JP3492346B2 - 歪みと温度の分布測定方法及びその装置 - Google Patents
歪みと温度の分布測定方法及びその装置Info
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Description
とし、光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変
化を捉えて物理量の分布を測定するもので、特に被測定
物理量として歪みと温度との変化を区別して両方の分布
を同時に測定する歪みと温度の分布測定方法及びその装
置に関する。
た周囲の歪みや温度等の外乱因子に関する物理量を測定
するための光ファイバセンサ等に応用できる。
保守管理、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守
管理、(c)航空機等に利用されている複合材料の故
障、疲労などの不具合の自己診断である。
にそれぞれ光ファイバを埋設することで、例えば複合材
料などの材料自体に発生する故障、疲労などの不具合を
自己診断する機能を付加するスマートマテリアル・スト
ラクチャーなどに利用することができる。
温度と歪みとの両方の分布を測定するには、図15に示
すようにそれぞれ測定原理が異なる別々なセンシングシ
ステムが必要になる。
ングとしてラマン散乱光の測定に光パルス試験器(OT
DR:Optical Time Domain Reflectometory ;光時間
領域反射測定器)を使用するラマンOTDR(R−OT
DR)101と、歪みセンシングとして光ファイバ中の
ブリルアン散乱の周波数シフト(ブリルアン周波数シフ
トと呼ぶ)量を測定するブリルアンOTDR(B−OT
DR)102とである。
OTDR102とは、それぞれセンシング用ファイバ1
03に接続される。
ると、光ファイバにおける温度分布を測定する方法に
は、ラマン散乱光の後方散乱係数の温度による変化に着
目した温度分布測定法が提案されている。この温度分布
測定法には、例えば文献『Electron. Lett. , vol.21,N
o.13,pp.569-570 ,1985』に記載されている技術があ
る。
散乱光の測定に光パルス試験器(OTDR)が使用され
る。センシング用ファイバ103中に光パルスが入射さ
れてから散乱光が測定されるまでに遅延時間が生じる。
この遅延時間は、散乱光が生じる点(散乱点)までの距
離に対応する。従って、散乱光及び遅延時間を測定する
ことにより、センシング用ファイバ103における任煮
の点のラマン散乱光の温度による散乱係数の変化、すな
わち温度変化が測定可能になる。このラマンOTDRの
方法は、既に大型構造物の温度分布測定などに応用され
ている。
説明すると、センシング用ファイバ103を用いた歪み
センシングシステムには、センシング用ファイバ103
中でのブリルアン散乱光の周波数シフト量をファイバに
沿って分布計測することにより、歪みと温度を測定する
方法が提案されている。
それと類似なパルス−連続光対向法との組み合わせるこ
とにより、歪みと温度の連続分布が測定可能である。例
えば文献『J. Lightwave Tecnol. , vol.13,No.7,pp.12
96-1302,1995』に記載されている。この方法では、ブリ
ルアン周波数シフトが歪みと温度の両方に依存するた
め、両者を区別して測定できない。
TDR101とブリルアンOTDR102の2つの方法
を用いた場合には、次のような技術課題がある。
め、ラマン散乱光の波長は、入射光の波長からずれたも
のとなる。このラマン散乱による波長変化は、光ファイ
バが石英系の場合、約100nmと大きな値であるた
め、光ファイバの低損失波長域からずれてしまい、この
結果、伝搬損失の増大により長距離にわたる測定ができ
ない。
る範囲が制限されるが示されている。センシング用ファ
イバ3のラマンOTDR101とブリルアンOTDR1
02とが接続された一端側では、温度と歪みと分布の両
方の測定範囲があるが、他端側では歪み測定範囲のみと
なり、同時に温度と歪みと分布が測定できない。
いため、ラマンOTDR法により歪み測定ができない。
歪みと温度の両方の効果でブリルアン周波数シフトが発
生するため、従来の測定手法のままでは両物理量の分離
識別はできない。このためラマン散乱による温度測定が
必要である。
用するシステム構成のために、装置構成が煩雑であり、
装置価格が高価である。
用するファイバセンシングの測定原理だけで、長距離に
渡って歪みと温度との両方を区別して測定できる歪みと
温度の分布測定方法及びその装置を提供することを目的
とする。
光ファイバ中で発生するブリルアン散乱現象の変化を捉
えて被測定物理量の変化を測定する歪みと温度の分布測
定方法において、センシング用光ファイバにおける各波
長ごとのブリルアン散乱の歪み波長依存係数とその温度
波長係数を予め求めておき、センシング用光ファイバに
入射するポンプ光の各波長ごとのブリルアン周波数シフ
トの変化を求めるステップと、これら測定データを、セ
ンシング用光ファイバの歪みの変化と温度の変化とに関
する2元連立方程式に代入し演算することにより、セン
シング用光ファイバの各位置で発生した歪みの変化と温
度の変化とをそれぞれ識別して同時に求めるステップと
を有することを特徴とする歪みと温度の分布測定方法で
ある。
測定方法において、センシング用光ファイバの歪みの変
化と温度の変化とに関する2元連立方程式は、ポンプ光
の波長をλn、波長依存係数をCε(λn)、温度波長係数
をCT(λn)、ブリルアン周波数シフトの変化をΔνB(λ
n)、センシング用光ファイバの歪みの変化をΔε、セン
シング用光ファイバの温度の変化をΔTとすると、
測定方法において、ポンプ光の波長の総数が3波長以上
の場合、センシング用光ファイバの各位置で発生した歪
みの変化と温度の変化とをそれぞれ加算平均演算して、
センシング用光ファイバの各位置で発生した歪みの変化
と温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求めるステッ
プを有する。
測定方法において、加算平均演算する方程式は、2元連
立方程式を演算して得られた解であるセンシング用光フ
ァイバの歪みの変化をΔε、センシング用光ファイバの
温度の変化をΔT、これらΔε、ΔTの組合せの総数を
Nとすると、
生するブリルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量
の変化を測定する歪みと温度の分布測定装置において、
複数の波長成分の光を出力する光源部と、この光源部か
らの出力光をポンプ光とプローブ光とに分岐する光分配
器と、ポンプ光又はプローブ光のいずれかの光に変調を
行う光変調器と、この光変調器により変調された光をセ
ンシング用光ファイバに導くと共に、センシング用光フ
ァイバからの温度と歪みの物理情報を有するブリルアン
散乱光を導く導光手段と、この導光手段により導かれた
ブリルアン散乱光を受光して電気信号に変換する受光部
と、この受光部からの電気信号を入力し、センシング用
光ファイバに入射するポンプ光の各波長ごとのブリルア
ン周波数シフトの変化を示す各測定データを、センシン
グ用光ファイバの歪みの変化と温度の変化とに関する2
元連立方程式に代入し演算し、センシング用光ファイバ
の各位置で発生した歪みの変化と温度の変化とをそれぞ
れ識別して同時に求める信号処理部とを具備したことを
特徴とする歪みと温度の分布測定装置である。
測定装置において、信号処理部は、ポンプ光の波長をλ
