JP3510535B2 - 加温プレスロール - Google Patents

加温プレスロール

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JP3510535B2
JP3510535B2 JP23008299A JP23008299A JP3510535B2 JP 3510535 B2 JP3510535 B2 JP 3510535B2 JP 23008299 A JP23008299 A JP 23008299A JP 23008299 A JP23008299 A JP 23008299A JP 3510535 B2 JP3510535 B2 JP 3510535B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抄紙機のプレスパ
ートで湿紙を加温及び加圧する、加温プレスロールに関
する。
【0002】
【従来の技術】図6は、従来の抄紙機のプレスパートの
構成の一例を示し、プレスパートは、図6中に破線で示
す湿紙9を加圧して脱水するためのものである。プレス
パートは、図6に示すように、サクションプレスロール
1〜4,センターロール5,プレスロール6,複数(こ
こでは4つ)のフェルト製のベルト(以下、フェルトと
いう)27,フェルト27が掛け渡されてフェルト27
を駆動する複数(ここでは9つ)のフェルトロール8,
加圧脱水後の湿紙9の搬送経路を形成するための走行ロ
ール6aをそなえて構成されている。
【0003】サクションプレスロール1〜4のシェル
(胴部)表面には、例えば25mm程度の厚さのゴム等
の弾性素材が被覆されており、この被覆部分には、シェ
ル内部と連通状態に図示しない無数の孔(例えば、直径
3〜8mm程度)が貫設されている。そして、サクショ
ンプレスロール1〜4のシェル内部には、外部の装置
(図示略)から負圧が供給されている。これにより、サ
クションプレスロール1〜4は、シェル表面の穴を介し
て、シェル上を搬送される湿紙9から水分をシェル内部
に搾水できるようになっている。
【0004】センターロール5及びプレスロール6は、
湿紙9に直接接触するので、湿紙9の紙表面特性を保持
するために、以前は、接触した湿紙9と粘着しない紙離
れ性の良い花崗岩製のストーンロールが使用されていた
が、資源枯渇のため、最近では、金属のロールにアルミ
ナ等のセラミックスを溶射したものが使用されている。
【0005】さて、湿紙9は、図示しないフォーマから
プレスパートに搬送されてくる。湿紙9は強度が低いた
め、図6に示すように、プレスパート中を、2枚のフェ
ルト27,27に挟まれるか、或いは、1枚のフェルト
27上に付着しながら搬送される。湿紙9は、まず、サ
クションプレスロール1,2間に送られて、サクション
プレスロール1,2により位置P1で加圧/脱水され、
その後、サクションプレスロール2とセンターロール5
との間(位置P2)、サクションプレスロール3とセン
ターロール5との間(位置P3)、サクションプレスロ
ール4とプレスロール6との間(位置P4)で、順次、
加圧/脱水される。そして、この後、湿紙9は、プレス
ロール6と走行ロール6aとの間を通って、図示しない
ドライヤパートに送られて乾燥される。
【0006】プレスパートでは、湿紙9の水分分布が幅
方向で均一になるように加圧/脱水を行なうことが重要
である。したがって、各ロール1〜6は、自重による撓
みを予め考慮して、湿紙9の搬送経路の下側に配設され
るロールは、そのロール径を幅方向(ロールの軸心線方
向)に変化させてロール径が中央で最大となるクラウン
形状に形成されるのが一般的である。逆に、湿紙9の搬
送経路の上側に配設されるロールは、ロール軸方向の中
央のロール径が中央で最小となるような形状に形成され
るのが一般的である。これにより、自重によって下方に
撓んだときにロール面が水平になるようにして、湿紙9
を均一に加圧できるようにしている。
【0007】なお、これらのロールは、通常、湿紙9の
搬送経路を挟んで対をなして配置され、しかも互いに圧
接されるので、湿紙9を挟んで対向する上下のロール
が、この圧接時に互いに均等の圧力で接するようなもの
であれば、各ロール形状は、上記のものに限定されな
い。また、各ロール1〜6の加圧力を幅方向で均一にす
るためには、加圧時の各ロール1〜6の変形を極力抑制
することが重要である。
【0008】図7(a),(b)は、図6に示すロール
5,6の構成の一例として、特にセンターロール(以
下、単にロールともいう)5について示す模式図であ
る。このロール5は、ロール5の円周面を形成する鋼製
のロールシェル11と、ロール5の円形側面を形成しボ
ルト20によりロールシェル11に接続される鋼製のロ
ールヘッド13,13と、ロールシェル11と同一軸心
線上に各ロールヘッド13に接続されるロール軸13a
とをそなえて構成され、各ロール軸13aは、図示しな
い支持部に支持されるロール軸受14にそれぞれ回動自
在に支持されている。また、ロールシェル11の外周面
には、例えば約1000μmのセラミック溶射層12が
形成されている。
【0009】このような鋼製のロール5において、以前
使用されていた花崗岩製のストーンロールと同様に、ロ
ール5の外径(ロール径)DR を1370mm、ロール
面長LR を6000mmとすると、所定の線荷重(ここ
では10N/mm)が作用した時の変形量をストーンロ
ールと同程度にするためには、ロールシェル11の肉厚
(ロールシェル厚)tR を110mmとする必要があ
り、現在、このような寸法のロールが使用されている。
【0010】ところで、加圧による脱水効率は、湿紙9
に含まれる水分の粘度に依存し、粘度が低くなると脱水
効率が向上することが分かっている。したがって、図6
に示すようなプレスパートにおいて、例えばセンターロ
ール5の内部に蒸気等の加熱媒体を導入することによ
り、湿紙9とセンターロール5とが接触する位置P2,
P3間で湿紙9を加熱し、これにより、湿紙9に含まれ
る水分の粘度を低くして、以降で行なわれる加圧/脱水
を効果的に行なうことができる。
【0011】図8(a),(b)に示すセンターロール
(以下、単にロールともいう)5aは、図7(a),
(b)に示すロール5を、内部に蒸気を導入して湿紙9
を加熱する加温プレスロールとして改造したものであ
る。つまり、ロール(加温プレスロール)5aは、図8
(a),(b)に示すように、ロール5と同様に、鋼製
のロールシェル11と、ロールシェル11の外周に設け
られたセラミック溶射層12と、ボルト20によりロー
ルシェル11に接続される鋼製のロールヘッド13,1
3と、各ロール軸受14にそれぞれ回動自在に支持され
るロール軸13a,13aとをそなえて構成され、さら
に、ロールシェル11内部に、蒸気導入用のパイプ1
5,固定式サイホン(以下、単にサイホンともいう)1
6が介装されている。
【0012】蒸気導入用のパイプ15は、一方〔図8
(a)中で右側〕のロール軸13aからロールシェル1
1内部に挿入され、このパイプ15を介して、図示しな
い外部の蒸気供給源からロールシェル11を加熱するた
めの蒸気が供給される。また、サイホン16は、パイプ
15から導入された蒸気が凝縮してドレインとなったも
のを排出するためのもので、他方〔図8(a)中で左
側〕のロール軸13aからロールシェル11内部に挿入
され、ロールシェル11内部で、その先端がロールシェ
ル11内周面に対して垂直に面するように曲げられてい
る。
【0013】また、ロールシェル11の内周面には、サ
イホン16と対向する位置に溝31が全周にわたって形
成されており、この溝31にドレインが集まって、これ
により、サイホン16によって効率的にドレインを排出
させることができる。また、サイホン16は、図示しな
い位置調整機構を有し、この位置調整機構により、その
先端を溝31に対して離接方向に微調整することにより
〔即ち、サイホン16の先端と、ロールシェル11の内
周面(溝31)との隙間を微調整することにより〕、ド
レインの排出量を調整してロールシェル11内部のドレ
インの厚さを調整することができる。
【0014】なお、パイプ15及びサイホン16は、ロ
ール軸13aへの挿入部に設けられたメカニカルシール
17によりそれぞれ支持されている。ロール軸13aが
回動するに対して、パイプ15とサイホン16とは位置
固定であるため、メカニカルシール17により、パイプ
15及びサイホン16が、回動するロール軸13aに対
して相対移動可能に支持され、且つ、パイプ15から導
入されたロールシェル11内部の蒸気が漏れないよう
に、パイプ15とロール軸13aとの接続部及びサイホ
ン16とロール軸13aとの接続部がシールされてい
る。
【0015】なお、ロール5aのロール径DR ,ロール
面長LR ,ロールシェル厚tR は、何れもロール5と同
じである(DR =1370mm,LR =6000mm,
R=110mm)。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような加温プレスロール(センターロール)5a〔図8
(a),(b)参照〕は、抄速の高い現在の抄紙機には
適用できないという課題がある。つまり、加温プレスロ
ール5aを、図6に示すプレスパートにおいてセンター
ロール5に代えて使用し、加温プレスロール5aにゲー
ジ圧で0.5MPaの蒸気を導入して、坪量64g/m
2 の湿紙9を脱水したところ、位置P2,P3間で湿紙
9を所定温度だけ(ここでは20℃程度)上昇させるた
めには、抄紙機の抄速を200m/minまでに下げな
ければならず、このため、抄速の速い(例えば1000
m/min程度の)現在の抄紙機には適用できないので
ある。
【0017】このように、抄速を200m/minまで
下げなければ湿紙9を効果的に温度上昇させることがで
きない原因を種々検討したところ、ロールシェル厚tR
(=110mm)による熱抵抗が原因であることが判明
した。そして、抄速が1000m/min程度の現在の
抄紙機において湿紙9を20℃昇温させるためには、ロ
ールシェル厚tRを、110mmから約40mm以下ま
で薄くしなければならないこと判った。
【0018】しかし、運転時、ロールシェル11には圧
力が掛かって変形が生じ、熱抵抗を小さくするためにロ
ールシェル厚tR を薄くすると、結果的に、ロールシェ
ル11の強度を低下させて、このようなロールシェル1
1の変形を増大させることになり、湿紙9を均一に加圧
することができなくなってしまう。このように、ロール
シェル11の変形特性と加熱特性とは、トレイドオフの
関係にあり、両者を両立させることは非常に困難であ
る。
【0019】ところで、Black Clawsonn Kennedy Ltd.
