JP3472502B2 - 半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン - Google Patents

半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン

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JP3472502B2
JP3472502B2 JP03843099A JP3843099A JP3472502B2 JP 3472502 B2 JP3472502 B2 JP 3472502B2 JP 03843099 A JP03843099 A JP 03843099A JP 3843099 A JP3843099 A JP 3843099A JP 3472502 B2 JP3472502 B2 JP 3472502B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンに関する。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種の半導体エレクトレットコ
ンデンサマイクロホンGは、図7に示すように、電気音
響変換素子1000と、この電気音響変換素子1000
を収納するケース2000とを有している。そして、前
記電気音響変換素子1000は、必要な電子回路110
が上面周縁部に形成された半導体チップ100と、この
半導体チップ110の上面に積層された絶縁層200
と、この絶縁層200の上に積層された固定電極300
と、この固定電極300に形成されたスペーサ400
と、このスペーサ400によって前記固定電極300と
所定の間隔を有して対向する振動膜500と、この振動
膜500が取り付けられる振動膜リング600とを有し
ている。前記振動膜500には固定電極300と対向す
るエレクトレット層510と、このエレクトレット層5
10に積層された金属電極520とが形成されている。
そして、エレクトレット層510と固定電極300との
間がエアギャップとなってコンデンサを構成するのであ
る。固定電極側にエレクトレット層(SiO2 、その
他)を積層し、振動膜は金属箔(Ni、Ti、その他)
または高分子PPS又はPETフィルムに金属蒸着して
コンデンサを構成することもできる。
【0003】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンGは、以下のようにして作動する。まず、音圧
によって振動膜500が振動することによって、振動膜
500と固定電極300との間の間隔が変化し、この変
化に応じたコンデンサの容量の変化が振動膜500の金
属電極520及び振動膜リング600を介して半導体チ
ップ100の電子回路110に入力されるのである。ま
た、音圧にて振動膜500が振動することによって、振
動膜500と固定電極300との間の間隔が変化し、こ
の変化に応じたコンデンサの容量の変化が固定電極30
0を介して半導体チップ100の電子回路110に入力
される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン
には以下のような問題点が存在する。すなわち、固定電
極と半導体チップの電子回路との間に寄生容量が発生す
る。この寄生容量(=C1)は、半導体チップが2.0m
m×2.0mm×0.3mmの大きさで、絶縁層が厚さ
が100Å前後のSiO2 膜であり、固定電極が直径
1.5mmのアルミニウムであり、スペーサが厚さ20
μm前後であった場合、マイク容量(=C0)が2PFで
あった場合、50PFになる。このため、半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンとしては、半導体チッ
プの電子回路に入力される入力電圧(=E1)は、非常に
小さなものになる。
【0005】半導体チップの電子回路に入力される入力
電圧E1 は入力信号e0 とする場合、E1 =(C0 / C
0 +C1)e0 で得られる。この式に前記数値を代入する
と、入力電圧E1 は入力信号号e0 に対して約28dB
低い電圧となることが判る。
【0006】本発明は上記事情に鑑みて創案されたもの
で、前記寄生容量を減少させることができる半導体エレ
クトレットコンデンサマイクロホン又は寄生容量が生じ
ない半導体エレクトレットコンデンサマイクロホンを提
供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る半導体エレ
クトレットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路
が上面周縁部に形成された半導体チップと、この半導体
チップの上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に
積層された固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有
して対向する振動膜とを有する電気音響変換素子を備え
ており、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固
定電極側にエレクトレット層が形成された半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンであって、前記絶縁層
