JP3509368B2 - 情報処理装置 - Google Patents

情報処理装置

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JP3509368B2
JP3509368B2 JP03855496A JP3855496A JP3509368B2 JP 3509368 B2 JP3509368 B2 JP 3509368B2 JP 03855496 A JP03855496 A JP 03855496A JP 3855496 A JP3855496 A JP 3855496A JP 3509368 B2 JP3509368 B2 JP 3509368B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アファイン変換お
よびその他の画像処理機能を備え、その組合せによって
多種多様な画像処理機能を提供するような情報処理装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】二次元アファイン変換Lは、二次の可逆
行列Aと二次元ベクトルbとによって、xに対してAx
+bを対応させる平面上の変換である。以下、特にb=
0の場合について述べることとし、また、表現を簡略に
するため、しばしばアファイン変換Lとそれを表現する
行列Aとを混同して使用することにする。
【0003】画像に対して、拡大、縮小、回転、鏡映、
並進、およびそれらの組合せを含むアファイン変換を施
すことは、情報処理装置において基本的な機能であり、
アファイン変換を効率的に実行するための手法は数多く
提案されてきた。これらの手法の中には与えられたアフ
ァイン変換を特殊な型の変換の積へ分解するものがあ
る。例えば、
【数1】 のように、回転を三つの斜交軸変換の積に分解して実行
することはよく知られている。また、特公平4−812
30号公報、特公平4−81231号公報に記載されて
いるように、回転を二つの斜交軸変換と一つの拡大縮小
(以下、拡縮と呼ぶ)との積へ分解する
【数2】 が提案されている。あるいは、特開平1−131971
号公報に記載されているように、斜交軸変換と拡縮と9
0゜回転に分解する方法や、特公平2−14750号公
報に記載されているように、3回の斜交軸変換に分解す
る方法も提案されている。さらに、特開昭61−151
783号公報においては、回転に限らないアファイン変
換の二つの斜交軸変換と一つの拡縮との積への分解
【数3】 も提案されている。これらのアファイン変換の分解の主
眼は、斜交軸変換や拡縮といった演算コストのかからな
い処理の組合せとして変換を表現することによって、単
一のアファイン変換の処理を高速に行なうことである。
【0004】一方、特開平05−207266号公報で
は、画像へ施される複数の処理命令を記憶し、それらの
処理順序を必要ならば交換し、また類似の処理を統合な
いし不要な処理を省略することによって処理の効率化を
行なう手法について記載されている。これによれば、例
えば、 (座標変換L1 →座標変換L2 →座標変換L3 ) といった同種の処理の複数回の指令を逐次的に実行する
ことなく、 座標変換 L1 2 3 という単一の統合された処理の実行に置き換える。これ
によって、処理時間を短縮し、また本質的に非可逆なデ
ィジタル画像の幾何変換の回数を減らすことにより処理
画像の品質を向上させることができる。このような処理
の統合あるいは組み替えを行なう技術としては、他に
も、例えば、特公平3−78668号公報や特開平4−
273387号公報などに記載されているものなどがあ
る。
【0005】上述の特開平5−207266号公報で提
案された処理順序交換や類似処理統合ないし不要処理省
略による処理の効率化においては、単一のアファイン変
換にとどまらず、複数のアファイン変換、また、例え
ば、畳み込みによるフィルタ処理といったアファイン変
換以外の画像処理が現れ、それらの処理命令の列を改変
することとなる。
【0006】例えば、画像fに核をgとするフィルタを
施し、さらに行列Lで座標変換を施したものは、画像f
を行列Lで変換し、ついでgを行列Lで座標変換して値
にLの行列式の絶対値を掛けたものを核とするフィルタ
を施したものと同じであり、 (g*f)L=|det L|gL*fL となる。ここで、g*fは画像fの核gによる畳み込み
を、fLは画像fの行列Lによる座標変換を表わす記法
とする。この式はフィルタと座標変換の交換関係を表わ
している。このような交換関係を用いることによって、
例えば、 (座標変換→フィルタ→座標変換) といった一連の処理の列を (座標変換→座標変換→フィルタ) と同種の処理が連接をするように置き換えて、より一層
の処理の統合化をはかることができる。ただしこの場
合、順序交換によってフィルタの核が変更されることに
よる副作用が生じる場合がある。つまり、例えば、核g
が3×3のサイズの配列によって表現されており、それ
を回転することによってgUを表現するための配列のサ
イズが5×5に変更されるとすると、フィルタの処理時
間は増大する。
【0007】一般の画像には回転対称性など望むべくも
ないが、フィルタの核は幾何学的な対称性を仮定できる
場合が多い。先の式は、例えば、Lが|det L|=
1であれば、 (g*f)L=gL*fL となり、さらにLが回転であって、gがラプラシアンフ
ィルタや平滑化フィルタ等の回転対称性を持つ場合は、 (g*f)L=g*fL となる。回転対称性を持つフィルタは、以上のような線
形な畳み込みに限らず、構成要素が回転対称性を持つモ
ルフォロジカルフィルタについても同様である。
【0008】したがって、例えば、gが等方性を持ち、
Lが回転Uと斜交軸変換Nとの積としてL=UNと分解
できたとすれば、 (g*f)L=gN*fL となり、gへは回転を実行せず、斜交軸変換のみを施せ
ば良いことがわかる。
【0009】通常、フィルタの核は二次元配列として表
現されており、核に回転を施せばそれを表現する配列の
サイズが増大してしまい、処理時間は増大する。また、
核に座標変換を施すことによって再標本化の誤差が発生
し、処理の品質が劣化する。核を表現する配列は画像を