は、ロール径を大きくする(例えば1.5〜3m)こと
により、運転時に生じる梁としての曲げ変形(軸心線の
変形,以下、梁変形という)を抑制できるようにしたプ
レスロールを提案している〔Kenneth Walker ; Advance
s in hot pressing technology ,Tappi Journal(Aug,
1990) p99〜101 に記載〕が、このようなプレスロール
で、例えばロール径を3m,ロールシェル板厚を40m
mとすると、10N/mmの線圧(線荷重)がこの加温
プレスロールに掛かった場合、梁変形は大幅に小さくな
るものの、シェル変形(ロールシェルの断面形状の変形
で、本来円形であるものが例えばおむすび型になるよう
な変形)が大幅に増加し、変形量の合計では、図7
(a),(b)に示すロール5の8倍程度の変形量とな
る。したがって、このようなプレスロールを、抄速が速
く高い線圧が必要とされる条件下で使用することは困難
であり、上記の課題を解決しうるものではない。現に、
このようなプレスロールが、抄速が500m/min以
上のマシンで使用された納入実績は見られない。
【0020】また、Valmet社は、図9に示すような加温
プレスロールを販売している。この加温プレスロール
は、図9に示すように、外周面にセラミックス等による
コーティングが施工されたロールシェル111と、図示
しない軸受により回動自在に支持されたロール軸113
とをそなえて構成されており、ロール軸113の内部に
は、高温水の複雑な循環通路113aが設けられてい
る。また、ロールシェル111には、全周にわたって、
複数の円筒形の通路(孔)125が軸方向に沿って貫設
されており、これらの通路125に高温水を送ることに
よりロールシェル111を効率的に加熱することができ
る。高温水は、ポンプ130により強制循環され、熱交
換器128で配管129内を流れる蒸気により配管12
9を介して間接的に加熱された後、ロータリージョイン
ト127及び循環通路113aを通って、ロールシェル
111の各円筒形通路125に送られ、再び、循環通路
113aを通ってポンプ130に戻ってくる。
【0021】このような加温プレスロールは、ロールシ
ェル111により、湿紙をある程度昇温させることは可
能であるが、構造が複雑であり、熱交換器128やポン
プ130等が必要となるため、高価なものになってしま
う。また、加熱に水の顕熱を利用しているため、ロール
シェル111の幅方向に温度むらができやすいという課
題もあり、又、ロールシェル111の加熱源である高温
水が間接加熱されるため、システム全体としての熱効率
が低いという課題もある。
【0022】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、ロールシェルの変形を抑制して湿紙を均一に
脱水するとともに、簡素な構成で湿紙を効果的に昇温で
きるようにした、加温プレスロールを提供することを目
的とする。
【0023】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の加温プレスロールは、抄紙機のプレスパート
で湿紙を加温及び加圧する加温プレスロールであって、
内部に蒸気が供給されて該蒸気により加熱され対向する
ロールと協働して該湿紙を挟みつけて該湿紙を脱水する
ロールシェルと、該ロールシェル内部に取り付けられ該
内周面に対して略垂直に起立した板状のスティフナとを
そなえたことを特徴としている。請求項2記載の本発明
の加温プレスロールは、請求項1記載の加温プレスロー
ルにおいて、該スティフナがリング状であることを特徴
としている。請求項3記載の本発明の加温プレスロール
は、請求項1又は2記載の加温プレスロールにおいて、
該スティフナが、該ロールシェルの軸心線方向に向かっ
て該ロールシェルの略全軸長にわたって複数並べられた
ことを特徴としている。
【0024】請求項4記載の本発明の加温プレスロール
は、請求項1〜3のいずれかの項に記載の加温プレスロ
ールにおいて、該ロールシェルが鋼材製であり、該ステ
ィフナが該ロールシェルに溶接されたことを特徴として
いる。請求項5記載の本発明の加温プレスロールは、請
求項3記載の加温プレスロールにおいて、上記の複数の
スティフナの相互間を、連結部材により連結したことを
特徴としている。請求項6記載の本発明の加温プレスロ
ールは、請求項5記載の加温プレスロールにおいて、該
ロールシェルが鋳鉄製であることを特徴としている。
求項記載の本発明の加温プレスロールは、請求項1〜
6のいずれかの項に記載の加温プレスロールにおいて、
該ロールシェル内部に蒸気を導入するための蒸気導入
管と、該蒸気導入管から該ロールシェル内部に導入され
た蒸気が凝縮したドレインを排出するためのドレイン排
出管とをそなえたことを特徴としている。請求項記載
の本発明の加温プレスロールは、請求項記載の加温プ
レスロールにおいて、該ドレイン排出管の先端と対向す
る位置に、該ドレインを集めるための溝部が該ロールシ
ェル内周面の全周にわたって形成され、該ドレイン排出
管の先端が該溝部に導入されていることを特徴としてい
る。
【0025】請求項記載の本発明の加温プレスロール
は、請求項記載の加温プレスロールにおいて、該ステ
ィフナに、該ドレインを流通させるためのドレイン排出
孔が設けられたことを特徴としている。請求項10記載
の本発明の加温プレスロールは、請求項1〜のいずれ
かに記載の加温プレスロールにおいて、該ロールシェル
内周面に、該ロールシェルの伝熱性能を促進するための
スポイラバーが該ロールシェルの軸心線方向に向かうよ
うにして設けられたことを特徴としている。
【0026】請求項11記載の本発明の加温プレスロー
ルは、請求項1〜のいずれかの項に記載の加温プレス
ロールにおいて、該ロールシェル内周面に、該ロールシ
ェルの軸心線方向に向かう軸方向溝部が設けられたこと
を特徴としている。
【0027】
【0028】請求項12記載の本発明の加温プレスロー
ルは、請求項1〜のいずれかの項に記載の加温プレス
ロールにおいて、該ロールシェル内周面に、該ロールシ
ェルの軸心線方向に向かうフィンが設けられ、該スティ
フナは該フィンを介して該ロールシェル内周面に取り付
けられたことを特徴としている。請求項13記載の本発
明の加温プレスロールは、請求項2〜12のいずれかの
項に記載の加温プレスロールにおいて、該ロールシェル
が、該ロールシェルの端部に結合されるロール軸付き端
部部材をそなえ、該スティフナの最大外径が、上記のロ
ール軸付き端部部材に結合されるロールシェルの端部の
内径よりも小さくなるように、上記のスティフナの最大
外径及びロールシェルの端部の内径が設定されたことを
特徴としている。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面により、本発明の実施
の形態について説明する。まず、第1実施形態について
説明すると、図1は本発明の第1実施形態としての加温
プレスロールの構成を示す模式図であり、(a)は一部
破断して示す正面図(図6のB6矢視図に相当する
図)、(b)は(a)のB1−B1矢視断面図である。
【0030】本実施形態の加温プレスロールは、図6に
示す抄紙機のプレスパートにおいてセンターロール5に
代えて使用される。プレスパートは、センターロール5
以外については、図6に示す従来の抄紙機のプレスパー
トと略同様に構成されているため、以下、プレスパート
については、従来技術の説明で用いた図6の符号をその
まま引用しながら、本実施形態の加温プレスロールにつ
いて説明する。
【0031】加温プレスロールは、図1に示すように、
湿紙9を加圧する鋼板(ここではSM400)製のロー
ルシェル11と、加温プレスロールの円形側面(ロール
シェル11の軸心線と直交する面)を形成する鋼材(こ
こではS35C)製のロールヘッド(端部部材)13,
13と、ロールシェル11と同一軸心線上に各ロールヘ
ッド13に接続され図示しない軸受に回動自在に支持さ
れるロール軸13aとをそなえて構成され、さらに、ロ
ールシェル11内部には、蒸気導入用のパイプ(蒸気導
