JP3481539B2 - 情報記録/再生装置 - Google Patents

情報記録/再生装置

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JP3481539B2
JP3481539B2 JP2000019311A JP2000019311A JP3481539B2 JP 3481539 B2 JP3481539 B2 JP 3481539B2 JP 2000019311 A JP2000019311 A JP 2000019311A JP 2000019311 A JP2000019311 A JP 2000019311A JP 3481539 B2 JP3481539 B2 JP 3481539B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、3次元光記録媒体
に情報を記録し、また、この媒体に記録された情報を再
生する3次元光記録媒体の情報記録/再生装置に係り、
特にディジタルデータが3次元方向に記録可能な光記録
媒体に対して3次元方向に情報を記録し、また、このよ
うに情報が記録された光記録媒体から記録情報を再生す
る際の記録光および再生光の深さ方向における高精度な
位置合わせを実現した情報記録/再生装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、コンピュータ等の情報処理装置に
おいて光ディスクなどの光記録媒体の高密度化が急速に
進展している。このような高密度化された光記録媒体と
して、媒体の深さ方向に複数層の記録層を有する光記録
ディスク等が検討されている。
【0003】このような複数層の記録層を有する光記録
ディスクにおいては、各記録層毎の反射率を用いて各層
の反射光に含まれる情報を読取る方式を採用した場合、
透過と反射との関係により各層の反射率は層数が多くな
るほど小さくなるため信号強度が低下してしまうことに
なる。
【0004】このような反射光を用いる技術に対して、
記録層の反射を用いるのではなく多層化された位相記録
媒体の透過光を読みとる方式が、「光ヘッド装置」とし
て例えば、特開平10−3684号公報に開示されてい
る。
【0005】図13は、従来の多層位相記録媒体の透過
率を読取る記録媒体の情報再生装置を示している。図に
おいて、半導体レーザ等の光照射手段1から出射された
光はコリメートレンズ2により光線平行化処理(コリメ
ート)され、その一部がハーフミラー等のビームスプリ
ッタ3を透過して対物レンズ4に入射し、位相型3次元
光ディスク5に集光される。さらに、3次元光ディスク
5を透過した光は光ディスク5の裏面側で反射し、その
反射光として再び対物レンズ4に入射し、ビームスプリ
ッタ3によりその一部が反射されて光検出器6により検
出される。
【0006】従来の3次元光記録媒体の再生装置におい
ては、図13に示されるように、ビームスプリッタ3と
光検出器6との間に、位相・強度変調板7をさらに設け
て、この変調板7を透過した光をさらに再集光レンズ8
によりピンホール9に再集光し、ピンホール9を透過し
たレーザ光を光検出器6に照射する必要があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の位相型3次元記
録媒体の再生装置は、上述のように位相・強度変調板な
どの付加的な構成を必要とするため、今まで広く用いら
れてきた光記録再生装置を共用することが困難であり、
しかも、装置自体を全体的に小型化することが困難であ
るという問題があった。
【0008】また、上述した従来の3次元記録媒体の情
報再生装置においては、深さ方向に記録光または再生光
の焦点位置を合わせるための対策が講じられていないた
めに、3次元光記録媒体に情報を記録する際も、3次元
光記録媒体から情報を読出す際も、記録光や再生光の深
さ方向の焦点位置を合わせるのが困難でありこのため満
足できる程度の記録精度や再生精度が、特に深さ方向の
制御に関して、得られないという問題もあった。
【0009】さらに、上述したような3次元光記録媒体
の深さの異なる複数層に対してデータの記録/再生を行
なう場合には、異なる深さ毎に対物レンズと記録媒体と
の間の距離を調整しなければならず、この調整に要する
時間が装置全体としてデータの記録/再生の高速化の妨
げとなるという問題もあった。
【0010】本発明の目的は、今まで用いられてきた光
記録再生装置を利用して3次元光記録媒体の深さ方向の
位置決めを小型化された装置により行なうことができる
と共に、高速な書き込みおよび読み出しを可能とする3
次元光記録媒体の情報記録/再生装置を提供することに
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の第1の基本構成に係る情報記録装置は、情
報を3次元に記録可能な記録可能領域の所定位置に該記
録可能領域とは光学特性の異なる位置基準領域が設けら
れた3次元光記録媒体に、この媒体を透過する記録光に
より情報を記録する情報記録装置であって、前記3次元
光記録媒体の前記位置基準領域の近傍に合焦する光ビー
ムが該媒体を透過するように照射する光源と、前記3次
元記録媒体を透過した前記光ビームの強度を検出する検
出手段と、前記検出手段により得られた媒体透過光ビー
ム強度の検出結果に基づいて、前記光源から照射されて
前記媒体を透過する光ビームの該媒体における焦点位置
を移動させる移動手段と、前記光源から前記媒体に照射
されて該媒体を透過する光ビームを、記録できる強度に
変化させて前記記録光として、前記記録可能領域に記録
領域を形成する光強度調整手段と、を備えることを特徴
としている。
【0012】また、上記第1の基本構成に係る情報記録
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振するレ
ーザ光源より構成され、前記集光手段は、強度が制御さ
れた前記レーザ光を前記3次元光記録媒体の所定の位置
に集光する対物レンズにより構成され、前記移動手段
は、前記3次元光記録媒体を載置する台と、この台を3
方向に移動させる駆動部と、より構成するようにしても
良い。
【0013】また、上記第1の基本構成に係る情報記録
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振する半
導体レーザと、このレーザ光を平行光とするコリメータ
レンズとからなり、前記光強度調整手段は、前記半導体
レーザに注入する電流を変調するように構成しても良
い。
【0014】また、上記第1の基本構成に係る情報記録
装置において、前記移動手段は、予め取得された前記3
次元光記録媒体の光学特性に関するデータと前記検出手
