JP3513065B2 - 潤滑グリス - Google Patents
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Description
タの回転軸と軸受との高い接触圧が作用する摺接部分に
塗布される潤滑グリスに関する。
装置等の駆動源として、ウォーム及びウォームホイール
を備えた減速機構付きモータが搭載されている。このよ
うな減速機構付きモータは、従来より小型で高出力なも
のが要求され、更なる高効率化が望まれている。そこ
で、1つの手法として、ウォームとウォームホイールと
の噛合部分等に塗布する潤滑グリスを改善し、相互間の
摩擦抵抗を低減して、前記モータを高効率化することが
考えられている。
の具体例は、特開平8−20787号公報や、特開平4
−63895号公報に開示されているが、この公報で
は、摺接部間から発生する摺接音を低減したり、相互の
摩耗を低減したりする一般的な技術が開示されている。
ド装置に用いるモータは、その出力軸に大きな荷重がか
かる場合があり、このような場合、ウォーム・ウォーム
ホイール相互の歯面には高い接触圧が作用する。このよ
うな高い接触圧が作用する部間に使用する場合、上記公
報の潤滑グリスが有効かどうかが記載されていない。そ
のため、場合によっては、摺動抵抗を小さくできずモー
タの効率を向上できないばかりか、故障の原因となる虞
がある。
との噛合部分に限らず、軸受と回転軸との摺接面間や、
高い接触圧が作用するモータ以外のその他の摺動部材間
において上記のような潤滑グリスを使用した場合、同様
の不具合が生じる虞がある。
されたものであって、その目的は、高い接触圧が作用す
る摺動部間に使用されても、優れた潤滑特性を安定して
発揮できる潤滑グリスを提供することにある。
め、請求項1に記載の発明は、0.5[kgf/m
m2]を超える接触圧が作用する減速機構付きモータの
鉄製の回転軸と金属製の軸受との摺接部分に使用される
潤滑グリスであって、ベースグリスに固体潤滑剤を添加
してなり、前記固体潤滑剤の粒径を5[μm]〜40
[μm]とし、その固体潤滑剤を10[重量%]以上添
加した。
の潤滑グリスにおいて、前記軸受はFe−Cu製であ
る。請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の
潤滑グリスにおいて、前記潤滑グリスを1.5[kgf
/mm 2 ]を超える接触圧が作用する前記摺接部分に使
用した。請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいず
れか1項に記載の潤滑グリスにおいて、前記固体潤滑剤
の粒径を10[μm]〜40[μm]とした。請求項5
に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の
潤滑グリスにおいて、前記固体潤滑剤を15[重量%]
以上添加した。
いずれか1項に記載の潤滑グリスにおいて、前記固体潤
滑剤は、少なくともポリエチレンビーズからなる。請求
項7に記載の発明は、請求項6に記載の潤滑グリスにお
いて、前記固体潤滑剤は、更にポリテトラフルオロエチ
レンパウダーを有する。
粒径が5[μm]〜40[μm]の固体潤滑剤を10
[重量%]以上、ベースグリスに添加して潤滑グリスが
構成される。このような潤滑グリスを0.5[kgf/
mm2]を超える接触圧が作用する減速機構付きモータ
の鉄製の回転軸と金属製の軸受との摺接部分に使用した
場合、該摺接部分の静摩擦係数を安定的に小さくでき、
優れた潤滑性能を発揮できる(図3〜図8参照)。
接触圧が増加しても静摩擦係数がほぼ一定となるので、
安定した潤滑特性を発揮できる(図3及び図6参照)。
請求項4に記載の発明によれば、固体潤滑剤の粒径を1
0[μm]〜40[μm]としたので、摺接部材間の静
摩擦係数をより安定的に小さくでき、優れた潤滑性能を
発揮できる(図3〜図8参照)。
剤を15[重量%]以上添加したので、摺接部材間の静
摩擦係数をより安定的に小さくでき、優れた潤滑性能を
発揮できる(図3〜図8参照)。
もポリエチレンビーズを固体潤滑剤として添加すること
