JP3485282B2 - 透磁率温度計測装置 - Google Patents

透磁率温度計測装置

Info

Publication number
JP3485282B2
JP3485282B2 JP13955295A JP13955295A JP3485282B2 JP 3485282 B2 JP3485282 B2 JP 3485282B2 JP 13955295 A JP13955295 A JP 13955295A JP 13955295 A JP13955295 A JP 13955295A JP 3485282 B2 JP3485282 B2 JP 3485282B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
frequency
circuit
magnetic
coil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP13955295A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH08334419A (ja
Inventor
冨士夫 松井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Subaru Corp
Original Assignee
Fuji Jukogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Jukogyo KK filed Critical Fuji Jukogyo KK
Priority to JP13955295A priority Critical patent/JP3485282B2/ja
Publication of JPH08334419A publication Critical patent/JPH08334419A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3485282B2 publication Critical patent/JP3485282B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • General Induction Heating (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、温度計測装置に係り、
特に、高温下における温度計測において、磁性体金属部
材の透磁率を利用した透磁率温度計測装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、自動車の排気ガスを始めとした比
較的高温の流体等の温度検出を行う技術としては、例え
ば、温度に対する物性の抵抗変化を検出するようにした
サーミスタ方式や、CA(クロメル−アルメル)、IC
(鉄−コンスタンタン)等のように異なる金属を接合さ
せてなる熱電対に生ずる、いわゆる温度熱起電圧を計測
する方法等が良く知られている(例えば、特開平3−1
0131号公報、特開平3−215722号公報等)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
サーミスタ方式の場合、測温可能な温度は数百℃程度ま
でであり、1000℃付近の測温要求に応えることはで
きない。それに対して、後者の熱起電圧方式の場合、1
000℃付近まで計測可能であるが、熱起電圧を計測す
るには零接点を設けなければならず構成の簡素化を阻む
要因となる。さらに、この方式では、起電圧、インピー
ダンスが小さいため、特殊な増幅器や雑音等を除去する
ためのフィルタ回路を必要とする上に、これら回路の微
調が必要となり、装置が高価なものとなる傾向にある。 【0004】さらに、排気ガスの温度を測定するような
場合には、高温で比較的高流速に直接、曝されることと
なるので、耐久性を向上させるためにセンサー部を気流
に直接曝さないように金属のケースで保護しなければな
らない。このため、熱伝導の遅れを生じ、応答速度の低
下を招くこととなる。ところが、応答性と耐久性は二律
背反の関係にあり、コストを含め両立させることが困難
であった。現在の技術では、数百℃〜1000℃付近の
温度計測において高応答性を有し、耐久性があり且つ経
済的な温度計測技術がなく、このような特性を備えた計
測装置が望まれている。 【0005】本発明は、上記実情に鑑みなされたもので
あり、その目的は数百℃〜1000℃付近の温度計測に
おいて高応答性を有し、耐久性があり且つ安価な温度計
測装置を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明に係
る透磁率温度計測装置は、被温度計測部位に配置された
磁性体である金属触媒と、前記金属触媒の入口部及び出
口部にそれぞれ巻回されて直列に接続された入口側コイ
ル及び出口側コイルとコンデンサとからなる直列共振回
路と、前記直列共振回路の電源となる交流電圧を発生す
る可変周波数信号発生手段と、前記可変周波数信号発生
手段から発生する交流電圧の周波数を、通常時には前記
直列共振回路における電流と電圧との位相差が零となる
合成共振周波数に制御し、前記金属触媒の異常判定時に
は前記合成共振周波数を中心に増減させるように制御す
る周波数制御手段と、前記通常時に、前記合成共振周波
数に基づいて前記被温度計測部位の温度を算出する温度
算出手段と、前記金属触媒の異常判定時に、前記直列共
振回路に流れる電流値に基づいて前記入口側コイルの共
振周波数と前記出口側コイルの共振周波数とを各別に検
出する個別共振周波数検出手段、及び該個別共振周波数
検出手段の検出結果に基づいて内燃機関の失火の有無並
びに前記金属触媒の劣化を判断する運転状況判断手段
と、を具備してなるものである。 【0007】 【作用】請求項1に係る透磁率温度計測装置によれば、
通常時には、直列共振回路における合成共振周波数に基
づいて、それぞれのコイルにより形成された空間を流れ
る触媒の体積における温度計測が可能となり、点におけ
る温度計測に比してより精度の高い温度計測が可能とな
る。また、金属触媒の入口部と出口部との温度差は、内
燃機関の失火や金属触媒の劣化に影響されるため、金属
触媒の異常判定時には、直列共振回路の個々のコイルの
共振周波数を検出することで、その検出結果に基づいて
内燃機関の失火や金属触媒の劣化を判断することが可能
となる。 【0008】 【実施例】以下、本発明に係る透磁率温度計測装置の
理及び実施例について、図1乃至図19を参照しつつ説
明する。 【0009】先ず、本発明に係る透磁率温度計測装置の
原理について、図1を参照しつつ説明すれば、本装置
は、磁性材により環状に形成された鉄心3に巻回されて
なる巻線コイル2と、この巻線コイル2に直列接続され