段により得られた検出結果に基づいて、前記集束位置の
移動量を決定するように構成しても良い。
【0015】また、上記第1の基本構成に係る情報記録
装置において、前記3次元光記録媒体の光学特性は、吸
光度が0.05以上0.50以下の範囲内に設定しても
良い。
【0016】さらに、この発明の第2の基本構成に係る
情報再生装置は、情報を3次元に記録可能な記録可能領
域を有する3次元光記録媒体に記録された情報を、この
媒体を透過する再生光により再生する情報再生装置であ
って、前記媒体の所定位置に合焦させ、かつ、前記媒体
を透過させるように前記再生光として光ビームを照射す
る光源と、前記光源から出射された前記光ビームを、前
記媒体の所定位置に設けられた前記記録可能領域とは光
学特性の異なる位置基準領域および該記録可能領域に情
報を記録した記録領域の少なくとも何れか一方の領域の
近傍に合焦させて集光する集光手段と、前記媒体を透過
した光ビームの強度を検出する検出手段と、前記検出手
段により得られた媒体透過光ビーム強度の検出結果に基
づいて、前記光源から照射されて前記媒体を透過する光
ビームの該媒体における焦点位置を移動させる移動手段
と、前記光源から前記媒体に照射される前記再生光の透
過光強度を検出することにより前記媒体に記録された前
記情報の再生を行う再生手段と、を備えることを特徴と
している。
【0017】また、上記第2の基本構成に係る情報再生
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振するレ
ーザ光源より構成され、前記集光手段は、強度が制御さ
れた前記レーザ光を前記3次元光記録媒体の所定の位置
に集光する対物レンズにより構成され、前記移動手段
は、前記3次元光記録媒体を載置する台と、この台を3
方向に移動させる駆動部と、より構成しても良い。
【0018】また、上記第2の基本構成に係る情報再生
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振する半
導体レーザと、このレーザ光を平行光とするコリメータ
レンズとより構成しても良い。
【0019】また、上記第2の基本構成に係る情報再生
装置において、前記移動手段は、予め取得された前記3
次元光記録媒体の光学特性に関するデータと前記検出手
段により得られた検出結果に基づいて、前記集束位置の
移動量を決定するようにしても良い。
【0020】また、上記第2の基本構成に係る情報再生
装置において、前記3次元光記録媒体の光学特性は、吸
光度が0.05以上0.50以下の範囲に設定されてい
ても良い。
【0021】さらに本発明の第3の基本構成に係る情報
記録装置は、情報を3次元に記録可能な記録可能領域の
所定位置に該記録可能領域とは光学特性の異なる位置基
準領域が設けられた3次元光記録媒体に、この媒体を透
過する記録光により情報を記録する情報記録装置であっ
て、第1の波長を有する位置決め用の参照光と、前記第
1の波長と前記参照光よりも強い光強度を有する情報記
録用の記録光と、前記第1の波長とは異なる第2の波長
を有する情報記録確認用の確認光と、を少なくとも含む
波長および光強度の異なる光を前記媒体を透過するよう
に照射する光照射手段と、前記光照射手段より前記第1
の波長で出射された前記参照光を前記位置基準領域の近
傍に合焦させて集光すると共に、前記第1および第2の
波長で前記光照射手段よりそれぞれ出射された前記記録
光および確認光を互いに僅かにずれた位置に合焦させて
集光する集光手段と、前記媒体を透過した前記参照光の
強度を検出する検出手段と、前記検出手段により検出さ
れた、前記媒体を透過した前記参照光の強度の検出結果
に基づいて、前記光照射手段から照射されて前記媒体を
透過する前記記録光の該媒体における焦点位置を移動さ
せる移動手段と、を備え、前記光照射手段から前記媒体
に照射されて該媒体を透過する前記記録光を照射して前
記記録可能領域に情報を記録すると共に、前記媒体を透
過した前記第2の波長を有する前記確認光の光強度を検
出することにより、前記情報の記録の完了を確認するこ
とを特徴としている。
【0022】また、上記第3の基本構成に係る情報記録
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振するレ
ーザ光源より構成され、前記集光手段は、強度が制御さ
れた前記レーザ光を前記3次元光記録媒体の所定の位置
に集光する対物レンズにより構成され、前記位置検出手
段は、前記3次元光記録媒体を透過した前記参照光の強
度を検出する光検出系により構成しても良い。
【0023】また、上記第3の基本構成に係る情報記録
装置において、前記レーザ光源から出力された特定波長
の光を選別するための波長選別装置をさらに備えるよう
にして良い。
【0024】また、上記第3の基本構成に係る情報記録
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振する半
導体レーザと、このレーザ光を平行光とするコリメータ
レンズと、より構成しても良い。
【0025】また、上記第3の基本構成に係る情報記録
装置において、前記3次元光記録媒体の光学特性は、吸
光度が0.05以上0.50以下の範囲に設定するよう
にしても良い。
【0026】さらに、本発明の第4の基本構成に係る情
報再生装置は、情報を3次元に記録可能な記録可能領域
を有する3次元光記録媒体に記録された情報を、この媒
体を透過する再生光により再生する情報再生装置であっ
て、第1の波長を有する位置決め用の参照光と、第2の
波長を有し情報の再生に充分な強度を有する情報再生用
の再生光とを少なくとも含む波長の異なる光を前記媒体
を透過するように照射する光照射手段と、前記光照射手
段から前記第1の波長で出射された前記参照光を前記媒
体の所定位置に設けられた前記記録可能領域とは光学特
性の異なる位置基準領域および情報を記録した記録領域
の少なくとも一方の近傍に合焦させて集光すると共に、
前記第2の波長で前記光照射手段より出射された前記再
生光を前記参照光の合焦位置とは異なる位置に合焦させ
て集光する集光手段と、前記媒体を透過した前記参照光
の強度を検出する検出手段と、前記検出手段により検出
された前記媒体を透過した前記参照光の強度の検出結果
に基づいて、前記光照射手段から照射されて前記媒体を
透過する前記再生光のの該媒体における焦点位置を移動
させる移動手段と、前記光照射手段から前記媒体に照射
される前記再生光の透過光強度を検出することにより前
記媒体に記録された前記情報の再生を行う再生手段と、
を備えることを特徴としている。
【0027】また、上記第4の基本構成に係る情報再生
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振するレ