により、相互間の静摩擦係数を安定的に小さくでき、優
れた潤滑性能を発揮できる(図3〜図8参照)。
テトラフルオロエチレンパウダーを固体潤滑剤として添
加することにより、相互間の静摩擦係数をより安定的に
小さくでき、優れた潤滑性能を発揮できる(図5参
照)。
の形態を図面に従って説明する。図1は、車両用パワー
ウインド装置に用いる減速機構付きモータ1を示す。減
速機構付きモータ1の駆動源たるモータ部2は、ヨーク
ハウジング3、回転軸4を有する回転子5、マグネット
6、ブラシ装置7等を備えている。ヨークハウジング3
は有底筒状に形成され、その底部には軸受凹部3aが形
成される。軸受凹部3aにはメタル軸受8が固定され、
該軸受8により回転軸4の基端部(図1における下端
部)が回転可能に支持される。回転軸4の基端部にはス
ラスト摺接部4aが備えられ、該回転軸4はそのスラス
ト摺接部4aが軸受凹部3aの底面に当接した状態で支
持される。つまり、この軸受凹部3aは、回転軸4のス
ラスト荷重を受ける軸受部である。
出した回転軸4を覆うように樹脂製の減速ハウジング9
が組み付けられる。減速ハウジング9内は、その内部に
配置される回転軸4の一部及びウォームホイール10等
を収容可能な所定形状に形成される。減速ハウジング9
内には2つのメタル軸受11,12が固定され、該軸受
11,12により前記回転軸4の中央部及び先端部(図
1における上端部)が回転可能に支持される。
4の先端端面にその開口部が対向する軸受凹部9aが形
成される。軸受凹部9aにはスラストプレート13が嵌
挿され、該プレート13と回転軸4の先端端面との間に
はスラスト受け材14が介在される。つまり、このスラ
ストプレート13及びスラスト受け材14は、回転軸4
のスラスト荷重を受ける軸受部を構成している。
ーム4bが形成される。そして、このウォーム4bと前
記ウォームホイール10とが噛合うことにより、該回転
軸4と直交する方向に設けられる出力軸(図示略)に回
転力を伝達し、ウインドガラスを開閉するようになって
いる。
との噛合部分には、潤滑グリスGが塗布される。前記潤
滑グリスGは、図2に示すように、ポリアルキレングリ
コールよりなる基油と、リチウム石けんよりなる増ちょ
う剤とを混合したベースグリスxに対し、固体潤滑剤と
しての球状のポリエチレンビーズ(PEビーズ)yが添
加されて構成されている。そして、この噛合部分、即ち
ウォーム4bとウォームホイール10の相互の歯面間に
は、高い接触圧が作用、特にウィンドガラスが上端位置
又は下端位置に配置されている状態で、更にモータ1が
開方向又は閉方向に回転しようとする場合には、3[k
gf/mm2]前後の高い接触圧が作用する。本実施形
態の潤滑グリスGは、このような高い接触圧が作用する
部間の摺動を円滑にするものである。
るウォーム4b・ウォームホイール10間に適した潤滑
グリスGの組成を以下のようにして検討した。尚、本実
施形態では、ウォーム4b(回転軸4)が鉄(S55
C)、ウォームホイール10がポリアセタール樹脂(P
OM樹脂)で構成されいるが、その噛合部分を擬似的に
作るために、鉄(S55C)製の金属プレートの上面に
後述する各種潤滑グリスG1〜G6を塗布し、該グリス
G1〜G6上にポリアセタール(POM)製の樹脂プレ
ートを配置して、該樹脂プレートを金属プレート側に所
定の圧力で押圧した。そして、このような構成の測定装
置を80℃雰囲気中に96時間放置し、その後、以下の
1〜3に示す種々の条件において、両プレート相互間の
静摩擦係数を測定した。
・POMプレート相互間の静摩擦係数の変化を測定。図
3に示すように、ベースグリス(ポリアルキレングリコ
ール+リチウム石けん)にPEビーズを15[重量%]
添加した潤滑グリスG1と、PEビーズを添加しない、
即ちPEビーズが0[重量%]の潤滑グリスG2とを使
用した場合における静摩擦係数の変化を測定した。尚、
この場合、PEビーズの粒径は20[μm]とした。
又、両グリスG1,G2には、前記PEビーズと同じ粒
径の固体潤滑剤としてのポリテトラフルオロエチレンパ
ウダー(PTFEパウダー)が2[重量%]添加されて
