
に示すように、振動子11の振動子面に平行な0度の軸
から時計回りに−180度までをとり、反時計回りに+
180度までをとった座標軸を設定する。いま、与えら
れている基準方向は−160度、振動子11からの受信
ビームの中心の方向が−110度であり、さらに基準方
向を青色で表示するようプリセットされているとする。
そこで、推定演算された血流の方向が図5(a)に示す
ように、0度〜180度、−170度〜−10度のと
き、基準方向−160度との差は同図(b)に示すよう
になる。なお、同図(b)の差データにおいて、血流の
方向が150度〜170度及び−30度〜−10度のと
き、即ち、2つの受信ビームのいずれかに対して血流方
向が略直交状態なるとき(ここでは、ビーム中心に対し
て±80度、90度のとき)には、「精度不良」と規定
して方向差を演算しない。
【0033】このように演算された方向差のデータにつ
いて、基準方向「−160度」と同じ(即ち方向差=0
度)ならば変換コードを「0」に設定し、「180度」
異なる(即ち方向差=180度)ならば変換コードを
「18」に設定し、「+90度」異なる(即ち方向差=
90度)ならば変換コードを「9」に設定し、さらに、
「−90度」異なる(即ち方向差=−90度)ならば変
換コードを「−9」に設定する。また、方向差データが
精度不良のものについては、予め設定した特殊コード
「99」に変換される。つまり、コード変換回路27に
は図5(b)(c)の対応を示す記憶テーブル27bが
格納されており、この記憶テーブル27bを参照するこ
とで上記変換が実施される。
【0034】このように変換された方向のコードデータ
は、その速度データと共に、DSC17に供給される。
なお、図5の変換データの角度幅は10度毎に設定して
あるが、これは任意の角度幅であってもよい。
【0035】DSC17では、超音波走査に係る断層像
データと血流の速度及び方向のコードデータがTV走査
方式に変換され且つデータの補間(例えば、近接画素値
を使った重み付け処理)が行われる。DSC17の出力
端は、カラー変換回路29、合成回路30、及びD/A
変換回路31を介して、カラー表示用のカラーモニタ3
2に接続されている。
【0036】そこで、走査変換され且つ補間されたコー
ドデータ(速度データを含む)は、カラー変換回路29
において、図5(c)(d)の対応を示す記憶テーブル
を参照して表示色が指定されるとともに、速度の絶対値
に応じて表示色の輝度が設定される。これにより、変換
コードが「8〜−9」の場合は赤の表示色が指定され、
「9〜18」の場合及び「−10以下」の場合は青の表
示色が指定される。さらには、変換コード「99」の場
合は紫が表示色として指定される。これらの指定色はR
GBビデオデータとして出力される。このRGBビデオ
データには、包絡線検波されたBモード断層像(又はM
モード断層像)の白黒データも含まれている。
【0037】一方、色見本発生回路28は、例えば図7
に示すような楕円環状の色見本Cのデータを形成する。
この色見本Cの楕円環に沿った色相データは、上述した
図5(b)(d)の変換テーブルに一致し、また、その
色相データに基準方向Dに対応したベクトル形状のマー
カーが重畳している。さらに、そのマーカーで示す基準
方向がモニタ画面で設定した基準方向Dと一致するよう
に、色見本C全体の表示角度が設定される。
【0038】そして、このRGBビデオデータと色見本
発生回路28の出力データが合成回路30で合成され、
D/A変換回路31を介してカラーモニタ31に出力さ
れる。これにより、カラー変換されたRGBビデオ信号
に、表示色の色見本の信号が重畳され、カラー表示され
る。
【0039】なお、コード変換回路27及びカラー変換
回路29での変換用の記憶テーブルは上述した図5に示
すものに限定されることなく、例えば図6に示す内容の
ものでもよい。図6記載の変換内容の例は、基準方向が
0度、ビーム方向の中心が−110度であり、基準方向
の表示色が赤色になるようプリセットされた場合を示し
ている。
【0040】この実施例によれば、入力器23、基準位
置設定回路24、基準方向設定回路25、及び基準方向
平均・記憶回路26が発明の基準方向設定手段を構成し