は、少なくとも0.1μm以上の厚さとする。
【0008】また、本発明に係る他の半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が上面
周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チップ
の上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層さ
れた固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有して対
向する振動膜とを有する電気音響変換素子を備えてお
り、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電
極側にエレクトレット層が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記半導体チッ
プは、上面に形成された凹部に埋込絶縁層を形成してお
り、前記埋込絶縁層は、少なくとも固定電極の下方には
形成されている。
【0009】また、凹部ではなく、半導体チップの上面
から下面にかけて貫通した貫通孔に埋込絶縁層を形成
し、この埋込絶縁層は、少なくとも固定電極の下方には
形成されるようにしてもよい。
【0010】さらに、本発明に係る他の半導体エレクト
レットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が上
面周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チッ
プの上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層
された固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有して
対向する振動膜とを有する電気音響変換素子を備えてお
り、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電
極側にエレクトレット層が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記固定電極は
半導体チップ上のアースに接続され、振動膜の金属電極
と振動膜が取り付けられた振動膜リングとを半導体チッ
プの入力端子に接続する。
【0011】また、本発明に係るその他の半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が
上面周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チ
ップの下面と所定の間隔を有して対向する振動膜とを有
する電気音響変換素子及びこの電気音響変換素子を収納
するケースとを備えており、前記ケースは前記電気音響
変換素子を収納する凹部と、この凹部の底面と側面との
間を導通させる導電層とを有しており、前記電気音響変
換素子は凹部にフリップチップ方式で収納されており、
振動膜の金属電極と振動膜が取り付けられた振動膜リン
グとを前記導電層を介して半導体チップの入力端子に接
続するようにしてもよい。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態
に係る半導体エレクトレットコンデンサマイクロホンの
概略的断面図、図2は本発明の第2の実施の形態に係る
半導体エレクトレットコンデンサマイクロホンの概略的
断面図、図3は本発明の第3の実施の形態に係る半導体
エレクトレットコンデンサマイクロホンの概略的断面
図、図4は本発明の第4の実施の形態に係る半導体エレ
クトレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図、図
5は本発明の第5の実施の形態に係る半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンの概略的断面図、図6は本
発明の第6の実施の形態に係る半導体エレクトレットコ
ンデンサマイクロホンの概略的断面図である。なお、従
来の技術で説明したものと同一のものには同一の符号を
付する。
【0013】なお、以下の説明で半導体チップ100の
上面とは図1に示す半導体チップ100における表面を
いい、下面とは前記上面に対向する面をいうものとす
る。
【0014】本発明の第1の実施の形態に係る半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンAは、図1に示す
ように、必要な電子回路110が上面周縁部に形成され
た半導体チップ100と、この半導体チップ100の上
面に積層された絶縁層200と、この絶縁層200の上
に積層された固定電極300と、この固定電極300と
所定の間隔(例えば、20μm程度)を有して対向する
振動膜500とを有する電気音響変換素子1000を備
えており、前記振動膜500にエレクトレット層510
が形成された半導体エレクトレットコンデンサマイクロ
ホンであって、前記絶縁層200は、少なくとも0.1
μm以上の厚さがある。
【0015】まず、電気音響変換素子1000を構成す
る半導体チップ100は、従来のものに用いられるもの
と同様であって、2.0mm×2.0mm×0.3mm
の大きさのSiチップである。この半導体チップ100
