JP3508931B2 - 襟付きライフジャケット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【発明の属する技術分野】本発明は、首に掛ける装着使
用タイプのライフジャケットに関する。 【０００２】 【従来の技術】人が海、湖、川等に落下したときの救命
用として使用されるライフジャケットは、国土交通省の
検定を受ける必要がある。そのライフジャケットの一つ
の形態として、前身ごろにガスボンベが取り付けられ、
通常時は折り畳まれた状態で首に掛ける装着使用タイプ
がある。これは、ガスボンベから噴出するガスにより急
速膨張することにより広がる方式である。 【０００３】このタイプのものは、ライフジャケットの
荷重の他にガスボンベの荷重が加わり、更にペンライト
やポケットに入れたその他の物の荷重が首に掛かる。ラ
イフジャケットの周縁部は、強度維持も考慮して縁取り
が施されて硬くなっている。このため、前記荷重が掛か
ることによって、長時間の使用によって首の後部が痛く
なることが多々ある。また、海上で船に乗って釣りや漁
をする場合などでは、首の後ろ側が日焼けし、この日焼
け部分の皮膚が擦れてその痛さが更に増す。 【０００４】また、ガス膨張式のライフジャケットで
は、折り畳まれた状態からガス膨張してライフジャケッ
トが開く際に、折り畳まれた先端部が装着者の首の周辺
に衝撃を加え、この衝撃は装着者の後頭部にも及ぶこと
がある。 【０００５】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
点に鑑み、首掛け型ライフジャケットにおいて、これを
長時間使用しても、首の後部が痛くなり難く、また首の
後ろ側の日焼け抑制ができ、更に、ガス膨張式のライフ
ジャケットでは、ガス膨張時の衝撃緩和が可能なライフ
ジャケットを提供するものである。 【０００６】 【課題を解決するための手段】本発明の襟付きライフジ
ャケットは、首に掛ける装着使用タイプであって、左右
の前身ごろとこの左右の前身ごろを上部で連結する連結
部を構成し、この連結部はその上下の中間部を境に前と
後に二つ折りされて形成された前辺と後辺が面ファスナ
で着脱自在に接合保持され、この接合保持状態におい
て、前記前辺と後辺の端部を包み込むように、前記後辺
の後側に取り付けられて前記前辺の前側に延びた襟を設
けたことを特徴とする。 【０００７】これによって、長時間首に掛けていても二
つ折りされた中間部の端部による擦れから首を保護でき
るし、日焼けからも保護できる。また、ガス膨張式のラ
イフジャケットでは、ガス膨張時に生じる前辺の端部の
回動による衝撃から装着者の首を保護することができ
る。更に、この襟の高さ（幅）を大きくすれば装着者の
後頭部の保護も良好となる。 【０００８】 【発明の実施の形態】次に、本願発明の実施形態につい
て説明する。図１は本発明のライフジャケットが折り畳
まれた状態の斜視図、図２は本発明のライフジャケット
を広げた状態の斜視図、図３は本発明のライフジャケッ
トの襟部分の構成図、図４は本発明の調節装置部分の説
明図である。 【０００９】以下、本発明の襟付きライフジャケットの
実施形態として、ガス膨張式ライフジャケットの詳細を
図に基づいて説明する。本発明の襟付きライフジャケッ
ト１は、ガスボンベ２付きであり、通常、図１のように
折り畳まれた状態で装着者（使用者）が首に掛けて使用
されるタイプであり、前身ごろ５、６とこの前身ごろ
５、６を上部で連結して装着者が首に掛ける連結部１２
を構成する。３及び４は接合面に多数のかぎ状繊維を備
え、押圧にてこのかぎ状繊維が相互に絡み合って接合さ
れ、剥がし操作にてその接合が解除される公知の面ファ
スナーである。面ファスナー３は、図２のように広げら
れた状態における周縁部に取り付けられている。また、
面ファスナー４は、前身ごろ５、６の裏側の内側寄りの
部分と連結部１２の上部の左右部分とに縦方向に、更に
装着者の首の周りを巡る連結部１２の下部（後述の後辺
１２Ｂに相当）に横方向に取り付けられている。 【００１０】ライフジャケット１は、通常時は、前身ご
ろ５、６はそれぞれ両端が前側に重なるように左右の中
間部で二つ折りされて面ファスナー３と４とが接着し、
また連結部１２も上端が前側（上側）に重なるように上
下の中間部を境に前と後に二つ折りされ、これによって
形成された前辺１２Ａと後辺１２Ｂに取り付けた面ファ
スナー３と４とが着脱自在に接合している。これが図１
の状態である。面ファスナー３と面ファスナー４との接
合は、通常時には図１の状態を保持し、ガスボンベ２か
ら噴出するガスの膨張によって剥がれ、ライフジャケッ
ト１は図２のように開く構成である。面ファスナー３と
面ファスナー４との接合は、装着者が手指によって容易
に剥がすことができる。 【００１１】ガスボンベ２は、図２のように開いた状態
