JP3480884B2 - オンラインバイオセンサー - Google Patents

オンラインバイオセンサー

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JP3480884B2
JP3480884B2 JP26230796A JP26230796A JP3480884B2 JP 3480884 B2 JP3480884 B2 JP 3480884B2 JP 26230796 A JP26230796 A JP 26230796A JP 26230796 A JP26230796 A JP 26230796A JP 3480884 B2 JP3480884 B2 JP 3480884B2
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慶一 鳥光
勉 堀内
雅夫 森田
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は培養細胞や脳内の微
小組織など微小領域での生体関連物質の定量測定を目的
としたバイオセンサーに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、神経科学や分子生物学などの発展
により、生体内の微小領域に含まれる生理活性物質をリ
アルタイムで計測しようという試みが数多くなされてい
る。その中で電気化学的な分析法は、(1)微少量の計
測に適している、(2)感度が比較的高い、(3)選択
的な膜や酵素などで電極を修飾することにより高選択的
な測定が可能である、(4)簡便で低価格のセンサーを
作製することができる、などの特徴を有している。神経
伝達物質の中でドーパミン、ノルエピネフリンなどのカ
テコールアミンやセロトニンなどのインドールアミン、
及びその代謝物は電気化学的に直接酸化することができ
る〔例えば、T.J.シュレーダー(T.J.Schroeder)、
J.A.ヤンコウスキー(J.A.Jankowski)、K.T.カ
ワゴー(K.T.Kawagoe)、R.M.ワイトマン(R.M.Wigh
tman) 、C.レフロウ(C.Lefrou)、及びC.アマトア
(C.Amatore)、アナリチカル ケミストリー(Analytic
al Chemistry) 、第64巻、第3077〜3083頁
(1992)〕。一方、アセチルコリン、コリンやグル
タミン酸などの伝達物質は電極上で直接電気化学反応せ
ず、光に対する感度も低い。しかしながら、コリンやグ
ルタミン酸に対しては酸化酵素が市販されており、酸素
を含む溶液中で酵素反応によって酸化され、電気化学的
に容易に酸化あるいは還元することができる過酸化水素
を生じるために白金電極やメディエータで修飾した電極
を利用して検出されている〔例えば、Y.フー(Y.Hu)
、K.M.ミッチェル(K.M.Mitchell) 、F.N.ア
ルバハダイリイ(F.N.Albahadily) 、E.K.ミケリス
(E.K.Michelis) 、及びG.S.ウイルソン(G.S.Wils
on) 、ブレイン リサーチ(Brain Research) 、第65
9巻、第117〜125頁(1994)〕。また、アセ
チルコリンについては、アセチルコリンエステラーゼ
(酵素)を用いて一度コリンに変換したのち、コリン酸
化酵素(酸化酵素)により過酸化水素を発生させ、それ
を電気化学的に測定してアセチルコリンの量を定量する
ことができる。
【0003】一方、グリシン、アスパラギン酸などのア
ミノ酸、γ−アミノ酪酸(以下、GABAと略記する)
などは選択的に反応する酸化酵素や、アセチルコリンの
場合のように、酸化酵素の反応が起る分子へ変換するた
めの良い酵素がないため、これらの分子を連続的に測定
するのは困難である。現状では、アミノ酸やGABAを
含む溶液にOPAなどの誘導体化試薬を加えて一定時間
反応させ、その後高速液体クロマトグラフィやキャピラ
リ電気泳動装置などで分離した後、電気化学的、あるい
は蛍光法により検出が行われている。近年、動物の脳、
神経系における神経伝達物質の検出にはリアルタイムで
微少量の試料を高感度に分析する技術が要求されてい
る。培養神経細胞の計測においては、刺激に対応した神
経伝達物質の放出が細胞外の伝達物質濃度を微小電極を
用いることによりカテコールアミンやセロトニンについ
ては単一細胞レベルでリアルタイムに計測できるように
なってきている。また、生体内〔イン ビボ(inviv
o)〕計測においても動物の行動と脳内神経伝達物質濃度
の関係を図2に示すようにマイクロダイヤリシスなどの
インビボプローブで採取した溶液をオンラインでフロー
センサーに送り込むことにより、リアルタイム計測を行
うことができる〔例えば、W.J.アルベリイ(W.J.Al
bery) 、M.G.ボウテル(M.G.Boutelle) 、P.T.
