JP3495616B2 - 含塩素有機化合物の熱水分解方法 - Google Patents

含塩素有機化合物の熱水分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PCB(ポリ塩化
ビフェニル)等の含塩素有機化合物を高温高圧の熱水中
で酸化分解する熱水分解方法に関する。
【0002】
【従来の技術】PCB等の含塩素有機化合物は焼却処理
を行なうとダイオキシン等の有害物質が生成される問題
がある。このため、有害物質を生成しない安全な含塩素
有機化合物処理法として熱水中での酸化分解方法が注目
を集めている。
【0003】含塩素有機化合物の熱水分解方法の例とし
ては、例えば米国特許第5,746,926号公報に記
載されたものがある。同公報の方法は、PCB等の含塩
素有機化合物を温度300〜400℃、圧力10〜40
0気圧の熱水中で炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )
等の反応剤と反応させ脱塩するとともに、酸化剤により
酸化分解するものである。上記公報の方法によれば、有
害な生成物を伴わずに安全に含塩素有機化合物が分解さ
れる。
【0004】上記公報の方法では、例えば塩素数4のポ
リ塩化ビフェニルをNa2 CO3を用いて分解するの
場合を例にとると、以下の反応式によりPCBが分解さ
れて塩(NaCl)、水(H2 O)、二酸化炭素(C
O2 )が生成される。
【0005】 C12H6 Cl4 +12.5O2 +2Na2 CO3 →4NaCl+3H2 O+14CO2 ……(1 ) この反応に際しては、炭酸ナトリウム(Na2 CO3
)は反応剤として作用するとともに、それ自体が
(1)式の反応を促進する触媒として機能することが判
明している。また、上記(1)式の反応はアルカリ雰囲
気になるほど促進され、pH10以上で高い分解率が得
られることも判明している。
【0006】本願出願人は、上記熱水分解に際して、P
CBとともに油、有機溶剤等を添加し、更にアルカリ性
反応剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を熱水中に
供給することにより、触媒及び反応剤としての炭酸ナト
リウムを多量に生成し、しかもpH値を高く維持するこ
とを可能とする熱水分解方法を既に提案している(特願
平10−62638号)。
【0007】この方法では、油、有機溶剤等が熱水中で
酸化剤(酸素等)により酸化されて二酸化炭素(CO2
)が生成し、この二酸化炭素と水酸化ナトリウムとか
ら以下の反応により炭酸ナトリウムが生成される。
【0008】 2NaOH+CO2 →Na2 CO3 +H2 O ……(2) そして、生成したNa2 CO3 により(1)式の反
応によりPCBが分解され、分解の際に生成されるCO
2 により更に(2)式の反応でNa2 CO3 が生
成される。すなわち、この方法ではアルカリ性剤として
水酸化ナトリウムを熱水中に供給することにより、反応
剤としての炭酸ナトリウムを多量に生成するとともに、
pH値を高く維持してアルカリ雰囲気下で反応を行なう
ことを可能としている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
に含塩素有機化合物の熱水分解の際に水酸化ナトリウム
を反応させて炭酸ナトリウムを生成させる方法を用いる
と問題が生じる場合がある。
【0010】炭酸ナトリウムは、高温下(例えば350
℃以上)では極めて水に溶けにくく、固体として水中に
析出する。一方、PCB等の熱水分解では最適な温度条
件は380℃付近となる。このため、熱水分解の際に分
解に消費される以上の量の炭酸ナトリウムを生成させる
と、固体の炭酸ナトリウムが熱水中に析出し反応塔内に
堆積、固化する問題が生じる。特に、熱水分解の反応塔
では反応塔最下部から酸化剤としての酸素を供給するこ
とが酸化反応促進の上から好ましく、塔内に酸素を吹き
込む酸素ノズルは通常反応搭最下部に開口している場合
が多い。従って、塔内で固体の炭酸ナトリウムが多量に
生成すると、塔内最下部に設けた酸素ノズルが炭酸ナト
リウムの堆積、固化により閉塞してしまう問題が生じ