た結合コンデンサ1とが、直流電源5の直流電圧を交流
電圧に変換するインバータ装置4の出力端子間に接続さ
れてなると共に、後述する周波数制御回路(図2参照)
及びその具体的構成例を示す回路(図4参照)とを具備
してなるものである。 【0010】かかる構成において、インバータ装置4に
より角周波数がωの交流電圧eが、巻線コイル2及び結
合コンデンサ1の直列回路に供給されると、電流iが流
れることとなる。このとき巻線コイル2により発生する
磁束6は、鉄心3の構造により決定される磁気回路を構
成する。すなわち、図1においては、鉄心3が環状の閉
磁路を構成しているので、磁束6もこの鉄心3の形状と
同様に、鉄心3内において閉じた状態となっている。 【0011】ここで、巻線コイル2と結合コンデンサ1
とにより構成された直列回路の交流インピーダンスZ
は、巻線コイル2が有するインダクタンスをLとし、結
合コンデンサ1のキャパシタンスをCとすると、Z=r
+jωL+1/jωCと表される。また、インバータ装
置4から見た交流電力は、インバータ装置4の出力端子
における電圧(巻線コイル2と結合コンデンサ1の直列
回路部分に印加される電圧)をe、巻線コイル2と結合
コンデンサ1の直列回路部分に流入する電流をiとすれ
ば、P=e・i=e /Zと表される。 【0012】一方、効率的な磁気結合を得るためには実
効電力を最大にする必要があり、具体的には回路を共振
させることにより実現される。上記交流インピーダンス
は、Z=r+j(ωL−1/ωC)であり、共振させる
ためには位相項すなわち虚数部分の(ωL−1/ωC)
が零となる必要がある。したがって、ω=1/LCの
関係を満足しなければならない。ここで、ωを角共振周
波数と言う。一方、インダクタンスLは磁気回路により
決定されるものであり、巻線コイル2のインダクタンス
Lは等価的にL=k・μ・μ・N・S/lと表さ
れる。ここで、kは比例定数、μは真空透磁率、μ
は鉄心3の比透磁率、Nはコイル巻数、Sは鉄心3の径
方向における断面積、lはコイル長である。 【0013】磁気回路を形成する鉄心3は、比透磁率が
出来るだけ大きい磁性材料を用いると好適である。一般
に、比透磁率は温度の関数となっており、磁性体の温度
が上昇するに伴いキューリ点でほぼ真空透磁率に等しく
なる。したがって、巻線コイル2が巻かれた鉄心3の温
度が変化すると透磁率も変化し、等価的に巻線コイル2
のインダクタンスが変化するため、巻線コイル2と結合
コンデンサ1の直列回路の共振周波数が変わることとな
る。 【0014】結果として、温度変化に連動して共振周波
数点が動く特性が得られ、共振周波数を計測することに
より鉄心3の温度が計測可能になるものである。すなわ
ち、鉄心3の一部、又は全体が測温環境中にある場合、
共振周波数になるように同調させる回路から共振周波数
を検出することにより、温度を間接的に測定することが
可能となる。 【0015】図2に共振周波数制御回路の一例を示す。
図2においては、図1に示された原理図と異なり、巻線
コイル2を共通として、結合コンデンサ15,20によ
り、コイルとコンデンサとの直列共振回路が2つ形成さ
れた構成となっている。 【0016】すなわち、図2に示すインバータ装置4
は、駆動回路13と、2つのnチャンネルMOS型FE
T16,17と、DC−DCコンバータ12とを主たる
構成要素としてなり、その出力段においては、駆動トラ
ンジスタとしての2つのnチャンネルMOS型FET1
6,17が、一方のMOS型FET16のソースと他方
のMOS型FET17のドレインと互いに接続されて、
直流電源間に直列接続された構成となっている。 【0017】そして、一方のMOS型FET16のドレ
イン・ソース間に結合コンデンサ15と巻線コイル2と
の直列回路が形成され、他方のMOS型FET17のド
レイン・ソース間に結合コンデンサ20と巻線コイル2
との直列回路が形成されるようになっている。2つのM
OS型FET16,17は、インバータ装置4を構成す
る駆動回路13により交互に導通、非導通を繰り返すよ
うに制御されるようになっている。尚、DC−DCコン
バータ12は、外部から印加される直流電圧を駆動回路
13に適した直流電圧へ昇圧するためのものである。 【0018】2つのMOS型FET16,17の交互の
スイッチング動作により、結合コンデンサ15と巻線コ
イル2との直列回路と、結合コンデンサ20と巻線コイ
ル2との直列回路には、それぞれ矩形電流が交互に流れ
ることとなるが、この場合、それぞれの直流回路におけ
る電圧と電流との関係は図3(a)に示されたように、
電圧と電流との間には位相が生じることとなる。 【0019】例えば、インバータ装置4により直流電圧
(図3(a)参照)を、100%デューティで半周期毎
に巻線コイル2に正逆方向に電圧切り換えるようにして
印加すると、巻線コイル2と結合コンデンサ15との直
列回路又は巻線コイル2と結合コンデンサ20との直列
回路に印加される電圧eは、e=e・Sin(ω
t)、電流iはi=(e/(r+ω(L−1/
C)1/2)・Sin(ωt+θ)となり、電圧に
対する電流の位相θはθ=(ωL−1/ωC)と表せる
(図3(a)参照)。 【0020】したがって、電圧eに対する電流iの位相
が常にゼロになるように制御すると共に、温度変化によ
る位相θを検出することで温度を知ることができること
となる。図3(b)には共振周波数と温度との関係の一
例が示されているが、温度が上昇するに伴い共振周波数
も高い方へずれてゆくことが解る。 【0021】図2に示す共振周波数制御回路は、ゼロク
ロス検出回路6と、Ex−OR(Exclusive-OR) 回路
7と、ローパスフィルタ8と、可変周波数信号発生手段
としてのVCO(Voltage-Controlled Oscillator )1
0と、J−Kフリップフロップ11とを有してなるもの
で、いわゆるPLL回路が構成されているものである。 【0022】かかる構成において、VCO10の出力信
号は、J−Kフリプフロップ11により180度位相が
異なる矩形波出力に変換されて、上記インバータ装置4
の2つのMOS型FET16,17は互いに逆動作でス
イッチングされるようになっている。尚、図2では、
ロクロス検出回路6と、Ex−OR回路7と、ローパス
フィルタ8と、J−Kフリップフロップ11とで周波数
制御手段が実現されている。 【0023】今、巻線コイル2にバイアスされる電圧の
位相の基準を、J−Kフリップフロップ11の一方の出
力信号であるA相信号とすると、巻線コイル2に流れる
電流は、電圧に対してインダクタンスとキャパシタンス
の大きさから定まる位相φだけずれることとなる。巻線
コイル2に流れる電流は、CT(Current Transformer
)19により電圧変化として検出され、検出信号はゼ
ロクロス検出回路6に入力されて巻線コイル2に流れる
