JP3476904B2 - 回転電機の水冷却固定子コイル端部構造 - Google Patents
回転電機の水冷却固定子コイル端部構造Info
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Description
コイル端部構造に係り、特に固定子コイル端部のろう付
け部からの水漏れを確認し、その防止対策を施すことの
できる回転電機の水冷却固定子コイル端部構造に関す
る。
れる電流をより多くし、電流密度が高くなっても温度上
昇を一定に抑えるため、固定子コイルの素線内に冷却水
を通して熱交換を行う、いわゆる固定子コイル水冷却方
式を採用している。
電機のように三相交流電源を得るため、複雑な電機子巻
線を形成する必要がある。そして、固定子コイルは固定
子鉄心スロットに収納されるとともに、エンド部にて他
のスロットに納められたコイルと電気的に接続される
他、冷却水の通水路も形成する必要がある。この冷却水
通水路は製造技術上、電気接続部と一体とされる一方、
固定子コイル端部には中空のクリップが設けられてい
る。
固定子コイルとろう付けにより接続され、それぞれの素
線とクリップ間は、電気的に接続される以外、大容量回
転電機のタービン発電機などのように機内に水素ガスが
加圧封入されているものに対してガスシールを行う必要
がある。
間は、それぞれ精密な寸法管理下で隙間を最小とし、そ
の隙間部をろう材により埋め、電気接続および水素ガス
シールを行っていた。
中空部を閉止することは、通水機能上、許容されないこ
とであり、素線とクリップ間のろう付けは、必要最小限
のろう材により各素線間に全てろうを付着させなければ
ならず、これは高度な技術が必要とされる。
タービン発電機の構造および固定子コイル端部接続構造
について説明する。図5はタービン発電機の断面を示し
ており、機内には水素ガスが封入され、固定子フレーム
1にリブ2を弾性支持するため図示しないばね板を介挿
し、このリブ2に固定子鉄心3が積層されている。ま
た、固定子鉄心3の内径側には複数のスロット溝が形成
され、このスロット溝に固定子コイルの下コイル7およ
び上コイル8を収納し、これらは図示しない固定子楔に
より固定されている。
れ、ベアリングブラケット6を介して固定子フレーム1
の端部に支持されている。固定子鉄心3のスロット溝内
に収納された下コイル7および上コイル8は鉄心外のエ
ンド部でバインド帯支工9にて支持され、コイル端部で
電気回路を形成するためにシリース接続部10にて接続
される。
部にはクリップ11が配設され、冷却水は図示しない固
定子冷却純水装置から給水管12を通り、給水ヘッダー
13に供給され、各クリップ11内にそれぞれ絶縁接続
管14を経て通水される。そして、図6に示すように固
定子コイルの中空コイル素線15は、中空の孔を有し、
この孔に冷却水を通し、熱交換を行う。
口端部は下コイル7および上コイル8を構成する中空孔
を有した複数のコイル素線15を嵌合し、図7に示すよ
うに、ろう付け範囲Aにおいて各素線15間およびクリ
ップ11の内側をろう付けする。このろう付けは各素線
15を電気的に接続するとともに、クリップ11内の冷
却水が外部に漏れるのを防止するためである。なお、図
7において、16はコイル絶縁層、17は端部絶縁層で
ある。
図7に示すクリップ11の内部は、中空となっており、
一端の開口側よりコイル素線15を挿入嵌合し、ろう付
けを行うが、コイル素線15の端部の中空孔がクリップ
内水室18に開口するため、コイル素線15間の中空孔
を閉塞しないようにろう付けする必要があり、ろう材を
多量に使用できない。また、ろう材を後に追加する差し
ろうを行うには、コイル素線15の挿入側からできない
ため、各コイル素線15間に完全且つ充分にろう材を流
し込むには、高度な技術が要求される。
部、ブローホールがあった場合、経年的にろう材がガル
バニックコロージョン(異種金属接触腐食)により腐
食、浸食し、クリップ11の開口端部側に通じる恐れが
ある。そして、冷却水は所定の圧力を有しているため、
クリップ11外部のコイル素線15間を通り、コイル絶
縁層16に浸透し、耐電圧試験を行った場合、絶縁破壊
を起こす可能性がある。冷却水の漏洩部の拡大する速度
や絶縁破壊に至る期間は余寿命評価として重要であり、
ここでは早期に発見し対策することが急務である。
発電機の場合、機内の水素ガス圧力より冷却水の圧力が
