JP3496827B2 - 複合蒸着材の製造方法 - Google Patents

複合蒸着材の製造方法

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JP3496827B2 JP2000154277A JP2000154277A JP3496827B2 JP 3496827 B2 JP3496827 B2 JP 3496827B2 JP 2000154277 A JP2000154277 A JP 2000154277A JP 2000154277 A JP2000154277 A JP 2000154277A JP 3496827 B2 JP3496827 B2 JP 3496827B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、放熱効果の高い膜
の作製に用いる蒸着材に関し、特にブラウン管の内壁に
設ける放熱用膜を製造する際に用いる蒸着材に係わる。 【0002】 【従来の技術】電子機器には、電流の供給や電子の放出
といった動作に伴って発熱する部品が使用されている。
このような部品であるブラウン管や3極管等の電子管に
は、例えば、蓄熱による動作不良を避けるために、熱を
逃がす放熱板や放熱膜が設けられることがある。ブラウ
ン管の場合、その内壁にアルミニウム膜を蒸着して単層
の放熱膜としたり、さらにアルミニウム膜の上にカーボ
ン膜を吹き付けしたり塗布して、2層の放熱膜を設けて
いた。単層膜よりも2層以上の膜で放熱膜を構成するこ
とが多い。特にブラウン管の場合は、輝度を得るため反
射率の高いアルミニウム膜が用いられている。また、2
層以上の膜の場合、各々の層の組成は全く別の元素で構
成されていた。 【0003】これらの従来技術において、1回の蒸着作
業で蒸着初期と終期で組成の異なる膜を作製する方法
は、ほとんど検討されていない。本来、蒸着作業は蒸着
初期と終期で蒸着膜に組成差がない均一な蒸着膜を得る
ことを主目的に技術検討されているため、蒸着初期と終
期で組成の異なる膜を作製するには、初期蒸着材(A蒸
着材と言う)を蒸発トレーに載せ蒸発させた後、初期蒸
着材と異なった蒸着材(B蒸着材と言う)を再度蒸発ト
レーに載せ、蒸発させる事で実現させてきた。ただし、
この方法ではA組成膜とB組成膜が完全に分離した2層
構造の蒸着膜となるが、2回の蒸着作業が必要となる。 【0004】1回の蒸着で実現する方法として、蒸気圧
の差を利用することが考えられる。つまりA蒸着材とB
蒸着材を、溶解もしくは粉末冶金法で一体化して蒸着材
とすることが考えられる。蒸気圧の差で蒸着初期と蒸着
終期では異なった組成が得られるが、その組成差は小さ
いものである。 【0005】本発明者の研究よれば、例えばNi81.
4wt%、Fe18.6wt%の原料を溶解した蒸着原
料を用いて蒸着した時の膜の組成は、蒸着初期の膜では
Ni80.2wt%、Fe19.8wt%で、約380
0Å蒸着された蒸着後期では、Ni81.0wt%、F
e19.0wt%となる。蒸着初期と後期では0.8w
t%の組成の差が生じる。蒸着原料と比べて蒸着された
膜の組成が異なるのは、Niに比べFeの蒸気圧が高
く、NiよりFeが蒸発し易いためである。蒸着初期と
後期では0.8wt%の差は、同一組成膜を作るには大
き過ぎ、一回の蒸着で蒸着初期と終期で組成差の大きい
膜を作るには満足できる組成差ではない。 【0006】同一の真空度において、低温で蒸発する金
属を高蒸気圧の金属といい、高温にしなければ蒸発しな
い金属を低蒸気圧の金属という。例えば、アルミニウム
とニッケルを比較した場合、同一の真空度であればアル
ミニウムの方が低温で蒸発するので高蒸気圧と言え、ニ
ッケルはアルミニウムより高温にしないと蒸発しないの
で低蒸気圧と言える。つまり、同一真空度ではアルミニ
ウム、ニッケルの順で蒸発に必要な温度が高くなると言
える。 【0007】従来、組成差を大きくする方法として、蒸
発トレーに蒸気圧の低い蒸着材を載せ、その上に蒸気圧
の高い蒸着材を載せるような事が行われている。例えば
NiとFeの板状のものを、Ni81.4wt%、Fe
18.6wt%の重量で蒸着トレー上に、Ni、Feの
順にFeを上にして蒸着すると、蒸着膜組成は蒸着初期
ではNi60.0wt%、Fe40.0wt%、蒸着後
期ではNi92.0wt%、Fe8.0wt%と、合金
法に比べ組成差は大きくなるが、蒸発トレーへの2種類
の蒸着材をずれることなくセットする、つまり蒸発トレ
ー上で2種類の蒸着材の積み重ねを正確に行う必要があ
る。また、NiとFeを表裏に貼り合わせた蒸着材を使
用したとしても、表裏の確認が必要であり自動化等がネ
ックであった。2種類の蒸着材の積み重ね位置がずれる
と膜の組成が変わる。つまり蒸着作業毎に蒸着初期と後
期での組成差にばらつきが発生することになる。本発明
者が30回の実験を行ったところ、蒸着初期の膜組成が
Ni53.4〜81.0wt%、Fe19.0〜46.