電流が負電流から正、又は逆に変化するタイミングが検
出されるようになっている。そして、電流が正である場
合には、論理値「High」の出力信号が、電流が負で
ある場合には、論理値「Low」の出力信号が出力され
るようになっている。 【0024】このゼロクロス検出回路6の検出信号は、
次段のEx−OR回路7へ、J−Kフリップフロップ1
1の一方の出力信号(A相信号)と共に入力され、電圧
と電流の位相差に対応した矩形波出力信号がEx−OR
回路7から出力されるようになっている。このEx−O
R回路7の出力信号は、ローパスフィルタ8に入力され
ることにより、略直流電圧に変換されて、VCO10に
入力される。 【0025】そして、VCO10は入力電圧の大きさに
比例した発振周波数で発振を行うこととなる。すなわ
ち、VCO10においては、入力電圧が高くなると発振
周波数が高くなり、入力電圧が低くなると発振周波数は
低くなる。先に述べたように、共振回路の位相θは、θ
=ωL−1/ωCとなるが、位相差がゼロになるように
予め設定すれば、最終的にはω=(1/LC)1/2
周波数は安定し、位相が零にロックされるPLL回路が
構成されることとなる。 【0026】図4にはPLL方式による共振周波数制御
回路のより具体的回路例が、図5には主要部における信
号のタイミング図が、それぞれ示されており、以下、同
図を参照しつつこの回路例について説明する。この共振
周波数制御回路は、インバータ装置4の駆動回路13へ
入力されるA相及びB相信号と称するいわゆるタイミン
グ信号(図5参照)を発生するタイミング発生部110
と、タイミング発生部110から得られた位相に関する
情報を基に、温度を算定する計測制御部111と、に大
別されてなるものである。 【0027】タイミング発生部110は、コンパレータ
40と、Ex−OR回路41と、ローパスフィルタ42
と、VCO43と、2つのJ−Kフリップフロップ4
5,48と、2つのAND回路49,50と、遅延回路
52とシュミット遅延回路54とを主たる構成要素とし
てなるものである。図4に示された回路構成はPLL方
式における基本的な部分を示すものであり、実際にはV
CO回路と位相比較がIC化された論理素子としてのP
LL用ICチップを使用している。 【0028】Ex−OR回路41は、コンパレータ40
からの信号と、後述するようにしてシュミット遅延回路
54から出力される信号との位相比較を行う機能を果た
すもので、VCO43はこの位相結果に応じた発振周波
数で発振するようになっている。VCO43の可変周波
数範囲は、外付けされた可変抵抗53と、同じく外付け
されたコンデンサ44とから定まる時定数により決定さ
れるものである。 【0029】このVCO43の出力信号Aは、J−Kフ
リップフロップ45の負論理クロック端子に入力され
て、互いに逆位相の出力信号C1、C2(図4において
J−Kフリップフロップ45のQ出力及びQの反転出
力)が得られる(図5参照)。このJ−Kフリップフロ
ップ45の出力信号C1,C2により、インバータ装置
4の駆動回路13を直接駆動すると、信号の立ち上が
り、立ち下がりのタイミングにおいて、MOS型FET
16,17(図2参照)が短絡する虞がある。 【0030】このため、図4に示すタイミング発生部1
10においては、J−Kフリップフロップ48により、
デッドタイムδを発生させるようにしている。すなわ
ち、VCO43の出力信号A(図5参照)の立ち下がり
を基準に、遅延回路52でデッドタイムδを発生させ、
J−Kフリップフロップ48のクロック信号BとしてJ
−Kフリップフロップ48の負論理クロック端子に入力
させることにより実現されている。尚、J−Kフリップ
フロップ48の出力信号は、図5においてD1,D2と
表記されて示されている。 【0031】立ち上がり、立ち下がりの両サイドのデッ
ドタイムは、J−Kフリップフロップ45の出力信号C
1,C2と、J−Kフリップフロップ48の出力信号D
1,D2を同相毎にAND回路49、50により論理処
理することにより、A相信号(図5においてEと表記)
及びB相信号(図5においてFと表記)が得られ、次段
のインバータ装置4の駆動回路13(図2参照)に入力
されることとなる。 【0032】そして、インバータ装置4においては、こ
のA相及びB相信号を基にスイッチング動作が行われる
結果、巻線コイル2にはVCO43における出力周波数
の2分の1の周波数の単相交流電流が発生することとな
る。この単相交流電流は、CT19により交流電圧に変
換されるが、バイアス電圧との位相を検出しやすくする
ために、コンパレータ40で接地電位と比較することに
より、矩形波信号(図5においてHと表記)に変換され
る。 【0033】ここで単相交流電流を矩形波信号(図5に
おいてHと表記)に変換した理由は、図4のC1、C2
で示される矩形波信号により発生するバイアス電圧(コ
イル電圧)と比較するためであり、後述するように矩形
波どおしでEX−OR回路41で位相が比較されること
となる。 【0034】バイアス電圧の基準信号は、J−Kフリッ
プフロップ45の一方の出力信号Q(図5においてC1
と表記)より得られるものである。VCO43の入力電
圧が変化してもゲインが確保できるように、予め、バイ
アス電圧の位相を所定の値だけシュミット遅延回路54
で遅らせて基準バイアス電圧(図5においてGと表記)
を得るようにしてある。このシュミット遅延回路54に
より得られた基準バイアス電圧とコンパレータ40の出
力電圧とがEx−OR回路41に入力されることによっ
て、排他的論理和としての位相差信号(図5においてI
と表記)が得られることとなる。 【0035】Ex−OR回路41から出力された位相信
号は、抵抗とコンデンサで構成されたローパスフィルタ
42で積分され、略直流電圧が得られることとなる。そ
して、この積分回路42の出力電圧がVCO43に入力
されることで、その大きさに応じて発振周波数が決まる
こととなる。 【0036】ところで、巻線コイル2が巻回された鉄心
3による磁気回路の温度が上昇すると、磁性体の比透磁
率の低下により巻線コイル2の等価インダクタンスLが
小さくなる。Lが小さくなると、予め常温状態で共振周
波数になるように各部品の定数が設定された上述した回
路において、位相遅れが発生しローパス回路42の出力
電圧が高くなると共に、VCO43の発振周波数が高く
なる。 【0037】発振周波数が増加すると、位相差が減少
し、発振周波数は低くなる。このように位相差によるフ
ィードバックを繰り返すことにより、最終的にそのとき
の磁性体の温度で決定されるインダクタンスLと結合コ
ンデンサ15,20が有する固定キャパシタンスCの大
きさから定まる共振周波数 (1/LC)で安定するこ
となる。したがって、位相の変化は周波数の変化として
検出可能となり、位相の変化が温度の変化に対応するこ
とから、周波数を計測することにより温度を計測するこ
