JP3518594B2 - 金属箔の製造方法 - Google Patents

金属箔の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属箔の製造方法
に関し、特に、ロール圧延される金属箔の形状を精度よ
く制御することのできる金属箔の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】銅箔等の極薄の金属箔が、半導体チップ
を搭載する基板の配線材をはじめとして多くの電子部品
に使用されている。ところで、極薄の金属箔を圧延によ
って製造する際の重要な管理ポイントとして、幅方向の
平坦度が挙げられる。図2は、ロール圧延によって金属
箔を製造するときに発生する非平坦性の現象を示したも
ので、(a)は、幅方向の中央の圧延が過剰のために金
属箔1の中央Aに波打ち2を発生させるケース、(b)
は、両サイドの圧延が過剰のために耳部Bに波打ち2を
発生させるケースである。いずれのケースも金属箔の形
状としては好ましくない。
【0003】図3に、これらの現象に対処するために採
られている従来の方法を示す。3は、加工ロール4と、
これをバックアップする補強ロール5の組み合わせによ
って構成される4段式の圧延ロール、6は圧延された金
属箔1の厚さを検出する厚さ計、7は金属箔1の波打ち
度合を検出する形状検出器、8は厚さ計6および形状検
出器7の検出データを入力され、演算を行って、その結
果に基づく調整指令Cを補強ロール5に与える制御装
置、9は金属箔1の巻取体を示す。
【0004】制御装置8には、厚さ、幅、平坦度等の圧
延目標が予めインプットされており、厚さ計5および形
状検出器7が検出するデータと比較演算することによっ
て、フィードバック式に圧延条件を調整する。圧延条件
の調整は、たとえば、加工ロール4のギャップ変更、あ
るいはロール4および5のベンディング等によって行わ
れ、これにより金属箔1の形状の修正が行われる。
【0005】図4は、図3を発展させた方法であり、ロ
ール4、5の前後に厚さ計6a、6bおよび形状検出器
7a、7bを配置して金属箔1を往復走行させることに
よって圧延加工を行うもので、金属箔1が右に走行する
場合には、6aおよび7aに基づくフィードフォワード
制御と6bおよび7bに基づくフィードバック制御が行
われ、一方、左に走行する場合には、6bおよび7bに
基づくフィードフォワード制御と6aおよび7aに基づ
くフィードバック制御が行われる。
【0006】この方法は、左右いずれへの走行時にもフ
ィードフォワード制御とフィードバッ制御が行われるた
め、形状の制御精度が高くなる特質を有している。9a
および9bは、金属箔1が左右へ走行することによって
交互に形成される巻取体を示す。ここに示した図3およ
び図4の方法は、極薄の金属箔を製造対象としたときの
好適な圧延方法として知られており、広く活用されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の金属箔
の圧延方法によると、片側走行タイプの図3の場合に
は、設備構成が簡素である半面、フィードフォワード制
御がないために形状の制御精度に限界があり、一方、往
復走行タイプの図4の場合には、高精度の形状制御を行
える半面、設備構成が複雑化するために設備費が大きく
なり、メンテナンスも難しくなるという問題を有してい
る。
【0008】従って、本発明の目的は、設備構成の簡素
な片側走行タイプのロール圧延において、フィードフォ
ワード制御と同等の機能を付加することにより形状の制
御精度を向上させた金属箔の製造方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、圧延された金属箔の形状を検出し、検出
された形状データを圧延ロールの制御装置に入力し、前
記形状データに基づく調整指示を前記制御装置より前記
圧延ロールに与えることによって前記金属箔の形状の調
整を行いながらロール圧延を行う金属箔の製造方法にお
いて、前記ロール圧延のときに圧延された前記金属箔の
長さ方向の形状データを記憶装置に記録させ、次回のロ
ール圧延のときに前記長さ方向の形状データを前記記憶
装置より出力させて前記形状の調整に加味することを特
徴とする金属箔の製造方法を提供するものである。
