JP3501312B2 - 一方向性クラッチ - Google Patents

一方向性クラッチ

Info

Publication number
JP3501312B2
JP3501312B2 JP12864795A JP12864795A JP3501312B2 JP 3501312 B2 JP3501312 B2 JP 3501312B2 JP 12864795 A JP12864795 A JP 12864795A JP 12864795 A JP12864795 A JP 12864795A JP 3501312 B2 JP3501312 B2 JP 3501312B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
roller
clutch
groove
gear
way clutch
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP12864795A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08326784A (ja
Inventor
長尾  安裕
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP12864795A priority Critical patent/JP3501312B2/ja
Publication of JPH08326784A publication Critical patent/JPH08326784A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3501312B2 publication Critical patent/JP3501312B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、一方向性クラッチに関
し、特にスタ−タ用一方向性クラッチに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスタ−タは、スタータモータのア
ーマチャの回転軸である電機子出力軸が一方向性クラッ
チ(オーバーランニングクラッチ)を介してピニオンギ
アに結合され、このピニオンギアはリングギアと噛合し
てエンジンのクランク軸に結合されている。
【0003】従来の一方向性クラッチは、内外周面が互
いに対面するとともに一方がピニオンギアに他方が電機
子出力軸に結合されるクラッチアウタ及びクラッチイン
ナ(以下、単にスリーブともいう)と、この内外周面の
一方に周方向一端側へ徐々に浅くなるローラ収容溝に周
方向相対変位可能に収容されるクラッチローラーと、こ
のクラッチローラーをローラー収容溝の上記周方向一端
側へ付勢するクラッチスプリングとを備えており、トル
クはローラと上記内外周面間との摩擦により伝達され
る。
【0004】また、ローラー収容溝を持たないスリーブ
のローラー接触面にローラー係合用の係合溝を設けたい
わゆる爪クラッチ式の一方向性クラッチも提案されてい
る。特開昭62ー288733号公報は、ローラーを収
容するためのローラー収容溝に軸方向に支持ピンを横架
し、この支持ピンに中空のクラッチローラーを遊嵌して
クラッチローラーの最大変位量を規定することを提案し
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年に
おける内部減速型スタータなどにおいては一方向性クラ
ッチの接続時の衝撃負荷が増大し、またそれに対する耐
久性の確保のためにクラッチ重量の増大が生じていた。
更に、このクラッチ重量の増大は上記接続時の衝撃負荷
を一層増大させるという不具合があった。
【0006】クラッチ重量の低減のためにスリーブを樹
脂化することが考えられるが。単に、ローラーと摩擦接
触するスリーブを樹脂化するだけでは、一方向性クラッ
チの小型軽量化及びその慣性質量の低減、更にはそれに
よるクラッチ接続時の衝撃負荷の低減を実現することは
困難であることがわかった。 すなわち、ローラーと樹
脂スリーブのローラー接触面とを摩擦接触させる場合、
両者間の摩擦係数はローラーと金属スリーブ間のそれ以
下であるのが通常であるので、必要な摩擦力を発生する
