JP3499604B2 - スフィンゴ糖脂質ミセルからなる薬物担体 - Google Patents
スフィンゴ糖脂質ミセルからなる薬物担体Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スフィンゴ糖脂質ミセ
ルからなる薬物担体及び該薬物担体を用いた医薬組成
物、並びにそれらの製造法に関する。
ルからなる薬物担体及び該薬物担体を用いた医薬組成
物、並びにそれらの製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】二重層ミセルであるリポソームは、薬物
を特定の標的組織に送達するための担体として使用され
ている[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及びB.
E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 259-30
2 ]。リポソームを薬物担体として使用する場合、慎重
に考慮されるべき因子は、その安定性、均一なサイズ、
水溶性薬物の取り込み効率及び標的組織へのターゲッテ
ィングの効率である[P.R.クリス、M.J.ホープ、M.B.バ
リィ、T.D.マッデン、L.D.マイアー及びA.S.ジャノフ
(1987) “Liposomes: From Biophysics to Therapeutic
s"(M.J.オストロ編集)39〜72頁、マルセル・デッカ
ー、ニューヨーク;L.レーザーマン及びP.マチィ (198
7) “Liposomes: From Biophysics to Therapeutics"
(M.J.オストロ編集)157 〜194 頁、マルセル・デッカ
ー、ニューヨーク]。これらの中で、ターゲッティング
効率が最も重要である。
を特定の標的組織に送達するための担体として使用され
ている[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及びB.
E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 259-30
2 ]。リポソームを薬物担体として使用する場合、慎重
に考慮されるべき因子は、その安定性、均一なサイズ、
水溶性薬物の取り込み効率及び標的組織へのターゲッテ
ィングの効率である[P.R.クリス、M.J.ホープ、M.B.バ
リィ、T.D.マッデン、L.D.マイアー及びA.S.ジャノフ
(1987) “Liposomes: From Biophysics to Therapeutic
s"(M.J.オストロ編集)39〜72頁、マルセル・デッカ
ー、ニューヨーク;L.レーザーマン及びP.マチィ (198
7) “Liposomes: From Biophysics to Therapeutics"
(M.J.オストロ編集)157 〜194 頁、マルセル・デッカ
ー、ニューヨーク]。これらの中で、ターゲッティング
効率が最も重要である。
【0003】薬物送達に関する殆どの報告は、網内系細
胞に富む肝臓及び脾臓以外の臓器にリポソーム封入薬物
をターゲッティングすることを重要視している。肝臓を
ターゲッティングすることに関する二三の報告がなされ
ている[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及びB.
E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 259-30
2 ;J.C.ロジャース及びS.コーンフェルド (1971) Bioc
hem.Biophys.Res.Commun. 45, 622-629 ]。肝臓に達し
た後、殆どのリポソームがクッパー細胞に取り込まれ、
これらの細胞により処理され、そしてそれらの限られた
数が柔細胞に取り込まれる[D.A.タイレル、T.D.ヒー
ス、C.M.コレイ及びB.E.ライマン (1976)Biochim.Bioph
ys.Acta 457, 259-302 ]。柔細胞へのリポソームの配
向の効率を改良するために、リポソームサイズの減少
[Y.E.ラマン、E.A.セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラウ及
びB.J.ライト (1982) Life Sciences 31, 2061-2071 ]
及びそれらの変法[A.スロリア及びB.K.バッチハワット
(1977) Biochim.Biophys.Acta497,760-765;S.ヨシオ
カ、Y.バンノ、K.オオキ、T.モリタ、Y.ミズカミ及びY.
ノザワ(1986) Yakuzaigaku 46, 247-253]が試みられて
いるが、その処理は複雑である。
胞に富む肝臓及び脾臓以外の臓器にリポソーム封入薬物
をターゲッティングすることを重要視している。肝臓を
ターゲッティングすることに関する二三の報告がなされ
ている[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及びB.
E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 259-30
2 ;J.C.ロジャース及びS.コーンフェルド (1971) Bioc
hem.Biophys.Res.Commun. 45, 622-629 ]。肝臓に達し
た後、殆どのリポソームがクッパー細胞に取り込まれ、
これらの細胞により処理され、そしてそれらの限られた
数が柔細胞に取り込まれる[D.A.タイレル、T.D.ヒー
ス、C.M.コレイ及びB.E.ライマン (1976)Biochim.Bioph
ys.Acta 457, 259-302 ]。柔細胞へのリポソームの配
向の効率を改良するために、リポソームサイズの減少
[Y.E.ラマン、E.A.セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラウ及
びB.J.ライト (1982) Life Sciences 31, 2061-2071 ]
及びそれらの変法[A.スロリア及びB.K.バッチハワット
(1977) Biochim.Biophys.Acta497,760-765;S.ヨシオ
カ、Y.バンノ、K.オオキ、T.モリタ、Y.ミズカミ及びY.
ノザワ(1986) Yakuzaigaku 46, 247-253]が試みられて
いるが、その処理は複雑である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、リポソーム
よりも容易に調製することができ、薬物送達システム
(以下「DDS」という。)に適用可能な薬物担体を提
供することを目的とする。
よりも容易に調製することができ、薬物送達システム
(以下「DDS」という。)に適用可能な薬物担体を提
供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前述した
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スフィンゴ糖
脂質が均一なサイズの安定かつ小さい単層ミセルを容易
に形成し、このスフィンゴ糖脂質ミセルが簡単な操作で
脂溶性物質及び両親媒性物質を効率よく取り込み、保持
することを見出した。これは、単層ミセルを形成するス
フィンゴ糖脂質のような物質がDDSにおける担体とし
て利用できることを示す。また、本発明者らは、静脈内
注射後に、スフィンゴ糖脂質ミセルが肝臓中に急速に多
量に蓄積し、そこに長期間停留することを見出した。こ
れらの知見は、スフィンゴ糖脂質ミセルが肝臓配向担体
として使用でき、新しいDDSを構築することを示す。
目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、スフィンゴ糖
脂質が均一なサイズの安定かつ小さい単層ミセルを容易
に形成し、このスフィンゴ糖脂質ミセルが簡単な操作で
脂溶性物質及び両親媒性物質を効率よく取り込み、保持
することを見出した。これは、単層ミセルを形成するス
フィンゴ糖脂質のような物質がDDSにおける担体とし
て利用できることを示す。また、本発明者らは、静脈内
注射後に、スフィンゴ糖脂質ミセルが肝臓中に急速に多
量に蓄積し、そこに長期間停留することを見出した。こ
れらの知見は、スフィンゴ糖脂質ミセルが肝臓配向担体
として使用でき、新しいDDSを構築することを示す。
【0006】即ち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)ミセル状のスフィンゴ糖脂質からなる薬物担体。
(2)スフィンゴ糖脂質がガングリオシド、ラクトガン
グリオシド、グロボシド、イソグロボシド、ラクトシド
及びネオラクトシドからなる群から選ばれる少なくとも
1種である前記(1)に記載の薬物担体。
グリオシド、グロボシド、イソグロボシド、ラクトシド
及びネオラクトシドからなる群から選ばれる少なくとも
1種である前記(1)に記載の薬物担体。
【0007】(3)スフィンゴ糖脂質を水又は水性媒体
に添加し、ミセルを形成させることを特徴とする薬物担
体の製造法。 (4)スフィンゴ糖脂質の有機溶媒溶液を水又は水性媒
体に添加し、ミセルを形成させることを特徴とする前記
(3)に記載の製造法。
に添加し、ミセルを形成させることを特徴とする薬物担
体の製造法。 (4)スフィンゴ糖脂質の有機溶媒溶液を水又は水性媒
体に添加し、ミセルを形成させることを特徴とする前記
(3)に記載の製造法。
【0008】(5)スフィンゴ糖脂質がガングリオシ
ド、ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシ
ド、ラクトシド及びネオラクトシドからなる群から選ば
れる少なくとも1種である前記(3)又は(4)に記載
の製造法。 (6)ミセル状のスフィンゴ糖脂質からなる薬物担体に
薬物が封入されてなる医薬組成物。
ド、ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシ
ド、ラクトシド及びネオラクトシドからなる群から選ば