ガレイ(P.T.Galley) 、ジャーナル オブ ケミカル
ソサィエティ、ケミカル コミュニケーションズ(J.Ch
em.Soc.,Chem.Commun.) 、1992年、第900頁〕。
なお、図2は、従来のマイクロダイヤリシスプローブと
オンラインフローセンサーを組合せた脳内神経伝達物質
の測定の模式図である。更に、コリン酸化酵素やグルタ
ミン酸酸化酵素を修飾した電極を脳内組織に直接挿入す
ることにより伝達物質濃度のリアルタイム計測が行われ
ている〔例えば、M.G.ガルギーロ(M.G.Garguilo)
及びA.C.ミカエル(A.C.Michael)、ジャーナル オ
ブ アメリカン ケミカル ソサィエティ(J.Am.Chem.
Soc.) 、第115巻、第12218頁(1993)〕。
これらの方法では、液体クロマトグラフィに比べ、より
短い時間範囲での脳内伝達物質濃度を計測することがで
きることに加え、誘導体化などの処理をする必要がない
ために微少量の試料の分析に適するなどの特徴を有す
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、神経伝達物質の
中でGABAは中枢神経における代表的な抑制性の伝達
物質として数多く研究がなされているが、GABAを直
接酸化検出することができる酵素がないために、ほとん
どの場合、誘導体化反応と液体クロマトグラフィを組合
せて測定を行っているのが現状である。このため、細胞
外に放出されるGABAの濃度をリアルタイムに検出す
ることができない。一方、GABAと反応する酵素とし
てγ−アミノブチレート−ケトグルタレートアミノトラ
ンスフェラーゼ(以下、GABA−Tと略記する)とス
クシン セミアルデヒド ジヒドロゲナーゼ(以下、S
SDHと略記する)の2種類の酵素の混合物であるギャ
バーゼ(Gabase) が市販されており、下記式(化1)
(化2)で示すような反応を起す。
【0005】
【化1】GABA+α−ケトグルタレート → (GA
BA−T/SSDH) → スクシン セミアルデヒド
(SSA)+グルタミン酸(Glu)
【0006】
【化2】SSA+NADP+H2 O → スクシネート
+NADPH
【0007】上記式(化2)中、NADPはニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドリン酸、NADPHはジヒ
ドロニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の略
号である。
【0008】この一連の反応において、生成物を酵素反
応に伴う吸光度変換により測定している〔M.L.セシ
(M.L.Sethi)、ジャーナル オブ ファーマシュウチカ
ルアンド バイオメジカル アナリシス(J.Pharmaceut
ical & Biomedical Analysis) 、第11巻、第613〜
617頁(1993)〕。しかしながら、光吸収法は感
度も劣り、測定には30分以上の時間が必要である。更
に、GABAレセプターを有する培養神経細胞をそのま
まセンサーに用いて、GABA濃度の変化を細胞の電位
変化として測定することにより、リアルタイム測定が可
能であるが、この方法では細胞の寿命によりセンサーの
寿命が決まってしまうこと、センサーの作製に細胞培養
技術などが必要で作製が難しい、定量性に劣るなどの問
題点があった。本発明の目的は、このような問題点を解
決し、GABAのリアルタイム測定を実現するためのG
ABA検出用オンラインバイオセンサーを提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、本
発明の第1の発明はオンラインバイオセンサーに関する
発明であって、試料をサンプリングする設備、その下流
グルタミン酸酸化酵素、及び過酸化水素を分解する酵
素を固定化したプレカラム、更にその下流に少なくとも
ギャバーゼ/グルタミン酸酸化酵素により修飾された電
を内蔵したフローセル、及び電流値測定機器を有し、
電解質含有水溶液を送液として各設備を連結し、該送液
を移動させる手段を有してなるオンラインバイオセンサ
ーにおいて、該送液の少なくとも一部がα−ケトグルタ
レートを含むことを特徴とする。本発明の第2の発明
は、他のオンラインバイオセンサーに関する発明であっ
て、試料をサンプリングする設備、その下流にグルタミ
ン酸酸化酵素を固定化したプレカラム、そのまた下流に
生成した過酸化水素を除去するための電解用電極、更に
その下流に少なくともギャバーゼ/グルタミン酸酸化酵
素により修飾された電極を内蔵したフローセル、及び電
流値測定機器を有し、電解質含有水溶液を送液として各