る。
【0011】この問題は、水酸化ナトリウムの供給量を
低減し、PCBの分解に必要とされる量以上の過剰な炭
酸ナトリウムが生成されることを抑制すれば一応解決す
る。しかし、水酸化ナトリウムの供給量を低減すると充
分にpHの高いアルカリ雰囲気で反応を行なうことがで
きなくなり、PCBの分解率が低下してしまう問題が生
じる。
【0012】すなわち、PCB熱分解に際しては前述し
たように、油、有機物等の酸化とPCBの熱分解とによ
り比較的多量の二酸化炭素が生成される。この二酸化炭
素は水と反応して、CO2 +H2 O→H2 CO3
の反応により酸性物質(炭酸)を生成する。従って、
過剰な炭酸ナトリウムの生成を抑制するために水酸化ナ
トリウムの供給量を低減すると、生成する炭酸を中和す
ることができなくなり反応塔内のpH値が低下してしま
うようになる。
【0013】このため、従来水酸化ナトリウムを用いて
炭酸ナトリウムを生成する方法をとる場合には、炭酸ナ
トリウムによる酸素ノズル等の閉塞を防止するために充
分に高いpH値のアルカリ雰囲気(例えばpH10以
上)を得ることができず、PCBの高い分解率を達成で
きない問題が生じていた。
【0014】本発明は上記問題に鑑み、酸素ノズルや配
管等の閉塞を生じることなく最適なアルカリ雰囲気で反
応を行なうことを可能とし、高い分解率を達成可能な含
塩素有機化合物の熱水分解方法を提供することを目的と
している。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明に
よれば、水酸化ナトリウムを二酸化炭素と反応させて炭
酸ナトリウムを生成し、該炭酸ナトリウムを触媒として
用いて所定のアルカリ雰囲気の熱水中で含塩素有機化合
物を脱塩、酸化分解する含塩素有機化合物の熱水分解方
法において、触媒としての必要量の炭酸ナトリウムを生
成するだけの少量の水酸化ナトリウムを前記熱水中に供
給して炭酸ナトリウムを生成させるとともに、水酸化ナ
トリウム以外のアルカリ性剤を熱水中に供給して熱水を
前記所定のアルカリ雰囲気に調整することを特徴とする
含塩素有機化合物の熱水分解方法が提供される。
【0016】請求項2に記載の発明によれば、前記アル
カリ性剤は、二酸化炭素と反応して前記熱水中に溶解す
る化合物を生成する物質である請求項1に記載の含塩素
有機化合物の熱水分解方法が提供される。
【0017】請求項3に記載の発明によれば、前記アル
カリ性剤は水酸化カリウムである請求項2に記載の含塩
素有機化合物の熱水分解方法が提供される。
【0018】すなわち、各請求項に記載の発明では、従
来(a)触媒(炭酸ナトリウム)の生成と、(b)反応
剤(炭酸ナトリウム)の生成、及び(c)pH(アルカ
リ雰囲気)の調整、の3つの作用を水酸化ナトリウムの
みを用いて行なっていたのに対して、上記(c)pHの
調整の作用を水酸化ナトリウム以外の物質を用いて行な
うようにしたことを特徴としている。
【0019】すなわち、水酸化ナトリウムは触媒として
の炭酸ナトリウムを生成するのに必要な量のみしか系内
に供給されないため、系内での炭酸ナトリウムの発生量
は極めて微量になる。一方、pH調整剤としては水酸化
ナトリウム以外のアルカリ性反応剤を使用するため、多
量に系内に供給しても炭酸ナトリウムが生成されること
はなくノズルや配管の閉塞を生じることなく系内を最適
なアルカリ雰囲気(例えばpH10以上)に維持するこ
とが可能となり、含塩素有機化合物の分解率を向上させ
ることが可能となる。
【0020】pH調整剤として使用するアルカリ性剤と
しては、含塩素有機化合物の熱水分解により生成する二
酸化炭素との反応により、熱水中に固体を析出しないも
のが使用され、例えば水酸化カリウム等が適当である。
水酸化カリウム(KOH)は二酸化炭素との反応により
炭酸カリウム(K2 CO3 )を生成するが、炭酸カ
リウムは380℃以上の高温下でも水に高い溶解性を呈
するため固体として析出することがない。このため、請
求項1から3の発明において、微量の炭酸ナトリウム
(触媒)の存在下、充分に高いpH値のアルカリ雰囲気
で前述の(1)式の反応を行なうことが可能となり、含
塩素有機化合物の高い分解率を達成することが可能とな