入管)15と、パイプ15から導入された蒸気が凝縮し
たドレインを排出するための固定式サイホン(ドレイン
排出管,以下、単にサイホンともいう)7と、ロールシ
ェル11の軸心線に対して略垂直に起立した複数の鋼板
(ここではSM400)製のスティフナ18とをそなえ
て構成されている。
【0032】ロールシェル11は、図1に示すように、
ロール径DR がロールシェル11の幅方向(軸心線方
向)で一定の円筒形に形成されているが、従来と同様
に、自重による撓み考慮してそのロール径を幅方向に変
化させて、ロール径が中央で最大となるクラウン形状に
形成したり、ロール径が中央で最小となるような形状に
形成してもよい。このような形状は、対向するサクショ
ンプレスロール2,3(図6参照)と協働して湿紙9を
幅方向で均一に加圧できるように適宜選択される。
【0033】従来技術の課題として前述したように、シ
ェル厚tR が110mmの従来の加温プレスロール5a
(図8参照)では、実用的な150℃度程度の蒸気を加
温プレスロールに導入しても、湿紙9が加温プレスロー
ルに接する図6に示す位置P2,P3間では、湿紙9
を、脱水に効果的な温度(20℃度程度)上昇させるこ
とは困難である。つまり、現在の一般的な抄紙機の抄速
は1000m/min程度であり、このような速度で搬
送される湿紙9が位置P2,P3間を通過するのに掛か
る時間は0.2秒以下であるため、このような僅かな時
間では、湿紙9を十分に昇温できないのである。
【0034】このような条件下でも、シェル厚tR を1
10mmから40mm程度にまで薄くすることにより、
湿紙9を、脱水に効果的な温度(20℃度程度)上昇さ
せることができるが、この場合、ロールシェル11の強
度が低下してしまう。このため、プレスロール2,3
(図6参照)から押圧力を受けてロールシェル11に生
じる梁変形やシェル変形の大きさ(変形量)が、従来の
ストーンロールや図7に示す非加温式のプレスロール5
の同一条件下での変形量の10倍以上となってしまう。
プレスロールでは、幅方向の均一な圧力分布(即ち、湿
紙9を幅方向に均一に加圧すること)が重要であり、こ
のように変形量が増大してしまっては現実的に使用する
ことはできない。
【0035】そこで、本加温プレスロールでは、シェル
厚tR を従来の110mmから30mmにまで薄くして
ロールシェル11の伝熱抵抗を低減しつつも、ロール径
Rを、従来の1370mmから1900mmにまで上
げることにより、梁変形を所定のレベルまで抑制できる
ようにし、又、ロールシェル11の内部に複数のスティ
フナ18を設けることによりシェル変形を所定のレベル
まで抑制できるようにしている。
【0036】ここで、さらにスティフナ18について説
明すると、スティフナ18は、ロールシェル11の軸心
線方向に向かって略均等のピッチPS で配設され、図6
に示すプレスロール2,3から受ける押圧力に対向する
ように、ロールシェル11の内周面に垂直の姿勢で溶接
されている。また、スティフナ18の下部(ロールシェ
ル11側)には、その円周方向に略均等のピッチで複数
(ここでは8個)の半円形のドレイン排出孔19がそな
えられており、ロールシェル11内のドレインが、この
ドレイン排出孔19を通って、ロールシェル11の両側
端部付近のサイホン7に流れ込むようになっている。な
お、ドレイン排出孔19の数や形状等はこれに限定され
ない。
【0037】さて、ロールシェル11の外周には、紙離
れ性に優れたコーティング層12が設けられており、コ
ーティング層12は、酸化物,炭化物,窒化物等の単
体、これらの混合物のセラミックス、これらと金属との
混合物のいずれかにより構成され、ここでは、ロールシ
ェル11の腐食を防止するためのニッケル(Ni)メッ
キ層と、ニッケル(Ni)メッキ層の外周に形成され紙
離れ性及び耐摩耗性を有する溶射層(ここではWC−N
i溶射層)の二層構造となっている。なお、ニッケル
(Ni)メッキ層の代わりにステンレス鋼の肉盛り溶接
層を設けてもよい。
【0038】また、ロールシェル11の内周面の両端部
には、ロールシェル11の軸心線側に向かって凸のフラ
ンジ部11aが設けられており、このフランジ部11a
とロールヘッド13のフランジ部13bとが複数のボル
ト20によって接合されている。蒸気導入用のパイプ1
5は、一方〔図1(a)中で右側〕のロール軸13aか
らロールシェル11内部に挿入され、このパイプ15を
介して、図示しない外部の蒸気供給源からロールシェル
11を加熱するための蒸気が供給される。また、サイホ
ン7は、パイプ15から導入された蒸気が凝縮してドレ
インとなったものを排出するためのもので、他方〔図1
(a)中で左側〕のロール軸13a内の中空部からロー
ルシェル11内部に導入され、その先端(ドレイン排出
管の先端)には、ロールシェル11内周面の両側端部に
垂直の姿勢で面するドレインの吸込口7a,7aをそな
えている。なお、ロールシェル11の内周面には、吸込
口7a,7aと対向する各位置に溝部31が全周にわた
って形成され、各吸込口7a,7aはこの溝部31に導
入されており、ドレインは溝部31内に集まって、吸込
口7a,7aから効率的に排出されるようになってい
る。
【0039】なお、パイプ15及びサイホン7は固定式
であり、図1では省略するが、図8に示す従来技術と同
様に、ロール軸13aに設けられたメカニカルシール1
7に支持されている。メカニカルシール17は、位置固
定のパイプ15及びサイホン7を、運転中に回動するロ
ール軸13aに対して相対移動可能に支持するととも
に、ロールシェル11内部の蒸気が漏れないように、サ
イホン7とロール軸13aとの接続部及びパイプ15と
ロール軸13aとの接続部をシールしている。
【0040】なお、加温プレスロールの各寸法は、ロー
ル径DR は1900mm(図7,図8に示す従来の加温
プレスロール5,5aでは1370mm),シェル厚t
R は30mm(図7,図8に示す従来の加温プレスロー
ル5,5aでは110mm),ロール面長LR は600
0mm,スティフナ18の厚さts は20mm,スティ
フナ18の高さhs は220mm,スティフナのピッチ
s は120mm,ドレイン排出孔19の半径は50m
m,溝部31の深さは3mmである。また、コーティン
グ層12の内、下層(ロールシェル11側)のニッケル
(Ni)メッキ層の厚さは200μm,上層(外側)の
WC−Ni溶射層の厚さは800μmである。
【0041】また、図1に示すように、スティフナ18
の外径DS は、ロールシェル11内周面の両端部に設け
られたフランジ部11aの内径DF よりも大きくなる。
このため、スティフナ18をロールシェル11内に溶接
するためには、スティフナ18を分割して、フランジ部
11aからロールシェル11内に搬入するか、又は、フ
ランジ部11aをロールシェル11とは分割した構成と
して、スティフナ18をロールシェル11内に溶接後、
フランジ部11aをロールシェル11に溶接することに
なる。
【0042】本発明の第1実施形態としての加温プレス
ロールは上述のように構成されており、このような構成
における昇温特性を確認すべく、加温プレスロールを試
作して、図6に示すような構成の実機(プレスパート)
においてセンターロール5の代わりに組み込んで試験を
行なった。加温プレスロールに、150℃の蒸気を導入
して試験を行なったところ、抄紙機の抄速を1300m
/min程度まで上昇させても、図6に示す位置P2,
P3間で湿紙を20℃昇温させることができた。また、
スティフナ18が溶接された部分については、ロールシ
ェル11の厚みtR にスティフナ18の高さhs が厚み
として加算されて熱抵抗の増加が懸念されるため、上記
の試作品と同一寸法でスティフナ18を取り付けない構
成の試作品の昇温特性を測定し、スティフナ18による
昇温特性への悪影響を調査した。この結果、スティフナ
18があった場合には、図6に示す位置P2,P3間で
湿紙9を20℃昇温させることのできる抄紙機の最高抄
速は1300m/min程度であったのに対し、スティ
フナ18がない場合には、かかる最高抄速は1150m