低いため、機内に冷却水が漏れず、冷却水系統内に水素
ガスが漏れる。
させる装置内に配置された貯水槽内の水素ガス濃度を測
定することにより最初の判定を行う。そして、発電機を
開放後、詳細点検により水漏れ部位を特定することにな
るが、固定子コイルは絶縁されているため、漏れ部位の
特定は困難で非常に時間がかかる。
は、再ろう付けによって可能であるものの、コイル端部
のクリップとコイル素線とのろう付けが図7に示すよう
にろう付け補修時の過熱により絶縁が損傷するため、再
ろう付けが不可能である。
もので、ろう付け部からの水漏れを容易に確認でき、水
漏れ防止対策を容易に実施可能な回転電機の水冷却固定
子コイル端部構造を提供することを目的とする。
ために、本発明の請求項1は、水冷却固定子コイルを構
成する複数本のコイル素線内部に冷却水を通水して熱交
換するとともに、これら複数本のコイル素線を中空のク
リップに挿入してろう付けした回転電機の水冷却固定子
コイル端部構造において、上記クリップにおける上記複
数本のコイル素線の嵌合周面に、当該クリップと複数本
のコイル素線とのろう付け部に隣接して空隙室を設けた
ことを特徴とする。
チューブを通して外部と連通し、この絶縁チューブ内に
冷却水が浸透すると色が変化する吸湿材を収納したこと
を特徴とする。
室を両側が開口した矩形状の導電性カバーで形成し、こ
の導電性カバーの一端をクリップにろう付けするととも
に、他端を複数本のコイル素線を包むようにろう付けし
たことを特徴とする。
形状の絶縁カバーで形成し、この絶縁カバーの一端をク
リップにろう付けするとともに、他端を複数本のコイル
素線が挿通する格子状のシール板を嵌着したことを特徴
とする。
または4記載の空隙室は絶縁チューブを通して外部と連
通し、空隙室に水漏れが発生した時、この空隙室に絶縁
チューブから浸透性の絶縁レジンを圧入することを特徴
とする。
本のコイル素線とのろう付け部に隣接して空隙室を設け
たことにより、ろう材の腐食、浸食にてクリップ内と空
隙室との間で連通した場合、クリップ内の冷却水圧力が
空隙室よりも高いため、空隙室内に漏水する。その結
果、水漏れを容易に確認でき、水漏れ防止対策を容易に
施すことができる。
室が絶縁チューブを通して外部と連通し、この絶縁チュ
ーブ内に冷却水が浸透すると色が変化する吸湿材を収納
したことにより、水漏れを目視にて容易に確認すること
ができる。
載の空隙室を両側が開口した矩形状の導電性カバーで形
成し、この導電性カバーの一端をクリップにろう付けす
るとともに、他端を複数本のコイル素線を包むようにろ
う付けしたことにより、空隙室を確実且つ容易に形成す
ることができる。
口した矩形状の絶縁カバーで形成し、この絶縁カバーの
一端をクリップにろう付けするとともに、他端を複数本
のコイル素線が挿通する格子状のシール板を嵌着したこ
とにより、高度な技術を必要とせず、各コイル素線間を
くまなくシールすることができる。
たは4記載の空隙室に水漏れが発生した時、この空隙室
に絶縁チューブから浸透性の絶縁レジンを圧入すること
により、漏水路を埋めることができる。
する。図1は本発明に係る回転電機の水冷却固定子コイ
ル端部構造の一実施例を示す部分断面図、図2は図1の
クリップおよび導電性カバーを示す分解斜視図、図3は
図1の絶縁チューブを示す断面図である。なお、従来の
構成と同一または対応する部分には同一の符号を用いて
説明するとともに、全体構成は図7に示すコイル端部構
造とほぼ同様であるのでその説明を省略する。
イル素線15は、両側が開口し矩形状に形成された導電
性カバー20で覆われ、この導電性カバー20の一端は
クリップ11にろう付けされ、他端は複数のコイル素線
15を包むようにろう付けされていることで、クリップ
11のコイル素線15の嵌合周面に空隙室19が形成さ
れる。すなわち、空隙室19はクリップ11と複数本の
コイル素線15とのろう付け部に隣接して形成されてい
る。なお、この場合、クリップ11側は突き合わせろう
付けでもよい。空隙室19内のコイル素線15には、ろ
う材が流れ込まないように、例えば水酸化マグネシウム
などを塗布することが望ましい。
ように絶縁チューブ21を挿入固定するための雌ねじが
刻設されたチューブ挿入孔22が上下2箇所穿設され、
これらのチューブ挿入孔22のそれぞれに、絶縁チュー
ブ21が導電性カバー20、コイル絶縁層16を介して