n、波長依存係数をCε(λn)、温度波長係数をC
T(λn)、ブリルアン周波数シフトの変化をΔνB(λn)、
センシング用光ファイバの歪みの変化をΔε、センシン
グ用光ファイバの温度の変化をΔTとすると、
測定装置において、信号処理部は、ポンプ光の波長の総
数が3波長以上の場合、センシング用光ファイバの各位
置で発生した歪みの変化と温度の変化とをそれぞれ加算
平均演算して、センシング用光ファイバの各位置で発生
した歪みの変化と温度の変化とをそれぞれ識別して同時
に求める。
測定装置において、信号処理部は、2元連立方程式を演
算して得られた解であるセンシング用光ファイバの歪み
の変化をΔε、センシング用光ファイバの温度の変化を
ΔT、これらΔε、ΔTの組合せの総数をNとすると、
測定装置において、光源部は、出力する光の波長を連続
的に可変可能であり、かつ外部制御により随時任意の波
長の光を出力する。
測定装置において、光源部は、複数の光源を備え、これ
ら光源からはそれぞれ異なる各波長の光を出力する。
測定装置において、光源部は、複数の光源と、これら光
源からそれぞれ出力された光を一つの光路に集約し、単
一光路で同時に複数の波長の光を出力する波長合波器と
からなる。
測定装置において、光源部は、複数の光源からそれぞれ
出力された光のうち任意の単一波長のみの光を一つの光
路に導く光スイッチを備え、この光スイッチの光路選択
の切り替えによって出力する光の波長を随時選択する。
測定装置において、受光部は、ポンプ光の任意の波長に
見合ったブリルアン散乱光のみを透過させる波長可変光
バンドパスフィルタと、この波長可変光バンドパスフィ
ルタを透過した光を電気信号に変換する光検出器とから
なる。
測定装置において、受光部は、センシング用光ファイバ
からの単一光路で導かれる複数の波長の後方散乱光を分
配する波長分配器と、この波長分配器により分配された
各波長ごとにポンプ光の任意の波長に見合ったブリルア
ン散乱光のみを透過させる複数の波長可変光バンドパス
フィルタと、これら波長可変光バンドパスフィルタをそ
れぞれ透過した各光をそれぞれ各電気信号に変換する複
数の光検出器とからなる。
測定装置において、信号処理部は、受光部から出力され
た電気信号からブリルアンビート周波数成分のみを抽出
する電気信号周波数フィルタと、この電気信号周波数フ
ィルタにより抽出された周波数信号から周波数スペクト
ラムの最大強度のピーク周波数を検出し、このピーク周
波数の値をブリルアン周波数として求める第1の演算部
と、この第1の演算部により定義されたポンプ波長毎の
ブリルアン周波数値のデータを格納するデータ格納部
と、このデータ格納部に格納されたデータを用いて上記
演算を行なってセンシング用光ファイバの各位置で発生
した歪みの変化と温度の変化とをそれぞれ識別して同時
に求める第2の演算部とからなる。
測定装置において、センシング用光ファイバからの単一
光路で導かれた複数の波長の後方散乱光がそれぞれ分配
された場合、信号処理部は、各波長ごとに電気信号周波
数フィルタと第1の演算部とが並列処理する。
測定装置において、信号処理部は、センシング用光ファ
イバの歪みの変化と、センシング用光ファイバの温度の
変化との組み合わせが複数の場合、これら歪みと温度と
のそれぞれの値の加算平均を行う演算部と、この演算部
の演算結果を最終的な測定結果として表示する表示部と
からなる。
の形態について図面を参照して説明する。
である。この歪みと温度の分布測定装置は、Brillouin
Optical Time Domain Analysis (BOTDA)を適用した構成
である。このBOTDA法は、周波数νが可変のパルス
ポンプ光と連続波プローブ光とを、それぞれセンシング
用光ファイバ103の両端から入射し、ブリルアン散乱
現象によるプローブ光のブリルアンゲインに比例したパ
ワーの変化を時間の関数として測定し、その変化量から
温度、歪み分布を求めるものである。
明すると、光源部1には、光ファイバ2−1を介して光
分配器3が接続されている。
−2、2−3が接続され、一方の光ファイバ2−2に光
変調器4を介して光サーキュレータ5が接続されてい
る。これら光変調器4と光サーキュレータ5との間は、
光ファイバ2−4により接続されている。他方の光ファ
イバ2−3には、光変調器6が接続されている。
は、各光ファイバ2−5、2−6を介してセンシング用
光ファイバ103が接続されている。このセンシング用
光ファイバ103は、実際の歪みや温度を検知するため
のものである。
7を介して受光部7が接続され、さらにこの受光部7の
出力端子に信号処理部8が接続されている。
るもので、図2に示すように波長可変光源10と、波長
コントローラ電源11からなる。
で波長を可変して光Pを出力するもので、例えば半導体
レーザ(LD)が用いられる。この波長可変光源2に
は、光ファイバ2−1を介して光分配器3が接続されて
いる。
源2を駆動し、かつ出力光Pの波長を波長範囲λ1〜λ
nで波長可変のコントロールをする機能を有するもの
で、例えば出力光Pの波長を各中心波長λ1、λ2、
…、λnのいずれかにコントロールする。
プ光P1とプローブ光P2とに分配するもので、例えば
光カプラー、ビームスプリッター、ハーフミラー等が好
適である。この光分配器5の分岐出力側には、ポンプ光
P1用とプローブ光P2用との2本の光ファイバ2−
2、2−3が接続される。
2にポンプ光P1を導き、光ファイバ2−2、2−3に
プローブ光P2を導いているが、これとは逆に光ファイ
バ2−2にプローブ光P2を導き、光ファイバ2−2、
2−3にポンプ光P1を導いてもよい。
ン周波数近傍まで変調する、すなわちプロープ光P2の
周波数を変調する機能を有する。なお、光ファイバ2−
2にプローブ光P2を導いた場合には、光変調器4によ
りプローブ光P2をブリルアン周波数近傍まで変調す
る。
mにおける石英光ファイバのブリルアンシフト周波数ν
B(=10〜11GHz相当)の変調可能な電界効果を
利用した導波路型変調器が挙げられる。この光変調器6
は、他に音響効果を用いた変調素子や、両効果に基づく
バルク型の変調素子等でもよい。
と2つの出力ポート5−2、5−3とを有し、このうち
入力ポート5−1にポンプ光P1用の光ファイバ2−4
が接続され、出力ポート5−2に光ファイバ2−5を介
してセンシング用光ファイバ103が接続されている。
又、出力ポート5−3には、光ファイバ2−7を介して
受光部7が接続されている。この光サーキュレータ5
は、例えば光カプラー、ビームスプリッター、ハーフミ
ラー等が好適である。
からポンプ光P1が入射して同センシング用光ファイバ
103内を伝搬し、かつ他端からプローブ光P2が入射
してポンプ光P1の伝搬方向とは逆向きに伝搬(対向励
起)する。
3中では、ポンプ光P1によって発生するSBS現象を
介してそのパワーの一部がプローブ光P2に移行する。
このプローブ光P2からみれば、それはブリルアン増幅
による伝搬光として振舞う。
2は、再び光サーキュレータ5の出力ポート5−2に入
射し、この出力ポート5−2から出力ポート5−3、光
ファイバ2−7を伝搬して受光部7に入射する。
きたプローブ光P2のブリルアン散乱光を受光して電気
信号に変換する機能を有するもので、図3に示すように
波長可変光バンドパスフィルタ12と、光検出器13と
からなる。
ンプ光P1の任意の波長λ1、λ2、…、λnに見合っ
たブリルアン散乱光のみを透過させる作用を持つもの
で、例えば光源部1の出力光Pの波長λnよりも0.0
8〜0.1nm(この数値は、石英ファイバで波長1.