ている。また受信回路4a,4b、位相検波回路20
a,20b、フィルタ・速度解析回路21a,21b、
及び速度・方向演算回路22が発明の運動情報演算手段
を構成している。コード変換回路27,DSC17,及
びカラー変換回路29が発明の表示データ生成手段を構
成している。色見本発生回路28は色見本データ形成手
段を成す。さらに、合成回路30,D/A変換回路3
1,及びカラーモニタ32が発明のカラー表示手段を構
成している。
【0041】続いて、上述した構成及び動作に基づく、
血流のカラードプラ表示の例を説明する。
【0042】いま、図7に示すように、モニタ画面の右
側に患者の頭部がくるように位置決めして、リニア斜め
スキャンを行っているものとする。なお、基準方向の表
示色は青色とするプリセットがなされ、受信ビーム中心
方向の角度も所定値が与えられているものとする。
【0043】オペレータは入力器23を操作して基準位
置を指定する。この指定内容に応じて、基準位置設定回
路24により、例えば同図の画面左下に向かって流れて
いる頸静脈の一部を囲む領域が矩形状のROIで基準位
置Pとして設定される。次いで、基準方向設定回路25
により、指定された基準位置P内の血流の平均的方向が
演算され、さらに基準方向平均・記憶回路26により、
所定時間平均されて基準方向Dが演算される。この基準
方向Dは、コード変換回路27のほか、色見本発生回路
28に送られる。
【0044】この色見本発生回路28からは、演算した
基準方向Dに一致させたマーカーが所定表示色上に重畳
した状態の色見本Cのデータが出力され、この色見本C
がカラーモニタ32の画面に図7の如く表示される。つ
まり、マーカー(基準方向D)を中心に±90度の範囲
は単一の青色であり、マーカー(基準方向D)と反対の
方向を中心に±90度の範囲は単一の赤色であり、検出
精度が低下する範囲は紫色で示される。マーカーMによ
り、オペレータは基準方向がいずれの方向に設定された
ものであるか、スキャン中でも、画像を写真やVTRに
記録した後でも容易に認識できる。
【0045】コード変換回路27には、基準方向Dのほ
か、速度・方向演算回路22からスキャンされた断層面
の各サンプルボリューム毎の血流速度及びその方向のデ
ータも送られてくる。そこで、コード変換回路27は、
前述したように、基準方向Dを中心として、その方向D
とサンプルボリューム位置毎の方向との差に対応したコ
ードを夫々生成し、このコードがDSC17を介してカ
ラー変換回路29に送られ、対応する表示色のRGBビ
デオ信号に変換される。この結果、白黒断層像を背景と
しながら、血流画像は、血流の方向が基準方向を含む色
見本の半楕円環状の領域に入るときは青色で示され、そ
の反対側の半楕円環状の領域に入るときは赤色で示され
る。また、血流方向が、ドプラ偏移のビーム方向成分を
観測し難い計測精度不十分の方向領域に該当するとき
は、紫色で表示される。
【0046】図7の例で言えば、図中、左斜め下方向に
流れていく血流B1(頸静脈)は基準方向Dに沿ってい
るので青色、右斜め上方向に流れていく血流B2(頸動
脈)は基準方向Dと反対であるので赤色で表示される。
とくに、従来の振動子への速度成分の符号(近づくか遠
ざかるか)で色付けする手法によれば、図7で画面右下
方向に流れていく血流B2a(頸動脈の分岐流)は、青
色で表示されてしまう(下方に向かって振動子から遠ざ
かるため)が、この実施例では赤の半楕円環状領域に入
るため、他の頸動脈と同じく赤色で表示される。
【0047】このように方向判断に±90度の幅を持た
すため、従来の色付け手法のように、同じ方向の血流が
途中で色が変わってしまったりする弊害を除去でき、表
在血管や末梢血管であっても、流れの方向が格段に認識
し易くなる。
【0048】なお、速度推定精度が十分に高く、受信ビ
ームが3本以上であれば、その3本中、少なくとも2本
のビームで速度推定ができるため、前述したように精度
不良を示す特殊コードを使わないで、他の方向差と同じ
ように変換してもよい。例えば図8において、ある受信
ビームRB,RCの対による速度推定が血流方向に対し
てほぼ90度になるときは、別に受信ビームRB,RA
の対を使えばよい。
【0049】なお、上記実施例においては、血流方向に
