JP3517916B2 - 熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法 - Google Patents

熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末冶金法により得ら
れた鉄系焼結体を熱処理することによって高強度化及び
高硬度化した熱処理鉄系焼結合金部品、特に寸法精度に
優れた熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金法により得られる鉄系焼結合金
は、溶解鋳造では製造し難い組成が得られ、又切削等を
せずにニアネットシェイプの機械部品を製造できる等の
利点があるため、最近では従来の鉄系鋳造合金に代わっ
て種々の分野で機械部品として使用されつつある。
【0003】又、更に高い強度と硬度を必要とする場合
には、鉄系焼結合金に焼入や焼戻等の熱処理を行うこと
ができ、熱処理することによって高強度化及び高硬度化
した熱処理鉄系焼結合金は、エンジンのオイルポンプや
ギヤのような自動車部品等として使用されている。
【0004】しかるに、近年の自動車や産業機械の軽量
化及び高性能化のニーズを受けて、これら熱処理鉄系焼
結合金部品の一層の高強度化と高寸法精度化の要求が高
まっている。ところが、熱処理鉄系焼結合金はマルテン
サイト変態していることから変形抵抗が大きく、変形能
も低いので、サイジングやコイニングによる寸法矯正が
極めて難しく、寸法精度の更なる向上が極めて困難であ
る。
【0005】特に、表面硬度がHRAで60以上又は引
張強度が80kg/mm2以上になると、サイジングや
コイニングに10t/cm2を越える高い圧力が必要と
なるため、金型への負荷が増大し、金型の寿命が短くな
ると共に、形状的にも矯正し得る対象に制約が生じる。
更に、このような状況から、金型のたわみ等の影響によ
り、寸法精度も通常の鉄系焼結合金ほどには改善されな
い。
【0006】そこで従来は、高強度や高硬度を必要とす
る熱処理鉄系焼結合金部品を製造する場合には、鉄系焼
結体にサイジングやコイニングを施した後、熱処理を行
い、その後更に高い寸法精度を必要とする箇所に切削等
の機械加工を加えて所望の寸法精度を達成している。か
かる方法により製造されている熱処理鉄系焼結合金部品
の一例として、自動車エンジン用のオイルポンプロータ
ーやギヤ等がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した従来
の方法では、鉄系焼結体をサイジング又はコイニングし
た際の残留応力が、後の熱処理中に解放されるため寸法
精度が大きく劣化し、気孔の存在を利用したサイジング
やコイニングが有効に働かない欠点があった。このた
め、例えばオイルポンプでは、寸法精度の低下により、
ポンプ効率が低下したり、騒音が大きくなる等の問題が
発生する。
【0008】又、高い寸法精度を得るために、サイジン
グやコイニングの外に切削等の機械加工を必要とするの
で、加工費の増加や、加工による材料ロスから原料費も
増加し、一般の鋼材の機械加工品あるいは冷間又は熱間
鍛造品を熱処理し、機械加工を加えた鉄系合金部品に対
して、コスト競争力を発揮できなかった。
【0009】本発明は、かかる従来の事情に鑑み、高強
度且つ高硬度であって、寸法精度に優れた熱処理鉄系焼
結合金部品を、切削加工等の機械加工を施すことなく、
経済的に低コストで製造する方法を提供することを目的
とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明が提供する熱処理鉄系焼結合金部品の製造方
法は、マルテンサイト変態開始点(Ms点)が50〜3
50℃の温度域にある鉄系焼結体を、オーステナイト化
温度(Ae1点)以上の温度でオーステナイト化した
後、マルテンサイト変態が出現する冷却速度で冷却して
焼入し、その冷却過程で焼入体の温度がMs点以上且つ
Ae1点以下の温度域に達したとき取り出し、金型を用
いてサイジング又はコイニングを行うと共にマルテンサ
イト変態を終了させることを特徴とする。
【0011】
【作用】本発明においては、高い寸法精度を得るため
に、最終工程である熱処理工程において、同時にサイジ
ング又はコイニングによる寸法矯正を行う。即ち、鉄系
焼結体を焼入した焼入体の温度がマルテンサイト変態点
(Ms点)に達するまでの冷却過程中は、結晶組織が炭
素固溶度の高いfcc構造のオーステナイト領域にある
ので、焼入体の変形抵抗が低く、変形能が高いため、サ