いる。そして、この測定では、S55C製金属プレート
とPOM製樹脂プレートとの相互の接触圧を、0.25
[kgf/mm2]〜4.5[kgf/mm2]まで増加
させた。
0.25[kgf/mm2]〜1.5[kgf/mm2]
までの区間において、潤滑グリスG1を使用した場合の
静摩擦係数は約0.07〜約0.11まで増加し、潤滑
グリスG2を使用した場合の静摩擦係数は約0.08〜
約0.17まで増加する。つまり、潤滑グリスG1にお
ける静摩擦係数の増加度合は、潤滑グリスG2における
それより小さい。
0.25[kgf/mm2]〜0.5[kgf/mm2]
までの区間では、両グリスG1,G2における静摩擦係
数の差は小さいが、相互の接触圧が0.5[kgf/m
m2]〜1.5[kgf/mm2]までの区間では、潤滑
グリスG2における静摩擦係数が潤滑グリスG1におけ
るそれと比べて急激に増加し、両グリスG1,G2にお
ける静摩擦係数の差が次第に大きくなる。
mm2]〜4.5[kgf/mm2]までの区間では、潤
滑グリスG1における静摩擦係数は約0.11でほぼ一
定、潤滑グリスG2における静摩擦係数は約0.17で
ほぼ一定になる。つまり、この区間では、両グリスG
1,G2における静摩擦係数はともに増加することなく
ほぼ一定になる。
[μm]のPEビーズを15[重量%]添加した潤滑グ
リスG1は、0.5[kgf/mm2]を超える接触圧
が作用するプレート間に使用すると、優れた潤滑特性を
示すことが判った。更に、潤滑グリスG1は、1.5
[kgf/mm2]を超える接触圧が作用するプレート
間に使用すると、該プレート間の静摩擦係数がほぼ一定
になるので、安定した潤滑特性を示すことが判った。つ
まり、潤滑グリスG1は、0.5[kgf/mm 2]を
超える接触圧が作用するプレート間に使用することが好
ましく、1.5[kgf/mm2]を超える接触圧が作
用するプレート間に使用することが最適であるといえ
る。
プレート・POMプレート相互間の静摩擦係数の変化を
測定。図4に示すように、ベースグリス(ポリアルキレ
ングリコール+リチウム石けん)に対し、粒径を5[μ
m]〜40[μm]まで増加させ、各々の粒径のPEビ
ーズを15[重量%]添加した潤滑グリスG3をそれぞ
れ使用した場合における静摩擦係数を測定した(図4中
の粒径が「0」の場合においては、PEビーズを添加し
ないときの潤滑グリスG3の静摩擦係数である)。尚、
この場合、S55C製金属プレートとPOM製樹脂プレ
ートとの相互の接触圧を1.8[kgf/mm2]一定
とした。
が0[μm]〜5[μm]までの区間では、潤滑グリス
G3を使用した場合の静摩擦係数の減少幅が小さく、P
Eビーズの粒径が5[μm]〜10[μm]までの区間
では、潤滑グリスG3における静摩擦係数が約0.18
〜約0.13まで急激に減少する。
〜約25[μm]までの区間では、潤滑グリスG3にお
ける静摩擦係数が約0.13〜約0.11まで緩やかに
減少し、PEビーズの粒径が約25[μm]〜40[μ
m]までの区間では、潤滑グリスG3における静摩擦係
数が約0.11〜約0.12まで緩やかに増加する。つ
まり、PEビーズの粒径が10[μm]〜40[μm]
までの区間では、潤滑グリスG3における静摩擦係数が
約0.13〜約0.11と小さく、しかも変化が小さい
安定した区間である。尚、PEビーズの粒径が40[μ
m]を超える場合は、図示しないがPEビーズの粒径の
増加に伴い静摩擦係数も増加すると推測される。又、こ
のようなPEビーズをウォーム4bとウォームホイール
10との噛合部分に使用するには、その大きさが不適当
である。
gf/mm2]の接触圧が作用するプレート間に使用す
る場合、粒径が5[μm]〜40[μm]までのPEビ
ーズを15[重量%]添加した潤滑グリスG3は優れた
潤滑特性を示すことが判った。又、粒径が10[μm]
〜40[μm]までのPEビーズを15[重量%]添加
した潤滑グリスG3は、プレート間の静摩擦係数がほぼ
一定になるので、更に安定した潤滑特性を示すことが判
った。
0.5[kgf/mm2]〜4.5[kgf/mm2]の
