JP3486245B2 - 地熱発電所バイオ脱硫システム - Google Patents
地熱発電所バイオ脱硫システムInfo
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02A—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE
- Y02A50/00—TECHNOLOGIES FOR ADAPTATION TO CLIMATE CHANGE in human health protection, e.g. against extreme weather
- Y02A50/20—Air quality improvement or preservation, e.g. vehicle emission control or emission reduction by using catalytic converters
Landscapes
- Treating Waste Gases (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は地熱発電所における硫化
水素含有ガスを微生物によって脱硫するバイオ脱硫シス
テムに関する。
水素含有ガスを微生物によって脱硫するバイオ脱硫シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】微生物を用いた従来の地熱発電所脱硫シ
ステムを図5によって説明する。生産井1より取り出さ
れた熱水201はフラッシャ3を用いて蒸気4と熱水2
02に分けられる。蒸気4は蒸気タービン5に導入され
発電に用いられる。発電に使用された蒸気4はコンデン
サ6で凝縮され、凝縮水24は熱水202とともに還元
井7に戻され、コンデンサ6で凝縮しなかった高硫化水
素含有不凝縮ガス8はバルブ901,903開、バルブ
902,904閉の状態で、ヒータで保温された微生物
処理槽101に導入され、酸化されて低硫化水素含有不
凝縮ガス11となり大気に放散される。
ステムを図5によって説明する。生産井1より取り出さ
れた熱水201はフラッシャ3を用いて蒸気4と熱水2
02に分けられる。蒸気4は蒸気タービン5に導入され
発電に用いられる。発電に使用された蒸気4はコンデン
サ6で凝縮され、凝縮水24は熱水202とともに還元
井7に戻され、コンデンサ6で凝縮しなかった高硫化水
素含有不凝縮ガス8はバルブ901,903開、バルブ
902,904閉の状態で、ヒータで保温された微生物
処理槽101に導入され、酸化されて低硫化水素含有不
凝縮ガス11となり大気に放散される。
【0003】微生物処理槽101中の培養液9のpHは
硫化水素の硫酸転換に伴い経時的に低下する。pHが2
以下になるとバルブ901,903が閉、バルブ90
2,904が開となり高硫化水素含有不凝縮ガス8は微
生物処理槽102に導入され、酸化されて低硫化水素含
有不凝縮ガス11となり大気に放散される。
硫化水素の硫酸転換に伴い経時的に低下する。pHが2
以下になるとバルブ901,903が閉、バルブ90
2,904が開となり高硫化水素含有不凝縮ガス8は微
生物処理槽102に導入され、酸化されて低硫化水素含
有不凝縮ガス11となり大気に放散される。
【0004】一方バルブ905が開かれ、硫酸生成に伴
い酸性化した培養液12は微生物処理槽101から抜き
出され熱水202とともに還元井7に注入される。これ
により熱水202のpHが低下し、スケール付着による
還元井7の閉塞が軽減される。
い酸性化した培養液12は微生物処理槽101から抜き
出され熱水202とともに還元井7に注入される。これ
により熱水202のpHが低下し、スケール付着による
還元井7の閉塞が軽減される。
【0005】酸性化培養液12が完全に抜きとられたら
バルブ905が閉じられ、バルブ907が開かれ、増殖
用培養槽20で増殖した菌体21とともに培養液タンク
19から新しい培養液18が微生物処理槽101に導入
される。
バルブ905が閉じられ、バルブ907が開かれ、増殖
用培養槽20で増殖した菌体21とともに培養液タンク
19から新しい培養液18が微生物処理槽101に導入
される。
【0006】その後、微生物処理槽102のpHが2以
下に低下したらバルブ902,904が閉、バルブ90
1,903が開となり高硫化水素含有不凝縮ガス8が微
生物処理槽101に導入され、微生物処理槽102の酸
性化した培養液は、前記微生物処理槽101の場合と同
様にして新しい培養液と交換される。この一連の動作を
繰り返すことにより連続的に脱硫が行われる。