れる少なくとも1種である前記(3)又は(4)に記載
の製造法。 (6)ミセル状のスフィンゴ糖脂質からなる薬物担体に
薬物が封入されてなる医薬組成物。
【0009】(7)薬物が脂溶性物質又は両親媒性物質
である前記(6)に記載の医薬組成物。 (8)スフィンゴ糖脂質がガングリオシド、ラクトガン
グリオシド、グロボシド、イソグロボシド、ラクトシド
及びネオラクトシドからなる群から選ばれる少なくとも
1種である前記(6)又は(7)に記載の製造法。 (9)スフィンゴ糖脂質及び薬物を水又は水性媒体に添
加し、ミセルを形成させることを特徴とする医薬組成物
の製造法。
である前記(6)に記載の医薬組成物。 (8)スフィンゴ糖脂質がガングリオシド、ラクトガン
グリオシド、グロボシド、イソグロボシド、ラクトシド
及びネオラクトシドからなる群から選ばれる少なくとも
1種である前記(6)又は(7)に記載の製造法。 (9)スフィンゴ糖脂質及び薬物を水又は水性媒体に添
加し、ミセルを形成させることを特徴とする医薬組成物
の製造法。
【0010】(10)スフィンゴ糖脂質の有機溶媒溶液を
水又は水性媒体に添加した後、薬物の有機溶媒溶液を添
加し、ミセルを形成させることを特徴とする前記(9)
に記載の製造法。 (11)薬物が脂溶性物質又は両親媒性物質である前記
(9)又は(10)に記載の製造法。
水又は水性媒体に添加した後、薬物の有機溶媒溶液を添
加し、ミセルを形成させることを特徴とする前記(9)
に記載の製造法。 (11)薬物が脂溶性物質又は両親媒性物質である前記
(9)又は(10)に記載の製造法。
【0011】(12)スフィンゴ糖脂質がガングリオシ
ド、ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシ
ド、ラクトシド及びネオラクトシドからなる群から選ば
れる少なくとも1種である前記(9)〜(11)のいずれ
かに記載の製造法。 本発明に用いるスフィンゴ糖脂質としては、スフィンゴ
イド(炭素数16〜20の長鎖アミノアルコール)を含む糖
脂質であれば特に制限はなく、例えばガングリオシド、
ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシド、
ラクトシド、ネオラクトシド、好ましくはガングリオシ
ドが挙げられる。また、ガングリオシドとしては、例え
ばGM1、GM2、GM3、GM4、GD1a 、GD1b 、GT 、G
T1b 、G T1c が挙げられる。本発明において、前記スフ
ィンゴ糖脂質は単独又は混合物として用いられる。
ド、ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシ
ド、ラクトシド及びネオラクトシドからなる群から選ば
れる少なくとも1種である前記(9)〜(11)のいずれ
かに記載の製造法。 本発明に用いるスフィンゴ糖脂質としては、スフィンゴ
イド(炭素数16〜20の長鎖アミノアルコール)を含む糖
脂質であれば特に制限はなく、例えばガングリオシド、
ラクトガングリオシド、グロボシド、イソグロボシド、
ラクトシド、ネオラクトシド、好ましくはガングリオシ
ドが挙げられる。また、ガングリオシドとしては、例え
ばGM1、GM2、GM3、GM4、GD1a 、GD1b 、GT 、G
T1b 、G T1c が挙げられる。本発明において、前記スフ
ィンゴ糖脂質は単独又は混合物として用いられる。
【0012】本発明の薬物担体は、スフィンゴ糖脂質を
水又は水性媒体に添加し、ミセルを形成させることによ
り容易に調製することができる。本発明の医薬組成物
は、スフィンゴ糖脂質及び薬物を水又は水性媒体に添加
し、ミセルを形成させることにより容易に調製すること
ができる。この際、スフィンゴ糖脂質は、好ましくは、
クロロホルム、メタノール、エタノール、ピリジン、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、石油エーテ
ル、温エーテル等の有機溶媒、もしくはクロロホルムと
同程度の極性を有する他の有機溶媒、又はこれらの混合
溶液に溶解して水又は水性媒体に添加する。前記水性媒
体としては、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩液
等が挙げられる。
水又は水性媒体に添加し、ミセルを形成させることによ
り容易に調製することができる。本発明の医薬組成物
は、スフィンゴ糖脂質及び薬物を水又は水性媒体に添加
し、ミセルを形成させることにより容易に調製すること
ができる。この際、スフィンゴ糖脂質は、好ましくは、
クロロホルム、メタノール、エタノール、ピリジン、テ
トラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、石油エーテ
ル、温エーテル等の有機溶媒、もしくはクロロホルムと
同程度の極性を有する他の有機溶媒、又はこれらの混合
溶液に溶解して水又は水性媒体に添加する。前記水性媒
体としては、例えば生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩液
等が挙げられる。
【0013】本発明の薬物担体に封入する薬物として
は、脂溶性物質又は両親媒性物質であれば特に制限はな
いが、本発明の薬物担体は肝臓を標的臓器とするので、
好ましくは、ドキソルビシン、エトポシド、フルオロウ
ラシル等の抗腫瘍剤が挙げられる。本発明における薬物
担体と封入薬物の比率は、ミセルを形成する際の両者の
配合割合を変えることにより適宜調整することができ
る。
は、脂溶性物質又は両親媒性物質であれば特に制限はな
いが、本発明の薬物担体は肝臓を標的臓器とするので、
好ましくは、ドキソルビシン、エトポシド、フルオロウ
ラシル等の抗腫瘍剤が挙げられる。本発明における薬物
担体と封入薬物の比率は、ミセルを形成する際の両者の
配合割合を変えることにより適宜調整することができ
る。
【0014】スフィンゴ糖脂質は元来生体の抗生物質で
あり、血液中にも存在することから安全性は高い。大量
の投与の場合、副作用として予想される補体の副経路に
対する活性化は、10mg/kg 程度までの投与であれば認め
られないと考えられる。従って、スフィンゴ糖脂質とし
ての好ましい投与量は 0.1〜10mg/kg である。本発明の
医薬組成物は、通常、静脈内投与、動脈内投与により投
与される。
あり、血液中にも存在することから安全性は高い。大量
の投与の場合、副作用として予想される補体の副経路に
対する活性化は、10mg/kg 程度までの投与であれば認め
られないと考えられる。従って、スフィンゴ糖脂質とし
ての好ましい投与量は 0.1〜10mg/kg である。本発明の
医薬組成物は、通常、静脈内投与、動脈内投与により投
与される。
【0015】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明す
るが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるもので
はない。
るが、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるもので
はない。
【0016】(実施例1)
(1)材料及び方法
(a)材料
スフィンゴ糖脂質としてウシ脳ガングリオシドを使用し
た。ガングリオシド混合溶液は和光純薬工業(株)から
購入した。ガングリオシドGM1はシグマ・ケミカル社
(セントルイス、MO)から購入した。卵ホスファチジル
コリン(PC)はアバンチ・ポーラー−リピッズ(アラバス
ター、AL)から入手した。コレステロールはヌ・チェッ
ク・プレプ(エリシアン、MN)から入手した。ラウリル
硫酸ナトリウム(SDS) はナカライ・テスク社から入手し
た。スーダンIII を和光純薬工業(株)から入手した。
ドキソルビシン塩酸塩は協和醗酵工業(株)により供給
された。[3H]コレステリルヘキサデシルエーテルはデ
ュポンNEN リサーチ・プロダクツ(ボストン、MA)から
入手した。
た。ガングリオシド混合溶液は和光純薬工業(株)から
購入した。ガングリオシドGM1はシグマ・ケミカル社
(セントルイス、MO)から購入した。卵ホスファチジル
コリン(PC)はアバンチ・ポーラー−リピッズ(アラバス
ター、AL)から入手した。コレステロールはヌ・チェッ
ク・プレプ(エリシアン、MN)から入手した。ラウリル
硫酸ナトリウム(SDS) はナカライ・テスク社から入手し
た。スーダンIII を和光純薬工業(株)から入手した。
ドキソルビシン塩酸塩は協和醗酵工業(株)により供給
された。[3H]コレステリルヘキサデシルエーテルはデ
ュポンNEN リサーチ・プロダクツ(ボストン、MA)から
入手した。
【0017】(b)マウス
6週齢の近交系雄C3H/Heマウスを静岡実験動物飼育場か
ら入手した。 (c)ガングリオシド濃度の測定 ガングリオシドのモル濃度は、レゾルシノール-HCl法
[K.スズキ (1964) LifeSci., 1227-1233]によりシア
ル酸濃度を測定することにより測定した。
ら入手した。 (c)ガングリオシド濃度の測定 ガングリオシドのモル濃度は、レゾルシノール-HCl法
[K.スズキ (1964) LifeSci., 1227-1233]によりシア
ル酸濃度を測定することにより測定した。
【0018】ガングリオシド混合溶液のモル濃度は、以
下のようにして算出した。ウシ脳ガングリオシド製剤中
のガングリオシドの4種の主成分はGM1 (21%) 、G
D1a(40%) 、GD1b(16%) 及びGT1b(19%) である[J.
C.サムソン (1986) Drugs of Today, 73-107]。この比
に基いて、溶液中5mg/ml でのガングリオシドのモル濃
度は約2.5 mMであると算出され、そしてそのシアル酸濃
度は4.8 mMであると算出された。観察されたシアル酸濃
度は、計算値とよく一致して5.2 mMであった。
下のようにして算出した。ウシ脳ガングリオシド製剤中
のガングリオシドの4種の主成分はGM1 (21%) 、G
D1a(40%) 、GD1b(16%) 及びGT1b(19%) である[J.