区間内においては、上記範囲内の粒径を有するPEビー
ズを添加した潤滑グリスG3は優れた潤滑特性を備える
ことが推測できる。
m2]を超える摺動部材間に使用する潤滑グリスG3に
おいて、該グリスG3に添加するPEビーズの粒径は5
[μm]〜40[μm]の範囲が好ましく、10[μ
m]〜40[μm]の範囲が最適であると推測できる。
Cプレート・POMプレート相互間の静摩擦係数の変化
を測定。図5に示すように、ベースグリス(ポリアルキ
レングリコール+リチウム石けん)に対し、粒径が20
[μm]のPEビーズの添加量を0[重量%]〜25
[重量%]まで増加させた各々の潤滑グリスG4〜G6
を使用した場合における静摩擦係数を測定した。尚、こ
の場合、S55C製金属プレートとPOM製樹脂プレー
トとの相互の接触圧を1.8[kgf/mm2]一定と
した。又、潤滑グリスG4には、上記したPTFEパウ
ダーが添加されていない。一方、潤滑グリスG5には、
PTFEパウダーが2[重量%]添加され、潤滑グリス
G6には、PTFEパウダーが4[重量%]添加されて
いる。
量が0[重量%]〜15[重量%]までの区間は、潤滑
グリスG4を使用した場合の静摩擦係数が約0.18〜
約0.12まで減少し、潤滑グリスG5を使用した場合
の静摩擦係数が約0.17〜約0.11まで減少し、潤
滑グリスG6を使用した場合の静摩擦係数が約0.16
〜約0.10まで減少する。この場合、PEビーズの添
加量が10[重量%]〜15[重量%]までの区間は、
前記グリスG4〜G6ともに、静摩擦係数の減少幅が小
さくなる区間である。
%]〜25[重量%]までの区間は、潤滑グリスG4に
おける静摩擦係数が約0.12でほぼ一定、潤滑グリス
G5における静摩擦係数が約0.11でほぼ一定、潤滑
グリスG6における静摩擦係数が約0.10でほぼ一定
になる。つまり、この区間では、各グリスG4〜G6に
おける静摩擦係数はともに増加することなくほぼ一定と
なる。
%]〜25[重量%]までの区間は、各潤滑グリスG4
〜G6における静摩擦係数がそれぞれ約0.14、0.
12、0.11と比較的小さく、しかも変化が小さい安
定した区間である。更に、PEビーズの添加量が15
[重量%]〜25[重量%]までの区間は、各潤滑グリ
スG4〜G6における静摩擦係数がそれぞれ約0.1
2、0.11、0.10と小さく、しかもほぼ一定とな
るより安定した区間である。
gf/mm2]の接触圧が作用するプレート間に使用す
る場合、粒径が20[μm]のPEビーズを10[重量
%]〜25[重量%]添加した潤滑グリスG4〜G6は
優れた潤滑特性を示すことが判った。又、PEビーズの
添加量を15[重量%]〜25[重量%]とした潤滑グ
リスG4〜G6は、上記したようにプレート間の静摩擦
係数がほぼ一定になる範囲であるので、更に安定した潤
滑特性を示すことが判った。
0.5[kgf/mm2]〜4.5[kgf/mm2]の
区間内においては、上記範囲内の添加量でPEビーズを
添加した潤滑グリスG4〜G6は優れた潤滑特性を備え
ることが推測できる。
m2]を超える摺動部材間に使用する潤滑グリスG4〜
G6において、該グリスG4〜G6に添加するPEビー
ズの添加量が10[重量%]〜25[重量%]の範囲が
好ましく、15[重量%]〜25[重量%]の範囲が最
適であると推測できる。
リスG4よりPTFEパウダーを2[重量%]添加した
潤滑グリスG5の方が静摩擦抵抗が小さく、PTFEパ
ウダーを2[重量%]添加した潤滑グリスG5よりPT
FEパウダーを4[重量%]添加した潤滑グリスG6の
方が静摩擦抵抗が小さくなることが判った。
図より、接触圧が0.5[kgf/mm2]を超える摺
動部材間に使用する潤滑グリスにおいて、該グリスに添
加するPEビーズの粒径が5[μm]〜40[μm]の
範囲で、その添加量が10[重量%]〜25[重量%]
の範囲が好ましいと推測できる。又、潤滑グリスに添加
するPEビーズの粒径が10[μm]〜40[μm]の
範囲内で、その添加量が15[重量%]〜25[重量
%]の範囲が最適であると推測できる。
粒径が5[μm]〜40[μm]のPEビーズを10
