JP3473655B2 - 鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末及びその製造法

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JP3473655B2 JP05415796A JP5415796A JP3473655B2 JP 3473655 B2 JP3473655 B2 JP 3473655B2 JP 05415796 A JP05415796 A JP 05415796A JP 5415796 A JP5415796 A JP 5415796A JP 3473655 B2 JP3473655 B2 JP 3473655B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平均粒子径(板面
径)が0.05〜0.50μmであり、金属イオンとし
て鉄のみを含有することから、そのままで吸着剤、脱臭
剤、イオン交換剤、化粧品用材料として使用できると共
に、板状酸化鉄微粒子粉末の製造にも有用な鉄系ハイド
ロタルサイト型微粒子粉末及びその製造法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】近年、注目されてきた物質として、層状
化合物がある。層状化合物としては、粘土鉱物等の他、
種々の化合物が知られているが、ハイドロタルサイト等
の層状複水酸化物(Layered Double H
ydroxide)が、層間に種々のイオンや分子等を
挿入させることができる陰イオン交換機能を有すること
が知られており、研究されている。
【0003】一般に、ハイドロタルサイトの構造として
は、日本化学会誌、1995(8)、p622〜628
に記載されている通り、 「 〔M2+ 1-x 3+ x (OH)2 x+〔An- x/n ・y H
2 O〕x- ここでM2+は、Mg2+、Co2+、Ni2+、Zn2+などの
二価金属イオン、M3+は、Al3+、Fe3+、Cr3+など
の三価金属イオン、An-は、OH- 、Cl- 、C
3 2- 、SO4 2- などのn価の陰イオンで、xは一般に
0.2〜0.33の範囲である。結晶構造は、正の電荷
をもつ正八面体のbrucite単位が並んだ二次元基
本層と負の電荷を持つ中間層からなる積層構造をとって
いる。」とされている。
【0004】ハイドロタルサイトの作成法としては、基
本層を構成する二価金属イオン及び三価金属イオンとを
含む金属塩水溶液と、中間層を構成する炭酸イオンを含
む炭酸塩水溶液とを混合して、温度、pH等を制御して
共沈反応により得る方法が一般的である。また、常圧で
の反応以外にも、オートクレーブを使用しての水熱反応
により得る方法もある(特開昭60−6619号公
報)。
【0005】ハイドロタルサイトは、その陰イオン交換
機能を生かした様々な用途への展開、例えば、イオン交
換材、吸着剤、脱臭剤等の用途に使用されてきた。ま
た、その他、構成する金属イオンの組み合わせを生か
し、各構成金属イオンが良好な混合状態にあるハイドロ
タルサイトを加熱脱水し、または、さらに加熱焼成する
ことにより、均一な組成の複合酸化物を容易に得られ、
触媒用途等に使用する例なども見られる。
【0006】従来、ハイドロタルサイト型粒子は、前記
の通り、金属イオンに二価金属及び三価金属とを含むも
のとして作成されており、三価金属のみを含有するもの
が安定に存在するかどうかについては知られておらず、
もちろん、金属イオンにFe3+のみを基本層に含有する
鉄系ハイドロタルサイト型粒子粉末は、これまで知られ
ていなかった。
【0007】一方、これまで、板状酸化鉄粒子粉末の製
造にあたっては水熱合成などの特殊な反応条件下での生
成が必要であり、その製造は比較的困難であった。しか
し、金属イオンに鉄のみを含有する薄片状の鉄系ハイド
ロタルサイト型微粒子粉末を得ることができれば、これ
を脱水反応させることにより、これまで作成が比較的困
難であった板状酸化鉄粒子粉末を容易に得ることがで
き、さらに、該板状酸化鉄粒子粉末を加熱還元反応させ
ることによって板状磁性酸化鉄粒子粉末を得ることがで
きる。
【0008】また、近年は、環境への配慮が求められて
おり、触媒等においても毒性のある金属が含まれていな
いものが望まれるから、毒性がほとんどなく、しかも、
触媒等としての機能も優れる酸化鉄及びその他の鉄化合
物は、このような期待に応えられるものであり、殊に、
反応性に優れるハイドロタルサイトとして、金属イオン
に鉄のみを含有する鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉
末は有用といえる。