の上面周縁部には、必要な電子回路110としてのイン
ピーダンス用のFET、増幅回路、ノイズキャンセル回
路等が常法によって形成されている。
【0016】この半導体チップ100の上面には、電子
回路110の入出力用の電極111を除いて、絶縁層2
00が積層されている。この絶縁層200は、珪素の有
機化合物や安定化剤をアルコールやエステル等の有機溶
剤に分散させてなるSiO2系薄膜形成剤(TEOS)
をディップコーティング法、スピンオンコート法、スプ
レーコーティング法等の適宜な手法で塗布したものであ
る。かかる絶縁層200は、少なくとも0.1μm以上
の厚さ、望ましくは数十μmの厚さに形成する。なお、
SiO2 系薄膜形成剤をディップコーティング法等で塗
布すると、簡単に0.1μm以上の厚さを有する絶縁層
200を形成することができる。
【0017】また、この絶縁層200の上に積層された
固定電極300は、コンデンサマイク電極としてのゲー
ト電極であって、厚さが1000Å前後のアルミニウム
層であり、その上に薄い絶縁層(TiO2 )を形成し、
又、固定電極300は振動膜500の面積の少なくも半
分位までの面積であってもよい。なお、この固定電極3
00は振動膜500の面積の少なくも半分位までの面積
であってもよい点については、本発明の第6の実施の形
態に係る半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン
Fを用いて詳細に説明する。
【0018】また、前記固定電極300には、ポリイミ
ド樹脂からなるリング状のスペーサ400が形成されて
いる。このスペーサ400は、後述する振動膜500を
前記固定電極300に対して所定の間隔を有して対向さ
せるためのものである。
【0019】さらに、前記振動膜500は、片面に金属
電極520を形成した高分子FEPフィルムの片面をエ
レクトレット層510としたものである。具体的には、
厚さが5μm〜12.5μmの高分子FEPフィルムの
表面側にニッケルを厚さ500Å程度に蒸着して金属電
極520としたものである。そして、金属電極520が
形成されていない側、すなわち、裏面側にコロナ照射、
EB照射等のその他の分極処理を施すことにより、高分
子FEPフィルムに半永久的に電荷をチャージしてエレ
クトレット層510を形成するのである(ホイル・エレ
クトレット方式)。又は高分子PPS及びPETフィル
ム(厚さ:2μm前後)に片面、Ni蒸着し(500
Å)金属電極520とした振動膜500もある(バック
・エレクトレット方式の振動膜)。
【0020】なお、金属電極520として、アルミニウ
ムを厚さ500Å程度に蒸着するとともに、酸化Ti
(TiO2 )の絶縁コートを薄く積層することで対環境
的に強化する。または、アルミニウム金属電極の上にス
パッタ蒸着装置でSiO2 を成膜し、コロナ照射、EB
照射等の分極処理を施すことにより、半永久的に電荷を
チャージしてエレクトレット層を形成するものである。
『バック・エレクトレット・タイプ』
【0021】このように形成された振動膜500は、振
動膜500の金属電極520との導電性を考慮して導電
性を有する振動膜リング600に取り付けられている。
この振動膜リング600としては、真鍮やステンレス等
が適している。なお、振動膜リング600に絶縁性の素
材を用いた場合には、他の手段、例えばボンディングワ
イヤ等によって金属電極520と導電性を確保する。
【0022】このようにして構成された電気音響変換素
子1000は、ケース2000の内部に収納されて半導
体エレクトレットコンデンサマイクロホンAとして完成
する。
【0023】このケース2000は、次のように構成さ
れている。まず、ケース2000は、図1等に示すよう
に、電気音響変換素子1000が嵌まり込む凹部211
0が形成されたケース本体2100と、このケース本体
2100を閉塞する蓋体2200とを有している。
【0024】前記ケース本体2100には、前記電子回
路110の入出力用の電極111とボンディングワイヤ
700で接続される電極部2120が形成されている。
この電極部2120を介して外部の回路との電気的接続
が図られるのである。なお、この電極部2120は、ケ
ース本体2100の側面に形成された肩部2121に形
成されている。また、前記蓋体2200には、振動膜5
00に音を導くための音孔2210が開設されている。
【0025】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンAでは、絶縁層200の厚さを従来の100Å
から少なくとも0.1μm以上、望ましくは数十μmの
厚さに形成したので、固定電極300と半導体チップ1
00の電子回路110との間の寄生容量を低減すること
ができた。具体的には、従来の技術において説明したの
と同様のもので、寄生容量を30pF位まで低減するこ
とができた。
【0026】次に、本発明の第2の実施の形態に係る半
導体エレクトレットコンデンサマイクロホンBについて
説明する。なお、この説明において、上述した半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンAと同様の部分に
は同一の符号を付して説明する。この半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンBは、図2に示すように、
