JP3478710B2 - 光電子材料及びその応用デバイス、並びに光電子材料の製造方法 - Google Patents

光電子材料及びその応用デバイス、並びに光電子材料の製造方法

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JP3478710B2 JP22781697A JP22781697A JP3478710B2 JP 3478710 B2 JP3478710 B2 JP 3478710B2 JP 22781697 A JP22781697 A JP 22781697A JP 22781697 A JP22781697 A JP 22781697A JP 3478710 B2 JP3478710 B2 JP 3478710B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電子材料及びそ
の応用デバイス、並びに光電子材料の製造方法に関する
ものであり、特に、無尽埋蔵量かつ環境汚染フリーな材
料から形成される粒径の制御され得る半導体超微粒子を
中核として構成され、さらに、シリコン(Si)−LS
I技術整合性、自発光性、高速応答性、細密画素性、低
消費電力、高耐環境性及びアセンブリーレス工程におい
て優れた特徴を有する光電子材料及びその応用デバイ
ス、並びに光電子材料の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、シリコン(Si)は間接遷移型半
導体であり、さらにバンドギャップが1.1eVと近赤
外領域にあるため、可視光領域での発光素子の実現は不
可能であるとされてきた。そのため、発光素子としては
III−V族あるいはII−VI族を中心とした化合物半導体
が用いられてきた。そこで、まず、第1の従来例とし
て、化合物半導体を用いた発光素子について説明をす
る。
【0003】直接遷移型半導体であるガリウム砒素(G
aAs)等の化合物半導体を用いてp−n接合を形成
し、ダイオードとして順方向電圧を印加すれば、少数キ
ャリアとしてp−型領域にドリフトした電子とp−型領
域多数キャリアである正孔の輻射再結合が、p−n接合
面近傍で効率的に起こるので発光が可能となる。これが
所謂注入型LED(Light Emitting D
iode)の原理である。このLEDの発光波長は構成
する半導体の種類により決まる。
【0004】一方、1990年における多孔質Siの室
温可視発光の確認(例えば、“アプライド フィジック
ス レターズ”(L.T.Canham,Applie
dPhysics Letters Vol.57,N
o.10,1046(1990))等に開示されてい
る。)から、Siを母材とした室温可視発光特性の研究
が盛んになってきた。これらの報告の大多数は、多孔質
形状のSiに関するものであるから、第2の従来例とし
て、この発光性多孔質Siについて説明する。
【0005】この発光性多孔質Siは、基本的に、単結
晶Si基板表面を弗化水素を主体とした溶液中における
陽極化成により形成されるものであり、これまでに、8
00nm(赤)から425nm(青)の領域における幾
つかの波長のフォトルミネッセンス(PL)が確認され
ている。また、最近では、電流注入励起による発光(エ
レクトロルミネッセンス;EL)の試みも為されるよう
になってきた。
【0006】この技術については、例えば特開平5−2
06514号公報に記載されているが、図16を用いて
具体的に説明する。
【0007】図16は、従来の多孔質Siを用いたEL
素子の断面構造を示す。図16において、まず、面方位
(100)、p−型導電性のSi単結晶基板161の表
面に対し、エタノールで希釈された弗化水素溶液中で陽
極化成することにより多孔質Si層162を形成する。
次に、プラズマCVD法により、n−型導電性の微結晶
炭化珪素(SiC)薄膜163を堆積する。最後に、上
部に半透明電極である酸化インジウム−錫(ITO)薄
膜164を、下部に金属電極165を配し、オーミック
コンタクトを形成して完成する。
【0008】多孔質Si領域162は、n−型SiC薄
膜163とp−型Si基板161により構成されるp−
n接合領域に存在するので、n−型領域から電子を、p
−型領域から正孔を注入し、多孔質Si領域162内部
でこれらを再結合させることで発光が可能となるもので
ある。
【0009】これら多孔質SiのELにおいて特徴的な
性質として以下のことが挙げられる。(1)ELとPL
の発光スペクトルが、強度において差があるにしても、
ほぼ同様の形状をしていること。(2)実使用状態と想
定される注入電流密度の領域では、ELの発光強度が注
入電流に比例すること。但し、注入電流密度がこれより
低い領域では、ELの発光強度が注入電流の2乗に比例
することを報告する例もある。
【0010】(1)はELとPLの発光が、概ね同じ発
光準位を介したキャリア(励起された電子−正孔対)の
再結合により発生することを示唆し、(2)はELに不
可欠なキャリアの生成が主に、p−n接合付近における
少数キャリアの注入により行われていることを示してい
る。
【0011】間接遷移型半導体であるSiの発光機構に
ついては、多孔質形状の内ナノメートル(nm)オーダ
ーの3次元的微細構造領域において、光遷移の波数選択
則の緩和が生じ、電子−正孔対の輻射再結合過程が可能
になるとする説と、Siの多員環酸化物(シロキセン)
が多孔質Siの表面に形成され、このシロキセン/Si
の界面において輻射再結合過程に寄与する新たなエネル
ギー準位が形成されるとする説等がある。しかし、いず
れにしても、光励起過程に関しては量子閉じ込め効果に
よるエネルギーバンド構造変化(ギャップ幅の増大現
象)が発生していることは確実のようである。
【0012】この分野に関する総括的解説は、例えば、
“ポーラスシリコン”(Z.C.Feng and
R.Tsu編著,“Porous Silicon”,
World Scientific(1994))に開
示されている。
【0013】さらに、多孔質Siからの発光は、概ね
0.3eV以上の広いスペクトル幅を有する。そのた
め、この多孔質Siを用いてキャビティ構造を形成し、
元来発する連続スペクトルの内、特定の波長領域の強度
を増強しようとする試みがなされている。そこで、第3
の従来例として、この技術について説明をする。
【0014】この技術については、例えば、“アプライ
ド フィジックス レターズ”(L.Pavesi e
t al.,Applied Physics Let
ters Vol.67,3280(1995))に記
載されている。
【0015】以下、図17を用いて具体的に説明する。
図17は、従来の多孔質Siを用いた発光素子の構造断
面図を示す。図17において、171はp型Si基板、
172及び174は多層反射膜層、173は活性層であ
り、多層反射膜層、活性層とも多孔質Siにて構成され
ている。本図の構成において、まず、p型Si基板17
1を陽極化成する際に、化成時間及び電流密度を交互に
変えることにより、屈折率の異なる多孔質Si層を6層
対形成し、多層反射膜層172を形成する。この多層反
射膜層172の各層の光学膜厚(屈折率×膜厚)は、発
光波長(λ)の1/4に設定される。次に、以上の多層
反射膜層を形成する際と異なる条件で陽極化成を行うこ
とにより、活性層173を形成する。この活性層173
の光学膜厚はλに設定される。さらに、多層反射膜層1
72と同様の多層反射膜層174を形成する。
【0016】次に、以上の構造を有する発光素子におけ
る、発光の動作原理を説明する。まず、本発光素子に対
し、アルゴンイオン(Ar+)レーザ光(波長:488
nm)を照射すると、表面に垂直な方向に発光を呈す
る。活性層103のみの典型的な発光スペクトルは、7
50nmをピークとし、スペクトルの半値全幅が130
nm(0.3eV)程度の広がりを有するのに対し、こ
の発光素子により得られた発光スペクトルは、ピーク波
長は750nmと同様であるが、スペクトルの半値全幅
が15nm(34meV)と非常に狭くなっている。ま
た、この発光素子の発光スペクトルにおいて、ピーク波
長での発光強度の増大が見られる。これは、活性層及び
多層反射膜層により形成されたキャビティ構造により、
活性層で発せられた光が多重干渉され、λをピークとす
る波長領域の発光強度のみが増強されたためである。
【0017】一方、半導体は光電変換素子としても広く
用いられている。そこで、第4の従来例として、半導体
を用いた光電変換素子として、フォトダイオードについ
て説明をする。
【0018】図18は、従来のフォトダイオードの構造
断面図を示す。図18において、p型領域層181とn
型領域層182はp−n接合を形成している。例えば、
Siフォトダイオードの場合には、n型基板に対して、
ボロンの選択拡散によりp型領域層181が1μm以下
の厚さに形成されている。
【0019】次に、以上の構造を有するフォトダイオー
ドにおける、受光の動作原理を説明する。
【0020】このフォトダイオードは、p−n接合に対
して、フォトダイオードを構成する半導体のバンドギャ
ップエネルギー(Eg)よりもフォトンエネルギーの大
きい光を照射すると、電子−正孔対のキャリアが発生
し、これによる光起電力を検出することにより、受光機
能を有する。その分光感度は構成する半導体の種類によ
り決まり、例えばSiフォトダイオードの場合には、E
gが1.1eVであるため、紫外線から近赤外線までの
広い波長領域に受光感度を有する。
【0021】ついで、第5の従来例として、Siを主成
分として構成された電気的信号処理部を主な構成要素と
しながら、化合物半導体による電気−光変換素子部(発
光素子に相当)、光導波路、光−電気変換素子(受光素
子に相当)を内蔵する、光電子集積回路について述べ
る。
【0022】これまで、大規模集積回路(LSI)にお
ける、各素子の微細化と動作速度の高速化は、いわゆる
比例縮小則に従ってなされてきた。即ち、能動素子であ
るMOS型電界効果トランジスタ(FET)の寸法とと
もに電源電圧を、スケーリングファクタをαとして、1
/α(α>1)に3次元的に比例縮小すると、消費電力
は1/α2に低減でき、しかも動作速度はα倍に向上す
る、というものである。
【0023】しかしながら、単体MOSFETとしては
この法則に従って低消費電力化と高速化が進むものの、
配線部の効果を取り入れ、LSIチップ全体の動作を考
えると大きな課題がある。
【0024】というのは、配線部、特にLSIチップ内
を横断的に配された配線(所謂ブロック間配線)では、
比例縮小による効果が、寄生容量と配線抵抗の増大によ
る、RC遅延及び消費電力の増大として現われてくるか
らである。
【0025】特に、昨今の、0.5μm以下のデザイン
ルールの超LSIでは、このRC遅延及び電力損失によ
る課題が深刻化している。
【0026】そこで、基本的にブロック内演算は、MO
SFETを主体として電気的に行うものとし、RC遅延
と電力損失が深刻なブロック間配線を、光通信に置き換
え、高速動作性と低消費電力性を維持するという光電子
集積回路が提案されてきている。
【0027】図19を用いて、これらの動作を説明す
る。光通信部は、基本的に電気-光変換素子(発光素
子)191、光導波路192、光-電気変換素子(受光
素子)193の3要素で構成されるが、これらをまとめ
て光インターコネクション部194と称する。
【0028】ここにおいて、要素的演算は、基本的に、
複数のMOSFETにより構成される電気的信号処理ブ
ロック195の内部で行われるものとする。
【0029】この電気的信号処理ブロック195は、半
導体材料としてSiを主成分として構成されている。
【0030】このような構成において、ブロック195
間のデータ転送(所謂バスライン転送)は、ブロック1
95の内の一方の送信側ブロックの電気的信号を、一旦
発光素子191により近赤外光に変換し、光導波路19
2を通じて、他方の受信側ブロック内の受光素子193
に転送し、ここで光信号を、再度電気的信号に変換して
から、次の演算処理を行う。
【0031】この方式におけるキーデバイスである発光
素子191は、GaAsなど化合物半導体で作られた近
赤外半導体レーザであるため、電気的信号処理ブロック
を構成するSi基板と同じモノリシックプロセスでは作
製できない。
【0032】そこで、別体の化合物半導体近赤外半導体
レーザチップを基板上に組み立てる手法(アセンブリ行
程)により搭載している。
【0033】以上のような、電気的信号処理部を構成す
る半導体材料と、光信号処理部の発光素子のそれとが異
なり、アセンブリ工程によって製造される光電子集積回
路については、例えば、”プロシーディングス・オブ・
ザ・アイ イー イー イー”(J.W.Gooodm
an,F.I.Leonberger,S−Y.Kun
g,and R.A.Athale,Proceedi
ngs of theIEEE,Vol.72,No.