6wt%の範囲で大きくばらつき、使用することができ
なかった。 【0008】例えば、ブラウン管の内壁に蒸着膜を付け
る蒸着装置において、蒸着材の蒸発トレーへの供給自動
化を行うには、蒸着材形状が揃っていること、パーツフ
ィーダーでの整列、送りが容易な形状、ロボット等で取
り扱う時の取扱易さが重要である事と、蒸着膜厚を制御
するためにも蒸着材の体積(重量)を正確にする必要が
ある。φ2〜3mm*7〜15mm長さの丸棒形状の蒸
着原料の場合、外形寸法φは±0.05mm、長さは±
0.1mm程度の公差が要求される。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】粉末冶金や溶解鋳造法
では、これらの形状、精度を得るためには非常に高価な
金型を製作するか、機械加工で母原料を所望の形状にす
る必要があった。高価な金型の製作もしくは機械加工い
ずれにしても、価格的に高いものとなってしまうという
欠点があった。 【0010】また、粉末冶金法で製造する時、融点の低
い錫を原料とすることは難しかった。例えば、粉末冶金
法で、融点660℃のアルミニウムと融点231℃錫の
粉末をホットプレス(HP)で成形する場合、Snの融
点より低い200℃位の温度でHPを行っても、粉末が
ほとんど固まらない。アルミニウムの比重2.69g/
cmに比べて錫の比重は7.28g/cmと約3倍
あり、50wt%でも体積では約20vol%位になる
ため、アルミニウムを熔着させられず、HPを行っても
非常に脆く、必要な形状に機械加工することは出来なか
った。 【0011】本発明者等は錫の延性に着目し、アルミニ
ウムと錫からなる蒸着材を検討した。アルミニウム管に
錫棒を挿入し、冷間で線引き加工することにより、アル
ミニウム外装と錫芯材のクラッド蒸着材およびその製造
方法を既に発明している。既に出願中で、アルミニウム
と錫の組成が蒸着初期と終期で異なり、蒸着初期ではア
ルミニウム含有量の多い蒸着膜を1回の蒸着作業で得ら
れることを説明している。 【0012】芯材として、錫やニッケル、鉄、白金、
金、鉛等の様に棒状のものが容易に入手出来るものは、
特に問題とはならなかった。例えば、クロムのように棒
状の入手は可能であるが、粉末に比べ非常に高価である
ようなものには適用が難しかった。また、延性の小さな
金属を芯材として用い、クラッド形状の蒸着材を作る場
合は、径の小さな芯材を用いる必要がある。また、アル
ミニウム管との延性の差でアルミニウムが主に延ばさ
れ、線引き加工時に芯材が先に切断されてしまう等の問
題があり、適用が難しい点があった。 【0013】そこで、延性の小さな金属や棒状で入手し
難い金属、融点の違いによって使用し難い金属とアルミ
ニウムの複合蒸着材として、本発明者等はアルミニウム
管にアルミニウム粉末と、金属粉末を混合しアルミニウ
ム管に充填し、冷間で線引き加工することにより、アル
ミニウムの軸領域に金属粒子を分散させた構造のクラッ
ド蒸着材およびその製造方法を発明しており、既に出願
中である。 【0014】ブラウン管等に使用される蒸着材料は、高
品質が要求されるとともに低価格が求められる。管状ア
ルミニウムに混合粉流出防止栓を詰めたり、混合粉を均
一に詰めることが難しいため、長尺の管状アルミニウム
を使用することができず、線引き工程に時間がかかっ
た。また、混合粉流出防止栓部分は取り除く必要があ
る。最後に取り除くのでは無駄が多いばかりでなく、径
が小さくなっているため、混合粉流出防止栓部分かそう
でないかを判断することが難しく、混合粉流出防止栓部
分が製品に混入しないように余分に取り除く必要があっ
た。間違って混合粉流出防止栓部分が製品に混入し、ブ
ラウン管製造に使用されたとすると、目的の特性が得ら
れないだけでなく、混合粉流出防止栓の材料が蒸着され
ることになってしまう。そこで、本発明は、混合粉流出
防止栓等の混入がなく連続的につながった長尺の複合蒸
着材を、歩留まり良く安価に提供することを目的とす
る。 【0015】 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明の複合蒸着材は、
アルミニウム基体と前記アルミニウム基体の軸領域に分
散された金属粒子を備え、前記金属粒子はコバルト、ク
ロム、ニッケル、錫、鉄、シリコン、チタンから選ばれ
る少なくとも一つの材料で構成される複合蒸着材であっ
て、長手方向に沿って間隔をおいて熔接した領域を有す
ることを特徴とする。この構成において、金属粒子を次
のように構成することもできる。すなわち、同一の単体
金属粒子のみを用いること、異なる単体金属粒子を混合
したものを用いること、複数の元素からなる合金の粒子