ーザ光源より構成され、前記集光手段は、強度が制御さ
れた前記レーザ光を前記3次元光記録媒体の所定の位置
に集光する対物レンズにより構成され、前記位置検出手
段は、前記3次元光記録媒体を透過した前記参照光の強
度を検出する光検出系により構成するようにしても良
い。
【0028】また、上記第4の基本構成に係る情報再生
装置において、前記レーザ光源から出力された特定波長
の光を選別するための波長選別装置をさらに備えように
しても良い。
【0029】また、上記第4の基本構成に係る情報再生
装置において、前記光照射手段はレーザ光を発振する半
導体レーザと、このレーザ光を平行光とするコリメータ
レンズと、より構成するようにしても良い。
【0030】また、上記第4の基本構成に係る情報再生
装置において、前記3次元光記録媒体の光学特性は、吸
光度が0.05以上0.50以下の範囲に設定しても良
い。
【0031】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照しながら本
発明に係る情報記録/再生装置の好適な実施形態につい
て詳細に説明する。本発明は、所定の位置に位置基準領
域を形成した3次元光記録媒体を用いて、この位置基準
領域近傍にレーザ光などを照射したときの透過光から、
現在のレーザ光の焦点の深さ方向の位置を確認して、こ
の現在の焦点位置情報に基づいてその焦点位置を所望の
位置に微調整しようとするものである。より詳細に説明
する。
【0032】図1は、本発明の第1実施形態に係る3次
元光記録媒体に光照射したときの透過特性を示した図で
ある。図1(a)において、横軸は位置基準領域を原点
(z=0)としたときの記録媒体の膜厚方向の距離であ
り、縦軸はその透過光の強度を示している。また、図1
(b)は図1(a)の透過光強度が得られた3次元光記
録媒体でレーザ光が焦点を結ぶ様子を示す模式図であ
る。図1(b)において、3次元光記録媒体としての試
料14に予め作成された、光学特性が異なる位置基準領
域15の近傍に焦点位置を合わせ、3次元光記録媒体を
透過した光を光軸上に配置された光検出器28により測
定した。
【0033】図1(b)に示される対物レンズ25と記
録媒体試料14との相対的位置関係を変化させることに
より、焦点位置を記録媒体の深さ方向に移動させたとき
の検出光強度を焦点の位置zの関数として示したものが
図1(a)における実線である。ただし、位置基準領域
15は常に光軸上にあるものとする。
【0034】位置基準領域15では、光学特性(特に屈
折率)がその近傍と異なるので、この位置に集光された
光は回折される。このため、透過光強度は図1(a)に
示すような変化を示すことになる。しかしながら、近傍
に位置基準領域や情報記録領域が存在していない領域で
焦点位置を移動させたときには、屈折率の変化は無いた
め、回折は発生しない。したがって、このときの透過光
強度は図1(a)の点線で示すように焦点位置によらず
に一定の値(V)をとることになる。
【0035】本発明者達は、記録材料と異なる光学特性
の位置基準領域を形成した3次元光記録媒体における前
記位置基準領域の近傍にレーザ光を照射し、その焦点位
置を3次元光記録媒体の深さ方向に移動させたときに、
位置基準領域近傍においてその透過光が図1(a)に示
すように単調に変化することを確認し本発明を想到する
に至った。
【0036】すなわち、図1(a)に示すような透過特
性を予め与えられた3次元光記録媒体を用いれば、照射
したレーザ光の透過光強度を測定することにより、位置
基準領域からの深さ方向の距離が明確になり、例えば記
録時においては、位置基準領域から所望の深さに記録を
行なうことが可能になる。また、この3次元光記録媒体
に記録された情報を再生するときには、情報が記録され
た深さは位置基準領域からの深さにより認識されている
ため、位置基準領域から算出される深さを補正すること
により所望の深さにレーザ光の焦点を合わせて情報の再
生を行なうことが可能となる。
【0037】また、既に記録されている3次元光記録媒
体から情報を再生する場合には、その記録領域を位置基
準領域として深さ方向の位置決めを行なうようにしても
良い。
【0038】第1実施例 以下、本発明の第1実施例について、図2Aないし図4
を用いて詳細に説明する。第1実施例については、3次
元光記録媒体の作製、記録材料の層の作製、位置基準領
域の作製、基礎データの取得、記録工程、再生工程の項
目に分けて詳述する。
【0039】1.3次元光記録媒体の作製 図2(a)(b)は3次元光記録媒体の形成方法を説明
するための模式図である。図2(a)は、光記録媒体の
作製過程を示し、図2(b)は本発明に係る3次元光記
録媒体の概略断面図を示している。
【0040】図2(b)に示す3次元光記録媒体10
は、1対の透明基板表面11と、この1対の透明基板1
1に挟持される記録材料12よりなる層が形成されてお
り、前記記録材料12中にはその表面から所定の深さに
後述する工程により位置基準領域が形成される。
【0041】2.記録材料からなる層の作製 フレーレン(C70)、下記の化学式により示される化
合物(1)およびポリスチレンを重量比が0.5:3
0.0:69.5となるように混合し、トルエンに溶か
す。3種の分子がトルエンに充分に溶解するように、1
昼夜冷暗所に保管してトルエン溶液からなる塗布液を作
製する。
【0042】
【化1】 得られた塗布液を、例えば3cm角のガラス基板等の透
明基板11上に滴下してヒータを用いてこの透明基板の
背面側から80℃で1時間加熱することによりトルエン
を気化させて、図2(a)に示すように、塗布膜12a
を形成した。前記ガラス基板等よりなる透明基板11の
塗布膜12aが形成されていない部分に、1000μm
のスペーサ13を配置して、前記透明基板11と、別途
用意した例えばガラス基板よりなる透明基板11とを前
記塗布膜12aを挟んで対向配置し、この1対の透明基
板11,11の全体に一様に圧力を加えて、膜厚100
0μmの記録材料12よりなる層を形成した。
【0043】ここで得られた記録材料は、光照射によっ
てその光学特性を変化させるフラーレン(C70)およ
び[化1]により定義される化合物と、マトリックス材
として機能するポリスチレンとから形成されているが、
本発明においては特にこれらの材料に限定されるもので
はなく、例えば光照射によって光学特性を変化させる材
料として、C60などの他のフラーレンや、フタロシア
ニン化合物、アゾ化合物、ピラゾリン化合物あるいはナ
フタロシアニン化合物など、既知のものを使用すること
ができる。また、マトリックス材は、ポリスチレンの他
に、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、フ
