JP3492053B2 - 生分解性高分子組成物用相容化剤 - Google Patents

生分解性高分子組成物用相容化剤

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JP3492053B2 JP30642195A JP30642195A JP3492053B2 JP 3492053 B2 JP3492053 B2 JP 3492053B2 JP 30642195 A JP30642195 A JP 30642195A JP 30642195 A JP30642195 A JP 30642195A JP 3492053 B2 JP3492053 B2 JP 3492053B2
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、微生物産生または
化学合成のポリ−3−ヒドロキシ酪酸またはポリ(3−
ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸)と、他のポリ
エステルまたはポリカーボネートとを相容化させる生分
解性高分子組成物用相容化剤に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、放置された難分解性のフィルムや
釣り糸などによる環境汚染問題が深刻になっていること
から、自然界に存在する微生物によって容易に分解され
るプラスチック材料が求められている。また、生体適合
性を持ち、なおかつ生体内で分解吸収されるプラスチッ
ク材料は、組織が再生する間だけ強度を保ち、組織の再
生後はすみやかになくなるものが望まれている。 【0003】脂肪族ポリエステル類は、生分解性、生体
適合性が認められており、その中でも微生物が菌体内に
蓄積するポリ(R)−3−ヒドロキシ酪酸(以下、P
[(R)-3HB]と略記する。)は高い融点(約180℃)の
熱可塑性樹脂であることから注目されている。 【0004】しかしながら、P[(R)-3HB]は固くて強い材
料である反面、伸び率が約5%ときわめて脆いという欠
点を持っているため実用化が遅れている(生分解性高分
子材料、19−26頁、土肥義治著、工業調査会199
0年発行参照)。 【0005】P[(R)-3HB]の物性を改良するための手段と
して、微生物によるランダム共重合体の合成が行なわれ
てきた。すなわち、(R)−3−ヒドロキシ酪酸と
(R)−3−ヒドロキシ吉草酸の共重合体(以下、P
[(R)-3HB-co-(R)-3HV] と略記する。)がP.A. Holmes
(Phys. Technol., 1985, (16), P. 32 )によって、
(R)−3−ヒドロキシ酪酸と4−ヒドロキシ酪酸の共
重合体(以下、P[(R)-3HB-co-4HB] と略記する。)が土
肥ら(Polym. Commun. 29, 174 (1988) )によって報告
されている。最近、化学的に(R)−3−ヒドロキシ酪
酸ユニットを持つ高分子量の種々の生分解性ランダム共
重合体ポリエステルがジスタノキサン触媒存在下(R)
−β−ブチロラクトン(以下、(R)-BLと略記する。)と
種々のラクトン類との開環共重合により合成された(Ma
cromolecules, 1993, (26), 4388) 。 【0006】以上のように、ランダム共重合体を合成す
ることによりP[(R)-3HB]の結晶化度を低下させ、脆い物
性を改善することが出来る。しかしながら、一般的にラ
ンダム共重合体は融点を低下させる原因となる。 【0007】P[(R)-3HB]の欠点を改良するもう一つの方
法は、P[(R)-3HB]に他のモノマー又はポリマーをブレン
ドして、P[(R)-3HB]の結晶性を阻害する方法である。 【0008】低分子量モノマー(アシルグリセロール
類)を可塑剤とするブレンドが土肥らによって報告され
ている(高分子論文集、1991、Vol.47、pp.221-226)。しか
しながら、低分子量モノマーは、製品の使用中に溶出す
ることにより物性を劣化させるという欠点を持つ。 【0009】溶出の心配のない可塑剤として高分子可塑
剤が考えられる。P[(R)-3HB]とポリエチレンまたはポリ
スチレンとのブレンドがPolym.Prepr.(Am.Chem.Soc.,Di
v.Polym.Chem.)1990,31(1),p441に、塩素を含むポリマ
ーとのブレンドがEur.PatentN.52460,1985に、ポリメタ
クリレートとのブレンドがPolymer,1993,(34),p4935に
それぞれ開示されている。これらのブレンド系は非相容
系であり可塑剤としてP[(R)-3HB]のもろさを改良するの
は困難である。さらにブレンドに使用されたポリマーは
生分解性がないので、生分解性ポリマーの可塑剤として
は適さない。P[(R)-3HB]とポリビニル酢酸のブレンド系
は相容であることが報告されている(Polym.Degrad.Sta
b.1992,(36),p241、Polymer1989,(30),p1475)が、ポリビ
ニル酢酸は生分解性がないので、生分解性ポリマーの可
塑剤としては適さない。 【0010】生分解性のあるポリマーのブレンド例とし
ては、P[(R)-3HB]とポリサッカライドとのブレンドがBi
omaterials,1989,10,p400に、ポリカプロラクトン(以
下、PCLと略記する。)とのブレンドがPolymer 1994,(3
5),p2233;Polym.Degrad.Stab.1992,(36),p241に、ポリ
(1,4−ブチレンアジペート)とのブレンドがPolym.
