JP3488513B2 - エンドトキシンの吸着除去剤 - Google Patents

エンドトキシンの吸着除去剤

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JP3488513B2 JP18051394A JP18051394A JP3488513B2 JP 3488513 B2 JP3488513 B2 JP 3488513B2 JP 18051394 A JP18051394 A JP 18051394A JP 18051394 A JP18051394 A JP 18051394A JP 3488513 B2 JP3488513 B2 JP 3488513B2
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carbon atoms
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エンドトキシンの吸着
除去剤およびそれを用いた吸着除去方法に関する。更に
詳しくは、生物体にとって有害なエンドトキシンを含む
系から、該エンドトキシンを除去するためのエンドトキ
シンの吸着除去剤およびそれを用いた吸着除去方法に関
する。
【0002】
【従来の技術・発明が解決しようとする課題】エンドト
キシンは化学的にはグラム陰性菌の細胞表層の構成成分
であるリポ多糖体およびその蛋白複合体であり、哺乳動
物の体内に入ると発熱や毒性を示す物質である。生物体
や生体成分を対象とした技術、例えば、バイオリアクタ
ー、細胞培養、各種の輸液・輸血療法などの進展に伴
い、これらの技術で用いられる液体に含まれる可能性が
あるエンドトキシンの除去が望まれている。また、生体
局所に存在するエンドトキシンが関与した疾患も知られ
ており、この場合もエンドトキシンの除去が望まれる。
【0003】従来、エンドトキシンを除去あるいは失活
させる方法として、熱、酸、アルカリ、ある種の界面活
性剤での処理などが知られているが、これらの方法の大
部分は手間もかかり、有用物質を失活させることも考え
られる。そこで、近年では、限外濾過膜(特開平4−2
2491号公報)やエンドトキシンと親和性のあるリガ
ンド、例えば含窒素複素環式化合物を固定化した不溶性
担体(特開昭57−183712号公報)などの利用が
試みられているが、安全面、除去能力や価格の点などで
解決すべき問題が残されているものが多く見受けられ
る。
【0004】一方、オルガノシリコン第四級アンモニウ
ム塩を固定化した水不溶性固体のある種のものには殺菌
活性があり、その殺菌特性は薬剤中のアルカリ鎖長など
の違いや、被験菌の種類によりさまざまであること(J.
Antibact. Antifung. Agents Vol.19、p53-59、1991)
が報告されている。また、この殺菌特性を失わせること
なく安定に配合し、優れたプラークコントロール効果を
示すことを目的とした口腔用組成物に関する報告もなさ
れている(特開平5−310545号公報)。このよう
に、オルガノシリコン第四級アンモニウム塩を固定化し
た水不溶性固体については、殺菌活性やその安定配合に
関する研究はなされているが、エンドトキシンの吸着除
去に関する研究はいまだなされていない。
【0005】従って、本発明の目的はエンドトキシンを
有効に吸着除去することのできるエンドトキシンの吸着
除去剤を提供することにある。本発明の他の目的は、こ
の吸着除去剤を用いて効率良くエンドトキシンを除去す
るエンドトキシンの吸着除去方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らはかかる事情
に鑑み鋭意研究を重ねた結果、その作用機序は明らかで
はないが、オルガノシリコン第四級アンモニウム塩を固
定化した水不溶性固体が、エンドトキシンを含む系にお
いて該エンドトキシンを極めて有効に吸着することを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の要旨は、(1)一般式
(I)で示されるオルガノシリコン第四級アンモニウム
塩を固定化した水不溶性固体を有効成分として含有する