ェノキシ樹脂などの透光性を有する材料であれば特に限
定されることなく何れのものでも使用することができ
る。あるいは、光照射によって分子間または分子内の反
応が生じて屈折率が変調するフォトポリマなどを記録材
料として使用しても良い。
【0044】また、前述したようにして得られた記録材
料12からなる層は、トルエンを気化させた後に急冷す
ることが望ましく、例えばガラス基板等の透明基板11
を熱容量の大きな大理石等に接触させれば良い。
【0045】3.位置基準領域の作製 図3(a)(b)は、3次元光記録媒体の記録再生装置
の概略断面図であり、この装置20により図2(b)に
示す記録材料12の層に位置基準領域が形成された3次
元光記録媒体を作製した。
【0046】光照射手段であるレーザ光源21より発振
されたレーザ光は、ビームエクスパンダ23によりその
口径が広げられた後、光強度調整手段としてのニュート
ラルデンシティフィルタ(NDフィルタ)24によって
レーザ光の強度が制御される。さらに、ニュートラルデ
ンシティフィルタ24を通過した光は、対物レンズ25
(例えば、CFICLCD Plan CR 50;Nikon)などの集光手段
によって所定の位置に集光される。また、レーザ光源2
1とビームエクスパンダ23との間には、シャッタ22
が配置されており、このシャッタ22により3次元光記
録媒体10に光が照射される時間を制御できるようにな
っている。
【0047】記録材料12よりなる層を有する試料14
は、試料台26上に配置されて、この試料台26は、移
動手段27によって前記試料14の所定の位置に前記レ
ーザ光を照射するために、X,Y,Z軸方向に独立して
走査できるように移動可能に構成されている。
【0048】なお、試料台14の中央には、2.8cm
角の穴が明けられており、この穴上に記録材料12が配
置されるように試料14が位置決めされており、試料1
4を透過したレーザ光は、試料台36の穴を通過光強度
がレーザ光源21の光軸上におかれた検出器28によっ
て検出される。
【0049】上記のような構成を有する装置を用いて、
最初の位置基準領域を作製した。まず、10mWのHe
−Neレーザを発振させるレーザ光源21を用いて試料
14の最表面から深さ100μmの位置に焦点を合わせ
て、シャッタ22により10s間だけ試料14の記録材
料12からなる層にレーザ照射して、前記焦点の位置に
第1の位置基準領域15を作製した。さらに、試料台2
6をZ軸方向に200μm上昇させて上記と同様の方法
により、図3(b)に拡大して示すように第2の位置基
準領域15を形成し、これを繰り返すことにより200
μmの間隔で5個の位置基準領域15を形成し、本発明
に係る記録再生装置で用いられる3次元光記録媒体10
を作製した。
【0050】ここで、位置基準領域15は、その後に照
射される記録光あるいは再生光によって変化しない程度
に安定させることが望ましい。したがって、本第1実施
形態における第1実施例のように、光照射によって位置
基準領域15を作製する際にはこれらの記録光または再
生光と同程度のパワーかそれよりも大きなパワーにより
作製することが望ましい。
【0051】なお、上述の説明では記録材料12からな
る層を形成した後に、位置基準領域15を作製するもの
として説明したが、本発明はこれに限定されず、例え
ば、所定の光学特性を有する粒子を記録材料中に分散さ
せたものを3次元光記録媒体として用いても構わない。
【0052】4.基礎データの取得 図3(a)に示す装置を用いて得られた3次元光記録媒
体の位置基準領域の近傍に、レーザ照射したときの透過
光の光強度を測定し、この3次元光記録媒体の光透過特
性の基礎データを得た。
【0053】基礎データの取得においては、まず、3次
元光記録媒体の最表面から380μmの位置に焦点がく
るように試料台の位置を微調整した。微調整した位置か
ら試料台を40μm上昇させることにより、深さ380
μmから420μmの範囲に焦点を合わせた時の透過光
強度を測定した。その結果が図4の特性図に示されてい
る。なお、基礎データの取得時に3次元光記録媒体へ照
射する参照光は、ニュートラルデンシティフィルタ24
によって0.1mWの強度とした。
【0054】また、位置基準領域をより確実に検出し
て、図4に示すような基礎データを得るためには、記録
媒体の光学特性として吸光度が0.05以上、0.50
以下であることが望ましい。例えば、吸光度が0.05
未満であると応答速度が小さくなる可能性があり、0.
50を超えると検出器により検出される透過光の強度が
小さくなり、正確な透過光強度が検出できなくなる虞れ
がある。
【0055】5.記録工程 図3(a)に示す装置を用いて、そのレーザ光の焦点位
置が上記基礎データを取得した3次元光記録媒体の最表
面から400μmの深さになるように粗調整してそのと
きの3次元光記録媒体に対する前記参照光の透過光強度
を測定したところ、0.3であり、図4を参照してみる
と、400μmの位置に形成された位置基準領域から
1.5μm上方の位置に焦点があることが分かる。
【0056】このように、焦点の深さを測定した後に、
現在の焦点の深さと記録層の深さとの差1.5μm分だ
け試料台をZ軸方向に上昇させ、さらに、シャッタ22
を閉じた状態で試料台36をX軸方向にのみ20μmだ
け移動する。ニュートラルデンシティフィルタ24を取
り除いた後、強度10mWのレーザ光を10msの間だ
け記録光として3次元光記録媒体にレーザ照射すること
により3次元光記録媒体への情報の記録を行なった。
【0057】本実施例においては、1ビット分の記録で
あるが、さらにX軸方向あるいはY軸方向に試料台を所
定の距離ずつ移動させることにより、2次元的な記録を
行なうこともできる。あるいは、X軸方向、Y軸方向、
Z軸方向に同時に所定の距離移動させることにより、深
さを少しずつ変化させながら記録を行なうこともでき
る。
【0058】6.再生工程 記録された前記3次元光記録媒体の最表面から400μ
mの深さ位置に焦点が一致するように試料台の位置を粗
調整し、位置基準領域の近傍に焦点を合わせた前記参照
光を照射したところ、その強度は1.5であり、図4の
基礎データと比較すると、ちょうど位置基準領域の深さ
に焦点が一致する、すなわち記録が為された深さに対し
て0.7μm下方に焦点が設定されてることが確認でき
た。
【0059】この現在の焦点の深さと記録層の深さとの
差、0.7μm分だけ試料台をZ軸方向に下降させた。
さらに試料台をX軸方向に移動させ、位置基準領域から
20μm離れた位置上に再生光を照射したところ、前記
記録工程によって形成された記録箇所を検出することが
できた。また、位置基準領域として、既に情報が記録さ
れた領域を用いるとすると、記録領域に関する基礎デー
タに基づいて再生光の焦点が記録領域と一致するように
深さ方向の位置決めを行なえばよい。また、再生のとき
は、位置基準領域あるいは記録領域から深さ方向に数μ
m程度ずれた位置に焦点がくるように深さ方向の位置を
補正してもよい。
【0060】上記第1実施例は、Z軸方向に試料台を走
査する代わりに複数の波長の光を用いて、色収差を有す
るレンズとプリズムとを組み合わせることにより、焦点
位置をZ軸方向に走査し、このときの透過光の強度変化
を測定するように構成しても良い。また、試料と焦点と
の相対位置を変化させるために、試料台を走査する方法
を例示したが、アクチュエータ等を用いてレンズを走査
することにより焦点位置を走査することもできる。ま
た、上記第1実施例においては、試料台を互いに垂直な
X,Y,Zの3方向に走査したが、3次元光記録媒体が
ディスク形状である場合には、X−Y面方向の移動は径
方向および角度方向に試料台を走査すれば良い。
【0061】図5(a)は、図3(a)に示された装置
の変形例としての第2実施形態に係る3次元光記録媒体
の情報記録再生装置20Aを示す模式図である。図5
(a)に示すように、レーザ光源21と光学レンズ25
との間に、ビームスプリッタ29を配置することも可能
である。この場合には、透過光が3次元光記録媒体10
の裏面で反射し、その一部がビームスプリッタ29で進
行方向を変えて、3次元光記録媒体に対してレーザ光源
と同一側に配置された検出器28によって検出される。
この場合においては、3次元光記録媒体10の背面以降
に反射膜を形成することが望ましい。また、図示説明は
控えるが光検出器28の前にピンホールを設けても良
い。
【0062】なお、図5(a)に示す第2実施形態に係
る情報記録/再生装置においては、検出器28とビーム
スプリッタ29よりなる光学系が、光源21とビームエ
クスパンダ23との間に設けられているものとして説明
したが、本発明はこれに限定されず、図5(b)に示す
第2実施形態の変形例に係る情報記録/再生装置20B
のように、検出器28とビームスプリッタ29よりなる
光学系を、ニュートラルデンシティフィルタ24と対物
レンズ25との間に設けるようにしても良い。
【0063】上述した第1実施例に関連して異なる再生
工程と、異なる記録工程を説明するための第2実施例お
よび第3実施例について図6ないし図8を参照しながら
説明する。
【0064】第2実施例は、第1実施例において作成し
た試料に、第1実施例の記録工程により記録された情報
を再生する場合の例である。図6に示すように、例えば
2色性ビームスプリッタ33(メレスグリオ社製:BD
L001など)を用いて波長λ1(例えば580nm:
参照光)および波長λ2(例えば760nm:再生光)
の平行光をその光軸を一致させて、図7に示す対物レン
ズ34に同時に入射させる。
【0065】光源31および32としては、cwAr
レーザ励起の色素レーザを用いて、複屈折率フィルタを
用いて発振波長を選別し、さらに、NDフィルタを用い
て3次元光記録媒体に照射される強度が0.1mWにし
たものを用いている。色素としては、ローダミン6G
(λ1)とLDS751(λ2)を用いている。上記2
つの光が記録媒体10を透過した後、再び2色性ビーム
スプリッタ35を用いて各波長に分割される。
【0066】次に、2色性ビームスプリッタ35(メレ
スグリオ社製:BDL001など)を透過した波長λ1
の光の強度を、光軸上に配置された光検出器36を用い
て測定し、第1実施例の再生工程と同様の方法により、
波長λ1の光の焦点が位置基準に一致するように調整す
る。さらに、図示しない試料台を移動させて焦点位置を
再生したい情報の領域に移動する。このとき、図7に示
すように、波長λ1の光と波長λ2の光は対物レンズ3
4の色収差のために数μm程度異なる位置に焦点を結ぶ
ことになる。
【0067】すなわち、波長λ1の参照光の焦点を記録
領域に一致させると、波長λ2の再生光の焦点は記録領
域から僅かにずれた位置に集光される。記録領域の屈折
率が変化していることによって光が回折され、光軸上に
おける透過光強度が変化することによる効果は、照射光
の焦点が記録領域から光軸方向に僅かにずれた位置にあ
るときに最も顕著に現れるので、波長λ2の光の強度を
光軸上に配置された光検出器37を用いて読取ることに
より情報を再生することができる。例えば、図1(a)
に示すように、焦点位置がオンフォーカス(z=0)か
ら僅かにずれた位置において、検出光強度は記録されて
いないときの値から最も変化することになる(M.Sheik
Bahae et al., IEEE J. Quantum Electron.Vol.26,760,
1990)。再生光を検出する光検出器37は、現行のD
VD(Digital Versatile Disk)の再生と同様に分割さ
れた光検出器であっても良い。
【0068】次に、第1実施例とは異なる記録工程を含
む第3実施例について図6ないし図8を参照しながら説
明する。この第3実施例は、記録光および深さ合わせ用
の参照光の波長をλ1とし、記録確認に用いる再生光の
波長をλ2としている。第1実施例により作成した試料
に、情報あるいは位置基準領域を記録する際に、記録が
終了したことを確認するためのものである。
【0069】図6に示すように、例えば2色性ビームス
プリッタ33(メレスグリオ社製:BDL001など)
を用いて波長λ1(例えば580nm:参照光と記録
光)および波長λ2(例えば760nm:確認光)の平
行光をその光軸を一致させて、図7に示す対物レンズ3
4に同時に入射させる。
【0070】光源31および32としては、cwAr
レーザ励起の色素レーザを用いて、複屈折率フィルタを
用いて発振波長を選別し、さらにNDフィルタを用いて
3次元光記録媒体に照射される強度が0.1mWにした
ものを用いている。色素としては、ローダミン6G(λ
1)とLDS751(λ2)を用いている。
【0071】次に、記録媒体10を透過した後、2色性
ビームスプリッタ35(メレスグリオ社性:BDL00
1など)を透過した波長λ1の光の強度を光軸上に配置
された光検出器36を用いて測定し、第1実施例の記録
工程と同様の方法により、波長λ1の光の焦点が位置基
準領域に一致するように調整する。第1実施例の記録工
程と同様に、図示しない試料台を移動させて焦点位置を
記録したい情報の領域に移動させた後、波長λ1の光の
強度を10mWに変調し記録を開始する。このとき、図
7に示すように、波長λ1の光と波長λ2の光は対物レ
ンズ34の色収差のために数μm程度異なる位置に焦点
を結ぶことになる。
【0072】すなわち、波長λ1の光の焦点を記録領域
に一致させると、波長λ2の光は、記録領域から僅かに