る。なお、炭酸ナトリウムは触媒としてのみならず反応
剤としても機能するため、水酸化ナトリウムにより生成
された炭酸ナトリウムはその一部が含塩素有機化合物の
分解に消費される。このため、請求項1から3の発明で
は系内に常に触媒としての必要量の炭酸ナトリウムを存
在させるための水酸化カリウムとともに、必要な触媒量
を維持するために必要な少量の水酸化ナトリウムを供給
する必要がある。
【0021】
【発明の実施の形態】図1は本発明の含塩素有機化合物
の熱水分解方法を実施するための装置の一例の概略構成
を示す図である。
【0022】図1において、1は熱水分解反応が行なわ
れる反応塔、12は含塩素有機化合物(本実施形態では
PCBとする)を貯蔵するタンクを、11で示すのは、
アルカリ性剤を貯蔵する貯蔵タンク11を示す。本実施
形態ではアルカリ性剤として水酸化カリウムが使用され
る。また、後述するように、タンク11内の水酸化カリ
ウムには触媒としての炭酸ナトリウム生成のために少量
の水酸化ナトリウムが混合されている。
【0023】PCB貯蔵タンク12内のPCBと、貯蔵
タンク11内の水酸化カリウムと水酸化ナトリウムの混
合溶液とは、それぞれポンプ20とポンプ10とにより
予熱器15に圧送され、同時に図示しない水供給系統か
ら配管13を通じて圧送されてくる水と混合される。P
CBと水、アルカリ反応剤の混合物は予熱器15で加熱
された後反応塔1に流入する。反応初期にCO2 を生
成するための油もしくは有機溶剤は別途図示しない供給
系統から反応塔1内もしくは予熱器15内のPCBに供
給されPCBと混合される。
【0024】反応塔1下部には、酸化剤供給源16から
酸化剤が供給される。酸化剤としては、酸素、過酸化水
素などが使用される。
【0025】反応塔1内の反応については後述するが、
反応塔1内の反応液はサイクロンセパレータ18を通り
固形物を除去した後二次反応器17に供給され、反応時
間(滞留時間)の調節が行なわれる。後述するように、
二次反応器17を出るまでにPCBは完全に分解され、
反応器17出口からはCO2 (二酸化炭素)と、KC
l(塩化カリウム)及びNaCl(塩化ナトリウム)を
溶解した水が流出するようになる。二次反応器17を出
た溶液は冷却器24で冷却された後放出弁23により減
圧されて放出タンク19内に貯留される。放出タンク1
9内の二酸化炭素及び水蒸気は、万一未反応PCBがガ
ス中に残留した場合を考慮して活性炭等で吸着、除去し
た後大気に放出される。また、溶液は図示しない濃縮装
置で濃縮され、その際に分離される純水はPCBと混合
されて反応に再使用される。
【0026】次に反応塔1及び二次反応器17内でのP
CBの熱水分解反応について説明する。
【0027】まず、反応開始時には油、有機溶剤等が酸
化剤供給源16から塔内に供給される酸化剤(本実施形
態では酸素を使用する)により酸化され二酸化炭素を生
成する。例えば、有機溶剤としてトルエン(C65CH
3)を使用した場合を例にとると、C6 H5 CH3
+9O2 →4H2 O+7CO2 の反応によりC
O2 が生成する。この酸化反応は発熱反応であり、こ
れにより系内の温度は上昇し、それに応じて圧力も上昇
する。系内の温度は温度調節器21により予熱器15か
ら供給するPCBの混合液の温度を調整することによっ
て、また系内圧力は圧力調節器22により放出タンク1
9に反応液を放出する放出弁23の開度を調節すること
によって、それぞれ最適値に調整される。本実施形態で
は、反応塔1内の温度、圧力はそれぞれ380℃、26
MPa程度に維持した場合に最もPCBの分解率が向上
することが判明している。
【0028】上記により生成したCO2 は、反応塔1
内にPCBとともに供給される水酸化カリウム及び水酸
化ナトリウムと反応し、炭酸カリウム(K2 CO3
)と炭酸ナトリウム(Na2 CO3 )を生成す
る。
【0029】 2KOH+CO2 →K2 CO3 +H2 O ……(A) 2NaOH+CO2 →Na2 CO3 +H2 O ……(B) 本実施形態では、貯蔵タンク11から供給される水酸化
カリウムと水酸化ナトリウムとの混合溶液はその大部分
が水酸化カリウムであり、水酸化ナトリウムは後述する