55μmの場合)だけ離調したブリルアン散乱光波長の
みを抽出する機能を有する。
ィルタ12を透過した光を電気信号に変換する機能を有
する。
を入力し、センシング用光ファイバ103に入射するポ
ンプ光P1の各波長λ1、λ2、…、λnごとのブリル
アン周波数シフトの変化を示す各測定データを、センシ
ング用光ファイバ103の歪みの変化と温度の変化とに
関する2元連立方程式に代入し演算し、センシング用光
ファイバ103の各位置で発生した歪みの変化と温度の
変化とをそれぞれ識別して同時に求める機能を有する。
をλn、波長依存係数をCε(λn)、温度波長係数をC
T(λn)、ブリルアン周波数シフトの変化をΔνB(λ
n)、センシング用光ファイバ103の歪みの変化をΔ
ε、センシング用光ファイバ103の温度の変化をΔT
とすると、次の2元連立方程式、
生した歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ識
別して同時に求める機能を有する。
理量とブリルアン周波数シフトとの関係を示す。歪みの
変化Δε及び温度の変化ΔTに対してブリルアン周波数
シフトの変化をΔνBは、それぞれ比例的に増加してい
る。
の総数が3波長以上の場合、センシング用光ファイバ1
03の各位置で発生した歪みの変化と温度の変化とをそ
れぞれ加算平均演算して、センシング用光ファイバ10
3の各位置で発生した歪みの変化と温度の変化とをそれ
ぞれ識別して同時に求める機能を有する。
(式(1))を演算して得られた解であるセンシング用光
ファイバ103の歪みの変化をΔε、センシング用光フ
ァイバ103の温度の変化をΔT、これらΔε、ΔTの
組合せの総数をNとすると、
合のセンシング用光ファイバ103の各位置で発生した
歪みの変化と温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求
める機能を有する。
に電気信号周波数フィルタ14と、A/D変換器15
と、第1の演算部16と、データ格納部17と、第2の
演算部(以下、分離演算部と称する)18と、波長総数
判定部19と、加算平均演算部20と、表示部21とを
有している。
から出力された電気信号のノイズ等を低減する作用を持
つ。
ルタ14を透過したノイズが低減されたアナログ信号を
デジタル信号に変換する機能を有する。
ルタ14及びA/D変換器15を経た光変調器6の各変
調周波数νのデジタル信号波形、つまりこのデジタル信
号波形は光変調器6の変調周波数νと波形時間tと波形
強度Iの3つのパラメータ(3次元)が関係した波形デ
ータであり、その波形データから時間ごとの周波数と波
形強度の関係からその波形データを見て強度が最大とな
る周波数値(ピーク周波数値)をブリルアン周波数νB
として検出する。そしてそのブリルアン周波数を求める
過程をすべての波形時間にわたり行うことで、時間領域
におけるブリルアン周波数分布(2次元)νB(t)が求ま
る。すなわち時間領域と距離領域は等価であるため、結
果として各距離におけるブリルアン周波数分布νB(z)を
求める機能を有する。繰り返すが、第1の演算部16の
役割と作用は前述した通りである。
により検出されたポンプ光P1の波長λ1、λ2、…、
λn毎のブリルアン周波数値のデータ(ブリルアン周波
数分布の計測データ)が格納される。これら計測データ
は、例えばピーク周波数νBのデータλ1[ν
B(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn[νB(z)]であ
る。このデータ格納部17は、計測データλ1[ν
B(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn[νB(z)]の書
き込み、読み出し可能である。
納された計測データλ1[νB(z)]、λ2[ν
B(z)]、…、λn[νB(z)]を用いて上記式(1)の
演算を行なってセンシング用光ファイバ103の各位置
で発生した歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞ
れ識別して同時に求める機能を有する。
ン散乱を利用した方法は、外乱因子(この場合被測定物
理量)である「歪み」や「温度」の影響により、その散
乱光の周波数成分の変化量(ブリルアン周波数シフト)
を測定し、その測定値から被測定物理量を算出する方式
である。波長λの光波におけるブリルアン周波数νBの
関係は次式
3の屈折率、λはセンシング用光ファイバ103中の光
の波長である。vaはセンシング用光ファイバ103の
音速であり、センシング用光ファイバ103の周辺の温
度や歪みが変化すると音速ν aが変化し、最終的な結果
として上記式(3)の関係からブリルアン周波数νBが
変化する。
るセンシング用光ファイバ103固有の物性値に依存し
て得られる値であり、センシング用光ファイバ103の
ヤング率、ポアソン比、密度で与えられる。
におけるUV(紫外線)被膜シングルモード石英ファイ
バについて求めると、そのブリルアン周波数νBの温
度、歪み量に関する演算係数CT(λ)、Cε(λ)はそれ
ぞれ次式(4)、式(5)であることが知られている。
mにおける同様な上記の係数は次式(6)、式(7)に
より表わされる。
性があり、各波長固有の係数として取り扱うことができ
る。
(2)に従い、実際の測定によって求められるブリルア
ン周波数シフトの測定値から歪みの変化Δεと温度の変
化ΔTとの両被測定物理量を算出するので、この算出の
ために予め上記式(4)〜(7)のような演算係数値C
T(λ)、Cε(λ)が算出パラメータとしてデータ化さ
れ、既値として用意している。
す。同図から波長λに対する温度変化係数(演算係数
値)CT(λ)と歪み変化係数(演算係数値)Cε(λ)と
の変化が分る。
1、λ2、…、λnの総数が例えば3以上(n≧3)で
あるか否かを判断する機能を有する。
1、λ2、…、λnの総数が例えば3以上(n≧3)の
場合、分離演算部18の演算により求められた歪みの変
化Δεと温度の変化ΔTとのそれぞれの値の加算平均を
行う機能を有する。
連立方程式(式(1))を演算して得られた解であるセン
シング用光ファイバ103の歪みの変化をΔε、センシ
ング用光ファイバ103の温度の変化をΔT、これらΔ
ε、ΔTの組合せの総数をNとすると、上記式(2)を
演算してポンプ光P1の波長の総数が3波長以上の場合
のセンシング用光ファイバ103の各位置で発生した歪
みの変化と温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求め
る機能を有する。
り求められた歪みの変化Δεと温度の変化ΔT、又は加
算平均演算部20により加算平均されて求められた歪み
の変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力する。
ついて説明する。
nの光が出力される。この出力光Pは、光分配器3によ
りポンプ光P1とプローブ光P2とに分配される。
光サーキュレータ5を伝搬してセンシング用光ファイバ
103に入射する。
る。この光変調器6は、プローブ光P 2をブリルアン周
波数近傍まで変調する、すなわちプロープ光P2の周波
数を変調する。この変調されたプロープ光P2は、セン
シング用光ファイバ103に入射する。
一端からポンプ光P1が入射して同センシング用光ファ
イバ103内を伝搬し、かつ他端からプローブ光P2が
入射してポンプ光P1の伝搬方向とは逆向きに伝搬(対
向励起)する。
3中では、ポンプ光P1によって発生するSBS現象を
介してそのパワーの一部がプローブ光P2に移行する。
このプローブ光P2からみれば、それはブリルアン増幅
による伝搬光として振舞う。
2は、再び光サーキュレータ5の出力ポート5−2に入
射し、この出力ポート5−2から出力ポート5−3、光
ファイバ2−7を伝搬して受光部7に入射する。
3には、一端からポンプ光P1が入射して同センシング
用光ファイバ103内を伝搬し、かつ他端からプローブ
光P 2が入射してポンプ光P1の伝搬方向とは逆向きに
伝搬(対向励起)する。
は、ポンプ光P1によって発生するSBS現象を介して
そのパワーの一部がプローブ光P2に移行する。このプ
ローブ光P2からみれば、それはブリルアン増幅による
伝搬光として振舞う。
2は、再び光サーキュレータ5の出力ポート5−2に入
射し、この出力ポート5−2から出力ポート5−3、光
ファイバ2−7を伝搬して受光部7に入射する。
イバ2−7を伝搬してきたプローブ光P2のブリルアン
散乱光を波長可変光バンドパスフィルタ12に入射す
る。
は、ポンプ光P1の任意の波長λ1、λ2、…、λnに
見合ったブリルアン散乱光のみを透過させる。例えば光
源部1の出力光Pの波長λnよりも0.08〜0.1n
m(この数値は、石英ファイバで波長1.55μmの場
合)だけ離調したブリルアン散乱光波長のみを抽出して
光検出器13に入射する。
スフィルタ12を透過したブリルアン散乱光波長のみの
光を電気信号に変換する。この電気信号は、信号処理部
8に送られる。
てきた電気信号を電気信号周波数フィルタ14に送る。
この電気信号周波数フィルタ14は、受光部7から出力
された電気信号のノイズ等を低減する。
数フィルタ14を透過したノイズが低減されたアナログ
信号をデジタル信号に変換する。
数フィルタ14及びA/D変換器15を経た光変調器6
の各変調周波数νのデジタル信号波形、つまりこのデジ
タル信号波形は光変調器6の変調周波数νと波形時間t
と波形強度Iの3つのパラメータ(3次元)が関係した
波形データであり、その波形データから時間ごとの周波
数と波形強度の関係からその波形データを見て強度が最
大となる周波数値(ピーク周波数値)をブリルアン周波
数νBとして検出する。そしてそのブリルアン周波数を
求める過程をすべての波形時間にわたり行うことで、時
間領域におけるブリルアン周波数分布(2次元)νB(t)
が求まる。すなわち時間領域と距離領域は等価であるた
め、結果として各距離におけるブリルアン周波数分布ν
B(z)が求まる。
により検出されたポンプ光P1の波長λ1、λ2、…、
λn毎のブリルアン周波数分布の計測データが格納され
る。これらデータは、例えばピーク周波数νBの計測デ
ータλ1[νB(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn[ν
B(z)]である。図7には各波長λ1、λ2、…、λn
ごとのブリルアン周波数分布の計測データが示されてい
る。
7に格納された計測データλ1[ν B(z)]、λ2[ν
B(z)]、…、λn[νB(z)]を読み取り、これら計測
データλ1[νB(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn
[νB(z)]を用いて上記式(1)の演算を行なってセ
ンシング用光ファイバ103の各位置で発生した歪みの
変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ分離して同時に
求める。
(2)に従い、実際の測定によって求められるブリルア
ン周波数シフトの測定値から歪みの変化Δεと温度の変
化ΔTとの両被測定物理量を算出するので、この算出の
ために予め上記式(4)〜(7)のような演算係数値C
T(λ)、Cε(λ)が算出パラメータとしてデータ化さ
れ、既値として用意している。
波長λ1、λ2、…、λnの総数が例えば3以上(n≧
3)であるか否かを判断する。
2、…、λnの総数が例えば3以下であれば、表示部2
1は、図7に示すように分離演算部18の演算により求
められた歪みの変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力す
る。
…、λnの総数が例えば3以上(n≧3)であれば、加
算平均演算部20は、上記2元連立方程式(式(1))を
演算して得られた解であるセンシング用光ファイバ10
3の歪みの変化をΔε、センシング用光ファイバ103
の温度の変化をΔT、これらΔε、ΔTの組合せの総数
をNとして歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとのそれぞ
れの値の加算平均、すなわち上記式(2)を演算してポ
ンプ光P1の波長の総数が3波長以上の場合のセンシン
グ用光ファイバ103の各位置で発生した歪みの変化と
温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求める。
算平均演算部20により加算平均されて求められた歪み
の変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力する。
は、センシング用光ファイバ103における各波長
λ1、λ2、…、λnごとのブリルアン散乱の歪み波長
依存係数Cε(λ)とその温度波長係数CT(λ)を予め求
めておき、センシング用光ファイバ103に入射するポ
ンプ光の各波長ごとのブリルアン周波数シフトの変化を
求め、これら計測データλ1[νB(z)]、λ2[ν
B(z)]、…、λn[νB(z)]を、センシング用光ファ
イバ103の歪みの変化と温度の変化とに関する2元連
立方程式に代入し演算することによりセンシング用光フ
ァイバ103の各位置で発生した歪みの変化Δεと温度
の変化ΔTとをそれぞれ識別して同時に求めるので、ブ
リルアン散乱現象を利用するファイバセンシングの測定
原理だけで、長距離に渡って歪みと温度との両方を区別
して同時に測定できる。又、装置構成が簡単であり、装
置価格が定価にできる。
場合、センシング用光ファイバ103の各位置で発生し
た歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ加算平
均演算して、センシング用光ファイバ103の各位置で
発生した歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ
識別して同時に求めるので、センシング用光ファイバ1
03の各位置で発生した歪みの変化Δεと温度の変化Δ
Tとをそれぞれ分離、識別し、かつ高精度に両物理量を
同時に表示できる。
めて少ないブリルアン散乱光を用いることで、光ファイ
バの低損失波長帯の1.3〜1.55μmの範囲内だけ
で測定することができ、より遠方まで測定範囲を拡大で
きる。
数と温度波長依存係数と、2波長以上におけるそれぞれ
のブリルアン周波数シフト量のパラメータを用いた連立
方程式を解くことで、歪みと温度を区別して同時に分布
計測できる。
ぞれのパラメータを用いた連立方程式の歪みと温度の複
数の解を加算平均することで、歪み、温度の測定精度を
向上することができる。
や温度等の外乱因子に関する物理量を測定するための光
ファイバセンサ等、例えば、(a)光通信網の保守管
理、(b)トンネルや鉄橋等の大型構造物の保守管理、
(c)航空機等に利用されている複合材料の故障、疲労
などの不具合の自己診断に用いるに最適である。
ついて図面を参照して説明する。なお、図1と同一部分
には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
である。この歪みと温度の分布測定装置は、Brillouin
Optical Time Domain Reflectometory (BOTDR)を適用し
た構成である。このBOTDR法は、ポンプパルス光の
みを被測定ファイバから入射し、自然ブリルアン散乱現
象による後方散乱光成分パワーのブリルアンゲインスペ
クトラムgB(ν)の時間関数(ファイバ上の位置関
数)として測定し、その変化量から温度、歪みの分布を
求めるものである。
明すると、光源部1には、光ファイバ2−1を介して光
分配器3が接続されている。この光分配器3には、2本
の光ファイバ2−2、2−3が並列接続され、一方の光
ファイバ2−2に光変調器4を介して光サーキュレータ
5が接続されている。そして、この光サーキュレータ5
の出力ポート5−2にセンシング用光ファイバ103が
接続されている。
は、光変調器6を介して光合波器22が接続されてい
る。この光合波器22には、光サーキュレータ5の出力
ポート5−3が光ファイバ2−7を介して接続されてい
る。
ポンプ光P1を入射すると、センシング用光ファイバ1
03中では、ポンプ光P1によって自然ブリルアン散乱
光とレーリー散乱光を含む後方散乱光が発生する。この
後方散乱光は、再び光サーキュレータ5の出力ポート5
−2に帰還し、この出力ポート5−2、5−3から光フ
ァイバ2−7を伝搬して光合波器22に導かれる。
ローブ光P2とセンシング用光ファイバ103からの後
方散乱光とを合波するものである。
受光部7に送られる。そして、この受光部7に信号処理
部8が接続されている。
ついて説明する。
nの光が出力される。この出力光Pは、光分配器3によ
りポンプ光P1とプローブ光P2とに分配される。
タ5を伝搬してセンシング用光ファイバ103に入射す
る。
プ光P1が入射すると、センシング用光ファイバ103
中では、ポンプ光P1によって自然ブリルアン散乱光と
レーリー散乱光を含む後方散乱光が発生する。この後方
散乱光は、再び光サーキュレータ5の出力ポート5−2
に帰還し、この出力ポート5−2、5−3から光ファイ
バ2−7を伝搬して光合波器22に導かれる。
りブリルアン周波数近傍まで変調される。すなわちプロ
ープ光P2の周波数が変調される。この変調されたプロ
ープ光P2は、光合波器22に導かれる。
ローブ光P2とセンシング用光ファイバ103からの後
方散乱光とを合波し、この合波された光を受光部7に送
る。
光部7は、光合波器22からの合波光を受光して電気信
号に変換する。
を入力し、センシング用光ファイバ103に入射するポ
ンプ光P1の各波長λ1、λ2、…、λnごとのブリル
アン周波数シフトの変化を示す各計測データλ1[νB
(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn[νB(z)]を、セ
ンシング用光ファイバ103の歪みの変化と温度の変化
とに関する上記式(1)の2元連立方程式に代入し演算
し、センシング用光ファイバ103の各位置で発生した
歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ識別して
同時に求める。
の総数が3波長以上の場合、センシング用光ファイバ1
03の各位置で発生した歪みの変化Δεと温度の変化Δ
Tとをそれぞれ上記式(2)を用いて加算平均演算し
て、センシング用光ファイバ103の各位置で発生した
歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ識別して
同時に求める。
り求められた歪みの変化Δεと温度の変化ΔT、又は加
算平均演算部20により加算平均されて求められた歪み
の変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力する。
ば、BOTDR法を適用した構成であっても、長距離に
渡って歪みと温度との両方を区別して同時に測定でき
る。又、装置構成が簡単であり、装置価格が定価にでき
る。
場合、センシング用光ファイバ103の各位置で発生し
た歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ加算平
均演算するので、センシング用光ファイバ103の各位
置で発生した歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれ
ぞれ分離、識別し、かつ高精度に両物理量を同時に表示
できる。
めて少ないブリルアン散乱光を用いることで、光ファイ
バの低損失波長帯の1.3〜1.55μmの範囲内だけ
で測定することができ、より遠方まで測定範囲を拡大で
きる。
数と温度波長依存係数と、2波長以上におけるそれぞれ
のブリルアン周波数シフト量のパラメータを用いた連立
方程式を解くことで、歪みと温度を区別して同時に分布
計測できる。
ぞれのパラメータを用いた連立方程式の歪みと温度の複
数の解を加算平均することで、歪み、温度の測定精度を
向上することができる。
ついて図面を参照して説明する。
示す歪みと温度の分布測定装置における各光源部1、各
受光部7及び各信号処理部8の構成をそれぞれ変更した
ものである。
部1には、複数の光源30−1〜30−nが設けられて
いる。これら光源30−1〜30−nは、それぞれ異な
る発振波長λ1、λ2、…、λnを持っている。これら
光源30−1〜30−nには、それぞれ各光ファイバ3
1−1〜31−nを介して波長合波器32に並列接続さ
れている。
〜30−nをそれぞれ独立に個々の波長λ1、λ2、
…、λnを安定化させて、それらの各光P1〜Pnを出
力するもので、各光源30−1〜30−nを制御駆動す
るnチャンネルからなる。
光部7は、例えば図8に示す光合波器22からの波長多
重のブリルアン散乱光を入射し、このブリルアン散乱光
を各波長λ1、λ2、…、λnの数の分(n個)に分配
する波長分配器34を備える。
光P1〜Pnの各波長λ1、λ2、…、λnの数と同一
数の光バンドパスフィルタ35−1〜35−nが並列に
設けられている。これら光バンドパスフィルタ35−1
〜35−nは、それぞれポンプ光P1の任意の各波長λ
1、λ2、…、λnに見合ったブリルアン散乱光のみを
透過させる作用を持つものである。
ドパスフィルタ35−1〜35−nに対応して設けられ
ている。これら光受光器36−1〜36−nは、それぞ
れ各光バンドパスフィルタ35−1〜35−nを透過し
た各光を各電気信号に変換する機能を有する。
お、図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説
明は省略する。この信号処理部8は、電気信号周波数フ
ィルタ37、A/D変換器38及び第1の演算部39が
それぞれ光源部1の出力光P 1〜Pnの各波長λ1、λ
2、…、λnの数と同一数のチャンネルnにより並列処
理するものとなっている。
受光部7から出力されたnチャンネルの各電気信号のノ
イズ等を低減する作用を持つ。
信号周波数フィルタ37を透過したノイズが低減された
各アナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する機能
を有する。
気信号周波数フィルタ37及びA/D変換器38をそれ
ぞれ経た光変調器6の各変調周波数νのデジタル信号波
形、つまりこのデジタル信号波形は光変調器6の変調周
波数νと波形時間tと波形強度Iの3つのパラメータ
(3次元)が関係した波形データであり、その波形デー
タから時間ごとの周波数と波形強度の関係からその波形
データを見て強度が最大となる周波数値(ピーク周波数
値)をブリルアン周波数νBとして検出する。そしてそ
のブリルアン周波数を求める過程をすべての波形時間に
わたり行うことで、時間領域におけるブリルアン周波数
分布(2次元)νB(t)が求まる。すなわち時間領域と距
離領域は等価であるため、結果として各距離におけるブ
リルアン周波数分布νB(z)を求める機能を有する。
いて説明する。
30−1〜30−nからそれぞれ異なる発振波長λ1、
λ2、…、λnの各光P1〜Pnを出力する。これら光
P1〜Pnは、波長合波器32によって合波されて光分
配器3に伝搬する。
8に示すBOTDR法のいずれを適用した装置であって
も、センシング用光ファイバ103からのブリルアン散
乱光は、複数の光源30−1〜30−nの各発振波長λ
1、λ2、…、λnに対応した波長多重のブリルアン散
乱光である。
22からの波長多重のブリルアン散乱光を入射し、この
ブリルアン散乱光を波長分配器34によって各波長
λ1、λ 2、…、λnの数の分(n個)に分配する。
光は、それぞれ各バンドパスフィルタ35−1〜35−
nに入射する。これにバンドパスフィルタ35−1〜3
5−nによりポンプ光P1の任意の各波長λ1、λ2、
…、λnに見合ったブリルアン散乱光のみが透過する。
ンドパスフィルタ35−1〜35−nを透過した各波長
λ1、λ2、…、λnに対応する光をそれぞれ各電気信
号に変換する。
に電気信号周波数フィルタ37、A/D変換器38及び
第1の演算部39において光源部1の出力光P1〜Pn
の各波長λ1、λ2、…、λnの数と同一数のチャンネ
ルnにより並列処理する。
受光部7から出力されたnチャンネルの各電気信号のノ
イズ等を低減する作用を持つ。
信号周波数フィルタ37を透過したノイズが低減された
各アナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する機能
を有する。
気信号周波数フィルタ37及びA/D変換器38をそれ
ぞれ経た光変調器6の各変調周波数νのデジタル信号波
形、つまりこのデジタル信号波形は光変調器6の変調周
波数νと波形時間tと波形強度Iの3つのパラメータ
(3次元)が関係した波形データであり、その波形デー
タから時間ごとの周波数と波形強度の関係からその波形
データを見て強度が最大となる周波数値(ピーク周波数
値)をブリルアン周波数νBとして検出する。そしてそ
のブリルアン周波数を求める過程をすべての波形時間に
わたり行うことで、時間領域におけるブリルアン周波数
分布(2次元)νB(t)が求まる。すなわち時間領域と距
離領域は等価であるため、結果として各距離におけるブ
リルアン周波数分布νB(z)を求める。
ータ格納部17には、第1の演算部39により検出され
たポンプ光P1の波長λ1、λ2、…、λn毎のブリル
アン周波数分布の計測データλ1[νB(z)]、λ
2[νB(z)]、…、λn[νB(z)]が格納される。
7に格納された計測データλ1[ν B(z)]、λ2[ν
B(z)]、…、λn[νB(z)]を読み取り、これら計測
データλ1[νB(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn
[νB(z)]を用いて上記式(1)の演算を行なってセ
ンシング用光ファイバ103の各位置で発生した歪みの
変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ分離して同時に
求める。
波長λ1、λ2、…、λnの総数が例えば3以上(n≧
3)であるか否かを判断し、この判断の結果、光源部1
の波長λ1、λ2、…、λnの総数が例えば3以下であ
れば、表示部21は、図7に示すように分離演算部18
の演算により求められた歪みの変化Δεと温度の変化Δ
Tを表示出力する。
数が例えば3以上(n≧3)であれば、加算平均演算部
20は、上記2元連立方程式(式(1))を演算して得ら
れた解であるセンシング用光ファイバ103の歪みの変
化をΔε、センシング用光ファイバ103の温度の変化
をΔT、これらΔε、ΔTの組合せの総数をNとして歪
みの変化Δεと温度の変化ΔTとのそれぞれの値の加算
平均を上記式(2)を演算することにより行ない、セン
シング用光ファイバ103の各位置で発生した歪みの変
化と温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求める。
算平均演算部20により加算平均されて求められた歪み
の変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力する。
ば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することが
できることは言うまでもなく、さらに、波長の異なる複
数の光源30−1〜30−nを並列に配置し、それに対
応した受光部7、信号処理部8も並列に構成すること
で、より高速に測定でき計測時間の短縮が図られる。
ついて図面を参照して説明する。
示す歪みと温度の分布測定装置における各光源部1、各
受光部7及び各信号処理部8の構成をそれぞれ変更した
ものである。
した図9に示す光源部1と同一構成で、図12に示すよ
うに複数の光源30−1〜30−nと、各光ファイバ3
1−1〜31−nと、波長合波器32と、光源コントロ
ーラ33とからなる。
した図3に示す受光部7と同一構成で、図13に示すよ
うに波長可変光バンドパスフィルタ12と、光検出器1
3とからなる。
説明した図5に示す信号処理部8と同一構成で、図14
に示すように電気信号周波数フィルタ14と、A/D変
換器15と、第1の演算部16と、データ格納部17
と、第2の演算部(分離演算部)18と、波長総数判定
部19と、加算平均演算部20と、表示部21とからな
る。
12に示すように複数の光源30−1〜30−nからそ
れぞれ異なる発振波長λ1、λ2、…、λnの各光P1
〜Pnを出力する。これら光P1〜Pnは、波長合波器
32によって合波されて光分配器3に伝搬する。
8に示すBOTDR法のいずれを適用した装置であって
も、センシング用光ファイバ103からのブリルアン散
乱光は、複数の光源30−1〜30−nの各発振波長λ
1、λ2、…、λnに対応した波長多重のブリルアン散
乱光である。
光部7は、光合波器22からの合波光を受光して電気信
号に変換する。
を入力し、センシング用光ファイバ103に入射するポ
ンプ光P1の各波長λ1、λ2、…、λnごとのブリル
アン周波数シフトの変化を示す各計測データλ1[νB
(z)]、λ2[νB(z)]、…、λn[νB(z)]を、セ
ンシング用光ファイバ103の歪みの変化と温度の変化
とに関する上記式(1)の2元連立方程式に代入し演算
し、センシング用光ファイバ103の各位置で発生した
歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ識別して
同時に求める。
の総数が3波長以上の場合、センシング用光ファイバ1
03の各位置で発生した歪みの変化Δεと温度の変化Δ
Tとをそれぞれ上記式(2)を用いて加算平均演算し
て、センシング用光ファイバ103の各位置で発生した
歪みの変化Δεと温度の変化ΔTとをそれぞれ識別して
同時に求める。
り求められた歪みの変化Δεと温度の変化ΔT、又は加
算平均演算部20により加算平均されて求められた歪み
の変化Δεと温度の変化ΔTを表示出力する。
ば、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することが
できることは言うまでもなく、さらに、波長の異なる複
数の光源30−1〜30−nを並列に配置することで、
高速に測定でき計測時間を短縮することが可能である。
0−nを並列に配置しつつも、受光部7、信号処理部8
を直列構成することで、その装置構成をより簡素するこ
とでシステム全体が廉価になる。
の形態に限定されるものでなく、実施段階ではその要旨
を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。
発明が含まれており、開示されている複数の構成要件に
おける適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出でき
る。例えば、実施形態に示されている全構成要件から幾
つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとす
る課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で
述べられている効果が得られる場合には、この構成要件
が削除された構成が発明として抽出できる。
ローブ光とに分配し、ポンプ光をセンシング用光ファイ
バの一端から入射し、プローブ光をブリルアン周波数近
傍まで変調してセンシング用光ファイバの他端から入射
し、ポンプ光とプローブ光とがセンシング用光ファイバ
中を互いに対向する方向から伝搬したときに生じる誘導
ブリルアンによって被測定物理量の情報を受けて被測定
光として伝搬し、この被測定光とプローブ光との合波光
におけるビート信号の周波数値から被測定物理量の発生
個所を特定し、かつプローブ光の離調幅を変化させたと
きのビート信号の強度変化に基づいて被測定物理量を求
める光ファイバ分布型測定方法及びその装置にも適用で
きる。
リルアン散乱現象を利用するファイバセンシングの測定
原理だけで、長距離に渡って歪みと温度との両方を区別
して測定できる歪みと温度の分布測定方法及びその装置
を提供できる。
1の実施の形態を示す構成図。
1の実施の形態における光源部の具体的な構成図。
1の実施の形態における受光部の具体的な構成図。
1の実施の形態における任意波長における歪み及び温度
の物理量とブリルアン周波数シフトとの関係を示す図。
1の実施の形態における信号処理部の具体的な構成図。
1の実施の形態における各物理量変化係数の波長依存性
を示す図。
1の実施の形態における信号処理部の処理過程を示す
図。
2の実施の形態を示す構成図。
3の実施の形態における光源部の構成図。
第3の実施の形態における受光部の構成図。
第3の実施の形態における信号処理部の構成図。
第4の実施の形態における光源部の構成図。
第4の実施の形態における受光部の構成図。
第4の実施の形態における信号処理部の構成図。
定するときの測定原理を示す図。
−7:光ファイバ 3:光分配器 4,6:光変調器 5:光サーキュレータ 7:受光部 8:信号処理部 10:波長可変光源 11:波長コントローラ電源 12:波長可変光バンドパスフィルタ 13:光検出器 14:電気信号周波数フィルタ 15:A/D変換器 16:第1の演算部 17:データ格納部 18:第2の演算部(分離演算部) 19:波長総数判定部 20:加算平均演算部 21:表示部 22:光合波器 30−1〜30−n:光源 31−1〜31−n:光ファイバ 32:波長合波器 33:光源コントローラ 34:波長分配器 35−1〜35−n:光バンドパスフィルタ 36−1〜36−n:光受光器 37:電気信号周波数フィルタ 38:A/D変換器 39:第1の演算部
Claims (17)
- 【請求項1】 センシング用光ファイバ中で発生するブ
リルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の変化を
測定する歪みと温度の分布測定方法において、 前記センシング用光ファイバにおける各波長ごとのブリ
ルアン散乱の歪み波長依存係数とその温度波長係数を予
め求めておき、 前記センシング用光ファイバに入射するポンプ光の各波
長ごとのブリルアン周波数シフトの変化を求めるステッ
プと、 これら測定データを、前記センシング用光ファイバの歪
みの変化と温度の変化とに関する2元連立方程式に代入
し演算することにより、前記センシング用光ファイバの
各位置で発生した前記歪みの変化と前記温度の変化とを
それぞれ識別して同時に求めるステップと、を有するこ
とを特徴とする歪みと温度の分布測定方法。 - 【請求項2】 前記センシング用光ファイバの歪みの変
化と温度の変化とに関する前記2元連立方程式は、前記