表現する配列に較べれば非常に小さいので、座標変換に
伴う誤差は相対的に大きくなる。また、核への座標変換
によって配列の非零成分が増えれば、やはり処理時間の
増大につながる。核への座標変換を簡単なものに置き換
えることによって、これらの問題を回避することができ
る。
【0010】あるいは、Φを画像の最大空間周波数を求
める処理とし、画像fに行列Lによる座標変換を施した
後にΦを行なうとき、Lが回転Uと拡縮Aとの積として
L=UAと分解できたとすれば、 Φ(fL)=Φ(fA) となり、原画像fへは回転を実行せず拡縮のみを施せば
よいことがわかる。
【0011】このように、画像の特徴量を与える種類の
処理では、幾何学的な対称性を備えているものが多く、
特徴量抽出の前に座標変換が行なわれるのであれば、結
果を変えずに座標変換をより単純なものに置き換えるこ
とが可能であるケースが多い。
【0012】このような事情から、多くの画像処理は座
標変換のなす変換群の部分群についての対称性を備えて
いる。この対称性を利用して、結果を変えずに施すアフ
ァイン変換をより単純なものへ置き換えることによって
処理の高速化と高品質化を達成することができる。その
ためにはアファイン変換を代表的な対称性に応じて切り
わけて分解することが必要である。しかし、従来のアフ
ァイン変換を分解して実行する手法では、機能ごとに切
りわけて分解することは考慮しておらず不可能であっ
た。
【0013】また、上述の特開平5−207266号公
報で提案された類似の処理を統合ないし不要な処理を省
略することによって処理の効率化を行なう場合、例え
ば、 (拡縮D→回転U) ⇒ アファイン変換DU のように、拡縮や回転といった特化した座標変換をいっ
たん一般のアファイン変換に還元してしまうことによっ
て処理品質の劣化や処理速度の低下を引き起こすことが
あった。
【0014】図25は、従来のアファイン変換処理を示
す概念図である。ディジタル画像に対しての通常のアフ
ァイン変換処理の実行は図25に示したように、ディジ
タル画像fをなんらかの補間方式を指定することによっ
て連続な領域上の画像f’に延長し、座標変換Lで引き
戻して、再び標本化を行ない、ディジタル画像gを得
る、というプロセスで表現される。図25はいわゆる可
換図式であって、グラフの頂点は集合を、頂点を結ぶ矢
線は写像を表わし、図式中の二頂点間を結ぶ矢線の列が
複数ある場合には、それらの結合で定義される写像は矢
線の列の選び方によらないものとする。また、Zは有理
整数環であり、Rは実数体である。ディジタル画像は、
平面上の座標を有しており、また、各点ごとに濃度を有
しているものとすれば、ディジタル画像は平面上の点と
濃度との対応関係を有していることになる。そのため、
ディジタル画像fを平面の有理整数点上で定義された有
界な実数値関数と見なすことができる。このように見な
すと、その平面全体への延長f’はf’・i=fを満た
す平面上の実数値関数と見なせる。ここに延長f’の選
択には任意性があり、この任意性が最近傍補間や線形補
間といった補間法の違いに対応している。
【0015】ここで、座標変換Lに伴って画像f’が再
標本化の際に標本化定理の仮定を満たさなくなることが
ある。例えば、Lが縮小と回転の組合せである場合が典
型的である。一方、縮小処理においては投影法などの低
域フィルタの作用を加味する図25の概念図とは異なる
アルゴリズムは一般的であるので、縮小処理においては
低域フィルタを施すことが可能ならば、このような処理
はむしろ統合してアファイン変換として実行しないほう
がより適切な場合もある。
【0016】このように特化した処理を一般のアファイ
ン変換に機械的に展開してしまうことが必ずしも得策で
はない場合もあるが、一度統合されたアファイン変換を
再び機能別に切りわけて分解することによって、冗長な
繰り返し処理を省略しつつ、特化されたアファイン変換
のアルゴリズムを効率的に利用することができる。
【0017】以上のような理由から、座標変換を対称性
ないし不変性の観点から分解することが、複数の座標変
換および座標変換以外の画像処理に対して処理順序の交
換や統合を行なうことによる効率化には有効となる。
【0018】しかし、従来のアファイン変換の分解にお
いては、単一のアファイン変換処理の効率化にのみ焦点
がおかれていたので、このような複数のアファイン変換
およびその他の処理を全体として効率化することを目的
とした、変換の対称性による分解は試みられていなかっ
た。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した事
情に鑑みてなされたもので、アファイン変換を異なる対
称性に基づいて分解することによって、処理命令列の交
換統合を適切に行なうことのできる情報処理装置を提供
することを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、情報処理装置において、画像処理の複数の命令から
なる命令列を記憶する命令記憶手段と、前記命令列中の
各命令の幾何変換についての対称性を判定する命令対称
性判定手段と、前記命令記憶手段に記憶された幾何変換
を行なう命令を分解する幾何変換命令分解手段と、前記
命令記憶手段に記憶された命令列を変更する命令変更手
段を備え、前記命令変更手段は、前記命令対称性判定手
段によって判定された対称性に基づく前記幾何変換命令
手段による変換命令の分解を利用して命令列の変更を行
なうことを特徴とするものである。
【0021】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の情報処理装置において、前記命令対称性判定手段は、
正のスカラー乗法についての対称性または行列式の絶対
値が1の座標変換についての対称性を判定し、前記幾何
変換命令分解手段は、座標変換を、正のスカラー乗法
と、行列式の絶対値が1の座標変換との積へ分解するこ
とを特徴とするものである。
【0022】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の情報処理装置において、前記命令対称性判定手段は、
回転、鏡映、斜交軸変換またはユニモジュラーな対角変
