JP3486664B2 - 液状試料を取得する方法および装置 - Google Patents

液状試料を取得する方法および装置

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は原子力発電所の原子炉格納容器から液状試料
を試料採取容器によって取得する方法とその装置に関す
る。
原子力工業分野において、容器の強度および気密性を
阻害することなしにその容器内に存在する液体の代表的
な液状試料を外部から取得するという課題がしばしば存
在する。この試料は容器の外部で例えば放射能を測定さ
れる。試料を採取する際、測定結果を狂わせる試料成分
の堆積は回避しなければならない。更にまた試料の採取
は事故の条件下でも作動する好適には受動的な機械構成
要素で実行しなければならない。
原子炉格納容器の内部から、特にそのサンプ(液溜ま
り)から液状試料を採取する際、重大事故あるいは故障
の際に厳しい条件が生ずる。サンプ水の吸引は場合によ
ってはこのサンプ水の高い蒸気圧のために極めて不利で
あり適用できない。また例えば電気エネルギーの入手可
能性や不十分な耐放射性のためなどから、ポンプの運転
は十分に保証されない。即ちこの厳しい条件のもとでも
確実な試料採取を保証する方式を見い出す必要がある。
ヨーロッパ特許第0598789号明細書から、気密に密閉
された容器、特に原子力発電所の原子炉格納容器内の雰
囲気から試料を採取する方法および装置が知られてい
る。ここでは試料が試料採取容器内に充填され、この試
料の搬送流体の中に溶解および/又は凝縮できる成分が
その搬送流体と一緒に原子炉格納容器から運び出され
る。しかしそこに記載されている方法および装置は液状
試料に対してではなく、ガス状の試料に対して設計され
ていることに注意すべきである。
本発明の課題は、液状試料の採取用に設計され、上述
の厳しい条件下でも確実に作動するような冒頭に述べた
形式の方法および装置を提供することにある。
方法についての課題は本発明によれば、試料採取容器
内に圧力パルスによって、試料採取容器内に存在する原
子炉格納容器からの液体の少なくとも一部を搬送するた
めに利用されるガスクッションが形成されることによっ
て解決される。
好適には圧力パルスを与える前の第1の過程において
前もって、液体が原子炉格納容器から試料採取容器の中
に入れられる。これは特に負圧状態にある容器が試料採
取容器に接続されることによって行われる。次いで容器
が接続配管を介して液体を原子炉格納容器から試料採取
容器の中に吸い込む。
これに続く第2の過程において、上述したように圧力
パルスを利用して試料採取容器内にガスクッションが形
成される。これは加圧状態にある貯蔵装置の開放によっ
て行われる。例えばこの貯蔵装置は圧縮機によって圧力
が加えられる容器あるいは固有圧力状態にあるガスボン
ベである。
圧力パルスのパラメータは場所的な事情に合わされ
る。通常の設計において圧力パルスの大きさは数バー
ル、好適には2〜5バールであり、圧力パルスの時間幅
は数秒、好適には20〜100秒である。
圧力パルスの付与に続く第3の過程において、試料採
取容器内のガスクッションが負圧状態にある容器の中に
放出される。これによって試料採取容器内に存在する液
体の少なくとも一部が試料採取容器からこの容器の中に
送られる。
上述の装置についての課題は本発明によれば、試料採
取容器が上部に圧力パルス発生器に接続されているガス
クッション室を有していることによって解決される。
有利な実施形態は、試料採取容器が底部に液体流入開
口を備え天井部にガス貫流開口を備え且つ底部と天井部
の外側に置かれた接続点とを結ぶバイパス管を備えた特
に円筒形の容器であることを特徴とする。
圧力パルス発生器としては、弁によって開放される貯
蔵装置、例えば圧縮機によって圧力が加えられる容器あ
るいはガスボンベが設けられる。
圧力パルス発生器が原子炉格納容器に通じている配管
を介して試料採取容器の天井部におけるガス貫流開口に
接続されると有利である。更に負圧状態にある容器は接
続弁を介して試料採取容器に接続される。最後に述べた
二つの実施形態を組み合わせて、原子炉格納容器に唯一
のブッシングしか必要としないようにすると有利であ
る。
更に容器の出口には液体搬送ポンプおよびガス圧縮機
を接続できる。
以下図面に示した実施例を参照して本発明を詳細に説
明する。
図1は本発明に基づく圧力パルスで作動する液体試料
の取得装置、 図2はこの装置の試料採取容器が充填される第1の過
程における部分図、 図3はこの装置の圧力パルスで試料採取容器内に搬送
圧力が加えられる第2の過程における部分図、 図4はこの装置の圧力放出およびサンプ水の搬送が行
われる第3の過程における部分図、 図5は不連続的な出口と連続的な入口とを有する試料
採取容器の流入開口の概略断面図、 図6は円筒状室が前置接続された試料採取容器の吸込
み過程(小さな抵抗)における概略斜視図、 図7は搬送過程(大きな抵抗)にある図6に相当した
概略斜視図である。
図1における装置は原子力発電所(図示せず)の原子
炉格納容器2用に設計されている。この原子炉格納容器
2の内部には液状媒体6、特に水から成るサンプ(液溜
まり)4が存在し、このサンプ水は事故が発生した際に
放射能で汚染されるので、これを監視しなければならな
い。この目的のためにサンプ4の中に試料採取容器8が
配置されている。これはほぼ円筒状の上部に続いて下部
が円錐状に形成されている。この容器は底部に液体入口
開口10を、天井部にガス貫流開口12を有し、このガス貫
流開口は搬送配管14に対する継手を備えている。底部あ
るいは図示されているようにその幾分上側の部分と天井
部の外側に設けられた接続点14aとの間を結ぶバイパス
管16を設けることが重要である。試料採取容器8の上部
にはガスクッション室13が形成され、これは或る運転過
程において(好適には空気から成る)ガスクッション15
で充填される。搬送配管14は原子炉格納容器2の壁部を
貫通するブッシング17および二つのしゃ断弁18を介して
分岐個所20に接続されている。
分岐個所20には一方で圧力パルス発生器22が、他方で
は種々の機能を果たす容器24が接続されている。
分岐個所20の一方の側において圧力パルス発生器22が
圧力パルス配管26を介して接続され、この圧力パルス配
管を介して原子炉格納容器2の方向に適時に圧力パルス
が与えられる。圧力パルスは圧力パルス配管26に概略的
に符号28で示されている。圧力パルス発生器22はここで
は弁32を介して圧力パルス配管26に接続されている貯蔵
装置30から成っている。貯蔵装置30は圧縮機36によって
過圧にされるかその状態に保たれているタンク34からな
る。圧力を発生するために空気あるいは窒素が使用され
る。あるいはまた貯蔵装置30として一つあるいは多数の
ガスボンベを使用することもできる。重要なことは、弁
32が急速に切り換えられることである。
分岐個所20の他方の側には接続配管40および接続弁42
を介して容器24が接続されている。後述するようにこの
容器24は液状試料の集合あるいは試料採取容器としてだ
けでなく、負圧発生器としても作用する。この容器24は
第1の出口が液体搬送ポンプ44を介して分析装置46に接
続されている。この分析装置46は試料の希釈と分析に使
用される。特にこの装置は試料内に存在する放射能を測
定する。この出口は戻し搬送配管48および弁50を介して
接続配管40、従って分岐個所20に接続されている。
容器24の第2の出口は真空引き配管52および圧縮機あ
るいは濃縮機54並びに弁56を介して同様に接続配管40従
って分岐個所20に通じている。このようにして弁32によ
って圧力パルス発生器22が、並びに接続弁42によって容
器24が搬送配管14に、従って試料採取容器8に接続でき
る。
図示の装置の機能について以下説明する。
前過程においてまず原子炉格納容器2のサンプ4内に
漬けられている試料採取容器8に圧力が供給される。こ
れは圧力パルス発生器22から搬送配管14および弁18並び
に弁32を介して圧縮空気あるいは窒素を供給することに
よって行われる。これによって試料採取容器8が空にさ
れる。
これに続く特に図2に示されている第1の過程におい
て、試料採取容器8の充填が行われる。この試料採取容
器8は、原子炉格納容器2内より低い圧力をした容器24
への接続弁42が開かれることによって原子炉格納容器2
に比べて低い圧力にされる。これによって試料採取容器
8がサンプ水6で充填される。
続いて第2の過程において搬送圧力が与えられる。そ
のために急速に開く弁32を介して試料採取容器8に瞬間
的に容器34からガス圧が供給される。即ち圧力パルス発
生器22から圧力パルス28が与えられる。その際試料採取
容器8内の液体は、ガス圧により下端に設けられた流出
開口10を通って流出する。即ち原子炉格納容器2への逆
流が行われる。
続く第3の過程において圧力の放出、従ってサンプ水
の搬送が行われる。この過程において配管14、26、40内
に存在するガスは、この時点で原子炉格納容器2に比べ
て低い圧力をしている容器24の中に急速に放出される。
これによって試料採取容器8のガスクッション室13にお
けるガスクッション15により、試料採取容器8内に存在
する液体の一部が搬送配管14を介して原子炉格納容器2
から運び出される。この液体部分は試料として容器24に
送られる。この資料は分析装置46において測定される。
次の試料採取を準備するために容器24は続いて圧縮機
あるいは濃縮機54を介して真空引きされる。
図1に示されている装置によって、深い位置にありお
よび/又は沸騰している液体を原子炉格納容器2をブッ
シング17において貫通する配管14だけによって採取する
ことができる。搬送は設備内で容易に実現可能な配管1
4、26、40の高所点を介して蒸発を防止した状態で行う
ことができる。
また試料が試料採取容器8に下側から流入されること
が重要である。これによってその都度堆積物が洗われ、
次の試料が汚染されることはない。
搬送配管の直径は、作用する面圧によって水滴の流れ
が得られ、水平配管部分における二相流への分離が回避
されるように、DN10以下に決められている。
原子炉格納容器2の中に逆流する液体量を減少するた
めの試料採取容器8の入口開口10の有利な実施形態は、
この入口開口10が(試料採取容器8を充填する際および
原子炉格納容器2を逆流する際の)両流れ方向における
圧力損失が異なっているように形成されている。
図5はノズル58を備えた実施例を示している。このノ
ズル58は試料採取容器8の下端にある。これは流入方向
60における流露断面積の連続的な流入開口62および流出
方向64における不連続的な流出開口66を有している。即
ちノズル58は片側貫流制限器として作用する。ここでは
流入方向60における流入開口62の圧力損失値は流出方向
64におけるそれの2〜3分の1にされている。
図6および図7に示されている形状の片側貫流制限器
70を備えた試料採取容器8が特に有利である。片側貫流
制限器70は吸込み過程(図6)においては小さな抵抗を
有し、搬送過程(図7)においては大きな抵抗を有す
る。貫流制限器70は接線方向ノズル74と軸方向ノズル76
とを備えた円筒状室72から成っている。
吸込み過程(図6参照)において即ち試料採取容器8
を充填する際、サンプ水6が軸方向ノズル76を通って流
入し、円筒状室72から溢れ出て、接線ノズル74を通って
試料採取容器8の中に流入する。この方向における貫流
制限器70の流れ抵抗は小さい。これは例えば両ノズル7
4、76におけるディフューザによってなお小さくでき
る。
続く搬送過程(図7参照)においては、ノズル74を介
しての接線方向の通過によって円筒状室72および流出ノ
ズル76の中に大きな圧力損失を伴う渦流が形成される。
例えばサイクロンにおいてガスからダストを分離する際
と同様の流れ形態において圧力損失がそれに相応して貫
流される曲がり管の圧力損失の数倍例えば50倍より大き
いことは既に文献で知られている。
貫流制限器70の設置は特に最初の圧力付与の際に残留
物の排除ができるように行われ、即ち軸方向ノズル76は
垂直方向に設置されている。
図6および図7に示す貫流制限器70を備えた試料採取
容器8の形態の利点は、流入開口が一定の断面積を有し
ている場合に搬送過程時間を非常に長くできること、お
よびこれによって搬送されるサンプ水の総量が増大され
ること、並びに得られる搬送ヘッド(圧力水頭)が増大
されることにある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 フォイエルバッハ、ローベルト ドイツ連邦共和国 デー―65830 クリ フテル ローベルト―シューマン―リン グ 47 (72)発明者 ブラーゼ、ミヒャエル ドイツ連邦共和国 デー―63538 グロ ースクロッツェンブルク フンボルトシ ュトラーセ 15 (72)発明者 ベッツ、リヒャルト ドイツ連邦共和国 デー―63683 オル テンベルク オーバードルフ 17 (56)参考文献 特開 平6−509874(JP,A) 特公 平5−75998(JP,B2) 特表 平6−509874(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 17/00 G01N 1/10 G01N 1/00 101

Claims (16)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原子力発電所の原子炉格納容器(2)から
    試料採取容器(8)によって液状試料を取得する方法に
    おいて、試料採取容器(8)内に圧力パルス(28)によ
    って、試料採取容器(8)内に存在する原子炉格納容器
    (2)からの液体(6)の少なくとも一部を搬送するた
    めに利用されるガスクッション(15)が形成されること
    を特徴とする液状試料を取得する方法。
  2. 【請求項2】圧力パルス(28)を与える前に液体(6)
    が原子炉格納容器(2)から試料採取容器(8)の中に
    入れられることを特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】液体(6)を入れるために負圧状態にある
    容器(24)が試料採取容器(8)に接続されることを特
    徴とする請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】圧力パルス(28)が加圧状態にある貯蔵装
    置(30)、例えば圧縮機(36)によって圧力が加えられ
    る容器(34)あるいはガスボンベを開放することによっ
    て発生されることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れか1つに記載の方法。
  5. 【請求項5】圧力パルス(28)の大きさが数バール、好
    適には2〜5バールであり、圧力パルス(28)の時間幅
    が数秒、好適には20〜100秒であることを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれか1つに記載の方法。
  6. 【請求項6】圧力パルス(28)の付与後に試料採取容器
    (8)内のガスクッション(15)が負圧状態にある容器
    (24)の中に放出され、これによって試料採取容器
    (8)内に存在する液体(6)の少なくとも一部が試料
    採取容器(8)からこの容器(24)の中に送られること
    を特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の
    方法。
  7. 【請求項7】原子力発電所の原子炉格納容器(2)から
    試料採取容器(8)によって液状試料を取得するための
    装置、特に請求項1ないし6のいずれか1つに記載の方
    法を実施するための装置において、試料採取容器(8)
    が上部に圧力パルス発生器(22)に接続されているガス
    クッション室(13)を有していることを特徴とする装
    置。
  8. 【請求項8】試料採取容器(8)が、底部に液体流入開
    口(10)を備え天井部にガス貫流開口(12)を備え且つ
    底部と天井部の外側に置かれた接続点(14a)とを結ぶ
    バイパス管(16)を備えた特に円筒状の容器であること
    を特徴とする請求項7記載の装置。
  9. 【請求項9】圧力パルス発生器(22)が弁(32)により
    開放される貯蔵装置(30)、例えば圧縮機(36)によっ
    て圧力が加えられる容器(34)あるいはガスボンベであ
    ることを特徴とする請求項7又は8記載の装置。
  10. 【請求項10】圧力パルス発生器(22)が原子炉格納容
    器(2)に通じている配管(14、26)を介して試料採取
    容器(8)の天井部におけるガス貫流開口(12)に接続
    されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれ
    か1つに記載の装置。
  11. 【請求項11】負圧状態にある容器(24)が接続弁(4
    2)を介して試料採取容器(8)に接続されていること
    を特徴とする請求項7ないし10のいずれか1つに記載の
    装置。
  12. 【請求項12】容器(24)の出口に液体分析装置(46)
    が接続されていることを特徴とする請求項11記載の装
    置。
  13. 【請求項13】容器(24)の出口に液体搬送ポンプ(4
    4)およびガス圧縮機(54)が接続されていることを特
    徴とする請求項11又は12記載の装置。
  14. 【請求項14】試料採取容器(8)の天井部におけるガ
    ス貫流開口(12)に分岐個所(20)に通じている搬送配
    管(14)が接続され、この分岐個所(20)に圧力パルス
    配管(26)および接続配管(40)が接続されていること
    を特徴とする請求項7ないし13のいずれか1つに記載の
    装置。
  15. 【請求項15】液体流入開口(10)が流露断面積の連続
    的な入口(62)と不連続的な出口(66)とを備えたノズ
    ル(58)によって形成されていることを特徴とする請求
    項7ないし14のいずれか1つに記載の装置。
  16. 【請求項16】液体流入開口(10)が接線方向ノズル
    (74)と軸方向ノズル(76)とを備えた中空円筒状室
    (72)によって形成されていることを特徴とする請求項
    7ないし14のいずれか1つに記載の装置。
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