/min程度であり、スティフナ18を設けたほうが昇
温特性に優れていることが判明した。
【0043】ここで、スティフナ18を設けたほうが昇
温特性が向上する理由を説明する。運転中、即ち、ロー
ルシェル11が軸心線中心に回動中には、ロールシェル
11内部のドレインが、遠心力により、ロールシェル1
1内周面に張りつくようにして膜状となる。つまり、ロ
ールシェル11内周面の伝熱形態は膜状凝縮伝熱とな
り、伝熱係数は2.3kw/m2 K程度となる。これに
対し、スティフナ18側面では、凝縮した水滴(ドレイ
ン)は次から次にスティフナ18上を流下し、その伝熱
形態は滴状凝縮伝熱となって伝熱係数は11.6kw/
2 K以上にまでなる。スティフナ18はフィンとして
も機能するのでフィン効率も考慮すると、スティフナ1
8側面の熱抵抗はロールシェル11内周面の2.6分の
1となり、加温プレスロールの全体の熱抵抗としては、
ロールシェル11内周面にスティフナ18を設けた場合
は、スティフナ18を設けない場合に比べ15%程度も
小さくなる(昇温特性が向上する)のである。
【0044】このように、図6に示す位置P2,P3間
で湿紙9を20℃昇温させることのできる抄紙機の最高
抄速は、図8に示す従来の加温プレスロール5aでは、
200m/min程度であったのに対し、本加温プレス
ロールによれば、この6.5倍の1300m/min程
度まで上昇させることができる。したがって、抄速10
00m/min程度の現在の一般的な抄紙機にも適用で
きるという利点がある。
【0045】また、ロールシェル11内にスティフナ1
8を設けるという比較的簡素な構成により、このような
昇温性能を得ることができるという利点もある。また、
本加温プレスロールは、図8に示す従来の加温プレスロ
ール5aに比べ、ロール径DR が大きく且つシェル厚t
R が薄い。ロール径DR が大きいほど、又、シェル厚t
R が薄いほど、シェル変形が増加する傾向にあるが、ス
ティフナ18を補強材としてロールシェル11内に介装
することにより、このようなシェル変形が抑制されて湿
紙9を均等に加圧/脱水することができるという利点が
ある。
【0046】また、湿紙9を20℃昇温させることがで
きれば、湿紙9のドライネスNDRY〔NDRY (%)=W
p /(Wp +Ww )×100,Wp :湿紙9中の紙繊維
重量,Ww :湿紙9中の水分重量〕を2%程度上昇させ
ることができる。このようなドライネスNDRY の上昇
は、プレスパートの下流に設けられたドライパートでの
乾燥エネルギを例えば7〜8%程度減少させることがで
きる。ドライパートにおいて湿紙9を乾燥させるために
は、乾燥エネルギとして、湿紙9中の水分の蒸発潜熱分
のエネルギが必要とされる。これに対し、プレスパート
での湿紙9の20℃の昇温に必要なエネルギは、湿紙9
中の水分の顕熱変化分に相当するもであればよく、乾燥
エネルギに比べ明らかに小さい。したがって、プレスパ
ートで湿紙9の昇温に使用されるエネルギに比べて、ド
ライパートで使用されるエネルギの減少分が大きくなっ
て、抄紙機全体としてエネルギを節約することができる
という利点がある。
【0047】また、ロール径DR を、図8に示す従来の
加温プレスロール5aよりも大きくしたことにより、ロ
ールシェル11の梁変形を低減し、また、ロールシェル
11と湿紙9の接触時間(つまりロールシェル11によ
り加熱される時間)が増えるという利点もある。また、
スティフナ18にはドレイン排出孔19が設けられてい
るため、サイホン7の吸込口を減らすことができるとい
う利点もある。つまり、スティフナ18にドレイン排出
孔19が設けられていない場合には、スティフナ18の
各相互間にドレインが溜まってしまうため、ドレインを
排出するためには、スティフナ18の各相互間にサイホ
ン7の吸込口を設けなければならないが、スティフナ1
8にドレイン排出孔19を設けることにより、ロールシ
ェル11内周面の両側端部にドレインを集め、2つの吸
込口7a,7aによりドレインを排出することができる
のである。
【0048】また、サイホン7の吸込口7a,7aは、
ロールシェル11内周面の側端部付近に設けられた溝部
31,31に入り込むように設置されており、これらの
溝部31,31に集まったドレインを効率的に排出する
ことができるという利点もあある。次に、第2実施形態
について説明すると、図2は本発明の第2実施形態とし
ての加温プレスロールの構成を示す模式図であり、
(a)は一部破断して示す正面図(図6のB6矢視図に
相当する図)、(b)は(a)のB2−B2矢視断面図
であり、(c)は(b)のA2部の拡大図である。な
お、第1実施形態の加温プレスロールで説明した構成部
と同一の構成部については、同一の符号を付しその詳細
な説明を省略する。
【0049】本実施形態の加温プレスロールは、第1実
施形態と同様に、図6に示すプレスパートにおいてセン
ターロール5に代えて使用され、又、図2(a)〜
(c)に示すように、第1実施形態の加温プレスロール
〔図1(a),(b)参照〕において、ロールシェル1
1の内周面にロールシェル11の伝熱特性を促進するた
めのスポイラバー21が設けられた構成のものである。
つまり、本実施形態の加温プレスロールは、図2(a)
〜(c)に示すように、鋼製のロールシェル11と、ロ
ールシェル11の外周に設けられた第1実施形態と同様
のコーティング層12〔図2(a)〜(c)では図示
略〕と、ロールヘッド13,13と、ロール軸13a,
13aと、第1実施形態と同様の蒸気導入用のパイプ1
5〔図2(a)では図示略〕と、ドレインを排出するた
めのサイホン7〔図2(b)参照,図2(a)では図示
略〕と、複数のスティフナ18と、ロールシェル11の
内周面に取り付けられた複数のスポイラバー21〔図2
(a),(c)参照,図2(b)では図示略〕とをそな
えて構成されている。
【0050】スポイラバー21は鋼(例えばSS40
0)製で、各スティフナ18の相互間にロールシェル1
1の軸心線方向に向けて取り付けられ、且つ、ロールシ
ェル11の内周面に円周方向に略均等のピッチPで並べ
られている。ここでは、ピッチPは165mmに設定さ
れ、スティフナ18の各相互間に円周方向に35本のス
ポイラバー21が取り付けられている。
【0051】また、スポイラバー21は、正方形の断面
形状を有する柱状のもので、ここでは、断面寸法e,f
〔図2(c)参照〕はそれぞれ7mm、軸長は100m
mに設定されている。上述したように、運転中は、ロー
ルシェル11内のドレインは、遠心力によりロールシェ
ル11内周面に張り付くようにして膜状となり、この液
膜厚さによりロールシェル11内周面の伝熱抵抗が大き
くなってしまう。上述の第1実施形態の加温プレスロー
ルでは、スティフナ18の効果により加温プレスロール
全体としての伝熱性能が促進されてはいるものの、膜状
凝縮伝熱部となるロールシェル11内周面の伝熱抵抗は
改善されていない。そこで、ロールシェル11内周面
(膜状凝縮伝熱部)の伝熱促進を行なうべくスポイラバ
ー21が取り付けられているのである。
【0052】つまり、以下に示す式(1)により設定さ
れた所定のピッチPで、円周方向にスポイラバー21を
並べると、スポイラバー21の各相互間に溜まったドレ
インには、ロールシェル11の回転によって励起された
共振現象が生じて、ロールシェル11内周面において著
しい伝熱促進効果を得ることが一般的に知られており、
本実施形態の加温プレスロールでも、式(1)に従って
スポイラバー21のピッチPを165mmとしているの
である。
【0053】 P=π(Rδ)0.5 ・・・(1) ここで、式(1)中のRはロールシェル11の内周半
径、δはスポイラバー21の各相互間に溜まったドレイ
ン(液膜)の厚さである。本実施形態の加温プレスロー
ルは、スポイラバー21を設けた以外は、第1実施形態
の加温プレスロールと同一であり、ロール径DR (=1
900mm),シェル厚tR (=30mm)等の各寸法
も同じである。従って、ロールシェル11の内周の半径
R〔=(D R −2×tR )/2〕は920mmであり、