ように水酸化カリウムの数パーセント程度の量しか含ま
れていない。このため、上記(B)の反応により生成さ
れるNa2 CO3 の量はK2 CO3 に較べて非
常に少なくなる。
【0030】次に、上記(B)の反応により生成したN
a2 CO3 は、PCBと反応し、PCBを脱塩及び
酸化分解する。
【0031】 C12H6 Cl4 +12.5O2 +2Na2 CO3 →4NaCl+3H2 O+14CO2 ……(C ) なお、上記は塩素数4のPCBの場合であるが、他の塩
素数のものについても同様な反応が生じ、PCBがH2
O、CO2 、NaClに分解される。
【0032】上記(C)の反応により生じたCO2 は
更に、上記(A)、(B)の反応によりKOH、NaO
Hと反応し、(C)の反応に必要とされるNa2 CO
3を生成するようになる。
【0033】ところで、上記(C)のPCB分解反応に
おいては、炭酸ナトリウム(Na2CO3 )は反応剤
として作用する他に、(C)の分解反応を促進する触媒
としても作用している。また、上記(C)の分解反応は
高アルカリ雰囲気(例えばpH10以上)で促進される
ことが判明している。
【0034】一方、(C)の分解反応では多量のCO2
が発生する。このCO2 は水と反応してH2 CO
3 (炭酸)を生成するため、反応液は炭酸により酸性
になる傾向がある。これを防止して、分解率の高い高ア
ルカリ雰囲気を維持するためには多量のアルカリ反応剤
を系内に供給して上述の(A)、(B)の反応により系
内からCO2 を除去する必要がある。
【0035】従来の方法では、アルカリ反応剤として水
酸化ナトリウム(NaOH)のみを使用することによ
り、触媒及び反応剤としてのNa2 CO3 の生成と
系内のpH調整(アルカリ度の調整)とを行なってい
た。このため、系内を高アルカリ雰囲気に維持しようと
すると多量の水酸化ナトリウムを供給する必要があっ
た。ところが、水酸化ナトリウムにより系内を高アルカ
リ雰囲気に調整すると、前述の(B)の反応のために反
応に必要な量以上の多量の炭酸ナトリウム(Na2CO
3 )が生成される問題があった。
【0036】炭酸ナトリウムは、高温(350℃以上)
では極めて水に溶けにくくなり、固体として反応液中に
析出する。一方、上記(C)の反応は高温(例えば38
0℃)で行なわれる。従って、系内のアルカリ度調整の
ために多量の水酸化ナトリウムを反応塔1に供給すると
塔内に多量の固体炭酸ナトリウムが析出して、反応塔1
下部や配管内に堆積、固化して反応塔下部の酸化剤供給
ノズルや配管を閉塞してしまう問題がある。このため、
従来は系内に多量の水酸化ナトリウムを供給することが
できず、系内を充分な高アルカリ雰囲気(例えばpH1
0以上)に維持することができないためPCBの分解率
を向上できない問題があった。
【0037】本発明では、触媒として必要な炭酸ナトリ
ウムを生成するだけの少量の水酸化ナトリウムを系内に
供給し、アルカリ度の調整は水酸化カリウムを用いて行
なうようにしたことにより上記問題を解決している。
【0038】水酸化カリウムは、系内で生成するCO2
と前述の(A)式の反応を生じ、炭酸カリウム(K2
CO3 )を生成する。この炭酸カリウムは、炭酸ナ
トリウムとは異なり380℃の高温下においても水に溶
解し固体を析出しない。このため、水酸化カリウムを多
量に系内に供給しても、酸化剤ノズルや配管の閉塞が生
じることがない。これにより、系内を最適なpH(例え
ばpH10以上)に調整することが可能となるため、適
量の触媒(炭酸ナトリウム)の存在に加えて最適pH条
件で反応を行なうことが可能となり、PCBの分解率を
向上させることが可能となっている。
【0039】系内に供給する水酸化カリウム(KOH)
の量は、系内で生成するCO2 をK2 CO3 に変
換して系内をpH10以上に維持できるだけの量が必要
とされる。すなわち、系内に供給する水酸化カリウムの
量は系内に投入する油または有機溶剤とPCBの量によ
り定まることになる。
【0040】また、水酸化ナトリウム(NaOH)の量
はPCBの分解反応に際して必要とされる触媒(炭酸ナ
トリウム)の量を系内に維持できる程度の量とされる。