を用いること、異なる組成の合金粒子を混合したものを
用いることとしてもよい。 【0017】金属粒子には、アルミニウム基体より蒸気
圧の低い材料を用いる。これは蒸着膜の基板側、つまり
蒸着初期をアルミニウムを主とする組成にする上で必要
な条件である。ただし、通常は蒸着に向かない材料の粒
子であっても、アルミニウム基体軸の領域に分散させる
ことで、アルミニウムがキャリアとなって当該粒子を蒸
発させることができる。 【0018】金属粒子の形状は、球状、楕円状、6面体
や8面体もしくはこれ以上の多面体状、板状、フレーク
状、針状、個々の形状に規則性が見いだし難い不定形、
またはこれらの組合せ形状のものを用いることができ
る。また、単体の粒子ではなく、複数の粒子を結合させ
た粒子を用いてもよい。ただし、蒸着材における蒸発速
度などの均一性を保持し、組成の均一な蒸着膜を形成す
るためには、ほぼ類似の形状であって粒径の分布が均一
である金属粒子からなる粉末を用いるほうが好ましい。
蒸着材の軸領域に金属粒子を分散させる度合いは適宜選
択可能である。ただし、蒸着膜を実質的に2層構造にさ
せるためには、基体断面の中心付近に金属粒子を偏在さ
せた構造の複合蒸着材が最も好ましい。ここで、基体の
断面とは、アルミニウム基体の素線を長手方向に直交す
る向きで切断した断面のことをいう。これら基体の軸領
域は、長手方向においては粒子の分布が一様であること
が好ましい。 【0019】上記本発明の複合蒸着材は複数の材料から
なる金属線あるいは金属棒であり、長手方向に沿って間
隔をおいて熔接した領域を有する。この複合蒸着材を長
手方向で分割して所望の長さの複合蒸着材とすることも
できる。分割する長さを短くすると、チップ状あるいは
ピン状の形状を有する複合蒸着材となる。 【0020】本発明の複合蒸着材において、前記金属粒
子の粒径が、少なくとも単位面積中の粒子の70%以上
について、30μm以下である。さらに望ましくは、前
記金属粒子の粒径が、10μm以下であることとする。
前記金属粒子の平均粒径が0.1μm以上かつ100μ
m以下の範囲にあることとしてもよい。さらに密集させ
た粒子の均一性を向上させるためには、平均粒径を0.
1μm以上かつ40μm以下の範囲とすることが望まし
い。金属粒子の径を規定することにより、粒子の表面積
を確保して、バインダー(つなぎ)の役目をするアルミ
ニウム粉末との結合面積を増やすことにより、金属粒子
の脱落を防止することができる。また、金属粒子とアル
ミニウム粒子を混合した粉末の見かけ比重(嵩密度)を
大きくすることができ、複合蒸着材の軸領域の寸法の安
定化につながる。 【0021】粉末中で粒径の大きすぎる粒子の割合が増
えると、基体の長手方向における粒子の分布が不均一と
なったり、基体と粒子の間に空隙・ボイドが生じたりす
るおそれがある。そこで、粒子の分布の均一性を保持す
るために、粒径の小さいものの割合を確保したり、適切
な平均粒径を規定する。粒径の均一性つまり粒度分布を
向上させるほど、蒸着膜の均一性を良くすることができ
る。 【0022】ここで、上記粒径は、本発明の複合蒸着材
の側面あるいは複合蒸着材を切断した断面で観察するも
のである。断面は、複合蒸着材の長手方向に垂直な断面
あるいは長手方向に平行な断面に限らず、任意に切断し
た断面としてよい。断面で観察するときの粒径とは、粒
子の最短径と最長径を測定して平均値を取る2軸平均径
をいう。平均粒径については、任意の仮想線を横断する
粒子の径の合計長さを粒子数で除したものをいう。ま
た、混合前の粉末の粒径、平均粒径についても同様に粉
末を写真に撮り2軸平均径から求めた粒径と、写真上の
任意の仮想線を横断する粒子の径の合計長さを粒子数で
除した平均粒径を用いた。粒度分布は前記方法で求めた
粒径をヒストグラム化したものである。 【0023】 【0024】 本発明の複合蒸着材の製造方法は、アル
ミニウム粒子と、コバルト、クロム、ニッケル、錫、
鉄、シリコン、チタンから選ばれる少なくとも1種類の
金属粒子の混合粉を得る工程、管状アルミニウム基体に
混合粉を充填する工程、管状アルミニウム基体に通気性
の混合粉流出防止栓を設ける工程、総合リダクション率
を75%以上とする第1の冷間線引きを行いアルミニウ
ム基体の軸領域に金属粒子を備えた線材を得る工程、前
記線材の混合粉流出防止栓を除去する工程、混合粉流出
防止栓が除去され先端が尖った形状の線材を複数本熔接
し熔接線材を得る工程、熔接線材をN回冷間線引きする
第2の冷間線引き工程を有するとともに、第2の冷間線
引きの初回から3回までの冷間線引き工程はリダクショ
ン率が10%以下であり、4回からN回までの冷間線引
き工程はリダクション率が30%以下であることを特徴