で右側の前身ごろ６にカバー７によって覆われている。
そして、ガス噴出口金がライフジャケット１に取り付け
た取付金具にネジ８によって着脱可能に取り付けられて
いる。紐９が強く引かれてガスボンベ２のガス噴出口が
開かれることによって、ガス噴出口金と取付金具の通路
を通してガス気充室１０へ炭酸ガスが充填され膨張する
仕組みである。 【００１２】ライフジャケット１は、表材と裏材がナイ
ロン等の合成樹脂材で形成され、この表材と裏材の周縁
部を巡る気密接着部１１で気密に接着されてガス気充室
１０が左右の前身ごろ５、６と、装着者の首の周りを巡
る連結部１２とに渡って形成された構成である。１３
は、ガス気充室１０へ人力によって空気を吹き込むため
の可撓性の空気吹き込みパイプであり、空気の逆流を防
止する逆止弁付きであり、左側の前身ごろ５に設けられ
る。 【００１３】３０は、装着者の首の周りを巡る連結部１
２の下端縁に沿って取り付けた襟であり、この襟３０
は、図３に示すように、装着者がライフジャケット１を
首に掛けた状態において、装着者の首の後部を日差しか
ら覆う高さ（縦幅）を有し、連結部１２の下端縁１２Ｃ
を表裏から包み込む形状に形成されている。そして、ラ
イフジャケット１が図１のように折り畳まれた状態で
は、連結部１２はその上下の中間部を境に図３に示すよ
うに前と後に二つ折りされて、それによって形成される
前辺１２Ａと後辺１２Ｂは、前辺１２Ａと後辺１２Ｂに
設けた面ファスナ３、４の接着（接合）によって接合保
持されている。この状態において、襟３０は前辺１２Ａ
と後辺１２Ｂの端部を包み込むように、後辺１２Ｂの後
側に取り付けられて前辺１２Ａの前側下部を覆うように
上方へ延びている。 【００１４】１４はライフジャケット１の裏側に取り付
けた背面ベルトであり、ライフジャケット１の装着者の
背中の上部左右に位置する上部ベルト１５と、前身ごろ
５、６の裏側下部に取り付けられ中間部を上部ベルト１
５の下部に形成したリング部１６に緩く通した下部ベル
ト１７とから構成されている。前身ごろ５、６の下部は
着脱装置２０によって着脱自在に連結される。 【００１５】着脱装置２０は、それぞれ前身ごろ５、６
の下部に取り付けたベルト１８、１９の先端に取り付け
た係止受け具２１と係止突具２２とで構成している。着
脱装置２０は、係止突具２２の弾性係止部２３が係止受
け具２１の係止部２４に弾性力で係止することによって
結合される。この結合は、装着者が弾性係止部２３を外
側から指で押して係止部２４との係止を解除することに
よって両者の結合が解除できる構成である。 【００１６】ライフジャケット１の装着具合を調節でき
るように、下部ベルト１７の実質長さを使用者に合わせ
得る調節装置２５を備える。調節装置２５は、図４に示
すように、前身ごろ６の裏側下部に取り付けたベルト２
７の先端に止め具２６が取り付けられ、この止め具２６
の桟２８に引っ掛けた下部ベルト１７を緩めることによ
って、止め具２６に対して下部ベルト１７を移動するこ
とができ、所定の位置で止め具２６の桟２８に対して連
結ベルト１３を緊張することによって、その位置で下部
ベルト１７が止め具２６に固定される仕組みである。こ
のため、所定の長さに調節した状態で、下部ベルト１７
が引っ張られても、下部ベルト１７は止め具２６によっ
て緩まない。 【００１７】ライフジャケット１は、通常、図１のよう
に折り畳まれて面ファスナー３と４相互が接合（接着）
しており、このように折り畳まれたものを着脱装置２０
の係止受け具２１と係止突具２２とが外れた状態におい
て、使用者の首に連結部１２を掛け、そして上部ベルト
１５と下部ベルト１７が使用者の背後に位置するように
被る。このとき使用者の両腕は、上部ベルト１５と下部
ベルト１７の結合部、即ち、リング部１６の左右両側に
おいて下部ベルト１７が使用者の両脇の下側に位置する
ように潜らせた状態である。そして、着脱装置２０の係
止受け具２１と係止突具２２とを係合させ、このような
装着状態において、下部ベルト１７の実質長さを調節装
置２５によって調節し、ガス膨張の余裕が有るような良
好な装着状態とする。このような操作によって、ライフ
ジャケット１は、装着者の首に掛けられた状態で安定す
る。 【００１８】この状態において、本発明では、折り畳ま
れた状態において、襟３０は前辺１２Ａの端部を包み込
むように、後辺１２Ｂから前辺１２Ａの前側に掛けて延
びているため、襟３０によって装着者の首が前辺１２Ａ
と後辺１２Ｂの縁部によって擦れることから防止されて
いる。 【００１９】このようにして装着された状態において、
ライフジャケット１の装着者が、例えば、船や岸から
海、湖または川等に落下した緊急時には、紐９を引っ張
ることによってガスボンベ２のバルブが開き、ガスが噴
出してガス気充室１０内で急速膨張し、その膨張力によ
って面ファスナー３、４の接合が剥がれ、図２のように
開く。これによって、ライフジャケット３は、ベルト１
５、１７によって装着者から外れることなく装着者の胸
部前面に保持されるため、ライフジャケット１の上部で
ある連結部１２に頭部を載せた状態で顔面を水上に保持
し、装着者の体がやや後方へ傾斜した状態で水中に浮遊
することができる。 【００２０】ライフジャケット１がガス膨張するとき、
装着者はかなりの衝撃を受ける。このガス膨張によっ
て、ガス気充室１０内にガスが充満するが、そのとき、
前身ごろ５、６の二つ折り状態に接合した面ファスナ
３、４と、連結部１２の前辺１２Ａと後辺１２Ｂを接合
している面ファスナ３、４とが剥がれ、ライフジャケッ
ト１は図２のように開く。前辺１２Ａは膨張しつつ図３
の矢印Ｐ方向へ回動して後辺１２Ｂの上部へ延びた状態
に急速に立ち上がる。このとき、前辺１２Ａの端部がそ
の立ち上がり時に装着者の首を擦ろうとする。しかし本
発明では、折り畳まれた状態において、襟３０は前辺１
２Ａの端部を包み込むように、後辺１２Ｂから前辺１２
Ａの前側に掛けて延びているため、前辺１２Ａの端部の
回動による衝撃から装着者の首を保護する。 【００２１】前身ごろ５、６が図１のようにその端５
Ａ、６Ａが前側に折り畳まれた状態では、この端５Ａ、
６Ａによって装着者の首が擦れるが、襟３０を装着者の
首の左右側部分をも覆う長さに形成することによりそれ
が防止できる。また、襟３０を装着者の首の左右側部分
をも覆う長さに形成することにより、ガス膨張時に生じ
る前辺１２Ａの端部の回動による衝撃及びガス膨張によ
る衝撃から装着者の首の保護が良好になる。更に、ガス
膨張したときには、端５Ａ、６Ａによって装着者の首が
擦れる場合があるが、襟３０を装着者の首の左右側部分
をも覆う長さに形成することにより、襟３０が首を保護
できる。また、襟３０の高さ（縦幅）を大きくすること
によって、前辺１２Ａの端部の回動による衝撃から装着
者の後頭部の保護が良好となる。 【００２２】襟３０は、吸水性でない素材で形成され、
装着者の肌にソフトフィット感のある合成樹脂製であ
る。袋状にしてその中に吸水性でない弾力材を入れた構
成とすることによって、上記の衝撃から装着者の首や頭
部の保護が更に良好となる。 【００２３】ライフジャケット１がガス膨張した浮遊状
態において、冬季などの温度が低い状況では、ガス気充
室１０の膨張が少ない場合がある。この場合には、空気
吹き込みパイプ１３から人口的に空気を吹き込むことに
より、ガス気充室１０の膨張を増加させることができ
る。 【００２４】本発明は、上記のように、折り畳まれた状
態において、襟３０は前辺１２Ａの端部を包み込むよう
に、後辺１２Ｂから前辺１２Ａの前側にかけて延びてい
るため、前辺１２Ａ及び後辺１２Ｂによって生じる装着
者の首の擦れによる痛さから保護でき、更に、襟３０に
よって装着者の首を日焼けから保護することもできる。
また、ガス膨張式の場合には、ガス膨張時の前辺１２Ａ
の端部の回動による衝撃から装着者の首を保護すること
ができる。 【００２５】本発明は、上記実施形態に限定されず、本
発明の技術的範囲を逸脱しないかぎり種々の変更が考え
られ、それに係る種々の実施形態を包含するものであ
る。 【００２６】 【発明の効果】本発明では、折り畳まれた状態におい
て、襟は首に掛けた連結部の前辺の端部を包み込むよう
に、連結部の後辺から前辺の前側に掛けて延びているた
め、前辺及び後辺によって生じる装着者の首の擦れによ
る痛さから保護でき、更に、襟によって装着者の首を日
焼けから保護することもできる。また、ガス膨張式の場
合には、ガス膨張時に生じる前辺の端部の回動による衝
撃から装着者の首を保護することができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明のライフジャケットの折り畳まれた状態
の斜視図である。 【図２】本発明のライフジャケットを広げた状態の斜視
図である。 【図３】本発明のライフジャケットの襟部分の構成図で
ある。 【図４】本発明の調節装置部分の説明図である。 【符号の説明】 １……ライフジャケット ２……ガスボンベ ３、４……面ファスナ ５、６……前身ごろ １０……ガス気充室 １１……気密接着部 １２……連結部 １２Ａ……連結部の前辺 １２Ｂ……連結部の後辺 １４……背面ベルト ３０……襟

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】 首に掛ける装着使用タイプであって、左
   右の前身ごろとこの左右の前身ごろを上部で連結する連
   結部を構成し、この連結部はその上下の中間部を境に前
   と後に二つ折りされて形成された前辺と後辺が面ファス
   ナで着脱自在に接合保持され、この接合保持状態におい
   て、前記前辺と後辺の端部を包み込むように、前記後辺
   の後側に取り付けられて前記前辺の前側に延びた襟を設
   けたことを特徴とする襟付きライフジャケット。