また、液膜厚さδを3mmとすると、式(1)より、ス
ポイラバー21のピッチPは、上述したように165m
mとなるのである。
【0054】本発明の第2実施形態としての加温プレス
ロールは上述のように構成されており、この加温プレス
ロールを試作し、図6に示す構成の実機(プレスパー
ト)においてセンターロール5の代わりに組み込んで試
験を行なった結果、図6に示す位置P2,P3間で湿紙
9を20℃昇温させることのできる抄紙機の最高抄速は
1390m/min程度となった。第1実施形態では、
かかる抄紙機の最高抄速は1300m/min程度であ
ったので、第1実施形態に比べて7%程度の抄速アップ
が可能となった。
【0055】したがって、スポイラバー21を取り付け
ることにより、加温プレスロールの伝熱促進効果を第1
実施形態よりも一層効果的に得ることができるという利
点がある。次に、第3実施形態について説明すると、本
発明の第3実施形態としての加温プレスロールの構成を
示す模式図であり、(a)は一部破断して示す正面図
(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は(a)の
B3−B3矢視断面図、(c)は(b)のA3部の拡大
図である。なお、第1実施形態及び第2実施形態の加温
プレスロールで説明した構成部と同一の構成部について
は、同一の符号を付しその詳細な説明を省略する。
【0056】本実施形態の加温プレスロールは、第1実
施形態及び第2実施形態と同様に図6に示すプレスパー
トにおいてセンターロール5に代えて使用され、図3
(a)〜(c)に示すように、第1実施形態の加温プレ
スロール〔図1(a),(b)参照〕において、ロール
シェル11の内周面にロールシェル11の軸心線方向に
向かう溝部(軸方向溝部)22を設けたものとほぼ同様
の構成のものである。
【0057】つまり、本加温プレスロールは、図3
(a)〜(c)に示すように、第1実施形態及び第2実
施形態と同一のロール径DR (=1900mm)の鋼製
のロールシェル11と、ロールシェル11の外周に設け
られた第1実施形態と同様のコーティング層12〔図3
(a)〜(c)では図示略〕と、ロールヘッド13,1
3と、ロール軸13a,13aと、複数のスティフナ1
8と、第1実施形態と同様の蒸気導入用パイプ15及び
サイホン7〔図3(a),(b)ではいずれも図示略〕
とをそなえて構成され、ロールシェル11の内周面に
は、上述の溝部22〔図3(b)では模式化して示す〕
が円周方向に所定の間隔a(ここでは20mm)をあけ
て複数(ここでは143個)並べて設けられている。
【0058】溝部22は、機械加工によりロールシェル
11の内周面に形成され、深さcは20mm,幅bは2
0mmに設定されている。このように溝部22を設ける
ことにより、ロールシェル11の内周面には、軸心線方
向に向かう凹凸が形成され、この凹凸が、伝熱フィンと
して機能するとともに、この凹凸の側面が膜状凝縮伝熱
を滴状凝縮伝熱に変えるので、これによりロールシェル
11の伝熱特性を向上することができるようになってい
るのである。
【0059】また、第1実施形態及び第2実施形態の加
温プレスロールでは、ロールシェル11の板厚(シェル
厚)tR が30mmであったのに対し、本加温プレスロ
ールでは、ロールシェル11の溝底の板厚(ロールシェ
ル11において溝部22が設けられた部位の厚さ)t
を、これよりも薄い20mmに設定して、さらにロール
シェル11の伝熱特性の向上を図っている。但し、ロー
ルシェル11の強度を確保するために、シェル厚t
R (=c+t)は、第1実施形態及び第2実施形態より
も厚めの40mmに設定しており、これにより、運転時
に生じるロールシェル11の梁変形を十分に抑制できる
ようになっている。
【0060】また、溝部22は、ロールシェル11の伝
熱特性の向上させるほかに、ロールシェル11内部のド
レインが、ロールシェル11内周面の側端部付近に位置
するサイホン7の吸込口7a,7a〔いずれも図3
(a),(b)では図示略,図1(a)参照〕に流れ込
むための通路としても機能している。このため、本実施
形態の加温プレスロールでは、第1実施形態及び第2実
施形態の加温プレスロールのようにスティフナ18にド
レイン排出孔19〔図1(b)及び図2(b)参照〕を
設けてはいない。
【0061】なお、スティフナ18の厚さts は20m
m,スティフナ18の高さhs は220mm,スティフ
ナのピッチPs は120mmに設定されている。本発明
の第3実施形態としての加温プレスロールは上述のよう
に構成されており、この加温プレスロールを試作し、図
6に示す構成の実機(プレスパート)にセンターロール
5の代わりに組み込んで試験を行なった結果、図6に示
す位置P2,P3間で湿紙9を20℃昇温させることの
できる抄紙機の最高抄速は1430m/min程度とな
った。第1実施形態では、かかる抄紙機の最高抄速は1
300m/min程度であったので、第1実施形態に比
べて10%程度の抄速アップが可能である。
【0062】したがって、ロールシェル11の内周面に
ロールシェルの軸心線方向に向かう溝部22を設けるこ
とにより、加温プレスロールの伝熱促進効果を、第1実
施形態及び第2実施形態よりも一層効果的に得ることが
できるという利点がある。なお、上述の実施形態では、
溝部22をロールシェル11の軸心線に向かうように形
成しているが、溝部22は、完全にロールシェル11の
軸心線に向かうものでなくてもよい。
【0063】また、加温プレスロールの各寸法は、上述
の実施形態に限定されず、例えば、ロール径DR を19
00mmとし、溝部22の深さcを40mm,ロールシ
ェル11の溝底の板厚tを30mm,スティフナ18の
厚さts を20mm,スティフナ18の高さhs を20
0mm,スティフナのピッチPs を120mmに設定し
てもよい。
【0064】上述の実施形態では、ロール径DR を19
00mm、溝部22の深さcを20mm,ロールシェル
11の溝底の板厚tを20mmに設定しているため、ス
ティフナ18の外径DS 〔=DR −2×(c+t)〕は
1820mmとなる。また、ロールシェル11のフラン
ジ部11aの厚さtF は、フランジ部11aに取り付け
るボルト20の大きさや、ロールヘッド13との接続強
度を考えると、ある程度の厚さ(ここでは65mm)が
必要となって、フランジ部11aの内径DF (=DR
2×tF )は1770mmとなる。したがって、スティ
フナ18の外径DS (=1820mm)がフランジ部1
1aの内径DF (=1770mm)よりも大きくなって
しまい、スティフナ18をフランジ部11aを通してロ
ールシェル11内に搬入するためには、ロールシェル1
1を分割しなければならない。
【0065】そこで、上述したように、ロール径DR
上述の実施形態と同じ1900mmとし、溝部22の深
さcを40mm,ロールシェル11の溝底の板厚tを3
0mmに変更することにより、スティフナ18の外径D
S 〔=DR −2×(c+t)〕を1760mmとし、ス
ティフナ18の外径DS をフランジ部11aの内径D F
(=1770mm)よりも小さくすることができる。し
たがって、スティフナ18を分割せずにロールシェル1
1内に搬入して組立作業を効率よく行なうことができる
ようになる。
【0066】なお、このような寸法設定において、加温
プレスロールに10N/mmの線荷重を作用させる試験
を行なったところ、変形については問題はなかった。ま
た、図6に示す構成の実機に組み込んで試験を行なった
結果、図6に示す位置P2,P3間で湿紙9を20℃昇
温させることのできる抄紙機の最高抄速は1250m/
min程度となり、上述の実施形態に比べ若干低下して
いるが、従来に比べると十分に高い結果となった。
【0067】次に、第4実施形態について説明すると、
図4は本発明の第4実施形態としての加温プレスロール
の構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示す