とが可能になる。 【0038】磁気回路部又は巻線コイル2全体を計測対
象としての気体或いは、流体、又は固体中に設置するこ
とにより、磁気回路は周囲の熱伝導を受け、間接的に温
度計測が可能となる。図4においては、J−Kフリップ
フロップ45の出力信号Qを計測制御部111により計
測することで温度が解るようになっている。 【0039】すなわち、図4に示す計測制御部111
は、ワンチップマイクロコンピュータ55を用いてなる
もので、このワンチップマイクロコンピュータ55は、
カウンタ60、タイマー61、A/D変換器59、RO
M58、RAM57、CPU56、このCPU56を中
心にして各構成要素が相互にデータをやり取りするため
の双方向データバス62及び各構成要素を選択するため
のアドレスバス63を有してなり、これら各構成要素が
1つのLSIチップ上に配設されたものである。 【0040】かかる構成において、J−Kフリップフロ
ップ45の出力信号の繰り返し周波数は、VCO43の
発振周波数に対応するものである。したがって、ワンチ
ップマイクロコンピュータ55において、入力されたJ
−Kフリップフロップ45の出力信号の繰り返し周波数
を計数することにより、VCO43の発振周波数を求め
ることが可能となる。さらに、予めVCO43の発振周
波数と磁気回路の温度との関係を調べ、テーブルにした
ものをROM58に記憶しておくことにより、上述のよ
うにしてVCO43の発振周波数が計数された後、RO
M58のテーブルを参照することで、磁気回路により検
出された温度が求められることとなる。 【0041】このように図4に示す計測制御部111
おいては、計測周波数がデジタル量のため、周波数の周
期、或いは、所定時間当たりの周波数をカウントするこ
とにより、テジタル値で直接温度計測が可能となるもの
である。すなわち、ワンチップマイクロコンピュータ5
5により温度演算手段が実現されるようになっている。 【0042】ところで、磁気回路の形状は、いわゆる閉
磁路タイプと開磁路タイプとに大別することができ、図
6及び図7にはこれら2つのタイプの基本的構成が示さ
れている。先ず、図6にはいわゆる閉磁路タイプの構成
例が示されており、この閉磁路タイプは、環状に形成さ
れた鉄心73の外周面に、巻線コイル71が巻回されて
なり、鉄心73の内部に閉磁路が形成されるようになっ
ているものである。 【0043】この閉磁路タイプにおいては、鉄心73の
内部を通る主磁束72に対し、漏洩磁束74、75を小
さく出来るため、効率的にインダクタンスを作ることが
出来るので、巻線コイル71の巻数、電流を少なくする
ことができ、設計の自由度が向上するという利点がある
一方、環状の鉄心73を使用していることに起因して温
度検出の為の設置の際に設置場所等において制限がある
という欠点がある。 【0044】一方、図7にはいわゆる開磁路タイプの構
成例が示されており、この開磁路タイプは、柱状に形成
された鉄心80の外周面に、巻線コイル77が巻回され
てなり、鉄心80の内部に生じた磁束79は、鉄心80
内をその長手軸方向に通りさらに外部へ出るようになっ
ているものである。この開磁路タイプでは、漏洩磁束7
8が大きくなるため、必然的に巻線コイル77の巻数、
電流を大きく設定する必要があり、温度検出するセンサ
としての物理的大きさが大きくなるが、設置の自由度は
上述した閉磁路タイプに比して格段に向上するものであ
る。 【0045】図8には、閉磁路タイプにおける設置例が
示されており、以下、同図を参照しつつこの設置例につ
いて説明する。この設置例は、パイプ84を流れる高温
気流中に、閉磁路を形成する鉄心82を、その一部がパ
イプ84内に臨むように設置したものである。鉄心82
がパイプ84を出入りする部分は、パイプ84内の気体
がリークしないようにシール83により密閉されてい
る。また、巻線コイル81は、パイプ84の外部に位置
する鉄心82の外周面に巻回されている。 【0046】かかる構成において、巻線コイル81によ
り発生した磁束は、鉄心82内部の磁路を通り帰還する
が、温度が高くなると比透磁率が減少するため、磁束の
一部は温度の高い部分をバイパスして通ることとなり、
等価的に比透磁率は低下する。また、磁気回路が小さい
と温度に対する共振周波数は比例関係にあるが、長いと
非線形になる傾向にある。 【0047】パイプ84を形成する金属の熱伝導のた
め、パイプ84内部に位置する鉄心82のセンシング部
以外の部分も温度が上昇するため、温度に対する磁気的
特性は非線形になるが、非線形特性は予め設置場所で実
気体温度と共振周波数の関係を計測しておき、ワンチッ
プマイクロコンピュータに内蔵するROMに温度と周波
数のマップデータとして予め記憶しておけば、計測した
周波数に対応した温度を、マップを参照することで求め
ることにより測温が可能となる。尚、図7の開磁路では
より顕著な非線形特性になるが、鉄心80の長さを短く
することによっても特性の改善が出来る。 【0048】次に、コイルが巻回される磁性体に温度分
布があり且つ比透磁率が不均一の場合の例について説明
する。図9に示すように温度分布を持つ等価磁気回路を
形成する各要素85,86,87の温度を、それぞれθ
1,θ2,θ3とし、また、比透磁率をそれぞれμ1,
μ2,μ3とし、各要素85,86,87の断面積を
S、長さをl1,l2,l3とすれば、全磁気抵抗はR
=(l1/μ1+l2/μ2+l3/μ3)/Sと表さ
れる。 【0049】ここで、各要素85,86,87の長さが
同一(l1=l2=l3)であるとすると、全体の比透
磁率は、等価的にμ=3/(1/μ1+1/μ2+1/
μ3)となる。また、磁性体の一部を流体中に設置させ
る構造では、各点の温度分布が異なり、等価透磁率はμ
=3/(l1/μ1+l2/μ2+l3/μ3)とな
る。例えば、コイルや磁性体が気体、液体中に設置され
ると、気体や液体の流れに対して抵抗になる場合には、
コイルと磁性体部、或いは、コイルと磁性体金属部とを
分離して設置しなければならない。 【0050】図10にはコイルと磁性体金属部とを分離
して設置した例が示されている。すなわち、図10で
は、パイプ90中を流れる気体や液体等の流体の流れに
対して抵抗とならない程度の磁性体金属95がプラスチ
ックやセラミックのような非磁性体94を介して、流体
中に位置するように取り付けられている。パイプ90内
における磁性体金属95は、その長手軸方向がパイプ9
0内の流体の流れに沿うように(図10参照)配置され
ている。尚、この磁性体金属95は、非磁性体の計測側
面に磁性体金属をはりあわせた構造としてもよい。 【0051】そして、パイプ90の外部においては、両
端部が非磁性体94を介して磁性体金属95の両端部に
臨むように配置された鉄心91に、巻線コイル92が巻
回されている。かかる構成において、鉄心91内で生じ