Degrad.Stab.1992,(36),p241にそれぞれ開示されてい
る。しかしながら、これらのブレンドは相容系でないた
め、ブレンドフィルムの引張強度は低下し、伸び率もあ
まり向上しない(Polym.Degrad.Stab.1992,(36),p24参
照)。 【0011】生分解性があり尚且つ相容なポリマーを用
いたブレンド例としては、セルロースエステルとのブレ
ンドがPolym.Bull.1992,(29),p407;Macromolecules 199
2,(25),p6441;Macromolecules 1993,(26),p6722に、ポ
リエチレンオキシドとのブレンドがPolymer 1988,(29),
p1731に、ラセミ体のβ−ブチロラクトン(以下、BLと
略記する。)の開環重合によって得られたアタクチック
ポリ(3−ヒドロキシ酪酸)(以下、P(3HB)と略記す
る。)とのブレンドがMakromol.Chem.,Rapid Commun.19
92,(13),p179にそれぞれ開示されている。これらの中
で、P[(R)-3HB]とP(3HB)のブレンド体について引張強
度、伸び率、生分解性が報告されている(Makromol.Che
m.,Rapid Commun.1992,(13),p179)。この報告による
と、P[(R)-3HB]とP(3HB)とのブレンド体フィルムの伸び
率は向上し脆さが改善され、生分解性は向上するもの
の、引張強度はP[(R)-3HB]に対するP(3HB)の割合が多く
なるにつれて徐々に低下している。 【0012】一般に、可塑剤以外にP[(R)-3HB]の脆さを
改善させるためには、P[(R)-3HB]と非相容なポリマー
(例えば、PCL)とを適切な相容化剤を用いてブレンド
するとよい。P[(R)-3HB]とPCLの2種のポリマーを混合
する際の相容化剤としては立体規則性のないアタクチッ
クP(3HB)とPCLのブロック共重合体(以下、ata-P(3HB)-
b-PCLと略記する。)が特開平5-320323に開示されてい
る。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ata-P
(3HB)-b-PCL中のata-P(3HB)部は、立体規則性がないた
め非晶状態でありP[(R)-3HB]の非晶部分とは相容である
が、結晶部分では相容でないためP[(R)-3HB]とPCLのブ
レンドにおいて引張強度の低下をまねく(後述する比較
例5−8参照)。また、P[(R)-3HB]とPCLのブレンドに
おいては光学活性なアイソタクチックP[(R)-3HB]とPCL
のブロック共重合体(以下、iso-P[(R)-3HB]-b-PCLと略
記する。)が相容化剤として最適であると考えられる
が、現在まで相容化剤として十分な分子量を持つiso-P
[(R)-3HB]-b-PCLは合成されていない。 【0014】同様に、P[(R)-3HB]と他のポリラクトン類
とのブレンドにおいては、光学活性なP[(R)-3HB]とポリ
ラクトンのブロック共重合体が相容化剤として最適であ
ると考えられるが、現在のところこれらブロック共重合
体は合成されていない。さらに、P[(R)-3HB]と他のポリ
カ−ボネ−ト類とのブレンドにおいては、光学活性なP
[(R)-3HB]とポリカ−ボネ−トのブロック共重合体が相
容化剤として最適であると考えられるが、現在のところ
これらブロック共重合体についても合成されていない。 【0015】従って、本発明の目的は、微生物産生又は
化学合成のP[(R)-3HB]又はP[(R)-3HB-co-(R)-3HV]と、
他のポリエステルまたはポリカーボネートとを相容化さ
せ、相容化剤としてのブロックポリエステルまたはブロ
ックポリ(エステル−カーボネート)それ自体が溶出せ
ず生分解性があり、且つP[(R)-3HB]又はP[(R)-3HB-co-
(R)-3HV]の伸び率を向上させ、しかも脆さをも改善し、
引張強度の低下も見られない生分解性高分子組成物用相
容化剤を提供することにある。 【0016】 【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、立体規則的なアイソ
タクチックまたはシンジオタクチックのポリ−3−ヒド
ロキシ酪酸単位を高分子中に含むブロック共重合体が、
微生物産生又は化学合成のP[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-
co-(R)-3HV]と、他の生分解性ポリエステルまたはポリ
カ−ボネ−トのブレンド組成物の脆さを改善し対衝撃性
を向上させ、引張強度の低下が余り見られず、しかも溶
出しないことによる物性の変化がない生分解性高分子相
容化剤を与えることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。この結果、P[(R)-3HB]のような、脆いが為に使用用
途が限定されていた生分解性プラスチックと、他の生分
解性ポリエステルまたはポリカ−ボネ−トとのブレンド
組成物に本発明の相容化剤を添加することにより、紙コ
ップの表面フィルム等のようにしなやかで伸びのある材
料が供給可能となった。 【0017】即ち、本発明の生分解性高分子組成物用相
容化剤は、P[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-co-(R)-3HV]
と、他のポリエステルとを相容化させる生分解性高分子
組成物用相容化剤において、一般式(I)、 (式中、Rは、炭素数1から14までの炭化水素であ
って、二重結合や酸素結合を含有してもよい2価の有機
基を表し、m及びnは、それぞれ300から5000ま
での自然数を表す。)で示されるポリ−3−ヒドロキシ
酪酸単位が立体規則的なブロック共重合ポリエステルか
らなることを特徴とするものである。 【0018】また、本発明の生分解性高分子組成物用相
容化剤は、P[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-co-(R)-3HV]
と、他のポリカーボネートとを相容化させる生分解性高
分子組成物用相容化剤において、一般式(II) (式中、R、R、R及びRは、それぞれ水素原
子またはメチル基を表し、m及びnは、それぞれ300
から5000までの自然数を表す。)で示されるポリ−
3−ヒドロキシ酪酸単位が立体規則的なブロック共重合
ポリエステル−ポリカーボネートからなることを特徴と
するものである。 【0019】なお、前記P[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-co
-(R)-3HV]の脆さを改善させるためにこれらポリマーと
ブレンドする他のポリエステルまたはポリカーボネート
は、本来、P[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-co-(R)-3HV]と
は非相容なポリマーである。本発明の相容化剤としての
ブロック共重合ポリエステルまたはブロック共重合ポリ
エステル−ポリカーボネートは、基本的にはかかる「他
のポリエステルまたはポリカーボネート」を構成単位に
有するものである。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明の相容化剤としてのブロッ
ク共重合ポリエステルおよびブロック共重合ポリエステ
ル−ポリカーボネートは、一般式(III)、 で表されるβ−ブチロラクトンと、一般式(IV)、(式中、Rは、炭素数1から14までの二重結合や酸
素結合を含有してもよい2価の有機基を表す。)ラクト
ン又は一般式(V)、 (式中、R、R、R及びR10はそれぞれ水素原
子またはメチル基を表す。)で表される環状カーボネー
トとを好ましくはスズ系触媒存在下、順次重合させて製
造することができ、好ましくは、構造単位[ポリ(3−
ヒドロキシ酪酸]:構造単位[ポリラクトン又はポリカ
ーボネート](n)のモル比(m:n)が10〜90:
90〜10で、数平均分子量(以下、Mnということが
ある)が3万〜100万の範囲内である。さらに好まし
くは、Mnが7万〜80万、より好ましくは10万〜6
0万の範囲内である。 【0021】本発明の立体規則的なアイソタクチックま
たはシンジオタクチックのポリ−3−ヒドロキシ酪酸を
高分子中に含むブロック共重合体を製造するに際して用
いられる触媒は、好ましくはスズ系触媒から選ばれる。
さらに好ましくは、該スズ系触媒は下記の一般式(VI)、(式中、R11は炭素数1〜12のアルキル基またはフ
ェニル基を表し、XはCl,Br及びNCSからなる群
から選ばれ、YはCl,Br,NCS,OH,炭素数1
〜4のアルコキシ基及びフェノキシ基からなる群から選
ばれる。)で示されるジスタノキサン触媒である。 【0022】本発明の相容化剤としてのブロック共重合
ポリエステル及びブロック共重合ポリエステル−ポリカ
ーボネートの一方の構造単位であるポリ(3−ヒドロキ
シ酪酸)の原料である光学活性な(R)-β-BLと(S)-β-BL
は、例えば、本出願人が特開平6-128245号及び特開平7-
188201号にて開示している方法、すなわちジケテンをル
テニウム−光学活性ホスフィン錯体を触媒として不斉水
素化を行なうことにより容易に得ることができる。ま
た、β-BLは市販品を使用することができる。 【0023】次に、かかるブロック共重合ポリエステル
及びブロック共重合ポリエステル−ポリカーボネートの
原料であり、構造単位[ポリラクトン]及び構造単位
[ポリカーボネート]を構成するラクトン類(IV)お
よび環状カーボネート類(V)について説明する。 【0024】まず、ラクトン類(IV)としては、ラク
トンの2価の有機基(R)が炭素数2から14までの
アルキレン基からなるラクトン類、例えば、β−ブチロ
ラクトン、β−プロピオラクトン、β−エチル−β−プ
ロピオラクトン、α−メチル−β−プロピオラクトン、
α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン、α,β−ジメ
チル−β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、α
−メチル−γ−ブチロラクトン、β−メチル−γ−ブチ
ロラクトン、γ−メチル−γ−ブチロラクトン、δ−バ
レロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−
カプロラクトン、15−ペンタデカノリド、16−ヘキ
サデカノリド等が挙げられ、またラクトンの2価の有機
基が炭素数2から14で、且つ二重結合を有するアルケ
ニル基からなるラクトン類5,6−ジヒドロ−2H−ピ
ラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−6−メチル−2H
−ピラン−2−オン、5,6−ジヒドロ−6−メチル−
2H−ピラン−2−オン、9−ヘキサデセン−16−オ
リド等が挙げられ、さらにラクトンの2価の有機基がエ
ステル基もしくはエーテル基を含有する炭素2から14
までのアルキル基からなるラクトン類、例えば、グリコ
リド、L−ラクチド、DL−ラクチド、1,4−ジオキ
セパン−5−オン、7−メチル−1,4−ジオキセパン
−5−オン、12−オキサ−16−ヘキサデカノリド、
11−オキサ−16−ヘキサデカノリド及び10−オキ
サ−16−ヘキサデカノリド等が挙げられる。 【0025】光学活性な(R)-7−メチル−1,4−ジオ
キセパン−5−オン(以下、(R)-MDOと略記する。)と
(S)-7−メチル−1,4−ジオキセパン−5−オン(以
下、(S)-MDOと略記する。)は、例えば、本出願人が特
開平4-316575号にて開示している方法、すなわち光学活
性なメチル 3−ヒドロキシブチレ−トから3工程で得
ることができる。 【0026】α,α−ジメチル−β−プロピオラクトン
は、例えば、Yamashita,Y.,Ishikawa,Y.and Tsuda,T. K
ogyo Kagaku Zasshi 1964,67,252に開示されている方法
によって、α,β−ジメチル−β−プロピオラクトン
は、例えば、Dervan,P.B.and Jones,C.R. J.Org.Chem.
1979,44,2116に開示されている方法によって得ることが
できる。 【0027】15−ペンタデカノリドは、例えば、Org.
Synth.1987,58,98に開示されている方法によって、16
−ヘキサデカノリドは、例えば、H.H.Mathur and S.C.B
hattacharyya,J.Chem.Soc.1963,3305に開示されている
方法によって得ることができる。 【0028】また、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−
2−オンは、例えば、Org.Synth.1979,56,49に開示され
ている方法によって得ることができる。 【0029】前記ラクトン類は、市販品あるいは合成品
を使用できるが、精製したもの、例えば、水素化カルシ
ウムを加えて蒸留する操作を2度繰り返して精製し、使
用前まで不活性ガス中で保存したものを使用することが
好ましい。 【0030】また、環状カーボネート類(V)として
は、例えば、トリメチレンカーボネート、2,2−ジメ
チルトリメチレンカーボネート、2−メチルトリメチレ
ンカーボネート、3−メチルトリメチレンカーボネー
ト、2,3−ジメチルトリメチレンカーボネート、2,4
−ジメチルトリメチレンカーボネート、2,3,4−トリ
メチルトリメチレンカーボネート、2,3,3,4−テト
ラメチルトリメチレンカーボネート等が挙げられる。こ
れらの環状カーボネートは、対応するジオールとクロロ
エチルホルメートのトルエン溶液に、トリエチルアミン
を氷浴中で滴下することにより容易に得られる(遠藤
剛ら、日本化学会第61春季年会講演予稿集II、1991年、
社団法人日本化学会、p1910)。 【0031】本発明の相容化剤としてのブロック共重合
体ポリエステルの構造単位であるポリラクトンには、ラ
セミ体あるいは光学活性なラクトン類を使用し、同じく
本発明の相容化剤としてのブロック共重合ポリ(エステ
ル−カーボネート)の構造単位であるポリカーボネート
には、ラセミ体あるいは光学活性な環状カーボネート類
を使用し、それぞれ必要に応じ2種あるいはそれ以上を
併用することができる。 【0032】かかるブロック共重合に付されるラクトン
類または環状カーボネート類の割合は、前述のように、
前記構造単位[ポリラクトン]:構造単位[ポリラクト
ン又はポリカーボネート]のモル比が1〜99:99〜
1となるようにすることが好ましい。さらに、前記モル
比は20〜80:80〜20が好ましく、30〜70:
70〜30がより好ましい。 【0033】本発明の相容化剤としてのブロック共重合
体は、具体的には、(R)-β-BL、(S)-β-BLまたはβ-BLを
不活性溶媒中または無溶媒で、窒素またはアルゴン等の
不活性気体下にて反応容器に仕込み、これに以下に説明
する触媒を加え、常圧で60〜180℃の温度にて30
分〜5時間反応させて第一段階の重合を完了させ、この
溶液に不活性溶媒を少量加えて粘度を下げた後、第一段
階で使用した(R)-β-BL、(S)-β-BLまたはβ-BLと異なる
ラクトン類または環状カーボネート類を加えて更に1時
間〜48時間反応させて第二段階の反応を行なうことによ
り行なわれ、これによりAB型ブロック共重合体を得る
ことができる。 【0034】あるいはまた、第一段階で種々のラクトン
類または環状カーボネート類を重合させた後に、第二段
階で(R)-β-BL、(S)-β-BLまたはβ-BLを加えてBA型ブ
ロック共重合体を得る方法により行なわれる。更には、
ABA型、ABC型等のブロック共重合は、第二段階と
同様の方法によりAB型ブロック共重合体に(R)-β-B
L、(S)-β-BLまたはβ-BL、他のラクトン類或いは環状カ
ーボネート類を加え反応させてブロック共重合体を得る
方法により行なわれる。 【0035】かかる重合反応に使用することのできるス
ズ系触媒としては、ジブチルスズオキサイド、ジオクチ
ルスズオキサイド、ジオクチル酸スズ、ジラウリン酸ジ
ブチルスズ等を挙げることができる。 【0036】また、好適スズ系触媒である前記式(V)
のジスタノキサン触媒としては、例えば、1、3−ジク
ロロテトラメチルジスタノキサン、1、3−ジクロロテ
トラブチルジスタノキサン、1、3−ジクロロテトラフ
ェニルジスタノキサン、1、3−ジクロロテトラオクチ
ルジスタノキサン、1、3−ジクロロテトラドデシルジ
スタノキサン、1、3−ジブロモテトラブチルジスタノ
キサン、1−ヒドロキシ−3−クロロテトラメチルジス
タノキサン、1−ヒドロキシ−3−クロロテトラブチル
ジスタノキサン、1−ヒドロキシ−3−クロロテトラオ
クチルジスタノキサン、1−ヒドロキシ−3−クロロテ
トラドデシルジスタノキサン、1−ヒドロキシ−3−ブ
ロモテトラブチルジスタノキサン、1−メトキシ−3−
クロロテトラメチルジスタノキサン、1−メトキシ−3
−クロロテトラブチルジスタノキサン、1−メトキシ−
3−クロロテトラオクチルジスタノキサン、1−エトキ
シ−3−クロロテトラメチルジスタノキサン、1−エト
キシ−3−クロロテトラブチルジスタノキサン、1−エ
トキシ−3−クロロテトラオクチルジスタノキサン、1
−エトキシ−3−クロロテトラドデシルジスタノキサ
ン、1−フェノキシ−3−クロロテトラメチルジスタノ
キサン、1−フェノキシ−3−クロロテトラブチルジス
タノキサン、1−メトキシ−3−ブロモテトラメチルジ
スタノキサン、1−メトキシ−3−ブロモテトラブチル
ジスタノキサン、1−エトキシ−3−ブロモテトラブチ
ルジスタノキサン、1−フェノキシ−3−ブロモテトラ
ブチルジスタノキサン、1−ヒドロキシ−3−(イソチ
オシアナート)テトラメチルジスタノキサン、1−ヒド
ロキシ−3−(イソチオシアナート)テトラブチルジス
タノキサン、1−ヒドロキシ−3−(イソチオシアナー
ト)テトラオクチルジスタノキサン、1−ヒドロキシ−
3−(イソチオシアナート)テトラドデシルジスタノキ
サン、1−メトキシ−3−(イソチオシアナート)テト
ラメチルジスタノキサン、1−メトキシ−3−(イソチ
オシアナート)テトラブチルジスタノキサン、1−エト
キシ−3−(イソチオシアナート)テトラメチルジスタ
ノキサン、1−エトキシ−3−(イソチオシアナート)
テトラブチルジスタノキサン、1−メトキシ−3−(イ
ソチオシアナート)テトラオクチルジスタノキサン、1
−エトキシ−3−(イソチオシアナート)テトラオクチ
ルジスタノキサン、1−エトキシ−3−(イソチオシア
ナート)テトラドデシルジスタノキサン、1−フェノキ
シ−3−(イソチオシアナート)テトラメチルジスタノ
キサン、1−フェノキシ−3−(イソチオシアナート)
テトラブチルジスタノキサン、1、3−ビス(イソチオ
シアナート)テトラメチルジスタノキサン、1、3−ビ
ス(イソチオシアナート)テトラブチルジスタノキサ
ン、1、3−ビス(イソチオシアナート)テトラメチル
ジスタノキサン、1、3−ビス(イソチオシアナート)
テトラオクチルジスタノキサン、1、3−ビス(イソチ
オシアナート)テトラドデシルジスタノキサン等が挙げ
られる。 【0037】これらの触媒は例えば、1、3−ジクロロ
テトラフェニルジスタノキサンについては、J. Organom
et. Chem. 3、 p70、 (1965)に記載されている如く、又1
−ヒドロキシ−3−(イソチオシアナート)テトラブチ
ルジスタノキサンについては、J. Org. Chem. 56、p530
7、(1991)に記載されている如く、ジブチルスズオキサイ
ドとジブチルスズジイソチオシアナートをエタノール中
で反応させることにより容易に合成することができる。
これらの触媒は少なくとも1種を使用し、必要に応じ数
種を併用することができる。 【0038】触媒の添加量としては、原料モノマーに対
して1/500〜1/40000倍モルの量で使用され、好ましく
は、1/1000〜1/20000倍モルの量で使用される。 【0039】次に、溶媒としては、通常の開環重合に使
用される溶媒であれば特に限定されないが、具体的に
は、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、
1、4−ジオキサン等の直鎖状または環状エーテル類、
臭化メチレン、ジクロロエタン等の有機ハロゲン化物、
トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族化合物類及び
これらの混合溶媒を挙げることができる。 【0040】これらの溶媒は、市販品を精製したもの、
例えば、金属ナトリウムとベンゾフェノンを加えて不活
性気体存在下蒸留して精製し、使用前まで不活性ガス中
で保存したものを使用することができる。 【0041】本発明の相容化剤としてのブロック共重合
体を用いた組成物は、P[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-co-
(R)-3HV]の引張強度を保持しながらP[(R)-3HB]の伸びを
改善することができる。 【0042】生分解性高分子組成物中の本発明の相容化
剤の配合量は、組成物の合計量の90重量%以下であれ
ば一定の効果がもたらされるが、10重量%以下とする
ことが好ましい。 【0043】 【実施例】以下、実施例及び試験例等により本発明をさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例及び試験
例等に限定されるものではない。本実施例及び試験例等
で使用した分析機器及び生分解試験で使用した機器は下
記のとおりである。 1)核磁気共鳴スペクトル(NMR):AMー400型
装置(400MHz)(ブルカー社製) 2)分子量:D−2520GPC Integrator(日立製作所
(株)製) 3)示差走査熱量計(DSC):DSC50(島津製作
所(株)製) 4)引張強度試験:島津オートグラフAGS−500B
(島津製作所(株)製) 5)生分解性試験:活性汚泥(平成6年1月20日に財
団法人 化学品検査協会から購入) 【0044】これら機器を用い「新規化学物質に係る試
験の方法について」(環保業第5号、薬発第615号、
49基局第392号、昭和49年7月13日)に規定す
る(微生物等による化学物質の分解度試験)並びにY.Do
i,A.Segawa, and M.Kunioka,Int.J.Biol.Macromol., 19
90,Vol.12,April,106.記載の内容に準拠して行なった。
引張試験のサンプルは、所定量のポリマーを計り取りク
ロロホルムに溶かしてキャスト法により一旦フィルムを
作り、ペレットにし、CSI(Custom ScientificInstrumen
ts,Inc.製)の射出成型器(MODEL CS-183MMX MINI MAX M
OLDER)を用いてダンベルにしたものを使用した。 【0045】以下の実施例中、使用したブロックポリマ
ーの組成、生分解性高分子組成物の重量組成比、引張強
度、破壊伸びのデータは下記の表1にまとめて示した。
尚、ブロックポリマーの調製法は下記の通りである。アイソタクチックPHB部分を含むブロックポリマーの合
20mlの反応容器に、(R)-BL(96%ee)1.72g(20mmol)、トル
エン2.0ml、1−エトキシ−3−クロロテトラブチルジ
スタノキサン5.6mg(0.005mmol)を仕込み、アルゴン下、
100℃、5.5時間攪拌した。この反応溶液に、トルエン2.0
mlを加え、すぐにその他のラクトン又は環状カーボネー
トを加え所定時間反応した。生成物をクロロホルムに溶
解し、ジエチルエーテル:ヘキサン=1:3の混合溶液
に投入し、再沈殿することにより、アイソタクティシテ
ィー96%以上のPHB部分を有するブロックポリマーを得
た。 【0046】シンジオタクチックPHB部分を含むブロッ
クポリマーの合成 20mlの反応容器に、ラセミBL1.72g(20mmol)、トルエン
2.0ml、1−エトキシ−3−クロロテトラブチルジスタ
ノキサン5.6mg(0.005mmol)を仕込み、アルゴン下、100
℃、5.5時間攪拌した。この反応溶液に、トルエン2.0ml
を加え、すぐにその他のラクトン又は環状カーボネート
を加え所定時間反応した。生成物をクロロホルムに溶解
し、ジエチルエーテル:ヘキサン=1:3の混合溶液に
投入し、再沈殿することにより、シンジオタクティシテ
ィー61%のPHB部分を有するブロックポリマーを得た。 【0047】尚、アイソタクティシティーとシンジオタ
クティシティーは、NMRスペクトルのiso.ピークの積
分値とsyn.ピークの積分値とから常法により算出した。 【0048】実施例1:微生物産生P[(R)-3HB]と、PCL
とiso-P[(R)-3HB]-b-PCLとの80:15:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)8.0g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)1.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-PCL
(アイソタクティシティー96%以上、融点154、52℃、(R)-
3HB:CL=32:68,Mn=281000,Mw=712000)0.5gをクロロホル
ムに溶かしキャスト法によりフィルムを作り1週間乾燥
させた。このフィルムをペレット化し射出成型器を用い
てダンベルにし、2日後、引張試験を行った。なお、図
2より、4の炭素の拡大図から169.05付近のアイソタク
チックダイアッドのピークのみが観測され、169.15付近
のシンジオタクチックダイアッドのピークはノイズにか
くれるほど小さいことが分かる。また、図5より、融点
は154℃と52℃に観測されている。 【0049】実施例2:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとsy
n-P(3HB)-b-PCLとの80:15:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)8.0g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)1.5gとsyn-P(3HB)-b-PCL(シン
ジオタクティシティー61%、融点46℃、3HB:CL=32:68,Mn=2
81000,Mw=712000)0.5gを用いたほかはすべて実施例1と
同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。な
お、図3より、4の炭素の拡大図から169.05付近のアイ
ソタクチックダイアッドと、169.15付近のシンジオタク
チックダイアッドのピークが観測され、syn/isoの比率
からこのP(3HB)部分は61%シンジオタクチックであるこ
とが分かる。また、図6より、融点は46℃に観測されて
いる。 【0050】実施例3:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-b-PCLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.0g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-PCL(ア
イソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:CL=32:68,Mn=28
1000,Mw=712000)0.5gを用いたほかはすべて実施例1と
同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0051】実施例4:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLと
syn-P(3HB)-b-PCLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.0g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとsyn-P(3HB)-b-PCL(シンジ
オタクティシティー61%、3HB:CL=32:68,Mn=281000,Mw=71
2000)0.5gを用いたほかはすべて実施例1と同様の方法
でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0052】実施例5:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとi
so-P[(R)-3HB]-b-PCLとの45:45:10ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)4.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)4.5g、iso-P[(R)-3HB]-b-PCL(ア
イソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:CL=32:68,Mn=28
1000,Mw=712000)1.0gを用いたほかはすべて実施例1と
同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0053】実施例6:微生物産生P[(R)-3HB] 、PCLとs
yn-P(3HB)-b-PCLとの45:45:10ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)4.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)4.5gとsyn-P(3HB)-b-PCL(シンジ
オタクティシティー61%、3HB:CL=32:68,Mn=281000,Mw=71
2000)1.0gを用いたほかはすべて実施例1と同様の方法
でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0054】実施例7:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-b-PCLとの25:25:50ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)2.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-PCL(ア
イソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:CL=32:68,Mn=28
1000,Mw=712000)5.0gを用いたほかはすべて実施例1と
同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0055】実施例8:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとsy
n-P(3HB)-b-PCLとの25:25:50ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)2.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとsyn-P(3HB)-b-PCL(シンジ
オタクティシティー61%、3HB:CL=32:68,Mn=281000,Mw=71
2000)5.0gを用いたほかはすべて実施例1と同様の方法
でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0056】実施例9:微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)
-3HV]、PCLとiso-P[(R)-3HB]-b-PCLとの70:25:5ダンベ
ル作製 微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)-3HV](Mn=368000,Mw=653
000)7.0g、PCL(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとiso-P[(R)-3
HB]-b-PCL(アイソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:CL
=32:68,Mn=281000,Mw=712000)0.5gを用いたほかはすべ
て実施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験
を行った。 【0057】実施例10:微生物産生 P[(R)-3HB-co-5%
(R)-3HV]、PCLとsyn-P(3HB)-b-PCLとの70:25:5ダンベル
作製 微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)-3HV](Mn=368000,Mw=653
000)7.0g、PCL(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとsyn-P(3HB)-
b-PCL(シンジオタクティシティー61%、3HB:CL=32:68,Mn=
281000,Mw=712000)0.5gを用いたほかはすべて実施例1
と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0058】実施例11:微生物産生P[(R)-3HB]、ポリ
(15−ヒドロキシペンタデカノエート)(以下、P(15
-HPD)と略記する。)とiso-P[(R)-3HB]-b-P(15-HPD)と
の70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.5g、P(15
-HPD)(Mn=97000,Mw=167000)2.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-P
(15-HPD)(アイソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:15-
HPD=61:39,Mn=140000,Mw=228000)5.0gを用いたほかはす
べて実施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試
験を行った。 【0059】実施例12:微生物産生P[(R)-3HB]、ポリ
バレロラクトン(以下、PVLと略記する。)とiso-P[(R)
-3HB]-b-PVLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.5g、PVL
(Mn=73000,Mw=150000)2.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-PVL(ア
イソタクティシティー96%以上、(R)-3HB:VL=32:68,Mn=64
000,Mw=115000)5.0gを用いたほかはすべて実施例1と同
様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0060】実施例13:微生物産生P[(R)-3HB]、PVL
とiso-P[(R)-3HB]-b-PVLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)8.0g、PVL
(Mn=73000,Mw=150000)2.5gとiso-P[(R)-3HB]-b-PVL(ア
イソタクティシティー84%、(R)-3HB:VL=32:68,Mn=8500
0,Mw=138000)0.5gを用いたほかはすべて実施例1と同様
の方法でダンベルを作製し、引張試験を行った。尚、ア
イソタクティシティー84%のPHB部分は(R)-BL(96%ee)と
ラセミBLを87:13の比率であらかじめ混合して100℃で重
合させることにより得られる。 【0061】実施例14:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLと
syn-P(3HB)-b-PVLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)8.0g、PVL
(Mn=73000,Mw=150000)2.5gとsyn-P(3HB)-b-PVL(シンジ
オタクティシティー64%、融点55℃、(R)-3HB:VL=3
2:68,Mn=96000,Mw=163000)0.5gを用いたほかはすべて実
施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行
った。尚、シンジオタクティシティー64%のPHB部分はラ
セミBLを70℃で重合させることにより得られる。 【0062】比較例1:微生物産生P[(R)-3HB]のダンベ
ル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)10.0gを用
いたほかはすべて実施例1と同様の方法でダンベルを作
製し、引張試験を行った。 【0063】比較例2:微生物産生 P[(R)-3HB-co-5%(R)
-3HV]のダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)-3HV](Mn=368000,Mw=653
000)10.0gを用いたほかはすべて実施例1と同様の方法
でダンベルを作製し、引張試験を行った。 【0064】比較例3:微生物産生 P[(R)-3HB]とPCLと
の70:25ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.37gとPC
L(Mn=200000,Mw=350000)2.63gを用いたほかはすべて実
施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行
った。 【0065】比較例4:微生物産生P[(R)-3HB]とPCLと
の50:50ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)5.0gとPCL
(Mn=200000,Mw=350000)5.0gを用いたほかはすべて実施
例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を行っ
た。 【0066】比較例5:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとat
a-P(3HB)-b-PCLとの70:25:5ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)7.0g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gと特開平5-320323に開示さ
れている方法によって製造したata-P(3HB)-b-PCL(アタ
クチック、融点31℃、3HB:CL=46:54,Mn=60000,Mw=96000)
0.5gを用いたほかはすべて実施例1と同様の方法でダン
ベルを作製し、引張試験を行った。なお、図7より、融
点は31℃に観測されている。 【0067】比較例6:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとat
a-P(3HB)-b-PCLとの45:45:10ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)4.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)4.5gとata-P(3HB)-b-PCL(3HB:CL
=46:54,(Mn=60000,Mw=96000)1.0gを用いたほかはすべて
実施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を
行った。 【0068】比較例7:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとat
a-P(3HB)-b-PCLとの25:25:50ダンベル作製 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)2.5g、PCL
(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとata-P(3HB)-b-PCL(3HB:CL
=46:54,(Mn=60000,Mw=96000)5.0gを用いたほかはすべて
実施例1と同様の方法でダンベルを作製し、引張試験を
行った。 【0069】比較例8:微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)
-3HV]、PCLとata-P[(R)-3HB]-b-PCLとの70:25:5ダンベル
作製 微生物産生P[(R)-3HB-co-5%(R)-3HV](Mn=368000,Mw=653
000)7.0g、PCL(Mn=200000,Mw=350000)2.5gとata-P[(R)-3
HB]-b-PCL(3HB:CL=46:54,(Mn=60000,Mw=96000)0.5gを用
いたほかはすべて実施例1と同様の方法でダンベルを作
製し、引張試験を行った。 【0070】 【表1】【0071】表1から明らかなように、実施例1〜6と
比較例1を比較すると、P[(R)-3HB]のみからなるダンベ
ル(比較例1)が脆いのに対して、本発明に係る生分解
性高分子組成物(実施例1〜6)は引張強度が低下せ
ず、伸び率も高くなっている。 【0072】また、実施例3、4と比較例3を、また実
施例5、6と比較例4をそれぞれ比較すると、ブロック
共重合体を含有しないダンベル(比較例3、4)に対
し、本発明に係る生分解性高分子組成物は引張強度、伸
び率ともに高く機械的強度に優れていることは明らかで
ある。 【0073】さらに、実施例3、4と比較例5を、また
実施例5、6と比較例6を、さらに実施例7、8と比較
例7をそれぞれ比較すると、比較例5、6、7において
ata-P(3HB)-b-PCLを含有する高分子組成物は強度が低下
し伸びもでないことから、iso-P[(R)-3HB]-b-PCL及びsy
n-P(3HB)-b-PCLを含有する本発明に係る高分子組成物の
方が機械的強度の面で極めて優れていることは明らかで
ある。 【0074】試験例1:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-PCL((R)-3HB:CL=51:49)との71:24:5ブレ
ンドフィルムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)0.71g、PCL
(Mn=200000,Mw=400000)0.24gとiso-P[(R)-3HB]-PCL((R)
-3HB:CL=51:49,Mn=172000,Mw=272000)0.05gをクロロホ
ルムに溶かしシャーレに流し込み、クロロホルムを蒸発
させることによってフィルムを作り、1週間乾燥させ
た。 【0075】活性汚泥を500ppm (600ml),pH 6.0〜7.0,2
5℃の条件で用い、得られたフィルムの1cm ×1cm 、厚
さ0.03〜0.05mm の薄膜について7〜10mgを50mlのフラ
スコに入れ、タイテック社製、振とう恒温水槽を用いて
試験を行った。 【0076】4週間経過後におけるフィルムの重量減少
を求めた。その結果を図1に示す。この結果から、この
フィルムは2週間後に4.15mgの重量減少があり、3週間
後には試験片が細かくなり重量測定ができなかった。 【0077】試験例2:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-PCL((R)-3HB:CL=51:49)との60:20:20ブレ
ンドフィルムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)0.75g、PCL
(Mn=200000,Mw=400000)0.25gとiso-P[(R)-3HB]-PCL((R)
-3HB:CL=51:49,Mn=172000,Mw=272000)0.25gを用いたほ
かはすべて試験例1と同様の方法で生分解性試験を行っ
た。その結果は図1に示すとおりであり、4週間後に8.