必要な電子回路110が上面周縁部に形成された半導体
チップ100と、この半導体チップ100の上面に積層
された絶縁層200と、この絶縁層200の上に積層さ
れた固定電極300と、この固定電極300と所定の間
隔を有して対向する振動膜500とを有する電気音響変
換素子1000を備えており、前記振動膜500にエレ
クトレット層510が形成された半導体エレクトレット
コンデンサマイクロホンであって、前記半導体チップ1
00は、上面に形成された凹部120に埋込絶縁層13
0を形成しており、前記埋込絶縁層130は、少なくと
も固定電極300の下方には形成されている。
【0027】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンBに用いられる半導体チップ100には、上面
にエッチングによる凹部120が形成されている。この
凹部120は、約十μmから数百μm程度の深さに形成
される。また、この凹部120が少なくとも固定電極3
00の下方には形成されているのは、もし、固定電極3
00の方が凹部120より大きければ、固定電極300
の下側の一部に凹部120に形成される埋込絶縁層13
0がないことになり、寄生容量の防止にならないからで
ある。
【0028】前記凹部120には、ガラス系の絶縁剤を
埋め込む。そして、前記絶縁剤を半導体チップ100の
上面と面一にする。これで、ガラス系の絶縁剤からなる
埋込絶縁層130が形成されるのである。従って、埋込
絶縁層130の厚さは、凹部120の深さと同じ、すな
わち約十μmから数百μmになる。
【0029】このように埋込絶縁層130が形成された
半導体チップ100には、前記埋込絶縁層130との別
の絶縁層200が形成されるが、この絶縁層200は、
上述した半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン
Aにおけるものより薄くてよい。すなわち、埋込絶縁層
130を形成したことによって寄生容量の発生を防止す
ることができたのであるから、絶縁層200は、従来の
ように厚さが100Å前後のSiO2 膜でよいのであ
る。
【0030】他の部分、すなわち固定電極300、スペ
ーサ400、振動膜500、振動膜リング600や、ケ
ース2000等は上述した半導体エレクトレットコンデ
ンサマイクロホンAと同様であるので、詳細な説明は省
略する。
【0031】次に、本発明の第3の実施の形態に係る半
導体エレクトレットコンデンサマイクロホンCについて
説明する。なお、この説明において、上述した半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンA、Bと同様の部
分には同一の符号を付して説明する。この半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンCは、図3に示すよう
に、必要な電子回路110が上面周縁部に形成された半
導体チップ100と、この半導体チップ100の上面に
積層された絶縁層200と、この絶縁層200の上に積
層された固定電極300と、この固定電極300と所定
の間隔を有して対向する振動膜500とを有する電気音
響変換素子1000を備えており、前記振動膜500に
エレクトレット層510が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記半導体チッ
プ100は、上面から下面にかけて貫通した貫通孔14
0に埋込絶縁層150を形成しており、前記埋込絶縁層
150は、少なくとも固定電極300の下方には形成さ
れている。
【0032】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンCに用いられる半導体チップ100には、超音
波加工で上面から下面にかけて貫通した貫通孔140を
形成している。この貫通孔140が、少なくとも固定電
極300の下方には形成されているのは、もし、固定電
極300の方が貫通孔140より大きければ、固定電極
300の下側の一部に貫通孔140に形成される埋込絶
縁層150がないことになり、寄生容量の防止にならな
いからである。
【0033】前記貫通孔140には、ガラス系の絶縁剤
を埋め込む。そして、前記絶縁剤を半導体チップ100
の上面と面一にする。これで、ガラス系の絶縁剤からな
る埋込絶縁層150が形成されるのである。
【0034】このように埋込絶縁層150が形成された
半導体チップ100には、埋込絶縁層150とは別の絶
縁層200が形成されるが、この絶縁層200は、上述
した半導体エレクトレットコンデンサマイクロホンAに
おけるものより薄くてよい。すなわち、埋込絶縁層15
0を形成したことによって寄生容量の発生を防止するこ
とができたのであるから、絶縁層200は、従来のよう
に厚さが100Å前後のSiO2 膜でよいのである。
【0035】他の部分、すなわち固定電極300、スペ
ーサ400、振動膜500、振動膜リング600や、ケ
ース2000等は上述した半導体エレクトレットコンデ
ンサマイクロホンA、Bと同様であるので、詳細な説明
は省略する。
【0036】次に、本発明の第4の実施の形態に係る半
導体エレクトレットコンデンサマイクロホンDについて
説明する。なお、この説明において、上述した半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンA〜Cと同様の部