た磁束(図10の点線)は、非磁性体94を透過し、磁
性体金属95内をその長手軸方向(図10において紙面
左右方向)に通過することにより、閉磁路が形成される
ようになっている。 【0052】さらに、流体の流れに対する抵抗が懸念さ
れる場合や、磁路の一部を非磁性体に置き換えられない
場合には図11に示すように、パイプ97の外周面に巻
線コイル96を直接巻回し、パイプ97の温度を計測す
るようにしてもよい。 【0053】次に、測定対象からの熱を受け、間接的な
温度を計測する例について説明する。このような場合、
コイルに流す電流は温度上昇を伴わない程度の電流に設
定する必要があるが、その一方でコイルに流す電流を大
きくすると、磁気回路の一部を加熱することが可能にな
り、加熱することと同時に加熱温度を計測することが可
能になる。 【0054】例えば、図12に示すように誘導加熱によ
りボイルする調理器において、セラミック等の非磁性体
且つ絶縁性のある部材からなる基台103の内部には、
コイル102が設けられており、このコイル102に電
流を流すと磁性体で構成された容器100(例えば、
鍋、釜、ボイラ等)は、誘導電流により加熱され、その
内部の水、食品等の内容物101をボイルしたり焼いた
りすることができるようになっている。 【0055】この場合、金属の比透磁率は温度の関数に
なるため、加熱物の温度を独立した温度検出用の温度セ
ンサ等で直接温度を検出することなく加熱物の温度と加
熱を同時に計測、加熱制御できる。例えば、加熱により
温水を作るような場合、コイル102に電流を必要以上
の時間に渡って流し続けたり、電源を切るのを忘れたり
すると、水が沸騰、蒸発し容器100が異常加熱状態と
なる虞がある。 【0056】ここで、一定の電力を上述のような容器等
に供給した場合の容器の温度変化は、図13において実
線で示されたような温度特性となる。もし、水が沸騰
し、無くなると容器100の温度は沸騰中(図13にお
いて点イの箇所)より高くなり始める。そこで、所定の
値(図13において点ロの箇所)を越えた際、コイル1
02への通電が遮断されるように構成することにより、
火災事故等の事故を防止することができる。尚、加熱時
間に対する容器100の比透磁率の変化が図13におい
て、二点鎖線により示されている。 【0057】また、容器100に水が無いときも同等の
機能、すなわちコイル102への通電が自動的に遮断さ
れる機能が設けられている。一方、容器100が基台1
03上に載置されていない場合には、基台103の上方
の部位の比透磁率は、真空透磁率と同等になり、これに
より同じく異常加熱と判断され、コイル102への通電
が遮断されるようになっている。尚、加熱温度を算定し
たり、異常加熱を判断するのは図4で示されたワンチッ
プマイクロコンピュータ55により行われるようになっ
ている。すなわち、この場合には、ワンチップマイクロ
コンピュータ55により加熱温度算定手段、異常加熱判
断手段が実現されている。さらに、通電停止の制御信号
もワンチップマイクロコンピュータ55のI/O端子か
ら出力するようにすることで、通電停止手段がワンチッ
プマイクロコンピュータ55により実現されることとな
る。 【0058】ところで、一般にコイルの共振周波数を高
くすると、図14に示されたように磁性体金属に誘導さ
れる電流は、表皮効果により磁性体金属の表面を流れる
ようになる。この場合の電流の浸透深さσは、共振周波
数(Hz)をf、比透磁率をμ、固有抵抗(μΩ・c
m)をρとすると、σ=k×(ρ/μ・f)1/2(c
m)と表せる。尚、kは比例係数である。 【0059】浸透深さは、コイルに流す交流電流の周波
数の大きさに反比例して小さくなる。したがって、周波
数を高くすることにより表面付近の透磁率が測定できる
ことになり、測定中の熱の影響を最も敏感に受ける表面
に集中して温度計測が可能になる。また、等価的に金属
の熱容量を低減させることができ、熱伝導の遅れが低減
できるため、温度センシングの応答性が向上できる。 【0060】例えば、計測対象が比透磁率が高い金属触
媒のような場合には、コイルを計測対象が流通する通路
の外周に巻くことにより、温度のセンシングが可能にな
る。図15には、金属触媒を直接磁気回路の一部として
用いた場合の一例が示されており、以下、同図を参照し
つつその構成について説明する。金属触媒135のキャ
ニングのための中空円筒ケース134の長手軸方向(図
15において紙面左右方向)の一部が、セラミック13
1で置き換えられており、このセラミック131の外周
にはコイル133が巻回されている。 【0061】さらに、コイル133の外周は、珪素鋼板
132で磁気シールドされており、この珪素鋼板132
は閉磁路の一部を形成している。そして、コイル133
に所定の共振周波数の電流が流されると、磁束は珪素鋼
板132及び金属触媒135の一部を通り(図15の金
属触媒135の部分において実線で示された部分参
照)、閉磁路が形成されることとなる。 【0062】かかる構成において、排気ガスが触媒中を
流れると、金属触媒135の温度が上昇する。この温度
上昇により金属の比透磁率が変化し、それに伴いインダ
クタンスLが変化する。したがって、これまで説明した
と同様に、磁気回路を計測対象に置き換えることにより
金属触媒の温度、又は排気ガス温度が非接触状態で計測
可能となる。 【0063】尚、触媒がセラミックスのように透磁率が
低い場合でも、セラミックスの表面に非常に薄くコーテ
ィングされた排気ガスの反応を促進する金属触媒の比透
磁率を検出することにより、同等な構造で温度検出が可
能である。 【0064】次に、2つのコイルを用いた場合の実施例
について説明する。図16に示すように金属触媒141
の入口付近と出口付近には、それぞれコイル148、1
49が対称に配置されており、2つのコイル148,1
49は互いに直列接続された構造となっている。コイル
149とコイル148の各計測範囲は、コイル148,
149が巻回されたパイプ142の長手軸方向(図16
において紙面上下方向)において、それぞれLa,Lb
であり、径方向の断面積S12、S13となる。尚、上
述のコイル148,149及びパイプ142全体は、円
筒部材145の内部に配置されている。 【0065】かかる構成において、コイル149のイン
ダクタンスL12は、L12=K・S12・μ12/L
a、コイル148のインダクタンスL13は、L13=
K・S13・μ13/Lbとなる。尚、ここでKは比例
定数である。そして、直列に接続したコイルの全インダ
クタンスLは、L=L12+L13となる。触媒中にお
ける各コイル148,149が占める体積は同じである
ため、インダクタンスはL=K・(μ12+μ13)と
表すことができる。 【0066】もし、触媒の入口側の温度と出口側の温度
との間に差がある場合、それぞれの場所における透磁率
に差が発生することとなる。仮に、この場合における入
口側の透磁率をμとし、入口側の透磁率と出口側の透磁
率との差をΔμとすると、先の全インダクタンスは、L
=K0・(2μ−Δμ)と表されることとなる。ここ
で、K0は比例定数である。しかして、共振周波数の変
化Δfは、Δf=K1(1/(2μ−Δμ)−1/2
μ)=K1・Δμ/4μ(μ−Δμ/2)となる。した
がって、結合コンデンサの容量は、独立に共振させると
きの1/2に削減できることとなる。 【0067】コイル148,149を流れる電流により
発生する磁束は、排気ガスの流れに直交する面を透過す
るため、透過した面積と長手軸方向(図16において
面上下方向)の長さから定まる体積分の平均値として比
透磁率μは決まる。したがって、線上や点としての温度
計測ではなく、体積として温度評価が可能になるため、
誤差を集積でき、変動の小さい、精度のよい温度計測が
可能となる。また、従来から行われているようにして温
度センサにより排気ガス温度を計測すると、排気ガスの
流れを遮断し、入口温度は計測できるが出口温度は排気
ガスの流れを遮断することとなり、このため正確な温度
計測が出来なくなるばかりか、触媒との反応を阻害する
ため、反応後の温度差計測が出来ない虞がある。 【0068】また、従来の測定装置においては、温度セ
ンサを取り付けるために触媒の加工が必要であり、セン
サを取り出す端子も2本必要となり、コストの上昇、耐
久性の低下を招く傾向にある。本方式では触媒を流れる
排気ガスの流れを妨げず、体積中の温度の積算値として
温度計測が可能になり、温度計測精度を向上させること
が可能である。同時に直列にセンシングコイルを接続す
ることにより、結合コンデンサを1/2に低減できるば
かりでなく、2つの共振回路を1台の計測装置で駆動す
ることで済み、且つセンサ信号取り出し口が一ケ所でよ
い。 【0069】上述のように触媒の入口、出口の両方で排
気ガス温度を計測できる透磁率方式温度計測システムに
おいて、触媒が反応している場合には図17に示された
ような共振周波数の変化が観測される。すなわち、計測
中に失火が発生した場合には、スパイク状の共振周波数
の変化が現れる(図17の点ハ参照)。 【0070】例えば、内燃機関が点火系等の故障により
失火したような場合には、触媒入口の温度が低下し、未
燃焼ガスは触媒中で燃焼するため、入口、出口の温度差
は大きくなり、共振周波数の変化が大きくなり、図17
において点ハに示されたようなスパイクが発生すること
となる。したがって、運転中に共振周波数の変化量に所
定値以上の変化が検出された場合には、失火と判定して
警報表示する等により故障に対する即座の対応が可能と
なる。 【0071】図16で説明したように、2つのコイルを
直列接続してなる温度計測装置において、共振周波数f
は、f=(1/(K・(μ−Δμ/2))・C)1/2
と表される。換言すれば、入口と出口の透磁率変化の1
/2の点に、2つのコイルの合成発振点が存在するとい
うことが言える。したがって、合成共振点に対し入口側
は+Δμ/2、出口側は入口側は−Δμ/2分に相当す
る共振点が各コイルには存在することとなる。 【0072】図16に示されたように2つのコイルを設
けた構造において、入力側の温度と、出力側の温度を計
測できるようにした装置構成例が図18に示されてお
り、以下、同図を参照しつつこの実施例について説明す
る。この実施例の装置は、先に図4に示された構成を基
本とし、図4で説明したような動作に加えて、後述する
ようなフィードフォワード制御を切替により可能とした
ものである。したがって、図4に示された構成要素と同
一のものについては、同一符号を付して詳細な説明を省
略することとし、以下、異なる点を中心に説明すること
とする。 【0073】図18に示された構成においては、アナロ
グスイッチ160,163が設けられており、ローパス
フィルタ42の出力信号と、ワンチップマイクロコンピ
ュータ55からのフィードフォワード信号(以下「FF
信号」と言う。)とを選択的に、バッファアンプ162
を介してVCO43に入力するようになっている。すな
わち、アナログスイッチ160は、ローパスフィルタ4
2とバッファアンプ162の間に設けられており、その
動作はワンチップマイクロコンピュータ55からの制御
信号により制御されるようになっている。 【0074】また、アナログスイッチ163は、ワンチ
ップマイクロコンピュータ55とバッファアンプ162
との間に設けられており、その動作はワンチップマイク
ロコンピュータ55からの制御信号により制御されるよ
うになっている。アナログスイッチ160,163は、
いずれか一方が動作する場合には、他方は非動作状態と
なるようにワンチップマイクロコンピュータ55により
動作制御されるようになっている。尚、符号164,1
65は、アナログスイッチ160,163の制御用の接
続線である。 【0075】かかる構成において、通常モードの場合、
アナログスイッチ160が動作状態となり、先に図4で
説明したようにして合成共振周波数fが検出されること
となる。一方、触媒の入口、出口の温度差を検出する場
合には、アナログスイッチ163がワンチップマイクロ
コンピュータ55の制御により動作状態とされることと
なる。かかる状態において、ワンチップマイクロコンピ
ュータ55からレベルが変化するFF信号が出力され、
このFF信号がバッファアンプ162を介してVCO4
3に入力されて、合成周波数を中心にf+Δf〜f−Δ
fだけ周波数が変化するようになっている。 【0076】一方、コイルに流れる電流が図示されない
電流センサにより検出され、その検出信号は全波整流器
(図示せず)により直流に変換されて、ワンチップマイ
クロコンピュータ55に入力されることにより、電流値
の計測が行われるようになっている。 【0077】図19には、上記構成による計測中におけ
る周波数変化と、電流変化の特性曲線の一例が示されて
いる。すなわち、合成共振周波数の点(図19において
点a)を中心にして周波数を増大させてゆくと、電圧の
低下により電流も低下する(図19において点b,cの
間)が、出口コイルの共振点(図19において点d)近
傍になると電圧の増大と共に電流も増大してゆくことと
なる。一方、点gから再び周波数を減少させてゆくと、
入口コイルの共振点k近傍で再び電流が増大する(図1
9において点i,kの間)こととなる。 【0078】結果として、両方の共振点の差が、透磁率
の差Δμの変化による周波数変化に相当し、各点で求め
た周波数から温度を算出することによって、入口と出口
の温度差として検出が可能になる。 【0079】尚、排気ガスは触媒浄化により、触媒内で
はトータル的には発熱反応となるため触媒の入口、出口
では温度差が発生するが、触媒作用の劣化により温度差
が低下する。例えば、所定の内燃機関負荷領域で加減速
が無い運転パターンにおいて、予め設定した温度差以下