イジング又はコイニングにより組成変形を与えることで
気孔を潰し、密度を上げると同時に、寸法精度の高い熱
処理焼結合金部品を得ることができる。
【0012】即ち、Ae1点以下で且つMs点以上の温
度で焼入体のサイジング又はコイニングを行うと、焼入
体が金型の温度近くまで冷却され、且つまたサイジング
やコイニングの加圧力によりMs点が上昇して、マルテ
ンサイト変態が誘起される。この結果、マルテンサイト
変態により高強度化及び高硬度化が達成されると同時
に、サイジング又はコイニングにより寸法矯正され、し
かもマルテンサイト変態が終了した後に金型から取り出
されるため、金型寸法のままの熱処理焼結合金部品を得
ることができる。
【0013】サイジング又はコイニングを開始する際に
焼入体の温度がMs点を越えて低くなると、マルテンサ
イト変態が開始されるため変形抵抗が増大し、焼入体の
気孔を潰すことによる寸法の矯正が困難となる。又、サ
イジング又はコイニングの際に焼入体の温度がオーステ
ナイト化温度(Ae1点)以下にならないと、サイジン
グやコイニングの終了時までにマルテンサイト変態が完
了しないことが多いので、寸法矯正と同時に高強度化及
び高硬度化を図ることが難しい。
【0014】本発明方法により、Ms点以上且つAe1
点以下の温度域にある焼入体をサイジング又はコイニン
グを行い、マルテンサイト化により高強度化するために
は、鉄系焼結体のマルテンサイト変態が50〜350℃
の温度域で出現する必要がある。その理由は、鉄系焼結
体のMs点が50℃より低い場合には、サイジング又は
コイニング中にマルテンサイト変態が完了せず、金型か
らノックアウトした後にマルテンサイト変態することが
あるからである。又、Ms点が350℃を越える場合に
は、サイジング又はコイニングによる寸法矯正が終わら
ないうちに、金型への放熱によりマルテンサイト変態が
進行するため、十分な寸法矯正を行うことができない。
【0015】又、本発明方法では鉄系焼結体の焼入体の
サイジング又はコイニングをオーステナイト領域で行う
ので、サイジング又はコイニングに支障はない。しか
し、従来の熱処理によりマルテンサイト化した後にサイ
ジング又はコイニングを行う方法では、マルテンサイト
化後の引張強度が80kg/mm2以上、表面硬度がHR
Aで60以上となる鉄系焼結体はサイジング又はコイニ
ングが困難であることを考慮すれば、本発明方法は従来
困難であった上記引張強度及び表面硬度以上のものにつ
いて特に有効であると言える。
【0016】更に、粉末冶金法で製造した鉄系焼結体は
一般的に気孔を含むので、サイジング又はコイニングが
可能であるが、その気孔率が5%未満では寸法矯正のた
めに要する変形が部品内部にまで及び、残留歪が大きく
なるうえ変形抵抗が大きくなる。又、気孔率が20%を
越えると機械的特性が低下して、サイジングやコイニン
グ及び熱処理を行っても強度等の特性が満足すべきもの
とならない。従って、鉄系焼結体の気孔率は5〜20%
の範囲であることが好ましい。
【0017】鉄系焼結体の組成については特に制限はな
く、炭素鋼の組成であっても合金鋼の組成であっても良
いが、当然のこととして、熱処理によりマルテンサイト
変態を起こして強度及び硬度を高めるために炭素は必須
の元素である。しかし、炭素が0.2重量%未満ではか
かる効果が少なく、1.6重量%を越えると最終部品の
靭性が低下するので、炭素の含有量は0.2〜1.6重量
%の範囲が好ましい。
【0018】特に、鉄系焼結体が合金鋼の組成の場合、
0.2〜1.6重量%の炭素と、80重量%以上の鉄と、
合金元素として8重量%以下のMo、6重量%以下のN
i、それぞれ4重量%以下のMn、Cr、Cu、それぞ
れ2重量%以下のW、Co、それぞれ1重量%以下のS
i、V、Alから選ばれた少なくとも1種の合金元素と
からなり、前記合金元素について350×C%+40×
Mn%+35×V%+20×Cr%+17×Ni%+1
1×Si%+10×Cu%+10×Mo%+5×W%−
15×Co%−30×Al%(いずれも重量%)の値F
(e)が200〜500であることが好ましい。
【0019】Mn等の合金元素の含有量を上記のごとく
限定する理由は、これらの合金元素は機械的特性を改善
するために添加されるが、個々の合金元素の各含有量が
上記の範囲を越えるとサイジングやコイニングによる塑
性変形を阻害するからである。又、上記値F(e)が20
0未満では最終部品の熱安定性が低下し、十分な強度が
得られず、500を越えるとサイジングやコイニングに
おける変形抵抗が高くなるため、寸法矯正が困難にな