分には同一の符号を付して説明する。この半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンDは、図4に示すよう
に、必要な電子回路110が上面周縁部に形成された半
導体チップ100と、この半導体チップ100の上面に
積層された絶縁層200と、この絶縁層200の上に積
層された固定電極300と、この固定電極300と所定
の間隔を有して対向する振動膜500とを有する電気音
響変換素子1000を備えており、前記振動膜500に
エレクトレット層510が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記固定電極2
00は半導体チップ100上のアースGに接続され、振
動膜500の金属電極520を振動膜500が取り付け
られた振動膜リング600を介して半導体チップ100
の入力端子112に接続している。
【0037】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンDが上述したものと相違する点は、固定電極2
00を半導体チップ100のアースGに接続するととも
に、金属電極520を振動膜リング600を介して半導
体チップ100の入力端子112に接続する点である。
なお、振動膜リング600と入力端子112との接続
は、ボンディングワイヤ710によって行う。これによ
って、従来は固定電極200と電子回路110との間に
生じていた寄生容量を、固定電極200をアースGに接
続することによって生じないようにするのである。ま
た、信号は、金属電極520→振動膜リング600→ボ
ンディングワイヤ710の順で入力端子112に入力さ
れるのである。
【0038】なお、振動膜リング600とケース200
0の蓋体2200との間には絶縁シート800を介在さ
せておくので、両者の電気的接続は遮断されている。こ
の絶縁シート800は、振動膜リング600と同様に略
リング状に形成されている。
【0039】このように構成することによって固定電極
200と半導体チップ100に形成された電子回路11
0との間の電位差が零になるので、両者の間に寄生容量
は発生しないのである。
【0040】次に、本発明の第5の実施の形態に係る半
導体エレクトレットコンデンサマイクロホンEについて
説明する。なお、この説明において、上述した半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンA〜Dと同様の部
分には同一の符号を付して説明する。この半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンEは、図5に示すよう
に、必要な電子回路110が上面周縁部に形成された半
導体チップ100と、この半導体チップ100の下面と
所定の間隔を有して対向する振動膜500とを有する電
気音響変換素子1000及びこの電気音響変換素子10
00を収納するケース2000とを備えており、前記ケ
ース2000は前記電気音響変換素子1000を収納す
る凹部2110と、この凹部2110の底面と側面との
間を導通させる導電層2130とを有しており、前記電
気音響変換素子1000は凹部2110にフリップチッ
プ方式で収納されており、振動膜500の金属電極52
0と振動膜500が取り付けられた振動膜リング600
とを前記導電層2130を介して半導体チップ100の
入出力用の電極111に接続している。
【0041】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンEが上述した半導体エレクトレットコンデンサ
マイクロホンA〜Dと最も相違する点は、半導体チップ
100がフリップチップ方式、すなわち電子回路110
の入出力用の電極111等を下向きにしてケース200
0の凹部2110に収納される点である。
【0042】また、この半導体エレクトレットコンデン
サマイクロホンEは、半導体エレクトレットコンデンサ
マイクロホンA〜Dにおける固定電極300に直接相当
するものがない点でも相違する。すなわち、半導体チッ
プ100を構成するSiチップは導電性を有するため、
電子回路110においてアースGをとっておけば、半導
体チップ100の下面はアース電極面となり、前記固定
電極300と同等のものになるため、別個に固定電極3
00を形成する必要がないのである。
【0043】さらに、振動膜500の金属電極520
は、振動膜リング600及びボンディングワイヤ700
を介して、電極部2120に接続されている。
【0044】前記ケース2000のケース本体2100
には側面から底面にかけて、より具体的には前記肩部2
121に形成された電極部2120のから側面を介して
底面にいたる薄膜からなる導電層2130が形成されて
いる。この導電層2130は、前記電極部2120と、
半導体チップ100に形成された電子回路110の入出
力用の電極111とを電気的に接続するものである。
【0045】従って、振動膜500の金属電極520と
電子回路110とは、ボンディングワイヤ700や導電
層2130を介して電気的に接続されていることにな
る。
【0046】ケース2000のケース本体2100の凹
部2110の底面には、一方向にのみ導電性を有する異
方性導電材料2140が塗布されている。この異方性導
電材料2140は、電気音響変換素子1000を凹部2
110に固定する接着剤の役目をも果たしている。