とする。 【0025】 次の関係式でリダクション率Redを定
義し、Red=(1−(線引き後の線材の面積)/(線
引き前の線材の面積))*100(%)、前記第2の線
引き工程はN回の線引き工程を有するとともに、初回か
ら3回までの線引き工程はRedが10(%)以下であ
り、4回からN回までの線引き工程はRedが30
(%)以下であることを特徴とする複合蒸着材の製造方
法。尖った形状としては、線材の端の切断面が線材の軸
に対して傾斜している形状、くさび形、円錐型、あるい
は多角錐型などとすることができる。 【0026】上記の製造方法において、アルミニウム粒
子は、金属粒子とアルミニウム基体を一体として接合す
るバインダーの機能を持つ。バインダー機能を有効に達
成するために、金属粒子の寸法規定範囲に対して、アル
ミニウム粒子の寸法μmや、アルミニウム粒子と金属粒
子の混合比(重量比での比較、すなわちwt%)も規定
する必要がある。金属粒子よりもアルミニウム粒子が少
なければ、チップ状に切断した複合蒸着材の側面から金
属粒子が剥離や脱落することがないとも限らない。逆
に、金属粒子がアルミニウム粒子に対して少なすぎる
と、バインダー効果は十分であるが、蒸着膜中の金属膜
の厚さが薄くなり、2層膜として機能が十分に得られな
いことも考えられる。 【0027】そこで、アルミニウム粒子の粒径は、少な
くとも単位体積中の粒子の70wt%以上について、1
00μm以下とする。さらに望ましくは粒径が70μm
以下であることとする。また、平均粒径を1μm以上か
る100μm以下の範囲に設定することとしてもよい。
粒子の作製は、ガスアトマイズ法、所定の大きさの固ま
りを粉砕するボールミリング法等を用いる。 【0028】アルミニウム粒子と金属粒子の混合比は、
Rv=(金属粒子のwt%)/(アルミニウム粒子のw
t%)で表し、Rv=0.5〜19とする。さらに望ま
しくは、Rv=2〜15の範囲とすることで、双方を混
合させた粉末の均一性が向上される。2種類以上の粒子
を混合させる方法として、粉末を密封容器に入れて不活
性ガスを封入して、密封容器を回転、揺動させる混合機
を用いる方法、あるいは不活性ガスを封入出来るV型ミ
キサーを用いる方法がある。不活性ガスを封入するのは
粉末の酸化や爆発を防ぐためである。また、金属製の密
封容器を用い、容器の一部をアースすることで静電気の
帯電を防止して爆発の危険性を、安全に粉末を混合する
ことが出来る。また、上記の様に粒径や混合比等を規定
することで、アルミニウムと金属粒子を有する本発明の
複合蒸着材を欠陥なく構成できる。 【0029】前記アルミニウム管に前記混合粉末を充填
する際には、冷間加工の工程で混合粉末が漏洩しないよ
うにアルミニウム管の開口を閉じる必要がある。この開
口部の閉鎖方法には、次の方法を用いることができる。
アルミニウム管の一方の端を機械的につぶして閉じる方
法、アルミニウム管内に固定用の混合粉流出防止栓を設
ける方法、アルミニウム管の端を変形させて且つ固定用
の混合粉流出防止栓を併用する方法などが挙げられる。
固定用の混合粉流出防止栓には、通気性あるいは弾力性
を持たせることが重要である。通気性は、粉末の隙間に
含まれる空気を逃がす作用をもたらし、結果として蒸着
材中の残留酸素量を低減させたり、ボイドの発生を防止
させる。弾力性は、栓の移動を防止して、粉末を十分に
充填させることに寄与する。 【0030】前記の混合粉末を固定する手段を設けた
後、アルミニウム管の中に混合粉末を充填する。この
際、粉末の充填率(密度)を高めるための工程を付加す
ることができる。この工程では、一方の開口から細い棒
で粉末の上面を突き固める方法、あるいはアルミニウム
管をハンマーで叩いて衝撃や揺動、振動で粉末の密度を
上げる方法、アルミニウム管に超音波を与えて粒子間の
空隙を埋める方法などを用いる。これら充填工程の後、
アルミニウム管の開口部に固定用の混合粉流出防止栓を
設ける。しかしながら、過度の揺動や振動を加えること
は、粒径や比重の差によって生じるアルミニウム粒子や
金属粒子の分離を起こす恐れがあるため注意を要する。 【0031】アルミニウム管の冷間加工には、押し出し
加工あるいは引き抜き加工(線引き加工ともいう)を用
いる。これらの加工方法は、線引きあるいは押出し用ダ
イスに前記アルミニウム管を通すことによって径方向に
圧縮し、その径を細くさせて且つ長手方向に伸ばす。こ
の圧縮・伸長の工程において、アルミニウム管や装置自
体に対して熱処理の付加は行わないが、冷間工程で圧縮
されたアルミニウム粒子が塑性をもって流動するか、粉
末同士の摩擦による発熱で局所的に溶解するかして、金
属粒子同士の間に入り込むと考えられる。こうして細く
線引きされたアルミニウム管と金属粒子の間にアルミニ
ウムが充填され、アルミニウム管とアルミニウムおよび
金属粒子は一体化し、実質的にアルミニウム基体の軸領
域に金属粒子が分散する構造(線材または素線)を得
る。 【0032】アルミニウム管と金属粒子の間にアルミニ
ウムが充填され、アルミニウム管とアルミニウムおよび
金属粒子が一体化した時点で、線引き作業を中断して混
合粉流出防止栓を含む端の部分を除去する。アルミニウ
ム管とアルミニウムおよび金属粒子が一体化した時点と
は、総合リダクション率Rdt75%以上まで線引きす
ることで判断できる。 【0033】混合粉流出防止栓部分の除去は、線材の端
をペンチ等で切断すること行える。切断面は線材(アル
ミニウム線)の長手方向に対して略直角であることが望
ましいが、切断部のバリ等を除去する必要は特にない。
むしろ、切断面に凹凸があることが後述する熔接の面か
ら望ましいものである。混合粉流出防止栓は、極細のS
US線を綿状に詰めているものであり、ペンチで切断す
ることは難しい。切断する個所にSUS線が跨っている
と、SUS線が切断しきれずに残る。従って、切断面か
らSUS線が出ているかいないかで容易に、混合粉流出
防止線部分の有無を確実に判断することができ、混合粉
流出防止栓が最終形状の蒸着材に混入することを防ぐこ
とができる。 【0034】複数本の線材(アルミニウム線)を熔接で
連結する場合、抵抗熔接で接続することが好ましい。抵
抗熔接は抵抗発熱によって被熔接素材を局部的に温度を
上げ、加圧力の作用下に、熔接部を溶融させあるいは溶
融させることなく接合させるものである。これを圧接と
もいう。通電するときの電気抵抗の成分としては、被熔
接材の固有抵抗と接合部の接触抵抗が挙げられる。接触
抵抗は通電によって比較的早く消失するため、全発熱量
としてはあまり大きいものではない。しかし、接触抵抗
による発熱のために接触部付近が高温となり、その部分
の固有抵抗が温度係数のために増大し、熱が局部的に集
中発生するようになるため、接触抵抗は重要な役目を果
たす。この接触抵抗を増加させるためにも切断面の凹凸
は有効である。 【0035】複数本の線材(アルミニウム線)を熔接で
連結した後、再度、線引き工程を通すことにより、長尺
で所定の外径寸法を持った複合蒸着材(素線)を製造す
ることができる。これにより製造コストを下げることが
できる。 【0036】さらに、長手方向の寸法が異なる複合蒸着
材を熔接してつなげることもあるため、熔接した領域の
間隔が不規則であってもよい。但し、ほぼ一定の間隔あ
るいは規則的な間隔をおいて熔接した領域を備える複合
蒸着材を得るほうが好ましい。熔接した領域とは、熔接
の痕跡である。複合蒸着材に残る痕跡は、蒸着材の主要
な部分と、次の点のいずれかで異なるため認識すること
ができる場合がある。すなわち、表面の色が違うこと、
表面の面荒さが違うこと、延性金属基体の組織が不連続
となっていること、渦電流損の値が異なること等が挙げ
られる。熔接した領域の間隔を規則的にしておくと、熔
接痕跡の箇所を予め知ることができるため、組織の不連
続性や変色の原因が、熔接によるものか否かを判別する
ことができる。熔接によるものであれば、複合蒸着材と
しての特性は劣ることがないので、熔接部を除去しなく
ても実質的に問題は起こらない。なお、渦電流で判別す
る方法は、渦電流を発生させる箇所を複合蒸着材の長さ
方向に移動させると、上記の熔接痕跡の箇所で渦電流の
値が変化するので、痕跡の位置を確定し易い。 【0037】 【発明の実施の形態】図面を参照しながら本発明の実施
形態について、以下に詳細を説明する。図1は、熔接部
1aを有する素線の斜視図である。図1の複合蒸着材の
素線は、アルミニウム基体1と、前記アルミニウム基体
の軸領域に分散された金属粒子2と、熔接部1aを有す
る。熔接部1aの右側には素線が続く部分があるが、同
図では記載を省略した。長手方向に伸びる点線はアルミ
ニウム基体の軸領域4に相当し、主として金属粒子がア
ルミニウム中に分散されている領域である。この軸領域
4の端面には、金属粒子2が露出された部分が存在す
る。アルミニウム基体1中の軸領域4以外の部分は、ア
ルミニウムで構成されている。熔接部1aは、線材同士
を熔接で接合した領域に相当する。 【0038】図2は、図1の素線における他の熔接部1
bを示す断面図である。本発明の製造方法によって、熔
接部1bは、熔接部でない部分の素線と連続的に接合さ
せることができた。双方の領域において、金属粒子2を
含む軸領域4の径と、アルミニウム基体の径は、同程度
となった。寸法としてはアルミニウム基体の外径をφ
2.0mmとした。点線の軸領域4の径を約φ0.7〜