になったら触媒劣化と判定することができる。或いは、
所定の運転時間毎にこの温度差を記憶しておくように
し、変化の割合が所定の値になったら劣化と判定するこ
とも可能である。 【0080】所定のサンプリング時間で継続的に温度差
を求めてゆくと、燃焼変動等により温度差が変動するこ
とがある。このような場合には所定の時間だけ温度差を
サンプリング毎に積分し、平均値で温度差を代表させる
ようにしてもよい。尚、先に述べたように合成共振周波
数の変化により失火を判定するようにすると共に、各コ
イルの共振周波数の変化により温度差を検出し、触媒劣
化を判定するような制御を同一の装置で行うようにして
もよい。尚、この実施例においては、ワンチップマイク
ロコンピュータ55により合成共振周波数検出手段、個
別共振周波数検出手段及び運転状況判断手段が実現され
ている。 【0081】本発明の構成は以上説明した部材、配置等
に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種
々改変することが可能である。 【0082】 【発明の効果】以上、述べたように本発明によれば、被
温度計測部位に耐久性があり、従来の温度センサのよう
に保護ケース等を必要とすることのない磁性体を用い、
温度によるその透磁率の変化に起因する共振回路の共振
周波数に基づいて温度計測が可能となるように構成した
ので、耐久性があり且つ安価で、しかも数百℃〜100
0℃付近の高い応答性のある温度計測が可能であるとい
う効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係る透磁率温度計測装置の原理を説明
するための図である。 【図2】図1に示す透磁率温度計測装置に用いられる周
波数制御回路の一例を示す構成図である。 【図3】図3(a)は直列共振回路における電圧と電流
の位相関係を示す特性線図、図3(b)は共振周波数と
温度の関係を示す特性線図である。 【図4】周波数制御回路のより具体的構成例を示す回路
図である。 【図5】図4に示された周波数制御回路の動作を説明す
るための主要部におけるタイミング図である。 【図6】閉磁路の一例を示す構成図である。 【図7】開磁路の一例を示す構成図である。 【図8】流体の温度計測を行う際の磁性体の設置構造を
示す概略断面図である。 【図9】透磁率の異なる磁性体が線状に配置された場合
の説明図である。 【図10】磁性体金属を磁路の一部に用いた場合の例を
示す概略断面図である。 【図11】被計測物が流れるパイプにコイルを直接巻き
付けた場合の例を示す概念図である。 【図12】誘導加熱を利用した調理器における温度計測
を説明するための概念図である。 【図13】図12に示された誘導加熱における加熱時間
と容器温度及び加熱時間と比透磁率との関係を表す特性
線図である。 【図14】電流の周波数と浸透の深さとの関係を示す特
性線図である。 【図15】磁性体に金属触媒を用いた例を示す概略断面
図である。 【図16】触媒の入口と出口とにそれぞれコイルを設け
本発明による透磁率温度計測装 置の実施例を示す概略
断面図である。 【図17】図16に示す実施例における直列共振回路の
共振周波数と運転時間との関係を示す特性線図である。 【図18】図16に示す実施例で用いる、合成共振周波
数と個々のコイルの共振周波数を計測する周波数制御回
路の一構成例を示す回路図である。 【図19】図18に示された構成における時間経過に対
する周波数の変化及び電流変化を示す特性線図である。 【符号の説明】 1…結合コンデンサ 2…巻線コイル 3…鉄心 4…インバータ装置 6…ゼロクロス検出回路 7…Ex−OR回路 10…VCO 11…J−Kフリップフロップ 13…駆動回路 19…CT 40…コンパレータ 41…Ex−OR 43…VCO 45…J−Kフリップフロップ 48…J−Kフリップフロップ 52…遅延回路 54…シュミット遅延回路 55…ワンチップマイクロコンピュータ 56…CPU 60…カウンタ110…タイミング発生部 111…計測制御部 141…金属触媒 142…パイプ 145… 円筒部材 148、149…コイル 160、163…アナログスイッチ 162…バッファアンプ
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01K 7/36 - 7/38 B01J 35/02 H05B 6/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 被温度計測部位に配置された磁性体であ
    る金属触媒と、 前記金属触媒の入口部及び出口部にそれぞれ巻回されて
    直列に接続された入口側コイル及び出口側コイルとコン
    デンサとからなる直列共振回路と、前記直列共振回路の
    電源となる交流電圧を発生する可変周波数信号発生手段
    と、 前記可変周波数信号発生手段から発生する交流電圧の周
    波数を、通常時には前記直列共振回路における電流と電
    圧との位相差が零となる合成共振周波数に制御し、前記
    金属触媒の異常判定時には前記合成共振周波数を中心に
    増減させるように制御する周波数制御手段と、 前記通常時に、前記合成共振周波数に基づいて前記被温
    度計測部位の温度を算出する温度算出手段と、 前記金属触媒の異常判定時に、前記直列共振回路に流れ
    る電流値に基づいて前記入口側コイルの共振周波数と前
    記出口側コイルの共振周波数とを各別に検出する個別共
    振周波数検出手段、及び該個別共振周波数検出手段の検
    出結果に基づいて内燃機関の失火の有無並びに前記金属
    触媒の劣化を判断する運転状況判断手段と、 を備えたこ
    とを特徴とする透磁率温度計測装置。
JP13955295A 1995-06-06 1995-06-06 透磁率温度計測装置 Expired - Fee Related JP3485282B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13955295A JP3485282B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 透磁率温度計測装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13955295A JP3485282B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 透磁率温度計測装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH08334419A JPH08334419A (ja) 1996-12-17
JP3485282B2 true JP3485282B2 (ja) 2004-01-13