る。尚、鉄が80重量%未満では、均一なマルテンサイ
ト変態が難しくなり、高い寸法精度が得られなくなる。
【0020】次に、本発明方法を更に具体的に説明す
る。まず、粉末冶金法に従って、通常のごとく原料粉末
を混合し、その成形体を焼結することにより鉄系焼結体
を製造する。原料粉末の一部に、合金元素を拡散接合さ
せた部分拡散合金粉末を用いると、成形体中の組成のば
らつきが少なくなるうえ、焼結時の拡散も均一に進行す
るため、成分偏析の少ない均質な焼結体が得られる。こ
の焼結体ではMs点が安定するため、サイジング又はコ
イニングの条件が安定化し、最終部品の寸法精度が向上
する利点がある。
【0021】かくして得られた鉄系焼結体を、本発明方
法ではサイジングやコイニングを施すことなくオーステ
ナイト化処理する。即ち、本発明方法では、サイジング
やコイニングに先立って鉄系焼結体をオーステナイト化
する。従って、焼結体を一旦常温まで降温する必要はな
く、しかも一般に焼結温度はオーステナイト化温度(A
e1点)よりも高温度域であるから、焼結工程後に焼結
体をマルテンサイト変態開始点(Ms点)以下に冷却さ
せず、そのままAe1点以上の温度でオーステナイト化
することが可能であり、これによりエネルギーの効率化
を図ることができる。
【0022】鉄系焼結体のオーステナイト化処理は、焼
結体組成によって定まるAe1点以上に焼結体を加熱保
持することにより行われる。加熱方法は一般的なバッチ
式やベルト式の加熱炉等を用いることが可能である。し
かし、サイジング又はコイニング工程での焼入体の実体
温度の管理精度が重要であるため、加熱条件の正確な設
定が可能で且つエネルギー効率の高い誘電加熱が適して
いる。
【0023】オーステナイト化処理した焼結体は、マル
テンサイト変態が出現する冷却速度で、例えば10℃/
秒を越えるような冷却速度で焼入する。尚、冷却によっ
て焼入体の温度がMs点より低下してはならないし、ベ
イナイト変態が生じるような温度に保持することは避け
ねばならない。
【0024】冷却によって焼入体の温度がMs点以上で
且つAe1点以下の温度域となったとき、焼入体を取り
出して金型を用いたサイジング又はコイニングにより寸
法矯正を行う。その際、サイジング又はコイニングの圧
力は2〜10t/cmの範囲とすることが好ましい。
この圧力が2t/cm未満では十分な寸法矯正が行え
ず、10t/cmを越えると金型寿命が短くなるほ
か、金型のひずみにより得られる部品の寸法精度が劣化
するからである。
【0025】又、サイジング又はコイニングを行う際の
金型温度は(Ms点+100)℃以下とすることが好ま
しい。サイジング型又はコイニング型の温度が(Ms点
+100)℃を越えると、サイジング又はコイニング中
に焼入体の温度がMs点以下に下降しないためマルテン
サイト変態が開始されず、金型からノックアウトした段
階で初めてマルテンサイト変態する場合があるので、寸
法精度が低下するからである。尚、Ms点より100℃
まで高温であって良いのは、サイジング又はコイニング
時の塑性加工によりマルテンサイト変態開始点が上昇す
る場合があるからである。
【0026】
【実施例】実施例1 組成がFe−4重量%Ni−0.5重量%Mo−1.5重
量%Cuの部分拡散合金粉末に、0.8重量%のグラフ
ァイト粉末と、0.8重量%の潤滑剤を添加混合し、そ
の混合粉末を成形圧力6t/cm2で成形して、外径4
0mm×内径27mm×厚さ10mmのリング状成形体
とした。
【0027】この成形体を減圧窒素ガス雰囲気中におい
て1150℃で20分間焼結することにより、真密度比
89%で気孔率11%の鉄系焼結体を得た。この焼結体
のF(e)値=350×C%+40×Mn%+35×V%
+20×Cr%+17×Ni%+11×Si%+10×
Cu%+10×Mo%+5×W%−15×Co%−30
×Al%(いずれも重量%)は、組成より計算して36
8であった。又、この組成の焼結体のマルテンサイト変
態点(Ms点)とオーステナイト化温度(Ae1点)を
別途調べたところ、Ms点は約170℃及びAe1点は
約750℃であった。
【0028】次に、この焼結体を880℃でオーステナ
イト化処理した後、180℃に保持した油槽中に投入し
て焼入した。焼入体が油槽中で約18秒後に約260℃
まで冷却した段階で油槽から取り出し、金型温度170
℃に加熱したサイジング金型を用いて、サイジング圧力
7t/cm2にて内外径を50μmのサイジング代で寸
法矯正した。サイジングの終了時点において、得られた
サイジング体はマルテンサイト化が完了していた。