【0010】ロール圧延は、対向配置した一対のロール
を使用して行ってもよいが、多くの場合、加工ロール
と、これをバックアップする補強ロールの組み合わせに
よる4段式のロールによって行われる。加工ロールと補
強ロールの間に中間ロールを組み込み、これによって6
段式のロール構成とすることは可能である。
【0011】記憶装置に記憶させた前回圧延時の形状デ
ータを次回圧延時の形状の調整に加味する手段として
は、圧延ロールの入り側に計尺器を設け、この計尺器よ
り出力される被圧延材(前回圧延された金属箔)の計測
長に基づいて、これに対応する位置の前回の長さ方向の
形状データを記憶装置より時系列的に出力させ、出力さ
せた形状データを順次加味して行く方法が好適である。
【0012】記憶装置に記憶させた形状データは、所定
の回数のロール圧延が完了するまで、そのすべてを保存
するようにしてもよいが、記憶装置よりの読み出しのミ
スを避ける意味から、出力後に順次消去して行くことが
好ましい。消去は、毎回の圧延完了ごとに行ってもよい
が、出力ごとに時系列的に消去するほうが実際的であ
る。
【0013】圧延された金属箔の長さ方向の厚さデータ
を記憶装置に記憶させ、これを次回の圧延時に出力して
形状の調整に加味することが好ましい。この厚さのデー
タも、圧延ロールの入り側に設けた計尺器による被圧延
材の計測長に基づいて出力させ、出力後に、記憶装置よ
り順次消去して行くことが好ましい。なお、金属箔の構
成材としては、銅、アルミニウム、鉄、ニッケル、ある
いはこれらの合金等が使用される。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明による金属箔の製造
方法の実施の形態を説明する。図1において、1は圧延
された金属箔、3は圧延ロールを示し、加工ロール4
と、これをバックアップする補強ロール5の組み合わせ
によって構成されている。 6は圧延された金属箔1の
厚さを測定する厚さ計、7は金属箔1の形状を検出する
形状検出器、8は圧延ロール3の制御装置、9は金属箔
1の巻取体、10は金属箔1の条長を計測する計尺器、
11は制御装置8に接続された記憶装置を示す。なお、
符号12によって示される計尺器は、機能を停止させら
れている。
【0015】以上のライン構成において、被圧延材13
が圧延ロール3に導入されて圧延が始まると、計尺器1
0、厚さ計6、および形状検出器7による計測および検
出データが、制御装置8に逐次出力される。制御装置8
には、制御目標となる金属箔の厚さ、幅、平坦度等が予
めインプットされており、制御装置8は、これらの目標
と入力データに基づいて演算を行い、演算結果により圧
延ロール3に圧延条件の調整指令Cを与える。圧延条件
の調整は、ロールギャップ制御、およびロールベンディ
ング制御によって行われ、これにより金属箔1の形状お
よび厚さの修正が行われる。
【0016】この実施の形態において特異なことは、計
尺器10、厚さ計6、および形状検出器7より出力され
る計測および検出データが、制御装置8を介して逐次記
憶装置11に送られ、記憶されることである。従って、
巻取体9を構成する金属箔1の形状のデータと厚さのデ
ータは、記憶装置11の中に金属箔1の長さ方向に沿う
記録となって保管されることになる。
【0017】以上のようにして圧延加工が行われた後、
次の圧延加工が同じ設備を使用して行われる。この次回
のロール圧延における被圧延材13は、前回のロール圧
延によって加工された金属箔1である。計尺器12は、
被圧延材13の条長を計測するために機能を復帰させら
れており、これによる計測データが制御装置8に出力さ
れる。
【0018】以上の構成において圧延が始まると、計尺
器10、厚さ計6、および形状検出器7より計測および
検出データが出力され、制御装置8は、これらのデータ
に基づいて前述したと同じ圧延ロールの調整指示のため
の演算を開始するが、それと同時に、前回のロール圧延
において記憶装置11に記憶された被圧延材13の形状
と厚さのデータが記憶装置11より出力され、このデー
タが制御装置8による演算の中に演算要素として加えら
れる。
【0019】そして、記憶装置11からのデータの出力
は、計尺器12による計測長に基づいて行われるため、
被圧延材13の長さ方向における形状と厚さのデータが