ずれた位置に集光される。記録領域の屈折率が変化して
いることによって光が回折され、光軸上における透過光
強度が変化することによる効果は、照射光の焦点が記録
領域から光軸方向に僅かにずれた位置にあるときに最も
顕著に現れるので、波長λ2の光の強度を光軸上に配置
された光検出器37を用い読取ると、時間の経過と共に
図8の特性図に実線で示すよう5msほど経過した後、
検出出力が立ち下がり、記録が完了したことが分かる。
【0073】これに対して、波長λ1の光の焦点が記録
領域と一致しているときには光軸上に配置された光検出
器36で検出される光強度は記録の前後でほとんど変化
していない。したがって、波長λ1の記録光により情報
の記録を行なう際に、波長λ2の波形を検出することに
より、記録が完了したか否かをS/Nを良好にして判定
することができる。すなわち、波長λ2の光強度とし
て、実線の波形が検出されたときには記録が完了したこ
とになる。
【0074】上述した第2および第3実施例において、
2つの異なる波長を有する光を混合するために、特開平
8−339571号公報に開示されているような波長選
択用の被覆を有する2色性のプリズムを用いるようにし
ても良い。
【0075】また、上述した第2および第3実施例にお
いては、記録された情報を再生するときにも位置基準領
域近傍での深さの補正を行なうようにしたが、再生時に
は位置基準領域の代わりに情報を記録した領域を用いる
こともできる。すなわち、結局は、光を照射することに
より、光が照射された領域の物性を変化させるだけなの
で、位置基準領域を設ける動作と記録動作とは同一の動
作を用いるようにしても良い。
【0076】また、第2および第3実施例においては、
光源としてcwAr+レーザを用いたが、本発明はこれ
に限定されず、光源として半導体レーザを用いるように
しても良い。
【0077】次に、本発明に係る3次元光記録媒体の記
録/再生装置における深さ方向の光の焦点位置調整を実
現する手段を備えた第3ないし第6実施形態について図
9ないし12を用いて説明する。
【0078】図9は本発明の第3実施形態に係る3次元
光記録装置の主要部を示している。図9において、広い
スペクトルあるいは複数の発振線を有するレーザ41か
らの出射光は、レンズ43の有効口径よりも小さい有効
口径を有するコリーメータレンズ42により光線平行化
処理(コリメート)される。
【0079】ここで、光記録媒体44において、所定の
第1の深さ方向の位置にデータを書き込む場合には、書
き込むべきデータに応じた第1の波長にピークを有する
光を透過するように、波長選別装置45を動作させる。
この波長選別装置45を透過した特定の第1の波長にピ
ークを有する光のみをレンズ43に入射させることによ
り、所定の第1の深さ方向の位置にデータの書き込みを
することができる。
【0080】次に、光記録表面から異なる第2の深さ方
向の位置にデータを書き込む場合には、予め書き込むべ
き第2の深さ方向の位置に焦点を結ぶように、第2の波
長にピークを有する光のみを透過するように波長選別装
置45の状態を変化させておく。この波長選別装置45
にコリメートされた光を入射することにより第2の波長
にピークを有する光のみをレンズに入射させることがで
きる。
【0081】このようにして、ピークの異なる光毎に焦
点位置が異なることを利用してレンズと光記録媒体との
相対位置を変化させることなく、複数の深さ方向の位置
にビットの書き込み/読み出しを実現することが可能と
なる。
【0082】ここで、レンズ43として、波長により異
なる焦点距離を有する色収差レンズを用いることによ
り、レンズ43と光記録媒体44との間の距離を変化さ
せることなく、波長の異なるレーザ光の焦点を記録媒体
44における異なる深さ位置に合わせることができる。
【0083】図10は本発明の3次元記録/再生装置に
おける記録/再生原理の概略を示している。レーザから
出射された光は、波長選別装置45を介してデータの書
き込み/読み出しに対応する波長の光(λ1,λ2)の
みがレンズ43に入射される。
【0084】図10は本発明の第4実施形態に係る記録
/再生装置の主要部を示している。レーザ41からの出
射光は最低2本の分解可能な発振線を有している必要が
ある。このうち、一般的には波長の短い光を書き込み光
とし、波長の長い光を読み出し光として用いる。ただ
し、波長の短い光の強度Isが、波長の長い光の強度I
lに対して「Il>10・Is」の関係を満たすとき、
波長の長い光を書き込み光として用い、波長の短い光を
読み出し光として用いても良い。
【0085】 レーザ41からの出射光は、レンズ43
の有効口径よりも小さな有効口径を有するコリメータレ
ンズ42によりコリメートされる。レンズ43が色収差
を有するために、書き込み光の焦点が位置基準領域の
心になるようにレンズ43と光記録媒体44との距離を
合わせると、読み出し光はビットから光り記録媒体の深
さ方向に少しずれた位置に焦点を結ぶことになる。
【0086】光記録媒体からの透過・回折光は媒体下層
で反射され、その一部は、ハーフミラー47によりさら
に反射された後、光検出系46に送られる。光検出系4
6は、読み出し光のみに感度を有し、書き込み光に対し
ては感度を有しない光検出器を少なくとも備えることを
特徴としている。例えば、読み出し光のみを透過する波
長選別装置と光検出器とを少なくとも有することを特徴
とするものであれば良い。
【0087】図11は、図10と同様に第4実施形態に
係る記録/再生装置の主要部を示している。図10との
相違点は、光記録媒体44により透過・回折された読み
出し光を光検出系46に送る点である。図10の場合と
同様に、光検出系46は、読み出し光に対してのみに感
度を有し、書き込み光に対しては感度を有しない光検出
器を少なくとも備えることを特徴としている。
【0088】図10および図11は、第5実施形態に係
る記録/再生装置の主要部の構成でもある。広いスペク
トラムあるいは発振線を有するレーザ41からの出射光
は、レンズ43の有効口径よりも小さい有効口径を有す
るコリメータレンズ42によりコリメートされる。光記
録媒体44において、表面から異なる深さに書き込まれ
たデータを読み出すために、波長選別装置45の状態を
予め読み出すべきデータに応じた波長の光のみを透過す
るように変化させておく。
【0089】 この波長選別装置45にコリメートされ
た光を入射することにより、特定の波長を有する光のみ
をレンズに入射させることができる。レンズ43とし
て、波長により異なる焦点距離を有する色収差レンズを
用いることにより、レンズ43と光記録媒体44との間
の距離を変化させること無く、異なる深さにある位置基
準領域(情報記録領域)の近傍に読み出し光を集光する
ことができる。図10および図11においては、波長選
別装置45の位置は、光記録媒体44と光検出系46と
の間に置かれていても良い。
【0090】次に、本第5実施形態の作用について説明
する。本発明に係る記録/再生装置を用いると、レンズ
43と光記録媒体44の距離を変化させることなくレン
ズ43の色収差を利用して、光記録媒体の表面から異な
る深さ位置にデータを書き込むことができる。
【0091】波長選別装置45が、例えば液晶フィルタ
等のように複数の発振線を同時に透過するものであるな
らば、複数のデータを同時に書き込むことができる。あ
るいは、波長選別装置45が、例えば回転プリズムのよ
うに単一の発振線のみを透過するならば、データを1つ
ずつ書き込むことができる。
【0092】 また、本発明に係る記録/再生装置を用
いると、書き込み光を位置基準領域の中心に集光させ、
読み出し光を位置基準領域の中心から深さ方向に僅かに
ずれた位置に集光させることにより、レンズと記録媒体
との間の距離を変化させることなく、書き込みおよび書
き込み確認を行なうことができる。
【0093】例えば、波長選別装置45から2つの異な
る波長の光を同時に透過させることにより、常に書き込
みが完了しているを確認することができる。この場合、
2つの光による干渉縞ができないように、読み出し光強
度Irは、書き込み光強度Iwに対して充分に小さいこ
とが望ましい。特に、「Ir<Iw/100」のような
関係に設定することが望ましい。あるいは、波長選別装
置45から書き込み光を一定時間(T秒)透過させた
後、短時間(T秒以下で最大1ms程度)読み出し光を
透過させることにより、書き込みが完了しているかを確
認することができる。
【0094】 次に、本発明の第6実施形態に係る3次
元光記録媒体の記録/再生方法について図面を参照しな
がら説明する。図12は、第6実施形態に係る記録/再
生方法を示すフローチャートである。従来の方法によれ
ば、1ビットの情報毎にレンズまたは光記録媒体の位置
を変えて光記録媒体に書き込み読み出しを行なわなけれ
ばならなかったが、本発明によれば、一旦レンズおよび
光記録媒体の位置を決定(ステップS1)した後、1ビ
ットの情報の書き込み/読み出し等を行ない、しかる後
にレーザ、波長選別装置等を介して波長の異なる光に切
り替えて(ステップS4)、光記録媒体の深さ方向の異
なる位置に1ビットの情報書き込み/読み出しを行な
う。さらに続けて、情報の書き込み、読み出しを行なう
場合には、光記録媒体の径方向、周方向にレンズ、光記
録媒体を移動させて位置切り替えを行ない(ステップS
6)、新たに1ビットの情報の書き込み/読み出しを繰
り返すものとする。
【0095】 本発明の記録再生装置および方法を用い
ると、色収差を有するレンズに波長の異なる読み出し光
を入射することにより、記録媒体表面と異なる深さに書
き込まれたビットの情報をレンズと記録媒体との距離
を変化させることなく読み出すことができる。
【0096】なお、本発明は上記実施形態に制限される
ことなく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実
施することが可能である。例えば、上記第1ないし第6
実施形態においては、光を集光するためにレンズを用い
た例を示したが、レンズの代わりに音響光学効果を用い
た集光装置を用いても良い。この場合には、充分に大き
な色収差を持たせるために、音響レンズの状態を順次変
化させて、異なる深さのビットに1つずつアクセスする
ことが望ましい。
【0097】また、上記第3ないし第6実施形態におい
ては、広いスペクトルまたは複数の発振線を有するレー
ザと波長選別装置を用いていたが、例えば、注入電流変
調や外部共振器による波長変調により、その発振周波数
を変化させることができる発信装置を用いることもでき
る。あるいは、特徴の異なる複数のレーザを用いても良
い。
【0098】 3次元光記録媒体では、深さ方向にもデ
ータを記録するために、レンズを用いて記録媒体内にレ
ーザ光を集光する必要がある。従来の単一波長のレーザ
と色収差のないレンズとを組み合わせた記録/再生装置
/方法においては、記録媒体と異なる深さ方向に特定の
ビットの情報を書き込む、あるいは読み出すときに
は、レンズと記録媒体との距離を変化させる必要があ
る。
【0099】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、位相・強度変調板などの付加的な構成を必要とし
ないため、今まで広く用いられてきた光記録再生装置を
共用することができるようになり、しかも、装置自体を
全体的に小型化することができるという効果を奏する。
【0100】また、3次元記録媒体の情報記録/再生装
置における記録光または再生光の焦点位置を深さ方向に
精度良く合わせることができ、3次元光記録媒体に情報
を記録する際も、3次元光記録媒体から情報を読出す際
にも、高精度な情報の記録/再生が特に深さ方向で実現
できるという効果も奏する。
【0101】さらに、3次元光記録媒体の深さの異なる
複数層に対してデータの記録/再生を行なう場合には、
異なる深さ毎に対物レンズと記録媒体との間の距離を調
整しなければならないが、この調整に際してレンズの色
収差を用いることにより調整に要する時間を短縮し、装
置全体としてデータの記録/再生の高速化を図ることが
できるという効果も奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る3次元光記録媒体に光を照射した
ときの(a)透過特性を示す特性図とこれに対応する
(b)媒体の位置関係を示す断面図である。
【図2】(a)3次元記録媒体の製造方法と(b)製造
された媒体をそれぞれ示す説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る3次元光記録媒体
の記録/再生装置の(a)概略構成と(b)拡大された
要部をそれぞれ示す断面図である。
【図4】第1実施形態で用いた3次元光記録媒体の透過
特性図である。
【図5】(a)本発明の第2実施形態に係る3次元光記
録媒体の記録/再生装置の概略構成を示す断面図、
(b)光学系を異なる位置に設けた変形例に係る情報記
録/再生装置を示す断面図である。
【図6】本発明の第2および第3実施例に係る記録/再
生装置の構成を示す模式図である。
【図7】本発明の第2および第3実施例に係る記録/再
生装置の構成を示す模式図である。
【図8】第2および第3実施例の特性を比較例の特性と
共に示す特性図である。
【図9】本発明に係る記録/再生装置の第3実施形態の
主要部の構成を示す模式図である。
【図10】本発明に係る記録/再生装置の第4および第
5実施形態の主要部の構成を示す模式図である。
【図11】本発明に係る記録/再生装置の第4および第
5実施形態の主要部の構成を示す模式図である。
【図12】本発明の第6実施形態に係る記録/再生装置
の動作を示すフローチャートである。
【図13】従来の記録/再生装置の主要部を示す模式図
である。
【符号の説明】
10 3次元光記録媒体 12 記憶材料 15 位置基準領域 21 光照射手段(レーザ光源) 23 ビームエクスパンダ 24 光強度調整手段(ニュートラルデンシティフィル
タ) 25 集光手段(対物レンズ) 26 試料台 27 移動手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−126335(JP,A) 特開 平3−49054(JP,A) 特開 平2−308431(JP,A) 特開 昭53−135604(JP,A) 特開 昭62−271236(JP,A) 特表 平11−501143(JP,A) 国際公開97/023872(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/004 G11B 7/09 G11B 7/125 G11B 7/135

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】情報を3次元に記録可能な記録可能領域の
    所定位置に該記録可能領域とは光学特性の異なる位置基
    準領域が設けられた3次元光記録媒体に、この媒体を透
    過する記録光により情報を記録する情報記録装置であっ
    て、 前記3次元光記録媒体の前記位置基準領域の近傍に合焦
    する光ビームが該媒体を透過するように照射する光源
    と、 前記3次元記録媒体を透過した前記光ビームの強度を検
    出する検出手段と、 前記検出手段により得られた媒体透過光ビーム強度の検
    出結果に基づいて、前記光源から照射されて前記媒体を
    透過する光ビームの該媒体における焦点位置を移動させ
    る移動手段と、 前記光源から前記媒体に照射されて該媒体を透過する光
    ビームを、記録できる強度に変化させて前記記録光とし
    て、前記記録可能領域に記録領域を形成する光強度調整
    手段と、 を備えることを特徴とする情報記録装置。
  2. 【請求項2】情報を3次元に記録可能な記録可能領域を
    有する3次元光記録媒体に記録された情報を、この媒体
    を透過する再生光により再生する情報再生装置であっ
    て、 前記媒体の所定位置に合焦させ、かつ、前記媒体を透過
    させるように前記再生光として光ビームを照射する光源
    と、 前記光源から出射された前記光ビームを、前記媒体の所
    定位置に設けられた前記記録可能領域とは光学特性の異
    なる位置基準領域および該記録可能領域に情報を記録し
    た記録領域の少なくとも何れか一方の領域の近傍に合焦
    させて集光する集光手段と、 前記媒体を透過した光ビームの強度を検出する検出手段
    と、 前記検出手段により得られた媒体透過光ビーム強度の検
    出結果に基づいて、前記光源から照射されて前記媒体を
    透過する光ビームの該媒体における焦点位置を移動させ
    る移動手段と、 前記光源から前記媒体に照射される前記再生光の透過光
    強度を検出することにより前記媒体に記録された前記情
    報の再生を行う再生手段と、 を備えることを特徴とする情報再生装置。
  3. 【請求項3】情報を3次元に記録可能な記録可能領域の
    所定位置に該記録可能領域とは光学特性の異なる位置基
    準領域が設けられた3次元光記録媒体に、この媒体を透
    過する記録光により情報を記録する情報記録装置であっ
    て、 第1の波長を有する位置決め用の参照光と、前記第1の
    波長と前記参照光よりも強い光強度を有する情報記録用
    の記録光と、前記第1の波長とは異なる第2の波長を有
    する情報記録確認用の確認光と、を少なくとも含む波長
    および光強度の異なる光を前記媒体を透過するように照
    射する光照射手段と、 前記光照射手段より前記第1の波長で出射された前記参
    照光を前記位置基準領域の近傍に合焦させて集光すると
    共に、前記第1および第2の波長で前記光照射手段より
    それぞれ出射された前記記録光および確認光を互いに僅
    かにずれた位置に合焦させて集光する集光手段と、 前記媒体を透過した前記参照光の強度を検出する検出手
    段と、 前記検出手段により検出された、前記媒体を透過した前
    記参照光の強度の検出結果に基づいて、前記光照射手段
    から照射されて前記媒体を透過する前記記録光の該媒体
    における焦点位置を移動させる移動手段と、 を備え、 前記光照射手段から前記媒体に照射されて該媒体を透過
    する前記記録光を照射して前記記録可能領域に情報を記
    録すると共に、前記媒体を透過した前記第2の波長を有
    する前記確認光の光強度を検出することにより、前記情
    報の記録の完了を確認することを特徴とする情報記録装
    置。
  4. 【請求項4】情報を3次元に記録可能な記録可能領域を
    有する3次元光記録媒体に記録された情報を、この媒体
    を透過する再生光により再生する情報再生装置であっ
    て、 第1の波長を有する位置決め用の参照光と、第2の波長
    を有し情報の再生に充分な強度を有する情報再生用の再
    生光とを少なくとも含む波長の異なる光を前記媒体を透
    過するように照射する光照射手段と、 前記光照射手段から前記第1の波長で出射された前記参
    照光を前記媒体の所定位置に設けられた前記記録可能領
    域とは光学特性の異なる位置基準領域および情報を記録
    した記録領域の少なくとも一方の近傍に合焦させて集光
    すると共に、前記第2の波長で前記光照射手段より出射
    された前記再生光を前記参照光の合焦位置とは異なる位
    置に合焦させて集光する集光手段と、 前記媒体を透過した前記参照光の強度を検出する検出手
    段と、 前記検出手段により検出された前記媒体を透過した前記
    参照光の強度の検出結果に基づいて、前記光照射手段か
    ら照射されて前記媒体を透過する前記再生光のの該媒体
    における焦点位置を移動させる移動手段と、 前記光照射手段から前記媒体に照射される前記再生光の
    透過光強度を検出することにより前記媒体に記録された
    前記情報の再生を行う再生手段と、 を備えることを特徴とする情報再生装置。
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