【0029】このサイジング体に−10℃×10分のサ
ブゼロ処理を施した後の表面硬度はHRAで72、引張
強度は150kg/mm2であった。又、同様にして得
られた50個のサイジング体の内外径の真円度は、内径
が最大4μm及び外径が最大6μmであった。
【0030】比較のため、同様に製造した同一組成の焼
結体を、同様にオーステナイト化処理した後、300℃
の塩浴中で6分間保持してベイナイト変態させた焼結
体、及びMs点以下の150℃まで冷却させた焼結体に
ついて、上記と同一条件でサイジングを行ったところ、
寸法矯正ができなかった。又、これらの焼結体を700
℃まで再加熱した後、250℃でサイジング又はコイニ
ングしても塑性変形は殆ど認められなかった。
【0031】実施例2 一部に部分拡散合金粉末を用いた組成がFe−3.5重
量%Ni−0.5重量%Mo−1重量%Mn−1重量%
Cr−0.5重量%Siの粉末に、0.6重量%のグラフ
ァイト粉末を添加混合し、その混合粉末を潤滑剤を塗布
した金型を用いて成形圧力8t/cm2で成形して、真
密度比が91%で寸法が10mm×10mm×55mm
の矩形成形体とした。
【0032】この成形体を、減圧窒素ガス雰囲気中にお
いて誘導加熱により1280℃まで昇温し、3分間保持
して焼結した後、得られた焼結体を室温まで冷却するこ
となくそのままオーステナイト化処理し、850℃まで
冷却した時点で150℃に保持した油槽中に投入して焼
入した。尚、組成より前記計算式で算出したF(e)値は
340であり、又別途求めた焼結後のMs点は約200
℃及びAe1点は約750℃であった。
【0033】更に、焼入体が油槽中で約15秒後に約2
30℃まで冷却した段階で油槽から取り出し、金型温度
100℃に加熱したコイニング金型を用いて、コイニン
グ圧力8t/cm2にて真密度比97%までコイニング
した。コイニングの終了時点において、得られたコイニ
ング体はマルテンサイト化が完了していた。
【0034】このコイニング体は、200℃×60分の
焼戻を行った結果、その表面硬度はHRAで69、引張
強度は210kg/mm2となった。又、コイニング金
型の各コーナー4点で定める真円に対応するコイニング
体の各コーナーで決まる軌跡の真円度は9μmであっ
た。
【0035】比較のため、組成がFe−2重量%Ni−
0.5重量%Moの合金粉末に0.4重量%のグラファイ
ト粉末を添加混合し、その真密度比90%の成形体を焼
結した。得られた焼結体において、組成より前記計算式
で算出したF(e)値が179であり、Ms点は約380
℃及びAe1点は約750℃であった。
【0036】この焼結体をオーステナイト化処理した
後、上記と同一条件で焼入まで実施して約5秒で約40
0℃まで冷却した段階で、金型温度180℃のコイニン
グ金型を用いコイニング圧力8t/cm2でコイニング
した。しかし、このコイニング体の真密度比は92%ま
でしか上昇せず、このコイニング体を同一条件で焼戻し
た場合の表面硬度はHRAで80程度で、引張強度は6
5kg/mm2しかなく、コイニング金型の各コーナー
4点で定める真円に対応するコイニング体の各コーナー
で決まる軌跡の真円度も42μmと極めて悪かった。
【0037】実施例3 組成がFe−4重量%Ni−0.5重量%Mo−1.5重
量%Cu−0.8重量%Cからなる熱処理焼結合金部品
として、外径55mmであってインボリュート歯形の内
接円の内径が38mmで設計される4葉5接のオイルポ
ンプのアウターローターを、下記の各方法により内接円
の真円度が10μmとなるように製造した。
【0038】即ち、上記組成の焼結体を冷間サイジング
したアウターローターA、焼結体を冷間サイジングした
後焼入し、更に切削加工したアウターローターB、及び
焼結体を実施例1と同様にオーステナイト化処理し、そ
の焼入体を実施例1と同一条件でサイジングしたアウタ
ーローターCを、それぞれ製造した。
【0039】これらのアウターローターに対して、歯形
の外接円の外径が異なるインナーローターを組み合わ
せ、チップクリアランスを一定にして各オイルポンプの
耐久テストを実施した。その結果、アウターローターA
は吐出圧力が61kg/cm2に達したところで変形を
生じ、ローターがロックして回転不能になった。アウタ
ーローターB及びCは吐出圧力90kg/cm2で10
00時間運転しても何ら支障はなかったが、1000時
間運転時の効率はアウターローターCの方が10%程度
高かった。
【0040】又、耐久テスト後の摺動面を評価したとこ
ろ、アウターローターCの摩耗量が5μmであったのに
