JP3519080B2 - 前発癌物質活性化酵素をコードする5つのcDNAを安定して発現するヒト細胞株 - Google Patents

前発癌物質活性化酵素をコードする5つのcDNAを安定して発現するヒト細胞株

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Description

【発明の詳細な説明】 関連出願 本出願は1988年3月2日に出願された米国特許出願第
07/162,885号の一部継続出願である。
技術分野 本発明は一般的には生化学、分子生物学、薬理学およ
び毒性学の分野に関し、特に変異誘発性、毒性および代
謝の研究に有用な遺伝子工学による細胞株に関する。
発明の背景 チトクロームP450は薬剤、前発癌物質および環境汚染
物質のような生体異物、ならびにステロイド、脂肪酸お
よびプロスタグランジンのような内部寄生性物質(endo
biotics)を代謝できるヘム蛋白質の大きなファミリー
を形成している。多くの哺乳類細胞株はチトクロームP4
50触媒反応を実行すほとんどまたはすべての能力を失っ
ている。このためチトクロームP450媒介代謝の研究は初
代培養細胞または組織ホモジネートに制限されている。
適当な内在性チトクロームP450代謝の欠除のため、前突
然変異誘発剤および前発癌物質の遺伝子毒性効果を検出
するように計画されたアッセイにおいては細胞外代謝系
(通常げっ歯類肝臓ホモジネート)が用いられてきた。
最近、いくつかの研究室で哺乳類細胞株内へのチトク
ロームP450cDNAのトランスフェクションが成功した。事
実上すべての細胞株が標的細胞株内へ単一のP450cDNAを
トランスフェクトすることにより開発された。インビボ
で多数のP450形を発現するようにされた細胞株は前発癌
物質のP450特異的活性化を試験するのに本当に有用であ
ろう。しかし、単一のP450を発現する細胞株を使用して
化合物の変異誘発活性をスクリーニングすることは、多
数の細胞株が必要とされるため気力がくじかれるような
仕事であろうことは明らかである。従って多数のP450を
発現する少数の細胞株を利用することが望ましいであろ
う。さらにヒトミクロソームにおける前発癌物質の活性
化の主たる原因となるすべてのヒトP450形を安定に発現
する一つの細胞株を所持および利用することはより望ま
しいであろう。
多数のP450を安定に発現する細胞を作り出す仕事には
取り除くべき障害が存在する。P450遺伝子は実質的に相
同であるので、多数のP450でトランスフェクトされた一
つの細胞株においては、相互または内部ベクター組換え
が起こるため細胞株が不安定であろうことが予想され
る。さらに、プロモーターが互いに干渉するため、多数
のトランスフェクトされたプロモーターを含む細胞株に
おいてはさらに不安定であろうことが予想される。本発
明の方法および細胞株はこれらのおよびその他の障害を
克服するものである。
発明の要約 本発明に従うと、多数のP450を発現する細胞株、なら
びに、そのような細胞株を作り出す方法およびそのよう
な細胞株の使用が提供される。
本発明の一つの態様に従えば、本発明は少くとも2つ
の異なったトランスフェクトされたチトクロームP450を
細胞株内のP450発現を不安定にしないレベル以下で安定
に発現しうる不死の哺乳類細胞株を提供する。好適に
は、P450の少くとも一つはI A2またはII A3であり、よ
り好適には、細胞株はI A2,II E1およびIII A4を発現す
る。最も好適な細胞株はヒトリンパ芽球細胞株MCL−5
である。MCL−5細胞は、I A2,II A3,III A4およびII E
1ならびにI A1およびヒトエポキシドヒドロラーゼを安
定に発現する。MCL−5細胞株はATCC、ロックフィール
ド、メリーランド、にブタペスト条約に基づいて1990年
10月12日に国際寄託されており、ATCC受入番号CRL−105
75を有している。この細胞株に加え、好適な実施態様の
変異体、誘導体、変異株または改変物が作られるであろ
う。例えば、他のヒト細胞株または哺乳類細胞株を用い
て、本発明の組換え発現ベクターを導入することがで
き、改変された細胞株の少くとも2つの異なったトラン
スフェクトされたP450を発現する。
本発明の別の態様に従えば、本発明は2つのcDNAの相
対的発現を制御する方法を提供する。この方法に従う
と、少くとも2つの異なったcDNAの発現の効率は細胞株
内に導入されたcDNAのコピー数に一致している。例えば
有効に発現されないcDNAは非組込みベクター上に比較的
高いコピー数で細胞株内へ導入され、非組込みベクター
中の有効に発現されるcDNAは細胞株内へ比較的低いコピ
ー数で導入される。このようにして、2つのcDNAの相対
的発現が制御される。
もしくは、有効に発現されるcDNAは非組込みベクター
上に比較的高いコピー数で細胞内へ導入され、非組込み
ベクター中の有効に発現されないcDNAは細胞株内へ比較
的低いコピー数で導入される。これらの方法は例えば、
対応するゲノムDNAの遺伝子発現のための基準を有する
特定の組織をモデル化するために使用されるであろう。
本発明の別の態様に従えば、本発明はインビボでの代
謝過程をモデル化するための方法および細胞株を提供す
る。インビボ代謝過程をインビトロで再現するために一
緒に発現されることが必要な、少くとも3つの異なった
cDNAが不死の細胞株内へトランスフェクトされる。
本発明のさらに別の態様に従えば、本発明は代謝、毒
性または、変異誘発アッセイを実施するための方法の改
良を提供する。この改良は少なくとも2つの異なったト
ランスフェクトされたチトクロームP450を細胞株のP450
発現を不安定にしないレベル以下で安定に発現する細胞
株を用いることを特徴とする。
図の簡単な説明 図1はP450 II A2をコードしている遺伝子を含むヒト
DNAの断片の制限エンドヌクレアーゼ地図であり; 図2はヒトエポキシドヒトロラーゼをコードしている
遺伝子を含むヒトDNAの断片の制限エンドヌクレアーゼ
地図であり; 図3は組換え発現ベクターpMF6の制限エンドヌクレア
ーゼ地図であり; 図4は本発明の組換え発現ベクターpME23の制限エン
ドヌクレアーゼ地図であり; 図5は本発明の組換え発現ベクターPH441の制限エン
ドヌクレアーゼ地図であり; 図6は図1および図2の両方のDNA断片を含む図3の
発現ベクターの制限エンドヌクレアーゼ地図であり; 図7は図1のDNA断片を含む図3の組換え発現ベクタ
ーの制限エンドヌクレアーゼ地図であり; 図8は図2のDNA断片を含む図3の組換え発現ベクタ
ーの制限エンドヌクレアーゼ地図であり; 図9はベクター当り単一のcDNAを持つ細胞における発
現と比較したMCL−5細胞株における酵素発現レベルの
表であり; 図10はベンゾ(a)ピレン、3−メチルクロロアンス
レンおよびN−ニトロソジエチルアミンの変異誘発効果
に対するMCL−5細胞株の相対的生存率および感受性を
示すグラフであり; 図11はアフラトキシンB1、N−ニトロソジメチルアミ
ン、2−アセトアミノフルオレンおよびベンジジンの変
異誘発効果に対するMCL−5細胞株の相対的生存率およ
び感受性を示すグラフであり;および 図12はベンゾ(a)ピレン、3−メチルクロロアンス
レン、N−ニトロソジエチルアミン、N−ニトロソジメ
チルアミン、アフラトキシンB1、2−アセトアミノフル
オレンおよびベンジジンの変異誘発効果に対するMCL−
5細胞株およびAHH−1細胞の感受性の表である。
好適な実施態様の詳細な説明 本発明は多数のP450を発現する細胞株を提供する。好
適な細胞株MCL−5は、P450 I A2、P450 II A3、P450 I
I E1およびP450 III A4を発現し、これらのP450は主な
既知の前発癌物質の活性化の主たる原因となる。またこ
れはP450 I A1ならびにエポキシドヒドロラーゼも発現
する。それ故この細胞株は、スクリーニング道具として
使用され、既知の主な前発癌物質のスクリーニングのた
めの多数の別々の細胞株ならびに多数の別々のアッセイ
を使用する必要性を避けることができる。
驚くべきことにP450発現があるレベル(1ピコモル/
用いた細胞株の106個の細胞)に達するとP450発現が不
安定になることが発見された。不安定とはcDNA発現酵素
の活性が培養における細胞増殖の時間の関数として変化
することを意味している。それ故、多数のP450を単一の
細胞株内へ組込む必要があっただけでなく、細胞内のP4
50の絶対的発現量を制御し、細胞がP450産生を停止する
ことを防ぐような方法で行う必要性がさらに存在した。
多数のcDNAを制御する多数のプロモーターの使用により
プロモーター干渉が起こり、予期できないまたは受容不
可能な発現レベルになることが予想された。同様に、P4
50cDNA間ならびにそれらの各々のプロモーター間の相同
性が比較的高いため、組換えにより発現の減少または喪
失を生じるであろうことが予想された。また、決定的で
はないにしても、トランスフェクトされたcDNAごとに各
々の5つの別のトランスフェクションおよび5つの異な
った選択マーカーを必要としいなトランスフェクション
スキームを作ることが望まれた。
それ故、本発明に従うと、2つの方法が同時に用いら
れた。第1に、多数のcDNAを単一の非組込みベクター内
に導入した。第2に、高発現cDNAを細胞株内へ低いコピ
ー数で導入し、一方、比較的低発現のcDNAを相対的に高
いコピー数で細胞株内へ導入した。このようにして、種
々のP450の適当な発現が達成され、その一方P450の不安
定な発現を生じるであろうレベルよりも低いレベルでの
P450の絶対的発現量が維持された。使用された特定の細
胞株においては、そのレベルは1ピコモル/106細胞であ
った。しかしながら、そのレベルは選択された特定の細
胞株に依存して変化しうることが理解されるであろう
し、本発明はその値以下の発現レベルに制限されるもの
ではない。むしろ、本発明は特定の細胞株のための特定
の絶対的レベルが何であるかにかかわらず、発現を不安
定にするレベル以下で多数のP450を発現する細胞株を包
含することを意図するものである。
本発明に従った細胞株は変異誘発アッセイに使用する
ことができる。例えば、MCL−5細胞の培養物を基質に
暴露する。続いて暴露された細胞を表現型発現を可能に
するのに十分な時間増殖させる。次に変異体頻度を決定
する。最後に暴露された細胞の突然変異の頻度を同じ型
の非暴露細胞の突然変異の頻度と比較して物質の変異誘
発度を決定する。
本細胞株は代謝研究に使用することもできる。例え
ば、MCL−5細胞の培養物またはMCL−5細胞で作られた
酵素調整物を試験物質とインキュベートする。ある時間
後必要に応じ、代謝物および非代謝試験物質を分離す
る。分離の方法には溶媒抽出、高速液体クロマトグラフ
ィー(HPLC)および他のクロマトグラフ的分離法が含ま
れるがそれらの限定されるわけではない。続いて代謝物
のある種の物理的特性を測定することにより、代謝物の
量を定量する。そのような測定には光の吸収、蛍光およ
び液体シンチレーション計測が含まれるが、それらの限
定されるわけではない。
本発明の細胞株はまた毒性アッセイに使用することも
できる。例えば、MCL−5細胞培養物をある物質に暴露