対して、基準方向D及びその±90度の範囲に属するの
か或いはその反対方向及びその±90度の範囲に属する
のかの、2値的な表示のみを行っている。しかし、それ
らの±90度の範囲について、所定刻みの角度(即ち方
向)毎に色相を変える処理を行って、方向を更に細かく
表示できるようにしてもよい。
【0050】なおまた、上記実施例ではオペレータが最
初に基準位置を指定し、その基準位置における基準方向
を特定するように構成したが、末梢血管など、体表にほ
ぼ平行に走行している表在血管を診断するような場合
は、モニタ画面上の右側(或いは左側)に平行に向かう
血流の方向を基準方向として入力器から指定するように
してもよく、これにより基準位置を設定するための処理
を省くことができる。
【0051】さらに、上記第1実施例では血流方向のみ
を表しているので、色見本Cの形状は例えば円環状であ
ってもよい。
【0052】(第2実施例)第2実施例を図9〜11に
基づき説明する。この実施例は、各サンプルボリューム
の血流方向のみならず、その速度の大きさも合わせて表
示できるようにしたものである。
【0053】図9に示す超音波カラードプラ診断装置は
検出速度演算回路40を更に備える。この演算回路40
は、与えられた受信ビーム方向に対して血流方向θ毎の
検出可能な最低速度及び最高速度を演算し、その速度情
報を色見本発生回路28に供給する。
【0054】検出速度演算回路40の演算動作を詳述す
る。前記図4の座標系(但し、前記図2に示す開口A,
B、振動子の寸法なども参照する)において、血流方向
θ、受信ビームの方向θ0 (θ及びθ0 はある基準位置
(例えば図4における零度の位置)からの角度)、周波
数解析のナイキスト周波数をfmax とすると、開口Aで
の最高検出速度VmaxAは、
【数6】 で表される。また、開口Bでの最高検出速度VmaxBは、
【数7】 で表される。開口A及びBのどちらも折返し現象が発生
しない速度Vmax は、VmaxAとVmaxBの内の小さい方と
なる。
【0055】開口A,Bでの最高検出速度VmaxA,Vma
xBは、例えば図10(a)に示す曲線となり、これより
各方向θのVmax を表すと図10(b)の菱形の曲線が
得られる。一方、最低検出速度Vmin についても同様に
して(上記(5)、(6)式において、VmaxA,Vmax
B,fmax をVminA,VminB,fmin と読み替える)、
菱形の曲線になる。これを基にして色見本を作成する
と、図11に示す如く、内径側及び外径側共に略菱形に
なる。
【0056】ところで、上記単純計算では図10(b)
に示したように、対角線の縦横比が10倍以上の菱形に
なっているが、実際にはVmax が非常に大きく計算され
る領域はビームと血流のなす角度が90度に近く、速度
推定精度が低い。このことを考慮すると、菱形の対角線
の長い方の長さは限定して表示することが望ましい。例
えば開口に拠るスペクトルの広がりは、開口A,B共
に、およそ「1+{W/(4R)}・tan (θ−
θ)」であり、これが2倍を越える領域では中心周波
数を正確に求めることができない。この2倍を上限とす
ると、図10(c)のように菱形の対角線の長い方をス
ライスした形状になる。また、実際には、この図10
(c)の形状に近い楕円状でも、方向毎の最大、最低速
度の変化を十分に表すことができる。
【0057】一方、色見本発生回路28は図11に示す
如く、第1実施例と同様にオペレータから指定された基
準方向Dを重畳させた、上記略菱形の色見本Cのデータ
を形成すると共に、その色見本Cの内径を血流方向θ毎
の最低検出速度Vminに対応した値とし且つ外径を血
流方向θ毎の最高検出速度Vmaxに応じた値に設定す
る。また、この色見本Cに対応して、コード変換回路2
7は速度・方向演算回路22から供給される血流の方向
について、第1実施例と同様にコード変換する。さら
に、このコード変換された方向データをDSC17を介
してカラー変換回路29が受け、このカラー変換回路2
9は方向データを第1実施例と同様にRGBビデオデー
タに変換する。またカラー変換回路29は、速度の絶対
値のデータを例えば輝度の違いに対応させて変換する。