下に低下したらバルブ902,904が閉、バルブ90
1,903が開となり高硫化水素含有不凝縮ガス8が微
生物処理槽101に導入され、微生物処理槽102の酸
性化した培養液は、前記微生物処理槽101の場合と同
様にして新しい培養液と交換される。この一連の動作を
繰り返すことにより連続的に脱硫が行われる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の技術では連続的
に脱硫するためには前記したように切り替えて使用する
微生物処理槽を2基有する必要があった。そしてそれら
の微生物処理槽には培養液に用いる水をプラント外から
供給する必要があった。また、従来は微生物処理槽の温
度を一定に保つためにヒーターを必要とし、発電コスト
が大きくなっていた。
に脱硫するためには前記したように切り替えて使用する
微生物処理槽を2基有する必要があった。そしてそれら
の微生物処理槽には培養液に用いる水をプラント外から
供給する必要があった。また、従来は微生物処理槽の温
度を一定に保つためにヒーターを必要とし、発電コスト
が大きくなっていた。
【0008】本発明は2基の微生物処理槽を切り替えて
使用することなしに連続的に、かつ経済的にガス脱硫を
行いうる地熱発電所バイオ脱硫システムを提供すること
を課題としている。
使用することなしに連続的に、かつ経済的にガス脱硫を
行いうる地熱発電所バイオ脱硫システムを提供すること
を課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明は、高温
・好酸硫黄酸化微生物を用いた微生物処理槽と、その微
生物処理槽とは独立の増殖用培養槽を持ち、その微生物
処理槽で硫化水素を脱硫し生成した硫酸を含む酸性水を
還元井に注入してその還元井の閉塞を防止するように構
成した地熱発電所バイオ脱硫システムにおける前記課題
を解決するため次の構成の脱硫システムを提供する。
・好酸硫黄酸化微生物を用いた微生物処理槽と、その微
生物処理槽とは独立の増殖用培養槽を持ち、その微生物
処理槽で硫化水素を脱硫し生成した硫酸を含む酸性水を
還元井に注入してその還元井の閉塞を防止するように構
成した地熱発電所バイオ脱硫システムにおける前記課題
を解決するため次の構成の脱硫システムを提供する。
【0010】すなわち、本発明による地熱発電所バイオ
脱硫システムでは、微生物処理槽に菌体分離フィルタを
設置し、この菌体分離フィルタを通して微生物処理槽内
の酸性化した培養液から酸性水と微生物を抜き出し、そ
の微生物を微生物処理槽に戻す構成を採用する。
脱硫システムでは、微生物処理槽に菌体分離フィルタを
設置し、この菌体分離フィルタを通して微生物処理槽内
の酸性化した培養液から酸性水と微生物を抜き出し、そ
の微生物を微生物処理槽に戻す構成を採用する。
【0011】このように微生物処理槽に菌体分離フィル
タを設置した構成とすることにより、微生物処理槽から
酸性水即ち硫酸抜き出し時に菌体を菌体分離フィルタで
ろ過してそれを微生物処理槽に戻すことができる。従っ
て、従来のように切り替えて処理する2つの処理槽を用
いることなしに連続的に脱硫処理することが可能とな
る。
タを設置した構成とすることにより、微生物処理槽から
酸性水即ち硫酸抜き出し時に菌体を菌体分離フィルタで
ろ過してそれを微生物処理槽に戻すことができる。従っ
て、従来のように切り替えて処理する2つの処理槽を用
いることなしに連続的に脱硫処理することが可能とな
る。
【0012】本発明で採用する菌体分離フィルタとして
は、温度、酸性、アルカリ性に対し耐性のあるセラミッ
ク及びポリスルフォン系の材料のいづれか一方を用いる
ことができる。
は、温度、酸性、アルカリ性に対し耐性のあるセラミッ
ク及びポリスルフォン系の材料のいづれか一方を用いる
ことができる。
【0013】また、本発明による脱硫システムでは、ア
ルカリ注入装置を備えた逆洗ラインを菌体分離フィルタ
に設けるのが好ましい。この逆洗ラインを設けることに
より、菌体分離フィルタが圧密状態となったときにこの
逆洗ラインからアルカリ、例えば水酸化ナトリウムを注
入することによって菌体分離フィルタのろ過面上に圧密
された微生物を溶菌し再び有効にろ過可能な状態にでき
る。
ルカリ注入装置を備えた逆洗ラインを菌体分離フィルタ
に設けるのが好ましい。この逆洗ラインを設けることに
より、菌体分離フィルタが圧密状態となったときにこの
逆洗ラインからアルカリ、例えば水酸化ナトリウムを注
入することによって菌体分離フィルタのろ過面上に圧密
された微生物を溶菌し再び有効にろ過可能な状態にでき
る。