対して、アウターローターBの摩耗量は14μmであ
り、キャビテーション損傷の度合も大きかった。尚、ア
ウターローターCのサイジング面は、露出している気孔
量が約4%程度と少なく高密度化していた。
【0041】
【発明の効果】本発明によれば、熱処理により高強度化
と高硬度化を図ると同時に、サイジング品やコイニング
品又は切削加工品の精度に近い高寸法精度を有する熱処
理鉄系焼結合金部品を提供することができる。しかも、
本発明によれば、従来に比較して、切削等の後加工の必
要がないので機械加工費を低減できるほか、原料の加工
ロスの低減により原材料の歩留りを向上でき、極めて経
済的である。
【0042】従って、本発明による熱処理鉄系焼結合金
部品は、通常の鋼材の機械加工品等に代わり得る寸法精
度、性能、経済性等を兼ね備え、例えばオイルポンプの
ローターを製造すれば、歯形の寸法精度改善により吐出
量が増加し、ポンプ効率が向上し且つポンプの騒音を低
下させることが可能となる。又、本発明の熱処理鉄系焼
結合金部品の表面は気孔の潰れた面となっているので、
耐摩耗性が改善されると共に、キャビテーションの発生
も低く抑えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/24 C21D 1/18 C22C 38/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マルテンサイト変態開始点(Ms点)が
    50〜350℃の温度域にある鉄系焼結体を、オーステ
    ナイト化温度(Ae1点)以上の温度でオーステナイト
    化した後、マルテンサイト変態が出現する冷却速度で
    却して焼入し、その冷却過程で焼入体の温度がMs点以
    上且つAe1点以下の温度域に達したとき取り出し、金
    型を用いてサイジング又はコイニングを行うと共にマル
    テンサイト変態を終了させることを特徴とする熱処理鉄
    系焼結合金部品の製造方法。
  2. 【請求項2】 鉄系焼結体が、マルテンサイト化後に引
    張強度が80kg/mm2以上、表面硬度がHRAで60
    以上となるものであることを特徴とする、請求項1に記
    載の熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法。
  3. 【請求項3】 鉄系焼結体の気孔率が5〜20%である
    ことを特徴とする、請求項1に記載の熱処理鉄系焼結合
    金部品の製造方法。
  4. 【請求項4】 鉄系焼結体の組成が0.2〜1.6重量%
    の炭素と、残部の鉄とからなることを特徴とする、請求
    項1に記載の熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 鉄系焼結体の組成が0.2〜1.6重量%
    の炭素と、80重量%以上の鉄と、合金元素として8重
    量%以下のMo、6重量%以下のNi、それぞれ4重量
    %以下のMn、Cr、Cu、それぞれ2重量%以下の
    W、Co、それぞれ1重量%以下のSi、V、Alから
    選ばれた少なくとも1種の合金元素とからなり、前記合
    金元素について350×C%+40×Mn%+35×V
    %+20×Cr%+17×Ni%+11×Si%+10
    ×Cu%+10×Mo%+5×W%−15×Co%−3
    0×Al%(いずれも重量%)の値が200〜500で
    あることを特徴とする、請求項1に記載の熱処理鉄系焼
    結合金部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 鉄系焼結体を焼結温度からMs点以下に
    冷却させず、そのままAe1点以上の温度でオーステナ
    イト化することを特徴とする、請求項1に記載の熱処理
    鉄系焼結合金部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 サイジング又はコイニングの圧力が2〜
    10t/cm2であることを特徴とする、請求項1に記
    載の熱処理鉄系焼結合金部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 サイジング金型又はコイニング金型を
    (Ms点+100)℃以下に加熱することを特徴とす
    る、請求項1に記載の熱処理鉄系焼結合金部品の製造方
    法。
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