ためにローラーを従来の金属スリーブへの押圧力以上に
強大な押圧力で径方向へ押圧せねばならず、この押圧力
に耐えるためにクラッチ全体の強度、重量を従来の金属
スリーブ式クラッチ以上に確保する必要があった。結
局、スリーブの一方又は両方に樹脂材を用いても、トル
ク伝達をローラーとスリーブのローラー接触面との摩擦
を通じて行う以上、クラッチの小型軽量化及びその慣性
質量の低減、更にはそれによるクラッチ接続時の衝撃負
荷の低減及び接続遅延時間の短縮を実現することは困難
であることがわかる。
【0007】一方、従来の爪クラッチ式の一方向性クラ
ッチではクラッチ結合時の衝撃が大きい動作条件におい
て、ローラーがローラー係合溝の肩部すなわち爪部に衝
突し、この部位に大きな衝撃が発生するため、ローラー
係合溝を有するスリーブの強度の格段の向上を図る必要
があるという問題があった。更に、従来の爪クラッチ式
の一方向性クラッチでは、オーバーランニング状態から
駆動(トルク伝達)状態に移行する過渡状態において、
ローラーがローラー係合溝以外のローラー接触面に接し
ている(落ち込み前状態という)状態からこのローラー
係合溝に落ち込む際、狭小な径方向隙間しか存在しない
落ち込み前状態において、両スリーブから径方向に圧迫
され、このためにローラー係合溝への落ち込みが遅れて
正常なトルク伝達が遅れ、この遅延のために駆動側の回
転体が加速され、このためにローラーがローラー係合溝
に落ち込んだ際の衝撃が一層増大するという問題もあっ
た。
【0008】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
であり、クラッチ接続時の耐衝撃性やトルク伝達性能を
損なうことなく小型軽量化を実現可能な一方向性クラッ
チを提供することを、その目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の構成は、
外周面にローラー係合溝が凹設された筒状のクラッチイ
ンナと、前記クラッチインナの前記外周面に対して径方
向へ所定間隙を隔てて対面する内周面に、楔状溝をなす
テーパ状切り欠き部であるローラ収容溝が周方向等間隔
凹設された筒状のクラッチアウタと、前記ローラー収
容溝に略周方向相対変位可能に収容されるとともに前記
ローラー収容溝の所定の接続位置にて前記両溝の肩部と
当接して前記クラッチインナ及びクラッチアウタ間の一
方向のトルク伝達を仲介する中空形状のクラッチローラ
ーと、前記クラッチローラーを前記ローラ収容溝の浅底
へ向けて押圧するクラッチスプリングとを備え、前記
ローラ係合溝は、前記ローラ収容溝の整数倍に円周上等
間隔に形成されていることを特徴とする一方向クラッチ
である。
【0010】本発明の第2の構成は、上記第1の構成に
おいて更に、前記クラッチインナ及びクラッチアウタの
うち、前記ローラー係合溝を有する方は、合成樹脂を主
素材として形成されていることを特徴としている。本発
明の第3の構成は、上記第1の構成において更に、前記
クラッチインナ及びクラッチアウタのうち、前記ローラ
ー収容溝を有する方が、合成樹脂を主素材として形成さ
れていることを特徴としている。
【0011】本発明の第4の構成は、上記第1の構成に
おいて更に、前記プラネタリギアを支承する減速軸がス
タ−タのピニオンギア側に連結され、サンギアがスタ−
タモータの電機子出力軸に連結された遊星減速機構のイ
ンターナルギアと固定部材との間に介設されることを特
徴としている。
【0012】
【作用及び発明の効果】本発明の第1の構成では、一対
のローラー接触面をなす内、外周面に個別に凹設された
ローラー係合溝及びローラー収容溝がローラーを介して
トルク伝達する。すなわち、ローラは、両溝の肩部すな
わち端面と当接し、これら両端面がローラーを仲介とし
てトルク授受する。これら端面は径方向に少なくともあ
る程度は盛り上がっているので、トルク伝達は摩擦力で
はなく、これら端面によるローラーの係止作用によりな
される。
【0013】したがって、本構成では、周方向の摩擦力
成分に基づいてトルク伝達を行うことが少ないので、伝
達トルク量が増大しても径方向押圧力を増大する必要が
なく、クラッチインナやクラッチアウタの強度をこの強
大な径方向押圧力に耐え得るように大型化する必要がな
く、クラッチの小型軽量化が実現する。ただ、このよう