【0047】また、振動膜500が貼りつけられる振動
膜リング600と、ケース2000の蓋体2200との
間には絶縁シート800を介在させておくので、両者の
電気的接続は遮断されている。この絶縁シート800
は、振動膜リング600と同様に略リング状に形成され
ている。
【0048】このように構成することによっても、寄生
容量は発生しないのである。
【0049】次に、本発明の第6の実施の形態に係る半
導体エレクトレットコンデンサマイクロホンFについて
説明する。なお、この説明において、上述した半導体エ
レクトレットコンデンサマイクロホンA〜Eと同様の部
分には同一の符号を付して説明する。この半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンFは、必要な電子回路
110が上面周縁部に形成された半導体チップ100
と、この半導体チップ100の上面に積層された絶縁層
200と、この絶縁層200の上に積層された固定電極
300と、この固定電極300と所定の間隔を有して対
向する振動膜500とを有する電気音響変換素子100
0とを備えており、前記振動膜500にエレクトレット
層510が形成された半導体エレクトレットコンデンサ
マイクロホンであって、固定電極300の面積は振動膜
500の面積に対し少なくとも半分位迄の大きさに設定
されている。
【0050】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンFが、上述した半導体エレクトレットコンデン
サマイクロホンA〜Dと相違する点は、半導体エレクト
レットコンデンサマイクロホンFにおける固定電極30
0の面積は振動膜500の面積に対し少なくとも半分位
迄の大きさに設定されている点である。
【0051】すなわち、半導体エレクトレットコンデン
サマイクロホンA〜Dでは、固定電極300の面積と振
動膜500の面積とは同一に設定されていたのである。
【0052】このように、固定電極300の面積は振動
膜500の面積に対し少なくとも半分位迄の大きさに設
定すると、次のような利点が生じる。まず、固定電極3
00を振動膜500と同程度の面積に形成すると、必然
的に大きな寄生容量が形成される。固定電極300が小
さいほど寄生容量も小さくなるが、あまりに固定電極3
00が小さいと、音響出力の低下等の悪影響が発生す
る。本発明者は、実験の結果、記載容量が問題になら
ず、また音響出力の低下等の悪影響も受けないために
は、固定電極300の面積は振動膜500の面積に対し
少なくとも半分位迄の大きさに設定することが望ましい
ことを見出した。
【0053】従って、このように、固定電極300の面
積は振動膜500の面積に対し少なくとも半分位迄の大
きさに設定すると、半導体チップ100の上面に形成す
る絶縁膜200の厚さ寸法を従来のものと同様に100
Å程度にすることが可能となるのである。
【0054】なお、上述した各種の実施の形態では、振
動膜500にエレクトレット層510を形成したが、固
定電極300にエレクトレット層を形成するようにして
も同等の効果を得ることができるのはいうまでもない。
【0055】
【発明の効果】本発明に係る半導体エレクトレットコン
デンサマイクロホンは、必要な電子回路が上面周縁部に
形成された半導体チップと、この半導体チップの上面に
積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定
電極と、この固定電極と所定の間隔を有して対向する振
動膜とを有する電気音響変換素子を備えており、前記振
動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレ
クトレット層が形成された半導体エレクトレットコンデ
ンサマイクロホンであって、前記絶縁層は、少なくとも
0.1μm以上の厚さがある。
【0056】従って、絶縁層の厚さを従来の100Åか
ら少なくとも0.1μm以上、望ましくは数十μmの厚
さに形成したので、固定電極と半導体チップの電子回路
との間の寄生容量を低減することができた。特に、寄生
容量を半導体チップに形成されている電子回路で解決す
ることは、技術的、コスト的にも困難であったが、技術
的、コスト的にも優れた寄生容量の低減を達成すること
ができた。
【0057】なお、前記絶縁層をSiO2 系薄膜形成剤
を半導体チップ上に塗布して形成すると、少なくとも
0.1μm以上の厚さを有する絶縁層の形成が容易であ
る。
【0058】また、本発明に係る他の半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が上面
周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チップ
の上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層さ
れた固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有して対
向する振動膜とを有する電気音響変換素子を備えてお
り、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電
極側にエレクトレット素子が形成された半導体エレクト
レットコンデンサマイクロホンであって、前記半導体チ
ップは、上面に形成された凹部に埋込絶縁層を形成して