換についての対称性を判定し、前記幾何変換命令分解手
段は、行列式の絶対値が1の座標変換を、回転ないし鏡
映と、斜交軸変換と、ユニモジュラーな対角変換との積
へ分解することを特徴とするものである。
【0023】請求項4に記載の発明は、請求項1に記載
の情報処理装置において、前記命令変更手段は、線形フ
ィルタないしモルフォロジカルフィルタと座標変換との
処理順序交換が可能であることを特徴とするものであ
る。
【0024】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の情報処理装置の
実施の一形態を含むシステムの一例を示すブロック図で
ある。図中、1は命令記憶部、2は対称性記憶部、3は
変換分解部、4は命令変更部、5は画像記憶部、6は画
像処理部、7は画像入力部、8は指示入力部、9は画像
表示部、10は画像出力部、11は制御部、12は情報
処理部である。
【0025】画像記憶部5は、画像入力部7から入力さ
れた画像を記憶する。画像処理部6は、命令記憶部1に
記憶されている画像処理命令に従って、画像記憶部5に
記憶されている画像を処理する。
【0026】画像入力部7は、スキャナなどで構成さ
れ、画像データを入力して画像記憶部5に蓄える。図2
は、画像入力部の一例を示すブロック図である。図中、
21はCCDセンサ、22は光学系、23は光学系駆動
回路、24はA/D変換器、5はバッファメモリ、26
は画像データ送信回路、27は制御回路である。原稿の
画像は、光学系駆動回路23により、CCDセンサ21
の読み取り方向と直角の方向に原稿が、または光学系2
2、CCDセンサ21が移動され、原稿全体の画像が読
み取られる。CCDセンサ21で読み取られた画像は、
A/D変換器24でアナログ信号がディジタル信号に変
換され、バッファメモリ25に一時記憶される。バッフ
ァメモリ25に記憶された画像データは画像データ送信
回路26を介し、符号化されて画像記憶部6に送信され
る。制御回路27は、制御部の信号を受け、画像入力部
7全体の制御を行なう。
【0027】指示入力部8は、例えばキーボードや、マ
ウスなどのポインティングデバイスなどによって構成さ
れている。、操作者は表示部9に表示された画像データ
を参照しながら、この指示入力部8から画像処理命令を
与える。与えられた画像処理命令は命令記憶部1に記憶
される。
【0028】表示部9は、例えばディスプレイ等の表示
装置などによって構成され、少なくとも画像記憶部5に
記憶されている処理前、処理後の画像を表示する。制御
部11は各部の制御を行なう。
【0029】画像出力部10は、プリンタや、ネットワ
ークや他システムへのインタフェースなどで構成され、
画像記憶部5に記憶されている画像あるいは画像処理部
6が処理した画像を出力する。図3は、画像出力部10
の一例を示すブロック図である。図中、31は画像デー
タ受信回路、32はレーザドライバ、33はレーザ発信
器、34は同期回路、35はモータ駆動回路、36はポ
リゴンミラー、37は感光体ドラム、38は紙送り系駆
動回路、39は制御回路である。ここでは画像出力部1
0の一つとして、レーザビームプリンタを示している。
送信されてくる画像データは、画像データ受信回路31
により受信変換され、同期回路34で同期を取りなが
ら、レーザドライバ32、レーザ発信器33でレーザ光
を出力する。また、同期回路34は、モータ駆動回路3
5を制御し、ポリゴンミラー6を回転させるモータの駆
動・停止を行なう。さらに、レーザ発信器33、ポリゴ
ンミラー36は、ビームディテクタで検出したレーザ光
に基づき同期回路34によって同期が制御され、感光体
ドラム39上に潜像を形成する。同期回路34はプリン
タ全体の制御を行なう制御回路39によりコントロール
される。制御回路39は、さらに紙送り系駆動回路38
を制御するとともに、制御部11の指令を受け、一連の
制御を行なう。レーザビームプリンタは既に周知である
ので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0030】情報処理部12は、命令記憶部1、対称性
判定部2、変換分解部3、命令変更部4を有している。
命令記憶部1は、画像処理の指令命令が保持される。対
称性判定部2は、命令記憶部1に保持された各々の画像
処理命令に対応して、それらの持つ幾何変換に対しての
対称性の属性が判定される。変換分解部3は、命令の有
する対称性に基づいて、幾何変換命令を分解する。
【0031】命令変更部4は、命令記憶部1に保持され
た指令命令の列に対して、当初の画像処理の指令と同等
な機能となる命令の列を作り出す。図4は、本発明の情
報処理装置の実施の一形態における命令変更部による命
令変更処理の概念を示す説明図である。命令変更部4に
おける新たな命令の列の作り方は、例えば、図4(A)
に示すように、二つの座標変換を一つの座標変換へ統合
するといった、同種の処理命令を一つの処理命令に統合
する処理を行なう。また、図4(B)に示すように、恒
等変換を表わすような座標変換を省略するといった、冗
長な処理命令を省略する処理を行なう。また、図4
(C)に示すように、フィルタ処理と座標変換との処理
順序を交換するといった、処理順序の交換を行なっても
よい。また、命令変更部4は、命令記憶部1に保持され
た命令が幾何変換についての対称性の有無を対称性判定
部2に問い合わせ、命令の有する対称性に基づいて、そ
れに連接する幾何変換命令を変換分解部3によって分解
する。
【0032】以下、変換分解部3において行なわれる幾
何変換命令の分解処理の一例を説明する。幾何変換命令
の指示する変換が、行列Aによって表わされるとする。
ここで、正のスカラー乗法と行列式の絶対値が1の行列
への分解は、以下の(1)式のようになる。
【数4】 ここで、正のスカラー乗法は、縦横の拡縮比が等しい拡
縮変換を示す。
【0033】また、行列
【数5】 が|det A|=|ad−bc|=1を満たすとき、
回転または鏡映、斜交軸変換、ユニモジュラーな対角変
換についての分解は、det A=1ならば、例えば、
以下の(2)式のようになる。
【数6】 また、det A=−1ならば、例えば、以下の(3)