ポンプ光の波長をλn、前記波長依存係数をCε(λn)、
前記温度波長係数をCT(λn)、前記ブリルアン周波数シ
フトの変化をΔνB(λn)、前記センシング用光ファイバ
の歪みの変化をΔε、前記センシング用光ファイバの温
度の変化をΔTとすると、 【数1】 により表わされることを特徴とする請求項1記載の歪み
と温度の分布測定方法。 - 【請求項3】 前記ポンプ光の波長の総数が3波長以上
の場合、前記センシング用光ファイバの各位置で発生し
た前記歪みの変化と前記温度の変化とをそれぞれ加算平
均演算して、前記センシング用光ファイバの各位置で発
生した前記歪みの変化と前記温度の変化とをそれぞれ識
別して同時に求めるステップを有することを特徴とする
請求項1記載の歪みと温度の分布測定方法。 - 【請求項4】 前記加算平均演算する方程式は、前記2
元連立方程式を演算して得られた解である前記センシン
グ用光ファイバの歪みの変化をΔε、前記センシング用
光ファイバの温度の変化をΔT、これらΔε、ΔTの組
合せの総数をNとすると、 【数2】 により表わされることを特徴とする請求項3記載の歪み
と温度の分布測定方法。 - 【請求項5】 センシング用光ファイバ中で発生するブ
リルアン散乱現象の変化を捉えて被測定物理量の変化を
測定する歪みと温度の分布測定装置において、 複数の波長成分の光を出力する光源部と、 この光源部からの出力光をポンプ光とプローブ光とに分
岐する光分配器と、 前記ポンプ光又は前記プローブ光のいずれかの光に変調
を行う光変調器と、 この光変調器により変調された光を前記センシング用光
ファイバに導くと共に、前記センシング用光ファイバか
らの温度と歪みの物理情報を有するブリルアン散乱光を
導く導光手段と、 この導光手段により導かれた前記ブリルアン散乱光を受
光して電気信号に変換する受光部と、 この受光部からの前記電気信号を入力し、前記センシン
グ用光ファイバに入射するポンプ光の各波長ごとのブリ
ルアン周波数シフトの変化を示す各測定データを、前記
センシング用光ファイバの歪みの変化と温度の変化とに
関する2元連立方程式に代入し演算し、前記センシング
用光ファイバの各位置で発生した前記歪みの変化と前記
温度の変化とをそれぞれ識別して同時に求める信号処理
部と、を具備したことを特徴とする歪みと温度の分布測
定装置。 - 【請求項6】 前記信号処理部は、前記ポンプ光の波長
をλn、前記波長依存係数をCε(λn)、前記温度波長係
数をCT(λn)、前記ブリルアン周波数シフトの変化をΔ
νB(λn)、前記センシング用光ファイバの歪みの変化を
Δε、前記センシング用光ファイバの温度の変化をΔT
とすると、 【数3】 を演算することを特徴とする請求項5記載の歪みと温度
の分布測定装置。 - 【請求項7】 前記信号処理部は、前記ポンプ光の波長
の総数が3波長以上の場合、前記センシング用光ファイ
バの各位置で発生した前記歪みの変化と前記温度の変化
とをそれぞれ加算平均演算して、前記センシング用光フ
ァイバの各位置で発生した前記歪みの変化と前記温度の
変化とをそれぞれ識別して同時に求めることを特徴とす
る請求項5記載の歪みと温度の分布測定装置。 - 【請求項8】 前記信号処理部は、前記2元連立方程式
を演算して得られた解である前記センシング用光ファイ
バの歪みの変化をΔε、前記センシング用光ファイバの
温度の変化をΔT、これらΔε、ΔTの組合せの総数を
Nとすると、 【数4】 を演算することを特徴とする請求項7記載の歪みと温度
の分布測定装置。 - 【請求項9】 前記光源部は、出力する前記光の波長を
連続的に可変可能であり、かつ外部制御により随時任意
の波長の光を出力することを特徴とする請求項5記載の
歪みと温度の分布測定装置。 - 【請求項10】 前記光源部は、複数の光源を備え、こ
れら光源からはそれぞれ異なる各波長の光を出力するこ
とを特徴とする請求項5記載の歪みと温度の分布測定装
置。 - 【請求項11】 前記光源部は、複数の光源と、これら
光源からそれぞれ出力された光を一つの光路に集約し、
単一光路で同時に複数の波長の光を出力する波長合波器
とからなることを特徴とする請求項10記載の歪みと温
度の分布測定装置。 - 【請求項12】 前記光源部は、複数の光源からそれぞ
れ出力された光のうち任意の単一波長のみの光を一つの
光路に導く光スイッチを備え、この光スイッチの光路選
択の切り替えによって出力する光の波長を随時選択する
ことを特徴とする請求項10記載の歪みと温度の分布測
定装置。 - 【請求項13】 前記受光部は、前記ポンプ光の任意の
波長に見合ったブリルアン散乱光のみを透過させる波長
可変光バンドパスフィルタと、 この波長可変光バンドパスフィルタを透過した光を電気
信号に変換する光検出器と、からなることを特徴とする
請求項5記載の歪みと温度の分布測定装置。 - 【請求項14】 前記受光部は、前記センシング用光フ
ァイバからの単一光路で導かれる複数の波長の後方散乱
光を分配する波長分配器と、 この波長分配器により分配された各波長ごとに前記ポン
プ光の任意の波長に見合ったブリルアン散乱光のみを透
過させる複数の波長可変光バンドパスフィルタと、 これら波長可変光バンドパスフィルタをそれぞれ透過し
た各光をそれぞれ各電気信号に変換する複数の光検出器
と、からなることを特徴とする請求項5記載の歪みと温
度の分布測定装置。 - 【請求項15】 前記信号処理部は、前記受光部から出
力された前記電気信号からブリルアンビート周波数成分
のみを抽出する電気信号周波数フィルタと、 この電気信号周波数フィルタにより抽出された周波数信
号から周波数スペクトラムの最大強度のピーク周波数を
検出し、このピーク周波数の値をブリルアン周波数とし
て求める第1の演算部と、 この第1の演算部により定義された前記ポンプ波長毎の
前記ブリルアン周波数値のデータを格納するデータ格納
部と、 このデータ格納部に格納された前記データを用いて請求
項6記載の演算を行なって前記センシング用光ファイバ
の各位置で発生した前記歪みの変化と前記温度の変化と
をそれぞれ識別して同時に求める第2の演算部と、から
なることを特徴とする請求項5記載の歪みと温度の分布
測定装置。 - 【請求項16】 前記センシング用光ファイバからの単
一光路で導かれた複数の波長の後方散乱光がそれぞれ分
配された場合、前記信号処理部は、前記各波長ごとに前
記電気信号周波数フィルタと前記第1の演算部とが並列
処理することを特徴とする請求項15記載の歪みと温度
の分布測定装置。 - 【請求項17】 前記信号処理部は、前記センシング用
光ファイバの歪みの変化と、前記センシング用光ファイ
バの温度の変化との組み合わせが複数の場合、これら歪
みと温度とのそれぞれの値の加算平均を行う演算部と、 この演算部の演算結果を最終的な測定結果として表示す
る表示部と、 からなることを特徴とする請求項5記載の歪みと温度の
分布測定装置。
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