C.サムソン (1986) Drugs of Today, 73-107]。この比
に基いて、溶液中5mg/ml でのガングリオシドのモル濃
度は約2.5 mMであると算出され、そしてそのシアル酸濃
度は4.8 mMであると算出された。観察されたシアル酸濃
度は、計算値とよく一致して5.2 mMであった。
【0019】(d)スーダンIII 濃度の測定
それぞれの試験試料のアリコット(0.5ml) を蒸発乾固さ
せた後、クロロホルム1mlを添加した。その溶液を室温
で15分間にわたって浴型音波処理装置(シバタSU-9TH)
で音波処理し、そして4℃で10分間にわたって1,900gで
遠心分離した。上清を集め、0.45μm のフィルター(ゲ
ルマン・サイエンシズ、エキクロディスク25CR) で濾過
した。濾液の511nm における吸光度を測定した。クロロ
ホルム中の10μM のスーダンIII の511nm における吸光
度は0.280 であった。
せた後、クロロホルム1mlを添加した。その溶液を室温
で15分間にわたって浴型音波処理装置(シバタSU-9TH)
で音波処理し、そして4℃で10分間にわたって1,900gで
遠心分離した。上清を集め、0.45μm のフィルター(ゲ
ルマン・サイエンシズ、エキクロディスク25CR) で濾過
した。濾液の511nm における吸光度を測定した。クロロ
ホルム中の10μM のスーダンIII の511nm における吸光
度は0.280 であった。
【0020】(e)ドキソルビシン濃度の測定
ドキソルビシン濃度はベーチャーらの方法[N.R.ベーチ
ャー、A.L.ムーア、J.G.ベルンシュタイン及びA.リウ
(1970)Cancer Chemotherapy Reportsパート1 54, 89-9
4]に実質的に従って測定した。簡単にいえば、試料溶
液を50%エタノール中の0.3N塩酸で20倍に希釈し、蛍光
強度を日立F-4010蛍光分光光度計(470nmの励起波長;5
85nm の発光波長)で測定した。
ャー、A.L.ムーア、J.G.ベルンシュタイン及びA.リウ
(1970)Cancer Chemotherapy Reportsパート1 54, 89-9
4]に実質的に従って測定した。簡単にいえば、試料溶
液を50%エタノール中の0.3N塩酸で20倍に希釈し、蛍光
強度を日立F-4010蛍光分光光度計(470nmの励起波長;5
85nm の発光波長)で測定した。
【0021】(f)ゲル濾過
ガングリオシドGT1b の生理食塩水溶液0.5 mlを、生理
食塩水で平衡化したセファロース6B(カラムサイズ、1c
m x 7.5cm ;床容積、5.9 ml)に適用した。それを生理
食塩水で溶出させ、0.5 ml/画分を集めた。ガングリオ
シド濃度を前記のようにして測定した。SDS の場合、セ
ファデックスG-25のカラムを使用し、SDS を蒸留水で溶
出させた。SDS 濃度を236nm で分光光度計で測定した。
食塩水で平衡化したセファロース6B(カラムサイズ、1c
m x 7.5cm ;床容積、5.9 ml)に適用した。それを生理
食塩水で溶出させ、0.5 ml/画分を集めた。ガングリオ
シド濃度を前記のようにして測定した。SDS の場合、セ
ファデックスG-25のカラムを使用し、SDS を蒸留水で溶
出させた。SDS 濃度を236nm で分光光度計で測定した。
【0022】(g)薬物封入のためのガングリオシドミ
セルの調製 ガングリオシド混合物及びガングリオシドGM1をクロロ
ホルム/メタノール(1:1, v/v)に溶解した。ガングリオ
シド混合物/ガングリオシドGM1(モル比、2:1)を使用
してガングリオシドミセルを調製した。ガングリオシド
混合物を蒸発乾固させ、生理食塩水を添加してガングリ
オシド濃度を50μM とした。その溶液を浴型音波処理装
置で室温で1時間にわたって音波処理し、遠心分離し、
そして上清を集め、0.2 μm のフィルター(ゲルマン・
サイエンシズ、No.4192)で濾過した。
セルの調製 ガングリオシド混合物及びガングリオシドGM1をクロロ
ホルム/メタノール(1:1, v/v)に溶解した。ガングリオ
シド混合物/ガングリオシドGM1(モル比、2:1)を使用
してガングリオシドミセルを調製した。ガングリオシド
混合物を蒸発乾固させ、生理食塩水を添加してガングリ
オシド濃度を50μM とした。その溶液を浴型音波処理装
置で室温で1時間にわたって音波処理し、遠心分離し、
そして上清を集め、0.2 μm のフィルター(ゲルマン・
サイエンシズ、No.4192)で濾過した。
【0023】(h)リポソームの調製
卵PC及びコレステロールをクロロホルムに溶解し、リポ
ソームを卵PC/コレステロール(モル比、2:1)で調製し
た。この混合物を蒸発乾固させ、生理食塩水を添加して
卵PC濃度を2.5 mMとした。その溶液をホルン型音波処理
装置(ブランソン250 型 Sonifier 、出力制御2、負荷
サイクル25%)で室温で20分間にわたって音波処理し、
遠心分離し、そして上清を集め、0.45μm のフィルター
(ゲルマン・サイエンシズ、No.4184)で濾過した。PC濃
度を和光純薬工業(株)製のリン脂質B-test Wakoの分
析キットにより測定した。
ソームを卵PC/コレステロール(モル比、2:1)で調製し
た。この混合物を蒸発乾固させ、生理食塩水を添加して
卵PC濃度を2.5 mMとした。その溶液をホルン型音波処理
装置(ブランソン250 型 Sonifier 、出力制御2、負荷
サイクル25%)で室温で20分間にわたって音波処理し、
遠心分離し、そして上清を集め、0.45μm のフィルター
(ゲルマン・サイエンシズ、No.4184)で濾過した。PC濃
度を和光純薬工業(株)製のリン脂質B-test Wakoの分
析キットにより測定した。
【0024】(i)ガングリオシドミセル及びリポソー
ムへのスーダンIII 及びドキソルビシンの封入 クロロホルムに溶解した種々の量のスーダンIII 又はメ
タノールに溶解した種々の量のドキソルビシンをガング
リオシドのクロロホルム/メタノール(1:1, v/v)溶液、
又は卵PC/コレステロールのクロロホルム溶液に添加し
た。ガングリオシドミセル又はリポソームをつくった
後、これらの溶液を前記のようにして個々に濾過し、そ
してガングリオシド、卵PC、スーダンIII 及びドキソル
ビシンの濃度を測定した。ドキソルビシン封入の場合、
濃度を測定する前に、その溶液をセファデックスG-50カ
ラムに通して遊離ドキソルビシンを除去した。
ムへのスーダンIII 及びドキソルビシンの封入 クロロホルムに溶解した種々の量のスーダンIII 又はメ
タノールに溶解した種々の量のドキソルビシンをガング
リオシドのクロロホルム/メタノール(1:1, v/v)溶液、
又は卵PC/コレステロールのクロロホルム溶液に添加し
た。ガングリオシドミセル又はリポソームをつくった
後、これらの溶液を前記のようにして個々に濾過し、そ
してガングリオシド、卵PC、スーダンIII 及びドキソル
ビシンの濃度を測定した。ドキソルビシン封入の場合、
濃度を測定する前に、その溶液をセファデックスG-50カ
ラムに通して遊離ドキソルビシンを除去した。
【0025】(j)ガングリオシドミセル及びリポソー
ム中に封入されたスーダンIII 及びドキソルビシンの保
持 凍結−解凍実験において、10倍モル過剰のスーダンIII
をガングリオシド混合物のクロロホルム/メタノール
(1:1, v/v)溶液、及び卵PC/コレステロールのクロロホ
ルム溶液に添加し、ガングリオシドミセル及びリポソー
ムをつくった。それぞれの試料の半分を−80℃で1時間
凍結し、次に室温で30分間保った。解凍溶液を濾過し、
そしてガングリオシド、卵PC及びスーダンIII の濃度を
測定した。ドキソルビシンの場合、5倍モル過剰のドキ
ソルビシンをガングリオシド混合物のクロロホルム/メ
タノール(1:1, v/v)溶液に添加し、そして卵PCに対し2.
5 倍モル過剰のドキソルビシンを卵PC/コレステロール
のクロロホルム溶液に添加した。凍結、解凍後に、放出
されたドキソルビシンを分離し、そして前記のようにし
て測定した。
ム中に封入されたスーダンIII 及びドキソルビシンの保
持 凍結−解凍実験において、10倍モル過剰のスーダンIII
をガングリオシド混合物のクロロホルム/メタノール
(1:1, v/v)溶液、及び卵PC/コレステロールのクロロホ
ルム溶液に添加し、ガングリオシドミセル及びリポソー
ムをつくった。それぞれの試料の半分を−80℃で1時間
凍結し、次に室温で30分間保った。解凍溶液を濾過し、
そしてガングリオシド、卵PC及びスーダンIII の濃度を
測定した。ドキソルビシンの場合、5倍モル過剰のドキ
ソルビシンをガングリオシド混合物のクロロホルム/メ
タノール(1:1, v/v)溶液に添加し、そして卵PCに対し2.