設備を連結し、該送液を移動させる手段を有してなるオ
ンラインバイオセンサーにおいて、該送液の少なくとも
一部がα−ケトグルタレートを含むことを特徴とする。
本発明の第3の発明は、更に他のオンラインバイオセン
サーに関する発明であって、上記した第1又は第2の発
明において、電極としてバルク又は薄膜の導電体を用
い、電極とギャバーゼ/グルタミン酸酸化酵素層の間に
西洋ワサビペルオキシダーゼを複合したメディエータ層
を介在させ、酵素反応によって発生した過酸化水素を還
元して検出することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のオンラインバイオセンサーの構造と検出反
応の模式図を図1に示す。図1において、GluOxは
グルタミン酸酸化酵素、HRPは西洋ワサビペルオキシ
ダーゼを意味する。従来、GABAの定量ではOPAの
ような蛍光試薬を用いて誘導体化したのち高速液体クロ
マトグラフィにより検出を行うか、あるいは式(化
1)、(化2)の反応に伴うスペクトル変化により測定
を行ってきたが、式(化1)の1段階目の反応でGAB
Aがスクシン セミアルデヒド(SSA)に変換される
反応と等価にα−ケトグルタレートより生成するグルタ
ミン酸(Glu)の濃度をグルタミン酸センサー〔丹羽
修(O.Niwa) 、鳥光慶一(K.Torimitsu)、森田雅夫
(M.Morita) 、P.G.オズボーン(P.G.Osborne)、及
びK.山本(K.Yamamoto) 、アナリチカル ケミストリ
ー、第68巻、第1865〜1870頁(1996)〕
により評価することにより、GABAの連続的な測定が
可能になる。グルタミン酸ではその酸化酵素が精製、市
販されており、GABAに比較し容易に高感度測定がで
きる。式(化1)の反応によりGABAをグルタミン酸
に変換した場合、本来細胞外液に存在するグルタミン酸
とGABAの酵素反応によって変換されたグルタミン酸
を区別できないが、電極の前にグルタミン酸酸化酵素と
カタラーゼ(あるいはペルオキシダーゼ)を固定したビ
ーズを充てんしたカラムを入れることにより、グルタミ
ン酸を酸化分解し、生成した過酸化水素もカタラーゼ
(ペルオキシダーゼ)により分解することができる。あ
るいは、生成した過酸化水素をカタラーゼなどの酵素を
用いずに、グルタミン酸酸化酵素を充てんしたプレカラ
ムと電極の間に細い白金チューブを挿入し、銀/塩化銀
電極に対して0.5V程度の電位を印加し、本来試料中
に存在するグルタミン酸のプレカラム内での反応により
生じた過酸化水素を除くことができる。これらの反応に
より細胞外に元々存在するグルタミン酸の影響を除い
て、GABAの量に対応した測定をオンラインで行うこ
とができる特徴を有している。更に、前電解用電極を用
いると生体中に多量に存在するL−アスコルビン酸によ
る妨害を除く効果もある。
【0011】
【実施例】以下、実施例及び図面を参照して本発明を更
に具体的に説明する。なお本発明は以下の実施例のみに
限定されるものではない。
【0012】実施例1 グラッシーカーボン(GC)電極〔バイオアナリチカル
システムズ(Bioanalytical systems)社製、直径6m
m〕の表面に過酸化水素を低い電位で還元する性質を有
する西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を含むオス
ミウム(Os)ポリビニルピリジン酸還元ポリマー(O
sポリマー)(バイオアナリチカル システムズ社製)
をコートし、乾燥させて薄膜(メディエータ層)を形成
した。次に、ギャバーゼ(シグマ社製)とグルタミン酸
酸化酵素(ヤマサ醤油社製)を合せて2%の濃度になる
ように2%牛血清アルブミン溶液に溶解させたのち架橋
剤としてグルタルアルデヒドを0.2%の濃度になるよ
うに加え、4μlを電極上にキャストした。一方、10
00mgのアミノプロピル化したビーズ上にグルタミン
酸酸化酵素200ユニット/1ml、カタラーゼ200
ユニット/1mlと混合し、リン酸緩衝生理食塩水を加
えて100mlとした後、25%のグルタルアルデヒド
を2ml加えて4℃で20時間かくはんしビーズにグル
タミン酸酸化酵素とカタラーゼを固定化した。その後、
長さ2.5cm、内径1mmのポリエチレンチューブに
固定化したビーズを充てんした後、チューブの両方の末
端をフェルトにより、栓をして酵素リアクター(プレカ
ラム)を作製した。作製した電極の模式図を図3に、及
びプレカムの模式図を図4に示す。この電極とプレカ
ラムを用いて図5に示すオンラインセンサーを形成し
た。図5において、送液にはシリンジポンプを用い、一
方のシリンジ内(ブランク側)に0.1mMのα−ケト
グルタレートを含むリン酸緩衝生理食塩水を、もう一方
のシリンジ(試料側)内には種々の濃度のGABAと
0.1mMのα−ケトグルタレートを含むリン酸緩衝生
理食塩水を満たした。測定は電極の電位を0V(vs A
g/AgCl)に保ち、流速16μl/minでまずα
−ケトグルタレートのみを含むリン酸緩衝生理食塩水を
送液した後、GABAを含む溶液に切り替えた。溶液を
切り替えて2分後に還元電流が流れ始め、その後定常状
態の電流が得られた。次に溶液をまた、緩衝溶液に切り
替えると2分後に電流は減少した。この定常状態の電流
は、α−ケトグルタレート単独、あるいはGABA単独
を送液しても観測されず、式(化1)のGABA−Tに
よる酵素反応でグルタミン酸(Glu)が生成した後、
グルタミン酸酸化酵素で酸化され電極で検出されている
ことが分かった。図6にGABA濃度(横軸、μM)と
得られる限界電流(縦軸、nA)の関係を示す。図6に
示すように、1〜100μMの範囲で良好な直線性が得
られた。一方、試料側にGABAの代りに1μMのグル
タミン酸を入れて測定を行うと還元電流は全く観測され
ず、グルタミン酸、及びその電気化学活性な酵素反応生
成物である過酸化水素はすべてプレカラム内で反応して
消費されていることが分かった。この結果より本発明の
センサーを用いることによりGABAのみを選択的に検
出することができることが分かった。このセンサーの試
料側のシリンジの回路に図5に示すようにマイクロダイ
ヤリシスチューブを接続した。試料側シリンジにリン酸
緩衝生理食塩水、ブランク側のシリンジに0.1mMの
α−ケトグルタレートを含むリン酸緩衝生理食塩水を入
れ、試料側シリンジを流速4μl/min、ブランク側
シリンジを12μl/minで送液し、マイクロダイヤ
リシスチューブをGABA30μMを含むリン酸緩衝生
理食塩水中に浸漬すると、3分後に還元電流が増加し始
め、0.1nAの定常状態電流が観測された。
【0013】実施例2 ガラス基板上にメタルマスクを重ね、スパッタ法により
タン及び白金を順に堆積させた。電極は直径6mmの
白金薄膜電極に幅2mm、長さ3cmのリード用薄膜を
有する構造とした。この電極上に実施例1と同様な方法
によりギャバーゼ(シグマ社製)とグルタミン酸酸化酵
素(ヤマサ醤油社製)を含む牛血清アルブミン架橋膜を
作製した。この電極と実施例1に示したプレカラムを用
いて図5と同様なオンラインセンサーを組立てた。実施
例1と異なり白金チューブ(内径100μm、長さ4c
m)をプレカラムの前に挟んで、電気化学活性な妨害物
質であるL−アスコルビン酸を酸化するための前電解用
電極として利用した。測定は実施例1と同様な流速と
し、白金チューブ電極に0.3V、測定用電極に0.5
Vの電位を印加した。ブランク側からGABAを含む試
料側溶液にシリンジを切り替えることにより、還元電流
の増加が観測された。また、試料溶液側に10μMのG
ABAと40μMのL−アスコルビン酸を含む溶液を入
れて測定を行うと還元側の電流値はL−アスコルビン酸
を含まない場合に比較し約50%の応答が得られた。一
方、白金チューブを用いずに測定を行うと、還元電流は
全く得ることができなかった。一方このセンサーの試料
側シリンジに2μMのグルタミン酸を入れて測定を行っ
ても還元電流は得られず、このGABA計測用センサー
はグルタミン酸の妨害を除去してGABAのみを選択的
に検出できることが分かった。
【0014】実施例3 実施例1と同様な方法により、ギャバーゼ−グルタミン
酸酸化酵素とHRP−Os−gelの2層膜で修飾され
たグラッシーカーボン電極、及びグルタミン酸酸化酵
素、カタラーゼを固定化したプレカラムを作製した。こ
の電極とプレカラムを用いて図7に示すオンラインセン
サーを形成した。図7において、溶液のサンプリング部
は内径0.7mmのガラスキャピラリをマイクロピペッ
ト製作器(成茂製)により溶融延伸することにより先端
内径15μmのサンプリング部分を作製し、内径約10
0μmのテフロンチューブ(CMAマイクロダイヤリシ
ス社製)を延伸した側の反対側から奥まで差し込んでエ
ポキシ樹脂により封入して作製した。このサンプリング
キャピラリ付きテフロンチューブをグルタミン酸酸化酵
素/カタラーゼを固定したプレカラムに接続した後、ギ
ャバーゼ/グルタミン酸酸化酵素膜/Os−gel−H
RP膜により修飾された電極をセットした薄層セルに接
続した。また、フローセルの出口側をテフロン細管を介
してシリンジポンプに接続し、吸引することによりオン
ラインセンサーを駆動した。また同じサンプリングキャ
ピラリをもう一本用意し、先端を0.1mMα−ケトグ
ルタレートを含むリン酸緩衝生理食塩水中に浸漬させ、
テフロンチューブ側をプレカラムの流側でT字管によ
り合流させた。サンプリングキャピラリをグルタミン酸
1μMを含む溶液に浸漬し、シリンジを8μl/min
で駆動し、電極に0mVの電位を印加して測定を行っ
た。プレカラムでグルタミン酸が効果的に除去されたた
めに、溶液が電極に到達しても電流変化は全く観測され
なかった。次に、試料溶液濃度が2μMになるようにG
ABAを加えて測定を行うと、4分後に還元電流が増加
し始め0.3nAの定常状態の電流が観測された。一
方、図7のセンサーから、α−ケトグルタレート溶液の
合流回路を取り除いて、GABA2μMを含む溶液の測
定を行うと、酵素(GABA−T)の反応が進行せず、
電流が観測されなかった。一方、試料溶液をGABA2
μM、グルタミン酸20μMを含む溶液に変更すると
0.2nAの還元電流が得られた。グルタミン酸だけを
測定しても反応によりグルタミン酸と生成物の過酸化水
素が消費され電流が観測されないことから、得られた電
流はGABAの酵素反応によるものと考えられる。これ
は、GABAの酵素反応に必要なα−ケトグルタレート
を加えない場合でも、試料溶液中にグルタミン酸が存在
すれば、グルタミン酸の酵素反応によりα−ケトグルタ
レートが多量に生成し、これが電極上でGABAの酵素
反応に使われるためにGABAを定量的に検出できるこ
とが分かった。
【0015】実施例4 実施例1と同様な方法により、ギャバーゼ−グルタミン
酸酸化酵素とHRP−Os−gelの2層膜で修飾され
たグラッシーカーボン電極、及びグルタミン酸酸化酵
素、カタラーゼを固定化したプレカラムを作製した。実
施例3の図7と同様なオンライン酵素センサーを組立
て、細胞外液のGABA計測を応用した。試料として、
ラット大脳の神経細胞をシャーレ上に20日間培養し
た。この培養細胞にマニピュレーターを用いてキャピラ
リを近接させて細胞近傍の溶液を連続サンプリングしな
がら、もう一本のキャピラリから100mMの塩化カリ
ウム水溶液により細胞を刺激すると、3分後に電流値が
0.5nA減少(還元電流である負の電流が増大)し
た。これは神経細胞の刺激によるGABA放出を本発明
によるGABAセンサーにより連続的に測定することが
できることを示している。
【0016】実施例5 図8は、本発明によるオンラインバイオセンサーの一実
施例による構成を説明する概略図である。プレカラムと
して内径1mm、長さ2.5cmのテフロンチューブに
グルタミン酸酸化酵素を固定化したビーズを充てんし
た。実施例3で使用したものと同様のサンプリングキャ
ピラリをプレカラムに接続し、その下流に内径100μ
m(長さ4cm)の白金チューブを介した後薄層フロー
セルに接続した。GABA検出用電極は実施例1と同様
なものを使用した。また、白金チューブの下流に合流回
路を設け、0.1mMのα−ケトグルタレートを含むリ
ン酸緩衝生理食塩水を合流させた。流速16μml/m
inでキャピラリを吸引し、試料溶液にグルタミン酸1
μM、GABA2μM、L−アスコルビン酸10μMに
なるように各溶液を注入した。測定は白金電極に500
mV、GABA測定用電極に0mMの電位を印加して行
った。各溶液を試料側の溶液に注入して約3分で還元電
流が増加し始め0.3nAの大きさに達した。GABA
を入れていない溶液では電流値の変化は観測されずグル
タミン酸はプレカラムの酵素反応で消費され、酵素反応
生成物である過酸化水素とL−アスコルビン酸はL−ア
スコルビン酸による過酸化水素の還元反応、及び白金チ
ューブ電極での両者の電気化学的酸化反応により消費さ
れていることが分かった。
【0017】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によるGA
BAセンサーでは従来、一般的にGABA測定に利用さ
れてきた誘導体化反応によって蛍光あるいは電気化学的
検出可能な構造に変換した後、液体クロマトグラフィ等
により分析する検出法に比較し、よりリアルタイムに近
い形で連続的にGABAを計測することができる特徴を
有する。また、ギャバーゼを用いて色変化で検出する方
法に比較しても、より短時間で高感度な測定が可能であ
る。更に、リアルタイム計測として知られる、GABA
レセプターを有する細胞とパッチクランプ法などの細胞
の膜電位測定法を組合せたセンサーに比較しても、細胞
培養などの技術が不要で、センサーの安定性や定量性に
優れるなどの利点を数多く有しており、脳神経科学や医
療用センサーとして極めて利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のオンラインバイオセンサーの構造と検
出反応のフローを示す模式図である。
【図2】マイクロダイヤリシスプローブとオンラインフ
ローセンサーを組合せた脳内神経伝達物質の測定の基本
構造を示す模式図である。
【図3】GABA検出用電極の構造を示す模式図であ
る。
【図4】酵素反応プレカラムの構造を示す模式図であ
る。
【図5】実施例1に記載したGABA測定用オンライン
フローセンサーの構造を示す模式図である。
【図6】実施例1に記載したセンサーを用いて測定した
GABA濃度と得られる還元電流の関係を示すグラフで
ある。
【図7】実施例3に記載したGABA測定用オンライン
フローセンサーの構造を示す模式図である。
【図8】実施例5に記載したGABA測定用オンライン
フローセンサーの構造を示す模式図である。
フロントページの続き (72)発明者 森田 雅夫 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 栗田 僚二 東京都武蔵野市御殿山一丁目1番3号 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロ ジ株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−38844(JP,A) 特開 平8−136496(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 27/26 - 27/49 C12Q 1/00 - 3/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料をサンプリングする設備、その下流
    グルタミン酸酸化酵素、及び過酸化水素を分解する酵
    素を固定化したプレカラム、更にその下流に少なくとも
    ギャバーゼ/グルタミン酸酸化酵素により修飾された電
    を内蔵したフローセル、及び電流値測定機器を有し、
    電解質含有水溶液を送液として各設備を連結し、該送液
    を移動させる手段を有してなるオンラインバイオセンサ
    ーにおいて、該送液の少なくとも一部がα−ケトグルタ
    レートを含むことを特徴とするオンラインバイオセンサ
    ー。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のオンラインバイオセン
    サーにおいて、α−ケトグルタレートを含む水溶液を、
    プレカラムの上流側の送液、又はプレカラムの下流側で
    フローセルの上流側の送液と合流させる手段を有してな
    ることを特徴とするオンラインバイオセンサー。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において過酸化水素を分
    解する酵素がカタラーゼ、あるいはペルオキシダーゼで
    あることを特徴とするオンラインバイオセンサー。
  4. 【請求項4】 試料をサンプリングする設備、その下流
    グルタミン酸酸化酵素を固定化したプレカラム、その
    また下流に生成した過酸化水素を除去するための電解用
    電極、更にその下流に少なくともギャバーゼ/グルタミ
    ン酸酸化酵素により修飾された電極を内蔵したフローセ
    ル、及び電流値測定機器を有し、電解質含有水溶液を送
    液として各設備を連結し、該送液を移動させる手段を有
    してなるオンラインバイオセンサーにおいて、該送液の
    少なくとも一部がα−ケトグルタレートを含むことを特
    徴とするオンラインバイオセンサー。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載のオンラインバイオセン
    サーにおいて、該電解用電極の下流側でフローセルの上
    流側の送液と、α−ケトグルタレートを含む水溶液とを
    合流させる手段を有してなるオンラインバイオセンサ
    ー。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載のオ
    ンラインバイオセンサーにおいて、電極としてバルク
    薄膜の導電体を用い、電極とギャバーゼ/グルタミン
    酸酸化酵素層の間に西洋ワサビペルオキシダーゼを複合
    したメディエータ層を介在させ、酵素反応によって発生
    した過酸化水素を還元して検出することを特徴とする請
    求項1〜5のいずれか1項に記載のオンラインバイオセ
    ンサー。
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