おり、前記埋込絶縁層は、少なくとも固定電極の下方に
は形成されている。
【0059】このように埋込絶縁層を形成するのであれ
ば、その上に積層する絶縁層は従来のように厚さが10
0Å前後のSiO2 膜でよい。
【0060】また、埋込絶縁層を半導体チップに上面か
ら下面にかけて貫通した貫通孔に形成しても同様の効果
を得ることができる。
【0061】さらに、本発明に係る他の半導体エレクト
レットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が上
面周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チッ
プの上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層
された固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有して
対向する振動膜とを有する電気音響変換素子を備えてお
り、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電
極側にエレクトレット層が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、前記固定電極は
半導体チップ上のアースに接続され、振動膜の金属電極
と振動膜が取り付けられた振動膜リングとを半導体チッ
プの入力端子に接続している。
【0062】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンであれば、固定電極がアースに接続されている
ため、固定電極と半導体チップに形成された電子回路と
の間の電位差が零になるので、両者の間に寄生容量は発
生しない。
【0063】また、本発明に係るその他の半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が
上面周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チ
ップの下面と所定の間隔を有して対向する振動膜とを有
する電気音響変換素子及びこの電気音響変換素子を収納
するケースとを備えており、前記ケースは前記電気音響
変換素子を収納する凹部と、この凹部の底面と側面との
間を導通させる導電層とを有しており、前記電気音響変
換素子は凹部にフリップチップ方式で収納されており、
振動膜の金属電極と振動膜が取り付けられた振動膜リン
グとを前記導電層を介して半導体チップの入力端子に接
続している。
【0064】この場合には、半導体チップの上面に絶縁
層及び固定電極を形成することなしに、寄生容量の発生
を防止することができるので、製造工程の工数を減少し
つつ同様の効果をもたらすことが可能となる。
【0065】また、本発明に係る他の半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンは、必要な電子回路が上面
周縁部に形成された半導体チップと、この半導体チップ
の上面に積層された絶縁層と、この絶縁層の上に積層さ
れた固定電極と、この固定電極と所定の間隔を有して対
向する振動膜とを有する電気音響変換素子とを備えてお
り、前記振動膜にエレクトレット層が形成、又は固定電
極側にエレクトレット層が形成された半導体エレクトレ
ットコンデンサマイクロホンであって、固定電極面積は
振動膜面積に対し少なくとも半分位迄の大きさに設定さ
れている。
【0066】この半導体エレクトレットコンデンサマイ
クロホンでは、絶縁層の厚さを従来のものと同様の10
0Å程度にしても、寄生容量が問題のない程度に減少
し、さらに音響特性の面からも支障がないものとするこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図3】本発明の第3の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図4】本発明の第4の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図5】本発明の第5の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図6】本発明の第6の実施の形態に係る半導体エレク
トレットコンデンサマイクロホンの概略的断面図であ
る。
【図7】従来のこの種の半導体エレクトレットコンデン
サマイクロホンの概略的断面図である。
【符号の説明】
A〜F 半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン 1000 電気音響変換素子 100 半導体チップ 110 電子回路 200 絶縁層 300 固定電極 400 スペーサ 500 振動膜 510 エレクトレット層 2000 ケース
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平11−88992(JP,A) 特開 平6−217397(JP,A) 特開 昭54−127316(JP,A) 米国特許4910840(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04R 19/04

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの上面に積層され