すなわち、本実施形態では、PCBの分解の際に前述の
(C)式の反応が生じるため系内の炭酸ナトリウムが消
費される。このため、触媒量を確保するために、反応時
にはPCBの分解に消費されただけの炭酸ナトリウムを
生成する水酸化ナトリウムを系内に供給する必要があ
る。この量は分解するPCBの量により定まることにな
るが、水酸化カリウムの量に較べて微量であり通常水酸
化カリウムの量の数パーセント程度の量となる。
【0041】なお、反応塔1内で生成した固体炭酸ナト
リウムは、サイクロンセパレータ18で回収されて反応
塔1内に戻される。
【0042】上述のように、本実施形態ではPCBの熱
水分解の際に供給する水酸化ナトリウムの量を、必要と
される量の触媒を生成するのに必要な最小限の量に止
め、pH調整剤として水酸化カリウムを用いたことによ
り、触媒の存在下高アルカリ雰囲気でPCBの分解反応
を行なうことが可能となり、PCBの分解率が大幅に向
上する。
【0043】また、本実施形態では水酸化カリウムと水
酸化ナトリウムとは予め混合液として1つの貯蔵タンク
11(図1)から供給することができるため配管や供給
系統が複雑化することがない。しかし、必要に応じて水
酸化カリウムと水酸化ナトリウムとを別個の供給系統か
ら反応塔に供給するようにすることも可能であることは
いうまでもない。
【0044】なお、本実施形態では水酸化ナトリウム以
外のアルカリ性剤として水酸化カリウムを使用した場合
を例にとって説明したが、使用するアルカリ性剤として
は(a)水溶性であること、(b)CO2 との反応に
より生成する化合物が380℃程度の高温で固体として
析出しないこと、(c)PCB分解反応で生成する塩化
物(例えばKCl等)が反応塔内の圧力温度条件下で水
に溶解すること、等の条件が必要とされ、この条件を満
たすものであれば他のアルカリ性剤を使用することもで
きる。
【0045】
【発明の効果】各請求項に記載の発明によれば、含塩素
有機化合物の熱水分解において水酸化ナトリウム以外の
アルカリ性剤を用いて系内のpHを調整するようにした
ことにより、ノズルや配管の閉塞を生じることなく含塩
素有機化合物の高い分解率を得ることができるという共
通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の含塩素有機化合物の熱水分解方法の一
実施形態を説明する図である。
【符号の説明】
1…反応塔 11…アルカリ性反応剤貯蔵タンク 12…PCB貯蔵タンク 15…予熱器
フロントページの続き (72)発明者 森部 高司 長崎県長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工業株式会社 長崎研究所内 (56)参考文献 特開 平11−639(JP,A) 特開 平11−253795(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 19/00 - 19/32 A62D 3/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水酸化ナトリウムを二酸化炭素と反応さ
    せて炭酸ナトリウムを生成し、該炭酸ナトリウムを触媒
    として用いて所定のアルカリ雰囲気の熱水中で含塩素有
    機化合物を脱塩、酸化分解する含塩素有機化合物の熱水
    分解方法において、触媒としての必要量の炭酸ナトリウ
    ムを生成するだけの少量の水酸化ナトリウムを前記熱水
    中に供給して炭酸ナトリウムを生成させるとともに、水
    酸化ナトリウム以外のアルカリ性剤を熱水中に供給して
    熱水を前記所定のアルカリ雰囲気に調整することを特徴
    とする含塩素有機化合物の熱水分解方法。
  2. 【請求項2】 前記アルカリ性剤は、二酸化炭素と反応
    して前記熱水中に溶解する化合物を生成する物質である
    請求項1に記載の含塩素有機化合物の熱水分解方法。
  3. 【請求項3】 前記アルカリ性剤は水酸化カリウムであ
    る請求項2に記載の含塩素有機化合物の熱水分解方法。
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