Family

ID=15247926

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13955295A Expired - Fee Related JP3485282B2 (ja) 1995-06-06 1995-06-06 透磁率温度計測装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3485282B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107655589A (zh) * 2017-08-17 2018-02-02 上海交通大学 一种温度压力联合测量系统及测量方法
JP2021043035A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日立金属株式会社 磁歪式センサ用温度検出回路、磁歪式センサ、及び磁歪式センサの温度検出方法

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4693084B2 (ja) * 2001-08-08 2011-06-01 財団法人電力中央研究所 非破壊的に高温部材の到達温度を推定する方法
DE102009047185B4 (de) * 2009-11-26 2012-10-31 E.G.O. Elektro-Gerätebau GmbH Verfahren und Induktionsheizeinrichtung zum Ermitteln einer Temperatur eines mittels einer Induktionsheizspule erwärmten Kochgefäßbodens
RU2624833C2 (ru) * 2015-07-23 2017-07-07 Илья Александрович Зайцев Устройство для измерения продольного распределения температуры в полимерном покрытии активных световодов волоконных лазеров и усилителей

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107655589A (zh) * 2017-08-17 2018-02-02 上海交通大学 一种温度压力联合测量系统及测量方法
JP2021043035A (ja) * 2019-09-10 2021-03-18 日立金属株式会社 磁歪式センサ用温度検出回路、磁歪式センサ、及び磁歪式センサの温度検出方法
JP7160005B2 (ja) 2019-09-10 2022-10-25 日立金属株式会社 磁歪式センサ用温度検出回路、磁歪式センサ、及び磁歪式センサの温度検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH08334419A (ja) 1996-12-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0124042B1 (en) Electromagnetic detector for metallic materials
US3867688A (en) Electrodeless conductance measurement device
US4373392A (en) Sensor control circuit
US11002613B2 (en) Inductive temperature sensing
JP3485282B2 (ja) 透磁率温度計測装置
JPS5829468B2 (ja) カンノウインピ−ダンスソシ オ シヨウスル ソクテイソウチ
US10856452B1 (en) Sensor apparatus
US5354130A (en) Method and apparatus for measuring the temperature of an electrically conductive material
JPH02287266A (ja) 直流電流測定装置
Zini et al. Electronic technique and system for non-contact reading of temperature sensors based on piezoelectric MEMS resonators
US5565768A (en) Apparatus for detecting metallic debris in dielectric fluid having an indirectly heated thermistor for balancing a bridge network
JP3094333B2 (ja) 温度測定装置を持つ進行波モータ及びその温度測定方法
CN110501051A (zh) 阻抗限位传感器
JPH02245627A (ja) 温度検出機能付検出器
JPS63271121A (ja) 流量測定装置
Li et al. Design of a temperature transmitter with contactless power and data transmission
CN100368824C (zh) 用于检测导电碎屑存在的装置
CA1061865A (en) Nuclear resonance-absorption thermometer
SU1247759A1 (ru) Термоанемометр
JP3800808B2 (ja) 誘導加熱インバータ装置
SU1275240A1 (ru) Способ измерени давлени и устройство дл его осуществлени
WO2004025237A1 (en) Wireless wire vacuum sensor and vacuum panel
JPH02287232A (ja) トルク検出方式
JPH04130236A (ja) トルク検出方式
SU444952A1 (ru) Датчик температуры

Legal Events

Date Code Title Description
R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20071024

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081024

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091024

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101024

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111024

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121024

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131024

Year of fee payment: 10

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees