JP3487137B2 - 金属基複合材料製シリンダライナの製造方法 - Google Patents
金属基複合材料製シリンダライナの製造方法Info
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Description
ンダライナに関し、詳細には、窒化珪素多孔質体とアル
ミニウムもしくはアルミニウム合金より形成された金属
基複合材料製シリンダライナ及びその製造方法に関す
る。
の金属中に強化材としてセラミックス等の粒子もしくは
繊維等を分散させたものであり、複数の材料を組み合わ
せることにより単独の材料では得られない優れた特性を
示すものである。また、この金属基複合材料は基材とな
る金属の種類、複合させる材料の種類、これらの量比を
選択することによりその特性を任意に制御することがで
き、一般に高温における強度、耐摩耗性、疲労強度、熱
膨張係数等を向上させることができる。従って、金属基
複合材料は、例えば自動車部品等の各種の用途に用いら
れている。
ルミニウム合金等の軽金属を用い、アルミナ−シリカ系
セラミックス短繊維で複合強化された金属基複合材料よ
りシリンダボア面を形成したシリンダブロックを開示し
ている。このような金属基複合材料を用いることによ
り、軽量でかつ耐久性に優れたシリンダブロックが得ら
れる。
基複合材料において、金属の含有率を下げることにより
強度、ヤング率とも向上させることができる。しかしな
がら、金属を含浸させる前のセラミックス多孔質体(プ
リフォーム)は、嵩高いファイバ、粒子等をバインダを
用いて加圧成形しているため、このプリフォームの気孔
率を70%以下にすることは困難であった。すなわち、
金属の含有率を下げることには限界があった。また、成
形圧力を高めることなどによって気孔率の低いプリフォ
ームを作ることはできても、プリフォーム自体の強度が
低いため、金属を含浸させる際に割れが生ずるという問
題があった。
いて、プリフォームの強度が低いため、特に複雑なかつ
薄肉形状の多孔質体を用いた場合に、金属を鋳造する際
にプリフォームに割れが発生してしまうという問題もあ
った。
めに1番目の発明によれば、3次元ピラー構造を有しか
つ各ピラーの接点が焼結により結合している窒化珪素の
円筒形多孔質体の外周囲に円筒形の外スリーブを配置し
た後、アルミニウムもしくはアルミニウム合金を鋳造す
る方法により金属基複合材料製シリンダライナが製造さ
れる。
するために1番目の発明において、前記外スリーブが、
窒化珪素の円筒形多孔質体の軸線方向の中央部のみを囲
むように配置されている。
するために1番目の発明において、前記外スリーブが、
アルミニウムもしくはアルミニウム合金の鋳造後の鋳造
体の軸線方向の中央部が端部よりも肉薄となるような形
状を有している。
するために1〜3番目の発明において、アルミニウムも
しくはアルミニウム合金の鋳造後の鋳造体の肉厚部に冷
却手段が施されている。
するために1〜3番目の発明において、アルミニウムも
しくはアルミニウム合金の鋳造後の鋳造体の肉薄部に加
熱手段が施されている。
るセラミックス多孔質体の強度が低いのは、セラミック
ス繊維同士が互いに接合しておらず、又は低強度のバイ
ンダを用いて接合したためであると考えられる。これに
対し、本発明の金属基複合材料に用いられるセラミック
ス多孔質体は3次元ピラー構造を有しかつ各ピラーの接
点が焼結によって接合されているため強度が高く、従っ
て従来の金属基複合材料よりも多くの、すなわち35〜65
体積%のアルミニウムもしくはアルミニウム合金を含浸
させても高い強度を保つことができる。また、アルミニ
ウムの含量をこのような範囲にすることにより、弾性を
高くすることができ、燃焼時の爆発圧力により誘起され
るライナの変形によるフリクションを低減することがで
きる。さらに、スチールとアルミニウム合金の中間の熱
伝導率を有することになり、エンジンのプレイグ防止及
び燃焼性の向上が可能となる。
次元ピラー構造とは、窒化珪素の柱状の結晶が3次元的
にからみあっていることを意味する。そしてこの柱状の
結晶同士がバインダにより結合されているのではなく、
焼結によって互いに接合されているため、従来の多孔質
体に比べて強度が高いのである。
末に焼結助剤を加え、所定の温度で焼結することにより
得られる。セラミックス多孔質体がピラー構造を有する
ものにするため、窒化珪素粉末はその平均粒径が1μm
を越えたものであることが好ましい。焼結助剤として
は、希土類金属の酸化物、例えばイットリア(Y2O3)、ス
カンジア(Sc2O3) 等を用いることができる。この焼結助
剤の使用量は、窒化珪素粉末の5〜15重量%であること
が好ましい。5重量%未満では窒化珪素の結晶が成長し
ないためピラー構造が得られず、15重量%を越えると焼
結中に焼結助剤によって生ずる液相の固化物が多くなっ
て、得られる多孔質体の特性が低下することがあるから
である。
高純度であることが好ましい。具体的には、窒化珪素粉
末と焼結助剤の混合物中の金属不純物(金属酸化物)の
総量は0.01%以下であることが好ましい。この不純物と
しては、例えばCaO 、MgO 、Al2O3 、SiO2等が挙げられ
るが、これらの不純物濃度が0.1 %を越えると、この不
純物の存在によって液相の融点が低下して焼結が進行す
るため、十分な気孔率を有するセラミックス多孔質体が
得られなくなる。従って、窒化珪素粉末と焼結助剤の純
度は少なくとも99.9%以上であることが好ましい。
好ましい。1550℃未満ではβ窒化珪素の自形を有した柱
状晶(ピラー)が十分成長せず、1800℃を越えると結晶
が太くなってしまい、破壊強度が低下することがあるか
らである。
圧鋳造等によってアルミニウムもしくはアルミニウム合
金を含浸させて複合材料を形成する。このSi3N4-Al合金
複合材料は、アルミニウム合金に代表される金属材料に
比べ加工が困難であるため、生産性の観点から、シリン
ダライナの薄肉円筒形状に近い形状で窒化珪素多孔質体
を設置し、高圧鋳造することが望ましい。この場合、溶
湯の補給及び溶湯の急速な凝固を防止する必要性から、
鋳造体には図1に示すように、ある程度の余肉を設ける
ことが必須である。すなわち、図1において図1aは窒
化珪素多孔質体2にアルミニウムもしくはアルミニウム
合金4を鋳造した鋳造体1の側断面図であり、図1bは
図1aにおけるラインA−Aにおける断面図である。こ
こで3は鋳造時における窒化珪素多孔質体の浮きを防止
するための浮き防止環である。
は、鋳造後のアルミニウムの凝固、冷却過程において、
この余肉に起因する熱応力によって鋳造体内部に割れが
発生することが多く、従来は薄肉円筒形の複合体を製造
することは極めて困難であった。図2は、鋳造体の冷却
過程において鋳造体内周部に発生する半径方向の熱応力
と余肉の関係を示すものである。この図より明らかなよ
うに、熱応力は、内側余肉が薄いほど熱応力が緩和され
る。従って、内側余肉を薄くすればこの熱応力を小さく
することができるが、この場合、同時に溶湯量不足、急
激な凝固のため、満足な鋳造体は得られない。
円筒形の窒化珪素多孔質体2の内空間に円筒形の内スリ
ーブ5を配置して鋳造を行う。ここで図3において、図
1と同様に図3aは窒化珪素多孔質体2にアルミニウム
もしくはアルミニウム合金4を鋳造した鋳造体1の側断
面図であり、図1bは図1aにおけるラインA−Aにお
ける断面図である。また、3は鋳造時における窒化珪素
多孔質体の浮きを防止するための浮き防止環である。こ
こで、内スリーブとしては、アルミニウムもしくはアル
ミニウム合金よりも熱膨張率の小さな材料、例えばステ
ンレススチールより形成することが好ましい。また、こ
の内スリーブの表面に黒鉛等の離型剤を塗布したうえで
多孔質体の内空間に配置して鋳造することが好ましい。
に配置することにより、鋳造後の内スリーブの内側の余
肉は、凝固、冷却過程において収縮する際にこの内スリ
ーブとの境界面において剥離する。その結果、この内ス
リーブの内側の余肉は形成された鋳造体に影響を与える
ことがなくなり、多孔質体の外側と内部の余肉のみが鋳
造体に熱応力の影響を与えることになる。従って、十分
な溶湯量を確保しつつ、余肉を減らし、熱応力による鋳
造体の割れを抑制することが可能になる。
鍍金等の表面処理を行う場合があり、この場合、厚さが
均一な金属層を設ける必要がある。この場合、上記の内
スリーブは多孔質体と接することを避けなければならな
い。さらに、余肉厚さを均一にし、鋳造体への熱応力の
集中を低減させる意味からも、内スリーブと多孔質体を
極力高精度で同心状に配置させることが好ましい。その
ため、内スリーブは図4に示すような形状のものを用い
ることが好ましい。そしてこの内スリーブを用い、置中
子に配置することによって、内スリーブと多孔質体を同
心状に配置させることができる。また、この内スリーブ
の上下面に円孔6及び7を設けることにより、溶湯が均
一に補給され、不均一な溶湯補給による多孔質体の割れ
を防止することができる。
環3を用いて鋳造を行っているが、この浮き防止環の余
熱により、形成された鋳造体の軸方向で冷却速度差が大
きくなることによって軸方向で熱応力差による多孔質体
の割れが生ずることがある。これを防止するため、内ス
リーブを図5に示すような形状にすることが好ましい。
すなわち、上部を肉厚にし、低余熱で内スリーブを用い
ることにより、鋳造体の軸方向の冷却速度不均衡を抑制
することができ、割れを防止することができる。
外周面に生ずる円周方向の熱応力と余肉厚さとの関係を
示すものである。この図より明らかなように、外側の余
肉の増加に伴って熱応力も増すため、鋳造体の座屈強度
以下に抑制するために、内側余肉に加え、外側の余肉を
減少させることも有効である。そこで、鋳造体の形成の
際に、多孔質体の外周囲に円筒形の外スリーブを配置す
ることにより、溶湯量を確保しつつ、外側の余肉を減少
させることができ、鋳造体の縦割れ発生を大幅に抑制す
ることができる。この外スリーブも内スリーブと同様に
アルミニウム合金よりも熱膨張率の小さな材料より形成
されたものであることが好ましく、又離型剤を塗布して
おくことが好ましい。
造体の軸線方向の端部である。そこで、図8に示すよう
に、上記外スリーブ9を多孔質体8の軸線方向の中央部
にのみ囲むように配置することにより、端部の余肉が中
央部よりも厚い鋳造体を形成することが好ましい。この
ように端部の余肉を厚くすることによって、鋳造体の円
周方向の圧縮残留応力を生じさせることができ、破壊圧
力を向上させることができる。また、同様の理由によ
り、外スリーブを図9に示すような形状とすることによ
り、鋳造体の軸線方向の端部の余肉の厚さを中央部より
も厚くすることができ、同様の効果が得られる。
べ、余熱が大きいため、冷却時における冷却速度差が大
きくなり、鋳造体の割れの原因となる。従って、この冷
却速度差を小さくするため、鋳造体の肉厚部に冷却手段
を施すか、又は肉薄部に加熱手段を施すことが好まし
い。これらの手段を施すことによって鋳造体の冷却速度
不均衡を抑制し、縦割れの発生を抑制することができ
る。また、多孔質体の下部に加熱された鋼製のリングを
設置し、高圧鋳造を行っても同様の効果が得られる。
量部と酸化イットリウム粉末10重量部をナイロンポット
に入れ、これにエタノールを加えて鉄心入りナイロンボ
ールにより50時間ボールミル混粉し、次いで乾燥、解砕
して原料粉末を得た。この原料粉末を鐘型により、最終
形状に2mmの加工台を付けた形状に成形し、窒素9.5atm
雰囲気にて1750℃で4時間焼成した。こうして得たプリ
フォームの組織を図10に示す。この図より明らかなよ
うに、このプリフォームは、窒化珪素の柱状の結晶から
なる3次元ピラー構造を有しており、各ピラー構造は互
いに結合している。
加熱し、850 ℃のアルミニウム合金にて1200kgf/cm2 で
高圧鋳造することによって鋳造体を形成し、これをシリ
ンダライナの最終形状に加工した。こうして製造したシ
リンダライナについて、アルミニウム合金の含有量に対
する熱伝導率及び熱膨張率の関係を図11に、アルミニ
ウム合金の含有量に対するヤング率の関係を図12に、
そしてアルミニウム合金の含有量に対する強度の関係を
図13に示す。これらの図より、本発明のシリンダライ
ナは、アルミニウム合金の含有率35〜65%において、熱
伝導率、熱膨張率、強度、及びヤング率のすべてにおい
て十分なレベルを有することを示している。また、この
シリンダライナ(アルミニウム合金含有率46%、MAIS 4
6)の各種特性をスチール(S45C)及びアルミニウム合金(A
C1A-T6) と比較したものを以下の表1に示す。
スチール以上の強度及びを示し、かつスチールとアルミ
ニウム合金の中間のヤング率及び熱伝導率を示し、アル
ミニウムと同等の軽量化を達成している。本発明のシリ
ンダライナーは、金属含有率35〜65体積%において150
〜1000MPa の強度、及び110 〜210GPaのヤング率を示
し、一方、従来より用いられている一般的な金属基複合
材料は、金属含有率70〜100 体積%においてもヤング率
は130GPa程度であり、強度は500MPa以下であった。すな
わち、本発明のシリンダライナは、金属含有率35〜65体
積%において、強度とヤング率を共に高くすることがで
き、金属含有率を制御することによって製品に要求され
る特性をみたす材料設計が可能となる。
に (i) プリフォームの内空間に直管型内スリーブを配置す
ること (ii)プリフォームの内空間に図4に示すような形状の内
スリーブを配置すること (iii) プリフォームの内空間に図5に示すような形状の
内スリーブを配置すること (iv)プリフォームの下部に鋼製のリングを設置すること (v) 上記(i) の内スリーブと共に外スリーブも配置する
こと の以上5種について、上記と同様にしてシリンダライナ
を製造し、得られたシリンダライナの円周方向の割れに
ついて観察し、この結果を表2に示す。
生率65.5%に対し、上記(i) 〜(v)で製造したシリンダ
ライナではこの割れの発生率が大幅に低下した。
ような形状の外スリーブを配置してシリンダライナを製
造し、得られたシリンダライナの内圧による破壊強度
を、スリーブを用いないで製造したシリンダライナと比
較した。この結果を表3に示す。
リーブを用いて高圧鋳造することにより、シリンダライ
ナの端部に対し、円周方向の圧縮残留応力をかけること
によって内圧破壊強度が向上していることがわかる。
は、3次元ピラー構造を有しかつ各ピラーが焼結により
接合した窒化珪素の多孔質体の金属基複合材料を用いる
ことにより、含浸させるアルミニウムもしくはアルミニ
ウム合金の含有量を35〜65体積%としても強度を高く維
持することができ、かつこのように金属含有量を高くす
ることができるため高いヤング率を達成することができ
る。さらに、このシリンダライナの鋳造時において各種
スリーブを用いることにより、鋳造割れを抑制し、強度
を向上させることができる。
構造を示す図面であり、1aは側断面図であり、1bは
図1aにおけるラインA−Aにおける断面図である。
する半径方向の熱応力と余肉の関係を示すグラフであ
る。
れたシリンダライナの構造を示す図面であり、2aは側
断面図であり、2bは図2aにおけるラインA−Aにお
ける断面図である。
図面であり、4aは上面図、4bは側断面図、4cは下
面図である。
図面であり、5aは上面図、5bは側断面図、5cは下
面図である。
応力と余肉厚さとの関係を示すグラフである。
応力と余肉厚さとの関係を示すグラフである。
図面である。
図面である。
構造を示す図面に代わる写真である。
ウム合金の含有量に対する熱伝導率及び熱膨張率の関係
を示すグラフである。
ウム合金の含有量に対するヤング率の関係を示すグラフ
である。
ウム合金の含有量に対する強度の関係を示すグラフであ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 3次元ピラー構造を有しかつ各ピラーの
接点が焼結により結合している窒化珪素の円筒形多孔質
体の外周囲に円筒形の外スリーブを配置した後、アルミ
ニウムもしくはアルミニウム合金を鋳造することを特徴
とする、金属基複合材料製シリンダライナの製造方法。 - 【請求項2】 前記外スリーブが、窒化珪素の円筒形多
孔質体の軸線方向の中央部のみを囲むように配置するこ
とを特徴とする、請求項1記載の方法。 - 【請求項3】 前記外スリーブが、アルミニウムもしく
はアルミニウム合金の鋳造後の鋳造体の軸線方向の中央
部が端部よりも肉薄となるような形状を有する、請求項
1記載の方法。 - 【請求項4】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
の鋳造後の鋳造体の肉厚部に冷却手段を施すことを特徴
とする、請求項1〜3のいずれか記載の方法。 - 【請求項5】 アルミニウムもしくはアルミニウム合金
の鋳造後の鋳造体の肉薄部に加熱手段を施すことを特徴
とする、請求項1〜3のいずれか記載の方法。
Priority Applications (1)
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JP20395997A JP3487137B2 (ja) | 1997-07-15 | 1997-07-15 | 金属基複合材料製シリンダライナの製造方法 |
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Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1136023A JPH1136023A (ja) | 1999-02-09 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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GB201223197D0 (en) * | 2012-12-21 | 2013-02-06 | Jaguar Cars | Component and method of formation thereof |
-
1997
- 1997-07-15 JP JP20395997A patent/JP3487137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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