する。次にある期間に渡って細胞数の増加を決定する。
最後に暴露された細胞の細胞数の増加を非暴露細胞の細
胞数の増加と比較してその物質の毒性を決定する。もし
くは、暴露細胞のコロニー形成能力を非暴露細胞のコロ
ニー形成能力と比較して物質の毒性を決定する。
MCL−5細胞はAHH−1ヒトBリンパ芽球細胞の変異体
であるL3細胞株から誘導される。L3細胞株の構成は、係
属中の米国特許出願番号07/162,885号に記載されてお
り、この記載をすべて本明細書の一部としてここに引用
する。親AHH−1細胞株の構成は、米国特許第4,532,204
号に記載されており、この記載もまたすべて本明細書の
一部としてここに引用する。親細胞株に類似して、これ
らの細胞は高いレベルのP450 I A1活性を発現し、懸濁
培養でよく増殖し、無限の寿命を有し、マイクロタイタ
ープレート中でコロニーを形成する能力を有している。
親細胞株と違って、MCL−5細胞はベンゾ(a)ピレ
ン、3−メチルクロロアンスレン、N−ニトロソジエチ
ルアミン、N−ニトロソジメチルアミン、アフラトキシ
ンB1および2−アセトアミノフルオレンの細胞毒性に対
してより感受性が高いことが観察された。
ベンジジンを除くすべての前発癌物質に対し、MCL−
5細胞はAHH−1細胞より有意に敏感であった。MCL−5
細胞においてはニトロソアミンは10,000倍以上の活性が
あった。ベンゾ(a)ピレンおよびアフラトキシンB1
約1000倍高い活性があり、2−アセトアミノフルオレン
は3倍高い活性があった。ベンジジンのみ両方の細胞株
において同じような応答を与えた。MCL−5細胞におい
て観察された変異誘発応答およびAHH−1細胞との比較
に基づいてトランスフェクション法により前発癌物質活
性化能力が実質的に改良されたことが結論づけられた。
MCL−5細胞は2つの多環式芳香族炭化水素、2つのニ
トロソアミン、マイコトキシンおよび芳香族アミドの変
異変異誘発効果に対し非常に敏感であった。これらの結
果は、この細胞株が前発癌物質のスペクトルを活性化し
うることを示している。
以下の記載から、AHH−1から最終的に誘導された不
死のヒト細胞株以外の不死ヒト細胞株を本発明の種々の
実施態様に従ったL3細胞株と置き換えうることが明らか
になるであろう。
材料および一般的方法 RPMI培地1640はSigma Chemical Company,セントルイ
ス,MOまたはHazelton,Inc.,デンバー、PAから入手し
た。ウマ血清はHazelton,Inc.から入手した。細胞は9
%v/vウマ血清を補充したRPMI培地1640の通常の増殖培
地中で繁殖させた。細胞はポリスチレン組織培養フラス
コ中で培養した。日常の細胞培養は電気的粒子計測によ
り細胞数を決定し、細胞を新鮮培地で1日毎に1ml当り
3または4×105細胞、2日毎に1ml当り2×105細胞、
または3日毎に1ml当り1×105細胞に希釈して実施し
た。ヒトリンパ芽球の遠心分離は1000×gで5分間実施
した。組換えプラスミドを含む細胞は100−200μg/mlの
ヒドロマイシンBを含む培地(pMF6に基づいたベクター
用)または2mMの1−ヒスチジノールを含み1−ヒスチ
ジンを含まない培地(pEBVHistkに基づいたベクター
用)中で維持した。プロトプラスト融合は公表されてい
る方法(1)に従って実施した。細胞の播種はFurth et
al,1981(2)の手法に従って96ウェルマイクロタイタ
ープレート中において実施した。プレートは13日間イン
キュベートしてコロニーを形成させた。ヒグロマイシン
BはCalbiochem,ラホヤ,CA,から入手した。非標識およ
び〔3H〕−ベンゾ(a)ピレン−4,5−オキシドはNatin
al Cancer Institute Chemi−cal Carcinoger Reposito
ryから入手した。6−(ベータ)−ヒドロキシテストス
テロン標準品はSteraloids,Inc.,ウィルトンN.H.から入
手した。6−ヒドロキシクロロゾキサソン標準品はF.P.
Guengerich博士、Vanderbit大学、ナッショビルから贈
与された。他のすべての化学薬品はSigma Chemical Com
pany,セントルイス,MO,から入手した。
ライブラリーおよびプラスミド ラット肝臓cDNAライブラリー(RL1001b)、ヒト肝臓c
DNAライブラリー(HL1001b)およびヒト胎盤cDNAライブ
ラリー(HL1008)はClontech,パロアルト,CA,から入手
した。3つのライブラリーはすべてバクテリオファージ
λgt11(3)中で作製され、大腸菌Y1090(4)中で繁
殖させた。
プラスミドpHEBo(5)はWilliam Sugden博士、ウィ
スコンシン大学、マディソンから入手した。ベクターpH
EBoはアンピシリン耐性およびヒグロマイシン耐性の遺
伝子を含み、EBV−形質転換リンパ芽球細胞および大腸
菌の両方での自律性複製を可能にするエプスタインバー
ウィルスおよびpBR322の複製起点からの配列を含んでい
る(5)。pHEBoは7.1kbの大きさであり、目的とするDN
Aの挿入に使用しうる制限酵素Cla I,Hind III,BamH Iお
よびSal Iの唯一の切断部位を有している。
プラスミドpHSV106は、Bethesda Research Laborator
ies,Gaithersburg,MDから購入した。ベクターpHSV106は
単純ヘルペスウィルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSVtk
遺伝子)を含み、HSVtk遺伝子の対照配列のための源と
して使用した。すべてのプラスミドは大腸菌HB101で繁
殖させた(6)。
pHEPtk1と称されるpMF6に基づいたプラスミドの作製
は以下のページに記載されており、係属中の米国特許出
願第07/162,885号および公表されている(7)に以前に
記載されている。プラスミドpHEPtk1は独立して発現さ
れるP450 II A3およびミクロソームエポキシドヒドロラ
ーゼ(EH)cDNA、ヒグロマイシン耐性遺伝子を含み、さ
らにエプスタインバーウィルス(EBV)形質転換リンパ
芽球細胞および大腸菌の両方で自律的に複製することを
可能にするEBVおよびpBR322の複製起点からの配列も含
んでいる(5)。pHEPtkは13.1kbの大きさであり、目的
とするDNAの挿入に使用しうる制限酵素Hind IIIの唯一
の切断部位を有している。
pEBVHistkベクターならびにpH44およびpH441と称され
るその誘導体プラスミドの作製は以下のページに記載さ
れている。pEBVHistkの作製は係属中の米国特許出願第0
7/162,885号および報告されている(8)に以前に記載
されている。実施を容易に可能にするためにここでは一
部その作製法が再現される。プラスミドpEBVHistkは1
−ヒスチジノール耐性を与える大腸菌HisD遺伝子を含ん
でおり(8)、EBV−形質転換リンパ芽球細胞および大
腸菌中で自律的な複製を可能にするEBVおよびpBR322の
複製起点からの配列を含んでいる。プラスミドpEBVHist
kは9.6kbの大きさであり、目的とするDNAの挿入のため
に使用しうる制限酵素Sal I,Nhe IおよびBamH Iの唯一
の切断部位を有している。適当な選択条件下において、
プラスミドpHEPtk1は二倍体細胞DNA当りコピー数5に維
持され、pEBVHisttkならびにその誘導プラスミドは二倍
体細胞DNA当り40コピーに維持される。
制限エンドヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼIのクレ
ノー断片およびT4DNAリガーゼはNew England Biolabs,B
everly,MA,から入手し、製造元の指導書に従って使用し
た。コウシ腸DNAアルカリ性ホスファターゼおよびT4ポ
リヌクレオチドキナーゼはPharmacia,Piscataway,ニュ
ージャージーから購入した。〔32P〕−標識ATPおよびデ
オキシヌクレオチドはDupont/NEN,ボストン,マサチュ
ーセッツ,から購入した。
P450 II A3 クローンの単離 P450 II A3クローンの単離は以下に記載されており、
係属中の米国特許出願第07/162,885号に以前にも記載さ
れている。
P450 II A3クローンの単離のための戦略は次のとおり
である。P450eをコードするラットcDNAとのハイブリダ
イゼーションにより単離されたヒトチトクロームP450 I
I A3の部分cDNA配列はPhillipsおよび共同研究者により
報告されている(9)。そのcDNAは遺伝子の3分の2の
みをコードするには十分な長さであった。ヒト肝臓cDNA
ライブラリーのプローブとして使用するため、公表され
ている配列の5′末端のオリゴヌクレオチドを選択し
た。
ヒト肝臓cDNAライブラリーHL1001bは常法(10)に従
って150mmペトリ皿当り4.25×104ファージの密度で播種
した。プラークレプリカリフトは常法(11)に従ってSc
hleicher & Schuell BA−85ニトロセルロースフィル
ター上で実施した。P450オリゴマー(d〔pACATTGGAGAA
TGTGCGGAT〕)は、(11)の記載にしたがってポリヌク
レオチドキナーゼおよび〔ガンマ−32P〕ATPにより末端
標識した。
P450オリゴマーによるハイブリダイゼーションは37.8
%ホルムアミド、5×デンハルト溶液(12)、5×SSPE
(11)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および25
0μg/mlの変性ニシン精子DNA中、30℃にて16時間実施し
た。ハイブリダイゼーションに続いて、プラークリフト
を500mlの2×SSC(13)および0.1%SDS中、室温で15分
間×3回および42℃で15分間×3回洗浄した。洗浄フィ
ルターは続いてWatman 3MMフィルター紙上に固定し、
プラスチック性ラップで覆い、Kodak XAR X−線フィ
ルムに1から24時間暴露した。フィルムは製造元の指導
書に従って現像した。陽性プラークをパスツールピペッ
トを用いて取り、プラークレプリカリフトおよびオリゴ
ヌクレオチドプローブによるスクリーニングの連続的繰
返しによって均質になるまで精製した。125個の陽性の
クローンのうち、31を選択してDNA分離および分析のた
めに用いた。DNAは、Promega,マジソン,WI、のLambdaso
rbTMファージ吸着剤プロトコールを用いて精製組換えフ
ァージから分離した。LambdasorbTMはバクテリオファー
ジラムダ粒子に対するウサギポリクローナル抗体の調製
物であり、その中で抗体はホルマリン固定スタフィロコ
ッカス・オーレウス(Staphylococcus aureus)細菌細
胞へ共有結合で結合されている。常法(11)に従って調
製されたバクテリオファージ溶菌液を0.01容量のLambda
sorbTMと0℃にて30分間インキュベートした。吸着され
たファージはBeckman Microfuge IIで7500RPMで10分間
遠心分離することにより沈殿させた。沈殿したファージ
は1mlのファージ懸濁緩衝液(10mM トリス−HCl,pH7.