【0014】更にまた、本発明による地熱発電所バイオ
脱硫システムでは、地熱発電プラントから排出される熱
水を、微生物処理槽の温度を一定に保つ熱源として用い
る構成とするのが好ましい。そのためには、例えば微生
物処理槽、培養液タンク及び増殖用培養槽に熱水との熱
交換器を設置する。これによって微生物処理槽の温度
を、外部からのヒータなしに一定に保つことが可能とな
る。
脱硫システムでは、地熱発電プラントから排出される熱
水を、微生物処理槽の温度を一定に保つ熱源として用い
る構成とするのが好ましい。そのためには、例えば微生
物処理槽、培養液タンク及び増殖用培養槽に熱水との熱
交換器を設置する。これによって微生物処理槽の温度
を、外部からのヒータなしに一定に保つことが可能とな
る。
【0015】また、本発明による脱硫システムでは、前
記した熱源として用いる前の熱水に微生物処理槽で生成
した酸性水を添加するように構成するのが好ましい。こ
のように構成することによって熱交換器に導かれる前の
熱水はその酸性水の添加によりpHが下がり主としてシ
リカからなるスケールが付着して還元井が閉塞を起こす
ような事態を防ぐことができる。
記した熱源として用いる前の熱水に微生物処理槽で生成
した酸性水を添加するように構成するのが好ましい。こ
のように構成することによって熱交換器に導かれる前の
熱水はその酸性水の添加によりpHが下がり主としてシ
リカからなるスケールが付着して還元井が閉塞を起こす
ような事態を防ぐことができる。
【0016】更に、本発明による脱硫システムでは、地
熱発電プラントから排出される凝縮水を微生物培養のた
めの水源として培養液タンクや増殖用培養槽に凝縮水を
導くのが好ましい。このように構成すると、培養液を地
熱発電プラント内で自給できることになる。
熱発電プラントから排出される凝縮水を微生物培養のた
めの水源として培養液タンクや増殖用培養槽に凝縮水を
導くのが好ましい。このように構成すると、培養液を地
熱発電プラント内で自給できることになる。
【0017】更にまた、本発明による脱硫システムでは
微生物処理槽に空気を供給するためのエアーポンプ又
は、微生物処理槽に酸素を供給するための酸素製造装置
と酸素供給ポンプとを有する酸素供給装置を設けるのが
好ましい。酸素製造装置としては圧力スイング吸着法に
よる空気分離装置(PSA式酸素製造装置)を採用する
ことができる。
微生物処理槽に空気を供給するためのエアーポンプ又
は、微生物処理槽に酸素を供給するための酸素製造装置
と酸素供給ポンプとを有する酸素供給装置を設けるのが
好ましい。酸素製造装置としては圧力スイング吸着法に
よる空気分離装置(PSA式酸素製造装置)を採用する
ことができる。
【0018】この場合、微生物処理槽に送られるガス成
分の内,硫化水素と酸素のモル比(酸素/硫化水素)が
80以上となるよう酸素を供給するのが好ましい。
分の内,硫化水素と酸素のモル比(酸素/硫化水素)が
80以上となるよう酸素を供給するのが好ましい。
【0019】このように微生物処理槽に空気や酸素を供
給する構成を採用することによって、微生物処理槽にお
いて硫化水素を酸化し硫酸に転換する際,酸素が十分供
給されるため、中間生成物である硫黄の析出が見られ
ず、硫化水素負荷に対し、硫酸生成量が大きくなる。ま
た、硫黄が析出することより生ずるフィルター閉塞の恐
れがない。
給する構成を採用することによって、微生物処理槽にお
いて硫化水素を酸化し硫酸に転換する際,酸素が十分供
給されるため、中間生成物である硫黄の析出が見られ
ず、硫化水素負荷に対し、硫酸生成量が大きくなる。ま
た、硫黄が析出することより生ずるフィルター閉塞の恐
れがない。
【0020】
【実施例】以下、本発明による地熱発電所バイオ脱硫シ
ステムを図1及び図2に示した一実施例に基づいて具体
的に説明する。なお、図1及び図2において、図5に示
した従来の脱硫システムにおける構成機器と同一な部分
には説明を簡潔にするため同一符号を付してある。
ステムを図1及び図2に示した一実施例に基づいて具体
的に説明する。なお、図1及び図2において、図5に示
した従来の脱硫システムにおける構成機器と同一な部分
には説明を簡潔にするため同一符号を付してある。
【0021】(第1実施例)まず図1に示す第1実施例
について説明する。図1に示すように、生産井1より取
り出された熱水201(150℃)はフラッシャ3を用
いて蒸気4と熱水202に分けられる。蒸気4(130
℃)は蒸気タービン5に導入され発電に用いられる。発
電に使用された蒸気4はコンデンサ6に凝縮され、凝縮
水24と不凝縮ガス8になる。
について説明する。図1に示すように、生産井1より取
り出された熱水201(150℃)はフラッシャ3を用
いて蒸気4と熱水202に分けられる。蒸気4(130
℃)は蒸気タービン5に導入され発電に用いられる。発
電に使用された蒸気4はコンデンサ6に凝縮され、凝縮
水24と不凝縮ガス8になる。
【0022】コンデンサ6で凝縮しなかった高硫化水素
含有不凝縮ガス8(タービン入口の蒸気中に約0.5w
t%含有、不凝縮ガス組成:H2 S5wt%、CO2 9
0%、その他5%)は内部に硫黄酸化微生物を含む培養
液9(温度70℃、pH2.5:硫酸酸性、菌体濃度:
2×1014cells/ton)が充填された気泡塔型
の微生物処理槽10で酸化され低硫化水素含有不凝縮ガ
ス11となり大気に放散される。
含有不凝縮ガス8(タービン入口の蒸気中に約0.5w
t%含有、不凝縮ガス組成:H2 S5wt%、CO2 9
0%、その他5%)は内部に硫黄酸化微生物を含む培養
液9(温度70℃、pH2.5:硫酸酸性、菌体濃度:
2×1014cells/ton)が充填された気泡塔型
の微生物処理槽10で酸化され低硫化水素含有不凝縮ガ
ス11となり大気に放散される。
【0023】凝縮水24は培養液タンク19、増殖用培
養槽20に送られ微生物培養のための水源として用いら
れる。微生物処理槽10中の微生物にはSulfolo
bus属の一種が用いられる。微生物処理槽10の培養
液9のpHは硫化水素の硫酸転換に伴い経時的に低下す
る。硫酸生成に伴い酸性化した培養液12の一部は微生
物処理槽10から菌体分離フィルタ13を通じて酸性水
14として抜き出される。
養槽20に送られ微生物培養のための水源として用いら
れる。微生物処理槽10中の微生物にはSulfolo
bus属の一種が用いられる。微生物処理槽10の培養
液9のpHは硫化水素の硫酸転換に伴い経時的に低下す
る。硫酸生成に伴い酸性化した培養液12の一部は微生
物処理槽10から菌体分離フィルタ13を通じて酸性水
14として抜き出される。
【0024】菌体分離フィルタ13の構造は、ろ過面に
対して垂直な流れを持つクロスフロー型が望ましい。ま
た材質はセラミック製、あるいはポリスルフォン系の耐
酸、耐アルカリ及び耐熱性のものが用いられる。
対して垂直な流れを持つクロスフロー型が望ましい。ま
た材質はセラミック製、あるいはポリスルフォン系の耐
酸、耐アルカリ及び耐熱性のものが用いられる。
【0025】微生物処理槽10より菌体分離フィルタ1
3に酸性化した培養液12が導入されるとき菌体分離フ
ィルタ13内ではろ過面に対して垂直な方向に3m/s
以上の線速が維持され、0.1atmのろ過圧力で酸性
化培養液12から微生物15と酸性水14が分離され
る。
3に酸性化した培養液12が導入されるとき菌体分離フ
ィルタ13内ではろ過面に対して垂直な方向に3m/s
以上の線速が維持され、0.1atmのろ過圧力で酸性
化培養液12から微生物15と酸性水14が分離され
る。
【0026】この時一分間に5秒の割合で3atm以下
の新しい培養液18−1により逆洗圧力で逆洗される。
逆洗によりろ過面から分離された微生物15は他の酸性
化した培養液と共に微生物処理槽10にライン25より
戻される。また逆洗圧力が5atm以上になった場合
は、アルカリ液タンク17から逆洗ラインに設けられた
アルカリ注入ライン16により6Nの水酸化ナトリウム
液が注入され、ろ過面上に圧密された微生物15はアル
カリにより直ちに溶菌し、ろ過及び逆洗可能となる。
の新しい培養液18−1により逆洗圧力で逆洗される。
逆洗によりろ過面から分離された微生物15は他の酸性
化した培養液と共に微生物処理槽10にライン25より
戻される。また逆洗圧力が5atm以上になった場合
は、アルカリ液タンク17から逆洗ラインに設けられた
アルカリ注入ライン16により6Nの水酸化ナトリウム
液が注入され、ろ過面上に圧密された微生物15はアル
カリにより直ちに溶菌し、ろ過及び逆洗可能となる。
【0027】このようにして得られた酸性水14と微生
物処理槽10で酸性化した液の一部はライン26より熱
水204と共に還元井7に注入されることにより熱水2
02のpHが約90℃で約8から5.5まで低下し、主
としてシリカのスケール付着による還元井7の閉塞が軽
減される。一方、抜き出された酸性水14と同量の新し
い培養液18−2が培養液タンク19から、増殖用培養
槽20で増殖した菌体21とともに、微生物処理槽10
に導入され連続的に脱硫が行われる。
物処理槽10で酸性化した液の一部はライン26より熱
水204と共に還元井7に注入されることにより熱水2
02のpHが約90℃で約8から5.5まで低下し、主
としてシリカのスケール付着による還元井7の閉塞が軽
減される。一方、抜き出された酸性水14と同量の新し
い培養液18−2が培養液タンク19から、増殖用培養
槽20で増殖した菌体21とともに、微生物処理槽10
に導入され連続的に脱硫が行われる。
【0028】Sulfolobus属は高温、かつ酸性
条件下で増殖でき、かつ、従属栄養的にも増殖可能であ
る。通常硫黄を酸化して増殖する独立栄養では一般的に
増殖速度が小さい。そこでSulfolobus属を用
いることにより増殖時は従属栄養で大量に培養し、脱硫
時は独立栄養で硫化水素を硫酸まで酸化させることが可
能である。フィルタによる回収及び増殖用培養槽からの
菌体投入により菌体の量は微生物処理槽10の中で一定
以上に保たれる。
条件下で増殖でき、かつ、従属栄養的にも増殖可能であ
る。通常硫黄を酸化して増殖する独立栄養では一般的に
増殖速度が小さい。そこでSulfolobus属を用
いることにより増殖時は従属栄養で大量に培養し、脱硫
時は独立栄養で硫化水素を硫酸まで酸化させることが可
能である。フィルタによる回収及び増殖用培養槽からの
菌体投入により菌体の量は微生物処理槽10の中で一定
以上に保たれる。
【0029】脱硫及び硫酸生成中は微生物処理槽10、
培養液タンク19、増殖用培養槽20に設置された熱交
換器22−1、22−2にポンプ23によりpHが低下
したpH5.5の熱水203が導かれ培養液と熱交換さ
れることにより温度は70℃が維持される。通常、熱水
のpHが約5.5以下になると、シリカスケールの析出
はないので熱水203のpHが上述の通り5.5に低下
しているため熱交換により温度が低下しても主としてシ
リカのスケールの付着により還元井7が閉塞することは
ない。
培養液タンク19、増殖用培養槽20に設置された熱交
換器22−1、22−2にポンプ23によりpHが低下
したpH5.5の熱水203が導かれ培養液と熱交換さ
れることにより温度は70℃が維持される。通常、熱水
のpHが約5.5以下になると、シリカスケールの析出
はないので熱水203のpHが上述の通り5.5に低下
しているため熱交換により温度が低下しても主としてシ
リカのスケールの付着により還元井7が閉塞することは
ない。
【0030】(第2実施例)次に図2に示す第2実施例
について説明する。図2において27は空気ポンプであ
る。30は例えばPSA式酸素製造装置で、31は酸素
供給ポンプである。空気ポンプ27及び酸素供給ポンプ
31は高硫化水素含有不凝縮ガス8に空気や酸素を導入
して微生物処理槽10へ供給するように構成されてい
る。その他の構成は図1に示した第1実施例と同様であ
る。
について説明する。図2において27は空気ポンプであ
る。30は例えばPSA式酸素製造装置で、31は酸素
供給ポンプである。空気ポンプ27及び酸素供給ポンプ
31は高硫化水素含有不凝縮ガス8に空気や酸素を導入
して微生物処理槽10へ供給するように構成されてい
る。その他の構成は図1に示した第1実施例と同様であ
る。
【0031】この第2実施例のシステムでは、コンデン
サ6で凝縮せず微生物処理槽10へ導かれる高硫化水素
含有不凝縮ガス8のガス成分のうち硫化水素と酸素のモ
ル比(酸素/硫化水素)が80以上となるように,空気
ポンプ27により空気28が,または酸素製造装置30
により酸素29が高硫化水素含有不凝縮ガス8に混合さ
れる。
サ6で凝縮せず微生物処理槽10へ導かれる高硫化水素
含有不凝縮ガス8のガス成分のうち硫化水素と酸素のモ
ル比(酸素/硫化水素)が80以上となるように,空気
ポンプ27により空気28が,または酸素製造装置30
により酸素29が高硫化水素含有不凝縮ガス8に混合さ
れる。
【0032】このように、微生物処理槽10に対し空気
または酸素が所定量供給されるので、この第2実施例の
システムでは、前記第1実施例で説明した作用・効果に
加え、高硫化水素含有不凝縮ガス8は,ガス中の硫化水
素が微生物処理槽で完全に酸化され低硫化水素含有不凝
縮ガス11となり大気に放散される。
または酸素が所定量供給されるので、この第2実施例の
システムでは、前記第1実施例で説明した作用・効果に
加え、高硫化水素含有不凝縮ガス8は,ガス中の硫化水
素が微生物処理槽で完全に酸化され低硫化水素含有不凝
縮ガス11となり大気に放散される。
【0033】(実験例)室内実験における硫化水素と酸
素のモル比(酸素/硫化水素)の硫酸転換率(硫酸生成
量/脱硫量)に与える影響を試験した。まず試験装置の
フローを図3に,培養液組成を表1に,ガス組成を表2
に示す。
素のモル比(酸素/硫化水素)の硫酸転換率(硫酸生成
量/脱硫量)に与える影響を試験した。まず試験装置の
フローを図3に,培養液組成を表1に,ガス組成を表2
に示す。
【0034】試験は高温・好酸・硫黄酸化細菌である S
ulfolobus を1×108 cells/ミリリットルの濃度で含
み,温度を70℃に維持された培養液が充填された内容
積1200ミリリットル,高さ130mm 程度のフラスコの下部
から硫化水素濃度,酸素濃度,CO2 濃度を調整した混
合ガスを焼結ガラスフィルターを通じて24リットル/h
の流量で吹き込み,培養液で接触酸化させた後のガス中
硫化水素濃度を測定した。
ulfolobus を1×108 cells/ミリリットルの濃度で含
み,温度を70℃に維持された培養液が充填された内容
積1200ミリリットル,高さ130mm 程度のフラスコの下部
から硫化水素濃度,酸素濃度,CO2 濃度を調整した混
合ガスを焼結ガラスフィルターを通じて24リットル/h
の流量で吹き込み,培養液で接触酸化させた後のガス中
硫化水素濃度を測定した。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】試験結果から脱硫量〔(入口硫化水素濃度
−出口硫化水素濃度)×混合ガス流量×時間〕を求め
た。また培養液中の硫酸濃度をイオンクロマトグラフィ
ーで測定し,硫酸生成量を求めた。脱硫量と硫酸濃度か
ら硫酸転換率を求めた(硫酸転換率=硫酸濃度×培養液
量/脱硫量×100 )。
−出口硫化水素濃度)×混合ガス流量×時間〕を求め
た。また培養液中の硫酸濃度をイオンクロマトグラフィ
ーで測定し,硫酸生成量を求めた。脱硫量と硫酸濃度か
ら硫酸転換率を求めた(硫酸転換率=硫酸濃度×培養液
量/脱硫量×100 )。
【0038】図3に結果を示す。酸素/硫化水素が大き
いほど硫酸転換率が大きくなり酸素/硫化水素が80以
上でほぼ硫酸転換率が100 %となる。これから酸素/硫
化水素を80以上に維持することにより硫酸転換率を10
0 %を維持し、硫黄の析出を防ぐことが可能となること
がわかる。
いほど硫酸転換率が大きくなり酸素/硫化水素が80以
上でほぼ硫酸転換率が100 %となる。これから酸素/硫
化水素を80以上に維持することにより硫酸転換率を10
0 %を維持し、硫黄の析出を防ぐことが可能となること
がわかる。
【0039】以上、本発明を図示した実施例に基づいて
具体的に説明したが、本発明がこれらの実施例に限定さ
れず特許請求の範囲に示す本発明の範囲内で、その具体
的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもな
い。
具体的に説明したが、本発明がこれらの実施例に限定さ
れず特許請求の範囲に示す本発明の範囲内で、その具体
的構造に種々の変更を加えてよいことはいうまでもな
い。
【0040】例えば、上記実施例ではフラッシャ3を出
た地熱水203を培養液タンク19内の熱交換器22−
1と増殖用培養槽20内の熱交換器22−2に送り込ん
でいるが、微生物処理槽10に熱交換器を設けてそこに
地熱水を導くように構成してもよい。
た地熱水203を培養液タンク19内の熱交換器22−
1と増殖用培養槽20内の熱交換器22−2に送り込ん
でいるが、微生物処理槽10に熱交換器を設けてそこに
地熱水を導くように構成してもよい。
【0041】
【発明の効果】本発明による脱硫システムでは、増殖し
た菌体が連続的あるいは間欠的に微生物処理槽に注入さ
れ、かつ菌体分離フィルタムでろ過された菌体が微生物
処理槽に戻されることにより微生物処理槽の菌体量が一
定以上に維持されることにより脱硫率の低下を招くこと
なく2基の微生物処理槽を切り替えて使用しなくとも連
続的に脱硫及び熱水のpH調整が可能となる。
た菌体が連続的あるいは間欠的に微生物処理槽に注入さ
れ、かつ菌体分離フィルタムでろ過された菌体が微生物
処理槽に戻されることにより微生物処理槽の菌体量が一
定以上に維持されることにより脱硫率の低下を招くこと
なく2基の微生物処理槽を切り替えて使用しなくとも連
続的に脱硫及び熱水のpH調整が可能となる。
【0042】また、アルカリ注入装置を備えた逆洗ライ
ンを設けると、フィルタ圧密時には逆洗ラインにアルカ
リを注入することにより圧密した微生物を溶菌させるこ
とによりフィルタの目詰まりを解消できる。またフィル
タに耐酸、耐アルカリ、耐熱性の材質を用いたものとす
れば、フィルタの劣化を軽減できる。また、培養液をプ
ラント内で自給できるようにする事により外部から水を
導入するためのコストが軽減できる。
ンを設けると、フィルタ圧密時には逆洗ラインにアルカ
リを注入することにより圧密した微生物を溶菌させるこ
とによりフィルタの目詰まりを解消できる。またフィル
タに耐酸、耐アルカリ、耐熱性の材質を用いたものとす
れば、フィルタの劣化を軽減できる。また、培養液をプ
ラント内で自給できるようにする事により外部から水を
導入するためのコストが軽減できる。
【0043】ポンプにより地熱水が微生物処理槽等に設
置された熱交換器に導く構成とすれば、そこで地熱水と
熱交換することにより微生物処理槽の温度が一定に保た
れる。また熱水に微生物処理槽で生産された硫酸を、熱
交換を行う前の段階で添加させるようにすれば、熱交換
器に導かれる熱水のpHが下がるため熱交換により熱水
の温度が低下することによって生じるスケールの析出が
防止される。
置された熱交換器に導く構成とすれば、そこで地熱水と
熱交換することにより微生物処理槽の温度が一定に保た
れる。また熱水に微生物処理槽で生産された硫酸を、熱
交換を行う前の段階で添加させるようにすれば、熱交換
器に導かれる熱水のpHが下がるため熱交換により熱水
の温度が低下することによって生じるスケールの析出が
防止される。
【0044】また、微生物処理槽に空気供給用ポンプか
ら空気や,酸素供給装置から酸素が供給されるように構
成したものでは、硫化水素が完全に硫酸に転換され,硫
酸生成速度が向上すると同時に硫黄によるフィルターの
閉塞が抑制される。
ら空気や,酸素供給装置から酸素が供給されるように構
成したものでは、硫化水素が完全に硫酸に転換され,硫
酸生成速度が向上すると同時に硫黄によるフィルターの
閉塞が抑制される。
【図1】本発明の第1実施例に係る地熱発電所バイオ脱
硫システムの機器構成図。
硫システムの機器構成図。
【図2】本発明の第2実施例に係る地熱発電所バイオ脱
硫システムの機器構成図。
硫システムの機器構成図。
【図3】本発明による地熱発電所バイオ脱硫システムの
試験装置のフロー図。
試験装置のフロー図。
【図4】図3に示した試験装置による試験結果を示す図
表。
表。
【図5】従来の地熱発電所バイオ脱硫システムの機器構
成図。
成図。
1 生産井
3 フラッシャ
4 蒸気
5 蒸気タービン
6 コンデンサ
7 還元井
8 高硫化水素含有不凝縮ガス
9 培養液
10 微生物処理槽
11 低硫化水素含有不凝縮ガス
12 酸性化した培養液
13 菌体分離フィルタ
14 酸性水
15 微生物
16 アルカリ注入ライン
17 アルカリ液タンク
18−1,18−2 新しい培養液
19 培養液タンク
20 増殖用培養槽
21 増殖した菌体
22−1,22−2 熱交換器
23 ポンプ
24 凝縮水
25,26 ライン
27 空気ポンプ
28 空気
29 酸素
30 酸素製造装置
31 酸素供給ポンプ
201〜204 熱水
901〜909 バルブ
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(56)参考文献 特開 平4−371214(JP,A)
特開 平2−198612(JP,A)
特開 平5−23541(JP,A)
Claims (9)
- 【請求項1】 高温・好酸硫黄酸化微生物を用いた微生
物処理槽と、同微生物処理槽とは独立の増殖用培養槽を
持ち、前記微生物処理槽で硫化水素を脱硫し生成した硫
酸を含む酸性水を還元井に注入して同還元井の閉塞を防
止するように構成した地熱発電所バイオ脱硫システムに
おいて、前記微生物処理槽に菌体分離フィルタを設置
し、同菌体分離フィルタを通して前記微生物処理槽内の
酸性化した培養液から酸性水と微生物を抜き出し、その
微生物を前記微生物処理槽に戻す構成を有することを特
徴とする地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項2】 前記菌体分離フィルタとしてセラミック
及びポリスルフォン系の材料のいづれか一方を用いた請
求項1記載の地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項3】 前記菌体分離フィルタにアルカリ注入装
置を備えた逆洗ラインを設けた請求項1記載の地熱発電
所バイオ脱硫システム。 - 【請求項4】 地熱発電プラントから排出される熱水
を、前記微生物処理槽の温度を一定に保つ熱源として用
いる請求項1記載の地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項5】 前記熱源として用いる前の熱水に前記微
生物処理槽で生成した酸性水を添加する請求項4記載の
地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項6】 地熱発電プラントから排出される凝縮水
を微生物培養のための水源として用いるよう構成した請
求項1記載の地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項7】 前記微生物処理槽に空気を供給するため
のエアーポンプを有する請求項1〜6のいづれか1つに
記載の地熱発電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項8】 前記微生物処理槽に酸素を供給するため
の酸素製造装置及び酸素供給ポンプからなる酸素供給装
置を有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の地熱発
電所バイオ脱硫システム。 - 【請求項9】 前記微生物処理槽に送られるガス成分の
内,硫化水素と酸素のモル比(酸素/硫化水素)が80
以上となるよう酸素を供給する請求項7または8記載の
地熱発電所バイオ脱硫システム。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP31647194A JP3486245B2 (ja) | 1994-08-24 | 1994-12-20 | 地熱発電所バイオ脱硫システム |
NZ272544A NZ272544A (en) | 1994-08-24 | 1995-07-11 | Removal of sulphur from hydrogen sulphide-containing gas at geothermal power plants using a cell breeding culture tank independent of the biochemical treatment tank |
US08/503,642 US5661027A (en) | 1994-08-24 | 1995-07-18 | Geothermal power plant desulfurization method |
IT95MI001634A IT1277360B1 (it) | 1994-08-24 | 1995-07-26 | Procedimento e sistema di desolforazione per centrale geotermoelettrica |
US08/683,420 US5693529A (en) | 1994-08-24 | 1996-07-18 | Geothermal power plant desulfurization system |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6-199473 | 1994-08-24 | ||
JP19947394 | 1994-08-24 | ||
JP31647194A JP3486245B2 (ja) | 1994-08-24 | 1994-12-20 | 地熱発電所バイオ脱硫システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08112514A JPH08112514A (ja) | 1996-05-07 |
JP3486245B2 true JP3486245B2 (ja) | 2004-01-13 |
Family
ID=26511556
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP31647194A Expired - Fee Related JP3486245B2 (ja) | 1994-08-24 | 1994-12-20 | 地熱発電所バイオ脱硫システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3486245B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010024443A (ja) * | 2009-06-12 | 2010-02-04 | Kobelco Eco-Solutions Co Ltd | 消化ガスの脱硫方法及び装置 |
-
1994
- 1994-12-20 JP JP31647194A patent/JP3486245B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08112514A (ja) | 1996-05-07 |
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