JP3485061B2 - ワックスまたは樹脂粒子の金属石鹸被覆方法 - Google Patents

ワックスまたは樹脂粒子の金属石鹸被覆方法

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JP3485061B2
JP3485061B2 JP2000072810A JP2000072810A JP3485061B2 JP 3485061 B2 JP3485061 B2 JP 3485061B2 JP 2000072810 A JP2000072810 A JP 2000072810A JP 2000072810 A JP2000072810 A JP 2000072810A JP 3485061 B2 JP3485061 B2 JP 3485061B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ワックスまたは樹
脂粒子の金属石鹸による被覆方法、および該方法により
得られる、ブロッキング防止機能を有する金属石鹸被覆
粒子に関する。
【0002】
【従来の技術】ワックスまたは樹脂の粒子は、滑剤、改
質剤、添加剤などの用途で広く利用されている。特に電
子写真用トナーの分野においては、ワックス粒子は、外
添剤または内添剤として、樹脂粒子はトナーの担体、定
着剤としてそれぞれ重要な要素を占めている。
【0003】このようななか、近年、トナーの解像度の
向上やフルカラー化の要望が高まり、ドットサイズの微
細化が進むにともない、添加剤やトナーの担体に使用さ
れるワックスまたは樹脂の粒径も50μm以下、さらに
は25μm以下にまで微細化が要求されている。
【0004】しかしながら、ワックスまたは樹脂の微粒
子はブロッキングを起こしやすいため、粒径の微細化が
進むにつれて、粒子のブロッキングによる画像の欠落な
どの問題が発生しはじめた。
【0005】このブロッキングを防止するために、ワッ
クスまたは樹脂粒子の表面を金属石鹸で被覆する試みが
なされている。例えば、ワックスまたは樹脂粒子の表面
を被覆する方法としては、ハイスピードミキサー(三井
鉱山(株))、マルメライザー(富士パウダル(株))など
の混合造粒機にて、粒子表面を粉体の金属石鹸で被覆す
る方法、金属石鹸を水分散体として粒子に添加し、乾燥
させて粒子上に金属石鹸被覆を行う湿式コーティング方
法(例えば、特開昭58−100857号公報、特開平
8−182927号公報、及び特開平9−328559
号公報)などがある。さらに、V−ブレンダーを用いて
粒子表面を金属石鹸で被覆して電子複写機の現像剤を作
製する方法(特開昭59−229567号公報)、顔料
表面をシリコーンオイル、樹脂、金属石鹸等でコーティ
ングして親油化して、色マイクロカプセルを製造する方
法(特開昭62−234541号公報)、機械的な混合
方法によりトナー表面に脂肪酸金属石鹸を固着させてマ
イクロカプセルトナーを製造する方法(特開平6−24
2627号公報)など、金属石鹸被覆により、粒子のブ
ロッキングを防止して、写真用途等に応用する提案が種
々行われている。
【0006】ところで、これらの従来の被覆方法を用
い、粒子を金属石鹸で均一に被覆する場合、一般的に
は、添加する金属石鹸の粒径は被覆相手粒子の粒径の少
なくとも1/5以下、できれば1/20以下であること
が望ましいとされている。ところが、現在、工業的に入
手の容易な金属石鹸の粒径は5〜50μmであり、従来
の方法で100μm以下のワックスまたは樹脂の粒子を
被覆することは容易ではなく、25μm以下の粒子を均
一に被覆することは非常に困難である。
【0007】このため、金属石鹸は、ブロッキング防止
剤として優れた滑性、離型性、耐吸湿性を有していなが
ら、50μm以下、さらには25μm以下のワックスま
たは樹脂粒子を被覆するのには使用できなかった。その
ため、高精細電子写真用トナー分野の粒子被覆用途とし
て使用することができなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、電
子、情報、医薬、化粧品、樹脂加工等の各種産業分野、
特に、高精細電子写真用トナーの分野で用いられる微細
なワックスまたは樹脂の粒子に金属石鹸を均一に被覆す
る方法、および該方法により得られる、ブロッキング防
止機能を有する金属石鹸被覆粒子を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
を解決するために検討を重ねた結果、水溶性脂肪酸石鹸
を分散剤として水中に分散させたワックスまたは樹脂の
粒子の水分散体と多価金属化合物の水溶液または水分散
液とを混合すると、層状ないしは鱗状に金属石鹸で被覆
された微粒子が得られることを見いだした。
【0010】本発明は、ワックスまたは樹脂の粒子の金
属石鹸被覆方法に関し、該方法は、(a)水溶性脂肪酸
石鹸を含有する、ワックスまたは樹脂の粒子の水分散体
と、(b)多価金属化合物の水溶液または水分散体と
を、多価金属化合物の水溶性脂肪酸石鹸に対する当量比
が0.5〜1.5となるように混合することを特徴とす
る。
【0011】好適な実施態様においては、上記ワックス
または樹脂粒子は、該ワックスまたは樹脂の粒子の水分
散体(a)中に0.1〜50重量%の割合で含有され、
そして、上記水溶性脂肪酸石鹸は、該ワックスまたは樹
脂粒子100重量部に対して0.1〜20重量部の割合
で含有される。
【0012】好適な実施態様においては、上記多価金属
化合物は、該多価金属化合物の水溶液または水分散体
(b)中に0.01〜30重量%の割合で含有される。
【0013】本発明は、ブロッキング防止機能を有する
金属石鹸被覆粒子を包含し、該粒子は次の工程により得
られる: (a)水溶性脂肪酸石鹸を含有する、ワックスまたは樹
脂の粒子の水分散体と、(b)多価金属化合物の水溶液
または水分散体とを、多価金属化合物の水溶性脂肪酸石
鹸に対する当量比が0.5〜1.5となるように混合す
る工程、および得られた金属石鹸被覆粒子を回収する工
程。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明で使用する水溶性脂肪酸石
鹸とは、好ましくは炭素数4〜30、より好ましくは炭
素数6〜22の脂肪酸のアルカリ金属塩、アンモニウム
塩、水溶性アミン塩である。水溶性脂肪酸石鹸は、単独
で、あるいは組み合わせ用いられ得る。
【0015】脂肪酸の炭素数が4未満であると、生じた
金属石鹸が水溶性となってワックスまたは樹脂の粒子を
被覆することができない虞がある。また、脂肪酸の炭素
数が30を超えると、脂肪酸塩の水溶性が低すぎて水分
散体の系内に溶解させることが困難となる傾向にある。
【0016】好ましい脂肪酸としては、酪酸、カプロン
酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン
酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸などの飽
和脂肪酸、ブテン酸、オクテン酸、カプロレイン酸、ウ
ンデシレン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、
オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、アラ
キドン酸、ドコサヘキサエン酸などの不飽和脂肪酸、α
−メチル酪酸、イソステアリン酸などの枝分かれ脂肪
酸、サビニン酸、リシノール酸、ヒマシ油硬化脂肪酸な
どの水酸基含有脂肪酸等が挙げられる。
【0017】アルカリ金属としては、リチウム、ナトリ
ウム、カリウム等が挙げられ、このなかでもナトリウ
ム、カリウムが好適に用いられる。
【0018】水溶性アミンとしては、メチルアミン、エ
チルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジプロピルアミン、トリメチルアミンなどの
水溶性のアルキルアミン、エチレンジアミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミンなどのポリエチ
レンポリアミン、モノエタノールアミン、ジエタノール
アミン、トリエタノールアミンなどのアルカノールアミ
ン等が挙げられる。このなかでも好ましいのはアルカノ
ールアミンである。
【0019】この水溶性脂肪酸石鹸は、後述のワックス
または樹脂粒子100重量部に対して0.1〜20重量
部の割合で(a)の水分散体中に含有される。水溶性脂
肪酸石鹸は、好ましくは、ワックスまたは樹脂粒子10
0重量部に対して1〜10重量部、さらに好ましくは2
〜8重量部、最も好ましくは4〜5重量部の割合で含有
される。水溶性脂肪酸石鹸の割合が過少であると、被覆
する金属石鹸層の厚みが薄すぎて、均一被覆が困難にな
る。過剰であると、粒子表面で生成する金属石鹸の厚み
が厚すぎて、近隣の粒子と凝集を起こし、被覆を効率的
に行うことが困難となる。
【0020】本発明において、(a)の水分散体に含有
され、金属石鹸による被覆の対象となるワックスまたは
樹脂の粒子は、水に不溶な有機化合物の粒子であればい
かなる粒子であってもよい。中でも、常温で固体の有機
化合物の粒子が好ましい。そのような粒子を用いると、
金属石鹸により表面を均一に被覆することができる。そ
のような有機化合物の具体例としては、パラフィンワッ
クス、脂肪酸、アルコールワックス、エステル系ワック
ス、アミド系ワックス、天然ワックスなどのワックス類
や、炭化水素系樹脂、アクリル系樹脂、ビニル系樹脂、
フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹
脂、ポリアミド系樹脂などの樹脂類、およびそれらの混
合物が挙げられる。
【0021】これらのワックスまたは樹脂の粒子は、単
独で使用してもよいし、複数を混合して使用しても良
い。また、これらのワックスまたは樹脂からなる粒子に
は、本発明の特徴をそこなわない範囲で、可塑剤、滑
剤、顔料などが含有されていてもよい。この代表的な例
が、滑剤、顔料、電荷制御剤などを含有し、それ自身が
滑性を有する機能性樹脂でなる湿式トナー粒子である。
これらの本発明で使用するワックスまたは樹脂の粒子の
粒径は特に限定されない。通常、1〜500μmの粒径
を有する粒子が用いられる。本発明の特徴を最もよく現
わすのは、従来の方法では被覆が困難である25μm以
下の粒子である。
【0022】上記ワックスまたは樹脂粒子は、該ワック
スまたは樹脂の粒子の水分散体(a)中に0.1〜50
重量%、好ましくは1〜30重量%の割合で含有され
る。ワックスまたは樹脂樹脂の粒子の量が0.1重量%
を下回ると製造上効率が悪くなるおそれがある。50重
量%を超えると(a)の水分散体の粘度が大きすぎて、
取り扱いが困難となる虞がある。
【0023】本発明で使用する(b)多価金属化合物の
水溶液または水分散体に含有される多価金属化合物と
は、二価以上の金属のイオン性金属化合物(例えば、金
属塩)である。このような金属化合物を形成する金属と
しては、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、スト
ロンチウム、バリウムのようなアルカリ土類金属、チタ
ン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、パラジ
ウム、銀、カドミウム、タングステン、水銀等の遷移金
属、アルミニウム、ガリウム、錫、鉛、ランタノイド系
金属などがある。
【0024】この中でも、マグネシウム、カルシウム、
バリウム、マンガン、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、銀、錫
が一般的な製造上、好ましい。多価金属化合物中の金属
と水溶性脂肪酸石鹸から生じるカチオンとが、水性媒体
中において高速で交換され得るので、金属石鹸を生成し
やすいためである。これらの金属種は被覆粒子を使用す
る分野の要望により適宜選択することができる。
【0025】本発明で使用する多価金属化合物(イオン
性金属化合物)には、上記金属の酸化物、水酸化物また
は塩が含まれる。塩を構成する酸としては、特に限定し
ないが、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、
亜硝酸、亜硫酸、亜リン酸、次亜塩素酸、次亜リン酸、
過塩素酸、過硫酸、炭酸、過炭酸などの無機酸が好適で
ある。多価金属化合物は単独であるいは組み合わせて用
いられ得る。
【0026】本発明で使用する(b)の多価金属化合物
の水溶液または水分散体中における多価金属化合物の含
有量は、(b)の水溶液または水分散体全量に対して
0.01〜30重量%が好ましく、0.05〜10重量
%がより好ましい。多価金属化合物の含有量が0.01
重量%より小さいと被覆が不十分となる虞があり、ま
た、生産装置等が大きくなって生産効率が低くなるため
経済的にも不利であり、30重量%を超えると、短時間
で均一に分散体(a)と混合することが困難になり、被
覆を効率的に行うことが困難となる虞がある。
【0027】本発明に使用される多価金属化合物は、水
溶性脂肪酸石鹸に対して多価金属化合物中の金属イオン
が、当量比で好ましくは0.5〜1.5、より好ましく
は0.8〜1.2となる量が用いられる。
【0028】金属イオンの当量比が0.5より小さい
と、水溶性脂肪酸石鹸が系内に多量に存在し、金属石鹸
被覆ワックスまたは樹脂の粒子を回収する際の濾過性が
悪くなる虞がある。また、当量比が1.5を超えると、
残存する多価金属化合物を除去する操作が繁雑となる虞
がある。
【0029】以下、本発明の金属石鹸被覆ワックスまた
は樹脂の粒子の製造法を説明する。 (a)水溶性脂肪酸石鹸を含有するワックスまたは樹脂の
粒子の水分散体(以下、分散体(a)とする場合があ
る)の調製方法は特に限定されないが、例えば、強制分
散法、湿式粉砕法、乳化分散法、乳化重合法などがあ
る。
【0030】強制分散法とは、ボールミル、サンドミ
ル、ジェットミルなど公知の粉砕機にてワックスまたは
樹脂を粉砕し、微粒子とし、つぎに、この粒子と所定量
の水溶性脂肪酸石鹸および所定量の水を、パドル型撹拌
機、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ジェッ
トミルなど公知の分散機または粉砕機にて混合分散を行
い水分散体を得る方法である。
【0031】湿式粉砕法とは、ワックスまたは樹脂を所
定量の水溶性脂肪酸石鹸および所定量の水とボールミ
ル、パールミル、ディスクミルなど公知の粉砕機に投入
して、ワックスまたは樹脂の粉砕を行いながら分散して
水分散体を得る方法である。
【0032】乳化分散法とは、乳化分散機つきの容器中
に、所定量のワックスまたは樹脂、水溶性脂肪酸石鹸、
水を入れ、ワックスまたは樹脂の融点以上好ましくは融
点を超える温度に昇温して撹拌し、O/W型乳化物とし
たのちに、乳化物をワックスまたは樹脂の融点未満、好
ましくは融点より20℃以上低い温度に冷却して、水分
散体を得る方法である。
【0033】乳化分散法において、粒子径が小さく、粒
度分布の狭い水分散体を得たい場合には、転相乳化を利
用する方法が好ましい。転相乳化を利用する方法とは、
例えば、分散容器内にワックスまたは樹脂および水溶性
脂肪酸石鹸を投入して、ワックスまたは樹脂の融点以上
に昇温して系内を液状としたのちに、撹拌しながら徐々
に水または温水を滴下してゆく方法がある。この方法で
は滴下水量が増大するにつれ系内でW/O乳化物からO
/W乳化物への転相がおこり、粒径が小さく粒度分布の
狭い乳化物を得ることができる。このほかにも転相乳化
法としては、ワックスまたは樹脂を良溶剤に溶解し少量
の水を加えて乳化させた後に、水を追加して転相させ、
しかるのちに溶剤を除去する方法などがある。
【0034】乳化重合法とは、水中で乳化状態のまま重
合が可能なモノマー、たとえばビニル系モノマーを水中
で乳化状態で重合させ、樹脂粒子の水分散体とする方法
である。この方法は、反応容器に、水および水溶性重合
開始剤を入れ、窒素などの不活性ガス雰囲気下で水溶性
脂肪酸石鹸またはその他の乳化剤を用いて、モノマーを
乳化させ、昇温し、乳化状態のまま重合を行ってポリマ
ーの水分散体とする。また、乳化重合時にpH、乳化安
定性などの問題で水溶性脂肪酸石鹸を使用できない場合
には、乳化重合後に所定量の水溶性脂肪酸石鹸を添加し
てもよい。
【0035】また、水溶性開始剤ではなく油溶性開始剤
を用いると、モノマーは懸濁状態で重合が行われ、比較
的粒子径の大きな樹脂粒子の水分散体が得られ、このよ
うな懸濁重合による樹脂の粒子の水分散体も本発明に用
いられる分散体(a)として使用することができる。
【0036】これらの、分散体(a)を調製する方法
で、好ましいものは、球状でハンドリングのよい微粒子
水分散体を得ることができる乳化分散法および乳化重合
法である。
【0037】本発明のワックスまたは樹脂粒子の金属石
鹸被覆方法において、分散体(a)と、多価金属化合物
の水溶液または水分散体(b)(以下、液状体(b)と
呼ぶ場合がある)を混合する方法としては、反応容器に
両成分を滴下する方法(以下、滴下法と呼ぶ)と、分散
体(a)、液状体(b)を同時かつ急速に混合する方法
(以下、連続混合法と呼ぶ)の二つの方法がある。
【0038】滴下法には、攪拌している分散体(a)中
に液状体(b)を滴下する、あるいは、攪拌している液
状体(b)中に分散体(a)を滴下するという、順次に
混合する方法と、分散体(a)と液状体(b)を同時に
滴下混合する方法があるが、好ましいものは、同時に滴
下混合する方法であり、同時に滴下混合することによっ
て、ワックスまたは樹脂の粒子表面を均一かつ密に金属
石鹸で被覆することができる。
【0039】反応容器に分散体(a)と液状体(b)を
同時に滴下する方法においては、反応容器にそれぞれ、
0〜100℃、好ましくは20〜90℃の分散体(a)
と、10〜50℃の液状体(b)とを、パドル型撹拌
機、ホモジナイザー、ボールミルなどの公知の撹拌装置
で撹拌している反応容器内に同時に滴下する。 この
際、混合系の温度は、分散体(a)中に存在するワック
スまたは樹脂の粒子の融点よりも低い温度、好ましくは
ワックスまたは樹脂の粒子の融点よりも20℃以上低い
温度とすることが好ましい。融点を超えると、ワックス
または樹脂の粒子は液状となり、あるいは表面状態が変
化し、十分な被覆を行えない場合がある。
【0040】分散体(a)と液状体(b)の滴下速度
は、反応容器に投入される分散体(a)中の水溶性脂肪
酸石鹸量に対して投入される液状体(b)中の多価金属
イオンが当量比0.5〜1.5、好ましくは0.8〜
1.2となる量となるように調整される。この同時に滴
下する方法においては、均一な金属石鹸の被覆を行うた
めには、同時に滴下を開始し、一定の滴下速度で滴下を
行い、同時に滴下を終了することが好ましい。また、滴
下に要する時間は特に限定しないが、この滴下速度は短
いほうが、より均一な金属石鹸によるワックスまたは樹
脂の粒子の被覆が行える。
【0041】連続混合法においては、それぞれ両成分の
導入口と両成分の混合物の吐出口のあわせて少なくとも
3つの開口部を有し、かつ分散体(a)と液状体(b)
の両成分を瞬間的に混合しうる混合部位をもつ管または
装置が用いられる。このような混合装置の例としては、
T字管、Y字管、原料導入口を2つ以上有するラインミ
キサー、原料導入口を2つ以上有するラインホモジナイ
ザー等が挙げられる。
【0042】混合の際には、これらの装置の分散体
(a)の導入口および液状体(b)の導入口に、それぞ
れ分散体(a)と液状体(b)とを、重力、吸引、圧入
などの方法で導入する。分散体(a)と液状体(b)の
温度は、好ましくはワックスまたは樹脂の融点またはそ
れ以下の温度、あるいは融点よりも20℃以上低い温度
である。
【0043】導入速度は、投入される分散体(a)中の
水溶性脂肪酸石鹸量に対して、投入する液状体(b)に
含有される多価金属イオンが当量比0.5〜1.5、好
ましくは0.8〜1.2となる量に調整する。混合装置
がT字管、Y字管などの場合は、導入を行うだけで分散
体(a)の導入管と液状体(b)の導入管の会合部分で
瞬間的に混合が行われる。ラインミキサー、ラインホモ
ジナイザー等の動力分散機の場合は分散を行って、分散
機部分で瞬間的に混合を行う。
【0044】連続混合法においては、分散体(a)と液
状体(b)との混合物は、吐出口から順次排出されるた
め、比較的小さな装置で多量の混合を行うことができ
る。
【0045】上記のような二つの混合方法のうち、好ま
しいものは、より緻密な金属石鹸による均一被覆が可能
で、かつ混合装置が軽便である連続混合法である。特に
T字管、Y字管を混合部分とする方法においては、撹拌
装置が不要で動力の消費が少ない上に混合装置部分が非
常に小さく、また清掃が容易であるという利点を有して
いる。
【0046】次に、分散体(a)と液状体(b)との混
合液は、必要であれば撹拌機つき容器などで熟成を行っ
た後、濾過機、遠心分離機などの公知の固液分離機に導
入して、水または有機溶剤にて未反応の水溶性脂肪酸
塩、未反応の多価金属化合物、またはその他の不純物を
洗浄除去し、洗浄ケーキを得る。
【0047】得られた洗浄ケーキは、熱、減圧、送風な
どを利用した公知の乾燥方法で乾燥し、残存する水分を
除去する。乾燥時の温度は、ワックスまたは樹脂および
被覆している金属石鹸の融点のうち、最も低いものの融
点未満であることが好ましい。その温度以上であると、
金属石鹸で被覆されたワックスまたは樹脂の粒子がブロ
ッキングを起こす可能性が大きくなる。この中で最も好
ましい乾燥方法は、低温で乾燥を迅速に行うことのでき
る減圧乾燥である。
【0048】上記の方法により、金属石鹸被覆粒子を得
ることができる。この方法により、粒径の小さいワック
スまたは樹脂の粒子であっても均一かつ密に金属石鹸を
被覆することが可能となる。得られた金属石鹸被覆粒子
は、良好な耐ブロッキング性能を有する。そのため、こ
の被覆粒子は、電子写真用トナー、医薬品、化粧品、樹
脂加工などの分野で好適に使用され得る。
【0049】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、
本発明がこの実施例に限定されないことはいうまでもな
い。
【0050】(分散体(a):ワックスまたは樹脂粒子
の水分散体の調製例) 1.乳化分散法による分散体(a)の調製例 1.1 水分散体1 1リットルのビーカーにペンタエリスリトールテトラベ
ヘネート48gとステアリン酸ナトリウム2g、水45
0gを加え、80 ℃に昇温してペンタエリスリトール
テトラベヘネートを溶解させた後、オートホモミキサー
(TK式;特殊機化工業(株)製;以下、TKホモミキ
サーという)を用いて、7000rpmにて15分、乳
化分散を行い、しかる後に1時間かけて20 ℃まで冷
却して平均粒子径10μmのペンタエリスリトールテト
ラベヘネート水分散体(乾燥固形分10重量%)500
gを得、さらにこの水分散体を水で2倍に希釈して、
0.2重量%の水溶性脂肪酸石鹸を含有する5重量%の
ワックス粒子の水分散体1を得た。
【0051】1.2 水分散体2〜3 水分散体1と同様にして、表1の2および3に示される
ワックスまたは樹脂、並びに水溶性脂肪酸石鹸を用い、
それぞれ、0.2重量%の水溶性脂肪酸石鹸を含有する
5重量%のワックス粒子の水分散体2および3を調製し
た。
【0052】2.転相乳化法による分散体(a)の調製
例 2.1 水分散体4 1リットルの3つ口フラスコにベヘニルベヘネート24
0gとミリスチン酸ナトリウム9.6gを入れ、パドル
型撹拌機にて攪拌しながら90 ℃に昇温して溶融し、
90 ℃の温水550.4gを1時間かけて滴下して転
相乳化を行った。しかるのちに1時間かけて20 ℃ま
で冷却して平均粒子径7μmのベヘニルベヘネート30
重量%水分散体800gを得た。この水分散体167g
に水333gを加えて希釈し、平均粒子径7μmのベヘ
ニルベヘネート10重量%水分散体500gを得た。す
なわち、水溶性脂肪酸石鹸0.4重量%を含有する10
重量%のワックス粒子水分散液4が調製された。
【0053】2.2 水分散体5〜6 水分散体4と同様にして、表1の5および6に示される
ワックスまたは樹脂並びに水溶性脂肪酸石鹸を用いて、
それぞれ10重量%水分散体500gを得て、水分散液
5および水分散液6を調製した。
【0054】3.強制分散法による分散体(a)の調製
例 3.1 水分散体7 1リットルのビーカーに平均粒子径17ミクロンのパラ
フィンワックス75gとステアリン酸カリウム4g、水
421gを入れ、TKホモミキサーを用いて1500r
pmにて15分分散を行い、しかる後に1時間かけて2
0 ℃まで冷却して平均粒子径17μmのパラフィンワ
ックス15重量%水分散体500gを得た。すなわち、
水溶性脂肪酸石鹸0.8重量%を含有する15重量%の
ワックス粒子水分散液7が調製された。
【0055】3.2 水分散体8〜12 水分散体7と同様にして、表1の8〜12に示されるワ
ックスまたは樹脂並びに脂肪酸石鹸により、ワックスま
たは樹脂の5〜15重量%水分散体500gを調製し、
水分散液8〜12を得た。
【0056】4.乳化重合法による分散体(a)の調製
例 水分散体13 1リットルの4つ口フラスコに水395.82g、過硫
酸カリウム0.18g、オレイン酸カリウム4gを加
え、70℃に昇温して、撹拌しながら窒素吹き込み下、
スチレン100gを1時間かけて滴下したのち、2時間
熟成して重合を完結させ、30分かけて20℃まで冷却
して、平均粒子径12μmのポリスチレン20重量%水
分散体500gを得た。さらにこの水分散体を水で2倍
に希釈し、10重量%水分散体とした。これにより、水
溶性脂肪酸石鹸を0.4重量%含有する10重量%の樹
脂粒子の水分散液13が調製された。
【0057】5.懸濁重合法による分散体(a)の調製
例 水分散体14 1リットルの4つ口フラスコに水370g、ブチルメタ
クリレート125g、ラウロイルパーオキサイド2g、
ポリビニルアルコール1.5g、ラウリン酸ナトリウム
0.2gを加え、70℃に昇温して、撹拌しながら窒素
吹き込み下、3時間かけて懸濁重合を行い、その後80
℃に昇温して2時間熟成させた。反応混合物は撹拌しな
がら60℃に冷却し、1.3gのラウリン酸ナトリウム
を追加投入したあと、20℃まで30分かけて冷却し
て、平均粒子径80μmのポリブチルメタクリレートの
25重量%水分散体500gを得た。これにより、0.
3重量%の水溶性脂肪酸石鹸を含有する25重量%の樹
脂粒子の水分散体14が調製された。
【0058】6.湿式トナー粒子分散体による分散体
(a)の調製例 水分散体15 500mlのビーカーにスチレン117g、シアン着色
剤(銅フタロシアニン顔料、平均粒子径0.3μm)1
0g、および負荷電性制御剤(ジ−ターシャリーブチル
サリチル酸金属化合物、平均粒子径0.3μm)5g
を、TKホモミキサーを用い、500rpmにて3時間
撹拌した。得られた混合物に、n−ブチルアクリレート
23g、飽和ポリエステル樹脂(平均分子量約700
0、酸価16mg/g)10gおよび1,4−ブタンジ
オールジステアレート40gを添加し、60℃に加温し
ながら、パドル型撹拌機を使用して2時間撹拌した。さ
らに、撹拌装置をTKホモミキサーに変え、重合開始剤
[2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)]12gを加え、200rpmで1分間撹拌し、重
合性単量体組成物を調製した。
【0059】一方、2リットルのセパラブルフラスコに
イオン交換水710gと0.1M−NaPO水溶液
540gを投入し、60℃に加温した後、TKホモミキ
サーを用いて、12000rpmにて撹拌した。これに
1.3M−CaCl水溶液80gを徐々に添加し、C
(POの微粒子を含む水系混合物を調製し
た。
【0060】水系混合物中に上記の重合性単量体組成物
を投入し、60℃、窒素雰囲気下においてTKホモミキ
サーにて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単
量体組成物中の粒子を粉砕した。その後、パドル型撹拌
機で撹拌しつつ、70℃に昇温し、11時間懸濁重合反
応を行い、粒子中でスチレン−n−ブチルアクリレート
共重合体を生成した。
【0061】重合反応終了後、冷却し、塩酸を加え、混
合物中のリン酸カルシウムを溶解させた後、濾過、水
洗、乾燥して、平均粒子径7μmのシアントナー粒子ウ
ェットケーキを得た。このシアントナー粒子について、
X線マイクロアナライザーにて表面測定を行い、Caに
基づくピークが検出されないことを確認した。
【0062】得られたシアントナー粒子75gとステア
リン酸カリウム2g、水423gを1リットルのビーカ
ーに入れ、TKホモミキサーを用いて1500rpmに
て15分分散を行い、しかる後に1時間かけて20 ℃
まで冷却して平均粒子径7μmのシアントナー粒子の1
5重量%水分散体500gを得た。すなわち、0.4重
量%の水溶性脂肪酸石鹸を含有する15重量%のトナー
粒子の水分散体15が調製された。
【0063】上記で調製された水分散体1〜15を表1
に示す。
【0064】
【表1】
【0065】(実施例1〜16)上記で得られた分散体
(a)(水分散体1〜15)と表2に示す常温の液状体
(b)とをそれぞれ500gずつ用いてワックスまたは
樹脂の粒子を金属石鹸で被覆した。表2には、本発明の
被覆反応における混合条件(使用した多価金属化合物、
多価金属化合物の水溶性脂肪酸石鹸に対する当量比、混
合方法、および混合時の分散体(a)の温度を示す。
【0066】
【表2】
【0067】表2の実施例1〜15の混合方法Aおよび
混合方法Bは下記の通りである。
【0068】<混合方法A>直径6センチのパドルを有
する攪拌装置付きの2リットルの受け容器を用意し、パ
ドルを350rpmで回転させた。この受け容器に、表
2に示す液温に調整した分散体(a)及び液状体(b)
を、別方向から同時に投入した。なお、全量仕込み終了
時間は10秒とした。全量仕込み終了後、反応時の温度
状態で10分間熟成し、反応を終結させた。
【0069】次に、このようにして得られたスラリーを
濾過し、得られたウェットケーキを2回水洗した。得ら
れた洗浄後のケーキを50℃の真空乾燥にて6時間乾燥
させ、被覆されたワックスまたは樹脂の乾燥粒子を得
た。
【0070】<混合方法B>定量ポンプにて分散体
(a)及び液状体(b)を別々に供給混合可能なパイプ
ラインホモミキサー、及び直径6cmのパドルを有する
攪拌装置付きの2リットルの受け容器を用意し、パドル
型撹拌機を350rpmで回転させた。表2に示す液温
に調整した分散体(a)及び液状体(b)をパイプライ
ンホモミキサー内に別々に供給し、パイプラインホモミ
キサーから排出された混合液を受け容器に投入した。各
溶液の流量は各溶液が同時に送液終了するように定量ポ
ンプにて調整した。全量混合終了時間は10分とした。
混合液がパイプラインミキサーの吐出口から受け容器に
排出されて後、反応時の温度に保持したまま受け容器内
で撹拌しながら10分間熟成して反応を終結させた。
【0071】次に、このようにして得られたスラリーを
濾過し、得られたケーキを2回水洗し、得られた洗浄後
のケーキを、50℃真空乾燥にて6時間乾燥し、ワック
スまたは樹脂の乾燥粒子を得た。
【0072】また、実施例16の液状体(b)の滴下方
法は、以下の通りである。
【0073】分散体(a)である水分散体1の500g
を2リットルのビーカーにいれ、撹拌しながら70℃で
液状体(b)である硫酸亜鉛の水溶液500g(分散体
(a)中の水溶性脂肪酸石鹸に対する硫酸亜鉛の当量比
1.03)を1時間かけて滴下した。しかるのちに得ら
れたスラリーを濾過し、得られたケーキを2回水洗し、
洗浄後のケーキを、50℃真空乾燥にて6時間乾燥し、
乾燥粒子を得た。
【0074】(比較例1:従来の湿式混合法)水分散体
1の1200gを20℃のエタノール9000gに投入
して撹拌し、濾過した。濾過ケーキはさらに10倍量の
エタノールにて洗浄して、濾過した。これを3回繰り返
した洗浄ケーキを50℃真空乾燥にて6時間乾燥し、水
溶性脂肪酸石鹸であるステアリン酸ナトリウムを除去し
たペンタエリスリトールテトラベヘネートの乾燥球状粒
子50gを得た。
【0075】次に、この乾燥球状粒子48gとステアリ
ン酸カルシウム(平均粒子径7μm)2g、水360g
を入れ、TKホモミキサーを用いて1500rpmにて
15分間分散混合を行い、ステアリン酸カルシウム2g
を含む10重量%水分散体400gを得た。この水分散
体を濾過し、得られたケーキを50℃真空乾燥にて6時
間乾燥し、比較例1の乾燥粒子を得た。
【0076】(比較例2:従来の乾式混合法)比較例1
と同様の方法で得られたペンタエリスリトールテトラベ
ヘネートの乾燥球状粒子48gとステアリン酸カルシウ
ム(平均粒子径7μm)2gを家庭用ミキサーに入れ、
3分間高速で回転させて混合し、得られた粉体を取出
し、比較例2の乾燥粒子とした。
【0077】(比較例3:従来の乾式混合法)10リッ
トルのハイスピードミキサー(三井鉱山(株))に平均粒
子径25μmのエチレンビスステアロアミド950gと
ステアリン酸亜鉛(平均粒子径21μm)50gを入
れ、常温で1000rpmにて30分撹拌混合した。得
られた粉体を取り出し、比較例3の乾燥粒子とした。
【0078】次に、上記の実施例および比較例で得られ
た粒子の表面が金属石鹸により被覆されているか否か、
および被覆状態を確認した。被覆状態の確認は電子顕微
鏡および目視で行なった。
【0079】(電子顕微鏡による表面の被覆状態の観
察)実施例1〜16および比較例1〜3の微粒子粉体を
電子顕微鏡((株)日立製作所製 Scanning E
lectron Microscope S−210
0)により5000倍に拡大してワックスまたは樹脂の
粒子表面を観察し、目視にて評価した。
【0080】図1は、水分散体1中の、何ら処理を行っ
ていないワックス粒子の表面構造を示す電子顕微鏡写真
である。この表面は平滑であった。このワックス粒子
に、実施例1の方法で金属石鹸被覆処理を行なった時の
表面構造を示す電子顕微鏡写真が図2である。この実施
例1で得られたワックス粒子の表面は金属石鹸で鱗状に
均一に被覆されており、良好であった。これに対して、
従来の湿式混合法による被覆状態を示す電子顕微鏡写真
である図3をみると、ワックスの粒子表面が金属石鹸に