7,850(1984))などに記載されている。
【0034】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、第1の
従来例では、直接遷移型であるIII−V族あるいはII−V
I族を中心とした化合物半導体により構成されているた
め、発光効率は高いが、有害物質(Cd、As等)、あ
るいは埋蔵量が極めて少なく精製コストが高い材料(I
n等)が含まれている。また、これらの化合物半導体は
Siと比較すると半導体製造プロセス技術としての微細
加工技術がいまだ成熟していないため、ミクロン(μ
m)以下の微細パターンを形成することは困難である。
さらに、III族及びV族元素は、各々Si中でドーパン
トとして働くため、導電性に影響を与える。つまり、半
導体材料を主体として自発光性素子が構成されるもの
の、電子素子の代表であるSi−LSIのプロセス・デ
バイス技術との整合性が悪く、実質的にSi−LSIと
一体化された素子の作製は不可能といえる。そして、さ
らに、本質的課題として、発光波長を調整するために
は、材料種を変更(つまり新たに探索)し、製法を全般
にわたり再構築しなければならないという課題がある。
【0035】次に、第2の従来技術では、溶液中の陽極
化成により、単結晶Si基板の表面に多孔質状の層を形
成するため、多孔質層における微結晶の結晶性は良好で
あるものの、微結晶の形状と大きさを制御することが難
しい。特に、粒径5nm以下の球状微結晶を効率的に生
成することが困難である。Si系IV族材料における可視
発光のメカニズムが量子サイズ効果(波数選択則の緩
和、量子閉じ込め効果によるバンド構造変化等)である
とすると、やはり粒径がnmレベルで制御された球形微
粒子の生成が不可欠となるが、この点から判断すると、
最適な作製技術とはいえない。また、これら多孔質Si
による発光素子を規則的に配列した上、独立に動作させ
ることにより表示素子の機能を発揮しようと意図した際
に困難が生じる。即ち、上記の多孔質SiはSi基板に
直接作り込むため、各素子間の電気的独立性(絶縁性)
を保つことが不可能である。
【0036】さらに、半導体により構成されたLED
は、広いスペクトル幅を持つ。そこで、第3の従来例で
は、キャビティ構造を形成してスペクトル幅を狭くして
いるが、周期構造を形成している層が全て多孔質Siか
ら構成されているため、可視光領域での吸収が大きく、
結果として発光効率が低くなってしまう。しかしなが
ら、多孔質Siは、先に述べたようにSi基板に直接作
り込むため、可視域での透過率の高い透明材質等の他の
物質との積層構造を形成することは不可能である。
【0037】また、第4の従来例では、受光波長を調整
するためには、材料種を変更しなければならないという
課題がある。ここで、化合物半導体を用いた場合には、
第1の従来例で生じる課題と同様の課題を有する。ま
た、Siを用いた光電変換素子では、可視光全領域で感
度を有するため、受光波長を調整するためには、カラー
フィルターを介する必要がある。
【0038】さらに、第4の従来例で述べた光電変換素
子を紫外線センサとして用いようとすると、この波長領
域でのSiの吸収係数が大きいため、p−n接合部を非
常に浅い部分に作らなければならないという課題を有す
る。
【0039】そしてさらに、第5の従来例では、電気的
信号処理ブロックのSi基板上に、別体の化合物半導体
の近赤外半導体レーザチップを、アセンブリ工程で搭載
するがために、各素子の微細化による高集積化を図る上
での大きな支障となる。この課題を解決するために、最
近では、Si基板上でのIII−V族半導体の結晶成長技
術が進歩してきてはいるが、これが実用化されたとして
も、一般に蒸発し易い(高蒸気圧、低融点)上に、Si
にとってドーパントとなるV族元素自体を、Siと同一
のモノリシックプロセスで扱うことはきわめて困難であ
る。
【0040】本発明は上記の課題に鑑みなされたもので
あって、無尽埋蔵量かつ環境汚染フリーな材料から構成
され、Si−LSI技術整合性、自発光性、高速応答
性、細密画素性、低消費電力、高耐環境性、アセンブリ
ーレス性等の特徴を有する光電子材料及びその応用デバ
イス、並びに光電子材料の製造方法を提供することを目
的とする。
【0041】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の光電子材料は、超微粒子が、導電率または
誘電率が制御可能であって実質的に均質な媒質中に分散
された構成としている。これにより、超微粒子へのキャ
リア注入、あるいは超微粒子内のキャリアの量子閉じ込
めを効果的に実現しかつ制御することができる。
【0042】また、本発明の光電子材料は、超微粒子
が、前記超微粒子に対して、導電率または誘電率が相対
的に制御可能であって実質的に均質な媒質中に分散さ
れ、さらに、前記媒質が、その比抵抗が、前記超微粒子
の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の導電体で構成され
て成る活性層と透明材質層が交互に積層した周期構造を
有するものである。これにより、超微粒子が受発光する
連続スペクトルの内、特定の波長領域の強度を増強する
特性を有する光電子材料を得ることができる。
【0043】また、本発明の光電子材料は、超微粒子を
含む活性層と、それを挟んで設けられた高反射層と部分
反射層とを設けている。これにより、受発光する光の波
長が狭帯域化され、かつ強度も増大できる。
【0044】もちろん、以上のような光電子材料を用い
て、各種応用デバイスをも実現できる。
【0045】例えば、少なくとも一方の電極はその光電
子材料に直接的に接触するように一対の電極で挟んで、
発光素子あるいは光電変換素子として構成することも可
能であり、電極と光電子材料層との電気的接続性を好適
に制御し得て、効果的に発光現象を呈したり、光電変換
機能を実現することもできる。
【0046】さらには、このような光電変換素子を用い
て、紫外線センサや青色センサを構成したり、このよう
な発光素子、光電変換素子、紫外線センサや青色センサ
用いてモノリシックな装置を構成することもできるし、
電気的信号処理部と、電気−光変換素子、光導波路及び
光−電気変換素子の3要素から構成されることが一般的
な光インターコネクション部と、を有する光電子集積回
路の、特に電気−光変換素子、即ち発光素子部に、この
ような発光素子を用いることにより、電気的信号処理部
と発光素子部を構成するSi等の半導体材料を共通化を
することができ、これらが同様のモノリシックプロセス
により製造され得て、アセンブリ工程を伴わない光電子
集積回路を実現することもできる。
【0047】このような各種デバイスは、無尽埋蔵量か
つ環境汚染フリーな材料から形成される半導体等の超微
粒子を含む光電子材料により構成され、Si−LSI技
術整合性、高速応答性、低消費電力、高耐環境性及びア
センブリーレス工程において優れた特徴を有するものと
なる。
【0048】さて、本発明の光電子材料の製造方法は、
第1のターゲット材を低圧希ガス雰囲気の第1の反応室
の内部に配置する第1のターゲット材配置工程と、堆積
基板を真空反応室の内部に配置する基板配置工程と、
2のターゲット材を前記第1のターゲット材が配置され
ている第1の反応室と独立に雰囲気ガス種及びガス圧を
調整できる第2の反応室内に配置する第2のターゲット
材配置工程と、第1のターゲット材配置工程で配置され
た第1のターゲット材にレーザ光を照射して前記ターゲ
ット材の脱離・射出を生じるアブレーション工程と、第
2のターゲット材配置工程で配置された第2のターゲッ
ト材にレーザ光を照射して前記ターゲット材の脱離・射
出を生じるアブレーション工程を有する。この構成によ
り、第1のターゲット材上のアブレーション工程におい
て脱離・射出された物質を空中で凝縮・成長させて得ら
れた超微粒子が、堆積基板上に補集されるのと実質的に
同時に、第2のターゲット材上のアブレーション工程で
の生成物質を堆積基板上に補集して、前記第2のターゲ
ット材から構成される均質な物質中に超微粒子が分散さ
れた光電子材料を効果的かつ確実に得ることが可能とな
る。
【0049】
【発明の実施の形態】本発明は、超微粒子が、前記超微
粒子に対して、導電率または誘電率が相対的に制御可能
であって実質的に均質な媒質中に分散されて構成される
光電子材料であり、これにより、超微粒子内のキャリア
の量子閉じ込め効果を制御することが可能となる。具体
的には、導電率の制御は活性層の導電特性に対応して量
子閉じ込め作用に寄与し、また、誘電率の制御は活性層
の光学特性に対応して発光等の諸機能の発揮に寄与し、
結果として、これら諸特性の制御により、確実に超微粒
子内のキャリアの量子閉じ込め効果を呈し得て、応用デ
バイスとして用いた場合に種々の機能を発揮することに
なる。
【0050】ここで、超微粒子が、前記超微粒子に対し
て、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実
質的に均質な媒質中に分散された光電子材料であって、
前記媒質が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同
程度あるいはそれ以上の導電体であることが好適であ
り、これにより、超微粒子内のキャリアの量子閉じ込め
効果を効率よく発現させることが可能となる。
【0051】また、超微粒子の直径が、前記超微粒子を
構成する材料に内在するキャリアに付随するド・ブロイ
波長の略2倍以下であることが好ましく、これにより、
超微粒子の量子閉じ込めを効率よく発現できる。
【0052】そして、媒質中に分散された超微粒子の間
の距離が、前記超微粒子の半径以上であることが好まし
い。あるいは、媒質中の超微粒子の充填率が30%以下
であり、前記充填率が前記超微粒子の粒径と独立して制
御可能であってもよい。これにより、超微粒子の量子閉
じ込めを効果的に発現できる。
【0053】さらに、媒質の標準生成エンタルピーが、
前記媒質中に分散された超微粒子の酸化物の標準生成エ
ンタルピーより低ければ、超微粒子が媒質中に安定して
存在し得る。
【0054】あるいは、媒質の標準生成エンタルピー
が、前記媒質中に分散された超微粒子の酸化物の標準生
成エンタルピーより高い光電子材料の場合、前記媒質中
に分散された超微粒子が、超微粒子を構成する元素の酸
化物で被覆されていてもよい。この場合、超微粒子が媒
質中に安定して存在できる。
【0055】以上の光電子材料において、超微粒子がIV
族半導体を含んで構成されているものが好適である。こ
の構成により、無尽埋蔵量かつ環境汚染フリーな材料か
ら構成され、Si−LSI技術整合性、耐環境性、アセ
ンブリーレス性の点で優れた特徴を有する。
【0056】または、超微粒子が III−V族あるいはII
−VI族化合物半導体を含んで構成されていてもよい。
【0057】そして、媒質が、薄膜状の透明な導電体あ
るいは誘電体であるものが好適である。
【0058】本発明は、超微粒子が、前記超微粒子に対
して、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって
実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質
が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度ある
いはそれ以上の導電体で構成されて成る活性層と透明材
質層とが交互に積層した周期構造を有する光電子材料で
あって、この構造により、前記活性層中の超微粒子が受
発光する連続スペクトルの内、一部の波長領域の強度を
増強させる特性を有する。
【0059】ここで、透明材質層が、透明な導電体薄膜
あるいは誘電体薄膜にて構成されているものが好適であ
る。
【0060】
【0061】本発明は、活性層と、前記活性層の下部に
設けられた高反射層と、前記活性層の上部に設けられた
部分反射層とを有する光電子材料であって、活性層は、
超微粒子が、前記超微粒子に対して、導電率または誘電
率が相対的に制御可能であって実質的に均質な媒質中に
分散され、さらに、前記媒質が、その比抵抗が、前記超
微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の導電体で
成されている光電子材料であり、これにより、活性層に
含まれる超微粒子が受発光する連続スペクトルの内、特
定の波長領域の強度を増強させることが可能となる。
【0062】ここで、部分反射層と高反射層の少なくと
も一つの層が、金属薄膜にて構成されていてもよい。
【0063】また、部分反射層と高反射層の少なくとも
一つの層が、屈折率の異なる少なくとも2種類の層が交
互に積層された構造を有する多層膜層から構成されてい
ることが好ましい。これにより、活性層に含まれる超微
粒子が受発光する連続スペクトルの内、特定の波長領域
の強度をさらに増強させることができる。
【0064】または、高反射層が、屈折率の異なる少な
くとも2種類の層が交互に積層された期構造を有する多
層膜層と、金属薄膜層から構成されていてもよい。
【0065】そして、多層膜層が、上記いずれかに記載
の光電子材料を含んでいてもよい。
【0066】
【0067】
【0068】本発明は、超微粒子が、前記超微粒子に対
して、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって
実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質
が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度ある
いはそれ以上の導電体で構成されている光電子材料層
と、前記光電子材料層の上下に設けられた1対の電極と
を有し、前記1対の電極により少数キャリアを前記光電
子材料層の超微粒子に注入して電子−正孔対を生成し、
前記電子−正孔対の輻射再結合過程により発光現象を呈
する発光素子であり、これにより、電極と光電子材料層
との電気的接続性の制御が可能となる。
【0069】ここで、超微粒子の粒径を調整することに
より発光光子エネルギーが制御されるものでもよく、ま
、超微粒子の表面原子配列の構造を調整することによ
り発光光子エネルギーが制御されるものでもよい。
【0070】また、1対の電極が、透明あるいは半透明
な電極であることが好適であり、これにより良好な外部
光の透過性を有することもできる。
【0071】さらに、光電子材料層の超微粒子が半導体
を含み、前記光電子材料層に薄膜状の金属電極が接触す
る構成でもよく、この場合、光電子材料層と金属電極と
はショットキー接合型の接触をなしていることが好まし
い。
【0072】ここで、薄膜状の金属電極は、マグネシウ
ム、インジウム、アルミニウム、白金、金、銀、タング
ステン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニ
ッケル、パラジウムのいずれかを含むことが好適であ
る。
【0073】さらに、一方の電極を設けた半導体基板
と、前記半導体基板の前記一方の電極の反対側に設けら
れ一部に前記半導体基板が露出する開口部が形成された
絶縁体層とを有し、光電子材料層は前記開口部を被覆す
る状態で形成された前記開口部を活性領域とする構成
、増倍現象により超微粒子の内部または表面近傍にお
ける電子−正孔対が生成されることが好適であり、発
強度は、発光素子への注入電流に比例するよりも急峻に
増大する特性を有する。このような、増倍現象を利用す
ることは、当初の電子注入に消費される電力と、衝突イ
オン化時の限られた量子効率を、極めて有効に利用し得
るものであり、発光強度のダイナミックレンジを大きく
することに極めて有効である。
【0074】そして、光電子材料層にp−n接合が形成
されている構成とすれば、単にショットキー接合型の接
触を有する場合には確かに発光素子を実現する上で最も
簡易的な構成になるが、これに対してより電力効率の高
い構成となる。
【0075】本発明は、超微粒子が、前記超微粒子に対
して、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって
実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質
が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度ある
いはそれ以上の導電体で構成されている光電子材料層
と、前記光電子材料層の上下に設けられた1対の電極と
を有する光電変換素子であり、前記光電子材料層への光
照射によるキャリア発生による内部抵抗の変化を検出す
ることによる受光機能を呈する。
【0076】また、本発明は、超微粒子が、前記超微粒
子に対して、導電率または誘電率が相対的に制御可能で
あって実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記
媒質が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度
あるいはそれ以上の導電体で構成されている光電子材料
層と、前記光電子材料層の上下に設けられた1対の電極
とを有し、前記光電子材料層と前記電極界面におけるシ
ョットキー接合あるいは前記光電子材料層内部における
p−n接合が形成されている光電変換素子であり、光照
射による電子−正孔対等のキャリア発生による光起電力
を検出することによる受光機能を呈する。
【0077】ここで、超微粒子の粒径を調整することに
より受光光子エネルギーが制御されるものでもよく、ま
、超微粒子の表面原子配列の構造を調整することによ
り受光光子エネルギーが制御されるものでもよい。
【0078】本発明は、超微粒子が、前記超微粒子に対
して、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって
実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質
が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度ある
いはそれ以上の導電体で構成されている光電子材料層
と、前記光電子材料層の上下に設けられた1対の電極と
を有する光電変換素子であり、前記1対の電極により少
数キャリアを前記光電子材料層の超微粒子に注入した場
合には生成された電子−正孔対の輻射再結合過程により
発光現象を呈する機能を有するとともに、前記光電子材
料層に光を照射した場合にはキャリア発生による内部抵
抗の変化を検出することによる受光機能を呈する機能を
有する。
【0079】また、本発明は、超微粒子が、前記超微粒
子に対して、導電率または誘電率が相対的に制御可能で
あって実質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記
媒質が、その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度