0.9mmとして、熔接部1bの長さxを14mmとし
た。本実施例では金属粒子をクロム(Cr)として、基
体をアルミニウム(Al)とした。 【0039】 (参考例) 次に、参考例で用いた製造方法について図3の工程フロ
ー図と、それに対応する工程の模式図である図4で説明
する。まず、アルミニウム粉末5とクロム粉末2を密封
容器6にいれて、不活性ガスを充填した。密封容器を回
転・揺動させて、アルミニウム粉末とクロム粉末を均一
に混合した(ステップ1)。本参考例において、ステッ
プとは工程を表す。不活性ガスを充填した状態で混合す
るのは、アルミニウムおよびクロム粉末の酸化を防ぎ、
静電気等による爆発を防ぐためである。混合させた粉末
中、アルミニウム粉末の平均粒径は75μmであり、ク
ロム粉末の平均粒径は10μmとした。アルミニウム管
(パイプ)7には、外径φ15.0mmであり、内径φ
6.25mmであり、長さ500mmである中空棒を用
いた。アルミニウム管の中空部にアルミニウムとクロム
の粉末を挿入する前に、特にアルミニウム管の内表面を
酸洗いして、油等の付着物や酸化皮膜を除去した。続け
て、水洗、乾燥をおこなった。 【0040】次に、アルミニウム管7の片方の端をハン
マーで叩いて、内径を若干量小さくした。アルミニウム
管7の一方の端に、綿状に丸めたステンレスワイヤーか
らなる混合粉流出防止栓8を詰めて固定した(ステップ
2)。アルミニウム管7の他方の端の開口からアルミニ
ウムとクロムの混合粉末を注いで、細い棒で突き固めた
(ステップ3)。開口をふさぐように同様のステンレス
ワイヤーの混合粉流出防止栓8を詰めてハンマーで叩
き、アルミニウム管に粉末を充填させた(ステップ
4)。ステンレスワイヤーの混合粉流出防止栓8は、φ
18μmのSUS糸を絡ませた構造であり、粉末を固定
するに十分な弾力性と通気性を合わせ持つ。この通気性
は、次の冷間加工工程でアルミニウムとクロムの混合粉
末の粒子間に存在する空気を排除させるための通気孔と
して機能する。通気孔によって粉末内部の空気を除去す
るのは、アルミニウム基体と金属粒子の強固な密着を得
るためである。空気が多く残るとアルミニウム基体と金
属粒子の間に隙間が出来たり、アルミニウム管からアル
ミニウム粉末や金属粒子が抜け落ちるおそれがある。ま
た、空気の除去は、蒸着材中の不純物酸素量を低減した
り、蒸着を行ったときアルミナの様な蒸着残渣の発生が
起こることを防ぐために行う。 【0041】 次に、アルミニウムとクロムの粉末を充
填させたアルミニウム管を伸長させる冷間加工工程を説
明する。アルミニウム管の一方の端を頭打ち機と呼称さ
れる装置で均一に叩き、線引き用ダイス孔径より細い固
定部9を形成した。固定部9の長さは約40mmとし
た。この固定部9を線引き用ダイス10の孔に通し、引
っ張り加重装置11で挟持し、引っ張り加重装置を動か
し、固定部に引っ張り加重をかけることで、線引き用ダ
イスの孔からアルミニウム管を引き抜いた(ステップ
5)。引き抜きの速度、すなわち伸線速度は約30m/
分とした。引き抜かれたアルミニウム管の外径はダイス
の孔の径に絞られて小さくなった。この引き抜き工程を
線引きと呼称する。次に、線引き用ダイスを孔の径の小
さいものに交換して、同様の引き抜き工程を行って、ア
ルミニウム管の径をさらに小さくした。線引き用ダイス
孔径より径の小さい固定部9の形成は適時行った。この
工程を繰り返して、外径を徐々に細くさせてアルミニウ
ム管を伸長させた。総合リダクション率Rdtを75%
以上とし、アルミニウム管とアルミニウム粉、クロム粉
が一体化した線材を得た。Rdtの定義は後に述べる。
なお、本参考例において、線引き用ダイス10の孔の傾
斜角度2αは、20〜40°の範囲内のものを用いた。
孔の傾斜角度とは、図4のステップ5の断面において、
円錐状の孔の内面の接線が線引きの方向と為す角度であ
る。傾斜角度2αはアプローチ角ともいう。 【0042】ステップ1から5の方法を利用して複数本
の線材を作製した。ペンチを用いてa−a’,b−b’
線で線材を切断し、混合粉流出防止栓8が詰まっている
部分約100mm長を切り取った。こうして、アルミニ
ウム基体の軸領域に金属粒子を分散させた外径φ7.5
mm以下で長さ約1.9mの線材2が得られた(ステッ
プ6)。まず、1本の線材の端面と他の1本の線材の端
面同士を突き合わせて抵抗熔接を行った。続けて、残り
の線材を1本づつ継ぎ足していって、10本の線材が連
結された長さ約19mの素線12を作製した。抵抗熔接
を行った継ぎ目14の盛り上がり部分は、ヤスリ掛けを
行って削り、素線12の径を長手方向でほぼ同じとした
(ステップ7)。 【0043】10本の線材が熔接で連結された素線をス