    た絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定電極と、
    この固定電極と所定の間隔を有して対向する振動膜とを
    有する電気音響変換素子を具備しており、前記振動膜に
    エレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレクトレ
    ット層が形成された半導体エレクトレットコンデンサマ
    イクロホンにおいて、前記絶縁層は、少なくとも0.1
    μm以上の厚さがあることを特徴とする半導体エレクト
    レットコンデンサマイクロホン。
  2. 【請求項2】 前記絶縁層は、SiO2 系薄膜形成剤を
    半導体チップ上に塗装、又は蒸着して形成したものであ
    ることを特徴とする請求項1記載の半導体エレクトレッ
    トコンデンサマイクロホン。
  3. 【請求項3】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの上面に積層され
    た絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定電極と、
    この固定電極と所定の間隔を有して対向する振動膜とを
    有する電気音響変換素子を具備しており、前記振動膜に
    エレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレクトレ
    ット層が形成された半導体エレクトレットコンデンサマ
    イクロホンにおいて、前記半導体チップは、上面に形成
    された凹部に埋込絶縁層を形成しており、前記埋込絶縁
    層は、少なくとも固定電極の下方には形成されているこ
    とを特徴とする半導体エレクトレットコンデンサマイク
    ロホン。
  4. 【請求項4】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの上面に積層され
    た絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定電極と、
    この固定電極と所定の間隔を有して対向する振動膜とを
    有する電気音響変換素子を具備しており、前記振動膜に
    エレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレクトレ
    ット層が形成された半導体エレクトレットコンデンサマ
    イクロホンにおいて、前記半導体チップは、上面から下
    面にかけて貫通した貫通孔に埋込絶縁層を形成してお
    り、前記埋込絶縁層は、少なくとも固定電極の下方には
    形成されていることを特徴とする半導体エレクトレット
    コンデンサマイクロホン。
  5. 【請求項5】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの上面に積層され
    た絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定電極と、
    この固定電極と所定の間隔を有して対向する振動膜とを
    有する電気音響変換素子を具備しており、前記振動膜に
    エレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレクトレ
    ット層が形成された半導体エレクトレットコンデンサマ
    イクロホンにおいて、前記固定電極は半導体チップ上の
    アースに接続され、振動膜の金属電極と振動膜が取り付
    けられた振動膜リングとを半導体チップの入力端子に接
    続したことを特徴とする半導体エレクトレットコンデン
    サマイクロホン。
  6. 【請求項6】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの下面と所定の間
    隔を有して対向する振動膜とを有する電気音響変換素子
    及びこの電気音響変換素子を収納するケースとを具備し
    ており、前記ケースは前記電気音響変換素子を収納する
    凹部と、この凹部の底面と側面との間を導通させる導電
    層とを有しており、前記電気音響変換素子は凹部にフリ
    ップチップ方式で収納されており、振動膜の金属電極と
    振動膜が取り付けられた振動膜リングとを前記導電層を
    介して半導体チップの入力端子に接続したことを特徴と
    する半導体エレクトレットコンデンサマイクロホン。
  7. 【請求項7】 必要な電子回路が上面周縁部に形成され
    た半導体チップと、この半導体チップの上面に積層され
    た絶縁層と、この絶縁層の上に積層された固定電極と、
    この固定電極と所定の間隔を有して対向する振動膜とを
    有する電気音響変換素子とを具備しており、前記振動膜
    にエレクトレット層が形成、又は固定電極側にエレクト
    レット層が形成された半導体エレクトレットコンデンサ
    マイクロホンにおいて、固定電極面積は振動膜面積に対
    し少なくとも半分位迄の大きさに設定されていることを
    特徴とする半導体エレクトレットコンデンサマイクロホ
    ン。
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