より一部被覆されているだけであった。また、従来の乾
式混合法による被覆状態を示す電子顕微鏡写真である図
4は、ワックスの粒子と金属石鹸粒子とが混在している
状態を示しており、いずれも均一な被覆は行われていな
かった。
【0081】実施例1〜16および比較例1〜3につい
て、被覆状態を次の3段階により評価した。 〇:ワックスまたは樹脂の粒子表面が金属石鹸により均
一に被覆されている。 △:ワックスまたは樹脂の粒子表面が金属石鹸により一
部被覆されている。 ×:ワックスまたは樹脂の粒子表面は被覆されず、ワッ
クスまたは樹脂の粒子と金属石鹸粒子とが混在してい
る。結果は表3に示す。
【0082】また、粒子表面が金属石鹸で被覆されてい
るか否かは、粒子表面をX線マイクロアナライザー
((株)堀場製作所製 EMAX−1770:S−23
3)により測定し、金属イオンの存在を測定することに
よって、次の3段階で評価した。 〇:生成すると予想される金属石鹸由来金属イオンのピ
ークが強く検出される。 △:生成すると予想される金属石鹸由来金属イオンのピ
ークがわずかに検出される。 ×:生成すると予想される金属石鹸由来金属イオンのピ
ークがほとんど検出されない。
【0083】なお、生成されると予想される金属石鹸由
来の金属イオンは、製造時に添加された多価金属塩(多
価金属化合物)を構成する金属イオンであり、金属石鹸
が生成していない場合は、微粒子の水洗時に除去され、
検出されない。
【0084】電子顕微鏡および目視による被覆状態の確
認、および金属石鹸の存在状態の確認結果を表3に示
す。
【0085】
【表3】
【0086】表3からわかるように、本発明の製造方法
によれば、ワックスまたは樹脂の粒子は、金属石鹸によ
り鱗状に均一に被覆され、その中でも分散体(a)と液
状体(b)を同時に混合した場合にはより均一に被覆さ
れていることがわかる。これに対して、従来の湿式混合
法、乾式混合法により最初からワックスまたは樹脂の粒
子に金属石鹸を添加し、混合した比較例1〜3では、金
属石鹸による被覆が充分に行われていないことがわか
る。
【0087】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、粒径の小さ
いワックスまたは樹脂の粒子であっても均一かつ密に金
属石鹸を被覆することが可能となる。得られた金属石鹸
被覆粒子は、良好なブロッキング性能を有する。そのた
め、この被覆粒子は、トナー、医薬品、化粧品、樹脂添
加剤などの分野で好適に使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、金属石鹸被覆処理前の水分散体1中の
ワックス粒子の表面構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図2】図2は、実施例1により得られた本発明の金属
石鹸被覆微粒子の表面構造を示す電子顕微鏡写真であ
る。
【図3】図3は、比較例1により得られた比較例の金属
石鹸処理ワックス粒子の表面構造を示す電子顕微鏡写真
である。
【図4】図4は、比較例2により得られた比較例の金属
石鹸処理ワックス粒子の表面構造を示す電子顕微鏡写真
である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ワックスまたは樹脂の粒子の金属石鹸被
    覆方法であって、(a)水溶性脂肪酸石鹸を含有する、
    ワックスまたは樹脂の粒子の水分散体と、(b)多価金
    属化合物の水溶液または水分散体とを、多価金属化合物
    の水溶性脂肪酸石鹸に対する当量比が0.5〜1.5と
    なるように混合することを特徴とする、金属石鹸被覆方
    法。
  2. 【請求項2】 前記ワックスまたは樹脂粒子が、該ワッ
    クスまたは樹脂の粒子の水分散体(a)中に0.1〜5
    0重量%の割合で含有され、そして、前記水溶性脂肪酸
    石鹸が、該ワックスまたは樹脂粒子100重量部に対し
    て0.1〜20重量部の割合で含有される、請求項1に
    記載の金属石鹸被覆方法。
  3. 【請求項3】 前記多価金属化合物が、該多価金属化合
    物の水溶液または水分散体中(b)に0.01〜30重
    量%の割合で含有される、請求項2に記載の金属石鹸被
    覆方法。
  4. 【請求項4】 ブロッキング防止機能を有する金属石鹸
    被覆粒子であって、次の工程により得られる、金属石鹸
    被覆粒子: (a)水溶性脂肪酸石鹸を含有する、ワックスまたは樹
    脂の粒子の水分散体と、(b)多価金属化合物の水溶液
    または水分散体とを、多価金属化合物の水溶性脂肪酸石
    鹸に対する当量比が0.5〜1.5となるように混合す
    る工程、および得られた金属石鹸被覆粒子を回収する工
    程。
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