5、100mM NaCl,10mM MgCl2、0.01%ゼラチン)に再懸
濁し,13,000RPMで15分間遠心分離した。上澄み液は捨て
た。これを繰返し、続いてペレットを0.5mlの10mMトリ
ス−HCl,pH7.8、10mM EDTAに再懸濁し、70℃に5分間
加熱してLambdasorbTMからファージDNAを放出させた。
調製液は13,000RPMで2分間遠心分離して吸着剤をペレ
ット化し、続いて上澄み液をトリス緩衝化フェノール/
クロロホルムの1:1混合物(11)で2度およびクロロホ
ルムで1度抽出した。次に、上澄み液に続いて0.25mlの
5M NaClおよび0.25mlの1.5M NaCl中30%ポリエチレン
グリコール(約8,000ダルトンの分子量のもの)を加
え、よく混合し、氷上で30分間インキュベートした。混
合物を13,000RPMで5分間遠心分離し、上澄み液を捨
て、DNAペレットを70%エタノールで洗い、再び遠心分
離した。DNAペレットで真空下乾燥させ、25μlの10mM
トリス−HCl pH7.8、0.1mM EDTAに再懸濁した。単離
されたDNAはEcoR Iで消化し、0.8%アガロースゲル上の
電気泳動にかけ、cDNA挿入物の大きさを決定した。ゲル
は0.5μg/mlのエチジウムブロマイドで染色し、紫外線
照明下で可視化した。クローンを挿入物の大きさにより
7つの群に分け、その3つは全てP450 II A3遺伝子をコ
ードするのに十分な大きさであった。91Dと称される1
つの大きなクローンの1.8kbEcoR I断片を常法(11)に
従ってアガロースゲルから分離した(図1)。都合のよ
い91D DNA源を提供するためにこの断片をpBR322内へ導
入し、繁殖させた。91D断片は以下のようにpBR322のEco
R I部位内へ導入した:pBR322DNAをEcoR Iで消化し、続
いてコウシ腸アルカリ性ホスファターゼで処理してベク
ターの再環化を防止した。EcoR I cDNA断片を3倍モル
過剰のEcoR I断片pBR322と混合し、T4DNAリガーゼを用
いてベクター内へ結合させた。次に結合プラスミドをMa
hiatis et al(11)に記載されている塩化ルビジウム法
に従って大腸菌HB101の形質転換に使用した。形質転換
されたコロニーはアンピシリン(50μg/ml)を補充した
ルリアブロスプレート上で選択した。いくつかのコロニ
ーを5mlの液体培養に供し、Maniatis et al(11)に記
載されているアルカリ溶菌ミニプレップ法に従ってプラ
スミドDNAを単離した。DNAをEcoR Iで消化し、前記の電
気泳動によって1.8kbバンドの存在を確認した。組換え
プラスミドp91DのDNAをミリグラム量単離するために、
そのようなコロニーの1つを同定し、1リットルの液体
培養に供した。これはGarge et al(15)に従って実施
した。次にプラスミドDNAを一連の制限エンドヌクレア
ーゼで消化し、詳細な制限地図を作成した。断片91DとP
hillips et al(9)により記載されている断片とを対
応する領域において比較した。断片91DはPhillips et a
l(9)により記載されている断片と以下の制限酵素の
切断部位を共有している:BamH I,HinC II,OxaN I,Rsa
I,Sac I,SfaN I,Sph I,Stu I,Sty IおよびXmn I。制限
酵素FnuD IIの部位の位置に矛盾が観察されたが、それ
は対立遺伝子変異による配列の相違を表わすと考えられ
た。制限地図の類似性に基づいて91D単離物はP450 II A
3の群に帰属された。
91Dの5′末端の位置は、制限酵素BamH Iによる消
化、続いてのアガロースゲル電気泳動およびサザンブロ
ティング(13)により決定した。ブロットは5′オリゴ
マーをプローブとして行い、ハイブリダイゼーションの
パターンに基づいて5′末端の位置を決定した。
エポキシドヒドラーゼ クローンの単離 ヒトエポキシドヒドラーゼ(EH)遺伝子の単離は以下
の記載に従って行い、係属中の米国特許出願第07/162,8
85号にも以前に記載されている。
ヒトエポキシヒドロラーゼ(EH)遺伝子の単離のため
の戦略は以下のような2つの部分を必要とした:ラット
EHの遺伝子はすでに単離され(16)配列決定され(17)
ており、それ故ヒト遺伝子の単離のためにヒトcDNAライ
ブラリーのプローブとして使用できる。公表された配列
から調製されたオリゴヌクレオチドを用いてラットEHク
ローンを単離し、14Aと名付けた。
ラット肝臓cDNAライブラリーRL1001bを150mmプレート
当り4.3×104ファージの密度で播種し、ニトロセルロー
スレプリカリフトを実施した。オリゴマー(d〔pCCCCA
GTCCCCGCCTTGAAT〕)を前記のように〔ガンマー32P〕AT
Pで末端標識した。ラットエポキシドヒドロラーゼオリ
ゴマーとのハイブリダイゼーションは、50%ホルムアミ
ド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.1%SDSおよび25
0μg/mlの変性ニシン精子DNA中、30℃にて実施した。16
時間ハイブダイズさせた後、フィルターを各々2×SSC
および0.1%SDS中で室温で15分間×3回洗浄し、42℃で
15分間×2回洗浄し、52℃で15分間×1回洗浄した。前
記のようにXAR X線フィルムを暴露させ現像した。陽
性プラークをパスツールピペットを用いて取り、スクリ
ーニングを連続的に繰返すことにより均質になるまで精
製した。前記のごとくDNAをPromega、マジソン,WI、のL
ambdasorbTMプロトコールを用いて組換えファージから
単離し、EcoR Iで消化して、cDNA挿入物の大きさを決定
した。cDNAは7つの群に分類され、その大きさは0.74kb
から1.6kbの範囲であった。最も大きな群(クローン14
A,1.6kb)の代表物を選択してさらなる分析を行った。
14Aの同一性は広範囲な制限地図作製および公表され
たラットEH配列のコンピューター作製地図との比較から
確認した。14Aの1.6kbEcoR I断片をpBR322のEcoR I部位
内へサブクローン化して、プラスミドp14Aを得た。p14A
の5′EcoR I−BamH I断片をプローブとして用いて、ヒ
ト肝臓および胎盤cDNAライブラリー、HL1001bおよびHL1
008を調べた。HL1001bは150mmプレート当り4.3×104
ラークの密度で、HL1008はプレート当り5×104プラー
クの密度で播種した。p14Aの5′EcoR I−BamH I断片
(0.46kb)は、〔アルファー32P〕dCTPおよびTTPでニッ
クトランスレートし(11)、比活性は5×107cpm/μg
であった。前記断片をプローブとしてプラークリフトを
前記のごとく50%ホルムアルデヒドハイブリダイゼーシ
ョン溶液中で調べた。プラークリフトは各々2×SSCお
よび0.1%SDS中で室温で15分間×3回洗浄し、続いて68
℃で30分間×1回洗浄した。総計で42個の陽性クローン
が同定され、そのうち36個は肝臓ライブラリー中に見い
だされ、6個は胎盤ライブラリー中に見いだされた。14
のクローンからDNAを単離した。制限酵素分析により、
大きさに基づいてクローンを8つの群に分類した。最も
大きなクローン、167Dは全EH遺伝子をコードするのに十
分な長さ(1.93kb)であった(図2)。2つの内部EcoR
I部位の存在のため、配列のサブクローニングには別の
制限酵素を使用する必要があった。クローン167DをKpn
IおよびPvu Iで切り出し、cDNAに側面を接した2.24kbの
ファージDNAのサブクローニングを行った。オーバーハ
ングしている3′末端は大腸菌DNAポリメラーゼIのク
レノー断片で平滑断端とし、Hind IIIリンカーをリン酸
化して前記断片に結合した(11)。4.17kb断片をpBR322
のHind III部位に挿入した。HB101の形質転換に続い
て、形質転換されたコロニーからDNAを単離し、4.17kb
の167D断片の存在を確認するためにHind IIIで消化して
プラスミドを選択し、p167Dと名付けた。プラスミドDNA
を単離し、詳細な制限酵素地図を作製した。クローン91
Dで前に記載したごとく、EcoR I制限消化物とラットEH
クローン14Aの5′EcoR I−BamH I断片とのサザンハイ
ブリダイゼーションにより、クローン167Dの5′末端を
決定した。
P450 I A2 クローン P450 I A2cDNA(pUC9のEcoR I部位中の)は始めはNat
io−nal Cancer InstituteのFrank GonzalezおよびHarr
y Gelboin博士から入手した。EcoR IおよびDra Iで消化
することにより組換えプラスミドからcDNAを単離し、全
コード配列を含む1.6kb断片を得た。制限酵素消化付着
断端を大腸菌DNAポリメラーゼIのクレノー断片で平滑
断端とし、Xho Iリンカーを断片に結合させた(11)。
修飾したcDNAを発現ベクターpMF6の唯一のSal I部位内
へ導入した(図3)。HB101の形質転換に続いて形質転
換されたコロニーからDNAを単離し、制限酵素地図作製
により構造を分析し、このプラスミドをpMF6/I A2パー
シャルと名付けた。プラスミドからDNAを単離し、Nar I
により部分消化してP450 I A2cDNA、プロモーターおよ
びHSVtkのポリアデニル化シグナルを含む2.6kb断片を単
離および精製した。
P450 III A4 クローン P450 III A4クローンの単離は報告されている(1
9)。このクローンは始めはNational Cancer Institute
のFrank GonzalezおよびHarry Gelboin博士から入手し
た。組換えプラスミドからBsu36 Iによる消化およびEco
R Iによる部分消化によりcDNAを単離し、全コード配列
を含む1.6kb断片(19)を得た。制限酵素消化断片を平
滑断端とし、Xho Iリンカーの付加により修飾し、pMF6
発現ベクター(20)の唯一のSal I部位に導入した。こ
のベクターをpMF6/3A4と名付けた。P450 III A4cDNA、
プロモーターおよびHSVtkのポリアデニル化シグナルを
含む2.6kbNar I断片を単離し精製した。
P450 II E1 クローンの単離 ヒトチトクロームP450 II E1cDNAは、配列が公表され
ているヒトP450 II E1cDNAの配列(21)に基づくオリゴ
ヌクレオチドプローブを用いて単離した。オリゴヌクレ
オチドはcDNAのコード配列中の82から101の塩基対と相
補的であり、5′−GCAGCTGGAATCTGCCCC−3′の配列を
有している。オリゴヌクレオチドを32Pで末端標識し、
これを用いてλgt11中のヒト肝臓cDNAライブラリー(HL
1001b)のスクリーニングを行った。
ヒト肝臓cDNAライブラリーHL1001bは常法(10)に従
って150mmペトリ皿当り4.25×104ファージの密度で播種
した。常法(11)に従って、Schleicher & Schuell B
A−85ニトロセルロースフィルター上にプラークレプリ
カリフトを行った。P450オリゴマー(d〔pACATTGGAGAA
TGTGCGGAT〕)を前記のごとくポリヌクレオチドキナー
ゼおよび〔ガンマ−32P〕ATPで末端標識した(11)。
P450オリゴマーとのハイブリダイゼーションは、37.8
%ホルムアミド、5×デンハルト溶液(12)、5×SSPE
(11)、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)および25
0μg/mlの変性ニシン精子DNA中、30℃にて16時間実施し
た。ハイブリダイゼーションに続いて、プラークリフト
を各々500mlの2×SSC(13)および0.1%SDS中、室温に
て15分間×3回洗浄し、42℃で15分間×3回洗浄した。
洗浄したフィルターはWhatman 3MMフィルター紙のシー
トに固定し、プラスチック性ラップで覆い、Kodak XAR
X線フィルムに1から24時間暴露した。フィルムは製
造元の指導書に従って現像した。陽性プラークをパスツ
ール ピペットを用いて取り、プラークレプリカリフト
およびオリゴヌクレオチドプローブによるスクリーニン
グの連続的に繰返すことにより均質になるまで精製し
た。陽性コロニーを精製し、cDNA挿入物を切り出し、La
mbdasorbTM調製物をpUC19のEcoR I部位へサブクローン
化して制限酵素地図を作製した。257Aと名付けた最も大
きな単離物の制限酵素地図は、報告されているP450 II
E1cDNA(8)のものとかなりの一致を示した。
cDNA単離物が完全なコード配列を含んでいるか否かを
決定するために、pUC19中の5′末端の100bpを直接配列
決定した。単離物257Aは完全コード配列に対し11塩基対
短いことが認められた。Song et al(21)のものと比較
して、単離物中では3つの塩基置換もあり、そのすべて
は潜在的(cryptic)であった。合成オリゴヌクレオチ
ドの平滑断端結合により、完全コード配列を有するcDNA
を作製した。単離物257Aは5′クローニングリンカー
(EcoR I)および3′末端でNde Iで切断した。DNA断片
をマングビーンヌクレアーゼで平滑断端化し、下記に示
した合成オリゴヌクレオチドを平滑断端化断片上に結合
させた。
これらのオリゴヌクレオチドは、公表されている5′
cDNAコード配列に対応するように、かつ、発現ベクター
pMF6(8)内へのサブクローニングを容易にするためXh
o I“付着断端”を有するように合成した。平滑断端化c
DNAへのオリゴヌクレオチドの結合により、4位におい
て1つの本来のアミノ酸が置換されている(アラニンが
ロイシンに)配列を得た。この置換は酵素機能には影響
しないと予想される。結合混合物をXho Iで消化し、所
望の断片を精製して発現ベクターpMF6中の唯一のSal I
部位内にサブクローン化した。正しい構成物をp257Atk2
と名付けた。P450 II E1cDNA、プロモーターおよびHVtk
のためのHVtkのポリアデニル化シグナルを含む2.6kbNar
I断片を常法に従って単位および精製した。
pME23およびpM441発現ベクターの作製 以下のセクションはL3細胞のトランスフェクトに使用
されたpME23およびpH441発現ベクターの作製を記載して
いる。プラスミドpME23はP450 I A2、P450 II A3および
mEH cDNAを含んでいる。pME23はP450 II A3およびP450
EH遺伝子を含む、pMF6に基づいたプラスミドpHEPtk1か
ら誘導される。プラスミドpH441は、pEBVHistkに基づい
たプラスミドpH44から誘導され、2つのP450 III A4cDN
Aおよび1つのP450 II E1cDNAを含んでいる。
pME23およびpH441ベクターの図式的地図を各々図4お
よび図5に示す。細い線はpBR322配列を表わし、黒いわ
くはEBVに由来するOriP配列を表わし、平行線を付けた
わくはヒグロマイシンB耐性遺伝子(図4)または大腸
菌HisD遺伝子(図5)を表わし、しま模様のあるわくは
HSVプロモーターを表わし、斜交平行線を付けたわくはH
SVポリアデニル化信号を表わし、白ぬきわくはcDNAを表
している。cDNAの同定および転写方向は図に示されてい
る。
A.発現ベクターpME23の作製 A1.発現ベクターpHEPtk1の作製 ベクターpHEPtk1の作製は係属中の米国特許第07/162,
885号に記載されており、この記載を本明細書の一部と
してここに引用する。プラスミドpHEPtk1(図6)はP45
0 II A3およびEHのための転写ユニットを含む。このベ
クターの作製は以下のごとくである: 制限酵素分析で決定されたように、クローンP450 II
A3およびEHの両方ともSal IまたはXho Iで切断されな
い。それ故、唯一のSal I部位により分離されるプロモ
ーター配列およびポリA付加シグナル配列を有する発現
ベクターの作製は、発現ベクター内へのクローン化断片
の容易な挿入を可能にするであろう。プラスミドpHEBo
は唯一のSal I部位を持っており、このプラスミドを、
唯一のSal I部位により分離される制限領域を持つ発現
ベクター作製の出発物として選択した。
P450 II A3およびEH遺伝子のための発現ベクターは以
下のようにして作製した:単純ヘルペスウィルスチミジ
ンキナーゼ遺伝子を含むプラスミドpHSV106(17)、をP
vu IIで消化した後Xho Iリンカーを付加した(11)。次
にDNAをSma Iで消化し、Sal Iリンカーを結合させて、
1つの末端にXho Iリンカーを、他の末端にSal Iリンカ
ーを有する断片を作製した。含まれているのはHSVtk遺
伝子の3′ポリA付加シグナルを含む0.6kb断片であ
り、これをpHEBoのSal I部位内へ挿入することができ
る。
pHEBoをSal Iで消化し、続いてコウシ腸アルカリ性ホ
スファターゼで処理して結合工程の間でのpHEBoの再環
化を防止した。1つの末端にXho Iリンカーを、他の末
端にSal Iリンカーを有する0.6kb断片を加え、DNAを結
合させた。pHEBo中のSal切断部位にXho Iリンカーおよ
びSal Iリンカーの両方ともが結合しうるため、断片は
2つの方向が可能であった。2つの方向のうち、断片の
5′末端の保存されたSal I部位がpHEBoのBamH I部位に
近接している場合に断片は正しく挿入されており、非機
能性3′Sal I−Xho I融合部位はBamH I部から遠く離れ
ていた。結合後、新しく作製したプラスミドで細菌を形
質転換し、形質転換されたコロニーからプラスミドDNA
を単離した。異なったコロニーからの単離プラスミドDN
AをEcoR IでおよびCla IおよびSal Iの両方で消化し
て、挿入HSVtk配列の存在および方向を決定した。正し
い方向を有するプラスミドをp12Lと名付けた。
プラスミドをBgl IIで切断し、その末端を大腸菌ポリ
メラーゼI(11)のクレノー断片で平滑化し、Sal Iリ
ンカーを付加することによりpHSV106から5′プロモー
ター配列を単離した。次にこのDNAをBamH Iで切断し
て、5′末端にBamH I切断部位および他の3′末端にSa
l Iリンカーを有する0.7kb断片を作製した。次に、プラ
スミドp12LをBamH IおよびSal Iで切断し、p12L切断DNA
へ0.7kb断片を付加し、全DNAを結合してHB101の形質転
換に使用した。ミニプレップ法を用いて形質転換された
HB101コロニーからDNAを単離し、DNAをPst I、EcoR Iお
よびBamH IおよびSal Iの両方で消化して正しい構成物
を同定した。このようにして得られ、pMF6と名付けられ
たプラスミドは、HSVtkからの5′および3′両方の制
御配列およびヒトリンパ芽球中で発現させるための遺伝
子の挿入に使用される保存された唯一のSal I部位を含
んでいる。
A2.発現ベクターpMF6内へのP450 II A3cDNAの導入 プラスミドpMF6 DNAをSal Iで消化し、前記のごとく
コウシ腸ホスファターゼで処理した。EcoR Iによりプラ
スミドp91DからP450 II A3クローン91Dを切り出した。
得られた断片をクレノーポリメラーゼ断片を用いて平滑
断端としてXho Iリンカーを付加し、続いて断片を直接S
al I切断pMF6内へ結合させた。HB101を結合プラスミド
で形質転換し、生じたコロニーからDNAを単離し、BamH
Iで消化することによりHSVtk配列についての断片の方向
を決定した。適切な構成物をp91Dtkと名付けた(図
7)。
A3.発現ベクターpMF6内へのEHcDNAの導入 pMF6内へのEHクローンの導入はクローン内の内部EcoR
I部位の存在のため複雑である。プラスミドp167Dの広
範囲な制限地図作製によりNde IおよびRsr IIを使用す
るとファージDNAに隣接する220bp(5′末端の50bp未満
および3′末端の約180bp)のみがクローン167Dから切
り出すことが可能であることが明らかになった。生じる
2.15kbの断片をクレノーで平滑断端とし、Xho Iリンカ
ーを結合させた。この断片を次にSal I切断pMF6内へ結
合した。形質転換させたHB101コロニーからDNAを単離
し、HSVtk配列に対して適切な方向のEHクローンを含む
組換えプラスミドを制限酵素Hind IIIおよびXba Iによ
る二重消化により同定した。このプラスミドをp167Dtk
と名付けた(図8)。
A4.単一pMF6プラスミド上でのP450 II A3およびEHcDNA
の併合 改良されたリンパ芽球細胞株L3への新規活性の導入を
単純化するために、新規に単離された遺伝子と一緒にそ
れに伴う制御配列の両方を含むプラスミドを作製した。
必要なHSV配列の5′および3′末端の両方を含むp167D
tkの全発現領域をNar Iで切り出した。得られた3.2kb断
片をp91Dtkの唯一のCla I部位内へ導入した。167Dtk配
列はp91Dtkプラスミド内へ2つの可能な方向で結合で
き、両方が産生されることが予期される。細菌を結合混
合物で形質転換し、形質転換されたコロニーからアルカ
リ性溶菌ミニプレップ法を用いてDNAを単離した。挿入
されたDNAの方向をHind IIIおよびXba Iによる二重消化
により決定し、両方の配向の挿入物を持つプラスミドを
得た。pHEPtk1においては、167Dtk配列は91Dtk配列の反
対の方向に転写されるであろう。pHEPtk2と名付けられ
た別のプラスミドにおいては2つの遺伝子は同一の方法
で転写される。
A5.ベクターpHEPtk1内へのP450 I A2cDNAの導入による
発現ベクターpME23の作製 プラスミドpHEPtk1をHind IIIで消化し、切断部位を
平滑断端とし、Cla Iリンカーの添加により修飾し、続
いてホスファターゼで処理した。このベクターをpMF6/I
A2の部位消化により得られた26kb Nar I断片(前記の
ように完全P450 I A2転写ユニットを含んでいる)と結
合させた(18)。
HB101を結合プラスミドで形質転換し、得られるコロ
ニーからDNAを単離し、制限酵素地図作製により作製物
を確認した。得られた作製物をpME23と名付けた(図
4)。
B.発現ベクターpH441の作製 以下の節はP450 III A4およびP450 II E1のためのcDN
Aを有するpEBVHIStkに基づいた発現ベクターpH441の作
製を記載している。
B1.発現ベクターpEBVHistkの作製 pEBVHistkは以下のようにして作製された:EBVのDNA複
製起点を含むpMF6の25kbNar I断片をNar I消化pBR322内
へ導入し(この断片の両端のショートHSVtk配列は機能
的でない)、作製物をpEBVと名付けた。25kbNar I断片
の単離は係属中の米国特許出願第07/162,885号にすでに
記載されているが、実施を容易にするため以下にその要
約を再現する。大腸菌HisD遺伝子を含むpMF6の2.5kbNar
I断片(5′末端をAva IIで3′末端をHind IIIで切断
し、3′末端の約600bpをBa131ヌクレアーゼで除去し
た)をpEBVのCla I部位内へ導入し、pEBVHisを作製し
た。最後にpMF6の1.0kbNar I断片をHind IIIリンカーを
添加することにより修飾し、pEBVHisのHind III部位内
へ導入することによりpEBVHistkを作製した。
B2.ベクターpEBVHistk内へのP450 III A4遺伝子の導入
による発現ベクターpH44の作製 プラスミドpH44は以下のようにして作製し:全コード
配列を含むP450 III A4cDNAの1.6kbEcoR I/Bsu36 I断片
(19)をXho Iリンカーの添加により修飾した。修飾cDN
AをpMF6発現ベクター(20)の唯一のSal I部位内で導入
した。pMF6/3A4と名付けられたこのベクターをNar Iで
消化し、全P450 III A4転写ユニット(前記)を含む2.6
kbのNar I断片を単離し、Cla Iリンカーの添加およびコ
ウシ腸ホスファターゼ処理によりHind III部位を修飾し
た後pEBVHisベクター(24)内に結合した。このベクタ
ーは1−ヒスチジノール耐性を与え、高いコピー数で維
持される(細胞当り40コピー)。予期されるP450 III A
4の低い発現を部分的に補正するために、2つの完全P45
0 III A4転写ユニットを含むプラスミドを作製し、pH44
と名付けた。この作製を一つの工程で容易に行うため、
P450 III A4含有2.6kb断片とベクターを10:1のモル比で
結合工程において使用した。
B3.ベクターpH44内へのP450 II E1cDNAの挿入による発
現ベクターpH441の作製 プラスミドpH44をNar Iで部分消化し、コウシ腸ホス
ファターゼで処理した。このベクターを前記のごとく完
全P450 II E1転写ユニットを含むp257Atk2の2.6kbNar I
断片(8)へ結合させた。作製物の同一性を制限酵素地
図作製により確認し、得られたプラスミドをpH441と名
付けた(図5)。
トランスフェクション法 A.L3細胞内へのプラスミドpH441の転移 プラスミドpH441およびpME23をプロトプラスト融合に
よりL3細胞株内へ連続的に導入した。プラスミドpH441
を最初に導入した。
プラスミドpH441はプロトプラスト融合(12)を用い
てL3細胞株内へ導入した。プラスミドpH441を含む大腸
菌HB101を50μg/mlのアンピシリンを含むルリアブロス
(総量150ml)中で増殖させた。細菌濃度がOD600で0.6
に達した時200μg/mlのクロラムフェニコールを培養液
に添加し、培養液を一夜撹拌した。細菌を2000×gで10
分間遠心分離し、細胞ペレットを15mlのHBS−20(20mM
HEPES、20%ショ糖、pH7.1)に再懸濁し、0.48mlの10
mg/mlリソザイム溶液(HBS−20溶液、濾過滅菌)を添加
した。細菌は室温で45分間インキュベートした。リソザ
イム反応は0.24mlの1.25M CaCl2を添加することにより
停止させた。過剰のCa++は0.6mlの0.25M EDTAを加えて
キレート化した。上記のプロトプラスト調製液は6mlのH
BS−9(20mM HEPES、9%ショ糖、pH7.1)を添加して
希釈した。
L3細胞(2から3×107細胞)を遠心分離し、細胞ペ
レットはチューブを軽くたたいて分散させた。1.5mlのP
EG融合試薬(PEG−融合試薬は(36)に従って精製した4
8%(w/w)ポリエチレングリコール1450とバランスとし
てのRPMI培地1640から成っている)を細胞に加えた。特
に指定しない限り、本プロトコールの通常培地は9%ウ
マ血清を補充したRPMI培地1640を示す。2.5mlのプロト
プラスト懸濁液をすぐに添加し、生じた懸濁液を800×
gで3分間遠心分離した。チューブを軽くたたくことに
よりペレットを分散させ、1.5mlのPEG融合試薬を加え、
細胞を1分間インキュベートした。PEG−融合試薬を50m
lの通常培地で希釈し、細胞を遠心分離し、100U/mlペニ
シリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび100μg/ml
のゲンタマイシン(PSG)を含む80mlの通常培地に再懸
濁した。プロトプラスト融合1日後、2.6×107個の細胞
を遠心分離し(1000×g、5分間)、0.5mM1−ヒスチジ
ノール(1−ヒスチジンなしで)および前記のPSGを含
む培地に再懸濁した。プロトプラスト融合5日後、培養
液を50mlから80mlへ同一の培地で希釈した。プロトプラ
スト融合8日後、50mlの培養液を遠心分離し、20mlの同
一の培地に再懸濁して元の培養液に戻した。プロトプラ
スト融合11日後、2mMヒスチジノールを含む30mlの培地
を加えて培養液を希釈した。この時点から先2から5日
毎に細胞濃度を決定し、それが2.5×105細胞/mlを越え
た時に培養液を1−ヒスチジノール(1−ヒスチジンな
しの)およびPSGを含む培地で希釈した。プロトプラス
ト融合23日後、培養液を2mM1−ヒスチジノール(1−ヒ
スチジンなしの)およびPSGを含む58から100mlの培地の
添加により希釈した。プロトプラスト融合29日後、培養
液を同一の培地で1.5×105細胞/mlに希釈した(全量100
ml)。プロトプラスト融合33日および37日後、培養液を
再び上記のように希釈した。プロトプラスト融合40およ
び42日後、培養液を2×105細胞/mlに同一の培地で希釈
した(100ml)。プロトプラスト融合44日後、培養液を
同一の培地で1×105細胞/mlに希釈した(100ml)。プ
ロトプラスト融合47日後、細胞を96ウェルのマイクロタ
イタープレート中の上記培地中に播種した。細胞はウェ
ル当り平均0.5個で8つのプレートに分けた。プレート
を12日間インキュベートした。コロニーを分離、2mMの
1−ヒスチジノール(1−ヒスチジンなしで)を含む培
地中で大量培養(約100ml)までスケールアップした。
クローン集団における、P450 III A4(テストステロ
ン6(β)ヒドロキシラーゼ活性で測定)P450 II E1
(N−ニトロソジメチルアミンの細胞毒性に対する感受
性で測定)、および天然P450 I A1(7−エトキシ−レ
ゾルフィンデエチラーゼ活性で測定)の酵素活性、およ
びベクターの構造およびコピー数(EcoR I消化ゲノムDN
Aのサザンブロッティングにより)を確認した。1つの
クローン集団を選択し、続いてトランスフェクションを
行った。この細胞株はpH441ベクターを約40コピー含ん
でおり、1.5−1.9ピコモル生成物/106細胞・分のテスト
ステロン6(β)ヒドロキラーゼ活性を示した。100ng/
mlのN−ニトロソジメチルアミンへの暴露により対照
(非処理)細胞に対して0.18に生存率が減少し、1.6ピ
コモル生成物/106細胞・分の7−エトキシレゾルフィン
デエチラーゼ活性を示した(0.1μMのジベンズ(a,h)
−アントラセンで20時間前処理後)。
上記のプロトプラスト融合のプロトコールは本発明の
実際の実施態様を示したものであり、細胞希釈間の日数
の正確な数は細胞増殖速度の関数として変化しうること
を理解すべきであろう。細胞希釈は細胞が前の希釈時に
比較して2倍の数になった時に行う。従って細胞数が1m
l当り約4×105個および6×105個の間の数を越えた時
に行う。
B.前もってプラスミドpH441でトランスフェクトされて
いるL3細胞内へのプラスミドpME23の転移 L3細胞内へのプラスミドpH441の転移に関連して上に
記載されたものと同じプロトプラスト融合法を用いて、
pH441−トランスフェクトL3細胞株内へプラスミドpME23
を挿入した。ただし以下の点が異なっている: 選択は2mM1−ヒスチジノールおよびヒグロマイシンB
の両方への耐性に基づいて行った。トランスフェクショ
ン後、細胞は2mM1−ヒスチジノール(1−ヒスチジンな
しで)、30μg/ml4−アミノレブリン酸、100μg/mlペニ
シリン、100μg/mlストレプトマイシンおよび100μg/ml
ゲンタマイシンを含む培地中で培養した。プロトプラス
ト融合1日後、細胞を1ml当り2.5×105個で50mlまで希
釈し、400μg/mlのヒグロマイシンBを添加した。プロ
トプラスト融合5日後、細胞を50mlから80mlに希釈し、
300μg/mlのヒグロマイシンBを添加した。プロトプラ
スト融合8日後、50mlの培養液を遠心分離し、20mlの新
鮮培地に再懸濁して培養液に戻し、200μg/mlのヒグロ
マイシンBを培養液に添加した。プロトプラスト融合11
日後、大量の集団が増殖しはじめた。細胞を1ml当り2
×105に希釈した(全量80ml)。その後、細胞を2日毎
に1ml当り2×105に希釈して100μg/mlのヒグロマイシ
ンBを添加するか、または3日毎に1ml当り1×105に希
釈して200μg/mlのヒグロマイシンBを添加した。大量
のトランスフェクトされた集団をMCL−5と名付けた。
アッセイ A.酵素アッセイ 酵素活性は全細胞で測定した。クマリン7−ヒドロキ
シラーゼはGreenleeおよびPoland(25)の方法により、
細胞培養液に直接100μMのクマリンを添加し、2時間
インキュベートした後蛍光性産物を測定することにより
測定した。ミクロソームエポキシドヒドロラーゼはGlat
t et al.(26)の方法に従い、全量0.5mlの5×106個の
細胞を使用し、30分間インキュベートすることにより測
定した。7−エトキシレゾルフィンデエチラーゼ活性
(27)は全細胞を用い(28)に従って測定した。他のす
べての酵素アッセイはインキュベーション容量1ml中1
×107個の細胞を使用した。アセトアニリド4−ヒドロ
キシラーゼは(29)に従って測定した。クロロゾキサゾ
ン6−ヒドロキシラーゼは(30)に従って測定した。テ
ストステロンヒドロキシラーゼはWaxman et al(31)に
従って測定した。
B.細胞毒性および突然変異誘発アッセイ 細胞毒性は前発癌物質に暴露した後の増殖を測定する
ことにより評価した。培養物が指数増殖を回復した後、
変異誘発剤処理培養物の累積増殖を陰性対照培養物の累
積増殖で割って相対的生存率を得た。
MCL−5の保存培養物を9%ウマ血清、100−200μg/m
lヒグロマイシンBおよび2mM1−ヒスチジノールおよび3
0μg/ml4−アミノレブリン酸を補充したRPMI1640培地
(ヒスチジンを含まない)中で前記のごとく繁殖させ
た。突然変異誘発アッセイに使用する前に、保存MCL−
5細胞の一部をHAT培地(100μMヒポキサンチン、0.8
μMアミノプテリン、35μMチミジンを含む保存培養培
地)中で3日間増殖させ、遠心分離し、TH培地(アミノ
プテリンを含まないHAT)中に再懸濁し、保存培養培地
で希釈して3日間培養した。HAT/TH処理により前から存
在しているtkおよびhgprt突然変異体が除去される。
MCL−5細胞(60ml中3×107個)の一部を1つまたは
それ以上の濃度の試験化学物質、溶媒のみ、および既知
の変異誘発物質に28時間暴露した(通常同型培養で)。
変異誘発物質暴露は50−100μg/mlヒグロマイシンBお
よび1−2mM1−ヒスチジノールおよび15から30μg/mlの
4−アミノレブリン酸を含む通常培地で実施した。化学
物質暴露は、培養液を遠心分離し細胞をヒグロマイシン
または1−ヒスチジノールを含まない新鮮培地に再懸濁
(通常80ml中3×107個の細胞で)することにより終結
させた。次に、培養物を誘導された突然変異の表現型発
現が可能になるまで(tk座位に対しては少なくとも3
日、hgprt座位に対しては少くとも7日)継代した(一
般的に1日おきに150ml中3×107個)。誘導された突然
変異の表現型発現が可能な十分な時間後、培養液の一部
を96ウェルマイクロプレートに播種して突然変異分画を
決定した。tk座位での突然変異の測定には4μg/mlトリ
フルオロチミジンの存在下ウェル当り平均2.5×104の細
胞で(通常3プレート)、hgprt座位での突然変異の測
定には0.6μg/m16−チオグアニン存在下ウェル当り平均
2.5×104の細胞で(通常3プレート)、および播種効率
を測定するために選択なしでウェル当り平均2.5の細胞
で(通常2プレート)細胞を播種した。プレートは13日
間インキュベートし、各々のウェル中のコロニーの存在
または不在を計数した。突然変異分画および統計分析の
計算は以前に記載されている通りである(32)。
実施例 実施例1:MCL−5細胞における酵素発現およびベクター
当り単一のcDNAによる発現の比較 多数の関連ベクターおよび多数の単純ヘルペスウイル
ス(HSV)tk遺伝子由来プロモーターおよびポリアデニ
ル化シグナル(ベクター当り4)を与えた場合、細胞株
の安定性および各々のcDNAの発現の効率が心配であっ
た。
cDNAおよび天然のP450 I A1発現を確認するため、お
よび細胞株の安定性を試験するため、細胞培養の時間の
関数として一連のチトクロームP450形特異性酵素アッセ
イおよび前発癌物質活性化を測定した。(図9)。MCL
−5細胞における活性のレベルを、同一の選択手段によ
り単一のcDANでトランスフェクトされた細胞で観察され
たレベルと比較した。
MCL−5細胞における誘導された7ーエトキシレゾル
フィンデエチラーゼ活性のレベルは、トランスフェクト
されていないL3細胞株(7)で観察されたものに匹敵し
た。MCL−5細胞におけるアセトアニリド4ーヒドロキ
シラーゼ活性(P450 I A2特異的)、テストステロン6
(ベータ)−ヒドロキシラーゼ(P450 III A4特異的)
およびミクロソームエポキシドヒドロラーゼ活性は、各
々pMF6/I A2(18)、p91Dtk(pMF6/2A3; (33))、pH
44(2つのCYP3A4cDNAを有するpEBVHistk)およびp167T
K(pMF6/mEH;(7)でトランスフェクトされた細胞で観
察されたものに匹敵した。(2倍以内)。MCL−5細胞
におけるクロロゾキサゾン6−ヒドロキシラーゼ(P450
II El特異的)のレベルはpEBVHis/2Elを含む細胞中よ
りも約3倍高かった。これらのアッセイおよび比較に基
づくと、すべてのcDNAならびに天然のP450 I A1は適切
に発現されていた。これらのベクター構成物においては
実質的なプロモーター干渉は存在しないようである。
単一のcDNAを含む構成物で上記cDNAの各々の安定した
発現がより高いレベルで達成されているが、本発明は多
数のP450形の発現を達成することであることに注目しな
ければならない。この細胞株においては安定に保持でき
るであろうP450含量の上限が(現在のところ不明である
が)たしかに存在する。これらの構成物は全P450含有量
がこの系において安定に保持されることが以前に観察さ
れている量を越えないように計画されている(例えばpE
BVHistkベクター中のP450 II A3を含む細胞は細胞百万
個当り約1ピコモルのP450を含んでいる)。
このことは2つの効率悪く発現されるP450cDNA(P450
III A4およびP450 II E1)を高いコピー数のベクター
(pEBVHistk)に、2つの効率良く発現されるP450cDNA
を低いコピー数のベクター(pMF6)に置くことにより達
成された。従って全推定P450含量は細胞百万個当り1ピ
コモル以下に保たれた。
酵素レベルでの発現の安定性は、酵素活性のレベルを
モニターすることにより細胞培養における増殖の時間の
関数として決定した。この実験のため、最初にトランス
フェクトされた細胞を培養し、数百個のバイアルのフリ
ザー保存物を得るのに十分なほど培養のサイズをスケー
ルアップした。ゼロ時間とはこの保存物から培養を確立
した時を表わしている。個々のバイアルは異なった時間
に融解され、6,37および63日間繁殖させた培養物を同時
にアッセイした(図9)。
酵素活性のレベルは培養の時間に関しては実質的に変
化しなかった。2つの時間の間の最大の相違は1.5倍未
満であった。2カ月の時間枠に渡った分析は、MCL−5
細胞株が、長期間低用量暴露実験(34,35)および個々
の研究室への細胞株の輸送を含む多くの応用が可能であ
るほど十分に安定であることを示している。
P450特異的酵素アッセイに基づくと、MCL−5細胞
は、多くの前発癌物質の活性化の主たる原因となること
が確立されているヒトP450形を同時に発現していること
が結論された。それ故、MCL−5細胞はヒト前発癌物質
活性化のための有効なスクリーニング道具となる可能性
を有している。
実施例2:MCL−5細胞による前発癌物質活性化: 細胞毒性および突然変異誘発アッセイ法 以下の方法はMCL−5細胞を前発癌物質ベンゾ(a)
ピレンに暴露した後の細胞毒性および突然変異誘発アッ
セイに関するものである。同一の方法を用いて、試験さ
れた前発癌物質の各々の細胞毒性および突然変異誘発の
算定を行った。
すべての前発癌物質濃度に対しhprt座位での変異体分
画を決定し、最も高い前発癌物質濃度に対してはtk座位
でも決定した。結果は以下の実施例に示されている。
一般に、MCL−5細胞におけるhprtおよびtk座位での陰
性対照変異体分画は、親のL3細胞株で観察されたものに
匹敵した。このことはチトクロームP450の発現は自然突
然変異速度(多分活性酸素種による)に実質的に影響を
与えないことを示している。この観察は、P450発現はバ
ックグラウンド突然変異体頻度に影響を与えない(38−
41)という我々の以前の観察と一致している。
一般に、観察される突然変異誘発応答の程度において
hprtおよびtk間には良い一致が存在する。値はすべて2
倍以内であった。このことはtk座位が多くのスクリーニ
ング応用に対して使用できることを示しており、hprtに
対しtkは表現型発現時間がより短いため、時間および材
料が著しく節約できる。細胞毒性は処理後の増殖を測定
することにより評価した。培養物が指数増殖を回復した
後、突然変異誘発剤処理培養物の累積増殖を陰性対照培
養物の累積増殖で割ることにより相対生存率を求めた。
hprtおよびtk座位での突然変異の誘導は以前に報告され
ているプロトコール(32)を少し改良して測定した。ヒ
トリンパ芽球を突然変異誘発剤に28時間暴露した。各々
の2回の培養物には3×107個の細胞が含まれていた。
7日の表現型発現時間後、突然変異体分画を前記の方法
に従って測定した。細胞培養液への添加に際し、アフラ
トキシンB1、ベンゾ(a)ピレン、3−メチルクロロア
ンスレン、2−アセトアミノフルオレン、およびベンジ
ジンはジメチルスルホキシドに溶解し、N−ニトロソジ
メチルアミンおよびN−ニトロソジエチルアミンは水に
溶解した。
実施例3:ベンゾ(a)ピレンの毒性および突然変異誘発
性 発癌物質ベンゾ(a)ピレンの毒性および突然変異誘
発性を前記の方法を用いて決定した。ベンゾ(a)ピレ
ンはP450 I A1により突然変異誘発種へ代謝されること
が知られている。この変異誘発性はP450 I A1と協調し
たエポキシドヒドラーゼの作用により隣接するジオール
−エポキシドを発生させることによってさらに増強され
る。
ベンゾ(a)ピレン、3−メチルクロロアンスレンお
よびN−ニトロソジエチルアミンの突然変異誘発性はMC
L−5細胞中のhprtおよびtk座位で決定した。前発癌物
質の細胞毒性および突然変異誘発性を図10に示す。細胞
は示されている濃度の変異誘発剤に28時間暴露した。各
々の化学物質について少くとも2つの独立した実験で試
験し、各々の実験では少くとも2重の培養物を使用し
た。平均値がプロットされている。すべての濃度につい
てhprt座位での突然変異体分画をアッセイし、最も高い
濃度についてはtk座位での突然変異体分画もアッセイし
た。tk座位のデータポイントは括弧で囲まれている。前
発癌物質は以下のごとくである: 丸 ベンゾ(a)ピレン; 四角 3−メチルクロロアンスレン;および 三角 N−ニトロソジエチルアミン。
平均陰性対照突然変異体分画はhprtおよびtk座位で各
々2.8×10-6および3.6×10-6であった。
ベンゾ(a)ピレンは3ng/mlの暴露濃度で有意な突然
変異誘発応答が誘導され、突然変異体分画の単調な増加
が1000倍の濃度範囲に渡って観察された(図10)。ベン
ゾ(a)ピレンは特別に細胞に有毒ではなかった;突然
変異体分画の実質的増加が有意な細胞毒性なしで観察さ
れ、3μg/mlの暴露で相対的生存率を60%にしか減少さ
せなかった。
MCL−5細胞は、ヒグロマイシンB選択下P450 II A3
およびmEHを発現するMCL−5(7)細胞よりも3から10
倍ベンゾ(a)ピレンに対して敏感であった。この観察
はP450 I A1およびmEHがこの活性化に主として関与する
ことと一致し、ベンゾ(a)ピレンの活性化における他
のP450の潜在的役割を示唆している。Shimada et al(3
6)はP450 III A4がヒト肝臓ミクロソームにおいてベン
ゾ(a)ピレン−7,8−ジオール活性化しうることを報
告している。
実施例4:N−ニトロソジエチルアミンの毒性および突然
変異誘発性 N−ニトロソジエチルアミンの細胞毒性および突然変
異誘発性をMCL−5細胞において決定した(図10)。
N−ニトロソジエチルアミンは100ng/の暴露濃度で有
意な突然変異誘発応答を誘導し、ベンゾ(a)ピレン同
様に、非細胞毒性暴露濃度を含む1000倍の濃度範囲に渡
って突然変異体分画の単調な増加が観察された(図1
0)。我々は以前にP450 II A3およびP450 II Elの両方
がN−ニトロソジエチルアミンを活性化しうることを示
している(33)。MCL−5細胞で観察された突然変異体
分画はII A3/Hyg細胞およびII E1/Hol細胞(33)におけ
る突然変異体分画の合計に基づいて予期されるものより
約2倍多かった。MCL−5細胞におけるより多い突然変
異体分画は、クロロゾキサゾン6−ヒドロキシラーゼ活
性およびN−ニトロソジメチルアミン感度で測定された
ように明らかに高いレベルのP450 II Elによるものであ
ろう。
実施例5:N−ニトロソジメチルアミンの毒性および突然
変異誘発性 N−ニトロソジメチルアミン細胞毒性および突然変異
誘発性をMCL−5細胞で決定した(図11)。前発癌物質
は図11で以下のように示されている: 丸 N−ニトロソジメチルアミン; 四角 アフラトキシンB1;および 三角 2−アセトアミノフルオレン;および ひし形 ベンジジン。
前記のごとく実験を実施し、結果をプロットした。
N−ニトロソジメチルアミンは20ng/mlの暴露濃度で
突然変異体分画の有意な増加を誘導した(図11)。この
化学物質はまた極めて細胞に有毒であった。MCL−5細
胞は2E1/Hol細胞(33)よりもN−ニトロソジメチルア
ミンに対して約3倍敏感であり、このことはMCL−5細
胞中におけるクロロゾキサゾン6−ヒドロキラーゼ活性
がより高いレベルであることと一致している。P450 II
A3はN−ニトロソジメチルアミンの活性化には対した役
割を果たしておらず(P450 II E1よりも1000倍活性が低
い)、おそらく突然変異誘発応答の増加にも有意には寄
与していない。
実施例6:tkおよびhgprt座位でのアフラトキシンB1の毒
性および突然変異誘発性 発癌物質アフラトキシンB1の毒性および突然変異誘発
性を前記の方法を用いて試験した。アフラトキシン−B1
はP450 I A1、P450 II A3、P450 III A4およびP450 I A
2を含むいくつかのチトクロームP450酵素により代謝さ
れる。それ故、MCL−5細胞はアフラトキシンB1誘導突
然変異誘発に対しより敏感であろうことが予想された。
アフラトキシンB1は5ng/mlの暴露濃度で突然変異体分
画の有意な増加を誘導した(図11)。ベンゾ(a)ピレ
ン、3−メチルクロロアンスレン、およびN−ニトロソ
ジエチルアミンと異なり、アララトキシンB1は低濃度で
も非常に細胞に有毒であった。アフラトキシンB1は1A2/
Hyg、3A4/Holおよび2A3/Hyg細胞中で突然変異誘発物質
に活性化されたことが観察されており(未公表の結
果)、1A2/hyg細胞は約8倍3A4/Hol細胞より敏感であり
3A4/Holは2A3/Hyg細胞より約15倍より敏感であった。天
然の細胞株もまたアフラトキシンB1に敏感である。MCL
−5細胞の感受性は個々の酵素活性化能力の合計と一致
していた。
実施例7:3−メチルクロロアンスレンの毒性および突然
変異誘発性 3−メチルクロロアンスレンは30ng/mlの暴露濃度で
突然変異体分画の有意な増加を誘導し、100倍に渡る濃
度範囲で単調な変異体分画の増加が観察された(図1
0)。この場合においても、有意な細胞毒性なしで突然
変異分画の実質的増加が観察された。
ベンゾ(a)ピレン、N−ニトロソジエチルアミンお
よび3−メチルクロロアンスレンに対してMCL−5細胞
で観察された突然変異分画は、この系で観察されたもの
でも最も高いものであり、多くの直接作用するアルキル
化剤よりも高かった。この観察はMCL−5細胞における
実質的な前発癌物質活性化能力を強調している。
実施例8:2−アセトアミノフルオレンの毒性および突然
変異誘発性 2−アセトアミノフルオレンはP450 I A1およびP450
I A2により活性化されることが報告されている(37)。
2−アセトアミノフルオレンは図11に示したごとく、10
μg/mlの暴露濃度で有意な突然変異体分画の増加を誘導
した。MCL−5細胞の応答は親AHH−1細胞株で観察され
たものよりも大きく、トランスフェクトされたおよび天
然のP450 I A1の高い活性の1つが活性化を媒介してい
ることと一致した。どの形が関与しているかを確立する
ために、単一のcDNAを発現する細胞株でのさらなる試験
が必要とされるであろう。
実施例9:ベンジジンの毒性および突然変異誘発性 ベンジジンは突然変異体分画に非常に控えめな増加を
誘導する(2から3倍,図11)。MCL−5細胞の応答は
親AHH−1細胞株で観察されたものと類似していた(以
下にさらに論議する)。トランスフェクトされた活性に
よる代謝はこの化合物の突然変異誘発物質への活性化に
対しては多分律速段階ではないであろうことが示されて
いる。
実施例10:MCL−5細胞株感度の親AHH−1細胞株との比
較 cDNAトランスフェクションの効果をさらに例示するた
めに、MCL−5細胞株の感受性を親AHH−1細胞株(天然
のP450 I A1活性のみを含む)のそれと比較した。この
比較のため、hprt座位での突然変異分画を2倍にするの
に必要な突然変異誘発物質の濃度を直線補間法により計
算した。突然変異分画を2倍にすることは突然変異体分
画の有意な増加を表している。この比較はすべての化学
薬品について可能であるが、3−メチルクロロアンスレ
ンについてはAHH−1細胞株に対するデータが入手不能
である。AHH−1およびMCL−5細胞の両方とも同じよう
なhprt座位での陰性対照突然変異体分画を有している
(2.5から3×10-6)。比較は図12に示されている。ベ
ンジジンを除くすべての前発癌物質に対し、MCL−5細
胞株はAHH−1細胞よりも有意により敏感であった。MCL
−5細胞においてニトロソアミンは10,000倍以上活性が
高く、ベンゾ(a)ピレンおよびアフラトキシンB1は約
1000倍活性が高く、2−アセトアミノフルオレンは3倍
活性が高かった。ベンジジンのみが両方の細胞において
同じような応答を与えた。MCL−5細胞で観察された変
異誘発応答およびAHH−1細胞との比較に基づくと、ト
ランスフェクション法により前発癌物質活性化能力は実
質的に改善されていた。MCL−5細胞は2つの多環式芳
香族炭化水素、2つのニトロソアミン、マイコトキシン
および芳香族アミドの突然変異誘発効果に対し非常に敏
感であった。これらの結果はこの細胞株が前発癌物質の
スペクトルを活性化しうることを示している。
ヒト前発癌物質活性化およびこの活性化に関与するP4
50形についての我々の理解はいまだ初歩的段階であるこ
とに注意しなければならない。それ故、別のP450が他の
前発癌物質の活性化の主たる原因となることが確立され
るかもしれない事を予想するのも当然であろう。MCL−
5細胞株の開発は多数のヒトP450cDNAをトランスフェク
トする可能性を確立し、同一ベクターまたは個々に選択
されたベクターで別のP450をMCL−5細胞内に取り込ま
せることができることを予期するのも当然である。もし
くは、異なった組のP450cDNAを発現する第2の細胞株も
開発できるであろう。
本発明の1つの目的は多数のP450cDNAを発現する細胞
株を作製することであり、特定の組織(即ち肝臓)の特
異的P450プロフィールを再構成することではない。従っ
てこれらの結果は前発癌物質暴露に対する定量的なヒト
組織感受性の指標として説明すべきではない。しかしな
がら、特定の組織中の特定のP450プロフィールについて
より多くのことがわかるにつれ、制御された分析のため
の安定な細胞株中にそのようなプロフィールを再構成す
ることが原理的に可能であろうことを本研究は確立し
た。
本発明の範囲内で好適な実施態様の種々の変形および
変更ができることを理解しなければならない。例えば、
本発明の組換え発現ベクターを導入するために他のヒト
細胞株または哺乳類細胞株を使用してもよい。同様に、
本発明の方法をここに記載されたもの以外のヒトチトク
ロームP450cDNAのクローニングに関連して使用してもよ
い。従って、前の説明において含まれるすべての事項は
例示のものであり制限の意味ではないと解釈されたい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12R 1:91) (C12N 9/02 C12R 1:91) (56)参考文献 J.Biol.Chem.,Vol. 261,No.35,P.16689−16697 (1986) DNA,Vol.7,No.2,P. 79−86(1988) Carcinogenesis,Vo l.10,No.5,P.885−891 (1989) Nucleic Acids Re s.,Vol.14,No.16,P.6773 −6774(1986) Molecular Cellula r Biol.,Vol.5,No. 2,P.410−413(1985) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12N 5/00 - 5/28 C12N 15/00 - 15/90 C12N 9/00 - 9/99

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも2つの異なったトランスフェク
    トされたチトクロームP450の細胞内の絶対的発現量を1
    ピコモル/106細胞よりも低いレベルに制御して発現して
    いる不死の哺乳類細胞株。
  2. 【請求項2】細胞株がチトクロームP450 I A2を発現す
    る請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  3. 【請求項3】細胞株がチトクロームP450 I A2およびII
    A3を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  4. 【請求項4】細胞株がチトクロームP450 I A2およびII
    E1を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  5. 【請求項5】細胞株がチトクロームP450 I A2およびIII
    A4を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  6. 【請求項6】細胞株がチトクロームP450 I A2,II E1お
    よびIII A4を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞
    株。
  7. 【請求項7】細胞株がチトクロームP450 II A3を発現す
    る請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  8. 【請求項8】細胞株がチトクロームP450 II A3およびII
    E1を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  9. 【請求項9】細胞株がチトクロームP450 II A3およびII
    I A4を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細胞株。
  10. 【請求項10】細胞株がチトクロームP450 II A3,II E1
    およびIII A4を発現する請求項1記載の不死の哺乳類細
    胞株。
  11. 【請求項11】細胞株がMCL−5である請求項1記載の
    不死の哺乳類細胞株。
  12. 【請求項12】少なくとも3つのトランスフェクトされ
    たチトクロームP450蛋白質を安定に発現している請求項
    1記載の不死の哺乳類細胞株。
  13. 【請求項13】少なくとも4つのトランスフェクトされ
    たチトクロームP450蛋白質を安定に発現している請求項
    1記載の不死の哺乳類細胞株。
  14. 【請求項14】少なくとも2つの異なったトランスフェ
    クトされたチトクロームP450の細胞内の絶対的発現量を
    1ピコモル/106細胞よりも低いレベルに制御して発現し
    ている細胞株を用いることからなる改良点を有すること
    を特徴とする、代謝、毒性または突然変異誘発アッセイ
    を実施する方法。
  15. 【請求項15】細胞株がヒト細胞株である請求項14記載
    の方法。
  16. 【請求項16】細胞株がMCL−5である請求項14記載の
    方法。
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AU8878191A (en) 1992-05-20
ATE265536T1 (de) 2004-05-15
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