【0009】従来、鉄を含むハイドロタルサイト型微粒
子粉末についての合成は種々行われており、例えば、第
一鉄塩水溶液とアルミニウム塩水溶液及び炭酸塩水溶液
を用い、pH8.0〜11.0の範囲で混合することに
よりFe2+イオン及びAl3+イオンを含む板状ハイドロ
タルサイト型微粒子を得る方法(特開平6−16652
0号公報)、Fe2+とAl3+とからなるハイドロタルサ
イト類似結晶構造を有する化合物又はFe2+、Fe3+
Mg2+及びAl3+からなるハイドロタルサイト類似結晶
構造を有する化合物(特開昭60−6619号公報、特
開昭57−156419号公報)、二価の陽イオンM2+
の化合物、三価の鉄イオンFe3+の化合物、炭酸イオン
CO3 2- の化合物及びOH- を与える化合物を水性媒体
中で特定比になるよう反応させてハイドロタルサイト型
微粒子粉末を得て、それを焼成してフェライトを得る方
法(特開昭48−70719号公報)などがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】前出各公報に記載のハ
イドロタルサイト型微粒子粉末は、いずれも金属イオン
として鉄のみを含有するものではない。
【0011】そこで、本発明は、平均粒子径が0.05
〜0.50μmであって、金属イオンに鉄のみが含有さ
れている鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末を提供す
ることを技術的課題とする。
【0012】
【課題を解決する為の手段】前記技術的課題は、次の通
りの本発明によって達成できる。
【0013】即ち、本発明は、平均粒子径が0.05〜
0.50μmであって、 〔Fe3+(OH- 2 + 〔a(OH- )・b(CO3
2- )・c(H2 O)〕- 0<a<1、0<b<0.5、0<c<1、a+2×b
=1 なる構造式を有する鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉
末、及び、第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含むアルカ
リ性水溶液とを、炭酸イオンと第一鉄とのモル比CO3
2- /Fe2+が、0.05〜10の範囲となる範囲で混
合して得られた第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を、温
度10〜45℃の範囲、且つ、pH7.5〜11.0の
範囲に維持しながら、該水懸濁液中の第一鉄を単位時間
当たりのFe2+の減少割合が全Feに対して0.2〜
2.0mol%/分の範囲となる速度で酸化することを
特徴とする鉄系ハイドロタルサイト型微粒子の製造法で
ある。
【0014】本発明の構成をより詳しく説明すれば次の
通りである。先ず、本発明に係る鉄系ハイドロタルサイ
ト型微粒子粉末について述べる。
【0015】本発明に係る鉄系ハイドロタルサイト型微
粒子粉末は、 〔Fe3+(OH- 2 + 〔a(OH- )・b(CO3
2- )・c(H2 O)〕- 0<a<1、0<b<0.5、0<c<1、a+2×b
=1 なる構造式を有するものである。
【0016】本発明に係る鉄系ハイドロタルサイト型微
粒子粉末は、薄片状であって、平均粒子径(板面径)
が、0.05〜0.50μm、好ましくは、0.10〜
0.30μmである。厚みが、0.01〜0.05μ
m、好ましくは、0.02〜0.04μmである。アス
ペクト比(粒子径(板面径)/厚み)が、3〜20、好
ましくは、5〜10である。
【0017】本発明に係る鉄系ハイドロタルサイト型微
粒子粉末は、乾燥条件が60℃乾燥におけるBET比表
面積が、40〜120m2 /g、好ましくは60〜10
0m2 /gである。なお、乾燥温度を100℃〜200
℃で行った場合には、BET比表面積が、200m2
g程度と極端に大きくなるが、これは、ハイドロタルサ
イト型構造から水分や炭酸ガス等が抜けたために極めて
微細な脱水孔が生じるためと思われる。
【0018】本発明に係る鉄系ハイドロタルサイト型微
粒子粉末は、X線回折パターンにおいて、面指数(00
3)のピークが、面間隔d値0.720〜0.760n
mである。なお、乾燥温度が100℃を越える場合に
は、ハイドロタルサイト型構造を示すX線回折ピークは
みられなくなる。
【0019】次に、前記の通りの本発明に係る鉄系ハイ
ドロタルサイト型微粒子粉末の製造法について述べる。
【0020】本発明における第一鉄塩水溶液としては、
硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を使用すること
ができる。第一鉄塩水溶液の第一鉄の濃度は、Fe2+
して、0.05〜1.20mol/l、好ましくは0.
