JP3495095B2 - 弾性緩衝材付き浮体構造物の係留ロ−ラ− - Google Patents

弾性緩衝材付き浮体構造物の係留ロ−ラ−

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JP3495095B2 JP15958394A JP15958394A JP3495095B2 JP 3495095 B2 JP3495095 B2 JP 3495095B2 JP 15958394 A JP15958394 A JP 15958394A JP 15958394 A JP15958394 A JP 15958394A JP 3495095 B2 JP3495095 B2 JP 3495095B2
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は浮体構造物の係留ロ−ラ
−に関し、係船岸や荷揚場等の浮体構造物を固定用杭に
よって係留する弾性緩衝材付き浮体構造物の係留ロ−ラ
−に係るものである。
【0002】
【従来技術】従来から、潮の干満差や波の動きにつれ
て、固定用杭に定置された浮体構造物が上下する係留装
置があり、これはチエ−ン等の緩係留によるか、或いは
固定用杭を囲った複数本のロ−ラ−をもって、杭の上下
方向に沿って動き得る構造とされていた。前者の場合に
あっては、浮体構造物が上下だけでなく左右にも大きく
揺れ動くこととなり、浮体構造物上にある積載物や係留
物もこれにつれて揺れ動き、この浮体構造物上での作業
能率も余りよくなく、更にこの係留のために広い水面を
必要とする等の問題があった。後者の場合には、浮体構
造物に上下動だけが主に生ずるもので、積載、作業、係
留にあって、より好ましいものであるが、左右への動き
は阻止されるものの、浮体構造物に与えられる力を緩衝
してしまう能力はなく、物理的な阻止力のみでこれに抗
していた。
【0003】このため、主として左右方向への力に対し
て緩衝力を与えるため、ロ−ラ−受台と浮体構造物から
のびる支持体間に、ゴム弾性緩衝材を介在させて杭をは
さむ技術が提案されている(実開平2−106998号
公報)。かかる技術は、予めゴム弾性緩衝材にボルト等
によって初期圧縮を与えて、杭に対して隙間をもって囲
みやすくしておき、杭とロ−ラ−とを対向させて支持体
に取付けた後にこの初期圧縮を解除し、ロ−ラ−によっ
て杭をはさみつけるものである。
【0004】そして、本出願人においては、上記技術の
一つの欠点、即ち、係留杭と浮体構造物との係留作業の
簡素化及び備えられた弾性緩衝材の機能を十分に発揮さ
せるよう特願平3−140966号にて新しい提案を行
っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この発
明にあっては、浮体構造物が波や風によって揺動し、係
留杭が係留ロ−ラ−に対して斜めに接触した場合にあっ
ては、ゴム弾性緩衝材の基部にモ−メントが発生し、更
に同じ方向に圧縮されるとそのモ−メントは益々大きく
なるので、ゴム弾性緩衝材は一気に折れ曲がってしま
い、過大な荷重のために破断に至ることともなる。
【0006】図6は前者の係留構造の平面図、図7はそ
の拡大側面図である。図中、符号1は浮体構造物であ
り、2は水中より垂直に立設された係留杭である。そし
て、この係留杭2に対して浮体構造物の側面にゴム弾性
緩衝材3及び一個のロ−ラ−4が係留杭2の長手方向に
向かって備えられるものである。このゴム弾性緩衝材3
は、通常はその両側にプレ−ト5、6が加硫接着され、
このプレ−ト5が浮体構造物1側にボルト及びナット7
にて固定される。一方、プレ−ト6にはロ−ラ−4の受
台8が同様にボルト及びナット7にて固定されたもので
ある。さて、波等の作用によって係留杭2とロ−ラ−4
とは或る傾斜角をもって接触するのが一般的で、この際
の状態を図8に示す。この係留杭2とロ−ラ−4との接
触によってゴム弾性緩衝材3の一方が圧縮されて全体と
して傾く(θ)こととなり、このため、接触点とロ−ラ
−4の回転軸を結ぶ延長線l1 はロ−ラ−4を支持する
ゴム弾性緩衝材3の基部中央とは距離s1 だけずれるこ
ととなり、ここにモ−メントM1 (=F×s1 :F=ロ
−ラ−4に加わる荷重)を生ずる。
【0007】図9は更に係留杭2に荷重が加わった場合
を示すものであり、この場合にはゴム弾性緩衝材3の変
形が大きくなり、ほぼつぶれた状態となる。ここに至っ
て生ずるモ−メントM2 (=F×s2 )は図8のそれよ
りもはるかに大きく、このため、ゴム弾性緩衝材3が更
に変形され、最後にはゴムの破断につながることもあ
る。
【0008】本発明は、係留杭が係留ロ−ラ−に対して
斜めに接触した場合にあっても弾性緩衝材の基部に大き
なモ−メントをかけることなく、弾性緩衝材の破断を防
止しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる従来の問
題点を解消するためになされたものであって、その要旨
は、浮体構造物の側面に弾性緩衝材を取り付けると共
に、この弾性緩衝材に受台と共に二個のロ−ラ−が取り
付けられた浮体構造物の係留ロ−ラ−であって、水中よ
り立設された係留杭の長手方向に対向して前記二個のロ
−ラ−が備えられ、その一方のロ−ラ−と係留杭との接
点と、前記一方のロ−ラ−の回転軸の中心とを結ぶ直線
の延長線に基づいて生ずるモ−メントが、他方のロ−ラ
−と係留杭との接点と、前記他方のロ−ラ−の回転軸の
中心とを結ぶ直線の延長線に基づいて生ずるモ−メント
と逆向きになるようにしたことを特徴とする弾性緩衝材
付き浮体構造物の係留ロ−ラ−に係るものである。
【0010】そして、一般には弾性緩衝材がゴム又はウ
レタン樹脂にて代表される合成樹脂等のエラストマ−製
弾性緩衝材であり、特に具体的には、弾性緩衝材の両面
にプレ−トを接着してなり、一方が浮体構造物の側面に
固定され、他方がロ−ラ−の受台に固定された浮体構造
物の係留ロ−ラ−に係るものである。尚、ここで用いら
れるロ−ラ−は、鋼製、ゴム製、ウレタンやナイロン等
の合成樹脂製のものが用いられ、場合によっては鋼製の
ロ−ラ−の表面にゴムや前記したような合成樹脂等の層
を被覆することも好ましいロ−ラ−である。
【0011】
【作用】本発明にあっては、ロ−ラ−を二個連接して用
い、係留杭が斜めに接触した時の荷重方向の延長線、即
ち浮体とロ−ラ−との接触点とロ−ラ−回転軸の中心を
結ぶ延長線が弾性緩衝材の基部の中心よりも接触するロ
−ラ−側にくることとしたことにより、弾性緩衝材には
従来の浮体構造物の係留ロ−ラ−とは反対向きの小さい
モ−メントが発生することとなる。そして、更に弾性緩
衝材の圧縮が進むと、反対側のロ−ラ−も浮体構造物に
接触することとなるので、上述のモ−メントは打ち消さ
れ、弾性緩衝材は浮体構造物の角度以上に傾斜すること
がなくなり、過大な荷重が係る心配がなくなるものであ
る。
【0012】尚、本発明によって用いられる弾性緩衝材
としては、ゴム弾性体、ウレタンにて代表される合成樹
脂等のエラストマ−材料が採用され、円柱や角柱の中実
状のブロック、任意の個所に穴を開けたブロック、或い
はセル型防舷材に代表されるような防舷材であってもよ
い。一方、用いられるロ−ラ−としては前記したよう
に、鋼製、ゴム製、ウレタンやナイロン等の合成樹脂製
のものがあるが、鋼製のロ−ラ−の場合には表面にゴム
や前記したような合成樹脂等の層を被覆して錆の発生、
衝突音の発生、摩耗の防止、更には緩衝効果の増大等を
図ることができるものである。
【0013】
【実施例】以下、図面に基いて本発明を更に詳しく説明
する。図1は本発明の係留ロ−ラ−の正面図、図2はそ
の側面図、図3はその上面図である。尚、係留装置とし
ての全体図は前記した図1と同様であり省略する。図
中、符号11は浮体構造物であり、その側面に厚さ15
0mmの中実のゴム製の弾性緩衝材12が固定され、こ
の先端に直径240mmの二個の鋼製のロ−ラ−13
1 、132 が固定されることとなる。この二個のロ−ラ
−131 、132 の軸の間隔は250mmであった。
尚、ロ−ラ−131 、132 の長さは200mmであ
る。
【0014】図において、ゴム弾性緩衝材12はその両
面に金属製プレ−ト14、15が加硫接着されており、
プレ−ト14が浮体構造物1の側面にボルト及びナット
16にて固定されると共に、プレ−ト15側にはロ−ラ