[重量%]〜25[重量%]添加して、本実施形態のモ
ータ1のウォーム4b・ウォームホイール10間(相互
の接触圧が2.8[kgf/mm2]前後の部材間)に
使用する潤滑グリスGを構成すれば、そのウォーム4b
・ウォームホイール10間の摩擦係数が小さくなり、相
互間の摺動抵抗が小さくなって、駆動力のロスが低減さ
れる。
m]〜40[μm]のPEビーズを15[重量%]〜2
5[重量%]添加して前記潤滑グリスGを構成すれば、
ウォーム4b・ウォームホイール10間の摩擦係数が極
めて小さくなるので、相互間の駆動力のロスがより低減
される。
以下の効果を有する。 (1)図3〜図5に示すように、0.5[kgf/mm
2]の接触圧が作用する摺接部材間において、粒径が5
[μm]〜40[μm]までのPEビーズを10[重量
%]以上、ベースグリスに添加した潤滑グリスを使用す
れば、摺接部材間の摩擦係数を小さくでき、この潤滑グ
リスは優れた潤滑特性を発揮できる。
でのPEビーズを15[重量%]以上、ベースグリスに
添加した潤滑グリスを使用すれば、摺接部材間の摩擦係
数をより小さくでき、この潤滑グリスはより優れた潤滑
特性を発揮できる。
材間に高い接触圧を作用させた状態で80℃雰囲気中に
96時間放置した後にその静摩擦係数を測定しても、そ
の静摩擦係数が小さな値を示す。従って、上記組成の潤
滑グリスは、優れた潤滑特性を安定的に発揮することが
できる。
を用いたので、潤滑グリスのコストの上昇を抑えること
ができる。 (3)図5に示すように、固体潤滑剤として更にPTF
Eパウダーを添加した潤滑グリスは、PTFEパウダー
を添加しない潤滑グリスより静摩擦抵抗を小さくできる
ので、潤滑グリスの潤滑特性をより優れたものとするこ
とができる。
ウォーム4b・ウォームホイール10間には上記構成の
潤滑グリスを使用しているので、駆動力のロスを低減で
き、高効率化を図ることができる。従って、モータ1を
小型で高出力とすることができる。又、その潤滑グリス
により、ウォーム4b及びウォームホイール10の耐摩
耗性(耐久性)を向上でき、噛合部分から発生する騒音
を低減することができる。更に、潤滑グリスを改善する
だけですむので、モータ1のコストの上昇を抑えること
ができる。
変更してもよい。 ○上記実施形態では、高い接触圧が作用するウォーム4
b・ウォームホイール10間の噛合部分に潤滑グリスG
を使用したが、その他の高い接触圧が作用する摺接部材
間、例えば、回転軸4と該回転軸4のラジアル荷重を受
ける軸受8,11,12との間に使用してもよい。又、
回転軸4と該回転軸4のスラスト荷重を受けるスラスト
摺接部4a、スラスト受け材14、スラストプレート1
3との間に使用してもよい。又、モータ1以外の装置に
おける摺接部材間に使用してもよい。尚、この場合の摺
接部材の材質は、上記実施形態で示した材質に限定され
るものではない。
回転軸4(S55C)と軸受8,11,12(本実施形
態では、Fe−Cuよりなる)との間に適した潤滑グリ
スの組成を検討した。この形態では、摺動部分を擬似的
に作るために、S55C製金属プレートの上面に後述す
る各種潤滑グリスG7〜G10を塗布し、該グリスG7
〜G10上にFe−Cu製金属プレートを配置して、該
プレートを前記S55C製金属プレート側に所定の圧力
で押圧した。そして、このような構成の測定装置を80
℃雰囲気中に96時間放置し、その後、以下の1〜3に
示す種々の条件において、両プレート相互間の静摩擦係
数を測定した。
・Fe−Cuプレート相互間の静摩擦係数の変化を測
定。図6に示すように、ベースグリス(鉱油+リチウム
石けん)にPEビーズを15[重量%]添加した潤滑グ
リスG7と、PEビーズが0[重量%]の潤滑グリスG
8とを使用した場合における静摩擦係数の変化を測定し
た。尚、この場合、PEビーズの粒径は20[μm]と
した。又、両グリスG7,G8には、PTFEパウダー
が添加されていない。そして、この測定では、S55C
製金属プレートとFe−Cu製金属との相互の接触圧
を、0.25[kgf/mm2]〜4.5[kgf/m
m2]まで増加させた。
G8における静摩擦係数は、前記図3の特性図とほぼ同