式のようになる。
【数7】
【0034】また、これらをまとめて使用することによ
って、一般の可逆な行列
【数8】 に対して、det A>0の場合は(4)式に示すよう
に正の拡縮と斜交軸変換と回転への分解できる。
【数9】 また、det A<0の場合は(5)式に示すように正
の拡縮と斜交軸変換と鏡映への分解できる。
【数10】
【0035】また、(6)式に示す交換関係
【数11】 を用いて拡縮と斜交軸変換の順序を交換した分解も可能
であり、前出の諸式の転置行列を考えることによって、
回転(ないし鏡映)と拡縮・斜交軸変換の順序を交換し
たさまざまな分解が可能である。
【0036】これらの分解方式によって与えられた幾何
変換から回転成分、鏡映成分、斜交軸変換成分、拡縮成
分等を分離することができる。
【0037】以上の行列の分解を用いて、与えられた幾
何変換から注目する対称性に基づく分解を実行する処理
の流れを詳述する。以下、与えられた行列を
【数12】 で表わし、着目する対称性を備えた行列を
【数13】 で表わし、A=Ai e を満たす、Aよりも簡略な、あ
るいはAi とは異なる対称性を持つ行列を
【数14】 で表わす。
【0038】図5は、変換分解部における正のスカラー
乗法についての対称性による分解の処理の流れを説明す
るフローチャートである。一般の可逆行列Aを正のスカ
ラー行列、つまり等しい正の対角成分を持つ対角行列A
i と、行列式の絶対値が1の行列Ae の積Ai e とし
て表わすように分解する処理の流れを説明する。以下の
処理は(1)式に示した行列の分解を実現する。
【0039】S41で行列Aの値を読み込み、S42で
スカラー行列の係数pを計算する。係数pは、(|ad
−bc|)1/2 を計算すればよい。S43でS42の計
算結果をスカラー行列Ai にセットする。すなわち、a
i とdi がp、bi とci が0である。さらに、S44
で行列式の絶対値が1の行列Ae の成分を計算する。す
なわち、ae はa/p、be はb/p、ce はc/p、
e はd/pとすればよい。これにより行列Aは、
【数15】 のように分解される。ここでは、スカラー乗法について
の対称性に着目し、スカラー行列を分離している。
【0040】図6は、変換分解部における行列式の絶対
値が1の線形変換についての対称性による分解の処理の
流れを説明するフローチャートである。ここでは、一般
の可逆行列Aを行列式の絶対値が1の行列Ai と、正の
スカラー行列、つまり等しい正の対角成分を持つ対角行
列Ae との積Ai e として表わすように分解する処理
の流れを示している。この処理は図5に示した処理とほ
とんど同じであるが、S53で行列式の絶対値が1の行
列Ai の成分を計算し、S54でスカラー行列Ae の成
分を計算している。これにより行列Aは、
【数16】 のように分解される。このように、行列式の絶対値が1
の線形変換についての対称性を用いても分離することが
できる。
【0041】次に、行列式の絶対値が1の行列Aを、拡
縮Ai と、斜交軸変換と回転(ないし鏡映)の積Ae
の積Ai e として表わすように分解する処理の流れを
説明する。以下の処理は(2)式ないし(3)式に示し
た行列の分解を実現する。
【0042】図7は、変換分解部における行列式の絶対
値が1の線形変換を拡縮についての対称性で分離する処
理の流れを説明するフローチャートである。S61で行
列Aの値を読み込み、S62で中間結果のρ,ιを計算
する。S63でS62の計算結果を拡縮を表わす対角行
列Ai にセットする。すなわち、ai を1/ρ、di
ρ、bi とci を0にセットする。
【0043】次に行列Ae をセットするが、まずS64
で行列Aeに回転の成分を計算してセットする。すなわ
ち、ae は−d/ρ、be はc/ρ、ce はc/ρ、d
e はd/ρとすればよい。さらにS65で斜交軸変換の
成分をAeに施して更新する。すなわち、ae にιce
を加算し、be にιde を加算すればよい。これで、行
列Ai に拡縮成分をセットし、行列Aeに残余の斜交軸
変換と回転の積からなる成分がセットされる。これによ
って、拡縮成分を分離することができる。
【0044】図8は、変換分解部における行列式の絶対
値が1の線形変換を回転についての対称性で分離する処
理の流れを説明するフローチャートである。各ステップ
については先の図7とほぼ同様であるが、ここではS7
3で行列Ai に回転成分がセットされ、S74とS75
で行列Ae に残余の斜交軸変換と拡縮の積からなる成分
がセットされる。これによって、回転成分を分離するこ
とができる。
【0045】図9は、変換分解部における行列式の絶対
値が1の線形変換を斜交軸変換についての対称性で分離
する処理の流れを説明するフローチャートである。各々
のステップについては先の図7とほぼ同様であるが、こ
こではS83で行列Ai に斜交軸変換成分がセットさ
れ、S84で行列Ae に残余の回転と拡縮の積からなる
成分がセットされる。これによって、斜交軸変換成分を
分離することができる。
【0046】上述の各例では、行列Aを行列の積Ai
e に分解することによって着目する対称成分Ai を先頭
に持つような分解を与えたが、対称成分を最後に持つよ
うに分解できることも自明である。
【0047】以上のような処理を組合せモジュール化す
ることによって、一般の可逆行列で表現される線形変換
Aに対して、「スカラー乗法」、「行列式の絶対値が1
の線形変換」、「拡縮」、「回転」、「鏡映」、「斜交
軸変換」等の対称性の中から指定された対称性を持つ変
換Ai と、もとの変換Aよりも単純化された変換Ae
分解する変換分解部が実現できる。
【0048】次に、これまで述べた各部の動作を総合し
て、対称性判定部2および変換分解部3を命令変更部4
と組み合せることによって実現される幾何変換命令の分
解と対称性を持つ命令との組合せによる処理の例を説明
する。図10は、幾何変換命令の分解と対称性を持つ命
令との組合せによる命令列の変更の処理の流れの一例を
示すフローチャートである。S91では命令記憶部1に
格納された命令でまだ読み込まれていないものがあるか
否かを判定する。読み込まれていない命令がなければ処