ことを特徴とするエンドトキシンの吸着除去剤、 R1 3+ 2 SiR3 nX3-n ・ Y- (I) (式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基な
どの加水分解可能な基であり、Yは塩素原子または臭素
原子を表す。R1 は同一または異なる炭素数1〜22の
1価の脂肪族炭化水素基を、R2 は2価の炭化水素基
を、R3 は炭素数1〜3の低級アルキル基、フェニル
基、またはCF3 CH2 CH2 を表す。nは0、1また
は2を表す。) (2)一般式(I)で示されるオルガノシリコン第四級
アンモニウム塩において、3つのR1 のうちの2つがメ
チル基で残りの1つが炭素数8〜22のアルキル基であ
る、前記(1)記載の吸着除去剤、(3)一般式(I)
で示されるオルガノシリコン第四級アンモニウム塩にお
いて、3つのR1 のうちの2つがメチル基で残りの1つ
が炭素数16〜20のアルキル基であり、R2 が炭素数
2〜4のアルキレン基または−CH2 CH2 CH2 NH
CH2 CH2 −である、前記(1)記載の吸着除去剤、
(4)一般式(I)で示されるオルガノシリコン第四級
アンモニウム塩が一般式(II)で示されるものである、
前記(1)記載の吸着除去剤、
【0008】
【化2】
【0009】(式中、R1 は炭素数16〜20のアルキ
ル基を表す。) (5)前記(1)〜(4)いずれかに記載のエンドトキ
シンの吸着除去剤をカラムに充填し、エンドトキシン含
有溶液を該カラムに導通することを特徴とするエンドト
キシンの吸着除去方法、(6)前記(1)〜(4)いず
れかに記載のエンドトキシン吸着除去剤とエンドトキシ
ン含有溶液を混合攪拌し、次いで該エンドトキシン吸着
除去剤を分離することを特徴とするエンドトキシンの吸
着除去方法、(7)前記(1)〜(4)いずれかに記載
のエンドトキシン吸着除去剤をエンドトキシンの付着す
る物体表面に接触させることを特徴とするエンドトキシ
ンの吸着除去方法、に関する。
【0010】以下、本発明を具体的に説明する。本発明
ではオルガノシリコン第四級アンモニウム塩を固定化し
て用いる。このオルガノシリコン第四級アンモニウム塩
は一般式(I): R1 3+ 2 SiR3 nX3-n ・ Y- (I) で示される公知の化合物で、通常アルコール溶液として
市販されている。
【0011】式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、
アシル基などの加水分解可能な基であり、好ましくは−
OCH3 あるいは−OCH2 CH3 である。Yは塩素原
子または臭素原子であり、いずれでもよいが好ましくは
塩素原子である。R1 は同一または異なる炭素数1〜2
2の1価の脂肪族炭化水素基であり、特に3つのR1
うちの2つがメチル基で残りの1つが炭素数8〜22の
アルキル基であることが好ましく、さらには3つのR1
のうちの2つがメチル基で残りの1つが炭素数16〜2
0のアルキル基であることがより好ましい。R2 は2価
の炭化水素基であり、特に炭素数2〜4のアルキレン基
または−CH2 CH2 CH2 NHCH2CH2 −である
ことが好ましい。R3 はメチル基のような炭素数1〜3
の低級アルキル基、フェニル基、またはCF3 CH2
2 を表す。nは0、1または2を表し、好ましくは0
である。
【0012】これらのオルガノシリコン第四級アンモニ
ウム塩のうち、好適なものとして一般式(II)で表され
るものが挙げられるが、本発明においては特にこれに限
定されるものではない。
【0013】
【化3】
【0014】ここで、R1 は炭素数16〜20のアルキ
ル基のものが好ましい。
【0015】本発明において、オルガノシリコン第四級
アンモニウム塩を固定化する水不溶性固体は、無機物質
および有機物質を含めていずれの水不溶性固体でもよ
く、また、該固体は合成または天然のいずれでもよい。
例えば、金属、金属酸化物および金属炭酸塩、珪酸質物
質、樹脂およびプラスチック、セルロース物質、キチン
・キトサン物質等を挙げることができる。特に好ましい
水不溶性固体の例としては、金属、金属酸化物および金
属炭酸塩として、例えば、鉄、アルミニウム、銅、ニッ
ケル、二酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化マグネ
シウム、酸化鉄、炭酸カルシウム、リン酸水素カルシウ
ム、および炭酸マグネシウム;珪酸質物質として、例え
ば、ガラス、シリカ、珪藻土、粉砕石英、マイカ、ゼオ
ライト、珪酸アルミニウム、珪酸アルミニウムカルシウ
ム、珪酸マグネシウム、および珪酸ジルコニウム;樹脂
およびプラスチックとして、例えば、ポリエステル、ポ
リアミド、酢酸セルロース、レーヨン、ポリスチレン、
ポリエチレン、ポリプロピレン、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂、シリコン樹脂、およびポリカーボネート樹
脂;セルロース物質として、例えば、木材、綿、および
麻;キチン・キトサン物質として、例えばキチン・キト
サンの多重合体が挙げられる。また、その他の天然有機
物質として、例えば、絹およびウールを挙げることがで
きる。これらの水不溶性固体の粒径は、通常10〜25
0μm、好ましくは50〜200μmのものが使用され
る。
【0016】オルガノシリコン第四級アンモニウム塩
は、自体公知の方法で前記の水不溶性固体に固定化する
ことができる。例えば、オルガノシリコン第四級アンモ
ニウム塩の溶液を浸漬または噴霧することによって水不
溶性固体を被覆し、ついで、被覆物質を乾燥させるかま
たは被覆工程の後に加熱することにより固定化すること
ができる。ここで用いる処理溶液は、好ましくはオルガ
ノシリコン第四級アンモニウム塩の水性または有機溶媒
溶液が用いられる。このような処理溶液は該オルガノシ
リコン第四級アンモニウム塩を水または有機溶媒、例え
ば、メタノール、エタノールまたはヘキサンに添加する
ことによって容易に調製される。処理溶液中のオルガノ
シリコン第四級アンモニウム塩の濃度は0.25〜10
重量%で満足な結果が得られる。
【0017】処理溶液を水不溶性固体に適用した後、処
理固体の表面を風乾または加熱すると、オルガノシリコ
ン第四級アンモニウム塩の被膜が該固体の表面に固定化
される。この処理固体を65〜100℃で数分間加熱す
ると、オルガノシリコン第四級アンモニウム塩の被膜が
より強固に該固体の表面に固定化される。所望により、
通常のシラノール縮合触媒(例えば、水)を処理溶液に
添加してシラノール縮合性を高め、表面への固定化率を
向上させる事ができる。水不溶性固体への固定化量は、
0.1〜100μmole/gである。
【0018】上記のようにして得られるオルガノシリコ
ン第四級アンモニウム塩を固定化した水不溶性固体(以
下、吸着体ともいう)はエンドトキシンを効果的に吸着
するので、エンドトキシンを含有する系に吸着体を接触
させてエンドトキシンを該吸着体に吸着させた後、吸着
体と系を分離あるいは系から吸着体を除くことにより、
系内からエンドトキシンを有効に除去することができ
る。エンドトキシンの吸着処理は通常0〜70℃、好ま
しくは20〜50℃で行われ、また処理液中のpHは通
常3〜9が好ましい。
【0019】吸着体にエンドトキシンを吸着させて除去
する具体的な方法としては、エンドトキシンを含む系が
エンドトキシンを含む溶液の場合、通常のカラム法やバ
ッチ法などが挙げられる。例えば、カラム法による場合
は吸着体をカラムに充填し、塩類溶液、水、緩衝液など
で洗浄後、エンドトキシン含有溶液を導通すれば、エン
ドトキシンは吸着体に吸着され、エンドトキシンを含ま
ない液が流出液として得られる。一方、バッチ法による
場合は吸着体にエンドトキシン含有溶液を加えて混合
し、該混合物を攪拌してエンドトキシンを吸着体に吸着
させた後、溶液の濾過や遠心分離等により吸着体を溶液
から分離することにより、エンドトキシンを含まない溶
液が得られる。
【0020】また、エンドトキシンを含む系が生体内の
局所であったり、エンドトキシンが付着した物体表面で
ある場合、吸着体を含む溶液や組成物を系に接触させる
ことによりエンドトキシンを吸着させて除去することが
できる。この場合、接触時にあるいは接触させた後に、
機械的な方法、例えば、水流洗浄やブラシ、布、不織
布、紙などを用いることにより、エンドトキシンの吸着
率を高めて除去効率を上げ、処理後の吸着体を系から取
り除くことができる。また、本発明においては吸着体を
ブラシの毛、布、不織布、紙などにしみ込ませたり、繊
維に練りこみあるいは繊維表面に吸着させて使用するこ
ともできる。
【0021】組成物としては、例えば、軟膏、パスタ、
クリームなどのペースト状、リンスなどの液状、あるい
はガム状等の形態に公知の方法で調製することができ
る。この場合、吸着体を単独あるいは2種以上を組み合
わせて、組成物全体に対してオルガノシリコン第四級ア
ンモニウム塩固定化水不溶性固体を0.001〜50重
量%、好ましくは0.01〜20重量%となるように配
合する。配合量がこの範囲より少ないと、十分なエンド
トキシン吸着除去効果が得られず、この範囲より多いと
組成物の性状が不安定となる。また、他の配合成分は特
に限定されるものではなく、殺菌剤などの薬効剤や香料
をはじめ、通常、この種の組成物に配合されるものが適
宜使用できる。
【0022】本発明のエンドトキシンの吸着除去剤は、
前記のような吸着体自体、吸着体を含む溶液、あるいは
吸着体を含む組成物を意味するものである。本発明にお
いて吸着されるエンドトキシンの由来は、特に限定され
ず、例えば大腸菌、サルモネラ菌、緑膿菌、チフス菌
等、種々の微生物由来のエンドトキシンを吸着除去する
ことができる。従って、本発明の吸着除去剤は、例えば
水処理、エンドトキシンフリー水の作成、輸液、輸血用
血液からのエンドトキシンの除去、食品や飲料からのエ
ンドトキシンの除去、種々の容器やチューブ、医療用・
研究用器具からのエンドトキシンの除去等の用途におい
て使用される。
【0023】
【実施例】以下に、実験例および実施例を示し、本発明
をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものではない。なお、特に断らない限り%は重量%
を表す。
【0024】実験例1 一般式(II)においてR1 のアルキル基が異なる3種の
オルガノシリコン第四級アンモニウム塩をシリカに固定
化したものに用いて、エンドトキシンの吸着除去効果を
以下のようにして評価した。その結果を表1に示す。
【0025】(1)オルガノシリコン第四級アンモニウ
ム塩固定化シリカの調製 一般式(II)において、炭素数が1、8、16のオルガ
ノシリコン第四級アンモニウム塩を用い、20%無水ケ
イ酸懸濁液に対して、乾燥重量当り約0.2重量%に相
当する各オルガノシリコン第四級アンモニウム塩を加
え、均一な水懸濁液とした。この懸濁液を120℃でス
プレードライすることにより、オルガノシリコン第四級
アンモニウム塩固定化シリカ(固定化量:4μmole
/g)を調製し、試料とした。
【0026】(2)試験用エンドトキシンの調製 表1に示す各菌株をブレインハートインヒュージョン液
体培地中で37℃、24時間培養した後、遠心分離(7
000rpm、10分間)により集菌した。得られた菌
体を滅菌生理食塩水で洗浄し、次いで菌体から Westpha
l らの温フェノール法(Methods Carbohyd. Chem. 5, 8
3-91, 1965) によりリポ多糖を抽出した。これをパイロ
ジェンフリー蒸留水(大塚製薬製)で所定の濃度(1μ
g/ml)に調製して試験エンドトキシン液とした。
【0027】(3)エンドトキシン吸着除去効果の評価
(バッチ法) 前記(1)で調製した試料0.02gを100mlの三
角フラスコに入れ、パイロジェンフリー蒸留水18ml
を加えて十分に分散させた。この三角フラスコを37℃
の恒温槽に設置し、前記(2)で調製した試験エンドト
キシン液2mlを加えて、120ストローク/分で30
分間振盪した。その後、該三角フラスコを恒温槽から取
り出し、濾過により試料と濾液を分離し、濾液1mlを
パイロジェンフリー蒸留水で希釈した。この希釈液中の
エンドトキシン含量をエンドトキシン比色定量用キット
(トキシカラーシステム、生化学工業製)を用いて定量
した。尚、対照としてオルガノシリコン第四級アンモニ
ウム塩を固定化していないシリカを用いて同様に実験を
行った。
【0028】試料のエンドトキシン吸着除去率(%)は
次式により算出した。 エンドトキシン吸着除去率(%)={(初期エンドトキ
シン含量)−(30分間接触後の濾液中エンドトキシン
含量)}/(初期エンドトキシン含量)×100
【0029】
【表1】
【0030】表1の結果より明らかなように、3種のオ
ルガノシリコン第四級アンモニウム塩固定化シリカは、
いずれも4種のグラム陰性菌から抽出したエンドトキシ
ンの全てに対して優れたエンドトキシン吸着除去効果を
示した。なお、その吸着除去効果はR1 のアルキル鎖が
C16のもので最も高く、C8、C1の順に高く認めら
れた。また、その吸着除去効果は意外にも対象とするエ
ンドトキシンの由来にかかわらず一様に高い値であっ
た。
【0031】次に、オルガノシリコン第四級アンモニウ
ム塩を固定化した水不溶性固体は、前記のように、微生
物に対して殺菌活性を有することが従来より知られてい
るため、微生物に対する効果と本発明におけるエンドト
キシン吸着除去効果との関係を明確にするため、以下の
ようにして実験を行った。
【0032】(4)試験菌液の調製 表2に示す各菌株をブレインハートインヒュージョン液
体培地中で37℃、24時間培養した後、遠心分離(7
000rpm、10分間)により集菌した。得られた菌
体を滅菌生理食塩水で洗浄し、菌濃度が約107 個/m
lになるように生理食塩水に懸濁したものを試験菌液と
した。
【0033】(5)微生物吸着除去効果の評価 前記(1)で調製した試料4gを100mlの三角フラ
スコに入れ、滅菌水36mlを加えて十分に分散させ
た。この三角フラスコを37℃の恒温槽に設置し、前記
(4)の試験菌液4mlを加えて、120ストローク/
分で30分間振盪した。その後、該三角フラスコを恒温
槽から取り出し、濾過により試料と濾液を分離し、濾液
1mlを滅菌生理食塩水で希釈した。次いで、この希釈
液0.1mlをブレインハートインヒュージョン寒天培
地上に塗洙し、37℃、48時間培養後、形成されたコ
ロニー数を計測した。これにより、30分間にわたる試
料と接触後の生菌数を算定することができる。尚、対照
としてオルガノシリコン第四級アンモニウム塩を固定化
していないシリカを用いて同様に実験を行った。
【0034】試料の微生物吸着除去率(%)は次式によ
り算出した。 微生物吸着除去率(%)={(初期生菌数)−(30分
間接触後の生菌数)}/(初期生菌数)×100
【0035】
【表2】
【0036】表2の結果より明らかなように、オルガノ
シリコン第四級アンモニウム塩固定化シリカの微生物自
体に対する殺菌活性を微生物吸着除去効果として評価し
た場合は、その効果はアルキル基の長さおよび対象とす
る菌株によりさまざまであった。また、対照のシリカの
みの効果と同等の効果しか示さず、オルガノシリコン第
四級アンモニウム塩の固定化の効果が認められないもの
もあった。
【0037】このことから、本発明で用いるオルガノシ
リコン第四級アンモニウム塩固定化シリカの微生物に対
する効果は、エンドトキシン吸着除去効果とは関係のな
いものであることが明らかとなった。即ち、このような
本発明におけるエンドトキシン吸着除去効果は、オルガ
ノシリコン第四級アンモニウム塩固定化シリカとエンド
トキシンとの特異的な吸着によるものであるが、エンド
トキシンとの特異的な吸着は、エンドトキシンが遊離の
状態で存在する場合に有効であり、エンドトキシンがグ
ラム陰性菌の細胞表層に存在するままでは、その効果は
明らかではない。
【0038】実験例2 一般式(II)においてR1 のアルキル基がC5およびC
18のオルガノシリコン第四級アンモニウム塩を実験例
の(1)と同様の方法で種々の担体に固定化したもの
(オルガノシリコン第四級アンモニウム塩の固定化量:
4μmole/g)を調製した。これらを用いてエンド
トキシン吸着除去効果を、Esherichia coli IFO14571由
来のエンドトキシンを用い、実験例と同様な方法により
評価した。結果を表3に示す。
【0039】
【表3】
【0040】表3の結果より明らかなように、オルガノ
シリコン第四級アンモニウム塩を固定化した試料1〜
5、7、9〜11は、固定化していない担体のみの対照
試料12〜15と比較して、明らかに高いエンドトキシ
ン吸着除去効果を示した。また、オルガノシリコン第四
級アンモニウム塩を固定化した試料は試料濃度が、0.