10〜1.00mol/lである。
【0021】本発明における炭酸塩水溶液を含むアルカ
リ性水溶液としては、炭酸塩水溶液のみ又は炭酸塩水溶
液と水酸化アルカリ水溶液との混合アルカリ水溶液のい
ずれでもよい。前記炭酸塩水溶液としては、炭酸ナトリ
ウム水溶液、炭酸カリウム水溶液等を使用することがで
きる。また、前記水酸化アルカリ水溶液としては、水酸
化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、アンモニ
ア水等が使用できる。
【0022】前記炭酸塩水溶液を含むアルカリ性水溶液
の炭酸イオンの濃度は、CO3 2- として、0.01〜
2.50mol/l、好ましくは0.20〜2.00m
ol/lである。前記炭酸塩水溶液を含むアルカリ性水
溶液の第一鉄塩水溶液に対する比率は、炭酸イオンと第
一鉄とのモル比CO3 2- /Fe2+として、0.05〜1
0.0、好ましくは0.20〜4.00である。0.0
5未満の場合には、ハイドロタルサイト型化合物が生成
しにくい。4.00を越える場合には、炭酸塩水溶液が
多量に必要となるので経済的ではない。
【0023】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液は、前記第一鉄塩水溶液と前記炭酸塩水溶液を含
むアルカリ性水溶液とを前記割合で混合させて得ること
ができる。その混合方法は、例えば、炭酸塩水溶液を含
むアルカリ性水溶液に第一鉄塩水溶液を添加して混合す
る場合、第一鉄塩水溶液に炭酸塩水溶液を含むアルカリ
性水溶液を添加して混合する場合若しくは炭酸塩水溶液
を含むアルカリ性水溶液と第一鉄塩水溶液とを同時に添
加して混合する場合などがあり、いずれの混合方法によ
ってもよいが、好ましくは、炭酸塩水溶液を含むアルカ
リ性水溶液に第一鉄塩水溶液を添加して混合する方法に
よることが好ましい。
【0024】また、炭酸塩水溶液を含むアルカリ性水溶
液に第一鉄塩水溶液等を添加する場合には、第一鉄塩水
溶液を一度に添加する場合、2回以上に分割して添加す
る場合又は連続的に滴下する場合のいずれで行ってもよ
い。
【0025】本発明における第一鉄の酸化は、第一鉄塩
水溶液と炭酸塩水溶液を含むアルカリ性水溶液との混合
時から行う場合又は第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含
むアルカリ性水溶液との混合後から行う場合のいずれで
行ってもよい。
【0026】第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含むアル
カリ性水溶液との混合によって得られた前記第一鉄含有
沈澱物を含む水懸濁液は、第一鉄の酸化を、温度を10
〜45℃の範囲であって、且つ、pH7.5〜11.0
の範囲に維持しながら、単位時間当たりのFe2+の減少
割合が0.2〜2.0mol%/分の範囲となる速度で
行う。
【0027】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液の酸化反応中の温度は、10〜45℃、好ましく
は20〜40℃である。10℃未満の場合にもハイドロ
タルサイト型化合物は生成するが、経済的でない。45
℃を越える場合には、ハイドロタルサイト型化合物が得
られない。
【0028】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液の酸化反応中のpHは、7.5〜11.0、好ま
しくは8.0〜9.8に維持する。pH7.5未満の場
合及びpH11.0を越える場合のいずれにおいてもハ
イドロタルサイト型化合物が得られない。
【0029】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液の酸化反応中のpHの維持は、水酸化アルカリ水
溶液を添加することにより行う。なお、混合後に第一鉄
の酸化を行う場合であって、且つ、炭酸イオンと鉄との
比CO3 2- /Feが1.0を越える場合には、第一鉄含
有沈澱物を含む水懸濁液のpHは酸化反応前、酸化反応
中及び酸化反応終了に至るまで、ほぼpH7.5〜1
1.0の範囲内にあるが、必要によりpH調整を行って
もよい。
【0030】前記pH調整に用いる水酸化アルカリ水溶
液としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム
水溶液、アンモニア水等が使用できる。好ましくは、水
酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液であ
る。
【0031】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液中の酸化方法としては、第一鉄含有沈殿物を含む
水懸濁液に酸素含有ガスを吹き込むことによって行う場
合、酸化剤を添加することにより行う場合などから選択
することができる。好ましくは、酸化速度の制御が比較
的容易な酸素含有ガスの吹き込みによる方法である。
【0032】前記酸素含有ガスとしては、空気等を使用
することができる。また、前記酸化剤としては、過酸化
水素水、硝酸、オゾン(O3 )等を使用することができ
る。
【0033】本発明における第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液中の酸化反応の単位時間当たりのFe2+の減少割
合は、Fe2+をFe3+に酸化させるいわゆる酸化速度を
表すものであり、単位時間当たりのFe2+の減少量ΔF
2+/Δt(mol/分)の全Fe(mol)との比で
あるΔFe2+/(Δt×全Fe)(mol%/分)とし
て表され、0.2〜2.0mol%/分、好ましくは
0.4〜1.5mol%/分である。0.2mol%/
分未満の場合には、ゲータイト粒子等のハイドロタルサ
イト型化合物以外の粒子が生成してしまう。2.0mo
l%/分を越える場合には、経済的ではない。なお、酸
化速度の制御にあたっては、温度及び酸化手段の選択に
よって行うことができ、さらに、酸化手段として酸素含
有ガスの吹き込みによる場合には、酸素含有ガスの吹き
込み量によって酸化速度の制御を行うことができる。
【0034】前記酸化反応終了後においては、常法によ
り水洗し、60℃以下の温度にて乾燥すれば、鉄系ハイ
ドロタルサイト型微粒子粉末が得られる。なお、用途に
よっては鉄系ハイドロタルサイト型微粒子を含有する水
懸濁液をそのまま使用することができる。
【0035】前記乾燥は温度60℃以下で行う。60℃
を越える温度で乾燥を行った場合には、層間にある成分
が失われてしまうため、ハイドロタルサイト型構造が保
てなくなってしまう。
【0036】なお、本発明においては、諸特性の改善の
ために種々の元素、有機酸等を添加することができる。
添加する元素としてはSi等があり、有機酸としては、
クエン酸、酒石酸等を添加することができる。これらは
酸化反応前、酸化反応中、又は、酸化反応後の水懸濁液
に添加する。前記ケイ素又は前記有機酸は、生成したハ
イドロタルサイト型微粒子の表面に吸着され、ハイドロ
タルサイト型構造を壊れにくくし、構造の安定化に役立
つものと思われる。
【0037】
【作用】従来、ハイドロタルサイト型粒子粉末はその構
造に二価金属イオン及び三価金属イオンとを含有してお
り、全金属イオンに対する三価金属イオンの比率は、お
よそ20〜33mol%程度と、むしろ二価金属イオン
の比率のほうが多く、製造法においても、あらかじめ二
価金属塩と三価金属塩とをその含有させようとする比率
において混合し、中和して共沈させることにより得てい
る。
【0038】鉄のイオン状態には、一般的には第一鉄F
2+と第二鉄Fe3+とがあるが、第一鉄塩水溶液と第二
鉄塩水溶液とを原料として混合し、共沈させた場合に
は、マグネタイト粒子粉末が生成し易く、これまで金属
イオンに鉄のみを含む鉄系ハイドロタルサイト型粒子粉
末は知られていなかった。
【0039】一方、第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含
むアルカリ性水溶液とを混合して得られる第一鉄含有沈
澱物を含む水懸濁液に空気を吹き込んで酸化反応させて
ゲータイト粒子粉末を得るゲータイト粒子粉末の製造法
が知られている。
【0040】本発明者は、その反応条件について検討し
たところ、第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含むアルカ
リ性水溶液とを混合して得られる第一鉄含有沈澱物を含
む水懸濁液を、温度10〜45℃の範囲、且つ、pH
7.5〜11.0の範囲に維持しながら、前記第一鉄含
有沈澱物を含む水懸濁液中の第一鉄を単位時間当たりの
Fe2+の減少割合(酸化速度)が、0.20〜2.0m
ol%/分の範囲となる速度で酸化するという条件下に
おいて、不純物としてゲータイト粒子粉末を含まず、金
属イオンに鉄のみを含む鉄系ハイドロタルサイト型粒子
粉末を得ることができた。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の代表的な実施の形態は次
の通りである。
【0042】粒子の粒子径(板面径)と粒子の厚みは電
子顕微鏡写真から測定した数値の平均値で示したもので
ある。
【0043】得られたものについての同定は、X線回折
測定により行った。
【0044】前記X線回折測定は、X線回折装置RAD
−2A(理学電機(株)製)で行った。測定条件は、使
用管球:Fe、管電圧:40kV、管電流:20mA、
ゴニオメーター:広角ゴニオメーター、サンプリング
幅:0.010°、走査速度:5.000°/min、
発散スリット:1°、散乱スリット:1°、受光スリッ
ト:0.30mmで、回折角(2θ)が5〜90°の領
域を測定した。
【0045】鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末にお
ける構造式 〔Fe3+(OH- 2 + 〔a(OH- )・b(CO3
2- )・c(H2 O)〕- 0<a<1、0<b<0.5、0<c<1、a+2×b
=1 における指数a、b及びcは、次のようにして求めた。
即ち、得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末中
の炭素含有量x(重量%)とし、一方、前記鉄系ハイド
ロタルサイト型微粒子粉末を1000℃で焼成した場合
の残存物がFe2 3 であるとしたときの残存物重量の
焼成前の重量に対する比率y(重量%)として、次式、 a=1−13.3x/y b=6.65x/y c=443.6/y−1.508x/y−5.936 に代入して得られる。
【0046】なお、前記炭素含有量x(重量%)は、カ
ーボン・サルファーアナライザー:EMIA−2200
(HORIBA製)により測定した。
【0047】34℃に保持したCO3 2- イオン濃度1.
0mol/lの炭酸ナトリウム水溶液6lに、32℃に
保持したFe2+濃度0.67mol/lの硫酸第一鉄水
溶液3lを混合して得られた第一鉄含有沈澱物を含む水
懸濁液は、温度32℃、pH9.8であった。この第一
鉄含有沈澱物を含む水懸濁液を温度32℃に維持しなが
ら、空気30l/分を吹き込み、酸化反応を180分間
行って、濾過、水洗の後、60℃にて乾燥することによ
り、金属イオンとして鉄のみを含有する鉄系ハイドロタ
ルサイト型微粒子粉末を得た。この時の酸化反応におい
て、単位時間当たりのFe2+の減少割合(酸化速度)は
約0.6mol%/分であった。
【0048】得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子
粉末は、平均粒子径が0.20μm、アスペクト比が
6.0であり、図1のX線回折パターンに示すように、
面指数(003)のピーク1が面間隔d値0.742n
m、その倍周期のピ−ク2が面間隔d値1.490nm
であり、金属イオンに鉄のみを含有するハイドロタルサ
イト型の構造を有するものであり、図2の透過型電子顕
微鏡写真(×20000)に示すように薄片状粒子から
なるものである。そのBET比表面積が82m2/gで
あった。
【0049】得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子
粉末は、金属イオンに鉄のみを含有することから、その
ままで吸着剤、脱臭剤、イオン交換材、化粧品用材料と
して使用でき、また、板状酸化鉄微粒子粉末の製造等に
使用できる。以下にその使用例を挙げる。
【0050】使用例1〜2; 使用例1 吸着剤としての性能は、「触媒実験ハンドブック」(講
談社サイエンティフィック発行)第44頁に記載の方法
に従って測定した値で示した。即ち、鉄系ハイドロタル
サイト型微粒子粉末を担持させたモノリス担体をカラム
中に充填して流動式吸着容量評価装置にセットし、次
に、室温(25℃)にて、試験ガスとして硫化水素H2
Sガスを一定流量1l/min中1000ppmの濃度
で通気し、カラムの出口の試験ガス成分濃度をガスクロ
マトグラフィー法により測定し、吸着破過、即ちH2
ガス濃度が通気濃度の50%である500ppmになっ
た時までの時間から吸着容量を算出した値で示した。
【0051】得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子
粉末の吸着剤としての特性は、試験ガスがH2 Sガスの
場合、吸着容量は30mg/gであった。
【0052】使用例2 得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末200g
を空気中400℃で1時間加熱処理して赤褐色粒子粉末
を得た。得られた赤褐色粒子粉末は、板面径0.18μ
m、厚み0.03μm、板状比(板面径/厚み)6であ
り、鉄系ハイドロタルサイト型微粒子の粒子形態を良く
継承していた。そして、X線回折によりヘマタイトであ
ることが認められた。また、ヘマタイトを示すピークの
うち(110)面のピーク以外のピークが非常にブロー
ドであることから、粒子の厚みが非常に薄いものである
ことが確認された。
【0053】さらに前記薄板状ヘマタイト粒子粉末10
0gを還元雰囲気下350℃で2時間加熱還元して黒色
粒子粉末を得た。得られた黒色粒子粉末は板面径0.1
7μm、厚み0.03μm、板状比(板面径/厚み)6
であり、鉄系ハイドロタルサイト型微粒子の粒子形態を
良く保持していた。そして、X線回折によりマグネタイ
トであることが認められた。その磁気特性は保磁力18
0Oe、飽和磁化85emu/gであった。
【0054】
【実施例】次に、実施例並びに比較例を挙げる。
【0055】実施例1〜6、比較例1〜4; 実施例1 24℃に保持したCO3 2- イオン濃度0.10mol/
lを含む炭酸ナトリウム水溶液6lに、24℃に保持し
た6Nの水酸化ナトリウム水溶液0.8lと、24℃に
保持したFe2+濃度0.80mol/lを含む硫酸第一
鉄水溶液3lとをpH8.5に維持しながら同時に30
分間で滴下する。そして、温度24℃に保持し、pH
8.3〜8.6の範囲に維持しながら、空気40l/分
を吹き込み、酸化反応を200分間行い、濾過、水洗の
後、60℃にて乾燥することにより、金属イオンとして
鉄のみを含有する鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末
を得た。この時の酸化反応において、単位時間当たりの
Fe2+の減少割合(酸化速度)は約0.50mol%/
分であった。
【0056】得られた鉄系ハイドロタルサイト型微粒子
粉末は、平均粒子径が0.15μm、アスペクト比が7
であり、金属イオンに鉄のみを含有するハイドロタルサ
イト型の構造を有する薄片状粒子からなるものである。
そのBET比表面積が89m2 /gであった。
【0057】実施例2〜6、比較例1〜4 第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液との混合によって得られ
る第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液における第一鉄塩濃
度、炭酸塩の種類並びに濃度、炭酸イオンと鉄との比C
3 2- /Fe2+、調整pH、酸化反応における温度、調
整pH、単位時間当たりのFe2+の減少割合(酸化速
度)並びに酸化時間、及び、乾燥温度等を種々変化させ
た以外は前記本発明の実施の形態又は前記実施例1と同
様にして鉄系ハイドロタルサイト型微粒子粉末を得た。
その製造条件は、表1に、得られた鉄系ハイドロタルサ
イト型微粒子粉末等の諸特性は表2にそれぞれ示した。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【発明の効果】本発明に係る鉄系ハイドロタルサイト型
微粒子粉末は、平均板面径が0.05〜0.50μmで
あり、金属イオンとして鉄のみを含有することから、そ
のままで吸着剤、脱臭剤、イオン交換剤、化粧品用材料
として使用でき、また、板状酸化鉄微粒子粉末の製造等
に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態で得られた鉄系ハイドロ
タルサイト型微粒子粉末の水洗後の含水ケーキ状物のX
線回折パターンである。
【図2】 本発明の実施の形態で得られた鉄系ハイドロ
タルサイト型微粒子粉末の粒子構造を示す透過型電子顕
微鏡写真(×20000)である。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒子径が0.05〜0.50μmで
    あって、下記の構造式を有する鉄系ハイドロタルサイト
    型微粒子粉末。 〔Fe3+(OH- 2 + 〔a(OH- )・b(CO3
    2- )・c(H2 O)〕- 0<a<1、0<b<0.5、0<c<1、a+2×b
    =1
  2. 【請求項2】 第一鉄塩水溶液と炭酸塩水溶液を含むア
    ルカリ性水溶液とを、炭酸イオンと第一鉄とのモル比C
    3 2- /Fe2+が0.05〜10の範囲となる範囲で混
    合して得られる第一鉄含有沈殿物を含む水懸濁液を、温
    度10〜45℃の範囲、且つ、pH7.5〜11.0の
    範囲に維持しながら、該水懸濁液中の第一鉄を単位時間
    当たりのFe2+の減少割合が全Feに対して0.2〜
    2.0mol%/分の範囲となる速度で酸化することを
    特徴とする鉄系ハイドロタルサイト型微粒子の製造法。
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