様に変化する。従って、この特性図によれば、粒径が2
0[μm]のPEビーズを15[重量%]添加した潤滑
グリスG7は、0.5[kgf/mm2]を超える接触
圧が作用するプレート間に使用すると、優れた潤滑特性
を示すことが判った。更に、潤滑グリスG7は、1.5
[kgf/mm2]を超える接触圧が作用するプレート
間に使用すると、該プレート間の静摩擦係数がほぼ一定
になるので、安定した潤滑特性を示すことが判った。つ
まり、潤滑グリスG7は、0.5[kgf/mm2]を
超える接触圧が作用するプレート間に使用することが好
ましく、1.5[kgf/mm2]を超える接触圧が作
用するプレート間に使用することが最適であるといえ
る。
プレート・Fe−Cuプレート相互間の静摩擦係数の変
化を測定。図7に示すように、ベースグリス(鉱油+リ
チウム石けん)に対し、粒径を5[μm]〜40[μ
m]まで増加させ、各々の粒径のPEビーズを15[重
量%]添加した潤滑グリスG9をそれぞれ使用した場合
における静摩擦係数を測定した(図7中の粒径が「0」
の場合においては、PEビーズを添加しないときの潤滑
グリスG9の静摩擦係数である)。尚、この場合、S5
5C製金属プレートとFe−Cu製金属プレートとの相
互の接触圧を1.8[kgf/mm2]一定とした。
おける静摩擦係数は、前記図4の特性図とほぼ同様に変
化する。従って、この特性図によれば、1.8[kgf
/mm2]の接触圧が作用するプレート間に使用する場
合、粒径が5[μm]〜40[μm]までのPEビーズ
を15[重量%]添加した潤滑グリスG9は優れた潤滑
特性を示すことが判った。又、粒径が10[μm]〜4
0[μm]までのPEビーズを15[重量%]添加した
潤滑グリスG9は、プレート間の静摩擦係数がほぼ一定
になるので、更に安定した潤滑特性を示すことが判っ
た。
0.5[kgf/mm2]〜4.5[kgf/mm2]の
区間内においては、上記範囲内の粒径を有するPEビー
ズを添加した潤滑グリスG9は優れた潤滑特性を備える
ことが推測できる。
m2]を超える摺動部材間に使用する潤滑グリスG9に
おいて、該グリスG9に添加するPEビーズの粒径は5
[μm]〜40[μm]の範囲が好ましく、10[μ
m]〜40[μm]の範囲が最適であると推測できる。
Cプレート・Fe−Cuプレート相互間の静摩擦係数の
変化を測定。図8に示すように、ベースグリス(鉱油+
リチウム石けん)に対し、粒径が20[μm]のPEビ
ーズの添加量を0[重量%]〜25[重量%]まで増加
させた各々の潤滑グリスG10を使用した場合における
静摩擦係数を測定した。尚、この場合、S55C製金属
プレートとFe−Cu製金属プレートとの相互の接触圧
を1.8[kgf/mm2]一定とした。
における静摩擦係数は、前記図5の特性図とほぼ同様に
変化する。従って、この特性図によれば、1.8[kg
f/mm2]の接触圧が作用するプレート間に使用する
場合、粒径が20[μm]のPEビーズを10[重量
%]〜25[重量%]添加した潤滑グリスG10は優れ
た潤滑特性を示すことが判った。又、PEビーズの添加
量を15[重量%]〜25[重量%]とした潤滑グリス
G10は、上記したようにプレート間の静摩擦係数がほ
ぼ一定になる範囲であるので、更に安定した潤滑特性を
示すことが判った。
0.5[kgf/mm2]〜4.5[kgf/mm2]の
区間内においては、上記範囲内の添加量でPEビーズを
添加した潤滑グリスG10は優れた潤滑特性を備えるこ
とが推測できる。
m2]を超える摺動部材間に使用する潤滑グリスG10
において、該グリスG10に添加するPEビーズの添加
量が10[重量%]〜25[重量%]の範囲が好まし
く、15[重量%]〜25[重量%]の範囲が最適であ
ると推測できる。
を25[重量%]まで変化させたが、図5及び図8の特
性図より、PEビーズの添加量を25[重量%]以上増
加させても静摩擦係数が大きく増加しないと推測できる
ので、PEビーズの添加量を25[重量%]以上、適宜
増加させてもよい。
FEパウダーの添加量を2[重量%],4[重量%]と
したが、これに限定されるものではなく、添加量を適宜