時系列的に加味されて行くことになり、従って、制御装
置8による演算とそれに基づく圧延ロール3への圧延条
件の調整指令Cは、フィードフォワード制御とフィード
バック制御を組み合わせたものと実質的に同等の条件下
で行われることになる。フィードフォワード制御と同等
の条件が織り込まれる結果、金属箔の形状の制御精度
は、図4と変わりのない高度なものとなる。
【0020】記憶装置11に記憶された前回のロール圧
延時の形状データと厚さデータは、出力されるごとに消
去され、一方、計尺器10、厚さ計6、および形状検出
器7によって新しく計測および検出された金属箔1の長
さ方向の形状データと厚さデータは、記憶装置11に記
憶され、次回の圧延時におけるフィードフォワード制御
のためのデータとして保存される。以後、これが必要回
数繰り返され、所定の厚さの金属箔が製造される。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明による金属
箔の製造方法によれば、圧延された金属箔の形状データ
をフィードバックする金属箔のロール圧延加工におい
て、圧延された金属箔の長さ方向の形状データを記憶装
置に記憶させ、記憶させた長さ方向の形状データを次回
のロール圧延時に出力して金属箔の形状調整に加味する
ため、フィードバックおよびフィードフォワード制御の
組み合わせと実質的に同じ条件下で圧延が行われること
になり、従って、高精度の形状制御を行うことができ
る。しかも、使用される設備は、片側走行タイプであ
り、往復走行タイプのように設備費の増大およびメンテ
ナンスの難しさを招くことがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による金属箔の製造方法の実施の形態を
示す説明図。
【図2】圧延された金属箔の非平坦性の現象を示す説明
図。
【図3】従来の金属箔の製造方法を示す説明図。
【図4】従来の他の金属箔の製造方法を示す説明図。
【符号の説明】
1 金属箔 2 波打ち 3 圧延ロール 4 加工ロール 5 補強ロール 6 厚さ計 7 形状検出器 8 制御装置 9 巻取体 10、12 計尺器 11 記憶装置 13 被圧延材 C 調整指令
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 37/00 - 37/78 B21B 1/00 - 1/46

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延された金属箔の長さ方向の形状を検出
    て記憶装置に記憶させると共に、検出された形状デー
    タを圧延ロールの制御装置に入力し、前記形状データに
    基づく調整指示を前記制御装置より前記圧延ロールに与
    えることによって前記金属箔の形状の調整を行いながら
    ロール圧延を行い、次回の圧延のとき、前記形状データ
    を前記記憶装置から出力させて前記形状の調整に加味す
    金属箔の製造方法において、 前記形状データを前記記憶装置に記憶させるステップ
    は、圧延された前記金属箔の厚さを測定して長さ方向の
    厚さのデータを前記記憶装置に記憶させるステップを含
    み、前記 次回のロール圧延のステップは、前記長さ方向の
    さのデータを前記記憶装置より出力させて前記形状の調
    整に加味することを特徴とする金属箔の製造方法。
  2. 【請求項2】前記長さ方向の厚さのデータを前記形状の
    調整に加味するステップは、前記圧延ロールの入り側に
    設けられた計尺器より出力される被圧延材の計測長に基
    づいて前記計測長に対応する位置の前記長さ方向の厚さ
    データを前記記憶装置より出力させることによって行
    われることを特徴とする請求項1記載の金属箔の製造方
    法。
  3. 【請求項3】前記長さ方向の厚さのデータを前記形状の
    調整に加味するステップは、前記長さ方向の厚さのデー
    タを前記記憶装置から出力させるステップと、前記長さ
    方向の厚さのデータを前記記憶装置より消去するステッ
    プを含むことを特徴とする請求項1記載の金属箔の製造
    方法。
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