テップ5に示した方法で、外径を徐々に細くさせて、素
線を伸長させた。10本を熔接で連結したり、線引きを
繰り返すことで線材が長くなってくるので、引っ張り加
重装置11で挟持し直線的に引くだけでなく、線引きさ
れた線材をロールに巻き取ることを行った。φ2mmま
で線引きすることにより、素線は約250mの長さとな
った(ステップ8)。こうして、アルミニウム基体の軸
領域に金属粒子を分散させた複合蒸着材である素線13
を得ることができた(ステップ9)。 【0044】 本発明のように、総合リダクション率R
dt75%以上で混合粉流出防止栓を除去し、10本の
線材を溶接で連結して線引きをすることで、約250m
の素線を得ることができる。本発明の方法を用いない場
合は、約25mの線材を10本線引きすることになり、
頭打ち、線材の取扱も約10倍の工数を必要となる。本
参考例では10本を溶接で連結しているが、この数に限
らないことは言うまでもない。また、総合リダクション
率Rdt75%以上で、アルミニウム管とアルミニウム
粉、クロム粉が一体化した後であれば、混合粉流出防止
栓の除去、溶接は行えることも言うまでもない。 【0045】この長尺の素線13をボビンに巻いた後、
蒸着装置の中に装着した。この蒸着装置は切断機構を備
え、ボビンから素線を引き出しながら所定の長さに切断
して、蒸着チャンバー内の加熱用ボートに供給して真空
蒸着を行った。なお、蒸着材をパーツフィーダーで搬送
する蒸着装置を用いる場合には、素線を分割してチップ
型の複合蒸着材にした。 【0046】 ここで参考例とは別に、クロム粉とアル
ミニウム粉がアルミニウム管と一体化する時のリダクシ
ョン率を調べた。連結していない1本の線材を線引きし
た。冷間の線引き工程でアルミニウム管を外径φ15.
0mmから外径φ2.0mmまで加工するのに、一回の
線引きでリダクション率Redを約10〜25%とした
ため、20種の線引きダイスを使用した。ここで用いた
ダイスの孔の径Rd(mm)と、総合リダクション率R
dt(%)を図5に示す。総合リダクション率Rdt=
(1−線引き後の断面積/初期の断面積)*100
(%)である。総合リダクション率Rdtが75%以上
になると、アルミニウム粒子と金属粒子、アルミニウム
管は一体化し、アルミニウム基体の軸領域にクロム粒子
が分散する構造を有する素線を得ることができた。外径
φ15.0mm、内径φ6.25mmのアルミニウム管
に、クロム80wt%,アルミニウム20wt%で混合
した粉末を詰め、外径φ2.0mmに線引きした場合、
クロムの分散した軸領域の径はφ約0.85mmとな
り、全体に占めるクロムは約15wt%となった。 【0047】常温かつ大気圧中で冷間線引き加工行った
が、熱間線引き加工することで一回の線引きでの線引き
率を上げ、線引きダイスの数を減らすことは可能であ
る。ただし、アルミニウム管内の空気中酸素によるアル
ミニウムおよびクロムの酸化を防止する方策を取る必要
がある。このことから、リダクション率Redを小さく
して線引き回数を増やす方が、製造する上では容易であ
ると言える。 【0048】 参考例の複合蒸着材を用いて、蒸着した
膜の組成について図6を用いて説明する。真空装置のベ
ルジャー内に、前記の蒸着材とガラス基板を配置し、前
記蒸着材を加熱・蒸発させて、前記ガラス基板にアルミ
ニウムとクロムの蒸着膜を形成した。蒸着膜は、アルミ
ニウムとクロムの合金膜であって、ガラス基板側つまり
蒸着初期がアルミニウムリッチで蒸着終期がクロムリッ
チな蒸着膜となった。使用したガラス基板は、分析精度
を上げるためアルミニウムとクロムが含まれない組成の
ものを使用した。 【0049】蒸着条件は真空度1〜7*10−2Pa
(あるいは1〜5*10−4torr程度)、印加電圧
3.5V、蒸着時間70秒、蒸着材を載せるトレーはボ
ロンナイトライト(BN)を使用し、3200Åの蒸着
膜厚となるようにした。ガラス基板に蒸着された膜の、
膜厚方向の膜組成をオージェ分析機を用いて分析した。
図6に示すように、本発明の複合蒸着材は、蒸着初期の
膜組成はAlがほぼ100%で蒸着終期ではアルミニウ
ムが約30%(残りはクロム)になっている。つまり、
一回の蒸着で、蒸着初期と蒸着終期で組成が大きく異な
る膜ができた。 【0050】 (実施例) 本発明の他の製法方法を説明する。この方法は、図3及
び4の製造方法に次の変更を加えた製造方法である。ま
ず、ステップ1からステップ5までと同様の工程を用い
て、10本の線材を作製した。次に、ステップ6及び7
について、図7に示す方法に置換することで、より滑ら
かに線材同士を接続することができた。この方法を説明
する。ステップ6の端部切断の際に、端部を尖った形状