な爪クラッチ式のトルク伝達方式では、特にクラッチ接
続(結合)時などにおいてローラーがローラー係合溝の
肩部すなわち爪部に衝突し、この部位に大きな衝撃が発
生するため、ローラー係合溝を有するスリーブの破損強
度の格段の向上を図る必要があるという問題があったの
は、前述した通りである。そこで、本構成では、ローラ
ーを中空筒状にしている。このようにすると、ローラー
がローラー係合溝の肩部(端面上部)の小面積領域に押
圧されてこの部分に局部的に力が集中する時、ローラー
が中空であるので、ローラーが撓んでローラーの外周面
と肩部との接触面積が増大し、これにより面圧が低下
し、この肩部の破損を防止することができる。
【0014】また、オーバーランニング状態から駆動
(トルク伝達)状態に移行する過渡状態において、ロー
ラーがインナ及びアウタの両方から径方向に圧迫されて
もローラーが中空で変形性が大きいので、ローラーが変
形してローラーにかかる径方向の押圧力が小さくなり、
このためローラーが周方向に動き易くなって素早くロー
ラー係合溝に落ち込むことができて駆動側の回転体が加
速されることを抑止でき、この結果としてローラー係合
溝に落ち込んだ際の衝撃を低減することができる。更
に、上記したローラーが変形してローラー及びインナ、
アウタにかかる径方向の押圧力が小さくなるので、イン
ナ及びアウタの強度を増大する必要がなく、クラッチの
一層の小型軽量化を図ることができる。
【0015】結局、本構成によれば、クラッチ接続時の
耐衝撃性やトルク伝達性能を損なうことなく小型軽量化
を実現可能な一方向性クラッチを提供することができ
る。また、例えばエンジンクランキング時におけるトル
ク脈動時のようにクラッチがオーバーランニング状態と
ピニオン駆動状態との間で動作状態が頻繁に移行する場
合でも、ローラーの上記変形によるローラー係合溝への
落ち込みが速く、ローラーの空走時間が短いので、ロー
ラーなどの摩擦部位の磨耗を低減することができる。
【0016】更に、中空形状のローラーの変形により、
各ローラーと各ローラー係合溝との一対一の嵌め込みが
各種寸法誤差が大きくても可能となり、製造精度を緩和
できる。本発明の第2の構成では、上記第1の構成にお
いて更にローラー係合溝を有する方を合成樹脂を主素材
として形成しているので、下記の作用効果を更に奏する
ことができる。
【0017】上述のように、第1の構成の爪クラッチ式
のトルク伝達方式では、特にクラッチ接続(結合)時な
どにおいてローラーがローラー係合溝の肩部すなわち爪
部に衝突し、この部位に大きな衝撃が発生するため、ロ
ーラー係合溝を有するスリーブの破損強度の格段の向上
を図る必要があるという問題があったのは、前述した通
りである。そこで、本構成では、ローラー係合溝側の回
転体の主素材を樹脂としている。このようにすると、ロ
ーラーがローラー係合溝の肩部(端面上部)の小面積領
域に押圧されてこの部分に局部的に力が集中する時、こ
の肩部が樹脂製なので肩部が金属製の場合に比べて容易
に撓んでローラーの外周面と肩部との接触面積が増大
し、これにより面圧が低下し、この肩部の破損を防止す
ることができる。
【0018】また、オーバーランニング状態から駆動
(トルク伝達)状態に移行する過渡状態において、ロー
ラーがインナ及びアウタの両方から径方向に圧迫されて
もローラー係合溝側の回転体のローラー接触面が圧力集
中による面圧増大により弾性変形して凹み、ローラーに
かかる径方向の押圧力が小さくなり、このためローラー
が周方向に動き易くなって素早くローラー係合溝に落ち
込むことができて駆動側の回転体が加速されることを抑
止でき、この結果としてローラー係合溝に落ち込んだ際
の衝撃を低減することができる。更に、このローラー接
触面の凹みによりローラー及びインナ、アウタにかかる
径方向の押圧力が小さくなるので、インナ及びアウタの
強度を増大する必要がなく、クラッチの一層の小型軽量
化を図ることができる。
【0019】結局、本構成によれば、クラッチ接続時の
耐衝撃性やトルク伝達性能を損なうことなく小型軽量化
を実現可能な一方向性クラッチを提供することができ
る。また、例えばエンジンクランキング時におけるトル
ク脈動時のようにクラッチがオーバーランニング状態と
ピニオン駆動状態との間で動作状態が頻繁に移行する場
合でも、ローラー接触面の上記凹みによりローラー係合