【0058】このように、色見本Cの角度θで血流方向
が、中心位置からの距離により血流速度が夫々表され、
その内径及び外径によりある方向θでの最低、最高の検
出速度Vmin ,Vmax が示される。受信ビーム方向と血
流方向との成す角度により最低、最高検出速度が異なる
ため、通常、受信ビームに平行な方向になるほど、最低
及び最高検出速度共に小さく、受信ビームに直交する方
向になるほど、最低及び最高検出速度共に大きくなる。
しかも、その直交する方向には、検出精度が低下する領
域があり、その領域の色は紫で示される。
【0059】そこで、この色見本Cによれば、ある表示
色及びその輝度により一義的に血流方向及びその絶対速
度の絶対値が特定される。例えば図11において、色見
本C上の点Nの位置の色及び輝度で表示されるサンプル
ボリューム点は、方向θで速度Vであることが容易に判
断される。このため、この色見本Cに基づいて表示され
るカラーモニタ32のカラー画像は、各サンプルボリュ
ームの血流方向及び血流速度を同時に表示することがで
きる。したがって、血流状態の分析がより一層容易に且
つ高精度になる。
【0060】なお、上記実施例において、血流速度、即
ち色見本の中心点からの距離は色相を変えることより表
示してもよい。
【0061】(第3実施例)第3実施例を図12に基づ
き説明する。この実施例は、第2実施例における表示態
様をさらに簡素化したものである。なお、この実施例の
ハードウエアは図9記載のものと同等である。
【0062】この実施例の色見本発生回路28が形成す
る色見本は、図12に示すように、短冊状であって、そ
の中心から一方の長手方向端部に延びる中心軸が基準方
向Dを示す。この基準方向Dと同一又はその方向から±
90度以内の領域の方向は全て同一の青系統の色で示さ
れ、また基準方向Dと正反対の方向又はその方向から±
90度以内の領域の方向は全て同一の赤系統の色で示さ
れる。そして、血流速度の大小は色相の微妙な違いで示
される。また、検出速度演算回路40から供給される基
準方向D及びその反対方向の最低検出速度Vminが黒
色と青系統及び赤系統の色との境目で表わされ、最高検
出速度Vmaxが中心位置からの短冊の長さで各々表さ
れる。さらに、基準方向Dは、前記各実施例と同様に、
モニタ画面上で演算された基準方向と一致するようにそ
の傾きが制御される。
【0063】このように血流の方向θについては全て同
一色で表わすことによっても、血流の方向を基準方向の
対比で把握できると共に、その速度を精度良く表示でき
る。これにより、比較的高い表示機能を保持しながら、
各回路の処理を簡略化することができる。
【0064】(第4実施例)第4実施例を図13〜17
に基づき説明する。この実施例は血流を3次元の流れと
して表示するものである。なお、この実施例のハードウ
エアは図9記載のものと同等であるが、圧電振動子11
は図13に示すようにマトリックス・アレイ構造になっ
ており、また受信回路は例えば4本の受信フォーカスを
かけることができるようになっている。
【0065】そこで、圧電振動子11を使って3次元走
査を行い、血流速度の3次元ベクトルを求める。具体的
には、送信回路は送信開口T(図13参照)を使って送
信フォーカスをかけ、受信回路は4つの受信開口R1〜
R4(図13参照)を使って受信フォーカスをかける。
受信に際し、各開口R1〜R4のビームは、まず、ある
x方向の位置でz方向に走査される(図14(a)参
照)。次いでx方向に走査面が移動され、その走査面で
再びz方向に走査される(同図(b)参照)。同様に、
この処理が繰り返される。これにより、全ての開口R1
〜R4の受信ビームが3次元走査(つまり、x,z両方
向にスキャンすること)を行う。なお、y方向はエコー
の時間軸、つまり深さである。
【0066】この受信により、あるサンプルボリューム
の血流B(速度v)は、3次元的には、図15(a)に
示すようにz方向走査の断面(通常の断層面)内の角度
θと、同図(b)に示すようにx方向走査の断面(断層
面に直交する断面)内の角度φとで特定される。そこ
で、速度・方向演算回路22は断層面及び断面内での速
度vとともに、角度θ、φを求める。角度θは、受信開
口R1とR3のドプラシフト周波数の比及び受信開口R