正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB4−B4矢視断面図、(c)は(b)のA4
部の拡大図である。なお、第1実施形態〜第3実施形態
の加温プレスロールで説明した構成部と同一の構成部に
ついては、同一の符号を付しその詳細な説明を省略す
る。
【0068】本実施形態の加温プレスロールは、第1実
施形態〜第3実施形態と同様に図6に示すプレスパート
においてセンターロール5に代えて使用され、図4
(a)〜(c)に示すように、第3実施形態の加温プレ
スロールと略同様に構成される。つまり、本加温プレス
ロールは、ロールシェル11と、ロールシェル11の外
周に設けられた第1実施形態と同様のコーティング層1
2〔図4(a)〜(c)では図示略〕と、鋼(例えばS
35C)製のロールヘッド13,13と、ロール軸13
a,13aと、複数のスティフナ18と、第1実施形態
と同様の蒸気導入用パイプ15及びサイホン7〔図4
(a),(b)ではいずれも図示略〕とをそなえて構成
されている。また、第3実施形態と同様に、ロールシェ
ル11の内周面には、ロールシェル11の軸方向に沿っ
て溝部22〔図4(b)では模式化して示す〕が円周方
向に所定の間隔(ランド幅)a(ここでは20mm)を
あけて複数(ここでは140個)並べて設けら、溝部2
2の深さcは20mm,幅bは20mmに設定されてい
る。
【0069】第1実施形態〜第3実施形態では、ロール
シェル11は鋼製であったのに対し、本実施形態では、
ロールシェル11は鋳鉄(例えばFC350)製であ
る。ロールシェル11のロール径DR ,ロール面長LR
は、第1実施形態〜第3実施形態と同様(DR =190
0mm,LR =6000mm)であるが、鋳鉄のヤング
率が鋼の60%程度と強度が低いため、ロールシェル1
1の溝底の板厚(ロールシェル11において溝部22が
設けられた部位の厚さ)tを、ロールシェル11が鋼製
の第3実施形態よりも厚めの40mmに設定している。
【0070】また、複数のスティフナ18には、スティ
フナ18の円周方向の複数箇所(ここでは8箇所)にそ
れぞれ直径方向に二段に配置される棒状のタイロッド
(連結部材)23,24が貫通して設けられている。各
スティフナ18と、上段(ロールシェル11の軸心線
側)のタイロッド23,下段(ロールシェル11の内周
面側)のタイロッド24との接続部は溶接されており、
これにより、複数のスティフナ18が一体に連結されて
いる。
【0071】このように複数のスティフナ18を、タイ
ロッド23,24により連結して一体物とすることによ
り、スティフナ18をロールシェル11内に容易に圧入
することができるようになり、また、鋳鉄製であるロー
ルシェル11にスティフナ18を溶接することは困難で
あるため、このように一体物として安定した構成とする
ことによりスティフナ18を溶接なしでもロールシェル
11内に安定して設置できるようにしているのである。
【0072】また、特にスティフナ18が高い場合(高
さhs が大きい場合)は、スティフナ18はバックリン
グ(歪んだり捩じれたりすること)を起こしやすいが、
タイロッド23は、このようなバックリングを防止する
という機能も有している。なお、タイロッド23は、複
数のスティフナ18を連結しうるものであれば良く、例
えば、軸方向に分割されていても良い。つまり、各ステ
ィフナ18間に軸長の短いタイロッドを配置し、これら
のタイロッドと両側のスティフナ18とを溶接すること
により複数のスティフナ18を連結するようにしてもよ
い。また、タイロッドは棒状のものでなくてもよく、例
えば板状のものでもよい。
【0073】また、運転時、ロールシェル11内には蒸
気が導入され、この蒸気によりロールシェル11及びス
ティフナ18は加熱されるが、薄い板状のスティフナ1
8はロールシェル11よりも高温となって膨張する度合
いも大きい。このため、運転時には、自ずとロールシェ
ル11とスティフナ18とは締まり勝手となるので、製
作時にスティフナ18の外径DS を、ロールシェル11
の内径よりも若干大きくして締まり代を設ける必要はな
い。
【0074】また、ロールシェル11の溝底の板厚tを
40mmと厚めに設定しているので、スティフナ18の
外径DS 〔=DR −2×(c+t)〕は、比較的小さな
1780mmとなる(ロール径DR は1900mm,溝
部22の深さcは20mm)。例えば、フランジ部11
aの厚さtF を60mm程度とすれば、フランジ部11
aの内径DF (=DR −2×tF )は1780mmとな
って、各スティフナ18を、分割せずに且つタイロッド
23,24により連結してから、ロールシェル11内に
持ち込むことが可能である。
【0075】本発明の第4実施形態としての加温プレス
ロールは上述のように構成されており、加温プレスロー
ルを試作して10N/mmの線荷重を作用させる変形試
験を行なったところ、従来のストーンロールや図7に示
す非加温式のプレスロール5と同等の変形量にできるこ
とが確認できた。また、本加温プレスロールを、図6に
示す構成の実機においてセンターロール5の代わりに組
み込んで試験を行なった結果、図6に示す位置P2,P
3間で湿紙9を20℃昇温させることのできる抄紙機の
最高抄速は1250m/min程度となった。これは、
第1〜3実施形態の鋼製のロールシェル11の最高抄速
(1300〜1430m/min)に比べると若干小さ
いが、従来に比べると十分に高い速度であり、また、現
在の高速の抄紙機に十分適用できる速度である。
【0076】したがって、安価な鋳鉄を用い又スティフ
ナ18をロールシェル11内に溶接しなくても、第1実
施形態〜第3実施形態と同様の強度及び伝熱促進効果を
得ることができるという利点がある。なお、ロールシェ
ル11とスティフナ18とが溶接されていないため、ロ
ールシェル11の内周面とスティフナ18との間には接
触熱抵抗が生じるが、ロールシェル11に溝22を設け
ることによりロールシェル11の内周面に形成された凹
凸がフィンとして効果的に機能して、かかる接触熱抵抗
に影響されること無しに、上述のように伝熱促進効果を
得ることができたものと推定される。
【0077】次に、第5実施形態について説明すると、
図5は本発明の第5実施形態としての加温プレスロール
の構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示す
正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB5−B5矢視断面図、(c)は(b)のA5
部の拡大図である。なお、第1実施形態〜第3実施形態
の加温プレスロールで説明した構成部と同一の構成部に
ついては、同一の符号を付しその詳細な説明を省略す
る。
【0078】本実施形態の加温プレスロールは、上述の
各実施形態と同様に図6に示すプレスパートにおいてセ
ンターロール5に代えて使用される。本加温プレスロー
ルは、図5(a)〜(c)に示すように、鋼(例えばS
M400)製のロールシェル11と、ロールシェル11
の外周に設けられた第1実施形態と同様のコーティング
層12〔図5(a)〜(c)では図示略〕と、鋼(例え
ばS35C)製のロールヘッド13,13と、ロール軸
13a,13aと、複数のスティフナ18と、第1実施
形態と同様の蒸気導入用パイプ15及びサイホン7〔図
5(a),(b)ではいずれも図示略〕とをそなえて構
成され、さらに、ロールシェル11の内周面とスティフ
ナ18との間には、ロールシェル11の軸心線方向に向
かう比較的高さのある(高さC1の大きな)フィン32
〔図5(b)では模式化して示す〕が円周方向に等ピッ
チで複数(ここでは103本)並設されている。
【0079】フィン32は鋼(ここではSS400)製
で、ロールシェル11にその基部を溶接されて取り付け
られており、伝熱を促進するだけでなく、ロールシェル
11の軸心線方向の剛性を強化してロールシェル11の
梁変形を抑制するようになっている。上述の各実施形態
では、伝熱効果を高めるために従来よりもシェル厚t R
を薄くし、シェル厚tR が薄くなることによる強度の低