理は終了する。S92で命令を一つ読み込む。説明のた
めに、この読み込んだ命令をXとする。S93では命令
Xが幾何変換命令か否かを判定する。幾何変換命令なら
ばS91に戻り、そうでなければ次のS94へ進む。S
94では対称性判定部2で命令Xの対称性の有無を判定
する。対称性を持たなければS91に戻り、対称性を持
つ場合には次のS95へ進む。S95では先に判定され
た対称性P(例えば「回転対称」など)をセットする。
S96においては、命令Xの直前に処理した命令が幾何
変換命令であったか否かを判定する。説明のために、こ
の直前の命令をYで表わす。命令Yが幾何変換命令でな
ければS91に戻り、幾何変換命令であれば次のS97
に進む。S97では幾何変換命令Yを指定された対称性
Pに基づき、変換分解部3によって対称性を持つ幾何変
換Li と命令YからLi を省いた幾何変換Le とに分解
する。この際、変換分解部3が呼び出すのは各対称性に
ついてそれぞれ用意された図5〜図9に示したスカラー
乗法や行列式の絶対値が1、拡縮、回転、斜交軸変換等
を分離する処理手順である。S98では命令変更部4が
幾何変換命令Le と命令Xとを対称性判定部2を参照し
て変更する。
【0049】以下、具体例を用いて上述の動作の一例を
説明する。一般にフーリエ変換と線形な変数変換には F(fL)=|det L’|F(f)L’ F(f)L=|det L’|F(fL’) L’= t-1 という交換関係がある。ここに、fは原画像、Fはフー
リエ変換を、 tLはLの転置行列を表わす。
【0050】図11は、フーリエ変換と拡縮の順序交換
の具体例を示す説明図である。図中の対角行列は、この
対角行列によって表わされる座標変換、つまり拡縮を表
現している。図11おいては、ステップ1 拡縮命令を
垂直方向の縮小と水平方向の拡大に分解するステップ2
水平方向の拡大をフーリエ変換と順序交換し、フーリ
エ変換と縮小に置換を行なっている。
【0051】図12は、図11におけるフーリエ変換と
拡縮との順序交換による処理の結果を示す模式図であ
る。図12(A)は、図11における最初の手順に対応
した処理の結果を示しており、図12(B)はステップ
1によって改変された手順に対応した処理の結果を、図
12(C)はさらにステップ2によって改変された手順
に対応した処理の結果をそれぞれ示している。
【0052】図13は、拡大とフーリエ変換との順序交
換の説明図である。フーリエ変換によって得られる画像
は、もとの画像の周波数成分を表わす画像である。もと
の画像が縮小された場合、実際には縮小された画像が表
現できる周波数成分はもとの画像と同じであるので、フ
ーリエ変換後の画像の大きさは変わらない。逆に拡大し
た場合、もとの画像の情報量が増加するわけではなく、
全体として粗い画像になるだけであるので、高周波成分
が除去されることになる。そのため、フーリエ変換後の
画像は縮小することになる。
【0053】この性質を利用して、拡大の後にフーリエ
変換が施される場合は、図13に示すように処理順序を
交換し、拡大処理を縮小処理に置き換えることによって
処理速度の向上をはかることができる。すなわち、図1
2(C)に示すように、フーリエ変換を施す画像は縮小
画像であり、図12(A)や(B)に示すような拡大さ
れた大きな画像ではないため、処理時間を短縮すること
が可能である。また、処理に要するメモリ量も削減する
ことができる。
【0054】図14は、対称性テーブルの一例の説明図
である。上述のフーリエ変換の拡大についての対称性
は、例えば図14に示した対称性テーブルとして対称性
判定部2に保持させておくことができる。この対称性テ
ーブルではフーリエ変換は拡縮についての対称性を有
し、直前の幾何変換命令が拡縮であるならば、拡縮の倍
率を調べ、倍率が1より大きい、つまり拡大の場合に
は、拡大処理を倍率が拡大比率の逆数である縮小処理に
変更して、フーリエ変換との処理順序を交換することを
表わしている。
【0055】図15は、座標変換とフーリエ変換とが連
接した場合の幾何変換の分解による命令列の変更の一例
の説明図である。図15においては、ステップ1 幾何
変換を回転(ないし鏡映)と斜交軸変換と拡縮に分解す
るステップ2 拡縮の拡大成分をフーリエ変換と交換す
るを行なう。
【0056】図15に示した処理を、再び図10に示し
たフローチャートに沿ってさらに詳述する。図16は、
図15に示す例における命令記憶部の内容の変化の説明
図である。命令記憶部1には、図16(A)に示すよう
に、線形変換とフーリエ変換の処理の並びが記憶されて
いる。この命令列に現れる命令を順に処理する。最初の
命令である線形変換は、S93において読み飛ばされ、
次の命令であるフーリエ変換が取り込まれる。S94に
おいて、フーリエ変換の対称性の有無を対称性判定部2
に問い合わせる。対称性判定部2は命令の対称性を表わ
す、例えば図14に示すような対称性テーブルを参照
し、フーリエ変換が拡縮についての対称性を持つものと
判定する。S96において、直前の命令が線形変換であ
ることを判定し、S97に移る。S97では変換分解部
3が線形変換を拡縮についての対称性に基づき拡縮成分
を分離して、命令変更部4は命令記憶部1に蓄えられた
図16(A)に示す命令列を、図16(B)に示す命令
列に変更する。図15では線形変換を回転、スキュー、
拡大に分解しているが、図16(B),(C)では回転
とスキューを1つの線形変換として示している。S98
では、命令変更部4は再び対称性判定部2の対称性を表
わす図14に示すような対称性テーブルを参照して、図
16(B)に示す命令列を図16(C)に示す命令列に
変更する。このようにして、命令記憶部1に蓄えられた
図16(A)に示す命令列の処理は終了し、命令列の変
更処理は完了する。
【0057】次に、別の具体例を用いて上述の動作の一
例を説明する。図17は、座標変換とヒストグラム生成
処理からなる命令列の変更の一例を示す説明図である。
図17においては、 ステップ1 幾何変換を行列式の絶対値が1の変換とス
カラー乗法に分解する ステップ2 行列式の絶対値が1の変換をキャンセル
し、スカラー乗法とヒストグラム処理を置換 を行なう。画像のヒストグラムは画素の位置によって影