空隙室19と外部とが連通するように取り付けられてい
る。この場合、このチューブ挿入孔22に絶縁チューブ
21が挿通される。
うに、その両端に雄ねじが刻設され、コイル絶縁層16
の外部に露出する絶縁チューブ21端部には絶縁材料で
形成したキャップ25が着脱可能に装着される。また、
絶縁チューブ21内には水分を吸収すると変色する、例
えばシリカゲル、活性アルミナなどの吸湿材26が収納
されている。
コイル素線15間とクリップ11内面とのろう付け部の
ろう材が、経年的にガルバニックコロージョンにより腐
食、浸食され、クリップ内水室18と空隙室19との間
で貫通した場合、クリップ内水室18の冷却水の圧力が
空隙室19より高いため、空隙室19側に漏水が発生す
る。この場合、漏水の有無はキャップ25を取り外して
点検することにより、吸湿材26に変色があることを目
視にて確認でき、その上、吸湿材26を除去すれば、空
隙室19内の詳細点検も可能となる。
としてコイル絶縁層16外部に露出する絶縁チューブ2
1から空隙室19内を真空引きし、絶縁レジンを注入す
ることにより、上記漏水路を埋めることができるととも
に、固定子コイルの絶縁レジン含浸により空隙室19の
周囲を一段と補強することができる。
1と複数本のコイル素線15とのろう付け部に隣接して
空隙室19を設けたことにより、ろう材の腐食、浸食に
てクリップ11内と空隙室19との間で連通した場合、
クリップ11内の冷却水圧力が空隙室19よりも高いた
め、空隙室19内に漏水する。その結果、水漏れを容易
に確認でき、水漏れ防止対策を容易に施すことができ
る。
すると色が変化する吸湿材26を収納したことにより、
水漏れを目視にて容易に確認することができる。さら
に、空隙室19を両側が開口した矩形状の導電性カバー
20で形成し、この導電性カバー20の一端をクリップ
11にろう付けするとともに、他端を複数本のコイル素
線15を包むようにろう付けしたことにより、空隙室1
9を確実且つ容易に形成することができる。
プおよびカバーを示す分解斜視図である。この実施例で
は、前記実施例の導電性カバー20に代えて絶縁カバー
23を設け、この絶縁カバー23の一端はクリップ11
にろう付けされ、他端は格子状に形成されたシール板2
4が嵌着されており、このシール板24の空隙部分に複
数のコイル素線15を挿通することで、クリップ11の
コイル素線15の嵌合周面に空隙室が形成される。
バー23の他端にシール板24を嵌着し、このシール板
24に複数のコイル素線15を挿通したことにより、高
度な技術を必要とせず、各コイル素線15間をくまなく
シールすることができる。その他の構成および作用は前
記実施例と同様であるのでその説明を省略する。
によれば、クリップと複数本のコイル素線とのろう付け
部の嵌合周面に隣接して空隙室を設けたことにより、ろ
う材の腐食、浸食にてクリップ内と空隙室との間で連通
した場合、クリップ内の冷却水圧力が空隙室よりも高い
ため、空隙室内に漏水する。その結果、水漏れを容易に
確認でき、水漏れ防止対策を容易に施すことができ、ひ
いてはコイル絶縁の劣化損傷を未然防止でき、固定子コ
イルの長寿命化が図れる。
が絶縁チューブを通して外部と連通し、この絶縁チュー
ブ内に冷却水が浸透すると色が変化する吸湿材を収納し
たことにより、水漏れを目視にて容易に確認することが
でき、点検時の工期を短縮することができる。
の空隙室を両側が開口した矩形状の導電性カバーで形成
し、この導電性カバーの一端をクリップにろう付けする
とともに、他端を複数本のコイル素線を包むようにろう
付けしたことにより、空隙室を確実且つ容易に形成する
ことができる。
した矩形状の絶縁カバーで形成し、この絶縁カバーの一
端をクリップにろう付けするとともに、他端を複数本の
コイル素線が挿通する格子状のシール板を嵌着したこと
により、高度な技術を必要とせず、各コイル素線間をく
まなくシールすることができる。
は4記載の空隙室に水漏れが発生した時、この空隙室に
絶縁チューブから浸透性の絶縁レジンを圧入することに
より、漏水路を埋めることができ、回転電機の信頼性を
向上させることができる。
部構造の一実施例を示す部分断面図。
斜視図。
バーを示す分解斜視図。
す断面図。
視図。
を示す部分断面図。
Claims (5)
- 【請求項1】 水冷却固定子コイルを構成する複数本の
コイル素線内部に冷却水を通水して熱交換するととも
