JP3507901B2 - アルミナ増粘ラテックス調合物 - Google Patents

アルミナ増粘ラテックス調合物

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 1. 発明の分野 本発明は、増粘(thickened)ラテックス組成物、よ
り詳細には増粘ラテックス塗料組成物に関する。
2. 従来技術の説明 水を基とするラテックス塗料および被覆材(ラテック
ス組成物)が産業および住宅用途で幅広く用いられてい
る。性能を適切にするには、上記ラテックス組成物を水
平(上部および下部)、垂直および複雑な形状の物に流
出傾向を最小限にしながら均一に塗布することができな
ければならない。このような性能を得るには、上記ラテ
ックス組成物を塗布している間そして塗布した後の流動
性を調節する必要がある。典型的には、噴霧、はけ塗り
またはローラーを用いた塗布を含むいくつかの方法の1
つを用いてラテックス組成物を塗布することができる。
従って、この組成物の流動調節は代替塗布方法を可能に
するような調節でなければならない。加うるに、このよ
うな調合物は全部、液体中に固体、例えば顔料などが入
っている懸濁液であることから、この調合物の成分が過
度の沈降および分離を起こさないように、流動性の調節
を製造中に加えて貯蔵中にも行う必要がある。
水を基とするラテックス組成物の増粘で有機増粘剤、
例えばヒドロキシエチルセルロース(HEC)などを用い
ることができることはよく知られている。加うるに、水
溶液中でチキソトロープ(thixotropes)として働くこ
とが知られている特定の粘土もまた増粘剤として単独か
或はHECと協力させて用いられる。より最近になって、
「会合増粘剤(Associative Thickeners)」として知
られるものが開発され、これは一般に、水に相溶性(混
和性)を示す液体中に分散している合成ポリマー材料で
ある。
単純な水溶液用の増粘剤として一水化アルミナ類、例
えばベーマイトアルミナなどを用いることができること
はよく知られている。例えば、水系の洗浄調合物で上記
ベーマイトアルミナを増粘剤として用いることが従来技
術に開示されている。
発明の要約 従って、本発明の1つの目的は、せん断低粘化(shea
r thinning)を示すアルミナ増粘剤を用いた水を基と
する増粘ラテックス組成物を提供することにある。
本発明のさらなる目的は、優れた浄化(clean−up)
特性を示す水を基とするラテックス塗料組成物を提供す
ることにある。
本明細書に示す図、説明および添付請求の範囲から本
発明の上記および他の目的が明らかになるであろう。
本発明は増粘ラテックス組成物を提供し、これに、こ
の組成物の所望流動特性を得るに有効な量でベーマイト
アルミナを流動改良剤として含める。本発明の組成物で
用いるに有用なベーマイトアルミナは、約60オングスト
ローム以下の結晶子サイズ(020面)を有しそして焼成
時に約200m2/g以上の表面積を示すアルミナである。
図の簡単な説明 図1は、内装品質の平面壁用塗料で用いられる種々の
増粘剤の効果を示すボーリン(Bohlin)流動グラフであ
る。
図2は、高品質の内装平面塗料(ビニル−アクリル
系)で用いられる種々の増粘剤の効果を示すボーリン流
動グラフである。
図3は、外装(改質アクリル系)品質のハウスペイン
ト(House Paint)−白色における種々の増粘剤の効果
を示すボーリン流動グラフである。
図4は、外装(改質アクリル系)品質のハイビルド
(High Build)ハウスペイント−白色における種々の
増粘剤の効果を示すボーリン流動グラフである。
図5は、良品質の平面壁用塗料−白色において種々の
ベーマイトアルミナが示す増粘能力をHECと対比させた
比較を示すグラフである。
好適な態様の説明 示すように、本発明はラテックス組成物の個々の用途
で用いられる。このようなラテックス組成物は本分野の
技術者によく知られている。言葉「ラテックス組成物」
を本明細書で用いる場合、これは、天然もしくは合成の
ゴムもしくはプラスチックであって小滴または粒子で出
来ている結合剤が水中に分散している組成物を指す。上
記ラテックス組成物の例はエマルジョンペイントまたは
ラテックス塗料と通常呼ばれる組成物である。上記合成
ゴムもしくはプラスチック材料の非制限的例には、スチ
レン−ブタジエンゴム、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルと
アクリル酸ブチル、アクリル酸オクチル、フマル酸ジブ
チル、マレイン酸ジオクチル、プロピオン酸ビニルなど
の如きモノマー類とのコポリマー類、並びにポリアクリ
レートのポリマー類およびコポリマー類、例えばアクリ
ル酸エチルと適切なメタアクリル酸アルキルのコポリマ
ー類などが含まれる。一般的に言って、考慮下の種類の
ラテックス組成物は、ラテックス結合剤またはベヒクル
(水を含む)を約10重量%から約90重量%そして他のよ