下はロール径DR を従来よりも大きくすることで補って
いた。これに対し、本加温プレスロールでは、上述の各
実施形態と同様に従来よりもシェル厚tR を薄くする
が、ロール径DRは従来と同じ1370mmとし、シェ
ル厚tR が薄くなった分の強度低下は、フィン32によ
り補うようにしている。
【0080】また、複数のフィン32の各相互間には当
然ながら溝部22aが形成され、ロールシェル11内の
ドレインは、これらの溝部22aを通って、ロールシェ
ル11内周面の側端部付近に設けられた溝部31,31
に流れ込むようになっている。なお、ここでは、フィン
32の高さC1 は195mm,フィン32の底部の幅a
1 は20mm,フィン32の頂部の幅a2 は14mm,
溝22aの底部の幅b 1 は20mm,溝22aの頂部の
幅b2 は14mmに設定されている。また、ロールシェ
ル11の溝底の板厚tは、第3実施形態よりも厚めの3
0mmに設定し、これにより、フィン32とともに、ロ
ール径DR の縮小による梁変形に対する強度の低下分を
補うようにしている。
【0081】さて、スティフナ18は、比較的高さのあ
るフィン32の頂部(ロールシェル11の軸心線側の端
部)に溶接される。図5(a),(b)に示すように、
スティフナ18の外径DS は、ロールシェル11のフラ
ンジ部11aの内径DF よりも十分に小さいので、ステ
ィフナ18は分割されずにフランジ部11aからロール
シェル11内に挿入され、順次、フィン32に溶接され
る。
【0082】なお、スティフナ18は、所定のピッチP
s (120mm)でロールシェル11の軸心線方向に
48枚並べられ、また、スティフナ18の外径DS は
920mm,内径は720mm,高さhs は100m
m,厚さts は20mmに設定されている。本発明の
第5実施形態としての加温プレスロールは上述のように
構成されており、ロール径DR を従来と同様の137
0mmとしても、スティフナ18,フィン32の作用に
より、運転時の変形量を、従来のストーンロールや図7
に示す非加温式のプレスロール5と同等にできる。ま
た、本加温プレスロールを、図6に示す構成において実
機にセンターロール5の代わりに組み込んで試験を行な
った結果、図6に示す位置P2,P3間で湿紙9を20
℃昇温させることのできる抄紙機の最高抄速は1100
m/min程度となった。これは、上述の各実施形態の
鋼製のロールシェル11の最高抄速に比べると若干小さ
いが、図8に示す従来の加温式のプレスロールにおける
最高抄速(200m/min)の6.5倍の速度とな
り、また、現在の高速の抄紙機に十分適用できる速度で
ある。
【0083】したがって、ロール径DR を従来と同じ1
370mmにしても、現在の高速の抄紙機に適用した場
合、湿紙9を十分に温度上昇させることができるという
利点がある。なお、本加温プレスロールでは、湿紙9を
20℃昇温させることのできる抄紙機の最高抄速が上述
の各実施形態よりも遅くなるのは、ロール径DR が小さ
いため、湿紙9との接触時間が短くなるためと推定され
る。
【0084】なお、フィン32は、完全にロールシェル
の軸心線方向に向かうものでなくてもよい。また、本発
明の加温プレスロールは、上述の各実施形態のものに限
定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形
が可能である。例えば、上述の各実施形態では、スティ
フナを、複数のリング状のものにより構成しているが、
例えば、1つ或いは複数のスパイラル状のものにより構
成してもよい。この場合、スティフナの製作が容易にな
る。
【0085】また、上述の各実施形態では、ロールシェ
ル11とロールヘッド13との接続を、ボルト20を締
結して行なうようにしているが、溶接により行なうよう
にしてもよい。また、上述の各実施形態では、サイホン
7の吸込口7aを2つとしているが、ロールシェル11
内のドレインを万遍なく排出しうるものであればよく、
したがって、吸込口7aを3つ以上としてもよい。ま
た、サイホン7の吸込口7aを増やす場合には、これに
対応してロールシェル11にドレイン回収用の溝部31
を増設してもよい。
【0086】また、各実施形態中で示した各部寸法(例
えば、ロールシェル11に設けられるドレイン回収用の
溝部31の深さや、スティフナの高さhs ,ピッチ
s ,厚さts 等)や、材質は、構造上問題ない範囲で
変更してもよい。また、サイホン7を固定式から、サイ
ホン7の吸込口7aがロールシェル11とともに回転す
る回転式にしてもよい。
【0087】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1〜3及び
請求項7記載の本発明の加温プレスロールでは、ロール
シェル内部に取り付けられ内周面に対して略垂直に起立
した板状のスティフナにより、湿紙を加温及び加圧する
さいのロールシェルの変形が抑制されて、湿紙を均一に
加圧及び脱水することができるという利点がある。
【0088】また、スティフナがフィンとして機能する
こと、ロールシェル内で蒸気が凝縮してなる水滴がステ
ィフナの側面を流下するため水滴とスティフナとの間の
伝熱形態が効率の良い滴状凝縮伝熱となることなどか
ら、ロールシェルがスティフナを介して蒸気により効率
的に加熱され、これにより、ロールシェル内にスティフ
ナを設けるという簡素な構成で、湿紙を効果的に昇温す
ることができるという利点がある。また、ロールシェル
は、スティフナにより補強されるので、この分、ロール
シェルの肉圧を薄くしてロールシェルの熱抵抗を低減す
ることができ、この場合、ロールシェル内部の蒸気の熱
が効率的にロールシェル外周面に伝達され、湿紙を一層
効果的に昇温することができるという利点がある。
【0089】請求項4記載の本発明の加温プレスロール
では、ロールシェルが鋼材製なので、溶接によりスティ
フナをロールシェルに容易に取り付けることができると
いう利点がある。請求項5記載の本発明の加温プレスロ
ールでは、複数のスティフナの相互間が連結部材により
連結されるので、ロールシェル内にスティフナを安定し
て設置することができるという利点がある。請求項6記
載の本発明の加温プレスロールでは、ロールシェルが鋳
鉄製のため、ロールシェルにスティフナを溶接すること
が困難であるが、スティフナの相互間が連結部材により
連結されているので、溶接しなくても、ロールシェル内
にスティフナを安定して設置することができるという利
点がある。また、ロールシェルが安価な鋳鉄製なので、
加温プレスロールを低コストで製作することができると
いう利点もある。請求項記載の本発明の加温プレスロ
ールでは、ロールシェル内周面の全周にわたって形成さ
れた溝部にドレインが集まり、この溝部に集まったドレ
インが、溝部に導入されたドレイン排出管の先端から効
率良く排出されるという利点がある。請求項記載の本
発明の加温プレスロールでは、ドレインを、各スティフ
ナに設けられたドレイン排出孔を通して所定箇所に集め
ることにより効率的に回収できるという利点がある。
【0090】請求項10記載の本発明の加温プレスロー
ルでは、ロールシェル内周面にドレインにより形成され
た液膜の熱抵抗を、ロールシェル内周面にロールシェル
の軸心線方向に向かうようにして設けられたスポイラバ
ーの作用により低減し、これにより、湿紙を一層効果的
に昇温することができるという利点がある。請求項11
記載の本発明の加温プレスロールでは、ロールシェル内
周面に軸方向溝部を設けることにより、ロールシェルの
最低肉圧を薄くすることができるので、これにより、ロ
ールシェルの熱抵抗を低減して、湿紙を一層効果的に昇
温することができるという利点がある。
【0091】
【0092】
【0093】請求項12記載の本発明の加温プレスロー
ルでは、ロールシェル内周面に、ロールシェルの軸心線
方向に向かうフィンが設けられ、スティフナはフィンを
介してロールシェル内周面に取り付けられるようになる
、このフィンが、ロールシェルの伝熱を促進するの
で、湿紙を一層効果的に昇温することができるという利
点がある。さらに、このフィンがロールシェルを補強す
るので、この分、ロールシェルの径を小さくすることが
できるという利点がある。
【0094】請求項13記載の本発明の加温プレスロー
ルでは、ロールシェルの端部に結合されるロール軸付き
端部部材がそなえられ、スティフナの最大外径が、上記
のロール軸付き端部部材に結合されるロールシェルの端
部の内径よりも小さくなるように、上記のスティフナの
最大外径及びロールシェルの端部の内径が設定されてい
るので、スティフナを、分割すること無くロールシェル
内に搬入することができ、これにより、加温プレスロー
ルの組立作業が容易になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての加温プレスロー
ルの構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示
す正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB1−B1矢視断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態としての加温プレスロー
ルの構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示
す正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB2−B2矢視断面図、(c)は(b)のA2
部の拡大図である。
【図3】本発明の第3実施形態としての加温プレスロー
ルの構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示
す正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB3−B3矢視断面図、(c)は(b)のA3
部の拡大図である。
【図4】本発明の第4実施形態としての加温プレスロー
ルの構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示
す正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB4−B4矢視断面図、(c)は(b)のA4
部の拡大図である。
【図5】本発明の第5実施形態としての加温プレスロー
ルの構成を示す模式図であり、(a)は一部破断して示
す正面図(図6のB6矢視図に相当する図)、(b)は
(a)のB5−B5矢視断面図、(c)は(b)のA5
部の拡大図である。
【図6】従来の抄紙機のプレスパートの構成の一例を示
す模式的な側面図である。
【図7】従来の抄紙機のプレスパートに使用されるロー
ルの一般的な構成を、特にセンターロールの構成として
示す模式図であり、(a)は正面視に応じた断面図(図
6のB6矢視図に相当する図)、(b)は(a)のB7
−B7矢視断面図である。
【図8】従来の抄紙機のプレスパートに使用され蒸気加
熱可能なセンターロールの構成を示す模式図であり、
(a)は正面視に応じた断面図(図6のB6矢視図に相
当する図)、(b)は(a)のB8−B8矢視断面図で
ある。
【図9】従来の加温プレスロールの要部構成を、蒸気及
び高温水系統とともに示す模式的な側面図である(一部
破断して示す)。
【符号の説明】
5 センターロール 7 固定式サイホン(ドレイン排出管) 7a ドレインの吸込口 11 ロールシェル 11a,13a フランジ部 12 コーティング層 13 ロールヘッド(端部部材) 13a ロール軸 15 蒸気導入用のパイプ(蒸気導入管) 17 メカニカルシール 18 スティフナ 19 ドレイン排出孔 20 ボルト 21 スポイラバー 22,22a 溝部(軸方向溝部) 23,24 タイロッド(連結部材) 31 溝部 32 フィン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−264094(JP,A) 特開 昭63−165594(JP,A) 実開 平1−102513(JP,U) 実開 昭61−39199(JP,U) 特表 平5−508214(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D21F 1/00 - 13/12

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 抄紙機のプレスパートで湿紙を加温及び
    加圧する加温プレスロールであって、内部に蒸気が供給されて該蒸気により加熱され、 対向す
    るロールと協働して該湿紙を挟みつけて該湿紙を脱水す
    るロールシェルと、 該ロールシェル内部に取り付けられ該内周面に対して略
    垂直に起立した板状のスティフナとをそなえたことを特
    徴とする、加温プレスロール。
  2. 【請求項2】 該スティフナがリング状であることを特
    徴とする、請求項1記載の加温プレスロール。
  3. 【請求項3】 該スティフナが、該ロールシェルの軸心
    線方向に向かって該ロールシェルの略全軸長にわたって
    複数並べられたことを特徴とする、請求項1又は2記載
    の加温プレスロール。
  4. 【請求項4】 該ロールシェルが鋼材製であり、該ステ
    ィフナが該ロールシェルに溶接されたことを特徴とす
    る、請求項1〜3のいずれかの項に記載の加温プレスロ
    ール。
  5. 【請求項5】 上記の複数のスティフナの相互間を、連
    結部材により連結したことを特徴とする、請求項3記載
    の加温プレスロール。
  6. 【請求項6】 該ロールシェルが鋳鉄製であることを特
    徴とする、請求項5記載の加温プレスロール。
  7. 【請求項7】 該ロールシェル内部に該蒸気を導入する
    ための蒸気導入管と、 該蒸気導入管から該ロールシェル内部に導入された蒸気
    が凝縮したドレインを排出するためのドレイン排出管と
    をそなえたことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか
    の項に記載の加温プレスロール。
  8. 【請求項8】 該ドレイン排出管の先端と対向する位置
    に、該ドレインを集めるための溝部が該ロールシェル内
    周面の全周にわたって形成され、該ドレイン排出管の先
    端が該溝部に導入されていることを特徴とする、請求項
    7記載の加温プレスロール。
  9. 【請求項9】 該スティフナに、該ドレインを流通させ
    るためのドレイン排出孔が設けられたことを特徴とす
    る、請求項8記載の加温プレスロール。
  10. 【請求項10】 該ロールシェル内周面に、該ロールシ
    ェルの伝熱性能を促進するためのスポイラバーが該ロー
    ルシェルの軸心線方向に向かうようにして設けられたこ
    とを特徴とする、請求項1〜9のいずれかの項に記載の
    加温プレスロール。
  11. 【請求項11】 該ロールシェル内周面に、該ロールシ
    ェルの軸心線方向に向かう軸方向溝部が設けられたこと
    を特徴とする、請求項1〜8のいずれかの項に記載の加
    温プレスロール。
  12. 【請求項12】 該ロールシェル内周面に、該ロールシ
    ェルの軸心線方向に向かうフィンが設けられ、該スティ
    フナは該フィンを介して該ロールシェル内周面に取り付
    けられたことを特徴とする、請求項1〜8のいずれかの
    項に記載の加温プレスロール。
  13. 【請求項13】 該ロールシェルが、該ロールシェルの
    端部に結合されるロール軸付き端部部材をそなえ、 該スティフナの最大外径が、上記のロール軸付き端部部
    材に結合されるロールシェルの端部の内径よりも小さく
    なるように、上記のスティフナの最大外径及びロールシ
    ェルの端部の内径が設定されたことを特徴とする、請求
    項1〜12のいずれかの項に記載の加温プレスロール。
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