5 倍モル過剰のドキソルビシンを卵PC/コレステロール
のクロロホルム溶液に添加した。凍結、解凍後に、放出
されたドキソルビシンを分離し、そして前記のようにし
て測定した。
【0026】希釈実験において、スーダンIII 封入ガン
グリオシド混合物及びリポソームのそれぞれの試料の半
分を生理食塩水で5倍に希釈し、室温で1時間保った。
希釈溶液を濾過し、そしてガングリオシド、卵PC及びス
ーダンIII の濃度を測定した。ドキソルビシンの場合、
5倍モル過剰のドキソルビシンをガングリオシド混合物
に添加し、そして卵PCに対し2.5 倍モル過剰のドキソル
ビシンを卵PC/コレステロールに添加した。希釈後、放
出ドキソルビシンの濃度を測定する前に、放出ドキソル
ビシンをセントリサート(Centrisart)(分子量カットオ
フ20,000、サルトリアス)による限外濾過により封入物
から分離した。
グリオシド混合物及びリポソームのそれぞれの試料の半
分を生理食塩水で5倍に希釈し、室温で1時間保った。
希釈溶液を濾過し、そしてガングリオシド、卵PC及びス
ーダンIII の濃度を測定した。ドキソルビシンの場合、
5倍モル過剰のドキソルビシンをガングリオシド混合物
に添加し、そして卵PCに対し2.5 倍モル過剰のドキソル
ビシンを卵PC/コレステロールに添加した。希釈後、放
出ドキソルビシンの濃度を測定する前に、放出ドキソル
ビシンをセントリサート(Centrisart)(分子量カットオ
フ20,000、サルトリアス)による限外濾過により封入物
から分離した。
【0027】ドキソルビシンの漏出に対するヒト血清の
効果を知るために、ドキソルビシン封入ガングリオシド
ミセル及びリポソームを、前記のようにしてつくった。
それらを5℃又は37℃でヒト血清(最終血清濃度、25
%)の存在下で16時間インキュベートした。インキュベ
ーション後に、放出ドキソルビシンを分離し、そして前
記のようにして測定した。
効果を知るために、ドキソルビシン封入ガングリオシド
ミセル及びリポソームを、前記のようにしてつくった。
それらを5℃又は37℃でヒト血清(最終血清濃度、25
%)の存在下で16時間インキュベートした。インキュベ
ーション後に、放出ドキソルビシンを分離し、そして前
記のようにして測定した。
【0028】(k)ガングリオシドGM1によるドキソル
ビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソームの臓器
分布 ドキソルビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソー
ムを、わずかに変更して実質的に前記のようにしてつく
った。5倍モル過剰のドキソルビシン及び痕跡量の
[3H]コレステリルヘキサデシルエーテルをガングリオ
シド混合物のクロロホルム/メタノール(1:1, v/v)溶液
に添加した。リポソームの場合、卵PCに対し等モル量の
ドキソルビシン、卵PCに対し0.1 モル量のガングリオシ
ドGM1及び痕跡量の[3H]コレステリルヘキサデシルエ
ーテルを卵PC/コレステロールのクロロホルム溶液に添
加した。ガングリオシドミセル又はリポソームをつくっ
た後、それらを濾過したが、セファデックスG-50カラム
に通さなかった。それらをマウスに静脈内投与し(0.2ml
/マウス)、血液を集め、そして示された時間で約10ml
の生理食塩水による灌流後に4種の臓器(肝臓、脾臓、
肺及び脳)を切除した。
ビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソームの臓器
分布 ドキソルビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソー
ムを、わずかに変更して実質的に前記のようにしてつく
った。5倍モル過剰のドキソルビシン及び痕跡量の
[3H]コレステリルヘキサデシルエーテルをガングリオ
シド混合物のクロロホルム/メタノール(1:1, v/v)溶液
に添加した。リポソームの場合、卵PCに対し等モル量の
ドキソルビシン、卵PCに対し0.1 モル量のガングリオシ
ドGM1及び痕跡量の[3H]コレステリルヘキサデシルエ
ーテルを卵PC/コレステロールのクロロホルム溶液に添
加した。ガングリオシドミセル又はリポソームをつくっ
た後、それらを濾過したが、セファデックスG-50カラム
に通さなかった。それらをマウスに静脈内投与し(0.2ml
/マウス)、血液を集め、そして示された時間で約10ml
の生理食塩水による灌流後に4種の臓器(肝臓、脾臓、
肺及び脳)を切除した。
【0029】血液試料(0.2ml) を100 mMのEDTA三ナトリ
ウム塩水溶液10μl 及びソルバブル(Solvable)(デュポ
ンNEN リサーチ・プロダクツ)1.0mlと共に50℃で1時間
インキュベートし、次に100 mMのEDTA三ナトリウム塩水
溶液0.1 ml及び30%過酸化水素水0.3 mlを添加した。そ
れらを50℃で更に1時間インキュベートし、室温に冷却
し、次にアトムライト(Atomlight) (デュポンNEN リサ
ーチ・プロダクツ)10mlを添加した。試料を浴型音波処
理装置で音波処理して血液を完全に可溶化し、そして放
射能をアロカ(Aloka)LSC-3500 シンチレーションカウン
ターで測定した。
ウム塩水溶液10μl 及びソルバブル(Solvable)(デュポ
ンNEN リサーチ・プロダクツ)1.0mlと共に50℃で1時間
インキュベートし、次に100 mMのEDTA三ナトリウム塩水
溶液0.1 ml及び30%過酸化水素水0.3 mlを添加した。そ
れらを50℃で更に1時間インキュベートし、室温に冷却
し、次にアトムライト(Atomlight) (デュポンNEN リサ
ーチ・プロダクツ)10mlを添加した。試料を浴型音波処
理装置で音波処理して血液を完全に可溶化し、そして放
射能をアロカ(Aloka)LSC-3500 シンチレーションカウン
ターで測定した。
【0030】臓器の場合、それら(50mg)を50℃で3時間
以上にわたってソルバブル(Solvable)0.5 mlと共にイン
キュベートし、次に30%過酸化水素水0.15mlを添加し
た。それらを室温で1時間保ち、次にアトムライト(Ato
mlight) 10mlを添加した。試料を浴型音波処理装置で音
波処理して臓器を完全に可溶化し、そして放射能を測定
した。
以上にわたってソルバブル(Solvable)0.5 mlと共にイン
キュベートし、次に30%過酸化水素水0.15mlを添加し
た。それらを室温で1時間保ち、次にアトムライト(Ato
mlight) 10mlを添加した。試料を浴型音波処理装置で音
波処理して臓器を完全に可溶化し、そして放射能を測定
した。
【0031】(2)結果
(a)ゲル濾過により調べたガングリオシドGT1b によ
るミセルの形成 種々の濃度におけるガングリオシドミセルの安定性をゲ
ル濾過により調べた。ガングリオシドGT1b を超音波処
理しないで生理食塩水に溶解した。ガングリオシドG
T1b のみからなるミセルは試験した全ての濃度で単一ピ
ークを示し、溶出プロフィールは同じであり、ミセルが
ガングリオシド濃度にかかわらず安定であることを示し
た(図1a)。見掛分子量を計算したところ、約250kD
であった。SDS はミセルを形成することが知られている
が、見掛分子サイズは試験した異なる濃度で異なってい
た(図1b)。
るミセルの形成 種々の濃度におけるガングリオシドミセルの安定性をゲ
ル濾過により調べた。ガングリオシドGT1b を超音波処
理しないで生理食塩水に溶解した。ガングリオシドG
T1b のみからなるミセルは試験した全ての濃度で単一ピ
ークを示し、溶出プロフィールは同じであり、ミセルが
ガングリオシド濃度にかかわらず安定であることを示し
た(図1a)。見掛分子量を計算したところ、約250kD
であった。SDS はミセルを形成することが知られている
が、見掛分子サイズは試験した異なる濃度で異なってい
た(図1b)。
【0032】(b)ゲル濾過により調べたガングリオシ
ド混合物によるミセルの形成 次に、経済的な観点から、本発明者らはゲル濾過により
市販のガングリオシド混合物の安定性を調べた。その混
合物を超音波処理しないで生理食塩水に溶解した。ガン
グリオシドの見掛分子サイズは試験した種々の濃度で異
なっており、市販のガングリオシド混合物がその不安定
性のために薬物担体として使用できないことを示した
(図2)。
ド混合物によるミセルの形成 次に、経済的な観点から、本発明者らはゲル濾過により
市販のガングリオシド混合物の安定性を調べた。その混
合物を超音波処理しないで生理食塩水に溶解した。ガン
グリオシドの見掛分子サイズは試験した種々の濃度で異
なっており、市販のガングリオシド混合物がその不安定
性のために薬物担体として使用できないことを示した
(図2)。
【0033】リポソームへの純粋なガングリオシドGM1
の挿入は網内系によるリポソーム取り込みを減少させる
ことが知られている[T.M.アレン、C.ハンセン及びJ.ル
ートレッジ (1989) Biochim.Biophys.Acta 981, 27-35
]。それゆえ、ゲル濾過をガングリオシドGM1と混合