あるいはそれ以上の導電体で構成されている光電子材料
層と、前記光電子材料層の上下に設けられた1対の電極
とを有し、前記光電子材料層と前記電極界面におけるシ
ョットキー接合あるいは前記光電子材料層内部における
p−n接合が形成されている光電変換素子であり、前記
1対の電極により少数キャリアを前記光電子材料層の超
微粒子に注入した場合には生成された電子−正孔対の輻
射再結合過程により発光現象を呈する機能を有するとと
もに、前記光電子材料層に光を照射した場合にはキャリ
ア発生による光起電力を検出することによる受光機能を
呈する機能を有する。
【0080】以上の光電変換素子において、1対の電極
が、透明あるいは半透明な電極で構成されていてもよ
い。
【0081】本発明は上記いずれかに記載の光電変換
素子において、前記光電変換素子の超微粒子の平均粒径
あるいは表面原子配列の構造を調整して光学ギャップエ
ネルギーを制御することにより、紫外線に対する受光機
能を呈する光電変換素子から構成される紫外線センサで
ある。この構成により、フィルター等を必要とせず、S
i−LSI技術整合性、耐環境性、アセンブリーレス性
の点で優れた特徴を有する。
【0082】本発明は上記いずれかに記載の光電変換
素子において、前記光電変換素子の超微粒子の平均粒径
あるいは表面原子配列の構造を調整して光学ギャップエ
ネルギーを制御することにより、青色に対する受光機能
を呈する光電変換素子から構成される青色センサであ
る。この構成により、フィルター等を必要とせず、Si
−LSI技術整合性、耐環境性、アセンブリーレス性の
点で優れた特徴を有する。
【0083】本発明は上記いずれかに記載の発光素
子、光電変換素子、紫外線センサ、及び青色センサの
内、少なくとも1つ以上を備えたモノリシック一体化半
導体装置である。この構成により、無尽埋蔵量かつ環境
汚染フリーな材料から構成され、Si−LSI技術整合
性、耐環境性、アセンブリーレス性の点で優れた特徴を
有する。
【0084】本発明は、光インターコネクション部と電
気的信号処理部とを有し、前記光インターコネクション
部は、電気−光変換素子、光導波路及び光−電気変換素
子を含み、前記電気的信号処理部を構成する半導体材料
を主成分とする光電子集積回路であって、前記電気−光
変換素子または光−電気変換素子の少なくとも一方が、
前記電気的信号処理部を構成する半導体材料の超微粒子
を含み、前記超微粒子が、前記超微粒子に対して、導電
率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的に均
質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その比抵
抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上
の導電体で構成されている光電子材料を活性領域とする
光電子集積回路であり、このような構成により、例えば
電気的信号処理部がそのSi基板上にMOSFETを有
する場合など、同様に光インターコネクション部も半導
体材料としてSiを主成分として構成され得る。
【0085】換言すれば、光インターコネクション部と
電気的信号処理部とを有し、前記光インターコネクショ
ン部は、電気−光変換素子、光導波路及び光−電気変換
素子を含み、電気的信号処理部と同様のモノリシックプ
ロセスにより製造される光電子集積回路であって、前記
電気−光変換素子または光−電気変換素子の少なくとも
一方が、前記電気的信号処理部を構成する半導体材料の
超微粒子を含み、前記超微粒子が、前記超微粒子に対し
て、導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実
質的に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、
その比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいは
それ以上の導電体で構成されている光電子材料を活性領
域とする光電子集積回路であり、アセンブリ工程を伴わ
、例えばSi−LSI用のモノリシックプロセスを用
いることができるため、光インターコネクション部の微
細化と高集積化は、電気的信号処理部と同等なまでに、
飛躍的に高まり得る。
【0086】ここで、電気−光変換素子は、発光素子部
であって、上記いずれかに記載の発光素子から構成され
ることがより好ましい。
【0087】また、光−電気変換素子が、上記いずれか
に記載の光電変換素子から構成されることがより好まし
い。
【0088】本発明は、第1のターゲット材を低圧希ガ
ス雰囲気の第1の反応室の内部に配置する第1のターゲ
ット材配置工程と、堆積基板を真空反応室の内部に配置
する基板配置工程と、第2のターゲット材を前記第1の
ターゲット材が配置されている第1の反応室と独立に雰
囲気ガス種及びガス圧を調整できる第2の反応室内に配
置する第2のターゲット材配置工程と、前記第1のター
ゲット材配置工程で配置された第1のターゲット材にレ
ーザ光を照射して前記ターゲット材の脱離・射出を生じ
るアブレーション工程と、前記第2のターゲット材配置
工程で配置された第2のターゲット材にレーザ光を照射
して前記ターゲット材の脱離・射出を生じるアブレーシ
ョン工程を有する光電子材料の製造方法である。この構
成により、前記第1のターゲット材上のアブレーション
工程において脱離・射出された物質を空中で凝縮・成長
させて得られた超微粒子が前記堆積基板上に補集される
のと実質的に同時に、前記第2のターゲット材上のアブ
レーション工程での生成物質を前記堆積基板上に補集し
て、前記第2のターゲット材から構成される物質中に前
記超微粒子が分散された光電子材料を得ることが可能と
なる。
【0089】ここで、さらに、低圧希ガスの導入圧力を
変化させる工程を有することが好ましく、この構成によ
り、前記超微粒子の平均粒径を制御することが可能とな
る。
【0090】また、さらに、アブレーション工程に起因
して得られた超微粒子を質量分離する工程を有していて
もよい。この構成により、前記超微粒子の平均粒径を制
御することができる。この場合、超微粒子を質量分離す
る工程が、超微粒子をイオン化する工程と、イオン化さ
れた超微粒子に対して電界あるいは磁界を加える工程を
含んでいてもよい。
【0091】
【0092】以上において、第1のターゲット材が半導
体を含むものであってもよい。
【0093】そして、堆積基板上に補集された超微粒子
が半導体層を形成し、さらに前記半導体層に対して、n
−型導電性不純物とp−型導電性不純物とを導入する工
程を有していてもよく、半導体中にp−n接合が形成さ
れる。
【0094】この場合、半導体層に対して導入されるn
−型導電性不純物とp−型導電性不純物は、互いの拡散
深さを異ならせて導入されてもよく、所望の位置にp−
n接合を形成できる。
【0095】一方、第2のターゲット材が透明導電体あ
るいは誘電体であることが好適である。
【0096】また、さらに、超微粒子の表面を酸化する
酸化工程を有していてもよく、この構成により、結晶欠
陥あるいは不純物の混入した表面層を除去し、結晶性と
純度を向上する。
【0097】そして、酸化工程では、空中会合工程で得
られた超微粒子を酸素含有の雰囲気ガス中にて加熱処理
することにより、前記超微粒子の表面を熱酸化膜で被覆
する被覆工程を含むことが好適である。
【0098】かかる場合、さらに、被覆工程の熱酸化膜
の形成時の温度よりも高い温度の非酸化性雰囲気での熱
処理を、前記被覆工程より以前に実施する工程を有する
ことが好適であり、超微粒子の結晶性をより完全なもの
に回復し得る。
【0099】本発明は上記いずれかに記載の光電子材
料の製造方法により製造されている光電子材料である。
この構成により、超微粒子の粒径が制御された超微粒子
分散材料を得ることができる。
【0100】本発明は、超微粒子分散層が、上記いずれ
かに記載の光電子材料の製造方法により製造された光電
子材料を含み、また、本発明は、活性層が、上記いず
かに記載の光電子材料の製造方法により製造さた光電
子材料を含む。この構成により、超微粒子の粒径が制御
された超微粒子分散材料を得ることができる。
【0101】また、本発明は、光電子材料層が、上記
ずれかに記載の光電子材料から成る発光素子である。
【0102】また、本発明は、光電子材料層が、上記
ずれかに記載の光電子材料から成る光電変換素子であ
る。
【0103】また、本発明は上記の光電変換素子から
構成される紫外線センサ及び青色センサである。
【0104】また、本発明は上記いずれかに記載の発
光素子、光電変換素子、紫外線センサ、及び青色センサ
の内、少なくとも1つ以上を備えたモノリシック一体化
半導体装置である。
【0105】また、本発明は、電気−光変換素子や光−
電気変換素子が、上記の発光素子、あるいは上記の光電
変換素子から構成されている光電子集積回路である。
【0106】以上の各発明では、確実に超微粒子を含む
光電子材料を有する各種応用デバイスを実現する。
【0107】(実施の形態1)以下、本発明の光電子材
料を用いた発光素子の原理的な構成を、実施の形態1と
して、図1から図6を用いて詳細に説明する。
【0108】本実施の形態においては、IV族半導体の内
でも、代表的に表面が自身の熱酸化膜にて被覆されたS
iの超微粒子が、導電率あるいは誘電率が制御可能であ
って、実質的に均質な透明媒質中に分散された光電子材
料層を発光(活性)領域としたエレクトロルミネッセン
ス(EL)素子について説明するものである。
【0109】ここで、本実施の形態及びそれ以降の実施
の形態において、実質的に均質な媒質とは、媒質中の導
電率や誘電率といった電気的性質、特に導電率が媒質中
でほぼ均一であるという意味であり、媒質中に分散され
る超微粒子が、数10個から数100個の原子・分子の
集合体であるのに対して、媒質自体は、それよりも小さ
な原子・分子あるいは数個の原子・分子の集合体(クラ
スター)が、所定の基板等の上に均質な膜として付着さ
れていくことにより形成されたものが一例として上げら
れる。
【0110】さらにまた、本実施の形態及びそれ以降の
実施の形態において、超微粒子の充填率が、任意の微少
な領域(例えば超微粒子10個程度を含有)を抽出して
も、互いに等しいと認められることをもって、均質な超
微粒子分散透明媒質と呼ぶことにする。
【0111】そして、このような均質な超微粒子分散透
明媒質を形成することにより、その中の電子の運動エネ
ルギーの分布幅が抑えられ、効率的な発光が得られるこ
とになる。
【0112】図1は、本実施の形態における光電子材料
を用いた発光素子の断面構造を示す。
【0113】図1(a)は、光電子材料層がいわゆるシ
ョットキー接合を形成した構成例を示し、図1(b)
は、光電子材料層の構成概要を示し、及び図1(c)
は、光電子材料層中にp−n接合した構成例を示す。
【0114】まず、光電子材料層がショットキー接合を
形成した構成例から説明する。図1(a)において、1
1は基板である。この基板11は、面方位(100)、
導電性がリンドープのn−型、比抵抗が10Ω・cmで
あるn−型Si基板を一例として用いた。このn−型S
i基板11の上部表面には、一例としての二酸化珪素
(SiO2)膜である分離絶縁膜12が厚さ100nm
で形成されている。この分離絶縁膜12には、発光素子
の発光(活性)領域たるべき箇所に、直径1〜2mm程
度以下の開口部12aが形成され、基板11の表面が露
出した形状になっている。
【0115】そして、少なくとも開口部12aを被覆す
るように、光電子材料層13が堆積されている。この光
電子材料層13は、図1(b)に示すように、Si超微
粒子14が透明媒質15中に分散されて構成されてい
る。ここで、Si超微粒子14は、形状がほぼ球形であ
り、結晶性はバルクSiと同一の結晶構造を有し、かつ
導電性は低濃度にリンがド−プされたn−型であって、
粒径(直径)は3〜10nm程度に調整されている。こ
の超微粒子堆積層の厚さは約150nmである。さら
に、このSi超微粒子14は、その表面が不図示のSi
2膜により被覆されており、その厚さは例えば3nm
以下とすればよい。ここで、光電子材料層と13と基板
11はともにn−型であるので、これらの界面には電気
的障壁は形成されていない。
【0116】また、透明媒質15は、可視光領域での透
過率が高く、かつ導電率あるいは誘電率が制御可能な均
質薄膜であり、ここでは、一例として、酸化錫(SnO
2)薄膜を用いた。このSnO2薄膜は、可視光透過率8
0%以上であり、さらに、その作製条件(基板温度、酸
素分圧等)を調整することにより、導電率あるいは誘電
率を制御することが可能である。
【0117】ここで、媒質の比抵抗は、分散させる超微
粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上であることが好
適である。例えば、Si超微粒子の比抵抗は不純物濃度
により10〜10-3Ω・cm程度の範囲であるので、S
nO2薄膜の比抵抗は、分散させる超微粒子の比抵抗に
応じて103〜10-2Ω・cm程度の範囲で制御できれ
ばよい。このような比抵抗は、例えば基板温度を室温〜
600℃程度の範囲で作製することにより実現できる。
以上により、超微粒子内のキャリアの量子閉じ込め効果
を制御することが可能となる。
【0118】さて、光電子材料層13内のSi超微粒子
14の充填率は、光電子材料層13全体からの発光量が
大きくなるため、高い方が望ましい。
【0119】しかしながら、充填率が高くなる、即ち超
微粒子間の距離が近くなると、超微粒子中のキャリアの
波動関数が広がりを有し、透明媒質中にもしみ出すた
め、隣り合う超微粒子中のキャリアの波動関数の重なり
が大きくなる。この結果、超微粒子中のキャリアの量子
閉じ込め効果が低減されてしまう。
【0120】従って、超微粒子間の距離は、波動関数の
絶対値の二乗の重なりが、例えば、そのピーク高さの百
分の一以下になるように相互間の距離を保って分散させ
ることが望ましく、この間隔は超微粒子の半径rの距離
に相当する。そして、この場合の充填率は、半径1.5
rの球形超微粒子が最密充填されているとして、22%
程度となる。以上により、光電子材料層13内のSi超
微粒子14の充填率は20%程度とした。但し、超微粒
子中のキャリアの量子閉じ込め効果を最低限確保する観
点からいうと、充填率は30%以下であれば好適と考え
られる。
【0121】さらに、光電子材料層13の上部表面に
は、一例として厚さ10nmで材質が白金(Pt)の半
透明電極16が接触し、導電率の制御された透明媒質1
5を含む光電子材料層13と電気的にはいわゆるショッ
トキー接合を形成している。また、基板11の下部表面
には、一例として銀(Ag)製の裏面電極17が設けら
れ、基板11と電気的にはオーミック接触を形成してい
る。また、基板11と裏面電極17の中間に、界面の電
気的障壁高さを低減するために、膜厚20nm程度の薄
いマグネシウム(Mg)膜を配置してもよい。
【0122】なお、電極16と17は、Pt、Ag以外
にも、Mg、インジウム、アルミニウム、金、タングス
テン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッ
ケル、パラジウム等のいずれかを主体に形成することも
可能である。
【0123】そして、半透明電極16と裏面電極17
は、必要に応じ導電性ペースト18等を介して、ワイヤ
リード線等により電源に接続されている。ここで、半透
明電極16側における電源接続位置である導電性ペース
ト18の位置は、発光(活性)領域を避けて配置するこ
とが好適である。
【0124】なお、ここでは光電子材料層を構成する超
微粒子の材料としてSiを用いたが、他にゲルマニウム
(Ge)あるいはその混晶等のIV族半導体が好適に使用
可能であり、III−V族やII−VI族化合物半導体を用い
てもよい。そして、均質な透明媒質としてSnO2薄膜
を用いたが、分散させる超微粒子の比抵抗と同程度ある
いはそれ以上の比抵抗を有する他の導電体薄膜、例えば
酸化チタン(TiO2)、酸化インジウム(In
23)、酸化インジウム−錫(ITO)、酸化カドミウ
ム(CdO)、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛
(ZnO)、酸化マグネシウム(MgO)、硫化亜鉛
(ZnS)薄膜を用いてもよい。または、トンネリング
あるいはホッピングによる電気伝導が可能な膜厚範囲で
あれば、SiO2、酸化アルミニウム(Al23)、弗
化マグネシウム(MaF2)、弗化カルシウム(Ca
2)等の誘電体薄膜を用いることも可能である。
【0125】また、ここでは、Si超微粒子が自身の熱
酸化膜に被覆されているが、超微粒子の酸化膜は必ずし
も必要ない。即ち、光電子材料層を構成する超微粒子の
酸化物と透明媒質の標準生成エンタルピーの比較によ
り、透明媒質の方がその値が低ければ、より安定である
ことを意味し、超微粒子が透明媒質中に分散された時に
酸化されることはないため、酸化膜は必要ない。
【0126】これに対し、透明媒質の方の標準生成エン
タルピーが高い場合には、超微粒子の酸化物の方が安定
であるため、超微粒子を透明媒質中に分散させた時に、
透明媒質を還元しつつ超微粒子の表面が酸化されること
になる。従って、この場合には、超微粒子を透明媒質中
に分散させる前にあらかじめ酸化膜で被覆されているこ
とが好ましい。
【0127】具体的に、光電子材料を構成する超微粒子
及び透明媒質の材料の代表的な組み合わせを以下の(表
1)に示す。
【0128】
【表1】
【0129】この(表1)において、Aの組み合わせ
は、透明媒質の標準生成エンタルピーが超微粒子の酸化
物のそれよりも低い場合であり、超微粒子の酸化膜は必
要ない。
【0130】一方、Bの組み合わせは、透明媒質の標準
生成エンタルピーが超微粒子の酸化物のそれよりも高い
場合であり、超微粒子が酸化膜で被覆されていることが
好ましい。
【0131】次に、以上の構成において、EL素子とし
ての動作特性について説明する。まず、本実施の形態の
EL素子としての動作は、半透明電極16側に対して、
裏面電極17側に、負の直流バイアスを印加する。これ
は、本実施の形態の発光素子が順方向バイアスで動作す
ることを意味する。
【0132】このような条件により本実施の形態の光電
子材料を用いた発光素子を動作させた場合において、図
2は、発光素子の電流−電圧特性曲線図を示す。
【0133】図2(a)は、縦軸(電流)・横軸(電
圧)ともにリニアスケール表示とし、横軸の印加電圧に
ついては、図1における半透明電極16と光電子材料層
13の界面に形成されるショットキー接合における順方
向電位をグラフ上の正方向としている。この図2(a)
によると、半透明電極16と光電子材料層13の界面の
ショットキー接合による強い整流特性が示されている。
また、順方向電圧印加時の高電流側での外挿から推定さ
れる発光素子全体としての外部直列抵抗は、400Ω程
度である。