−131 、132 を備えた受台17がこれ又ボルト及び
ナット16にて固定されている。18は係留杭であり、
前記したロ−ラ−131 、132 はこの係留杭18の長
手方向に並べられて配置されているものである。図中、
19はプレテンションボルトである。
【0015】図4は本発明の係留ロ−ラ−131 と係留
杭18とが角度θをもって接触した場合の側面図であ
り、この場合、係留杭18とこれと接触したロ−ラ−1
1 の回転軸の延長線l2 はそのゴム弾性緩衝材12の
中央基部とのずれs2 によってモ−メントM2 (=F×
2 )を生ずることとなる。
【0016】しかるに、その後係留杭18は図5に示す
ようにもう一方のロ−ラ−132 に接触することとなる
が、この場合、係留杭18からの荷重FはF1 とF2
分散され、前記と同様の延長線l2 、l3 に基づいて夫
々逆向きのモ−メントを生じその和がゼロとなる。即
ち、M2 =F1 ×s21−F2 ×s22=0となり、両ロ−
ラ−131 及び132 に生ずるモ−メントが打ち消さ
れ、ゴム弾性緩衝材12は浮体構造物の角度以上に傾斜
することがなく、過大な荷重がかかってしまうことがな
くなるのである。
【0017】
【効果】本発明は受台に二個のロ−ラ−を、しかも特定
の位置関係に配置したため、係留杭の傾斜接触に対して
大きなモ−メントを生ずることがなくなり、備えられた
弾性緩衝材の常に強度許容限度内とすることができるた
め、その破損等がなく、浮体構造物の係留装置として寿
命の長いものとなったものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の係留ロ−ラ−の正面図である。
【図2】図2は図1に示す係留ロ−ラ−の側面図であ
る。
【図3】図3は図1に示す係留ロ−ラ−の上面図であ
る。
【図4】図4は本発明の係留ロ−ラ−の一方側と係留杭
とが角度をもって接触した場合の側面図である。
【図5】図5は本発明の係留ロ−ラ−の両方に係留杭が
接触した場合の側面図である。
【図6】図6は係留構造の概略を示す平面図である。
【図7】図7はそのロ−ラ−部近傍の拡大側面図であ
る。
【図8】図8は係留杭と図7に示すロ−ラ−との傾斜接
触の際の状態を示す側面図である。
【図9】図9は図8の接触の程度を更に大きくした際の
状態を示す側面図である。
【符号の説明】
11‥‥浮体構造物、 12‥‥弾性緩衝材、 131 、132 ‥‥ロ−ラ−、 14、15‥‥プレ−ト、 16‥‥ボルト及びナット、 17‥‥受台、 18‥‥係留杭、 19‥‥プレテンションボルト。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浮体構造物の側面に弾性緩衝材を取り付
    けると共に、この弾性緩衝材に受台と共に二個のロ−ラ
    −が取り付けられた浮体構造物の係留ロ−ラ−であっ
    て、水中より立設された係留杭の長手方向に対向して前
    記二個のロ−ラ−が備えられ、その一方のロ−ラ−と係
    留杭との接点と、前記一方のロ−ラ−の回転軸の中心と
    を結ぶ直線の延長線に基づいて生ずるモ−メントが、他
    方のロ−ラ−と係留杭との接点と、前記他方のロ−ラ−
    の回転軸の中心とを結ぶ直線の延長線に基づいて生ずる
    モ−メントと逆向きになるようにしたことを特徴とする
    弾性緩衝材付き浮体構造物の係留ロ−ラ−。
  2. 【請求項2】 弾性緩衝材がエラストマ−製緩衝材であ
    る請求項第1項記載の弾性緩衝材付き浮体構造物の係留
    ロ−ラ−。
  3. 【請求項3】 エラストマ−製緩衝材の両面にプレ−ト
    を接着してなり、一方が浮体構造物の側面に固定され、
    他方がロ−ラ−の受け台と固定された請求項第1項及び
    第2項記載の記載の弾性緩衝材付き浮体構造物の係留ロ
    −ラ−。
  4. 【請求項4】 ロ−ラ−が、鋼製、ゴム製、合成樹脂
    製、或いは鋼製のロ−ラ−の表面にゴムや合成樹脂の層
    を被覆した請求項第1項記載の弾性緩衝材付き浮体構造
    物の係留ロ−ラ−。
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