2とR4のドプラシフト周波数の比により求められる。
また、角度φは、受信開口R1とR2のドプラシフト周
波数の比及び受信開口R3とR4のドプラシフト周波数
の比より求められる。これにより、血流の速度ベクトル
が演算される。
【0067】そこで、コード変換回路27及びカラー変
換回路29は、その2つの断層面及び断面について個々
にコード変換及びカラー変換する機能を有している。ま
た、基準方向設定回路25からオペレータの指定に係る
2つの基準方向が面毎に設定される。色見本発生回路2
8で発生する2つの色見本C1,C2は例えば前述した
と同様に、図16、17に示す如く、外径側及び内径側
共に略菱形となる。図16記載の第1の色見本C1は断
層面内の角度θ(血流方向)についてのもので、前述し
た各実施例と同様である。また、図17記載の第2の色
見本C2は断面内の角度φ(血流方向)についてのもの
で、基準方向D2を含む所定範囲の方向は緑色で表示さ
れ、基準方向D2と反対の方向を含む所定範囲の方向は
黄色で表されている。これらの色見本の内、第1の色見
本C1は一方の断層面と対を成し、第2の色見本C2は
他方の断面と対を成してカラーモニタ32に表示され
る。
【0068】これによって、血流を3次元の流れとして
表示する場合でも、容易に対応できる。
【0069】なお、z方向にビーム走査(偏向)が可能
で、x方向の受信開口が切替可能な2次元アレイ(例え
ばスライス幅方向可変開口制御が可能となるように、リ
ニアアレイを直交方向に複数分割したもの)の圧電振動
子(プローブ)を流速検出用に使うこともできる。図1
8には、その振動子の開口の分割例を示す(同図は、図
13と同一符号を用いている。符号11rは音響レンズ
である)。この場合、送信開口Tで送信フォーカスを、
受信開口R1〜R4の各々で受信フォーカスがかけられ
る。ビーム走査はz方向のみで、x方向には走査できな
い。つまり、z方向の断層像のみとなる。血流の3次元
ベクトルは前述したと同様に、3次元的に決定され、表
示される。
【0070】(第5実施例)第5実施例を図19,20
に基づき説明する。この実施例はセクタスキャン、コン
ベクススキャンなど、超音波受信ビームの角度が走査位
置によって異なる走査方式に適用される。
【0071】図19に示す超音波カラードプラ診断装置
はセクタ電子走査方式を採用しており、図1記載の構成
に加えて、基準方向を超音波受信ビームの走査角度に応
じて補正する機構を付加している。基準位置情報が与え
られる基準方向設定回路25には、その基準位置でのビ
ーム方向が振動子11に対してどのような角度関係にな
っているかを示す信号が送受信制御回路13から与えら
れる。これにより、基準方向設定回路25は、基準位置
での血流の方向(基準方向)を演算すると共に、その基
準方向を入力した角度関係に基づき、予め規定した方向
に対して補正する。この補正された基準方向は基準方向
平均・記憶回路26で平均化された後、ビーム方向補正
回路41及び色見本発生回路32に送られる。
【0072】ビーム方向補正回路41には、刻々変化す
るビーム方向と振動子11との角度関係を表す信号が送
受信制御回路13から与えられている。そこで、ビーム
方向補正回路41では基準方向が、さらに、現在何番目
の位置を走査しているかに応じて補正される。この補正
された基準方向がコード変換回路27に送られ、第1実
施例と同様に、各サンプルボリューム位置の血流方向と
の差角に応じた関係付けに使用される。
【0073】色見本発生回路28は、超音波受信ビーム
(走査線)の角度には無関係な基準方向Dを重畳させ
た、ほぼ楕円の色見本Cを図20に示すように形成す
る。この色見本Cでは、基準方向Dに準じる±90度の
範囲の角度は青色で、その反対側の±90度の範囲の角
度は赤色であり、方向のみを表示している。この色見本
Cはセクタ走査の血流分布像と共にカラーモニタ32に
図20に示す如く表示される。このように、超音波受信
ビームの方向が走査線毎に変わる走査方式であっても、
基準方向Dを逐一、角度補正し、その基準方向Dに準じ
るか否かを±90度の方向範囲のしきい値で判断するこ
とにより、血流の運動状態の一パラメータである血流方
向を適確に表すことができ、従来の同一血管の血流が画
像途中で色変わりするというような不都合を回避するこ
とができる。一方、このセクタ走査の場合には、前述し
た検出精度不良の領域を決めたり、血流方向毎の最大、
最低検出速度を演算、表示することはできないが、その
分、処理は簡単である。
【0074】なお、上記第5実施例における色見本は、
例えば図21に示す円形や図22に示す楕円形であって
もよい。
【0075】なおまた、上記各実施例では、血流方向を
示す色情報として色相を用いるとして説明したが、色の
飽和度や輝度の変化を使って血流方向を示すようにして
もよい。
【0076】さらに、血流方向及びその速度(絶対速
度)を演算する方式は、上述した各実施例記載のものに
限定されることなく、例えばあるサンプルボリューム位
置での速度と、このサンプルボリュームに隣接したサン
プルボリューム位置での速度との差に拠って推定しても
よい。
【0077】さらに、この発明に係る超音波カラードプ
ラ診断装置が適用可能な動き要素は血流に限定される
のでは無く、被検体内の運動する流体、例えば膀胱内の
尿の流れ、膿胞内の体液の流れなどの分布像表示にも実
施できる。また、運動する動き要素として心筋の運動解
析にも適用できる。
【0078】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の超音波
カラードプラ診断装置は、被検体に向けて送波した超音
波パルスの動き要素(血流など)によるドプラ偏移に応
じた検出情報に基づいてかかる動き要素の運動速度の
大きさ及び運動方向を含む運動情報の2次元分布像をカ
ラー表示するもので、例えば、任意に設定した基準方向
に準じる運動方向か否かに応じて例えば色相を変えて表
示でき、しかも、その色相の振分けを表す色見本を一緒
に表示できる。これにより、例えば体表に平行な血管が
検査対象であって、表示画面上で右側に頭部がくるよう
にスキャンする場合、例えば、表示画面上で右側に向か
流れは赤で、左側に向かう流れは青とプリセットすれ
ば、頸動脈は赤で、頸静脈は青で表示される。また、血
管が様々な方向に走行している場合、例えば指定した血
管である肝静脈の血流方向を基準方向として、それに準
じる方向を青の色相で表示するようにプリセットすれ
ば、肝静脈は青で、反対方向に流れる肝動脈や門脈は赤
で表示される。このため、従来のように、画面上で同一
血管の色が変化してしまうなどの不都合が排除され、血
管の走行状態を高精度に且つ容易に視認でき、診断に有
効な分布像を得ることができる。
【0079】また、被検体内の動き要素の運動の方向の
みならず、その速度や方向毎の検出最低速度、検出最高
速度を合わせて表示することにより、運動情報の2次元
分布カラー像に含まれる情報量が多くなり、その分布像
の有用性がより高められる。また、方位方向における運
動情報の2次元分布カラー像とレンズ方向における運動
情報の2次元分布カラー像とを合わせて表示すること
で、血流などの動き要素の3次元的な運動方向直感的
に理解できるようになるとともに、操作性も向上する。
さらに、超音波ビームの振動子面に対する角度に応じて
基準方向を補正することで、本発明に係る超音波カラー
ドプラ診断装置をリニアスキャン、セクタスキャン、コ
ンベクススキャンのいずれにも良好に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例に係る超音波カラードプ
ラ診断装置のブロック図。
【図2】血流の方向及び速度検出の原理を示す説明図。
【図3】コード変換回路の一例を示すブロック図。
【図4】振動子面に対する角度(方向)の設定状態を示
す座標系図。
【図5】血流方向のコード変換とカラー変換のデータ例
を示す図。
【図6】血流方向のコード変換とカラー変換の他のデー
タ例を示す図。
【図7】第1実施例に係るリニア斜めスキャン時の表示
画面の一例を示す図。
【図8】3本以上の受信ビームと血流方向との関係を示
す図。
【図9】第2実施例に係る超音波カラードプラ診断装置
のブロック図。
【図10】(a)は2つの開口に対する最高検出速度の
計算例を示すグラフ、(b)は単純計算による最高検出
速度の一例を示すグラフ、及び(c)は最高検出速度の
他の例を示すグラフ。
【図11】第2実施例に係る色見本の例を示す図。
【図12】第3実施例に係る色見本の例を示す図。
【図13】第4実施例に係るプローブ開口の説明図。
【図14】(a),(b)は3次元走査の説明図。
【図15】(a),(b)は断層面内及び断面内での血
流角度を説明する図。
【図16】第4実施例における一方の色見本を示す図。
【図17】第4実施例における他方の色見本を示す図。
【図18】第4実施例の変形例に係るプローブ開口の説
明図。
【図19】第5実施例に係る超音波カラードプラ診断装
置のブロック図。
【図20】第5実施例に係るセクタスキャン時の表示画
面の一例を示す図。
【図21】第5実施例に適用し得る、色見本のその他の
形状を示す図。
【図22】第5実施例に適用し得る、色見本の更にその
他の形状を示す図。
【図23】血流速度(絶対速度)とドップラ検出速度に
係るビーム方向速度の関係を示す説明図。
【符号の説明】
10 血管 11 被検体 14a,14b 受信回路 17 DSC 20a,20b 位相検波回路 21a,21b フィルタ・速度解析回路 22 速度・方向演算回路 23 入力器 24 基準位置設定回路 25 基準方向設定回路 26 基準方向平均・記憶回路 27 コード変換回路 28 色見本発生回路 29 カラー変換回路 30 合成回路 31 D/A変換回路 32 カラーモニタ 40 検出速度演算回路 41 ビーム方向補正回路

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 振動子から超音波パルスを被検体に向け
    て送波することにより当該被検体の断層面をスキャン
    し、当該超音波パルスの反射信号からドプラ偏移に基づ
    く前記断層面に対する動き要素の2次元分布像をカラー
    表示する超音波カラードプラ診断装置において、 前記反射信号から前記動き要素の前記断層面の各位置に
    おける運動速度の大きさ及び運動方向を含む分布情報を
    演算する運動情報演算手段と、 前記断層面における前記動き要素の運動の方向を基準と
    して任意の基準方向を設定可能な基準方向設定手段と、 前記運動情報演算手段により演算された前記断層面上の
    各位置の運動方向が前記基準方向設定手段により設定さ
    れた基準方向に対してどの方向を向いているかを示す色
    振分けの情報を少なくとも含む、前記動き要素の2次元
    分布像を表すカラー表示データを生成する表示データ生
    成手段と、 前記基準方向に基づいて前記動き要素の運動方向とその
    表示色との対応を示す色見本の情報を少なくとも含む色
    見本データを生成する色見本データ生成手段と、 前記表示データ生成手段により生成されたカラー表示デ
    ータと前記色見本データ生成手段により生成された色見
    本データとを同一の画面に表示するカラー表示手段とを
    備えたことを特徴とする超音波カラードプラ診断装置。
  2. 【請求項2】 前記基準方向設定手段は、前記振動子の
    振動子面に平行な方向を前記基準方向として設定する手
    段であることを特徴とする請求項1記載の超音波カラー
    ドプラ診断装置。
  3. 【請求項3】 前記基準方向設定手段は、前記断層面に
    おける所望の位置を基準位置として指定可能な基準位置
    指定部と、前記断層面における前記動き要素の運動方向
    の情報に基づいて前記基準位置における前記動き要素の
    運動方向を演算し且つその演算方向を前記基準方向とし
    て設定する基準方向演算部とを備えたことを特徴とする
    請求項1記載の超音波カラードプラ診断装置。
  4. 【請求項4】 前記色振分けの情報は、前記運動情報演
    算手段により演算された方向が前記基準方向設定手段に
    より設定された基準方向に準じる方向か否かの2値的な
    色情報を含み、前記色見本の情報は、前記基準方向に準
    じる方向及びその基準方向と反対の方向に対応した2値
    的な色を含むことを特徴とする請求項3記載の超音波カ
    ラードプラ診断装置。
  5. 【請求項5】 前記色見本には前記基準方向を示すマー
    カーが重畳されていることを特徴とする請求項4記載の
    超音波カラードプラ診断装置。
  6. 【請求項6】 前記色見本は円形、円環形、楕円形、菱
    形の内のいずれかの形状を成し、その中心点から外周に
    向かう軸の角度が前記動き要素の運動方向を表し、当該
    軸上における前記中心点から半径方向に向かう距離が前
    記動き要素の運動速度の大きさを表すことを特徴とする
    請求項5記載の超音波カラードプラ診断装置。
  7. 【請求項7】 前記色見本は半径方向に沿って輝度及び
    色相を含む色情報が変化することを特徴とする請求項6
    記載の超音波カラードプラ診断装置。
  8. 【請求項8】 前記スキャンはリニアスキャン法で実施
    され、 前記色見本は中心点から外径方向に向かう距離を規定し
    て、その距離により各運動方向における前記動き要素の
    運動の最大検出速度及び最小検出速度の内の少なくとも
    いずれかを表すことを特徴とする請求項6記載の超音波
    カラードプラ診断装置。
  9. 【請求項9】 前記色見本は長方形を成し、その中心線
    から長手方向両端部に向かう方向により前記動き要素の
    運動方向を表し、当該中心線から当該両端部に向かう距
    離により前記動き要素の運動速度の大きさを表すように
    設定したことを特徴とする請求項5記載の超音波カラー
    ドプラ診断装置。
  10. 【請求項10】 前記スキャンはリニアスキャン法で実
    施され、 前記表示データ生成手段は、前記運動情報演算手段にお
    ける演算精度が所定値以下となるか否かを判断し、この
    判断により所定値以下と判断されたときには、前記色振
    分けの情報に演算精度不良を示す色を振当てるように構
    成するとともに、 前記色見本データ生成手段は、前記運動情報演算手段の
    演算精度が所定値以下となる前記動き要素の運動方向を
    示す角度範囲に演算精度不良を示す色を割り当てた色見
    本データを生成するように構成したことを特徴とする請
    求項1記載の超音波カラードプラ診断装置。
  11. 【請求項11】 前記スキャンは前記反射信号のビーム
    の方向が前記断層面上で変化するスキャン法で実施さ
    れ、 前記基準方向を前記反射信号のビームの方向に応じて補
    正する基準方向補正手段を備えた請求項1記載の超音波
    カラードプラ診断装置。
  12. 【請求項12】 振動子から超音波パルスを被検体に向
    けて送波することにより当該被検体の第1及び第2の断
    層面をスキャンし、当該超音波パルスの反射信号からド
    プラ偏移に基づく前記第1及び第2の断層面それぞれに
    対する動き要素の2次元分布像をカラー表示する超音波
    カラードプラ診断装置において、 前記反射信号から前記動き要素の前記第1及び第2の断
    層面それぞれの各位置における運動速度の大きさ及び運
    動方向を含む分布情報を各々演算する運動情報演算手段
    と、 前記第1及び第2の断層面それぞれにおける前記動き要
    素の運動の基準方向を任意に設定可能な基準方向設定手
    段と、 前記運動情報演算手段により演算された前記断層面それ
    ぞれの各位置の運動方向が前記基準方向設定手段により
    設定された断層面毎の基準方向に対してどの方向を向い
    ているかを示す色振分けの情報を少なくとも含む、前記
    動き要素の2次元分布像を表すカラー表示データを断層
    面毎に生成する表示データ生成手段と、 前記断層面毎の基準方向に基づいて前記動き要素の運動
    方向とその色との対応を示す色見本の情報を少なくとも
    含む色見本データを断層面毎に生成する色見本データ生
    成手段と、 前記表示データ生成手段により生成されたカラー表示デ
    ータと前記色見本データ生成手段により生成された色見
    本データとを同一の画面に断層面毎に表示するカラー表
    示手段とを備えたことを特徴とする超音波カラードプラ
    診断装置。
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