溝へローラーの落ち込みが促進され、ローラーの空走時
間が短くなり、ローラーなどの摩擦部位の磨耗を低減す
ることができる。
【0020】本発明の第3の構成では、上記第1の構成
において更に、前記クラッチインナ及びクラッチアウタ
のうち、前記ローラー収容溝を有する方が、合成樹脂を
主素材として形成されているので、このローラー収容溝
を有する方の回転体が変形して上記第2の構成と同様に
応力集中を緩和することができ、上記第2の構成と同様
の効果を奏することができる。
【0021】本発明の第4の構成では、上記第1の構成
において更に、一方向性クラッチをスタ−タ内蔵の遊星
減速機構のインターナルギアと固定部材との間に介設し
たので、部品点数及び製造工数を低減することができ
る。
【0022】
【実施例】
(実施例1)本発明の遊星ギヤ減速機構付スタ−タの一
実施例を図1に示す。ハウジング8の右端にはスタ−タ
モータ20が締結されており、スタ−タモータ20の図
中、上方に隣接してマグネットスイッチ15がハウジン
グ8に締結されている。
【0023】スタ−タモータ20のアーマチャシャフト
(スタ−タモータ20の回転軸)1aの右端部は、スタ
−タモータ20のエンドブラケット16により軸支され
ており、アーマチャシャフト1aの左端の径小部1cは
ドライブシャフト6の右端凹部内にて軸受け6dにより
支軸されている。2はスタ−タモータ20のヨークであ
る。アーマチャシャフト1aの左端部は、外周にサンギ
ヤ1bが形成された径大部と、径大部から更に突出する
上記径小部1cとからなる。
【0024】ドライブシャフト6はアーマチャシャフト
1aと同一軸心に沿って図中、左方に延設されており、
その左端部は軸受け8bを介してハウジング8に、その
右端部は軸受け5cを介してセンターケース3に支持さ
れている。ドライブシャフト6の中央部外周には一端部
にピニオンギヤ7aが形成されたスプラインチューブ7
がドライブシャフト6のヘリカルスプライン溝6aにて
ヘリカルスプライン嵌着されており、一方、ハウジング
8に設けられた支持部8aにシフトレバー13が枢支さ
れており、シフトレバー13の一端はスプラインチュー
ブ7の外周7eに係合し、シフトレバー13の他端はマ
グネットスイッチ15の図示しないプランジャに結合さ
れているフック9に連結されている。
【0025】次に、遊星ギヤ減速機構を説明する。ドラ
イブシャフト6の右端にはフランジ状の径大部6bが設
けられており、径大部6bの貫通孔に圧入された複数の
ピン6cの突出部分は軸受け4bを介してそれぞれ遊星
ギヤ4を回転自在に保持している。これら遊星ギヤ4
は、その径小側にてサンギヤ1bと噛合し、その径大側
にてインターナルギヤ5の内歯5fと噛合している。
【0026】インターナルギヤ5は、両端開口の円筒形
状を有しており、内周面に内歯5fが形成された径大円
筒部5gと、径大円筒部5gの左端から径内方向へ伸び
る端壁部5hと、端壁部5hの内端から軸方向へ伸びる
円筒部5aとからなっている。センターケース3は、外
周がハウジング8に固定されている略底付円筒形状を有
し、上記した遊星ギヤ減速機構を収容するギヤ室を形成
している。センターケース3は、図1に示すように、径
大筒部3eと、径大筒部3eの左端から径内方向へ伸び
る端壁部3fと、端壁部3fの内端から軸方向へ伸びる
径小円筒部3aとからなり、ドライブシャフト支持用の
軸受け5cが嵌入されている。センターケース3はヨー
ク2とハウジング8との間に軸方向に挟まれた状態で、
固定されている。18は図示しない機関のリングギヤで
ある。
【0027】次に、本実施例の特徴をなす一方向クラッ
チ30について説明する。インターナルギヤ5の円筒部
(本発明でいうクラッチアウタ)5aと、センターケー
ス3の径小円筒部(本発明でいうクラッチインナ)3a
はその間に介設された中空のクラッチローラ3b及び後
述のスプリング(付勢手段)3cとともに、一方向クラ
ッチ30を構成している(図2参照)。また、インター
ナルギヤ5の端壁部5h及びセンターケース3の端壁部
3fはクラッチローラ3bの両端面に摺接可能となって
おり、クラッチローラ3bの軸方向への逸脱を規制して
いる。
【0028】この一方向クラッチ30のB線矢視径方向
拡大断面図を図2に示す。本実施例では、インターナル
ギヤの円筒部5aは一方向クラッチ30のアウタレース