49mgの重量減少があった。 【0078】試験例3:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-PCL((R)-3HB:CL=51:49)との45:45:10ブレ
ンドフィルムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)0.45g、PC
L(Mn=200000,Mw=400000)0.45gとiso-P[(R)-3HB]-PCL
((R)-3HB:CL=51:49,Mn=172000,Mw=272000)0.10gを用い
たほかはすべて試験例1と同様の方法で生分解性試験を
行った。その結果は図1に示すとおりであり、4週間後
に3.27mgの重量減少があった。 【0079】試験例4:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-PCL((R)-3HB:CL=51:49)との25:25:50ブレ
ンドフィルムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)0.25g、PC
L(Mn=200000,Mw=400000)0.25gとiso-P[(R)-3HB]-PCL
((R)-3HB:CL=51:49,Mn=172000,Mw=272000)0.50gを用い
たほかはすべて試験例1と同様の方法で生分解性試験を
行った。その結果は図1に示すとおりであり、4週間後
に0.62mgの重量減少があった。 【0080】試験例5:微生物産生P[(R)-3HB]、PCLとis
o-P[(R)-3HB]-PCL((R)-3HB:CL=51:49)との25:70:5ブレ
ンドフィルムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)0.25g、PC
L(Mn=200000,Mw=400000)0.70gとiso-P[(R)-3HB]-PCL
((R)-3HB:CL=51:49,Mn=172000,Mw=272000)0.50gを用い
たほかはすべて試験例1と同様の方法で生分解性試験を
行った。その結果は図1に示すとおりであり、4週間後
に0.41mgの重量減少があった。 【0081】試験比較例:微生物産生P[(R)-3HB]フィル
ムの生分解性試験 微生物産生P[(R)-3HB](Mn=245000,Mw=546000)1.0gを用
いたほかはすべて試験例1と同様の方法で生分解性試験
を行った。その結果は図1に示すとおりであり、4週間
後に8.10mgの重量減少があった。 【0082】 【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の生分
解性高分子組成物用相容化剤である生分解性ブロックポ
リエステルまたは生分解性ブロックポリ(エステル−カ
ーボネート)と、微生物産生又は化学合成のP[(R)-3HB]
またはP[(R)-3HB-co-(R)-3HV]と、他のポリエステルま
たはポリカーボネートとからなる高分子組成物は、生分
解性があるのみならず伸び率が向上し脆さが改善され、
引張強度の低下も見られない。特に、本発明において
は、生分解性があるにもかかわらず、脆いが為に使用用
途がかなり限定されているP[(R)-3HB]またはP[(R)-3HB-
co-(R)-3HV]のような生分解性プラスチックが、本発明
の相容化剤を添加することにより、農業用シート、包装
用フィルム、紙コップの表面フィルム等のようにしなや
かで伸びのある材料として使用可能となった。
【図面の簡単な説明】 【図1】生分解性試験結果として各試験例におけるフィ
ルムの1、2、3、4週間後の重量減少量を示すグラフ
である。 【図2】iso-P[(R)-3HB]-b-PCLの13C NMRチャートを示
すグラフである。 【図3】syn-P[(R)-3HB]-b-PCLの13C NMRチャートを示
すグラフである。 【図4】ata-P[(R)-3HB]-b-PCLの13C NMRチャートを示
すグラフである。 【図5】iso-P[(R)-3HB]-b-PCLのDSCチャートすグラ
フである。 【図6】syn-P[(R)-3HB]-b-PCLのDSCチャートを示す
グラフである。 【図7】ata-P[(R)-3HB]-b-PCLのDSCチャートを示す
グラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 明夫 神奈川県平塚市西八幡1−4−11 高砂 香料工業株式会社総合研究所内 (72)発明者 萩原 利光 神奈川県平塚市西八幡1−4−11 高砂 香料工業株式会社総合研究所内 (56)参考文献 特開 平7−53694(JP,A) 特開 平6−329768(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08L 67/00 - 67/04 C08L 69/00

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリ−3−ヒドロキシ酪酸またはポリ
    (3−ヒドロキシ酪酸−3−ヒドロキシ吉草酸)と、他
    のポリエステルとを相容化させる生分解性高分子組成物
    用相容化剤において、 一般式(I)、 (式中、R1は、炭素数1から14までの炭化水素であ
    って、二重結合や酸素結合を含有してもよい2価の有機
    基を表し、m及びnは、それぞれ300から5000ま
    での自然数を表す。)で示されるポリ−3−ヒドロキシ
    酪酸単位が立体規則的なブロック共重合ポリエステルか
    らなることを特徴とする生分解性高分子組成物用相容化
    剤。
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