響を受けないので、面積を変えない幾何変換、すなわち
行列式が1となる変換は不要になる。この不要な処理を
省略することによって処理は簡略化される。また、幾何
変換による面積の変更についても、二次元データとして
の画像への変換として実行するのではなく、一次元デー
タのヒストグラムの結果のグラフについて行なうことに
よって処理はより一層簡略化される。
【0058】このヒストグラム生成処理の面積を不変と
する変換、つまり行列式の絶対値が1の線形変換につい
ての対称性と、スカラー乗法についての対称性は、例え
ば上述の図14に示した対称性テーブルとして対称性判
定部2に保持させておけばよい。この対称性テーブルで
は、ヒストグラム生成は面積を不変とする変換について
の対称性を有し、直前の幾何変換命令が面積を変えない
ならば、その幾何変換命令を消去してもよいことを表わ
している。また、ヒストグラム生成はスカラー乗法につ
いての対称性を有し、直前の幾何変換命令がスカラー乗
法であるならば、幾何変換の実行前にヒストグラム生成
を先行して実行し、得られたヒストグラムのグラフに前
記スカラー乗法の比の二乗をかける処理に変更できるこ
とを表わす。
【0059】図17で説明した処理を図10に示したフ
ローチャートに沿ってさらに詳述する。図18は、図1
7に示す例における命令記憶部の内容の変化の説明図で
ある。命令記憶部1には、図18(A)に示すように、
線形変換とヒストグラム生成の処理の並びが記憶されて
いる。図18(A)に示す命令列中の命令を順に処理す
る。最初の命令である線形変換は、S93において読み
飛ばされ、次の命令ヒストグラム生成が取り込まれる。
S94において、ヒストグラム生成の対称性の有無を対
称性判定部2に問い合わせる。対称性判定部2は命令の
対称性を表わす、例えば図14に示す対称性テーブルを
参照し、ヒストグラム生成が面積を変えない変換とスカ
ラー乗法についての対称性を持つと判定する。S95に
おいて、対称性Pとして面積不変変換およびスカラー乗
法をセットする。S96において、直前の命令が線形変
換であることを判定し、S97に移る。S97では、変
換分解部3が対称性Pに基づき、線形変換をスカラー乗
法と面積を変えない変換とにそれぞれ分解し、命令変更
部4は命令記憶部1に蓄えられた図18(A)に示す命
令を図18(B)に示す命令列に変更する。S98では
命令変更部4は再び対称性判定部2の対称性を表わす図
14に示す対称性テーブルを参照し、面積を変えない変
換の消去と、スカラー乗法とヒストグラム生成との交換
を行なって、図18(B)に示す命令列を図18(C)
に示す命令列に変更する。以上で命令記憶部1に蓄えら
れた命令列の処理は終了し、命令列の変更処理は完了す
る。
【0060】次に、命令列に線形のフィルタが含まれる
場合の動作について説明する。図19は、線形のフィル
タ処理が含まれる場合の命令記憶部の内容の変化の説明
図である。命令記憶部1は、図19(A)に示すよう
に、線形なフィルタを記憶できる。ここでフィルタ命令
のパラメータは、フィルタの核(例えば、3×3画素程
度の小画像)を表わすg、および後述のフィルタと幾何
変換の順序交換時の便宜のために幾何変換を表わす二次
の行列Lとの二つからなる。図19(A)に示すデータ
構造の意味は、核gを幾何変換Lで変換して、核の要素
に幾何変換Lの行列式の絶対値をかけた核|det L
|gLによる畳み込みを表わす。
【0061】図20、図21は、線形フィルタの核への
幾何変換の実現方法の一例の説明図である。図20にお
いて、細線で区切られた各領域が画素に対応する領域で
あり、太線で示した3×3の領域が幾何変換後の線形フ
ィルタの核に対応する領域である。図20に示すよう
に、太線で区切られた領域に含まれる細線で区切られた
領域の面積比をもとに、画素値の加重平均を算出するこ
とによって変換後の画素値を決定することができる。こ
の方法は投影法と呼ばれている。あるいは、図21にお
いて、格子点上の白丸が画素の位置である。太線の格子
点が線形フィルタの核の画素である。図21に示すよう
に、線形フィルタの核に対応する画素の位置が格子点上
にない場合、近傍の格子点における画素値から、例えば
線形補間法によって求めることができる。このようなア
ファイン変換手法等により、線形フィルタの核への幾何
変換を実現することができる。
【0062】なお、フィルタ命令を指定する際に、核に
対して幾何変換を行なう必要がなければ、核への幾何変
換を表わす行列は単位行列idとして、図19(B)に
示すように表現すればよい。
【0063】いま、図19(C)に示すように、フィル
タ命令と幾何変換命令の並びが画像記憶部2に記憶され
ているとする。この時、命令変更部4は図19(D)に
示すようにフィルタと幾何変換とを順序交換し、さらに
図19(E)に示すように核への幾何変換を表わすパラ
メータに交換した幾何変換を作用させることによって、
フィルタ命令と幾何変換命令の処理順序を交換する。
【0064】図22は、フィルタと幾何変換との順序交
換を行なう処理の流れを表わすフローチャートである。
命令変更部4は以下の手順に沿って命令記憶部1に格納
された命令列を変更する。S101では命令記憶部1に
格納された命令でまだ読み込まれていないものがあるか
否かを判定する。読み込まれていない命令がなければ処
理は終了する。S102では命令を一つ読み込む。説明
のために、この読み込んだ命令をXで表わす。S103
では命令Xがフィルタ命令か否かを判定する。フィルタ
命令でなければS101に戻り、フィルタ命令ならば次
のS104へ進む。S104では再び読み込まれていな
い命令があるか否かを判定する。S105では次の命令
を一つ読み込む。この読み込んだ命令ををYで表わす。
S106では命令Yが幾何変換命令か否かを判定する。
幾何変換命令でなければS101に戻り、フィルタ命令
ならば次のS107へ進む。S107では命令記憶部1
上の命令Xと命令Yに対応する命令の順序を交換する。
次のS108では、フィルタ命令の核の幾何変換を表わ
すパラメータの行列に、幾何変換命令Yのパラメータの
行列を右からかける。
【0065】このS107,S108の処理を図19を