に、これら複数本のコイル素線を中空のクリップに挿入
してろう付けした回転電機の水冷却固定子コイル端部構
造において、上記クリップにおける上記複数本のコイル
素線の嵌合周面に、当該クリップと複数本のコイル素線
とのろう付け部に隣接して空隙室を設けたことを特徴と
する回転電機の水冷却固定子コイル端部構造。 - 【請求項2】 空隙室は、絶縁チューブを通して外部と
連通し、この絶縁チューブ内に冷却水が浸透すると色が
変化する吸湿材を収納したことを特徴とする請求項1記
載の回転電機の水冷却固定子コイル端部構造。 - 【請求項3】 空隙室は、両側が開口した矩形状の導電
性カバーで形成し、この導電性カバーの一端をクリップ
にろう付けするとともに、他端を複数本のコイル素線を
包むようにろう付けしたことを特徴とする請求項1また
は2記載の回転電機の水冷却固定子コイル端部構造。 - 【請求項4】 空隙室は、両側が開口した矩形状の絶縁
カバーで形成し、この絶縁カバーの一端をクリップにろ
う付けするとともに、他端を複数本のコイル素線が挿通
する格子状のシール板を嵌着したことを特徴とする請求
項1または2記載の回転電機の水冷却固定子コイル端部
構造。 - 【請求項5】 空隙室は、絶縁チューブを通して外部と
連通し、空隙室に水漏れが発生した時、この空隙室に絶
縁チューブから浸透性の絶縁レジンを圧入することを特
徴とする請求項1,2,3または4記載の回転電機の水
冷却固定子コイル端部構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09597994A JP3476904B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | 回転電機の水冷却固定子コイル端部構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09597994A JP3476904B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | 回転電機の水冷却固定子コイル端部構造 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07308038A JPH07308038A (ja) | 1995-11-21 |
JP3476904B2 true JP3476904B2 (ja) | 2003-12-10 |
Family
ID=14152287
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09597994A Expired - Lifetime JP3476904B2 (ja) | 1994-05-10 | 1994-05-10 | 回転電機の水冷却固定子コイル端部構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3476904B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006025523A (ja) * | 2004-07-07 | 2006-01-26 | Toshiba Corp | 回転電機およびその冷却媒体供給・排出部の保護方法 |
EP2950424B1 (en) | 2014-05-26 | 2020-11-04 | General Electric Technology GmbH | Chamber for conductors of electric machines |
DE102019217964A1 (de) * | 2019-11-21 | 2021-05-27 | Siemens Aktiengesellschaft | Kühlsystem und Bauteil für eine elektrische Maschine mit Hohlleiterkühlung |
-
1994
- 1994-05-10 JP JP09597994A patent/JP3476904B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH07308038A (ja) | 1995-11-21 |
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