(クラッチアウタ)を構成し、その内周面には周方向等
間隔にいわゆる楔状溝をなすテーパ状切り欠き部(ロー
ラー収容溝)44dが形成されている。センターケース
3の径小円筒部3aは一方向クラッチ30のインナレー
ス(クラッチインナ)を構成し、その外周面には上記テ
ーパ状切り欠き部5aの整数倍の窪み(ローラー係合
溝)53aが円周上等間隔に形成されている。3bは切
り欠き部(楔状溝)44d内に移動可能に装着された略
円筒形のローラ(クラッチローラ)、3cはこのローラ
3bを切り欠き部(楔状溝)44dの浅底側へ押圧する
スプリング(クラッチスプリング)である。
【0029】一方向クラッチ30の楔状溝44dは、ス
タ−タモータ20のアーマチャ1が回転し、遊星ギヤ減
速機構に回転力が伝達され、インターナルギヤ5に荷重
がかかる方向に拘束するように形成されている。 (作動)次に、本実施例のスタ−タの動作を説明する。
【0030】図示しない機関のスタ−タスイッチが閉成
されてマグネットスイッチ15が作動し、図示しないプ
ランジャに結合したフック9がシフトレバー13を回動
させると、シフトレバー13がスプラインチューブ7及
びピニオンギヤ7aをエンジンのリングギヤ18側に前
進させる。ピニオンギヤ7aがリングギヤ18に噛み合
い、マグネットスイッチ15のスタ−タモータへの電力
供給用接点(図示せず)が閉じるとアーマチャシャフト
1aが回転し、それによりサンギヤ1bを通じて遊星
(プラネタリ)ギヤ4が回転し、遊星ギヤ4はインター
ナルギヤ5を回転させようとする。
【0031】インターナルギヤ5が回転しようとする
と、センターケース3の径小円筒部3a上のクラッチロ
ーラ3bはスプリング3cの付勢により楔状溝44d内
を図2中、左方向へ変位し、窪み53aの右肩部53b
によってクラッチローラ3bは楔状溝44dの終点壁3
gに到達させられ、インターナルギヤ5の円筒部5aは
クラッチローラ3bを介しセンターケース3の径小円筒
部3aに固定される。
【0032】これにより、アーマチャシャフト1aの回
転は遊星ギヤ4で減速されてドライブシャフト6を駆動
し、ドライブシャフト6はヘリカルスプライン溝6aを
通じてスプラインチューブ7を回転させつつ前進させ、
これによりピニオンギヤ7aがリングギヤ18を駆動す
る。図示しないエンジンが始動してリングギヤ18によ
りスタ−タモータ20がオーバーランされると、ピニオ
ンギヤ7aを介してリングギヤ1bからトルクを受け、
遊星ギヤ4は高速回転する。この時、インターナルギヤ
5は駆動時と逆方向のトルクを受けることになり、それ
によりクラッチローラ3bがスプリング3cを押圧し
て、楔状溝44d内を図2中、右側の径方向間隔が広く
なった部位に移動し、これにより、インターナルギヤ5
の円筒部5aとセンターケース3の径小円筒部3aとの
ロックが解除される。その結果、インターナルギヤ5は
センターケース3に対してロックする側とは反対方向に
回転することが可能となり、ドライブシャフト6とアー
マチャシャフト1aとの相対回転によって生じる遊星ギ
ヤ4の自転を吸収する様にインターナルギヤ5が回転す
るので、アーマチャ1が無負荷回転以上にエンジン側か
ら回されることがない。
【0033】以上説明したように、クラッチ30は、イ
ンターナルギヤ5の円筒部5aをクラッチアウタとし、
その内周に円周方向に徐々に内径が拡がるテーパ状切り
欠き部(楔状溝)44dを設け、センターケース3の径
小円筒部3aをクラッチインナとし、その外周面上に上
記テーパ状切り欠き部44dの整数倍の窪み53aを設
け、テーパ状切り欠き部44dとセンターケース3の径
小円筒部3aとの間にクラッチローラ3bを配置し、ス
タ−タモータ20が駆動した時の回転力をインターナル
ギヤ5を介してセンターケース3で受け止めつつドライ
ブシャフト6に伝達するために、センターケース3の径
小円筒部3aの窪み53aの肩部53bとインターナル
ギヤ5の径小円筒部5aのテーパ状切り欠き部44dの
終点壁3gとの間にクラッチローラ3bを介在させ、イ
ンターナルギヤ5の回転をロックさせているので、従来
の如く楔状空間にクラッチローラを食い込ませて接触面
に発生するヘルツ応力に応じた摩擦力によってトルクを
伝達するクラッチと異なり、クラッチインナ及びクラッ
チアウタの機械的強度を軽減することができる。
【0034】図4(a)には従来のクラッチトルク伝達
時に作用する力の関係を示してある。ここで径小円筒部
3aのローラー接触面に働くトルクTは、径小円筒部3
aの半径をr、径小円筒部3aとローラ3bとの間の摩
擦力をF、ローラの個数をnとすると以下のように表さ
れる。 T=r・F・n ここで、径小円筒部3aとローラ3bとの間の摩擦力F
は、径小円筒部5aのローラ転動面に垂直に働く抗力を
N、径小円筒部5aとローラ3bとの間の摩擦係数μと
すると、 F=μ・N と表され、従来のスタ−タ用ローラ式一方向クラッチで
はμの値は約0.4としているので、径小円筒部3a表
面はローラ3bとの間の摩擦力Fの約2.5倍の抗力N
に耐えなければならない。しかし、本実施例の一方向ク
ラッチにおいては、図4(b)に示すようにクラッチロ
ーラ3bを係止する窪み53aの肩部53b表面に垂直
に加えられる抗力N’とし、その点の接線と径小円筒部
5aの半径線とのなす角をθとすると、回転方向の力P
は P=N’・cosθ で表され、同様にトルクTは、 T=r・P・n で表される。このθの値を例えば通常の減速ギヤである
平歯車の圧力角と同じ20°にとれば、クラッチローラ
3bと当接する窪み53aの面部に働く抗力N’は、回
転方向の力Pの約1.06倍となり、所定のトルクを得
るための図4(a)における摩擦力Fと図4(b)にお
ける窪み53aに働く回転方向の力Pとは等しくて良い
ので、本実施例における径小円筒部3aの内部に向かう
応力は従来のクラッチに比べ、約2/5ですむことがわ
かる。
【0035】このように従来のクラッチのような径小円
筒部3aが窪み53aを持たないのでローラ滑接円筒面
を有する場合には、摩擦力でローラ3bと径小円筒部3
aとの相対回転を規制するため、樹脂などのように弾性
変形しやすい材料で径小部3aを製作すると、この弾性
変形により滑りが生じやすくなってしまう。このことに
より、本実施例による一方向クラッチでは、過大なヘル
ツ応力に耐えうる材料を使用しなくてもトルク伝達が可
能となる。
【0036】なお、この実施例のインターナルギヤ5は
66ナイロンを成形して形成され、センターケース3は
炭素鋼板の深絞り行程及び多段のプレス工程により容易
に形成されるが、他の製造方法、素材の選択は自由であ
る。また、一方向クラッチのアウタとインナの間に介在
させるローラの代わりにボールを用いてもその効果は同
等であることは言うまでもない。
【0037】更に詳しくクラッチのオーバーランの動作
を説明する。スタ−タモータ20が始動してオーバーラ
ンすると、ピニオンギヤ7aはリングギヤから過大なト
ルクを受け、遊星歯車4は高速回転する。この時、イン
ターナルギヤ5は駆動時と逆方向のトルクを受けること
となり回転し始める。それによりクラッチローラ3bは
インナ3aの係止凹部53aの斜面53bからの反力と
遠心力によりスプリング3cを押圧して楔状溝44d内
を図2中、右側の径方向間隔が広くなった部位に変位
し、これにより、インターナルギヤ5の径小円筒部5a
とセンターケース3とのロックが解除され、インナ3a
とローラ3bとの接触が断たれる。
【0038】一方、トルク伝達時に複数のローラー3b
で同時に荷重を分担させるためには、従来の様に剛性の
高い鉄系の材料では楔状溝44dの割り出しを高精度に
行う必要があり、容易でなかった。これに対し、本実施
例では、クラッチの構成部材の主要部分を変形容易な樹
脂部材の変形により誤差の吸収を行なうため精度公差を
大巾に拡大する事が可能となり、クラッチアウタ5aの
樹脂化以外にも、インナ3aの溝形成の生産性も上げる
ことが出来、低コスト化を図ることができる。
【0039】また、オーバーラン時においては、ローラ
ー3bの遠心力がスプリング3cに打勝ってアウタ5a
内奥に収納されるまで、ローラー3bとインナ3aの溝
部(ローラー係合溝)の肩部が衝突するが、ローラー3
bが略中空部材となっていて剛性が低く、その変形によ
り衝突時の局部的な衝撃が吸収され、インナ3aの角部
の摩耗破損を抑えることができる。
【0040】(実施例2)図3及び図7に示す他の実施
例は、センターケース3の筒部外周に樹脂リング31を
装着したものであり、更にインナ3aの生産性向上によ
る低コスト化及び軽量化を実現できる。 (実施例3)図8に示す他の実施例は、インナ5dと一
体に樹脂成形されたインターナルギヤ5を用い、このイ
ンナ5dとセンターケース5と一体に形成されたアウタ
5dとの間にローラー3bを介設したものである。この
実施例では、ローラー3bに遠心力が働かないため、実
施例1に対してインナ5dとローラー3bとの衝突スピ
ードが大きいが、インナ5d及び中空ローラ3bの緩衝
効果により、実施例1と同様に爪クラッチの長所を生か
すことができる。
【0041】(変形態様)図2では、伝動子であるロー
ラー3bは円筒形状となっているが、略中空状であれば
良く、図6のようにコイル材を密着巻きしたものや、図
5のように平板を丸めたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の一方向性クラッチを用いる
スタータの軸方向断面図である。
【図2】図1の一方向性クラッチの径方向半断面図であ
る。
【図3】図7の一方向性クラッチの径方向半断面図であ
る。
【図4】(a)従来の一方向性クラッチの動作を示す説
明図である。 (b)図2の一方向性クラッチの動作を示す説明図であ
る。
【図5】図2のクラッチローラーの変形例を示す斜視図
である。
【図6】図2のクラッチローラーの変形例を示す斜視図
である。
【図7】本発明の実施例2の一方向性クラッチを用いる
スタータの軸方向断面図である。
【図8】本発明の実施例3の一方向性クラッチの軸方向
断面図である。
【符号の説明】
5aはクラッチアウタ、3aはクラッチインナ、53a
はローラー係合溝、44dはローラー収容溝、3bはク
ラッチローラー、3cはクラッチスプリング(付勢手
段)、31は樹脂リング(クラッチインナ)。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外周面にローラー係合溝が凹設された筒状
    のクラッチインナと、前記クラッチインナの前記外周面
    に対して径方向へ所定間隙を隔てて対面する内周面に
    楔状溝をなすテーパ状切り欠き部であるローラ収容溝が
    周方向等間隔に凹設された筒状のクラッチアウタと、前
    記ローラー収容溝に略周方向相対変位可能に収容される
    とともに前記ローラー収容溝の所定の接続位置にて前記
    両溝の肩部と当接して前記クラッチインナ及びクラッチ
    アウタ間の一方向のトルク伝達を仲介する中空形状のク
    ラッチローラーと、前記クラッチローラーを前記ローラ
    収容溝の浅底側へ向けて押圧するクラッチスプリング
    を備え、前記ローラ係合溝は、前記ローラ収容溝の整数
    倍に円周上等間隔に形成されていることを特徴とする一
    方向クラッチ。
  2. 【請求項2】前記クラッチインナは、合成樹脂を主素材
    として形成されている請求項1記載の一方向性クラッ
    チ。
  3. 【請求項3】前記クラッチアウタは、合成樹脂を主素材
    として形成されている請求項1記載の一方向性クラッ
    チ。
  4. 【請求項4】前記プラネタリギアを支承する減速軸がス
    タ−タのピニオンギア側に連結され、サンギアがスタ−
    タモータの電機子出力軸に連結された遊星減速機構のイ
    ンターナルギアと固定部材との間に介設される請求項1
    記載の一方向性クラッチ。
JP12864795A 1995-05-26 1995-05-26 一方向性クラッチ Expired - Fee Related JP3501312B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12864795A JP3501312B2 (ja) 1995-05-26 1995-05-26 一方向性クラッチ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP12864795A JP3501312B2 (ja) 1995-05-26 1995-05-26 一方向性クラッチ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08326784A JPH08326784A (ja) 1996-12-10
JP3501312B2 true JP3501312B2 (ja) 2004-03-02

Family

ID=14989994