とする。この尖った形状は、円錐状あるいはくさび状と
してよい。次に、線材同士の尖った端部12aを対向さ
せて、各々の線材12にクリップ状の電極15を付け
て、これら電極間には溶接用の電源16を取り付けた
(ステップ71)。次に、電源をONにして互いの線材
12に圧力をかけて、それらの尖った端部12aを押し
付けて溶接させた。溶接の際に、尖った端は押しつぶさ
れて庇状に突き出た溶接部14aとなった。溶接部14
aができたところで電源をOFFにした(ステップ7
2)。次に、突き出た溶接部12aをヤスリで研磨し
て、線材の表面をならした。こうして、線材12同士が
溶接部14bで滑らかに接続された素線を得ることがで
きた。以 上 【0051】このようにして10本の線材を連結した素
線を、ステップ8以降の工程で線引きするが、条件は次
のように変更した。まず、初回から3回までの線引き
は、リダクション率をRed=5〜10(%)にして行
った。続けて、4回以降の線引きはリダクション率をR
ed=15〜20(%)にして行った。リダクション率
Redは、線引き毎の断面積の変化を示す指標であり、
次式で表せられる。 Red=(1−(線引き後の線材の断面積)/(線引き
前の線材の断面積))*100(%) その他の条件は、ステップ8以降と同様にした。もし、
素線のリダクション率を全てRed=20(%)で行う
と、熔接部での連続性が劣化してしまう。具体的には、
線材の外径に対する軸領域の径の比が、熔接部とその他
の部分で異なることになる。これは、尖った端を押しつ
ぶして熔接する方法に起因する。本実施例のように初回
から数回までのリダクション率を小さくすると、押しつ
ぶされて変形した軸部を元の径に戻すように作用すると
考えられる。実施例2で得た素線は、線材の端面を比較
的平らにして熔接した場合に比べて、熔接部内における
連続性がよい。連続性が良い状態とは、素線の断面を熔
接部と非熔接部で比較したとき、断面の外観について両
者の間にほとんど差がないことをいう。 【0052】 【発明の効果】以上で説明したように、本発明のように
複数の線材を熔接で連結する複合蒸着材とその製造方法
を用いることで、混合粉流出防止栓等の混入がなく連続
的につながった長尺の複合蒸着材を、歩留まり良く安価
に提供することができる。また、長尺の線材で線引きが
できるため、工数を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の複合蒸着材の斜視図である。 【図2】本発明の複合蒸着材の断面図である。 【図3】本発明の一実施形態に係る複合蒸着材の製造方
法を説明する工程フロー図である。 【図4】本発明の一実施形態に係る複合蒸着材の製造方
法を説明する工程の模式図である。 【図5】ダイスの径Rdとアルミニウム管の総合リダク
ション率の関係を説明するグラフである。 【図6】蒸着初期と蒸着終期の蒸着膜組成を示すグラフ
である。 【図7】本発明の他の実施形態に係る製造方法の一部を
説明する工程の模式図である。 【符号の説明】 1 基体、1a 熔接部、1b 熔接部、2 金属粒
子、3 面取り、4 軸領域、5 アルミニウム粒子、
6 密封容器、7 アルミニウム管、8 混合粉流出防
止栓、9 頭打ちされた部分、10 線引き用ダイス、
11 引っ張り加重装置、12 線材、13 素線、1
2a 端部、14 熔接部、14a 熔接部、14b
熔接部、15 電極、16 電源

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 アルミニウム粒子と、コバルト、クロ
    ム、ニッケル、錫、鉄、シリコン、チタンから選ばれる
    少なくとも 1 種類の金属粒子の混合粉を得る工程、管状
    アルミニウム基体に混合粉を充填する工程、管状アルミ
    ニウム基体に通気性の混合粉流出防止栓を設ける工程、
    総合リダクション率を75%以上とする第1の冷間線引
    きを行いアルミニウム基体の軸領域に金属粒子を備えた
    線材を得る工程、前記線材の混合粉流出防止栓を除去す
    る工程、混合粉流出防止栓が除去され先端が尖った形状
    の線材を複数本熔接し熔接線材を得る工程、熔接線材を
    N回冷間線引きする第2の冷間線引き工程を有するとと
    もに、第2の冷間線引きの初回から3回までの冷間線引
    き工程はリダクション率が10%以下であり、4回から
    N回までの冷間線引き工程はリダクション率が30%以
    下であることを特徴とする複合蒸着材の製造方法。
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