した市販のガングリオシド混合物について行った。100
μM の市販のガングリオシド混合物と50μM のガングリ
オシドGM1の混合物(モル比、2:1)は安定なミセルを生
じた(図3)。夾雑物であるコレステロール及びリンは
検出限界以下であった。
の挿入は網内系によるリポソーム取り込みを減少させる
ことが知られている[T.M.アレン、C.ハンセン及びJ.ル
ートレッジ (1989) Biochim.Biophys.Acta 981, 27-35
]。それゆえ、ゲル濾過をガングリオシドGM1と混合
した市販のガングリオシド混合物について行った。100
μM の市販のガングリオシド混合物と50μM のガングリ
オシドGM1の混合物(モル比、2:1)は安定なミセルを生
じた(図3)。夾雑物であるコレステロール及びリンは
検出限界以下であった。
【0034】それゆえ、経済的な観点及び、薬物担体と
しての安定性から、市販のガングリオシド混合物とガン
グリオシドGM1の混合物(モル比、2:1)は今まで試験し
た中で最良の組み合わせであるといえる。
しての安定性から、市販のガングリオシド混合物とガン
グリオシドGM1の混合物(モル比、2:1)は今まで試験し
た中で最良の組み合わせであるといえる。
【0035】(c)リポソームと比較してのガングリオ
シドミセルへの薬物の封入 ガングリオシドミセルへの薬物の封入の効率を調べた。
スーダンIII を、その高い疎水性のために選択し、そし
てガングリオシドミセル又はリポソームへのその封入を
調べた。「(1)材料及び方法」の項に記載されたよう
に、0.45μm のフィルターを通過するのに充分なように
リポソームの粒子サイズを減少するために、ガングリオ
シドミセルと比較して更に大きな超音波処理出力がリポ
ソームにつき必要であった。ガングリオシド100 分子当
たり約13分子のスーダンIII をガングリオシドミセルに
最大に封入し、そしてPC100 分子当たり約6分子のスー
ダンIII をリポソームに最大に封入した。これは、ガン
グリオシドミセルへのスーダンIII の封入の最大の効率
がリポソームへのスーダンIII の封入の最大の効率の約
2倍であることを示す(図4)。
シドミセルへの薬物の封入 ガングリオシドミセルへの薬物の封入の効率を調べた。
スーダンIII を、その高い疎水性のために選択し、そし
てガングリオシドミセル又はリポソームへのその封入を
調べた。「(1)材料及び方法」の項に記載されたよう
に、0.45μm のフィルターを通過するのに充分なように
リポソームの粒子サイズを減少するために、ガングリオ
シドミセルと比較して更に大きな超音波処理出力がリポ
ソームにつき必要であった。ガングリオシド100 分子当
たり約13分子のスーダンIII をガングリオシドミセルに
最大に封入し、そしてPC100 分子当たり約6分子のスー
ダンIII をリポソームに最大に封入した。これは、ガン
グリオシドミセルへのスーダンIII の封入の最大の効率
がリポソームへのスーダンIII の封入の最大の効率の約
2倍であることを示す(図4)。
【0036】両親媒性の抗腫瘍剤であるドキソルビシン
を一般的薬物として選択した。ガングリオシド100 分子
当たり約20分子のドキソルビシンをガングリオシドミセ
ルに最大に封入し、そしてPC100 分子当たり約4分子の
ドキソルビシンを最大に封入し、ガングリオシドミセル
へのドキソルビシンの封入の最大の効率がリポソームへ
のドキソルビシンの封入の最大の効率の約5倍であるこ
とを示した(図5)。
を一般的薬物として選択した。ガングリオシド100 分子
当たり約20分子のドキソルビシンをガングリオシドミセ
ルに最大に封入し、そしてPC100 分子当たり約4分子の
ドキソルビシンを最大に封入し、ガングリオシドミセル
へのドキソルビシンの封入の最大の効率がリポソームへ
のドキソルビシンの封入の最大の効率の約5倍であるこ
とを示した(図5)。
【0037】(d)ガングリオシドミセル中及びリポソ
ーム中の封入薬物の保持 封入薬物の保持の安定性を調べ、そして薬物保持に対す
る凍結及び解凍の効果を調べた(表1)。スーダンIII
を使用した場合、リポソームはガングリオシドミセルよ
りも有効に薬物を保持し、一方、ガングリオシドミセル
はリポソームよりも有効にドキソルビシンを保持した。
ーム中の封入薬物の保持 封入薬物の保持の安定性を調べ、そして薬物保持に対す
る凍結及び解凍の効果を調べた(表1)。スーダンIII
を使用した場合、リポソームはガングリオシドミセルよ
りも有効に薬物を保持し、一方、ガングリオシドミセル
はリポソームよりも有効にドキソルビシンを保持した。
【0038】
【表1】
ガングリオシドミセル及びリポソームからのスーダンIII
及びドキソルビシンの漏出に対する凍結及び解凍の効果
スーダンIII ドキソルビシン
担体 漏出率(%) 漏出率(%)
ガングリオシドミセル 13 6
リポソーム 0 18
薬物保持に対する希釈の効果を調べた(表2)。スーダ
ンIII を使用した場合、リポソームはガングリオシドミ
セルよりも有効に薬物を保持し、一方、ガングリオシド
ミセルはリポソームよりも有効にドキソルビシンを保持
した。
ンIII を使用した場合、リポソームはガングリオシドミ
セルよりも有効に薬物を保持し、一方、ガングリオシド
ミセルはリポソームよりも有効にドキソルビシンを保持
した。
【0039】
【表2】
ガングリオシドミセル及びリポソームからのスーダンIII
及びドキソルビシンの漏出に対する希釈の効果
スーダンIII ドキソルビシン
担体 漏出率(%) 漏出率(%)
ガングリオシドミセル 32 16
リポソーム 20 21
薬物保持に対するヒト血清の効果を検討した結果、ガン
グリオシドミセル及びリポソームが25%のヒト血清の存
在下の37℃で16時間のインキュベーション後に最初に封
入された薬物の90%以上を保持することが示された(表
3)。
グリオシドミセル及びリポソームが25%のヒト血清の存
在下の37℃で16時間のインキュベーション後に最初に封
入された薬物の90%以上を保持することが示された(表
3)。
【0040】
【表3】
【0041】(e)ガングリオシドGM1によるドキソル
ビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソームの臓器
分布 臓器中のガングリオシドミセル及びリポソームの分布
を、トレーサーとして[ 3H]コレステリルヘキサデシル
エーテル[J.T.P.デルクセン、H.W.M.モーセルト及びG.
L.シェルホフ (1987) Biochim.Biophys.Acta 931, 33-4
0 ]を使用して調べた。
ビシン封入ガングリオシドミセル及びリポソームの臓器
分布 臓器中のガングリオシドミセル及びリポソームの分布
を、トレーサーとして[ 3H]コレステリルヘキサデシル
エーテル[J.T.P.デルクセン、H.W.M.モーセルト及びG.
L.シェルホフ (1987) Biochim.Biophys.Acta 931, 33-4
0 ]を使用して調べた。
【0042】全回収率は最初の放射能に対する血液及び
4種の臓器から回収された放射能の合計の比と称される
ことを考慮して、ガングリオシドミセルからの全回収率
(81〜99%)はリポソームからの全回収率(42〜58%)
よりも高かった(図6a)。ガングリオシドミセルの場
合、静脈内注射後30分で最初の放射能の約60%が肝臓中
で回収され、24時間で79%が回収された。しかしなが
ら、リポソームの場合、静脈内注射後30分で最初の放射
能のわずかに約7%が肝臓中で回収され、24時間で48%
が回収された(図6a)。その他の臓器、脾臓、肺及び
脳中の放射能の蓄積においてガングリオシドミセルとリ
ポソームの間に顕著な相違はなかった(図6b)。
4種の臓器から回収された放射能の合計の比と称される
ことを考慮して、ガングリオシドミセルからの全回収率
(81〜99%)はリポソームからの全回収率(42〜58%)
よりも高かった(図6a)。ガングリオシドミセルの場
合、静脈内注射後30分で最初の放射能の約60%が肝臓中
で回収され、24時間で79%が回収された。しかしなが
ら、リポソームの場合、静脈内注射後30分で最初の放射
能のわずかに約7%が肝臓中で回収され、24時間で48%
が回収された(図6a)。その他の臓器、脾臓、肺及び
脳中の放射能の蓄積においてガングリオシドミセルとリ
ポソームの間に顕著な相違はなかった(図6b)。
【0043】(3)検討
薬物担体としてミセルを使用しようとする試みは、二重
層ミセル(ラメラ)を形成するリポソームの使用に制限
されていた[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及
びB.E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 25
9-302 ]。SDSのような界面活性剤による単層ミセルは
色素を取り込むことが知られているが[K.スズキ (196
4) Life Sci., 1227-1233]、薬物担体としての単層ミ
セルの使用に関する報告はなかった[D.A.タイレル、T.
D.ヒース、C.M.コレイ及びB.E.ライマン (1976) Biochi
m.Biophys.Acta 457, 259-302 ]。本発明は、ガングリ
オシド等のスフィンゴ糖脂質の単層ミセルが安定な、小
さいサイズの肝臓配向薬物担体として使用し得ることを
初めて示したものである。
層ミセル(ラメラ)を形成するリポソームの使用に制限
されていた[D.A.タイレル、T.D.ヒース、C.M.コレイ及
びB.E.ライマン (1976) Biochim.Biophys.Acta 457, 25
9-302 ]。SDSのような界面活性剤による単層ミセルは
色素を取り込むことが知られているが[K.スズキ (196
4) Life Sci., 1227-1233]、薬物担体としての単層ミ
セルの使用に関する報告はなかった[D.A.タイレル、T.
D.ヒース、C.M.コレイ及びB.E.ライマン (1976) Biochi
m.Biophys.Acta 457, 259-302 ]。本発明は、ガングリ
オシド等のスフィンゴ糖脂質の単層ミセルが安定な、小
さいサイズの肝臓配向薬物担体として使用し得ることを
初めて示したものである。
【0044】単層ミセルは、その低い保持能力及びミセ
ルの不安定性のために薬物担体として適しないように思
われる。しかしながら、単層ミセルは、その見掛サイズ
がリポソームの見掛サイズより小さいこと、及びその臨
界ミセル濃度(cmc) より上で自然に形成される凝集物が
均一のサイズのものであること[K.シノダ (1963) "Col
loidal Surfactants: Some Physicochemical Propertie
s" (K.シノダ、T.ナカガワ、B.タマムシ及びT.イセムラ
編集)1-96頁, アカデミック・プレス、ニューヨーク]
の点でリポソームに対し利点を有する。リポソームはSD
S のような通常の単層ミセルよりも安定であることが知
られているが、そのサイズ不均一性は不利である。
ルの不安定性のために薬物担体として適しないように思
われる。しかしながら、単層ミセルは、その見掛サイズ
がリポソームの見掛サイズより小さいこと、及びその臨
界ミセル濃度(cmc) より上で自然に形成される凝集物が
均一のサイズのものであること[K.シノダ (1963) "Col
loidal Surfactants: Some Physicochemical Propertie
s" (K.シノダ、T.ナカガワ、B.タマムシ及びT.イセムラ
編集)1-96頁, アカデミック・プレス、ニューヨーク]
の点でリポソームに対し利点を有する。リポソームはSD
S のような通常の単層ミセルよりも安定であることが知
られているが、そのサイズ不均一性は不利である。
【0045】ガングリオシドのcmc は分子種にかかわら
ず約70〜100 μM であることが報告されている[H.C.ヨ
ーヘ及びA.ローゼンベルグ (1972) Chem.Phys.Lipids.
9, 279-294]。図1aは、ガングリオシドミセルの見掛
分子サイズがガングリオシドのcmc の上下の両方で同じ
であったことを示す。これは、ガングリオシドが、それ
ぞれのセラミド鎖に結合している一つ以上のシアル酸を
伴う分枝した糖網状構造により囲まれた球形の疎水性形
態の小さく、かつ均一なミセルを形成することを示す。
SDS のcmc は約8mMであると報告されている[[K.シノ
ダ (1963) "Colloidal Surfactants: Some Physicochem
ical Properties" (K.シノダ、T.ナカガワ、B.タマムシ
及びT.イセムラ編集)1-96頁, アカデミック・プレス、
ニューヨーク]。図1bは100 mMで単一ピークの存在を
示し、6mM及び4mMの両方で最初のものよりも低い分子
量に相当する付加的なピークを有し、これは見掛分子サ
イズがSDS 濃度に応じて変化することを示す。これらの
結果から、ガングリオシドミセルはSDS ミセルよりも安
定であり、そして薬物担体として利用できるといえる。
ず約70〜100 μM であることが報告されている[H.C.ヨ
ーヘ及びA.ローゼンベルグ (1972) Chem.Phys.Lipids.
9, 279-294]。図1aは、ガングリオシドミセルの見掛
分子サイズがガングリオシドのcmc の上下の両方で同じ
であったことを示す。これは、ガングリオシドが、それ
ぞれのセラミド鎖に結合している一つ以上のシアル酸を
伴う分枝した糖網状構造により囲まれた球形の疎水性形
態の小さく、かつ均一なミセルを形成することを示す。
SDS のcmc は約8mMであると報告されている[[K.シノ
ダ (1963) "Colloidal Surfactants: Some Physicochem
ical Properties" (K.シノダ、T.ナカガワ、B.タマムシ
及びT.イセムラ編集)1-96頁, アカデミック・プレス、
ニューヨーク]。図1bは100 mMで単一ピークの存在を
示し、6mM及び4mMの両方で最初のものよりも低い分子
量に相当する付加的なピークを有し、これは見掛分子サ
イズがSDS 濃度に応じて変化することを示す。これらの
結果から、ガングリオシドミセルはSDS ミセルよりも安
定であり、そして薬物担体として利用できるといえる。
【0046】図1aに示す結果に基いて、本発明者ら
は、ガングリオシドミセルが集まって約120 のガングリ
オシド分子からなる球形の形状を形成するものと推定し
た。何となれば、その見掛分子量は約250kD であり、そ
の疎水性部分が直径約4nmであるからである。薬物担体
としてしばしば使用されるマルチラメラ・リポソーム
は、通常の分散方法[F.オルソン、C.A.フント、F.C.ア
ゾカ、W.J.ベイル及びD.パパハジョポウラス (1979) Bi
ochim.Biophys.Acta 557, 9-23]により直径0.1 μm 〜
3μm の範囲の不均一な小胞として得られる。大きいリ
ポソームは網内系により容易に捕捉されると報告されて
いる[Y.E.ラマン、E.A.セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラ
ウ及びB.J.ライト (1982) Life Sciences 31, 2061-207
1 ]。こうして、均一なサイズを有するガングリオシド
ミセルは、後に説明されるようにリポソームよりも優れ
ているといえる。
は、ガングリオシドミセルが集まって約120 のガングリ
オシド分子からなる球形の形状を形成するものと推定し
た。何となれば、その見掛分子量は約250kD であり、そ
の疎水性部分が直径約4nmであるからである。薬物担体
としてしばしば使用されるマルチラメラ・リポソーム
は、通常の分散方法[F.オルソン、C.A.フント、F.C.ア
ゾカ、W.J.ベイル及びD.パパハジョポウラス (1979) Bi
ochim.Biophys.Acta 557, 9-23]により直径0.1 μm 〜
3μm の範囲の不均一な小胞として得られる。大きいリ
ポソームは網内系により容易に捕捉されると報告されて
いる[Y.E.ラマン、E.A.セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラ
ウ及びB.J.ライト (1982) Life Sciences 31, 2061-207
1 ]。こうして、均一なサイズを有するガングリオシド
ミセルは、後に説明されるようにリポソームよりも優れ
ているといえる。
【0047】経済的な観点から、市販のガングリオシド
混合物の安定性を調べた。その混合物により形成された
ミセルはサイズが小さかったが、単一のガングリオシド
種G T1b により形成されたミセルよりも安定ではなかっ
た(図2)。市販のガングリオシド混合物により形成さ
れたミセルの不安定性が複数のガングリオシド種の混合
に起因するか否かを知るために、市販のガングリオシド
混合物の主成分である4種の純粋なガングリオシド(G
D1a 、GD1b 、GT1b 、GM1)の混合物を使用してゲル
濾過を行った。その結果、濃度にかかわらず単一ピーク
及び同じ溶出プロフィールを示した(図7)。それゆ
え、市販のガングリオシド混合物と4種の純粋なガング
リオシドの混合物の安定性の相違は前者中の汚染の存在
のためであろうことが示唆される。市販のガングリオシ
ド混合物のミセルにおけるこの不安定性は、2対1のモ
ル比のガングリオシドGM1の添加により簡単に解決し得
る(図3)。
混合物の安定性を調べた。その混合物により形成された
ミセルはサイズが小さかったが、単一のガングリオシド
種G T1b により形成されたミセルよりも安定ではなかっ
た(図2)。市販のガングリオシド混合物により形成さ
れたミセルの不安定性が複数のガングリオシド種の混合
に起因するか否かを知るために、市販のガングリオシド
混合物の主成分である4種の純粋なガングリオシド(G
D1a 、GD1b 、GT1b 、GM1)の混合物を使用してゲル
濾過を行った。その結果、濃度にかかわらず単一ピーク
及び同じ溶出プロフィールを示した(図7)。それゆ
え、市販のガングリオシド混合物と4種の純粋なガング
リオシドの混合物の安定性の相違は前者中の汚染の存在
のためであろうことが示唆される。市販のガングリオシ
ド混合物のミセルにおけるこの不安定性は、2対1のモ
ル比のガングリオシドGM1の添加により簡単に解決し得
る(図3)。
【0048】両親媒性抗腫瘍剤であるドキソルビシン
(これはその分子中の糖及び疎水性部分の存在のために
若干嵩高であり、そしてサイズが約0.7nm x 1.2nm であ
る)の封入につき、ガングリオシドミセルがリポソーム
よりも約5倍有効であるという事実に注目する必要があ
る(図5)。この事実は、リポソームがスーダンIII の
ような脂溶性物質を優先的に保持し、一方、ガングリオ
シドミセルがドキソルビシンのような両親媒性物質を優
先的に保持することを示す(表1、2)。ガングリオシ
ドミセルは、分子中に或る種の嵩高の疎水性部分を有す
る薬物を封入し得る。ガングリオシドミセルがスーダン
III よりもドキソルビシンを有効に封入する理由は、以
下のように説明し得る。ドキソルビシンのアントラキノ
ン部分がガングリオシド分子のセラミド部分と会合し、
同時に、ドキソルビシンの親水性部分であるヘキソース
部分が水素結合によりその分子の糖部分と結合する。
(これはその分子中の糖及び疎水性部分の存在のために
若干嵩高であり、そしてサイズが約0.7nm x 1.2nm であ
る)の封入につき、ガングリオシドミセルがリポソーム
よりも約5倍有効であるという事実に注目する必要があ
る(図5)。この事実は、リポソームがスーダンIII の
ような脂溶性物質を優先的に保持し、一方、ガングリオ
シドミセルがドキソルビシンのような両親媒性物質を優
先的に保持することを示す(表1、2)。ガングリオシ
ドミセルは、分子中に或る種の嵩高の疎水性部分を有す
る薬物を封入し得る。ガングリオシドミセルがスーダン
III よりもドキソルビシンを有効に封入する理由は、以
下のように説明し得る。ドキソルビシンのアントラキノ
ン部分がガングリオシド分子のセラミド部分と会合し、
同時に、ドキソルビシンの親水性部分であるヘキソース
部分が水素結合によりその分子の糖部分と結合する。
【0049】封入薬物を含むガングリオシドミセルは、
凍結及び解凍、並びに希釈に対して耐性であった(表
1、2)。また、それはリポソームと同様に有効にヒト
血清の存在下でドキソルビシンを保持する(表3)。こ
れらの結果は、ガングリオシドミセルが薬物の封入後で
さえもその物理的安定性を保持することを示す。ターゲ
ッティングに関して、ガングリオシドミセルはその静脈
内投与後直ちに肝臓中に蓄積し、その後、その蓄積量が
わずかに増加する(図6a)。ガングリオシドミセルか
らの放射能の全回収率(81〜99%)はリポソームからの
全回収率(42〜58%)よりも高かった(図6a)。これ
らの結果は、ガングリオシドミセルが肝臓を標的臓器と
する薬物担体として有用であることを示す。肝臓細胞は
柔細胞と非柔細胞からなる。小さいリポソームが柔細胞
により容易に捕捉されるという知見[Y.E.ラマン、E.A.
セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラウ及びB.J.ライト (198
2) Life Sciences 31, 2061-2071 ]、及び肝臓内皮細
胞の間の窓のサイズが約100nm であり[E.ウィッセ、R.
デ・ザンガー及びR.ジャコンズ (1982) “Sinusoidal L
iver Cells"(D.L.ノーク及びE.ウィッセ編集) 61-67
頁, エルセビア・バイオメディカル・プレス、アムステ
ルダム]、そして薬物がこれらの間隙を通過する必要が
あるという結果に基いて、ガングリオシドミセルは、リ
ポソーム及び窓のいずれよりも小さいので、柔細胞に容
易に到達し得るといえる。ガラクトースのレセプターが
柔細胞について報告されている[A.G.モレル、R.A.イル
ビン、I.シュテルンリーブ及びI.H.シャインベルグ(196
8) J.Biol.Chem. 243, 155-159;H.H.スパンジャー及び
G.L.シェルホフ (1983) Biochim.Biophys.Acta 734,40-
47 ]。ガングリオシドミセル中のガングリオシドGM1
分子及びGD1b 分子の両方の非還元性末端にあるガラク
トース残基はまた柔細胞によるミセルの捕捉に関与し得
る[A.スロリア及びB.K.バッチハワット (1977) Biochi
m.Biophys.Acta497,760-765]。
凍結及び解凍、並びに希釈に対して耐性であった(表
1、2)。また、それはリポソームと同様に有効にヒト
血清の存在下でドキソルビシンを保持する(表3)。こ
れらの結果は、ガングリオシドミセルが薬物の封入後で
さえもその物理的安定性を保持することを示す。ターゲ
ッティングに関して、ガングリオシドミセルはその静脈
内投与後直ちに肝臓中に蓄積し、その後、その蓄積量が
わずかに増加する(図6a)。ガングリオシドミセルか
らの放射能の全回収率(81〜99%)はリポソームからの
全回収率(42〜58%)よりも高かった(図6a)。これ
らの結果は、ガングリオシドミセルが肝臓を標的臓器と
する薬物担体として有用であることを示す。肝臓細胞は
柔細胞と非柔細胞からなる。小さいリポソームが柔細胞
により容易に捕捉されるという知見[Y.E.ラマン、E.A.
セルニィ、K.R.パテル、E.H.ラウ及びB.J.ライト (198
2) Life Sciences 31, 2061-2071 ]、及び肝臓内皮細
胞の間の窓のサイズが約100nm であり[E.ウィッセ、R.
デ・ザンガー及びR.ジャコンズ (1982) “Sinusoidal L
iver Cells"(D.L.ノーク及びE.ウィッセ編集) 61-67
頁, エルセビア・バイオメディカル・プレス、アムステ
ルダム]、そして薬物がこれらの間隙を通過する必要が
あるという結果に基いて、ガングリオシドミセルは、リ
ポソーム及び窓のいずれよりも小さいので、柔細胞に容
易に到達し得るといえる。ガラクトースのレセプターが
柔細胞について報告されている[A.G.モレル、R.A.イル
ビン、I.シュテルンリーブ及びI.H.シャインベルグ(196
8) J.Biol.Chem. 243, 155-159;H.H.スパンジャー及び
G.L.シェルホフ (1983) Biochim.Biophys.Acta 734,40-
47 ]。ガングリオシドミセル中のガングリオシドGM1
分子及びGD1b 分子の両方の非還元性末端にあるガラク
トース残基はまた柔細胞によるミセルの捕捉に関与し得
る[A.スロリア及びB.K.バッチハワット (1977) Biochi
m.Biophys.Acta497,760-765]。
【0050】ガングリオシドミセルの臨床上の応用につ
いて、二つの問題に注意を払う必要がある。第一の問題
は、ガングリオシドがヒトの補体活性化経路の副経路を
活性化することである[H.オオシマ、G.ソマ及びD.ミズ
ノ (1993) Int.Immunol. 5,1349-1351 ]。第二の問題
は、運動神経障害を伴うギラン−バレー症候群がガング
リオシド摂取後に生じることである[N.ユウキ、T.タ
キ、F.イナガキ、T.カサマ、M.タカハシ、K.サイトウ、
S.ハンダ及びT.ミヤタケ (1993) J.Exp.Med. 178, 1771
-1775 ]。前者の問題は、ガングリオシド濃度を調節す
ることにより解決し得る。ヒトの副経路は、50μM 未満
の濃度でガングリオシドにより活性化されない[H.オオ
シマ、G.ソマ及びD.ミズノ (1993) Int.Immunol. 5, 13
49-1351 ]。後者の問題は、組織適合性抗原HLA-B35 を
有する男性及び女性へのガングリオシドの投与を避ける
ことにより解決し得る。その疾患とこの抗原との間に統
計上有意な関連があるからである[N.ユウキ、S.サト
ウ、T.イトウ及びT.ミヤタケ (1991) Neurology 41, 15
61-1563 ]。
いて、二つの問題に注意を払う必要がある。第一の問題
は、ガングリオシドがヒトの補体活性化経路の副経路を
活性化することである[H.オオシマ、G.ソマ及びD.ミズ
ノ (1993) Int.Immunol. 5,1349-1351 ]。第二の問題
は、運動神経障害を伴うギラン−バレー症候群がガング
リオシド摂取後に生じることである[N.ユウキ、T.タ
キ、F.イナガキ、T.カサマ、M.タカハシ、K.サイトウ、
S.ハンダ及びT.ミヤタケ (1993) J.Exp.Med. 178, 1771
-1775 ]。前者の問題は、ガングリオシド濃度を調節す
ることにより解決し得る。ヒトの副経路は、50μM 未満
の濃度でガングリオシドにより活性化されない[H.オオ
シマ、G.ソマ及びD.ミズノ (1993) Int.Immunol. 5, 13
49-1351 ]。後者の問題は、組織適合性抗原HLA-B35 を
有する男性及び女性へのガングリオシドの投与を避ける
ことにより解決し得る。その疾患とこの抗原との間に統
計上有意な関連があるからである[N.ユウキ、S.サト
ウ、T.イトウ及びT.ミヤタケ (1991) Neurology 41, 15
61-1563 ]。
【0051】結論として、本発明者らは、ガングリオシ
ド等のスフィンゴ糖脂質のミセルがその調製の容易なこ
と、その小さく、かつ均一なサイズ、並びにある程度嵩
高の分子を封入し、保持する際の高い効率の結果とし
て、薬物担体としてリポソームより優れていることを最
初に実証した。また、本発明者らは、ガングリオシド等
のスフィンゴ糖脂質が肝臓配向薬物担体として有用であ
ることを実証した。
ド等のスフィンゴ糖脂質のミセルがその調製の容易なこ
と、その小さく、かつ均一なサイズ、並びにある程度嵩
高の分子を封入し、保持する際の高い効率の結果とし