【0134】次に、図2(b)は、縦軸(電流)のみ対
数スケール表示とし、横軸(電圧)はショットキー接合
における順方向電位をグラフ上の正方向としてリニアス
ケール表示したものである。この図の特性曲線の傾きか
らは、ショットキー接合の理想因子n値を求めることが
できるが、本実施の形態の発光素子のn値は印加電圧依
存性を持っており、0.2V以下では1.8、これより
高い領域では15程度まで増加していることがわかる。
一般に1を大きく越えて高いn値は、界面準位密度が高
く、かつこれらが帯電していることを意味する。つま
り、この点からも、本実施の形態の発明のEL素子が発
光するのは、半透明電極16と光電子材料層13の界面
に形成されるショットキー接合に対し、順方向電圧を印
加した際であると考えられる。
【0135】図3に、本実施の形態の光電子材料を用い
たEL素子の発光強度−電流特性曲線図を示す。
【0136】ここでは、縦軸(発光強度)・横軸(電
流)ともに対数スケール表示を用いている。図3によれ
ば、順方向の電流密度が30mA/cm2(この際の順
方向電圧は約7.0V)の時に発光がはじまり、その
後、順方向電流の増加に従い、発光強度は単調に増大し
てゆくことがわかる。つまり、発光強度IELと、順方向
電流jとは、以下の関係式(数1)で表わせることにな
る。
【0137】
【数1】
【0138】このように発光強度が順方向電流の3.5
乗に比例するとういことは、発光強度の順方向電流に対
する依存性がきわめて急峻であるということであり、こ
れまでの微結晶Siを活性層とする発光素子には、全く
観察されなかった新規な結果である。例えば、多孔質S
i層を活性領域としたEL素子においては、従来の技術
で述べたように、基本的に発光強度は、順方向電流に比
例し増大するに過ぎないものであった。このように、発
光強度の順方向電流に対する依存性が急峻であること
は、ダイナミックレンジが大きい、即ちコントラスト比
の高い、高画質な発光・表示素子を実現できることを意
味している。
【0139】図4に、本実施の形態のEL素子のパルス
駆動時の発光強度−デューティー比特性曲線図を示す。
ここでは、縦軸(発光強度)・横軸(デューティー比)
ともに対数スケール表示を用いている。また、EL素子
への印加電圧は、パルス幅20μs、電圧値32Vと
し、周波数を変えることによりデューティー比を0.2
5%〜100%(DC)まで変化させた。図4によれ
ば、発光強度はデューティー比の減少に比例して減少し
ていることがわかる。この結果は、発光効率が一定であ
ることを示している。つまり、本実施の形態のEL素子
は、EL素子内での発熱の影響をほとんど受けないとい
える。さらに、20μsのパルス幅で駆動させても、D
Cと同等の発光効率が得られることから、μsレベル以
下の応答速度を有しているといえる。
【0140】図5に、本実施の形態の光電子材料を用い
たEL素子のフォトルミネッセンス(PL)及びEL双
方のスペクトル(発光強度−光子エネルギー特性曲線
図)を示す。
【0141】ここで、PLの励起手法は、光子エネルギ
ー2.54eV、パワー10mWのアルゴンイオン(A
+)レーザを用い、活性層となる光電子材料層に直接
レーザ光を照射した。また、ELの励起条件は、光電子
材料層への注入パワーを0.55W〜1.10Wとし、
発光活性領域は円形(3.1×10-2cm2)とした。
【0142】図5によれば、PLでは、2.10eV
(緑色)を中心としたメインピークと、1.65eV
(赤色)を中心としたサブピークを持つ発光スペクトル
となっている。これに対し、ELでは、中心光子エネル
ギーが1.65eV(赤色)のブロードな発光スペクト
ルとなっている。また、ELスペクトルのピーク位置
は、EL素子への注入パワーが増加するのに伴い低エネ
ルギー側に若干シフトしている。
【0143】この結果は、本実施の形態の光電子材料を
用いたEL素子の発光原理が、発熱による黒体輻射によ
るものではないことを示している。なぜなら、黒体輻射
においては、温度の上昇に伴い輻射のピークが高エネル
ギー側にシフトするが、本実施の形態では、先に述べた
ように、注入パワーの増加(即ち温度上昇)に伴いむし
ろ低エネルギー側にシフトしている。さらに、黒体が
1.65eVにピークを持つ光を発する場合、その温度
は3800Kと見積られるが、本実施の形態においてこ
のような高温になっていることはありえない。
【0144】以上のような結果を呈する本実施の形態に
おける発光素子の動作原理は以下のごとく説明されると
考える。
【0145】まず、順方向印加電圧により加速されたホ
ットエレクトロンは、光電子材料層13に注入される。
注入されたホットエレクトロンは、Si超微粒子14本
体にまで到達すると、衝突イオン化により電子−正孔対
を励起(生成)する。この励起過程における量子効率
は、注入電子のエネルギーが4.0eVのとき約1.0
に到達し、さらにエネルギーの上昇に伴い上昇してい
く。
【0146】ついで、一旦、注入された電子や励起され
た電子−正孔対は、Si超微粒子14と、その表面に形
成されているSiO2膜あるいは透明媒質15との界面
によりSi超微粒子14内に閉じこめられ、印加電圧中
でSi超微粒子14内において電子−正孔対を生成して
いき、つまり、いわば増倍(mutiplicatio
n)現象を呈し、さらに多数の励起電子−正孔対を生成
していくことになる。そして、このように増倍的に生成
され続ける励起電子−正孔対に対応した輻射再結合中心
を介した再結合現象により、発光強度の順方向電流に対
する依存性がきわめて急峻である発光現象を呈すること
になるわけである。
【0147】さらにつけ加えると、本実施の形態では、
対象となるSi超微粒子14が粒径nmレベルの球形を
しているため、超微粒子14内に閉じこめられた電子や
励起電子−正孔対が移動する平均自由行程が短く、より
効果的に衝突イオン化による励起電子−正孔対を生成し
得ているとも考えられる。
【0148】一方、従来の技術における第2の従来例で
説明した多孔質Siを活性層とするEL素子では、基本
的に接合(p−n)における少数キャリアの注入により
励起電子−正孔対を生成しているものに過ぎず、励起電
子−正孔対の数は注入電流に比例し、結果として発光強
度も注入電流に比例することになるわけである。また、
この従来例では、多孔質Siがnmレベルの微細な構造
を有しているものの、実際には多孔質Siが線状の形状
をしているため、多孔質Si中をキャリアがドリフトす
る際の平均自由行程が比較的長いことも、励起電子−正
孔対の発生効率に悪影響しているとも考えられる。
【0149】さらに、図5で示したように、PLとEL
の発光スペクトルが一致しない理由は次のように考えら
れる。
【0150】即ち、EL過程における衝突イオン化とそ
の増倍による励起電子−正孔対の生成では、注入される
ホットエレクトロンが、Siのバンドギャップ(1.1
eV)よりはるかに高いエネルギーを持っているために
(図5の励起条件では印加電圧26〜32Vであ
る。)、伝導帯中でもより高エネルギー側への遷移(い
わゆるハイヤーインターバンド遷移)が可能となる。故
に、最小バンド幅における輻射再結合のみならず、より
高いエネルギー差をもった輻射再結合も発生するように
なり、結果として発光スペクトルの幅がより幅広くなっ
てしまうと考えられる。
【0151】対して、PLでは、注入される光子エネル
ギーが2.54eVと相対的に低いため、ハイヤーイン
ターバンド遷移が発生する割合は低く、発光スペクトル
の幅はELよりも狭くなると考えられるのである。
【0152】さらに、ELでは、注入電子による衝突イ
オン化が、Si超微粒子表面近傍のSi超微粒子14本
体で発生する。そのため、この励起過程は界面状態に極
めて敏感であるが、界面には帯電した界面準位が多数存
在しているため、バルクと同様な電子−正孔対の励起は
期待できず、特に高エネルギー側の励起効率が低下して
いると考えられる。
【0153】対して、PLでは、エネルギー2.54e
Vの励起光を照射した際の吸収係数の大きさから、Si
超微粒子14全体にわたってほぼ同一の強度の励起光が
貫くと考えられ、各々のSi超微粒子14の中心部も含
んだほぼ全体で、バルク的に電子−正孔対が励起される
と見積られ、高エネルギー側の励起効率が低下しないと
考えられるのである。
【0154】さて次に、本実施の形態の光電子材料を用
いた発光素子の構成において、光電子材料層13中にp
−n接合を形成することもでき、このような構成につい
て説明する。
【0155】一例として、p−n接合を有する発光素子
の断面構造を図1(c)に示す。図1(c)において、
基板21は、面方位(100)、導電性がホウ素ドープ
のp−型、比抵抗が10Ω・cmであるp−型Si基板
を一例として用いた。
【0156】ついで、p−型Si基板21の上部表面に
は、p−型光電子材料層22が堆積されている。このp
−型光電子材料層22は、Si超微粒子23が、透明媒
質24中に分散されて構成されている。ここで、Si超
微粒子23は、形状がほぼ球形であり、結晶性はバルク
Siと同一の結晶構造を有し、かつ導電性は低濃度にホ
ウ素がド−プされたp−型であって、粒径は3〜10n
m程度に調整されている。また、透明媒質24は、一例
として、SiO2薄膜を用い、Si超微粒子23の充填
率は20%程度とした。この超微粒子堆積層であるp−
型光電子材料層22の厚さは約100nmである。な
お、p−型光電子材料層22と基板21はともにp−型
であるので、これらの界面には電気的障壁は形成されて
いない。
【0157】ついで、p−型光電子材料層22に接し
て、n−型光電子材料層25を堆積する。このn−型光
電子材料層25は、図1(a)の光電子材料層13と同
様の構成であり、このn−型光電子材料層の厚さは約5
0nmとした。さらに、このn−型光電子材料層の堆積
が完了した時点で、ボロンをイオン注入法により導入す
ることにより、高濃度ドープn−型とした。この際のイ
オン注入条件は、加速エネルギー20keV、ドーズ量
5×1015cm-2とした。
【0158】さらに、n−型光電子材料層25の上部表
面には、一例として厚さ10nmで材質がAgの半透明
電極26が接触し、n−型光電子材料層25と電気的に
はオーミック接触を形成している。
【0159】一方、基板21の下部表面には、一例とし
てAg製の裏面電極27が設けられ、基板21と電気的
にはオーミック接触を形成している。
【0160】もちろん、n−型光電子材料層25と半透
明電極26との中間、及び基板21と裏面電極27との
中間に、各々、界面の電気的障壁高さを低減するため
に、膜厚20nm程度の薄いMg膜を配置してもよい。
【0161】また、電極26、27は、Ag以外にも、
Mg、インジウム、アルミニウム、金、白金、タングス
テン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッ
ケル、パラジウム等のいずれかを主体に形成することも
可能である。
【0162】そして、半透明電極26と裏面電極27
は、必要に応じ導電性ペースト28等を介して、ワイヤ
リード線等により電源に接続されている。
【0163】以上の構成において、順方向電圧(半透明
電極26側が、裏面電極27側に対して負)を印加する
と、電子が高濃度n−型領域から低濃度p−型領域へ、
正孔が低濃度p−型領域から高濃度n−型領域へと、少
数キャリアが相互に注入されることとなる。このp−n
接合は、ショットキー接合を介して電子のみの注入を行
う先の構成よりも、電子−正孔対の生成が効率的に実現
できる効果を有する。
【0164】次に、以上の本実施の形態の光電子材料を
用いた発光素子において、可視光域で発光波長(光子エ
ネルギー)を制御する方法について説明する。
【0165】まず、第1の方法としては、光電子材料層
中のSi超微粒子の本体の粒径(サイズ)を調整し、こ
の際生じる量子閉じ込め効果により、バンドギャップ幅
とこれに伴う吸収端発光エネルギーを直接可変するもの
である。
【0166】ここで、量子閉じ込め効果を発現させるた
めには、超微粒子のサイズとして、ド・ブロイ波長の2
倍程度が目安となる。以下の(表2)に、超微粒子の材
料となる半導体の、ド・ブロイ波長及び量子閉じ込め効
果を発現し得る粒径(直径)を示す。
【0167】
【表2】
【0168】この(表2)より、例えばSiを用いて量
子閉じ込め効果を発現させるには、Si超微粒子の直径
は5nm以下となる。
【0169】また、図6(a)は、各種半導体超微粒子
からの吸収端発光エネルギーを、有効質量近似の成立す
る領域の量子閉じ込め効果を原理として、理論的に算出
したものである。
【0170】この図より、可視領域での発光を得るため
には、(表2)で示した粒径にすればよいことがわか
る。
【0171】さらに、図6(b)は、Si、Ge及びS
i−Ge混晶の球状超微粒子からの吸収端発光エネルギ
ーを、有効質量近似の成立する領域の量子閉じ込め効果
を原理として、理論的に算出したものである。この図に
よれば、3原色(RGB)発光を得るためには、例えば
Si単体超微粒子では、2.8nmから4.0nmの範
囲において粒径を制御することにより達成できることが
わかる。即ち、直径4.0nmで赤色、3.2nmで緑
色が発光できる。
【0172】しかし青色については、直径2.8nmが
対応することになるが、実際には直径2nm台でのサイ
ズ制御はかなり困難である上に、前述したごとく衝突イ
オン化による電子−正孔対の励起は、高エネルギー側に
なるほど効率が低下してしまう。さらに、直径2nm台
の超微粒子の表面原子割合は70%近くに達し、当然表
面欠陥とこれに伴う界面準位の影響は無視できないもの
になる。故に、Si単体超微粒子において量子閉じ込め
効果による青色発生は実現が容易ではないともいえる。
【0173】そこで、第2の方法として、Si単体超微
粒子を活性発光層として青色を発生させるためには、S
i超微粒子14と表面酸化膜の界面における表面酸化膜
の分子配列を再構成し、青色の光子エネルギーに対応す
る局在発光中心を形成することが有効である。より具体
的には、Si超微粒子の最表面を、例えば鎖状シロキセ
ン構造(鎖状ポリシラン骨格)とすることにより、青色
の発光が可能となる。
【0174】また、化合物半導体の場合には、化合物半
導体の超微粒子が酸化できる場合にはその酸化膜の、酸
化できない場合には別種の誘電膜の分子配列を再構成す
る等により、発光光子エネルギーが制御できる。
【0175】(実施の形態2)以下、本発明の光電子材
料を用いた光電変換素子の原理的な構成を、実施の形態
2として、図7を用いて詳細に説明する。
【0176】本実施の形態においては、実施の形態1と
同様に、IV族半導体の内でも、代表的に表面が自身の熱
酸化膜にて被覆されたSiの超微粒子が、導電率あるい
は誘電率の制御可能な均質透明媒質中に分散された光電
子材料層を受光(活性)領域とした、光起電力型の受光
素子について説明するものである。
【0177】図7は、本実施の形態における光電子材料
を用いた光電変換素子の断面構造を示す。
【0178】図7において、71は基板であり、一例と
して、面方位(100)、導電性がリンドープのn−
型、比抵抗が0.02〜0.05Ω・cmであるn−型
Si基板を用いた。このn−型Si基板71の上部表面
には、一例としてのSiO2膜である分離絶縁膜72が
厚さ100nmで形成されている。この分離絶縁膜72
には、光電変換素子の受光(活性)領域たるべき箇所
に、直径1〜10mm程度の開口部72aが形成され、
基板71の表面が露出した形状になっている。
【0179】そして、少なくとも開口部72aを被覆す
るように、光電子材料層73が堆積されている。この光
電子材料層73は、先に述べたように、Si超微粒子7
4が透明媒質75中に分散されて構成されている。この
光電子材料層73の構成は、実施の形態1で述べた光電
子材料層13と同様の構成である。即ち、Si超微粒子
74は、形状がほぼ球形であり、結晶性はバルクSiと
同一の結晶構造を有し、かつ導電性は1016〜1018
-3程度の濃度にリンがド−プされたn−型であって、
粒径は3〜10nm程度に調整されている。この光電子
材料層73の厚さは約150nmである。さらに、この
Si超微粒子74は、その表面が不図示のSiO2膜に
より被覆されており、その厚さは例えば3nm以下とす
ればよい。
【0180】また、透明媒質75は、可視光領域での透
過率が高く、かつ導電率あるいは誘電率が制御可能な均
質薄膜であり、ここでは、一例として、SnO2薄膜を
用いた。このSnO2薄膜は、可視光透過率80%以上
であり、その作製条件(基板温度、酸素分圧等)を調整
することにより、導電率あるいは誘電率を制御すること
が可能である。
【0181】そして、媒質75の比抵抗は、分散させる
超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上であること
が好適である。ここでは、Siの比抵抗が0.02〜
0.05Ω・cmであるので、SnO2薄膜の比抵抗は
0.1〜1Ω・cmとした。
【0182】また、光電子材料層73内のSi超微粒子
74の充填率は、実施の形態1で述べたように、量子閉
じ込めを効果的に行うために、20%程度とし、実施の
形態1で定義した、均質な超微粒子分散透明媒質を形成
した。
【0183】さらに、光電子材料層73の上部表面に
は、一例として厚さ10nmで材質がPtの半透明電極
76が接触し、導電率の制御された透明媒質75を含む
光電子材料層73と電気的にはいわゆるショットキー接
合を形成している。また、基板71の下部表面には、一
例としてAg製の裏面電極77が設けられ、基板71と
電気的にはオーミック接触を形成している。もちろん、
基板71と裏面電極77の間に、界面の電気的障壁高さ
を低減するために、膜厚20nm程度の薄いMg膜を配
置してもよい。
【0184】なお、電極76と77は、Pt、Ag以外
にも、Mg、インジウム、アルミニウム、金、タングス
テン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッ
ケル、パラジウム等のいずれかを主体に形成することも
可能である。
【0185】そして、半透明電極76と裏面電極77
は、必要に応じ導電性ペースト78等を介して、ワイヤ
リード線等により電源に接続されている。ここで、半透
明電極76側における電源接続位置である導電性ペース
ト78の位置は、受光(活性)領域を避けて配置するこ
とが好適である。
【0186】なお、ここでは光電子材料層を構成する超
微粒子の材料としてSiを用いたが、実施の形態1でも
述べたように、他にGeあるいはその混晶等のIV族半導
体が好適に使用可能であり、III−V族やII−VI族化合
物半導体を用いてもよい。そして、均質な透明媒質とし
てSnO2薄膜を用いたが、分散させる超微粒子の比抵
抗と同程度あるいはそれ以上の比抵抗を有する他の導電
体薄膜あるいは誘電体薄膜を用いてもよい。
【0187】例えば、超微粒子の比抵抗を不純物濃度に
より1〜10-3Ω・cm程度の範囲で制御し、この超微
粒子の比抵抗に応じて、透明媒質の比抵抗を102〜1
-2Ω・cm程度の範囲で制御すればよい。さらに、S
i超微粒子が酸化膜に被覆されているが、実施の形態1
において、(表1)に示したように、微粒子と透明媒質
の組み合わせにより、酸化膜は省略してもかまわない。
【0188】次に、以上の構成において、光起電力型の
受光素子としての動作原理を説明する。
【0189】まず、本実施の形態の光電子材料を用いた
受光素子としての動作は、裏面電極77側に対して、半
透明電極76側に、負の直流バイアスを印加する。本素
子構造では、実施の形態1において図2(a)に示した
ように、半透明電極76と光電子材料層73の界面のシ
ョットキー接合による強い整流特性が示されており、こ
の逆方向バイアスは、数〜数十V程度とすればよい。
【0190】この状態で、光電子材料層73にSi超微
粒子74のバンドギャップエネルギーよりも光子エネル
ギーの大きい光を照射すると、Si超微粒子74内で電
子−正孔対のキャリアが生成され、生成された電子は光
電子材料層73側へ、正孔は半透明電極76側へと、各
々移動する。この結果、半透明電極76と光電子材料層
73により形成されているショットキー接合部に光起電
力が生じる。この光起電力を検出することにより、受光
機能を呈する。
【0191】さて、本実施の形態の光電子材料を用いた
受光素子の構成においても、実施の形態1で図1(c)
を用いて説明したように、光電子材料層73の上層側半
分を高濃度n−型とし、下層側半分及び基板を低濃度p
−型としておくと、光電子材料層73と金属半透明電極
76の接触はオーミック性となり、光電子材料層73の
中央にはp−n接合が形成される。
【0192】一例として、以下にp−n接合を有する受
光素子の構造を概略説明する。まず、基板は、面方位
(100)、導電性がホウ素ドープのp−型、比抵抗が
1Ω・cmであるp−型Si基板を用いた。
【0193】また、光電子材料層の下層側の低濃度p−
型領域は、Si超微粒子が透明媒質中に分散されて構成
されている。ここで、Si超微粒子は、形状がほぼ球形
であり、結晶性はバルクSiと同一の結晶構造を有し、
かつ導電性は低濃度にホウ素がド−プされたp−型であ
って、粒径は3〜10nm程度に調整されている。
【0194】この透明媒質は、一例として、SiO2
膜を用い、Si超微粒子の充填率は20%程度とした。
このp−型超微粒子堆積層の厚さは約100nmであ
る。
【0195】ここで、低濃度p−型領域と基板はともに
p−型であるので、これらの界面には電気的障壁は形成
されていない。
【0196】一方、光電子材料層の上層側の高濃度n−
型領域は、図7の光電子材料層73と同様の構成であ
り、この高濃度n−型領域の厚さは約50nmとした。
なお、このn−型領域の堆積が完了した時点で、ボロン
をイオン注入法により導入することにより、高濃度ドー
プn−型とした。この際のイオン注入条件は、加速エネ
ルギー20keV、ドーズ量5×1015cm-2とした。
【0197】以上の構成において、逆方向電圧(半透明
電極側が、基板側に対して正)を印加した状態で光電子
材料層にSi超微粒子のバンドギャップエネルギーより
も光子エネルギーの大きい光を照射すると、Si超微粒
子内で電子−正孔対のキャリアが生成される。そして、
光電子材料層の内部で、電子が高濃度n−型領域へ、正
孔が低濃度p−型領域へと、少数キャリアが相互に加速
されることとなり、p−n接合部に光起電力が生じる。
このp−n接合は、ショットキー接合の構成よりも、暗
電流が小さいという効果を有する。
【0198】ところで、Siのバンドギャップエネルギ
ーは1.1eV(限界受光波長は1100nm)である
ため、バルクSiはほぼ可視光領域全域に受光感度を有
する。 これに対し、以上の本実施の形態の光電変換素
子において、受光波長領域を制御する方法について説明
する。
【0199】まず、第1の方法としては、Si超微粒子
本体の粒径(サイズ)を調整し、この際生じる量子閉じ
込め効果により、バンドギャップエネルギーを直接可変
するものである。この量子閉じ込め効果を発現させるた
めの超微粒子のサイズは材料により異なり、前述の(表
2)に示した通りである。
【0200】例えば、Si単体超微粒子では、図6に示
したように、直径4.0nmで赤色、3.2nmで緑
色、2.8nmで青色が吸収端領域となる。従って、S
i単体超微粒子の直径を3nm以下とすれば、カラーフ
ィルターを用いることなく青色領域より高エネルギー側
に感度を有する受光素子が実現できる。
【0201】しかしながら、実施の形態1でも述べたよ
うに、実際には直径2nm台でのサイズ制御はかなり困
難である上に、直径2nm台の超微粒子の表面原子割合
は70%近くに達し、当然表面欠陥とこれに伴う界面準
位の影響は無視できないものになる。
【0202】そこで、第2の方法として、Si超微粒子
と表面酸化膜の界面における表面酸化膜の分子配列を再
構成し、例えば青色の光子エネルギーに対応する局在発
光中心を形成することが有効である。より具体的には、
Si超微粒子の最表面を、例えば鎖状シロキセン構造
(鎖状ポリシラン骨格)とすることにより、青色領域で
の受光感度が向上する。
【0203】また、化合物半導体の場合には、化合物半
導体の超微粒子が酸化できる場合にはその酸化膜の、酸
化できない場合には別種の誘電膜の分子配列を再構成す
る等により、受光波長領域が制御できる。
【0204】以上のような受光特性を有する本実施の形
態の光電変換素子を用いれば、フィルター等を用いる必
要の無い、IV族半導体から成る紫外線センサあるいは青
色センサを構成することができる。
【0205】さらに、実施の形態1及び以上の説明から
明らかなように、本実施の形態の光電子材料を用いた光
電変換素子は、発光素子としての機能も有する。即ち、
図7において、半透明電極76側に対して、裏面電極7
7側に負の直流バイアスを印加すると、光電子材料層7
3にホットエレクトロンが注入され、電子−正孔対を励
起させる。励起された電子−正孔対は、再結合過程にお
いて、超微粒子のバンドギャップエネルギーに応じた発
光を呈することになる。従って、受発光が同じ構成で可
能な光電変換素子を得ることができる。
【0206】(実施の形態3)以下、本発明の他の光電
変換素子の原理的な構成を、実施の形態3として、図8
を用いて詳細に説明する。
【0207】本実施の形態においては、実施の形態1と
同様にIV族半導体であるSiの超微粒子が、導電率ある
いは誘電率の制御可能な均質な透明媒質中に分散された
光電子材料層を受光(活性)領域とした、光導電型の受
光素子について説明するものである。
【0208】図8は、本実施の形態における光電子材料
が用いられた光電変換素子の断面構造を示す。
【0209】図8において、81は基板であり、一例と
して、ガラス基板を用いた。このガラス基板81の上部
表面には、一例としてのPtの下部電極82が形成され
ている。そして、この下部電極82の上部表面には、光
電子材料層83が堆積されている。この光電子材料層8
3は、先に述べたように、Si超微粒子84が透明媒質
85中に分散されて構成されている。このSi超微粒子
84は、形状がほぼ球形であり、結晶性はバルクSiと
同一の結晶構造を有し、かつ導電性は低濃度にホウ素が
ド−プされたp−型であって、粒径は3〜10nm程度
に調整されている。また、透明媒質85は、可視光領域
での透過率が高く、かつ導電率あるいは誘電率が制御可
能な均質薄膜であり、ここでは、一例として、SnO2
薄膜を用いた。このSnO2薄膜は、可視光透過率80
%以上であり、さらに、その作製条件(基板温度、酸素
分圧等)を調整することにより、導電率あるいは誘電率
を制御することが可能である。
【0210】ここで、本実施の形態では、光導電型の受
光素子であるため、暗状態では抵抗値が最大になり、明
状態(光照射時)では抵抗値が二桁程度以上低下するこ
とが好適である。
【0211】例えば、暗状態での抵抗は百〜数百kΩで
あり、光照射時には抵抗値が十〜数十kΩ程度になるよ
うにすればよい。ここでは、一例として、Si超微粒子
84及び透明媒質85であるSnO2の比抵抗を1Ω・
cmとし、光電子材料層83の厚さを100nmとし
た。この構成の光電子材料層の暗状態での抵抗は100
kΩ程度となる。
【0212】一方、この光電子材料層に光が照射される
と、後に動作原理で説明するようにキャリアが生成さ
れ、外部電界によって加速されて増倍現象を呈すること
により、抵抗値が10kΩ程度にまで低下することにな
る。
【0213】なお、ここでは光電子材料層を構成する超
微粒子の材料としてSiを用いたが、実施の形態1及び
2でも述べたように、他にGeあるいはその混晶等のIV
族半導体が好適に使用可能であり、III−V族やII−VI
族化合物半導体を用いてもよい。そして、均質な透明媒
質としてSnO2薄膜を用いたが、分散させる超微粒子
の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の比抵抗を有する他
の導電体薄膜あるいは誘電体薄膜を用いてもよい。
【0214】さらに、光電子材料層83の上部表面に
は、一例として厚さ10nmで材質がPtの半透明電極
86が接触している。
【0215】なお、電極82と86は、Pt以外にも、
Mg、Ag、インジウム、アルミニウム、金、タングス
テン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッ
ケル、パラジウム等のいずれかを主体に形成することも
可能である。
【0216】そして、半透明電極86と下部電極82
は、必要に応じ導電性ペースト等を介して、ワイヤリー
ド線等により抵抗計に接続されている。
【0217】次に、以上の構成において、光導電型の受
光素子としての動作原理を説明する。
【0218】本実施の形態の光電子材料を用いた受光素
子としての動作は、光電子材料層83に光が照射される
と、光電子材料層83のSi超微粒子84内で光エネル
ギーが吸収され、価電子帯あるいはドナー準位にある電
子が伝導帯に励起される。これが自由電子となり、外部
電界によって加速され、増倍現象を呈してさらに多数の
自由電子を生成して、電極に達する。この結果、光電子
材料層83の内部抵抗が減少する。この内部抵抗の変化
を検出することにより、受光機能を呈する。
【0219】本実施の形態の光電子材料を用いた光電変
換素子において、受光波長領域を制御する方法について
は、実施の形態2で述べたように、Si超微粒子84本
体の粒径(サイズ)を調整し、この際に生じる量子閉じ
込め効果により、バンドギャップエネルギーを直接可変
する方法と、超微粒子が酸化できる場合にはその酸化膜
の、酸化できない場合には別種の誘電膜の分子配列を再
構成する等により制御する方法がある。
【0220】以上のような受光特性を有する本実施の形
態の光電変換素子を用いれば、フィルター等を用いる必
要の無い、IV族半導体から成る紫外線センサあるいは青
色センサを構成することができる。
【0221】(実施の形態4)以下、本発明の他の光電
子材料の原理的な構成を、実施の形態4として、図9及
び図10を用いて詳細に説明する。
【0222】本実施の形態においては、IV族半導体の内
でも、代表的に表面が自身の熱酸化膜にて被覆されたS
iの超微粒子が均質透明媒質中に分散された超微粒子分
散層を発光(活性)領域とした、フォトルミネッセンス
(PL)発光部材としての光電子材料について説明する
ものである。
【0223】なお、実施の形態1において、(表1)を
用いて説明したように、超微粒子と透明媒質の組み合わ
せによっては、超微粒子の酸化膜は省略してもかまわな
い。
【0224】図9は、本実施の形態の光電子材料の断面
構造を示す。図9(a)において、91は基板であり、
一例として、面方位(100)、導電性がリンドープの
n−型、比抵抗が10Ω・cmであるn−型Si基板を
用いた。このn−型Si基板91の上部表面には、低屈
折率を有する透明材質層92と、高屈折率を有する超微
粒子分散層93とが交互に所定の周期で積層され、周期
構造を形成している。ここで、透明材質層92は、可視
光領域での透過率が高く、かつ導電率あるいは誘電率が
制御可能な均質薄膜であり、一例として、酸化インジウ
ム−錫(In23−SnO2:ITO)薄膜を用いた。
このITO薄膜は、可視光透過率90%以上であり、さ
らに、その作製条件(基板温度、酸素分圧等)を調整す
ることにより、導電率及び誘電率を制御することが可能
である。例えば、蒸着法によりITO薄膜を作製する際
のSnO2の添加率を数〜数十重量%の範囲で調整する
ことにより、比抵抗を10-4〜10-2Ω・cm程度の範
囲で制御することができる。また、誘電率も、4〜5程
度の範囲で制御することができる。
【0225】なお、ここでは均質な透明材質層としてI
TO薄膜を用いたが、後述する周期構造の設計に従い、
低屈折率層として所望の誘電率を有する均質薄膜を用い
ることが好ましく、他の導電体薄膜、例えばSnO2
TiO2、InO2薄膜等を用いてもよく、SiO2、A
23等の誘電体薄膜を用いることも可能である。さら
に、本実施の形態の光電子材料は、実施の形態1〜3で
述べた発光素子あるいは光電変換素子の光電子材料層と
して用いることができるが、この場合、この透明材質層
は導電率の高いことが好ましい。
【0226】さらに、超微粒子分散層93は、図9
(b)に示すように、透明媒質94中にSi超微粒子9
5が分散されて構成されている。この超微粒子分散層9
3の構成は、実施の形態1で述べた光電子材料層13と
同様の構成である。即ち、Si超微粒子95は、形状が
ほぼ球形であり、結晶性はバルクSiと同一の結晶構造
を有し、かつ導電性は低濃度にリンがド−プされたn−
型であって、粒径は3〜10nm程度に調整されてい
る。さらに、このSi超微粒子95は、その表面が不図
示のSiO2膜により被覆されており、その厚さは例え
ば3nm以下とすればよい。
【0227】また、透明媒質94は、可視光領域での透
過率が高く、かつ導電率及び誘電率が制御可能な均質薄
膜であり、ここでは、一例として、SnO2薄膜を用い
た。さらに、媒質の比抵抗は、分散させる超微粒子の比
抵抗と同程度あるいはそれ以上であることが好適であ
り、ここでは、一例として、100Ω・cm程度とし
た。
【0228】さらに、光電子材料層93内のSi超微粒
子95の充填率は、実施の形態1で述べたように、キャ
リアの量子閉じ込めを効果的に行うために、20%程度
とした。
【0229】なお、ここでは超微粒子分散層を構成する
超微粒子の材料としてSiを用いたが、実施の形態1で
も述べたように、他にGeあるいはその混晶等のIV族半
導体が好適に使用可能であり、III−V族やII−VI族化
合物半導体を用いてもよい。そして、均質な透明媒質と
してSnO2薄膜を用いたが、後述する周期構造の設計
に従い、高屈折率層として所望の誘電率を有する均質薄
膜を用いることが好ましく、他の導電体薄膜あるいは誘
電体薄膜を用いてもよい。さらに、本実施の形態の光電
子材料は、実施の形態1〜3で述べた発光素子あるいは
光電変換素子の光電子材料層として用いることができる
が、この場合、この超微粒子分散層の透明媒質は、分散
させる超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の比
抵抗を有することが望ましい。
【0230】次に、本実施の形態の光電子材料におけ
る、周期構造の設計方法について説明する。
【0231】本実施の形態の光電子材料が後述するよう
な発光現象を呈する場合、所望の発光光の中心波長をλ
とした場合、透明材質層92と超微粒子分散層93との
積層の1周期の光学膜厚(屈折率×膜厚)がλ/2とな
るように交互に積層する。本実施の形態では、周期構造
の設計の一例として、λを600nmとし、各層の光学
膜厚が150nm(λ/4)となるようにした。より具
体的には、ITO薄膜の典型的な屈折率は2.1なの
で、低屈折率層である透明材質層92の膜厚は71nm
とした。
【0232】また、超微粒子分散層93については、平
均有効媒質理論を基に設計した。即ち、超微粒子分散層
が、誘電率εmの透明媒質中に誘電率εの球形超微粒子
が充填率fで分散されて構成されているとする。超微粒
子の粒径が波長に比べて十分小さい場合、超微粒子分散
層の平均としての誘電率εavは、以下の関係式(数2)
で表される。
【0233】
【数2】
【0234】本実施の形態では、SnO2薄膜の典型的
な誘電率は4.8であり、Si超微粒子の誘電率は、近
似的にバルクSiの値(11.9)を用いる。また、充
填率fは20%とすると、超微粒子分散層の平均の誘電
率は、上式より5.8となる。屈折率は、誘電率の1/
2乗と近似できるので、超微粒子分散層の平均の屈折率
は、2.4と得られる。従って、高屈折率層である超微
粒子分散層の膜厚は63nmとした。
【0235】なお、ここでは、各層の光学膜厚をλ/4
としたが、超微粒子分散層93での吸収を考慮して、透
明材質層92と超微粒子分散層93との積層の1周期の
光学膜厚はλ/2とした上で、超微粒子分散層93の光
学膜厚をλ/4より小さくしてもよい。これにより、本
実施の形態の光電子材料の発光光を取り出す効率を高め
ることができる。
【0236】次に、以上の構成の光電子材料における発
光の動作原理を説明する。まず、本実施の形態の光電子
材料のPL発光部材としての動作は、実施の形態1で詳
細に述べたように、超微粒子のバンドギャップエネルギ
ー(Eg)以上の光子エネルギーを有する光を照射する
と、超微粒子分散層93中のSi超微粒子95において
電子−正孔対が生成される。生成された電子−正孔対
は、対応した輻射再結合中心を介した再結合現象によ
り、超微粒子のEgに応じた発光を呈する。
【0237】元来IV族半導体は間接遷移型なので、輻射
再結合の発生確率は極めて少ないが、形状を粒径が数n
mオーダーの超微粒子にするとその確率が増大し、強い
発光を呈することが可能となる。ここで、発光波長の制
御方法は、実施の形態1で述べたように、量子閉じ込め
効果によるEgの増大現象を利用する。即ち、Si超微
粒子の粒径(サイズ)、表面原子配列の構造等を調整す
ることにより、必要とする発光波長を得ることが可能と
なる。
【0238】しかしながら、この超微粒子単体の発光ス
ペクトルは、図10(a)に示すように、広いスペクト
ル幅を有する。本実施の形態のSi超微粒子では、実施
の形態1で図5に示したように、0.3eV程度のスペ
クトル幅となる。
【0239】これに対し、本実施の形態では、前述した
周期構造の設計に従い、透明材質層92と超微粒子分散
層93を1周期の光学膜厚がλ/2となるように交互に
積層しているため、透明材質層と超微粒子分散層の屈折
率の差により各層の界面で多重干渉が生じ、λを中心と
する波長領域の発光強度のみを増強することができた。
この様子を図10(b)に示す。このスペクトル幅は、
周期構造の積層数が多いほど狭くなるため、必要なスペ
クトル幅に応じて積層数を調整すればよい。
【0240】さらに、Si超微粒子元来の発光の中心波
長と、周期構造により増強される中心波長が一致するよ
うに、Si超微粒子の粒径あるいは表面原子配列を調整
するとともに、前述した周期構造の設計に従って各層の
膜厚を調整することにより、超微粒子が元来発する連続
スペクトルの内、所望の波長領域の強度を増強する効果
が高められる。
【0241】なお、本実施の形態では、PL発光部材と
しての光電子材料について述べたが、本実施の形態の光
電子材料を実施の形態1〜3における光電子材料層とし
て用いることができる。この場合、実施の形態1〜3で
述べた発光素子あるいは光電変換素子において、超微粒
子が元来受発光する連続スペクトルの内、所望の波長領
域の受発光強度を増強することが可能となる。
【0242】(実施の形態5)以下、本発明の他の光電
子材料の原理的な構成を、実施の形態5として、図11
を用いて詳細に説明する。
【0243】本実施の形態においては、IV族半導体の内
でも、代表的に表面が自身の熱酸化膜にて被覆されたS
iの超微粒子が均質透明媒質中に分散された活性層を発
光(活性)領域とした、フォトルミネッセンス(PL)
発光部材としての光電子材料について説明するものであ
る。
【0244】なお、実施の形態1において、(表1)を
用いて説明したように、超微粒子と透明媒質の組み合わ
せによっては、超微粒子の酸化膜は省略してもかまわな
い。
【0245】図11は、本実施の形態の光電子材料の断
面構造を示す。図11において、111は基板であり、
一例としてガラス基板を用いた。このガラス基板111
の上部表面には、一例として厚さ100nmで材質がア
ルミニウム(Al)の金属薄膜層112が設けられてい
る。
【0246】なお、金属薄膜層112には可視光領域で
高反射率を有する材料を用いればよく、 Al以外に
も、Pt、Mg、インジウム、金、銀、タングステン、
モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッケル、
パラジウム等のいずれかを主体に形成することも可能で
ある。
【0247】金属薄膜層112の上部表面には多層膜層
113が形成されている。この多層膜層113は、屈折
率の異なる少なくとも2種類の層が交互に積層して周期
構造を成したものであり、一例として、実施の形態4で
述べた、ITO薄膜から成る透明媒質層と、Si超微粒
子をSnO2薄膜中に分散した超微粒子分散層とが交互
に積層されて成る光電子材料にて構成されている。
【0248】この多層膜層113の周期構造は、本実施
の形態の光電子材料が後述するような発光現象を呈する
場合、実施の形態4で詳細に述べた設計に従い、その1
周期の光学膜厚(屈折率×膜厚)が、λ/2(λ:発光
光の中心波長)となるようにした。即ち、本実施の形態
では、一例としてλを600nmとし、透明媒質層の膜
厚を71nm、超微粒子分散層の膜厚を63nmとして
交互に積層することにより、多層膜層113を形成し
た。
【0249】なお、ここでは多層膜層113として実施
の形態4の光電子材料を用いたが、可視光領域での多層
反射膜として従来用いられている誘電体多層膜等を用い
てもよい。
【0250】次に、多層膜層113の上部表面には、活
性層114が形成されている。この活性層114は、実
施の形態4で述べた超微粒子分散層183と同様の構成
であり、Si超微粒子115が透明媒質116中に分散
されて構成されている。このSi超微粒子115は、形
状がほぼ球形であり、結晶性はバルクSiと同一の結晶
構造を有し、かつ導電性は低濃度にホウ素がド−プされ
たp−型であって、粒径は3〜10nm程度に調整され
ている。さらに、このSi超微粒子115は、その表面
が不図示のSiO2膜により被覆されており、その厚さ
は例えば3nm以下とすればよい。また、透明媒質11
6は、可視光領域での透過率が高く、かつ導電率及び誘
電率が制御可能な均質薄膜であり、ここでは、一例とし
て、SnO2薄膜を用いた。
【0251】さらに、この活性層114の光学膜厚(屈
折率×膜厚)は、λの整数倍とする。本実施の形態で
は、一例としてλを600nmとし、活性層114の光
学膜厚を2λとした。より具体的には、活性層114の
屈折率は、実施の形態4で求めたように、一例として充
填率を20%とした場合、2.4となる。従って、活性
層114の膜厚は500nmとした。
【0252】なお、ここでは活性層を構成する超微粒子
の材料としてSiを用いたが、実施の形態4でも述べた
ように、他にGeあるいはその混晶等のIV族半導体が好
適に使用可能であり、III−V族やII−VI族化合物半導
体を用いてもよい。そして、均質な透明媒質としてSn
2薄膜を用いたが、実施の形態4で述べた周期構造の
設計に従い、所望の誘電率を有する均質薄膜を用いるこ
とが好ましく、他の導電体薄膜あるいは誘電体薄膜を用
いてもよい。さらに、本実施の形態の光電子材料は、実
施の形態1〜3で述べた発光素子あるいは光電変換素子
の光電子材料層として用いることができるが、この場
合、この活性層の透明媒質は、分散させる超微粒子の比
抵抗と同程度あるいはそれ以上の比抵抗を有することが
望ましい。
【0253】さらに、活性層114の上部表面には、一
例として厚さが10nmで材質がPtの部分反射膜層1
17が設けられている。
【0254】なお、部分反射膜層117には可視光領域
で適当な反射率を有する材料を用いればよく、Pt以外
にも、Mg、インジウム、Al、金、銀、タングステ
ン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッケ
ル、パラジウム等のいずれかを主体に形成することも可
能である。また、可視光領域で部分反射膜として従来用
いられている誘電体多層膜を用いることも可能である。
【0255】次に、以上の構成の光電子材料における、
発光の動作原理を説明する。超微粒子を含む活性層11
4に対し、超微粒子のバンドギャップエネルギー(E
g)以上の光子エネルギーを有する光を照射すると、実
施の形態4で述べた原理により、図10(a)に示した
ような広いスペクトル幅を有する発光を呈する。
【0256】そこで、前述のように、多層膜層113の
1周期の光学膜厚がλ/2となるように交互に積層して
周期構造を形成し、さらに、活性層114の光学膜厚が
λの整数倍になるように形成すると、活性層114が多
層膜層113と部分反射膜層117に挟まれた共振器構
造を構成するため、図10(b)に示すように、λをピ
ークとする波長領域の発光強度のみを増強することがで
きる。
【0257】さらに、本実施の形態では、多層膜層11
3として実施の形態4で述べた光電子材料を用いている
ため、多層膜層113中のSi超微粒子も発光を呈する
ことになり、より発光強度が増強される。
【0258】また、Si超微粒子元来の発光の中心波長
と、周期構造により増強される中心波長が一致するよう
に、Si超微粒子の粒径あるいは表面原子配列を調整す
るとともに、前述した周期構造の設計に従って各層の膜
厚を調整することにより、超微粒子が元来発する連続ス
ペクトルの内、所望の波長領域の強度を増強する効果が
高められる。
【0259】なお、本実施の形態では、PL発光部材と
しての光電子材料について述べたが、本実施の形態の光
電子材料を実施の形態1〜3における光電子材料層とし
て用いることができる。この場合、実施の形態1〜3で
述べた発光素子あるいは光電変換素子において、超微粒
子が元来受発光する連続スペクトルの内、所望の波長領
域の受発光強度を増強することが可能となる。
【0260】(実施の形態6)以下、本発明の光電子材
料を用いた光電子集積回路について、実施の形態6とし
て、図12及び図13を用いて詳細に説明する。
【0261】ここでも、中核となる能動素子は、これま
での実施の形態で述べてきた、量子機能を発揮するよう
に平均粒径が数nmの領域において制御され、かつ表面
が自身の熱酸化膜にて被覆されたSiの超微粒子を、導
電率及び誘電率が制御された均質な透明媒質中に分散さ
せた光電子材料層を、活性領域として有するものであ
る。
【0262】なお、ここで場合によっては、超微粒子の
酸化膜は、省略する場合もある。また、均質な媒質と
は、媒質中の電気的性質、特に導電率や誘電率が媒質中
でほぼ均一であるという意味であり、媒質中に分散され
る超微粒子が、数10個から数100個の原子・分子の
集合体であるのに対して、媒質自体は、それよりも小さ
な数個の原子・分子の集合体が、所定の基板等の上に積
もっていくことにより形成されたものが一例としてあげ
られる。
【0263】図12は、Si超微粒子分散型光電子材料
を用いた、モノリシック光電子集積回路の全体構成図で
ある。
【0264】図12において、Si超微粒子分散型光電
子材料は、電気的信号を光信号に変換する電気-光変換
素子、いわば発光素子として、光信号送信部のキーデバ
イスとなっている。
【0265】本実施の形態のモノリシック光電子集積回
路は、Si大規模集積回路(LSI)用の単結晶Siを
基板121とし、1チップで構成されている。
【0266】このSi基板121表面には、電気的信号
処理を行う領域が、各機能毎に複数のブロック122に
分れて構成されている。各々の電気的信号処理用ブロッ
ク122は、通常のSi−LSIに用いられるモノリシ
ックプロセスで製造された、多数のMOSFETの集合
で構成されている。
【0267】ここで、この各々の電気的信号処理用ブロ
ック122間の相互の信号伝達には、チップ内を横断的
に走る、所謂ブロック間配線が必要となる。通常、Si
−LSIモノリシックプロセスではこれに金属配線を用
るが、第5の従来例でも述べたように、寄生容量・配線
抵抗によるRC遅延の問題が、微細化による高速動作化
・低消費電力化の促進を阻害している。
【0268】そこで本実施の形態では、ブロック間配線
を寄生容量・配線抵抗の影響が極めて少ない、光インタ
ーコネクション部123で行っている。さらに、従来の
光インターコネクションの構成では、電気−光変換素子
(発光素子)をIII−V族による近赤外半導体レーザや
高輝度発光ダイオードをアセンブリせざるを得なかった
のに対し、本実施の形態では、薄膜堆積されたSi超微
粒子分散型光電子材料を活性領域とする発光素子を光信
号送信部のキーデバイスとして用いている。
【0269】かかる光インターコネクション部123の
内、光信号受信部となる光−電気変換素子(受光素子)
はSi基板121表面のPINフォトダイオード、光導
波路はコアをSi窒化物(SiN)クラッドをSi酸化
物(SiO)とする光伝送ファイバーとしている。
【0270】従って、本実施の形態の光電子集積回路
は、すべてSi-LSIモノリシックプロセスに整合性
のあるSi系材料で構成されていることとなる。
【0271】次に、図13を用いて、本実施の形態の光
電子集積回路内のSi系材料光インターコネクション構
造について、より詳しく説明する。
【0272】図13(a)は、実施の形態1において記
載されているものを基本構成とするSi超微粒子分散型
光電子材料を活性領域とした発光ダイオードの断面構造
図及びPINフォトダイオードの断面構造図を、各々左
右に記載している。
【0273】図13(a)において、発光素子部は、S
i超微粒子分散型光電子材料層131を活性領域として
構成されており、高輝度(外部量子効率1.0〜2.0
%)で、狭スペクトル幅(半値全幅0.02eV)の赤
色光(波長775nm)を発する発光ダイオードとして
動作する。
【0274】このSi超微粒子分散型光電子材料層13
1の上面は、透明電極132aとオーミック接触し、こ
の透明電極132aは電源電圧側に接続されている。
【0275】また、Si超微粒子分散型光電子材料層1
31の側面は、分離絶縁膜133aで仕切られ活性領域
を画定することとなっている。この分離絶縁膜133a
は、熱酸化膜で構成されている。
【0276】さらに、Si超微粒子分散型光電子材料層
131の底面は、Si基板134の表面に形成されたn
+拡散層に接続されている。
【0277】ここで、Si超微粒子分散型光電子材料層
131中のSi超微粒子はp型にドーピングされてお
り、Si超微粒子分散型光電子材料層131全体として
もp型の振舞いをする。従って、Si基板134aの表
面のn+拡散層とは、p−n接合を形成することで、ダ
イオード動作をする。
【0278】かかるSi超微粒子分散型光電子材料層1
31の発光原理としては、先のダイオードとして順方向
バイアスされた状態では、Si基板134aの表面n+
拡散層側から、Si超微粒子分散型光電子材料層131
にとって少数キャリアである電子が注入される。それと
ともに、注入電子がSi超微粒子分散型光電子材料層1
31内部のSi超微粒子に到達した時点で、衝突電離に
よる電子−正孔対生成を行い、さらにこれらがカスケー
ド的に増倍して行く。先の注入電子と多数キャリアであ
る正孔、及び衝突電離・増倍による電子−正孔対がSi
超微粒子内部で放射再結合する際に、波長中心775n
mの赤色光を発する。
【0279】ここで、図13(b)は、ドライバnチャ
ンネルMOSFETも含んだ発光ダイオードの等価回路
図を、対応させて記載している。なお、図13(a)と
図13(b)の電気的接続関係は、A、Bで対応させて
ある。
【0280】図13(a)に加え図13(b)をも参照
すると、Si基板134aの表面のn+拡散層は、発光
ダイオードのドライバであるnチャンネルMOSFET
のドレイン電極に接続されている。このドライバnチャ
ンネルMOSFETは、Si超微粒子分散型光電子材料
層131の付近に、通常のSi−LSIモノリシックプ
ロセスにて作製されたものである。
【0281】一方、Si超微粒子分散型光電子材料層1
31を活性領域とした発光ダイオードの上層は、比較的
屈折率の低い層間絶縁膜135aで被覆されている。こ
の層間絶縁膜135aは、シランまたはテトラエトキシ
シランを原料ガスとする化学的気相成長法(CVD)に
より形成されたSi酸化膜であり、屈折率が1.44〜
1.46に設定されている。さらに、電気的信号処理ブ
ロック内の金属配線に対する、層間絶縁膜も兼ねるもの
である。
【0282】また、Si超微粒子分散型光電子材料層1
31の直上方には、層間絶縁膜135aの中に埋め込む
形で形成されたコリメータレンズ136を有する。これ
は、CVDにより成長させたSi窒化膜を材料とするマ
イクロレンズであり、屈折率を2.0に設定している。
【0283】この層間絶縁膜135aの上表面には、同
じくCVDにより成長させたSi窒化膜を微細加工して
形成した、スラブ型の光導波路137が設けられてい
る。この屈折率は2.4と高めに設定され、光導波路内
の全反射臨界角を大きくとれる設定にしてあり、全反射
臨界角は約37°である。
【0284】以上の構成において、Si超微粒子分散型
光電子材料層131から上方に発っせられた赤色光は、
コリメータレンズ136で、ほぼ平行光線に成形された
後、光導波路137の端部に水平面と45°をなすよう
に加工されたミラー面137aに照射される。
【0285】ついで、このミラー面から光導波路137
内部の長手方向に反射された赤色光は、光導波路137
内部を対向側ミラー面137bまで伝搬して行く。
【0286】この対向側ミラー面137bでは、ほぼ下
方向に反射した赤色光の内、全反射の臨界角に満たない
部分は、光導波路137から下方外部に出射し、ミラー
面直下方に設置された集光レンズ138を介して集光さ
れた後、直下方に設置された受光素子部としてのPIN
フォトダイオード139に照射される。このPINフォ
トダイオード139は、通常のSi−LSIモノリシッ
クプロセスにより作製されているものである。
【0287】図13(c)は、負荷用nチャンネルMO
SFET及びCMOSインバータ型出力バッファーも含
んだPINフォトダイオードの等価回路図を示す。な
お、図13(a)と図13(c)の電気的接続関係は、
C、Dで対応させてある。
【0288】図13(a)に加え、図13(c)をも参
照すると、PINフォトダイオード139の上面は、透
明電極132bとオーミック接触し、この透明電極13
2bは負荷用nチャンネルMOSFETのソース電極に
接続されている。
【0289】また、PINフォトダイオード139の側
面は、分離絶縁膜133bで仕切られ活性領域を画定す
ることとなっている。この分離絶縁膜133bは熱酸化
膜で構成されている。
【0290】さらに、PINフォトダイオード139の
+側は、p-型のSi基板134bの内部(深さ3.5
μm)に、ホウ素の高エネルギーイオン注入により形成
したp+層であり、このp+層は接地されている。
【0291】一方、PINフォトダイオード139のn
+側は、Si基板134bの表面にヒ素が浅く拡散され
たものであり、透明電極132bを介して、負荷用nチ
ャンネルMOSFETのソース電極に接続されている。
【0292】なお、PINフォトダイオード139の真
性領域は、p-型であるSi基板134b自体としてい
る。
【0293】かかるPINフォトダイオード139は、
逆バイアス印加された状態で、負荷用nチャンネルMO
SFETのソース側に、ドライバとして直列接続された
構成となっている。
【0294】PINフォトダイオード139への逆バイ
アス値を20Vとすると、応答時間は10-10秒のオー
ダーに到達し、遮断周波数も200MHzの超高速応答
に充分対応できる。
【0295】そして、負荷用nチャンネルMOSFET
のソース側は、CMOSインバータ型出力バッファーの
ゲート入力に接続されているため、PINフォトダイオ
ード139が、光導波路137から下方外部に出た赤色
光を、ミラー面直下方に設置された集光レンズ138を
介して受光すると、この光信号を電気的信号として、C
MOSインバータ型出力バッファーから出力することが
できる。
【0296】(実施の形態7)以下、前述してきた本発
明の光電子材料の好適な製造方法を、実施の形態7とし
て、図14及び図15を用いて詳細に説明する。
【0297】本実施の形態においては、Si超微粒子が
分散した透明導電体薄膜からなる光電子材料の製造方法
について説明する。本実施の形態では、Si超微粒子と
透明導電体材料の堆積を同時に同一基板上に対して行
い、透明導電体薄膜中にSi超微粒子を分散させる工程
を有し、Si超微粒子は希ガス(Ar、He等)雰囲気
中におけるレーザアブレーションを用いて作製されて基
板上に付着堆積され、透明導電体薄膜は蒸発工程、好適
には酸化性ガス雰囲気中におけるレーザアブレーション
を介して、Si超微粒子を内部に分散するように同一基
板上に形成するものである。
【0298】なお、レーザアブレーション法とは、高い
エネルギー密度(パルスエネルギー:1.0J/cm2
程度かそれ以上とする。)のレーザ光をターゲット材に
照射し、被照射ターゲット材表面の溶融・脱離を起こす
ものであり、非熱平衡性及び無質量性プロセスであるこ
とに特徴がある。
【0299】このような非熱平衡性における具体的効果
としては、空間的・時間的選択励起が可能であることが
挙げられる。特に、空間的選択励起性を有することか
ら、従来の熱プロセスやプラズマプロセスにおいては反
応槽のかなり広い領域あるいは全体が熱やイオンに曝さ
れるのに対し、必要な物質源のみを励起することができ
るので、不純物混入が抑制されたクリーンなプロセスと
なる。
【0300】また、無質量性とは、同じ非熱平衡性のイ
オンプロセスに比較して、格段な低ダメージ性を意味し
ている。レーザアブレーションにおける脱離物質は、主
にイオン及び中性粒子である原子・分子・クラスター
(数個から数十個程度の原子から構成される。)であ
り、その運動エネルギーは、イオンで数十eV、中性粒
子の場合は数eVのレベルに達する。これは、加熱蒸発
原子よりはるかに高エネルギーであるが、イオンビーム
よりはるかに低エネルギーの領域である。
【0301】このようにクリーンでダメージの少ないレ
ーザアブレーションプロセスは、不純物の混入・結晶性
・表面状態等が制御された超微粒子の作製に適してい
る。これは、表面積率が極めて大きく構造に敏感な超微
粒子の作製においては低ダメージ性が不可欠であるとと
もに、熱平衡プロセスにより超微粒子を成長させると粒
径等の構造パラメータの分布が避け得なくなるためであ
る。
【0302】具体的に、図14において、Siターゲッ
ト及び透明導電体ターゲットのレーザアブレーションを
同時に行うことにより、均質な透明導電体薄膜中にSi
超微粒子が分散した光電子材料薄膜を形成するための光
電子材料製造装置の概念図を示す。
【0303】図14において、まず全金属製の第1反応
室140aは、ターボ分子ポンプを主体とする高真空排
気系により到達真空1.0×10-9Torrまで排気し
た後、マスフローコントローラ141aを経由して、希
ガス導入ライン142aより、Heガスの導入を行う。
ここで、ドライロータリーポンプもしくは高圧用ターボ
分子ポンプを主体としたガス排気系143aの動作と連
動することにより、第1反応室140a内の希ガス圧力
を、0.1〜10Torrの範囲の一圧力値に設定す
る。
【0304】そして、この状態で、自転機構を有する第
1ターゲットホルダー144aに配置されたSiターゲ
ット145aの表面に対して、第1パルスレーザ光源1
46aからレーザ光を照射する。すると、Siターゲッ
ト145a表面では、レーザアブレーション現象が発生
し、Siのイオンあるいは中性粒子(原子、クラスタ
ー)が脱離し、当初はイオンで50eV、中性粒子で5
eVのオーダーの運動エネルギーで、主にターゲット法
線方向に射出して行く。そして、脱離物質は、希ガス原
子と衝突することにより、飛行方向が乱雑になるととも
に、運動エネルギーが雰囲気に散逸され、空中での会合
と凝縮が促進される。この結果、粒径数nmから数十n
mの超微粒子に成長する。
【0305】一方、全金属製の第2反応室140bにお
いては、高真空排気系により到達真空1.0×10-9
orrまで排気した後、マスフローコントローラ141
bを経由して、酸化性ガス導入ライン142bより、酸
素混入ガスの導入を行う。酸素混入割合は、数%のオー
ダーでHeガスに対して混入することが好適である。こ
こで、ドライロータリーポンプもしくは高圧用ターボ分
子ポンプを主体としたガス排気系143bの動作と連動
することにより、第2反応室140b内のガス圧力を、
0.1〜10Torr程度の範囲の一圧力値に設定す
る。そして、この状態で、自転機構を有する第2ターゲ
ットホルダー144bに配置されたSnO 2ターゲット
145bの表面に対して、第2パルスレーザ光源146
bからのレーザ光を照射すると、SnO2ターゲット1
45b表面でレーザアブレーション現象が発生し、Sn
2のイオンあるいは中性粒子(分子、クラスター)が
脱離し、当初はイオンで50eV、中性粒子で5eVの
オーダーの運動エネルギーで、主にターゲット法線方向
に分子、クラスターレベルの大きさを維持して、射出し
て行く。この際に、酸素ガス雰囲気にすることにより、
射出物質がSnO2の分子あるいは分子を単位とするク
ラスターとなり、いずれも準安定な状態であり、化学量
論的組成が保たれる。
【0306】さらに、真空反応室147内には堆積基板
148が配置され、ターボ分子ポンプを主体とする高真
空排気系149により到達真空1.0×10-6Torr
程度まで排気されている。この真空反応室147と第1
反応室140aとの差圧により、第1反応室140a内
で生成されたSi超微粒子は、第1ノズル150a及び
第1スキマー150bを通過して真空反応室147内に
噴射され、基板148に堆積する。
【0307】同様に、真空反応室147と第2反応室1
40bとの差圧により、第2反応室140b内で生成さ
れたSnO2の分子あるいはクラスターは、第2ノズル
150c及び第2スキマー150dを通過して真空反応
室147内に噴射され、基板148に均質な薄膜として
堆積する。
【0308】従って、以上のSi及びSnO2のレーザ
アブレーションを同時に行うことにより、堆積基板14
8上にはSi超微粒子が分散した均質なSnO2(透明
導電体)薄膜を形成することが可能となる。さらに、本
実施の形態においては、透明導電体薄膜作製のための活
性酸素が存在するのは第2反応室140bのみであるの
で、非常に酸化されやすいSi超微粒子を、活性酸素雰
囲気に晒すことなく、透明導電体薄膜中に分散させるこ
とができる。
【0309】なお、堆積された超微粒子の充填率は、レ
ーザアブレーション時にターゲットに照射するレーザパ
ワー及び繰り返し周波数により制御する。あるいは、ノ
ズル及びスキマーの形状、真空反応室と各反応室との差
圧を調整することによっても制御可能である。
【0310】また、雰囲気希ガスとしてArを用いる場
合とHeを用いる場合との差は、堆積時で同等の超微粒
子平均粒径を得るためには、Arの場合はHeを基準と
すると0.1から0.2倍の圧力に設定する必要がある
という点にある。
【0311】堆積直後のSi超微粒子表面には、高エネ
ルギー粒子や輻射による損傷による結晶欠陥あるいは不
純物の混入がある。そこで、これら好ましくない表面層
を除去し、結晶性と純度の優れたSi超微粒子を形成す
る上で、Si超微粒子を酸素雰囲気中で酸化したり、熱
処理をすることが有効である。この表面処理工程として
は、実施の形態1で(表1)を用いて説明した超微粒子
と透明媒質の組み合わせに応じて、以下の方法が好適で
ある。
【0312】まず、(表1)のAの組み合わせの場合、
即ち、透明媒質の標準生成エンタルピーが超微粒子の酸
化物のそれより低い場合には、超微粒子を透明媒質中に
分散させた時に透明媒質中の酸素による酸化が生じにく
いため、超微粒子が分散した透明媒質薄膜を堆積した後
に熱処理工程を実施する。
【0313】具体的には、堆積終了後、一旦、真空反応
室147を高真空排気した後、窒素ガスを導入すること
により、窒素雰囲気を形成する。そして、堆積基板14
8上の超微粒子が分散した透明媒質薄膜を加熱する。こ
の加熱処理の際に、温度は、超微粒子の融点(絶対温
度)の0.5〜0.8倍とし、また、透明媒質の融点よ
り低くする。さらに、透明媒質の融点は、超微粒子のそ
れよりも高いことが望ましい。例えば、Siの融点は1
414℃、SnO2の融点は1127℃であるので、加
熱処理温度は、600〜1000℃の範囲に設定すれば
よい。この窒素雰囲気による表面処理工程によりこれら
好ましくない表面層を除去し、結晶性と純度の優れた超
微粒子を形成することができる。
【0314】なお、ここでは窒素ガス雰囲気で熱処理を
行ったが、酸素ガス等の雰囲気中で行ってもよい。この
場合、超微粒子の表面に酸化膜を形成することもでき
る。
【0315】次に、本実施の形態のように(表1)のB
の組み合わせの場合には、超微粒子を透明媒質中に分散
させた時に、透明媒質中の酸素により酸化されてしま
う。そこで、超微粒子を透明媒質中に分散させる前に、
あらかじめ酸化膜で被覆しておけばよい。具体的には、
上記のSi及びSnO2のレーザアブレーションを行う
際に、真空反応室147に酸素ガスを導入しておく。そ
の圧力は、第1反応室及び第2反応室との差圧が生じる
ように設定し、例えば10-2Torr以下とすればよ
い。第1反応室140a内で生成されたSi超微粒子
は、第1ノズル150aを通過して真空反応室147内
に噴射されると、真空反応室内の酸素分子に接触して表
面酸化が促進される。一方、この酸素ガス混入によって
は、堆積SnO 2薄膜の酸素組成は減少されず化学量論
的組成が保たれている。この酸素雰囲気による表面処理
工程により、好ましくない表面層を除去し、結晶性と純
度の優れた超微粒子を形成することができた。
【0316】以上のように、本実施の形態においては、
Si超微粒子が分散したSnO2薄膜を得ることができ
るため、多孔質形状を排することができ、電極を接続し
て素子化するに簡便で、量子サイズ効果をも効果的に引
き出し得る超微粒子を含む薄膜を作製することができた
ものであり、さらに、超微粒子の表面処理工程により、
好ましくない表面層を除去し、結晶性と純度の優れたIV
族超微粒子を形成することができたものである。
【0317】なお、以上の説明では、Si超微粒子をS
nO2薄膜中に分散させて成る光電子材料の製造方法に
ついて述べたが、超微粒子の材料としては、他の種類や
組成比の単体または混晶を用いることももちろん可能で
あるし、超微粒子を分散させる透明媒質材料としては、
透明導電体薄膜の他にも、SiO2等の誘電体薄膜を用
いることも可能である。
【0318】ところで、以上の説明では、第1反応室内
で生成されたSi超微粒子を第1ノズルを介して直接基
板に堆積させていたが、この場合、超微粒子の粒径分布
に広がりが生じる。そこで、さらに、本発明の光電子材
料の製造工程において、Si超微粒子の粒径を制御する
方法を、図15を用いて説明する。
【0319】図15は、レーザアブレーション法により
超微粒子を堆積する際に、質量分離を用いて粒径を制御
する粒径制御装置の概略図である。
【0320】図15において、前述のように、希ガス雰
囲気の反応室内で、その中に配置されたターゲット15
1の表面に対してパルスレーザ光を照射すると、ターゲ
ット151表面でレーザアブレーション現象が発生し、
空中での会合と成長が促進されて超微粒子152が生成
される。この生成微粒子152に対して、質量分離部1
54を用いて、超微粒子152を導入するためのオリフ
ィス155、導入された超微粒子をイオン化するための
イオン化室156、イオン化した超微粒子の速度を電界
で加速するための加速管157、及び、超微粒子を質量
分離するための電界を印加する偏向電極158により構
成されている。
【0321】次に、以上の構成における、超微粒子の粒
径制御方法を説明する。まず、先に述べたように、希ガ
ス雰囲気の真空反応室内に配置されたターゲット151
の表面に対してパルスレーザ光を照射すると、超微粒子
152が生成される。この超微粒子152は、オリフィ
ス155を通過してイオン化室156に導入される。こ
のイオン化室156内にはグロー放電領域が形成されて
おり、導入された超微粒子はこのグロー放電領域を通過
する際にイオン化される。次に、イオン化された超微粒
子は、加速管157に印加された電圧に応じて加速され
た後、偏向電極158に到達する。ここで、偏向電極1
58に電界を印加しておくと、一部の超微粒子の射出方
向が堆積基板153の方向へ変えられる。この射出方向
は、堆積すべき超微粒子の粒径(正確に言えば質量)、
加速管157での加速電圧、及び、偏向電極158での
印加電界により決定されるので、これらの物理量の制御
により、堆積すべき超微粒子のみ堆積基板153の方向
に射出することができる。
【0322】従って、以上の質量分離部154を、ター
ゲット151と堆積基板153の間に組み込むことによ
り、堆積基板153上には粒径の揃った超微粒子を堆積
することが可能となる。
【0323】なお、以上の説明では、超微粒子の射出方
向を変えるのに、偏向電極を用いて電界を印加したが、
磁界を印加することにより射出方向を変えることも可能
である。
【0324】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、超微粒
子が、導電率あるいは誘電率が制御可能であって実質的
に均質な媒質中に分散された構成とすることにより、超
微粒子へのキャリア注入、あるいは超微粒子内のキャリ
アの量子閉じ込めを効果的に実現しかつ制御することが
でき、ひいては波長等の受発光特性が制御可能でかつ受
発光効率の高い発光素子や受光素子を実現することがで
きる。
【0325】また、このような光電子材料を用いた超微
粒子を含む活性層と、さらに透明材質層とが交互に積層
された周期構造を有することにより、超微粒子が受発光
する連続スペクトルの内、特定の波長領域の強度を増強
する特性を有する光電子材料、ひいては受発光の光子エ
ネルギーの制御も可能な発光素子や受光素子等を実現す
ることができる。
【0326】また、このような光電子材料を用いた活性
層と、それを挟んで高反射層と部分反射層とを設けるこ
とにより、受発光光の波長が狭帯域化され、かつ強度の
増大できる光電子材料、ひいては発光素子や受光素子等
を得ることができる。
【0327】また、このような光電子材料を含む光電子
材料層を挟んで少なくとも一方の電極が直接的に接触し
た一対の電極を設けることにより、電極と光電子材料層
との電気的接続性が適宜制御でき、受発光効率の高い発
光素子や受光素子等を得る事ができる。
【0328】また、このような光電子材料を具体的に紫
外線センサ等に適用した場合には、カラーフィルター等
を必要としない構成とすることができる。
【0329】そして、本発明の光電子材料及びその種々
の応用された素子、装置や集積回路は、無尽埋蔵量かつ
環境汚染フリーな材料を用い、Si−LSI整合性、高
耐環境性、アセンブリーレス性等の優れた効果を有する
ものであり、種々のマルチメディア対応機器に適用でき
る。
【0330】さらに、以上の光電子材料の製造方法は、
第1のターゲット材を低圧希ガス雰囲気の第1の反応室
の内部に配置する第1のターゲット材配置工程と、第2
のターゲット材を前記第1のターゲット材が配置されて
いる第1の反応室と独立に雰囲気ガス種及びガス圧を調
整できる第2の反応室内に配置する第2のターゲット材
配置工程と、第1のターゲット材配置工程で配置された
第1のターゲット材にレーザ光を照射して前記ターゲッ
ト材の脱離・射出を生じるアブレーション工程と、第2
のターゲット材配置工程で配置された第2のターゲット
にレーザ光を照射して前記ターゲット材の脱離・射出
を生じるアブレーション工程を有するものが好適であ
り、第1のターゲット材上のアブレーション工程におい
て脱離・射出された物質を空中で凝縮・成長させて得ら
れた超微粒子が堆積基板上に補集されるのと実質的に同
時に、第2のターゲット材上のアブレーション工程での
生成物質を前記堆積基板上に補集して、第2のターゲッ
ト材から構成される均質な物質中に超微粒子が分散され
た光電子材料を実際に得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における発光素子の断面
構造図
【図2】同発光素子の電流−電圧特性曲線図
【図3】同発光素子の発光強度−電流特性曲線図
【図4】同発光素子の発光強度−デューティ比特性曲線
【図5】同発光素子のPL及びELの発光強度−光子エ
ネルギー特性曲線図
【図6】同超微粒子粒径−吸収端発光エネルギーの関係
を示す特性図
【図7】本発明の実施の形態2における光電変換素子の
断面構造図
【図8】本発明の実施の形態3における光電変換素子の
断面構造図
【図9】本発明の実施の形態4における光電子材料の断
面構造図
【図10】同光電子材料の発光スペクトルを示す図
【図11】本発明の実施の形態5における光電子材料の
断面構造図
【図12】本発明の実施の形態6における光電子集積回
路の全体構成図
【図13】同光電子集積回路内Si系材料光インターコ
ネクション部の断面構造図
【図14】本発明の実施の形態7における光電子材料製
造装置の概念図
【図15】同超微粒子の粒径制御装置の概念図
【図16】従来の多孔質Siを用いたEL素子の断面構
造図
【図17】従来の多孔質Siを用いた発光素子の断面構
造図
【図18】従来のフォトダイオードの断面構造図
【図19】従来の光電子集積回路の全体構成図
【符号の説明】
11、21、71、81、91、111、121、13
4a、134b 基板 12、72 分離絶縁膜 12a、72a 開口部 13、22、25、73、83、131 光電子材料層 14、23、74、84、95、115 超微粒子 15、24、75、85、94、116 透明媒質 16、26、76、86、 半透明電極 17、27、77 裏面電極 18、28、78 導電性ペースト 82 下部電極 92 透明材質層 93 超微粒子分散層 112 金属薄膜層 113 多層膜層 114 活性層 117 部分反射膜層 122 電気的信号処理用ブロック 123 光インターコネクション部 132a、132b 透明電極 133a、133b 分離絶縁膜 135a、135b 層間絶縁膜 136 コリメータレンズ 137 光導波路 138 集光レンズ 139 PINフォトダイオード 140a 第1反応室 141a、141b マスフローコントローラ 142a 希ガス導入ライン 143a、143b ガス排気系 144a 第1ターゲットホルダー 145a Siターゲット 146a 第1パルスレーザ光源 140b 第2反応室 142b 酸化性ガスライン 144b 第2ターゲットホルダー 145b SnO2ターゲット 146b 第2パルスレーザ光源 147 真空反応室 148、153 堆積基板 149 高真空排気系 150a 第1ノズル 150b 第1スキマー 150c 第2ノズル 150d 第2スキマー 151 ターゲット 152 生成超微粒子 154 質量分離部 155 オリフィス 156 イオン化室 157 加速管 158 偏向電極

Claims (61)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、導
    電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的に
    均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その比
    抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以
    上の導電体で構成されて成る活性層と透明材質層とが交
    互に積層した周期構造を有する光電子材料であって、前
    記活性層中の超微粒子が受発光する連続スペクトルの
    内、一部の波長領域の強度を増強する特性を有する光電
    子材料。
  2. 【請求項2】 透明材質層が、透明な導電体薄膜である
    請求項記載の光電子材料。
  3. 【請求項3】 透明材質層が、透明な誘電体薄膜である
    請求項記載の光電子材料。
  4. 【請求項4】 活性層と、前記活性層の下部に設けられ
    た高反射層と、前記活性層の上部に設けられた部分反射
    層とを有する光電子材料であって、活性層は、超微粒子
    が、前記超微粒子に対して、導電率または誘電率が相対
    的に制御可能であって実質的に均質な媒質中に分散さ
    れ、さらに、前記媒質が、その比抵抗が、前記超微粒子
    の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の導電体で構成され
    ている光電子材料。
  5. 【請求項5】 部分反射層及び高反射層の少なくとも一
    方が、金属薄膜である請求項記載の光電子材料。
  6. 【請求項6】 部分反射層及び高反射層の少なくとも一
    方が、屈折率の異なる少なくとも2種類の層が交互に積
    層された構造の多層膜層である請求項記載の光電子材
    料。
  7. 【請求項7】 高反射層が、屈折率の異なる少なくとも
    2種類の層が交互に積層された構造の多層膜層と、金属
    薄膜層とを有する請求項記載の光電子材料。
  8. 【請求項8】 多層膜層が、請求項からのいずれか
    に記載の光電子材料を含む請求項またはに記載の光
    電子材料。
  9. 【請求項9】 超微粒子の直径が、前記超微粒子を構成
    する材料に内在するキャリアに付随するド・ブロイ波長
    の略2倍以下である請求項1から8のいずれかに記載の
    光電子材料。
  10. 【請求項10】 媒質中に分散された超微粒子の間の距
    離が、前記超微粒子の半径以上である請求項1から9の
    いずれかに記載の光電子材料。
  11. 【請求項11】 媒質の標準生成エンタルピーが、前記
    媒質中に分散された超微粒子の酸化物の標準生成エンタ
    ルピーより低い請求項1から10のいずれかに記載の光
    電子材料。
  12. 【請求項12】 媒質の標準生成エンタルピーが、前記
    媒質中に分散された超微粒子の酸化物の標準生成エンタ
    ルピーより高い光電子材料であって、前記媒質中に分散
    された超微粒子が、前記超微粒子を構成する元素の酸化
    物で被覆されている請求項1から10のいずれかに記載
    の光電子材料。
  13. 【請求項13】 超微粒子が、IV族半導体を含む請求
    項1から12のいずれかに記載の光電子材料。
  14. 【請求項14】 超微粒子が、III−V族またはII
    −VI族化合物半導体を含む請求項1から12のいずれ
    かに記載の光電子材料。
  15. 【請求項15】 媒質が、薄膜状の透明な導電体である
    請求項1から14のいずれかに記載の光電子材料。
  16. 【請求項16】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、
    導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的
    に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その
    比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ
    以上の導電体で構成されている光電子材料層と、前記光
    電子材料層の上下に設けられた1対の電極とを有し、前
    記1対の電極により少数キャリアを前記光電子材料層の
    超微粒子に注入して電子−正孔対を生成し、前記電子−
    正孔対の輻射再結合過程により発光現象を呈する発光素
    子。
  17. 【請求項17】 さらに、超微粒子の粒径を調整するこ
    とにより、発光光子エネルギーが制御される請求項16
    記載の発光素子。
  18. 【請求項18】 さらに、超微粒子の表面原子配列の構
    造を調整することにより、発光光子エネルギーが制御さ
    れる請求項16記載の発光素子。
  19. 【請求項19】 1対の電極が、透明または半透明な電
    極である請求項16から18のいずれかに記載の発光素
    子。
  20. 【請求項20】 光電子材料層の超微粒子は、半導体を
    含み、前記光電子材料層に薄膜状の金属電極が接触する
    請求項16から19のいずれかに記載の発光素子。
  21. 【請求項21】 光電子材料層と金属電極とは、ショッ
    トキー接合型の接触をなしている請求項20記載の発光
    素子。
  22. 【請求項22】 薄膜状の金属電極は、マグネシウム、
    インジウム、アルミニウム、白金、金、銀、タングステ
    ン、モリブデン、タンタル、チタン、コバルト、ニッケ
    ル、パラジウムのいずれかを含む請求項20または21
    に記載の発光素子。
  23. 【請求項23】 さらに、一方の電極を設けた半導体基
    板と、前記半導体基板の前記一方の電極の反対側に設け
    られ一部に前記半導体基板が露出する開口部が形成され
    た絶縁体層とを有し、光電子材料層は前記開口部を被覆
    する状態で形成された前記開口部を活性領域とする請求
    16から22のいずれかに記載の発光素子。
  24. 【請求項24】 増倍現象により超微粒子の内部または
    表面近傍における電子−正孔対が生成される請求項16
    から23のいずれかに記載の発光素子。
  25. 【請求項25】 発光強度は、発光素子への注入電流に
    比例するよりも急峻に増大する請求項24記載の発光素
    子。
  26. 【請求項26】 光電子材料層にp−n接合が形成され
    ている請求項16から25のいずれかに記載の発光素
    子。
  27. 【請求項27】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、
    導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的
    に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その
    比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ
    以上の導電体で構成されている光電子材料層と、前記光
    電子材料層の上下に設けられた1対の電極とを備え、前
    記光電子材料層への光照射によるキャリア発生による内
    部抵抗の変化を検出することによる受光機能を有する光
    電変換素子。
  28. 【請求項28】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、
    導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的
    に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その
    比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ
    以上の導電体で構成されている光電子材料層と、前記光
    電子材料層の上下に設けられた1対の電極とを備え、前
    記光電子材料層と前記電極界面におけるショットキー接
    合、または前記光電子材料層内部におけるp−n接合 が形成されており、光照射によるキャリア発生による光
    起電力を検出することによる受光機能を有する光電変換
    素子。
  29. 【請求項29】 さらに、超微粒子の粒径を調整するこ
    とにより、受光光子エネルギーが制御される請求項27
    または28記載の光電変換素子。
  30. 【請求項30】 さらに、超微粒子の表面原子配列の構
    造を調整することにより、受光光子エネルギーが制御さ
    れる請求項27または28記載の光電変換素子。
  31. 【請求項31】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、
    導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的
    に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その
    比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ
    以上の導電体で構成されている光電子材料層と、前記光
    電子材料層の上下に設けられた1対の電極とを備えた光
    電変換素子であって、前記1対の電極により少数キャリ
    アを前記光電子材料層の超微粒子に注入した場合には生
    成された電子−正孔対の輻射再結合過程により発光現象
    を呈する発光機能を有するとともに、前記光電子材料層
    に光を照射した場合にはキャリア発生による内部抵抗の
    変化を検出することによる受光機能を有する光電変換素
    子。
  32. 【請求項32】 超微粒子が、前記超微粒子に対して、
    導電率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的
    に均質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その
    比抵抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ
    以上の導電体で構成されている光電子材料層と、前記光
    電子材料層の上下に設けられた1対の電極とを備え、前
    記光電子材料層と前記電極界面におけるショットキー接
    合または前記光電子材料層内部におけるp−n接合が形
    成されている光電変換素子であって、前記1対の電極に
    より少数キャリアを前記光電子材料層の超微粒子に注入
    した場合には生成された電子−正孔対の輻射再結合過程
    により発光現象を呈する発光機能を有するとともに、前
    記光電子材料層に光を照射した場合にはキャリア発生に
    よる光起電力を検出することによる受光機能を有する光
    電変換素子。
  33. 【請求項33】 1対の電極が、透明または半透明な電
    極である請求項27から32のいずれかに記載の光電変
    換素子。
  34. 【請求項34】 請求項27から33のいずれかに記載
    の光電変換素子の超微粒子の平均粒径または表面原子配
    列の構造を調整して光学ギャップエネルギーを制御する
    ことにより、紫外線に対する受光機能を有する光電変換
    素子を備えた紫外線センサ。
  35. 【請求項35】 請求項27から33のいずれかに記載
    の光電変換素子の超微粒子の平均粒径または表面原子配
    列の構造を調整して光学ギャップエネルギーを制御する
    ことにより、青色に対する受光機能を有する光電変換素
    子を備えた青色センサ。
  36. 【請求項36】 請求項16から35のいずれかに記載
    の発光素子、光電変換素子、紫外線センサ、及び青色セ
    ンサの内の少なくとも1つ以上を備えたモノリシック一
    体化半導体装置。
  37. 【請求項37】 光インターコネクション部と電気的信
    号処理部とを有し、前記光インターコネクション部は、
    電気−光変換素子、光導波路及び光−電気変換素子を含
    み、前記電気的信号処理部を構成する半導体材料を主成
    分とする光電子集積回路であって、前記電気−光変換素
    子または光−電気変換素子の少なくとも一方が、前記電
    気的信号処理部を構成する半導体材料の超微粒子を含
    み、前記超微粒子が、前記超微粒子に対して、導電率ま
    たは誘電率が相対的に制御可能であって実質的に均質な
    媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その比抵抗
    が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上の
    導電体で構成されている光電子材料を活性領域とする光
    電子集積回路。
  38. 【請求項38】 光インターコネクション部と電気的信
    号処理部とを有し、前記光インターコネクション部は、
    電気−光変換素子、光導波路及び光−電気変換素子を含
    み、電気的信号処理部と同様のモノリシックプロセスに
    より製造される光電子集積回路であって、前記電気−光
    変換素子または光−電気変換素子の少なくとも一方が、
    前記電気的信号処理部を構成する半導体材料の超微粒子
    を含み、前記超微粒子が、前記超微粒子に対して、導電
    率または誘電率が相対的に制御可能であって実質的に均
    質な媒質中に分散され、さらに、前記媒質が、その比抵
    抗が、前記超微粒子の比抵抗と同程度あるいはそれ以上
    の導電体で構成されている光電子材料を活性領域とする
    光電子集積回路。
  39. 【請求項39】 電気−光変換素子は、発光素子部であ
    って、請求項16から26のいずれかに記載の発光素子
    から構成される請求項37または38記載の光電子集積
    回路。
  40. 【請求項40】 光−電気変換素子が、請求項27から
    33のいずれかに記載の光電変換素子から構成される請
    求項37または38記載の光電子集積回路。
  41. 【請求項41】 第1のターゲット材を低圧希ガス雰囲
    気の第1の反応室の内部に配置する第1のターゲット材
    配置工程と、堆積基板を真空反応室の内部に配置する基
    板配置工程と、第2のターゲット材を前記第1のターゲ
    ット材が配置されている第1の反応室と独立に雰囲気ガ
    ス種及びガス圧を調整できる第2の反応室内に配置する
    第2のターゲット材配置工程と、前記第1のターゲット
    材配置工程で配置された第1のターゲット材にレーザ光
    を照射して前記ターゲット材の脱離・射出を生じるアブ
    レーション工程と、前記第2のターゲット材配置工程で
    配置された第2のターゲット材にレーザ光を照射して前
    記ターゲット材の脱離・射出を生じるアブレーション工
    程を有し、前記第1のターゲット材上のアブレーション
    工程において脱離・射出された物質を空中で凝縮・成長
    させて得られた超微粒子が前記堆積基板上に補集される
    のと実質的に同時に、前記第2のターゲット材上のアブ
    レーション工程での生成物質を前記堆積基板上に補集し
    て、前記第2のターゲット材から構成される物質中に前
    記超微粒子が分散された光電子材料を得る光電子材料の
    製造方法。
  42. 【請求項42】 さらに、低圧希ガスの導入圧力を変化
    させる工程を有し,前記超微粒子の平均粒径を制御する
    請求項41に記載の光電子材料の製造方法。
  43. 【請求項43】 さらに、アブレーション工程に起因し
    て得られた超微粒子を質量分離する工程を有し、前記超
    微粒子の平均粒径を制御する請求項41または42に記
    載の光電子材料の製造方法。
  44. 【請求項44】 超微粒子を質量分離する工程は、超微
    粒子をイオン化する工程と、イオン化された超微粒子に
    対して電界または磁界を加える工程とを含む請求項43
    記載の光電子材料の製造方法。
  45. 【請求項45】 第1のターゲット材が半導体を含む請
    求項41から44のいずれかに記載の光電子材料の製造
    方法。
  46. 【請求項46】 堆積基板上に補集された超微粒子が半
    導体層を形成し、さらに前記半導体層に対して、n−型
    導電性不純物とp−型導電性不純物とを導入する工程を
    有する請求項45記載の光電子材料の製造方法。
  47. 【請求項47】 半導体層に対して導入されるn−型導
    電性不純物とp−型導電性不純物は、互いの拡散深さを
    異ならせて導入される請求項46記載の光電子材料の製
    造方法。
  48. 【請求項48】 第2のターゲット材が透明導電体であ
    る請求項41から47のいずれかに記載の光電子材料の
    製造方法。
  49. 【請求項49】 第2のターゲット材が誘電体である請
    求項41から47のいずれかに記載の光電子材料の製造
    方法。
  50. 【請求項50】 さらに、超微粒子の表面を酸化する酸
    化工程を有する請求項41から49のいずれかに記載の
    光電子材料の製造方法。
  51. 【請求項51】 酸化工程では、空中会合工程で得られ
    た超微粒子を酸素含有の雰囲気ガス中にて加熱処理する
    ことにより、前記超微粒子の表面を熱酸化膜で被覆する
    被覆工程を含む請求項50記載の光電子材料の製造方
    法。
  52. 【請求項52】 さらに、被覆工程の熱酸化膜の形成時
    の温度よりも高い温度の非酸化性雰囲気での熱処理を、
    前記被覆工程より以前に実施する工程を有する請求項
    記載の光電子材料の製造方法。
  53. 【請求項53】 超微粒子分散層が、請求項41から
    のいずれかに記載の光電子材料の製造方法により製造
    された光電子材料を含む請求項からのいずれかに記
    載の光電子材料。
  54. 【請求項54】 活性層が、請求項41から52のいず
    かに記載の光電子材料の製造方法により製造された光電
    子材料を含む請求項からのいずれかに記載の光電子
    材料。
  55. 【請求項55】 光電子材料層が、請求項53または5
    に記載の光電子材料を含む請 求項16から26のいずれかに記載の発光素子。
  56. 【請求項56】 光電子材料層が、請求項53または5
    に記載の光電子材料を含む請求項27から33のいず
    れかに記載の光電変換素子。
  57. 【請求項57】 請求項56記載の光電変換素子を含む
    請求項34記載の紫外線センサ。
  58. 【請求項58】 請求項56記載の光電変換素子を含む
    請求項35記載の青色センサ。
  59. 【請求項59】 請求項55から58のいずれかに記載
    の発光素子、光電変換素子、紫外線センサ、及び青色セ
    ンサの内の少なくとも1つ以上を備えたモノリシック一
    体化半導体装置。
  60. 【請求項60】 電気−光変換素子が、請求項55記載
    の発光素子から構成される請求項37から40のいずれ
    かに記載の光電子集積回路。
  61. 【請求項61】 光−電気変換素子が、請求項56記載
    の光電変換素子から構成される請求項37から40のい
    ずれかに記載の光電子集積回路。
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