変更してもよい。
Eビーズ、PTFEパウダーを使用したが、その他の材
料、例えばモリブデンやグラファイト等よりなる固体潤
滑剤を使用してもよい。
て、基油にポリアルキレングリコールを使用したが、そ
の他のポリグリコール系の油や、ポリグリコール系以外
の油、例えばジエステル系の油や鉱油等を基油として使
用してもよい。又、複数種の油を適宜混合した基油を使
用してもよい。このようにしても上記実施形態と同様の
効果を得ることができる。又、図6〜図8において、基
油に鉱油を使用したが、同様に適宜変更してもよい。
ム石けんを使用したが、その他の石けん系の材料よりな
る増ちょう剤や、非石けん系の材料、例えばウレア系の
材料等よりなる増ちょう剤を使用してもよい。
1を車両用パワーウインド装置の駆動源として用いた
が、その他の車両に搭載する装置、例えばワイパ装置の
駆動源として用いてもよい。又、車両に搭載される装置
以外の駆動源として用いてもよい。
外の技術的思想について、以下にその効果とともに記載
する。
なり、他方が樹脂よりなることを特徴とする潤滑グリ
ス。このような金属製の摺動部材と、樹脂製の摺動部材
との間に使用しても、優れた潤滑特性を発揮できる(図
3〜図5参照)。
なることを特徴とする潤滑グリス。このような金属製の
摺動部材間に使用しても、優れた潤滑特性を発揮できる
(図6〜図8参照)。
高い接触圧が作用する摺動部間に使用されても、優れた
潤滑特性を安定して発揮できる潤滑グリス及び減速機構
付きモータを提供することができる。
面図である。
静摩擦係数の変化を示す特性図である。
摩擦係数の変化を示す特性図である。
静摩擦係数の変化を示す特性図である。
摺動部材間の静摩擦係数の変化を示す特性図である。
動部材間の静摩擦係数の変化を示す特性図である。
摺動部材間の静摩擦係数の変化を示す特性図である。
部材及び軸受部としての回転軸、4b…摺動部材及びギ
ヤ噛合部としてのとしてのウォーム、10…摺動部材及
びギヤ噛合部としてのとしてのウォームホイール、8,
11,12…摺動部材及び軸受部としてのメタル軸受、
13…摺動部材及び軸受部としてのスラストプレート、
14…摺動部材及び軸受部としてのスラスト受け材、
G,G1〜G10…潤滑グリス、x…ベースグリス、y
…固体潤滑剤としてのポリエチレンビーズ(PEビー
ズ)。
Claims (7)
- 【請求項1】 0.5[kgf/mm2]を超える接触
圧が作用する減速機構付きモータの鉄製の回転軸と金属
製の軸受との摺接部分に使用される潤滑グリスであっ
て、ベースグリスに固体潤滑剤を添加してなり、 前記固体潤
滑剤の粒径を5[μm]〜40[μm]とし、その固体
潤滑剤を10[重量%]以上添加したことを特徴とする
潤滑グリス。 - 【請求項2】 請求項1に記載の潤滑グリスにおいて、前記軸受はFe−Cu製である ことを特徴とする潤滑グ
リス。 - 【請求項3】 請求項1又は2に記載の潤滑グリスにお
いて、前記潤滑グリスを1.5[kgf/mm 2 ]を超える接
触圧が作用する前記摺接部分に使用した ことを特徴とす
る潤滑グリス。 - 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤
滑グリスにおいて、前記固体潤滑剤の粒径を10[μm]〜40[μm]と
した ことを特徴とする潤滑グリス。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の潤
滑グリスにおいて、前記固体潤滑剤を15[重量%]以上添加した ことを特
徴とする潤滑グリス。 - 【請求項6】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の潤
滑グリスにおいて、 前記固体潤滑剤は、少なくともポリエチレンビーズから
なる ことを特徴とする潤滑グリス。 - 【請求項7】 請求項6に記載の潤滑グリスにおいて、 前記固体潤滑剤は、更にポリテトラフルオロエチレンパ
ウダーを有することを特徴とする潤滑グリス。
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