て、薬物担体としてリポソームより優れていることを最
初に実証した。また、本発明者らは、ガングリオシド等
のスフィンゴ糖脂質が肝臓配向薬物担体として有用であ
ることを実証した。
【0052】(試験例1) 急性毒性試験
マウス(C3H/He)5匹にドキソルビシンとして2
μg を含有するガングリオシドGM1ミセル 400μg/kgを
静脈内投与した。その結果、投与した全てのマウスに副
作用は認められなかった。この結果から、当該ドキソル
ビシン含有医薬組成物のLD50は1mg/kg以上であること
が予想される。
μg を含有するガングリオシドGM1ミセル 400μg/kgを
静脈内投与した。その結果、投与した全てのマウスに副
作用は認められなかった。この結果から、当該ドキソル
ビシン含有医薬組成物のLD50は1mg/kg以上であること
が予想される。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、リポソームよりも容易
に調製することができ、DDSに適用可能な薬物担体を
提供することができる。
に調製することができ、DDSに適用可能な薬物担体を
提供することができる。
【図1】ガングリオシドGT1b 及びSDS のゲル濾過の結
果を示す図である。a.はガングリオシドGT1b をセファ
ロース6Bのカラムに適用した場合を示す。b.はSDS をセ
ファデックスG-25のカラムに適用した場合を示す。
果を示す図である。a.はガングリオシドGT1b をセファ
ロース6Bのカラムに適用した場合を示す。b.はSDS をセ
ファデックスG-25のカラムに適用した場合を示す。
【図2】セファロース6Bによる市販のガングリオシド混
合物のゲル濾過の結果を示す図である。
合物のゲル濾過の結果を示す図である。
○ 市販のガングリオシド混合物濃度 100μM
● 市販のガングリオシド混合物濃度 12.5 μM
【図3】セファロース6Bによる市販のガングリオシド混
合物とGM1の混合物のゲル濾過の結果を示す図である。
合物とGM1の混合物のゲル濾過の結果を示す図である。
○ GM1 100μM
● GM1 100μM +ガングリオシド混合物 100μM
□ GM1 100μM +ガングリオシド混合物 50μM
■ GM1 50μM +ガングリオシド混合物 100μM
【図4】ガングリオシドミセル及びリポソームへのスー
ダンIII の封入を示す図である。横軸はスーダンIII 対
ガングリオシド又は卵PCのモル比を示す。縦軸はガング
リオシド 100分子又は卵PC 100分子当たりに封入された
スーダンIII 分子の数を示す。
ダンIII の封入を示す図である。横軸はスーダンIII 対
ガングリオシド又は卵PCのモル比を示す。縦軸はガング
リオシド 100分子又は卵PC 100分子当たりに封入された
スーダンIII 分子の数を示す。
○ ガングリオシドミセル
● リポソーム
【図5】ガングリオシドミセル及びリポソームへのドキ
ソルビシンの封入を示す図である。横軸はドキソルビシ
ン対ガングリオシド又は卵PCのモル比を示す。縦軸はガ
ングリオシド 100分子又は卵PC 100分子当たりに封入さ
れたドキソルビシン分子の数を示す。
ソルビシンの封入を示す図である。横軸はドキソルビシ
ン対ガングリオシド又は卵PCのモル比を示す。縦軸はガ
ングリオシド 100分子又は卵PC 100分子当たりに封入さ
れたドキソルビシン分子の数を示す。
○ ガングリオシドミセル
● リポソーム
【図6】トレーサーとしての[3H]コレステリルヘキサ
デシルエーテルの放射能により観察されたガングリオシ
ドGM1によるドキソルビシン封入ガングリオシドミセル
及びリポソームの臓器分布を示す図である。記号は3回
の測定の平均値を示す。
デシルエーテルの放射能により観察されたガングリオシ
ドGM1によるドキソルビシン封入ガングリオシドミセル
及びリポソームの臓器分布を示す図である。記号は3回
の測定の平均値を示す。
○ ガングリオシドミセルについての合計
□ ガングリオシドミセルについての肝臓
△ ガングリオシドミセルについての血液
◇ ガングリオシドミセルについての脾臓
▽ ガングリオシドミセルについての肺及び脳
● リポソームについての合計
■ リポソームについての肝臓
▲ リポソームについての血液
◆ リポソームについての脾臓
▼ リポソームについての肺及び脳
【図7】セファロース6Bによる市販の純粋なガングリオ
シドの混合物のゲル濾過の結果を示す図である。
シドの混合物のゲル濾過の結果を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
A61K 47/26
A61K 9/107
CA(STN)
MEDLINE(STN)
BIOSIS(STN)
EMBASE(STN)
Claims (8)
- 【請求項1】 ミセル状のガングリオシドからなる薬物
担体。 - 【請求項2】 ガングリオシドを水又は水性媒体に添加
し、ミセルを形成させることを特徴とする薬物担体の製
造法。 - 【請求項3】 ガングリオシドの有機溶媒溶液を水又は
水性媒体に添加し、ミセルを形成させることを特徴とす
る請求項2記載の製造法。 - 【請求項4】 ミセル状のガングリオシドからなる薬物
担体に薬物が封入されてなる医薬組成物。 - 【請求項5】 薬物が脂溶性物質又は両親媒性物質であ
る請求項4記載の医薬組成物。 - 【請求項6】 ガングリオシド及び薬物を水又は水性媒
体に添加し、ミセルを形成させることを特徴とする医薬
組成物の製造法。 - 【請求項7】 ガングリオシドの有機溶媒溶液を水又は
水性媒体に添加した後、薬物の有機溶媒溶液を添加し、
ミセルを形成させることを特徴とする請求項6記載の製
造法。 - 【請求項8】 薬物が脂溶性物質又は両親媒性物質であ
る請求項6又は7記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17291294A JP3499604B2 (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | スフィンゴ糖脂質ミセルからなる薬物担体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17291294A JP3499604B2 (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | スフィンゴ糖脂質ミセルからなる薬物担体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0834746A JPH0834746A (ja) | 1996-02-06 |
JP3499604B2 true JP3499604B2 (ja) | 2004-02-23 |
Family
ID=15950655
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17291294A Expired - Fee Related JP3499604B2 (ja) | 1994-07-25 | 1994-07-25 | スフィンゴ糖脂質ミセルからなる薬物担体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3499604B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1686959B1 (en) | 2003-11-14 | 2009-06-24 | HET NEDERLANDS KANKER INSTITUUT (The Netherlands Cancer Institute) | Pharmaceutical formulations employing short-chain sphingolipids and their use |
AR093275A1 (es) * | 2010-03-17 | 2015-05-27 | Centro De Excelencia En Productos Y Procesos De Cordoba (Ceprocor) | Una composicion farmaceutica soluble en agua que comprende al menos una sustancia terapeuticamente activa de caracteristicas hidrofobicas y al menos un compuesto seleccionado entre los sialoglicoesfingolipidos, los glicoesfingolipidos o una mezcla de sialoglicoesfingolipidos y glicoesfingolipidos |
CN117224424B (zh) * | 2023-09-08 | 2024-03-08 | 广州暨科医药有限公司 | 一种美白紧致修复冻干粉及其制备方法和应用 |
-
1994
- 1994-07-25 JP JP17291294A patent/JP3499604B2/ja not_active Expired - Fee Related
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---|---|
JPH0834746A (ja) | 1996-02-06 |
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