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP12864795A Expired - Fee Related JP3501312B2 (ja) 1995-05-26 1995-05-26 一方向性クラッチ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3501312B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5071243B2 (ja) * 2008-05-27 2012-11-14 株式会社デンソー クラッチ
EP3682131B1 (de) 2017-09-12 2021-11-17 Gkn Automotive Ltd. Freilaufkupplung
US11320004B2 (en) 2017-09-12 2022-05-03 Gkn Automotive Ltd. Overrunning clutch having a friction-induced actuating force

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08326784A (ja) 1996-12-10

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2929942B2 (ja) スタータのオーバーランニングクラッチ
KR102186657B1 (ko) 방사상으로 배향된 디커플링 메커니즘을 구비한 풀리 조립체
EP1944520B1 (en) Selectable one-way clutch with symmetrical struts
US6575275B2 (en) Ratchet one-way clutch
US6239503B1 (en) Electric starter motor
EP1300602B1 (en) Pulley unit having one-way clutch
US5819583A (en) One-way clutch with resilient ring and starter using the same
KR100760006B1 (ko) 토크 업쇼바를 구비한 엔진 스타터
JP3584592B2 (ja) 一方向クラッチ
JP2008082186A (ja) エンジン始動用トルク伝達装置
US5199309A (en) Starter unit
EP0554517A1 (en) Overrunning clutch system
US20060252556A1 (en) Pawl drive for coupling torque between two rotatable elements
JP3501312B2 (ja) 一方向性クラッチ
US20130074652A1 (en) Starter Motor Having Clutch with Grooved Roller Elements
JP2010065677A (ja) 可変バルブタイミング装置
US5740694A (en) Starter with planetary reduction gear mechanism
US6789438B2 (en) Engine starting apparatus
JP3551534B2 (ja) 一方向性クラッチ
JP3567592B2 (ja) 一方向クラッチ及びそれを有するスタータ
US5355982A (en) Starter drive for internal combustion engines
JP3570453B2 (ja) 一方向クラッチ
JP4437027B2 (ja) 回転作動型ワンウェイクラッチ
EP0155325B1 (en) Overrunning clutch
JPS61268869A (ja) 遊星歯車減速機構付スタ−タ

Legal Events

Date Code Title Description
A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20031127

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees