JP3519768B2 - セメント、コンクリート混和材用石炭灰の選定方法 - Google Patents

セメント、コンクリート混和材用石炭灰の選定方法

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隆雄 田野崎
郁夫 斎藤
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    • Y02P40/10Production of cement, e.g. improving or optimising the production methods; Cement grinding

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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、資源有効利用するた
め火力発電所で発生する石炭灰をセメント、コンクリー
トの混和材としての活用に関する。
【0002】
【従来の技術】石炭灰はセメント及びコンクリート用混
和材として従来より使用されている。セメント、コンク
リート分野に於ける石炭灰の活用としてはフライアッシ
ュセメントが一般的に良く知られており水和熱を低く、
乾燥収縮を小さくできる特徴を有しているが、使用の際
凍害防止上必要な空気連行剤を吸着するため空気連行剤
の混入量の調整が必要である。すなわち、セメント硬化
体に球状の小気泡を空気連行剤の働きにより取り込むこ
とは硬化体中の水分の凍結膨張による損傷、破壊の緩和
に対し有効であるが、石炭灰によっては空気連行剤を大
量に吸着してしまい、空気連行剤の作用を阻害し、所期
のコンクリートの物性が得られない場合がある。このた
め混和材としての石炭灰の品質には種々の注意を払わな
ければならない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】わが国では重要なエネ
ルギーの一つとして多種の石炭が輸入され、火力発電所
で使用されている。このことは火力発電所から発生する
石炭灰も種々のものがあり、更に火力発電所ボイラーの
運転状態(ボイラーへ供給する微粉炭粒度、負荷変動に
伴う石炭の燃焼状況etc.)によっても石炭灰の状態
が変わってくることから、空気連行剤の吸着量も石炭灰
により大幅に変化してしまう。従来技術としてIg.L
ossによる残留カーボン量、メチレンブルーの吸着量
等がこの吸着の目安として使用されているが、大まかな
目安としても適用が難しい状況にあり、現場試験による
空気連行性の把握が唯一の判断基準となっていた。従っ
て、石炭灰をセメント、コンクリート用混和材として使
用する場合、こまめにセメントまたはコンクリートの試
し練りテストを行い、その結果により空気連行剤の種
類、混入量の調整が必要となり、またこの様な手間のか
かる状況が石炭灰の有効活用を制限している。
【0004】
【課題を解決するための手段】これらの問題を解決する
ために、石炭灰の発生源である火力発電所毎にまた炭
種、微粉炭粒度、運転条件の異なる石炭灰毎にセメン
ト、コンクリートの混和材として適切な石炭灰の選定方
法につき種々検討した。その結果、BET法による比表
面積の値が混和剤の吸着に対して極めて良好に対応し、
BET法による比表面積2.5m2g(平方メートル
パーグラム、以下同じ)以下、好ましくは比表面積2.
0m2以下の石炭灰を選定すれば炭種及びボイラー
の運転状態等による空気連行剤の吸着量等によるロスの
変動を小さくでき、従って、セメント、コンクリートへ
の空気連行剤の適正化が可能となり、また使用する空気
連行剤の量も大幅に節約できることを突き止めた。すな
わち、この発明のセメント、コンクリート混和材用石炭
灰の選定方法によれば、石炭灰をセメント、コンクリー
ト用混和材として使用するにあたり、石炭灰の比表面積
をBET法により測定し、空気連行剤との適合性を判定
することを特徴とし、また、空気連行剤との適合性の判
定にあたり、BET法による比表面積が2.5m 2 /g
以下、好ましくは2.0m 2 /g以下の石炭灰を選定す
ることを特徴とする。
【0005】
【作用】石炭灰による空気連行剤の吸着に関しては、従
来より石炭灰中の残留カーボンに起因していると言われ
てきた。しかし石炭灰中の残留カーボンの状態は一様で
はなく、石炭灰の顕微鏡観察及びIg.Loss測定か
ら球形状の石炭灰粒子の中に残留カーボンが取り込まれ
ているもの、石炭灰の粒と残留カーボンが混じり合った
状態になっているもの、サイズ、形状等様々で、炭種・
微粉炭の粒度・ボイラーの運転状態等によっても石炭灰
の性状が変わってくることがわかった。この様に石炭灰
の性状の多様性が空気連行剤吸着の大幅な変動を引き起
こしており、上述の通り混和材としての適否、空気連行
剤の選定、添加量の決定等手間のかかる空気連行性の試
験煉りが必要になっている。かかる状況下で石炭灰をも
っと有効活用するために、簡便な方法でしかも空気連行
剤の必要混入量が一義的に推定できることが実用上必要
でありBET法による比表面積を限定することにより、
石炭灰性状に対し空気連行量を的確に把握し得る混和材
として適切な石炭灰を得ることが可能となった。
【0006】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明する。
【0007】火力発電所で発生する石炭灰につき種々の
判定方法と空気連行量の関係を求めた。表1は火力発電
所から入手した石炭灰の化学成分と原炭産地を示し、表
2は表1の各石炭灰に対するBET法による比表面積、
石炭灰中の残留カーボン(Ig.Loss)及び従来よ
り一般的に用いられているメチレンブルー(MB)の吸
着量とモルタル空気連行量、更にこれらの石炭灰を一定
量用いたコンクリート中に空気量4.5%を連行するに
必要な空気連行剤混入量を示す。
【0008】
【表1】
【0009】
【表2】
【0010】表2における空気連行量の測定は石炭灰を
普通ポルトランドセメントに内割りで20%添加し十分
混合(=混合セメント試料:C)する。この混合セメン
ト試料を用いて水混合セメント比(W/C)=0.4
5、砂/混合セメント比(S/C)=3.0、空気連行
調整剤:ポゾリス303A(アルキルアリルスルホン酸
塩)=0.03%(対混合セメント当り)の条件で練
り、モルタルエアメータで空気取り込み量を測定した。
【0011】表3は上記空気連行量測定のための混合セ
メントモルタル1バッチ当たりの配合を示す。
【0002】
【表3】
【0013】図1、2、3は表2のBET法による比表
面積、石炭灰中のカーボン量(Ig.Loss)及びメ
チレンブルー(MB)の吸着量とモルタル空気連行量の
関係を示したものである。
【0014】図2から石炭灰中のカーボン量で空気連行
剤の吸着量に従って、空気連行量を推定することは難し
く、カーボン自身の性状に大きく起因していると思われ
る。
【0015】またメチレンブルーの吸着量との関係(図
3)はメチレンブルーの吸着量が増加すると共に空気連
行量が減少していく傾向を示しているがメチレンブルー
の吸着量から空気連行量を求めるにはモルタル空気連行
量の幅が大きすぎる。これらに較べ、BET法による比
表面積との関係(図1)は精度良くモルタル空気連行量
を求めることができる。
【0016】以上よりここに比較した3種の方法におい
てはBET法による比表面積がモルタル空気連行量を予
測できる特性値として唯一現実的であり、実用性をもっ
て適用可能な方法である。
【0017】モルタル、コンクリートの空気量の調整は
混和材が決まれば空気連行剤の混入量に略比例して空気
連行量が変化する。石炭灰を含まぬ普通ポルトランドセ
メント単味、No.2及びNo.3の石炭灰を各20%
含むセメントを使用したモルタルの空気連行剤混入量と
空気連行量の関係は、各々大略比例関係にあり石炭灰の
試料によりその勾配が変わってくる。上記3種のモルタ
ルの勾配は大略200:4:1であった。
【0018】従って、火力発電所で発生する石炭灰の空
気連行剤の吸着量が判定できれば必要な空気連行剤混入
量を求めることができることになり、現場における試し
練りも確認程度で十分となり、使用における負担が大き
く緩和される。
【0019】図4は表1の石炭灰を用いコンクリート中
の空気量4.5%を得るに必要な空気連行剤混入量(表
2)を示したものである。コンクリートの配合は、単位
セメント量300kg/m3(フライアッシュセメント
C種)でスランプ12cmに要するポゾリス303Aの
必要量(/m3)である。
【0020】同図からBET法による比表面積が2.5
2以下、好ましくは2.0m2以下の石炭灰で
あれば、空気連行量の変動幅小さく、石炭灰の発生場所
や炭種の変更、ボイラーの運転状況の変化(負荷調整)
等があっても安定したセメント、コンクリート混和材用
石炭灰を得ることが可能となり、空気連行剤の使用量も
少ない量で済むことがわかる。
【0021】また、この様な石炭灰を使用した混合セメ
ント、混合セメントを用いたコンクリートは経済的かつ
容易に所定量の空気を連行させることができ、更に本発
明のBET法を用いる事により混和材として適切な石炭
灰を判定することができる。
【0022】なお、本実施例ではポゾリス303Aを主
体に述べたがリグニンスルホン酸塩、オキシカルボン酸
系の空気連行剤減水剤やドデシルベンゼンスルホン酸
系、天然樹脂酸塩を主成分とするものやポリオキシエチ
レンソルビタンモノオレート等の空気連行剤に使用する
場合に於いてもBET法比表面積を上記範囲に限定する
ことにより安定した空気量が連行できることが実験によ
り得られている。
【0023】
【発明の効果】従来、火力発電所から発生する石炭灰を
混和材として使用する場合、コンクリート打設時こまめ
に試験練りを行い空気連行剤添加量を調整する必要があ
った。そのため特にその必要がない限り、石炭灰の混和
材としての使用は敬遠されがちであった。
【0024】しかし、本発明によれば火力発電所に於い
て炭種の切り替え、ボイラーの運転条件変更時等必要に
応じBET法による比表面積をチェックすることにより
混和材用石炭灰の品質が安定し、従来行ってきたコンク
リート打設時の試し練りも安全のための確認程度で十分
となる。ユーザーが安心して石炭灰を混和材として利用
できるようになり、その結果セメント及びコンクリート
用混和材として石炭灰の用途が拡大し、資源として大幅
な有効活用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】BET法による石炭灰比表面積とモルタル空気
連行量の関係。
【図2】Ig.Lossによる残留カーボン量とモルタ
ル空気連行量の関係。
【図3】メチレンブルー吸着量とモルタル空気量の関
係。
【図4】コンクリートにおける石炭灰のBET比表面積
と空気連行剤混入量の関係。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−186251(JP,A) 特開 平5−246751(JP,A) 特開 平1−157442(JP,A) 特開 昭59−174555(JP,A) 特開 昭64−69546(JP,A) 特開 平3−237049(JP,A) 特開 昭55−27882(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 7/00 - 28/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭灰をセメント、コンクリート用混和
    材として使用するにあたり、石炭灰の比表面積をBET
    法により測定し、空気連行剤との適合性を判定すること
    を特徴とするセメント、コンクリート混和材用石炭灰の
    選定方法。
  2. 【請求項2】 空気連行剤との適合性の判定にあたり、
    BET法による比表面積が2.5m 2 /g以下、好まし
    くは2.0m 2 /g以下の石炭灰を選定することを特徴
    とする請求項1記載のセメント、コンクリート混和材用
    石炭灰の選定方法。
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