001〜50%の濃度で高い吸着除去効果を示すことが
わかる。更に、オルガノシリコン第四級アンモニウム塩
の鎖長はC5よりもC18の方が高いエンドトキシン吸
着除去効果を示す。
【0041】実験例3 一般式(I)で示されるオルガノシリコン第四級アンモ
ニウム塩において、3つのR1 のうち2つがメチル基で
残りの1つが炭素数20のアルキル基であり、R2 が−
CH2 CH2 CH2 NHCH2 CH2 −であり、R3
−CH2 CH3、Xは−OCH2 CH3 、YはBr、n
は1であるものをセルロースパウダーに固定化した吸着
体(固定化量:10μmole/g)を、内径10m
m、長さ100mmのカラムに充填した。尚、固定化は
実験例1と同様な方法により行った。次いで、Salmonel
la typhymurium LT2由来のエンドトキシンを100ng
/mlとなるようエンドトキシンフリーの20mMの緩
衝液(pHがそれぞれ3、4、5、6、7、8、9)に
懸濁したものを調製し、それぞれ50mlを上記カラム
に通液し、回収液のエンドトキシン含量を測定し、エン
ドトキシン吸着除去率を算出した。その結果、pH3〜
8のいずれのpHにおいても99.9%以上の高いエン
ドトキシン吸着除去効果が認められ、pH9においては
90%の吸着除去効果が認められた。
【0042】実施例1 一般式(II)で示されるオルガノシリコン第四級アンモ
ニウム塩において、R1 が炭素数18のアルキル基であ
り、OCH3 をOC2 5 に置換したものをシリコン樹
脂に固定化した(固定化量:6μmole/g)。これ
を直径0.5mmのナイロンフィラメント表面上に約3
%の割合でコーティングし、これを植毛したエンドトキ
シン吸着除去用ブラシを作成した。尚、固定化は実験例
1と同様な方法により行った。
【0043】実施例2 洗浄液として通常用いられる濃度の界面活性剤や香料、
その他成分を含む液に、実験例3の吸着体を10%の割
合で配合したエンドトキシン吸着除去用洗浄液を作成し
た。
【0044】
【発明の効果】本発明の吸着除去剤を用いることによ
り、生物体にとって有害なエンドトキシンを有効に吸着
除去することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B01J 20/22 A61K 9/08 B01D 15/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(I)で示されるオルガノシリコ
    ン第四級アンモニウム塩を固定化した水不溶性固体を有
    効成分として含有することを特徴とするエンドトキシン
    の吸着除去剤。 R1 3+ 2 SiR3 nX3-n ・ Y- (I) (式中、Xはハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基な
    どの加水分解可能な基であり、Yは塩素原子または臭素
    原子を表す。R1 は同一または異なる炭素数1〜22の
    1価の脂肪族炭化水素基を、R2 は2価の炭化水素基
    を、R3 は炭素数1〜3の低級アルキル基、フェニル
    基、またはCF3 CH2 CH2 を表す。nは0、1また
    は2を表す。)
  2. 【請求項2】 一般式(I)で示されるオルガノシリコ
    ン第四級アンモニウム塩において、3つのR1 のうちの
    2つがメチル基で残りの1つが炭素数8〜22のアルキ
    ル基である、請求項1記載の吸着除去剤。
  3. 【請求項3】 一般式(I)で示されるオルガノシリコ
    ン第四級アンモニウム塩において、3つのR1 のうちの
    2つがメチル基で残りの1つが炭素数16〜20のアル
    キル基であり、R2 が炭素数2〜4のアルキレン基また
    は−CH2 CH2 CH2 NHCH2 CH2 −である、請
    求項1記載の吸着除去剤。
  4. 【請求項4】 一般式(I)で示されるオルガノシリコ
    ン第四級アンモニウム塩が一般式(II)で示されるもの
    である、請求項1記載の吸着除去剤。 【化1】 (式中、R1 は炭素数16〜20のアルキル基を表
    す。)
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載のエンドト
    キシンの吸着除去剤をカラムに充填し、エンドトキシン
    含有溶液を該カラムに導通することを特徴とするエンド
    トキシンの吸着除去方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4いずれかに記載のエンドト
    キシン吸着除去剤とエンドトキシン含有溶液を混合攪拌
    し、次いで該エンドトキシン吸着除去剤を分離すること
    を特徴とするエンドトキシンの吸着除去方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4いずれかに記載のエンドト
    キシン吸着除去剤をエンドトキシンの付着する物体表面
    に接触させることを特徴とするエンドトキシンの吸着除
    去方法。
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