く知られている成分もしくは材料、例えば二酸化チタ
ン、炭酸カルシウムなどの如き顔料などを約90重量%か
ら約10重量%の量で含む。加うるに、ラテックス塗料組
成物には通常、増粘剤、界面活性剤、凍結防止剤、防腐
剤、殺生物剤、集合助剤、pH調整剤、消泡剤などが入っ
ている。考慮下の種類のラテックス塗料には通常この組
成物の約10重量%から約70重量%の量で顔料が入ってい
る。
本発明の増粘組成物で用いるに有用なベーマイトアル
ミナ増粘剤は、020面で測定して約60オングストローム
以下の結晶サイズを有しそして焼成でガンマ相にした時
に約200m2/g以上の表面積を示す如何なるベーマイトア
ルミナも包含し得る。この有用なベーマイトアルミナ類
の表面積測定では典型的にベーマイトアルミナの焼成を
約450℃から約500℃の温度で約1から約5時間行う。こ
のような焼成により、一般に、ベーマイトアルミナがガ
ンマアルミナに変化する。しかしながら、このアルミナ
を本発明の組成物で増粘剤または流動改良剤として用い
る場合、これをベーマイト形態のアルミナ、即ちそれの
未焼成形態で用いると理解されるべきである。一般的に
言って、本組成物の所望流動特性を得るに有効な量でベ
ーマイトアルミナを存在させる。例えば、ラテックス塗
料を塗布する表面の種類および角度(水平に対する)に
応じて、この組成物の所望流動特性を幅広く変化させる
ことができ、従って、この用いる増粘剤の量を幅広く変
化させることができる。しかしながら、一般的に言っ
て、特にこのベーマイトアルミナ増粘剤をラテックス塗
料で用いる場合、この組成物の約0.1重量%から約5重
量%の量でベーマイトアルミナ増粘剤を存在させる。こ
の用いるベーマイトアルミナは水に分散し得る種類のも
の、即ち分散で酸を必要としない種類のものが特に好適
であるが、必ずしも必要ではない。
本発明をより詳細に説明する目的で以下の非制限的実
施例を示す。以下の実施例では、塗料調合物の商業的製
造で通常用いられる2段階様式でラテックス塗料の調製
を行った。「グラインド(grind)」段階で、顔料そし
て分散で必要とされる材料を加えて高せん断速度で混合
する。「レットダウン(letdown)」段階で、樹脂そし
て他の熱もしくはせん断に敏感な成分を加えて低せん断
速度で混合する。上記グラインド段階では、その成分を
一緒にした後、1.5"のCowlesブレードが用いられている
実験室のCowlesディソルバー(dissolver)を用いて約2
000フィート/分(撹拌機先端速度)で分散させた。レ
ットダウンの材料を加え、そして均一に混ざり合うま
で、より低い撹拌機先端速度でブレンドした。B形粘度
計またはボーリンVORレオメーターを用いて種々の粘度
測定を行った。
実施例1 この実施例では、内装用(改質アクリル系)の良品質
の平面壁用塗料でHECの全体および部分的置き換えとし
て水分散性アルミナを用いることを示す。調合物を以下
の表1に示す。
図1に表1の調合物に関するボーリン流動プロットを
示す。見られるように、HECの完全もしくは部分的置き
換えでベーマイトアルミナを用いることができ、そして
調合物全体では、同様な粘度プロファイルを維持するこ
とができる。また見られるように、アルミナを含有する
調合物はHECのみを含有する調合物より高いせん断低粘
化を示す。これは、塗料調合物を噴霧で塗布する時にこ
の調合物を希釈する必要がないことから重要な要因であ
る。
実施例2 この実施例では、高品質の内装平面用塗料(ビニル−
アクリル系)でベーマイトアルミナを粘土増粘剤の全体
的置き換えおよび会合増粘剤の部分的置き換えとして用
いることを示す。調合物を以下の表2に示す。
図2に表2の調合物を比較するボーリン流動曲線を示
す。見られるように、粘土増粘剤および会合増粘剤が入
っている調合物で、同様な粘度プロファイルを維持しな
がら該粘土増粘剤の完全な置き換えおよび会合増粘剤の
部分的置き換えでアルミナを用いることができる。更に
見られるように、アルミナを含有する調合物はアルミナ
が全く入っていない調合物より良好なせん断低粘化特性
を示す。
実施例3 この実施例では、外装(改質アクリル系)品質のハウ
スペイント−白色でHECの部分的置き換えとしてベーマ
イトアルミナを用いることができることを示す。調合物
を以下の表3に示す。
図3に表3の調合物のボーリン流動プロットを示す。
見られるように、外装ハウスペイントにおけるHECの部
分的置き換えでベーマイトアルミナを用いることがで
き、そして調合物全体では、粘度プロファイルを維持す
ることができる。また図3で見られるように、ベーマイ
トアルミナを含有する調合物は向上したせん断低粘化を
示し、このことから、噴霧の如き技術を用いた塗布がよ
り容易である。
実施例4 この実施例では、外装(改質−アクリル系)品質のハ
イビルドハウスペイント−白色でベーマイトアルミナを
粘土増粘剤の全体的置き換えおよび会合増粘剤の部分的
置き換えで用いることを示す。調合物を以下の表4に示
す。
表4の調合物のボーリン流動曲線を示す。見られるよ
うに、この曲線は、建築外装用の塗料調合物において最
終調合物で同様な粘度プロファイルを維持しながらベー
マイトアルミナを粘土増粘剤の完全な置き換えおよび会
合増粘剤の部分的置き換えで用いることができることを
示している。
実施例5 種々のベーマイトアルミナが示す物性を以下の表5に
挙げる。
表5に挙げたベーマイトアルミナを良品質の平面壁用
塗料−白色調合物で増粘剤として用いた。このアルミナ
増粘剤を用いて製造した調合物を、HECを増粘剤として
用いた調合物と比較した。このアルミナ増粘剤を用いた
場合全て、この増粘剤を、相当する調合物で用いるHEC
量の2.7倍量で存在させた。増粘剤がHECである調合物を
以下の表6に示す。
種々のアルミナおよびHECを入れたラテックス塗料に
B形粘度測定を受けさせた。その結果を図5に示す。図
5で見られるように、結晶子サイズ(020面)が約60オ
ングストローム以下で表面積(焼成後)が約200m2/g以
上のアルミナはHECに匹敵するか或はより良好な流動特
性を示す。特に、結晶子サイズ(020面)が約40オング
ストローム以下で表面積(焼成を受けさせてガンマ相に
した時)が約250m2/g以上のアルミナは充填量をより高
くしたにも拘らずHECに比較して優れた流動特性を示す
ことを注目されたい。
図5に示すように、必要とされるベーマイトアルミナ
増粘剤充填量は匹敵するラテックス塗料中のHEC充填量
よりも有意に高いが、HECに比較した時、ベーマイトア
ルミナを用いることで達成される他の利点は、そのよう
な充填量の差を相殺する。ベーマイトアルミナを用いて
製造したラテックス塗料はたとえこれを増粘剤の部分的
置き換えとして用いたとしてもHEC、粘土または会合増
粘剤のみが入っているラテックス染料に比べて浄化がず
っと容易であることを見い出した。また、HECおよびあ
る種の会合増粘剤とは異なり、ベーマイトアルミナ増粘
剤は生分解を受けないと考えられる。上に示したよう
に、ラテックス塗料にベーマイトアルミナを入れるとせ
ん断低粘化が向上し、これにより恐らくは、噴霧装置を
用いた上記ラテックス塗料の塗布を希釈なしに行うのが
より容易になるであろう。最後に、会合増粘剤またはHE
Cに比較した時にベーマイトアルミナが示す固有の性質
から、ベーマイトアルミナを増粘剤として用いたラテッ
クス塗料は良好な洗浄性(scrubbability)を示すと期
待される、即ち洗い流しまたは洗浄を受けた時、これら
はより高い耐久性を示す。
上記説明および実施例は本発明の選択した態様の例示
である。これを考慮に入れることで本分野の技術者に変
形および修飾形が思い浮かぶと思われるが、これらは全
部本発明の精神および範囲内である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16 C09D 101/00 - 201/10 WPI/L(QUESTEL)

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】約60オングストローム以下の結晶子サイズ
    (020面)を有しそして焼成でガンマ相にした時に約200
    m2/g以上の表面積を示すベーマイトアルミナを流動改良
    剤として含むラテックス組成物であって、上記ラテック
    ス組成物の所望流動特性を得るに有効な量で上記ベーマ
    イトアルミナが存在する組成物。
  2. 【請求項2】上記ラテックス組成物がラテックス塗料を
    含む請求の範囲第1項の組成物。
  3. 【請求項3】追加的流動改良剤を含む請求の範囲第2項
    の組成物。
  4. 【請求項4】上記追加的流動改良剤がセルロース系増粘
    剤を含む請求の範囲第3項の組成物。
  5. 【請求項5】上記追加的流動改良剤がヒドロキシエチル
    セルロースを含む請求の範囲第4項の組成物。
  6. 【請求項6】上記追加的流動改良剤が、水系媒体中で流
    動特性を示す無機材料を含む請求の範囲第3項の組成
    物。
  7. 【請求項7】上記追加的流動改良剤が粘土を含む請求の
    範囲第6項の組成物。
  8. 【請求項8】上記追加的流動改良剤が、水に相溶性を示
    す担体液体中に分散しているポリマー材料を含む請求の
    範囲第3項の組成物。
  9. 【請求項9】上記ベーマイトアルミナが水分散性を示す
    請求の範囲第1項の組成物。
  10. 【請求項10】上記ベーマイトアルミナが約40オングス
    トローム以下の結晶子サイズを有しそして焼成を受けさ
    せてガンマ相にした時に約250m2/g以上の表面積を示す
    請求の範囲第1項の組成物。
  11. 【請求項11】上記ベーマイトアルミナが上記組成物中
    に上記組成物の約0.1重量%から約5重量%の量で存在
    する請求の範囲第1項の組成物。
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