用いて説明する。いま、図19(C)に示すように命令
列が命令記憶部1に記憶されており、フィルタ命令が命
令Xとして、また、線形変換命令が命令Yとして取り出
されているものとする。このとき、S107において、
図19(D)に示すように線形変換命令とフィルタ命令
を交換し、S108において、フィルタ命令の核の幾何
変換を表わす行列LをLMに変更する。このようにし
て、命令変更部4はフィルタ処理と行列による幾何変換
との順序を交換することができる。
【0066】図23は、フィルタ命令が含まれている命
令列に対して同種の幾何変換命令を統合する処理を実行
した場合の命令記憶部の内容の変化の説明図である。こ
こでは、線形変換命令を統合する場合について示してい
る。すなわち、図23(A)に示すような (1) 座標変換L0 を施す (2) 核g0 のフィルタを施す (3) 座標変換L1 を施す (4) 核g1 のフィルタを施す (5) 座標変換L2 を施す という一連の処理命令は、フィルタと座標変換との交換
関係、および、同種の処理の統合に基づいて、変換を繰
り返し行なう。
【0067】まず、4番目のフィルタ処理と5番目の座
標変換処理を交換し、図23(B)に示すようにフィル
タ処理の変換行列をL2 とする。この時点で3番目と4
番目に同種の処理である座標変換処理が連続しているの
で、図23(C)に示すようにこの2つの処理を統合す
る。さらに、2番目のフィルタ処理と新たに生成された
3番目の線形変換処理を交換し、図23(D)に示すよ
うにフィルタ処理の変換行列をL1 2 とする。図23
(D)では、1番目と2番目に線形変換処理が連続して
いるので、図23(E)に示すようにこれらを統合す
る。
【0068】ここまでの処理によって、 (1a) 座標変換 L0 1 2 を施す (2a) 核g2 のフィルタを施す (4a) 核g3 のフィルタを施す という命令列が得られる。ただし、核g2 は核g0 に対
して (1) 座標変換L1 2 を施す (2) フィルタの値に|det L1 2 |を掛ける ことにより得られる。同様に、核g3 は核g1 に対して (1) 座標変換L2 を施す (2) フィルタの値に|det L2 |を掛ける ことにより得られる。以降の変換は、次のフィルタ処理
命令の核への座標変換の簡易化の処理であるので、図2
3(F),(G)については後述する。
【0069】続いて命令記憶部1に記憶された命令列に
現れるフィルタ処理命令の核への座標変換を簡易化する
処理の流れを説明する。図24は、命令列に現れるフィ
ルタ処理命令の座標変換パラメータを簡易化する処理の
流れを表わすフローチャートである。命令変更部4は以
下の手順にそって命令記憶部1に格納された命令列を変
更する。
【0070】S111では命令記憶部1に格納された命
令でまだ読み込まれていないものがあるか否かを判定す
る。読み込まれていない命令がなければ処理は終了す
る。S112では命令を一つ読み込む。説明のために、
この読み込んだ命令をAで表わす。S113では命令A
がフィルタ命令か否かを判定する。フィルタ命令でなけ
ればS111に戻り、フィルタ命令ならば次のS114
へ進む。S114ではフィルタ命令Aの座標変換パラメ
ータが単位行列とは異なるか否かを判定する。単位行列
であればS111に戻り、単位行列でなければS115
へ進む。S115ではフィルタ命令Aが等方(つまり回
転ないし鏡映)な対称性を持つか否かを判定する。フィ
ルタ命令Aが等方性を持たなければS111に戻り、持
てば次のS116へ進む。S116では座標変換パラメ
ータの行列Lを回転・鏡映部分Liと拡縮斜交軸変換部
分Le とに分解する。S117では、座標変換パラメー
タLを拡縮・斜交軸変換部分Le に置き換える。そして
再びS111へ戻る。
【0071】図23を用いて上述の処理を説明する。上
述のように、図22で説明した処理手順に基づき、画像
記憶部1に記憶された図23(A)に示す命令列は図2
3(E)に示す命令列へと変換された。その後、図24
で説明した処理手順を続けて実行する。ここで、核g0
と核g1 は共に等方性を持つと仮定する。また、説明の
ためにフィルタの座標変換パラメータとして現れる二つ
の行列L1 2 とL2はともに単位行列とは異なるもの
とする。
【0072】命令変更部4は、命令記憶部1に蓄えられ
た図23(E)に示す命令列の2番目に現れるフィルタ
処理の座標変換パラメータL1 2 が単位行列ではない
ことを判定する。また、2番目のフィルタ処理の核g0
が等方対称性を持つことを対称性判定部2が判定する。
したがって図24のS116において、変換分解部3は
行列L=L1 2 を回転ないし鏡映Li と、拡縮と斜交
軸変換の積Le に分解してL=Li e とする。S11
7において、命令変更部4は、この分解に基づいて図2
3(E)に示す命令列の座標変換パラメータL1 2
3 =Le へ置き換え、図23(F)に示す命令列を得
る。
【0073】図23(F)に示す命令列中の3番目のフ
ィルタ処理についても同様に、変換分解部3は行列L=
2 を回転ないし鏡映Li と拡縮と斜交軸変換の積Le
に分解してL=Li e とする。S117において、命
令変更部4はこの分解に基づいて座標変換パラメータL
2 をL4 =Le へ置き換え、図23(G)に示す命令列
を得る。
【0074】命令変更部4が以上の変更を命令列に対し
て行なうことにより、核への変換は拡縮と斜交軸変換に
限定され、例えば図20に示した核の回転による配列の
サイズの増加を回避することができる。
【0075】以上説明したような画像処理機能は、例え
ば文書エディタや作画ツール、あるいは画像伝送装置や
複写装置等、ディジタル画像を取り扱う様々なシステム
において利用することができる。
【0076】なお、上述の説明では、簡単のため、2次
元空間上の画像を用いて説明したが、グラフィックなど
のように3次元や時間空間を含めた4次元以上の空間で
の座標変換においても、同様に構成することができる。
また、画像がマッピングされる空間は、1次元の濃度だ
けでなく、色も含めた3次元空間などであってもよい。
【0077】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、アファイン変換を異なる対称性に基づいて分
解することによって、一つには座標変換以外の処理であ
って、ある種の座標変換については対称性や不変性を持
つ処理がある場合、その対称性を利用して、施す座標変
換をより単純なものに変更し、処理時間の短縮と処理品
質の向上を図ることができる。また、一般のアファイン
変換を拡縮や回転などの特化したアファイン変換の積へ
と分解することによって、特化したアファイン変換につ
いて用意された最善のアルゴリズムを自由に利用し、処
理の高速化と高品位化を図ることができる。さらに、幾
何変換とは異なる画像処理の、幾何変換についての対称
性を判定し、その結果に応じて対称性に基づいた分解を
幾何変換に施すことによって、幾何変換を含んだ画像処
理命令列の交換統合を効率よく行なうことができるな
ど、種々の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の情報処理装置の実施の一形態を含む
システムの一例を示すブロック図である。
【図2】 画像入力部の一例を示すブロック図である。
【図3】 画像出力部の一例を示すブロック図である。
【図4】 本発明の情報処理装置の実施の一形態におけ
る命令変更部による命令変更処理の概念を示す説明図で
ある。
【図5】 変換分解部における正のスカラー乗法につい
ての対称性による分解の処理の流れを説明するフローチ
ャートである。
【図6】 変換分解部における行列式の絶対値が1の線
形変換についての対称性による分解の処理の流れを説明
するフローチャートである。
【図7】 変換分解部における行列式の絶対値が1の線
形変換を拡縮についての対称性で分離する処理の流れを
説明するフローチャートである。
【図8】 変換分解部における行列式の絶対値が1の線
形変換を回転についての対称性で分離する処理の流れを
説明するフローチャートである。
【図9】 変換分解部における行列式の絶対値が1の線
形変換を斜交軸変換についての対称性で分離する処理の
流れを説明するフローチャートである。
【図10】 幾何変換命令の分解と対称性を持つ命令と
の組合せによる命令列の変更の処理の流れの一例を示す
フローチャートである。
【図11】 フーリエ変換と拡縮の順序交換の具体例を
示す説明図である。
【図12】 図11におけるフーリエ変換と拡縮との順
序交換による処理の結果を示す模式図である。
【図13】 拡大とフーリエ変換との順序交換の説明図
である。
【図14】 対称性テーブルの一例の説明図である。
【図15】 座標変換とフーリエ変換とが連接した場合
の幾何変換の分解による命令列の変更の一例の説明図で
ある。
【図16】 図15に示す例における命令記憶部の内容
の変化の説明図である。
【図17】 座標変換とヒストグラム生成処理からなる
命令列の変更の一例を示す説明図である。
【図18】 図17に示す例における命令記憶部の内容
の変化の説明図である。
【図19】 線形のフィルタ処理が含まれる場合の命令
記憶部の内容の変化の説明図である。
【図20】 線形フィルタの核への幾何変換の実現方法
の一例の説明図である。
【図21】 線形フィルタの核への幾何変換の実現方法
の別の例の説明図である。
【図22】 フィルタと幾何変換との順序交換を行なう
処理の流れを表わすフローチャートである。
【図23】 フィルタ命令が含まれている命令列に対し
て同種の幾何変換命令を統合する処理を実行した場合の
命令記憶部の内容の変化の説明図である。
【図24】 命令列に現れるフィルタ処理命令の座標変
換パラメータを簡易化する処理の流れを表わすフローチ
ャートである。
【図25】 従来のアファイン変換処理を示す概念図で
ある。
【符号の説明】
1…命令記憶部、2…対称性記憶部、3…変換分解部、
4…命令変更部、5…画像記憶部、6…画像処理部、7
…画像入力部、8…指示入力部、9…画像表示部、10
…画像出力部、11…制御部、12…情報処理部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G06T 3/00 100 G06T 1/00 500 H04N 1/387

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像処理の複数の命令からなる命令列を
    記憶する命令記憶手段と、前記命令列中の各命令の幾何
    変換についての対称性を判定する命令対称性判定手段
    と、前記命令記憶手段に記憶された幾何変換を行なう命
    令を分解する幾何変換命令分解手段と、前記命令記憶手
    段に記憶された命令列を変更する命令変更手段を備え、
    前記命令変更手段は、前記命令対称性判定手段によって
    判定された対称性に基づく前記幾何変換命令手段による
    変換命令の分解を利用して命令列の変更を行なうことを
    特徴とする情報処理装置。
  2. 【請求項2】 前記命令対称性判定手段は、正のスカラ
    ー乗法についての対称性または行列式の絶対値が1の座
    標変換についての対称性を判定し、前記幾何変換命令分
    解手段は、座標変換を、正のスカラー乗法と、行列式の
    絶対値が1の座標変換との積へ分解することを特徴とす
    る請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 【請求項3】 前記命令対称性判定手段は、回転、鏡
    映、斜交軸変換またはユニモジュラーな対角変換につい
    ての対称性を判定し、前記幾何変換命令分解手段は、行
    列式の絶対値が1の座標変換を、回転ないし鏡映と、斜
    交軸変換と、ユニモジュラーな対角変換との積へ分解す
    ることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  4. 【請求項4】 前記命令変更手段は、線形フィルタない
    しモルフォロジカルフィルタと座標変換との処理順序交
    換が可能であることを特徴とする請求項1に記載の情報
    処理装置。
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