JP3471946B2 - ガス中の不純物の吸着分離装置 - Google Patents
ガス中の不純物の吸着分離装置Info
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Description
被処理ガスから吸着分離した不純物を、比較的高温低圧
状態で再生ガス中に放散する特性を有する吸着剤が充填
された不純物吸着分離装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば、天然ガスや分解ガスなどにおい
ては、低温状態で精製或いは液化する際にガス中の水や
硫黄化合物等の不純物が固化するなどして正常な処理の
進行を妨害することがあるため、通常、この精製・液化
工程の前段に、脱水・脱硫等の不純物分離処理が行われ
ている。 【0003】このようなガス中の不純物分離によく用い
られるゼオライト等の吸着剤(例えば、モレキュラーシ
ーブ(商品名))は、加圧すると吸着現象が促進され、
加熱或いは減圧すると吸着不純物を放散するといった特
性を有している。そこで、このような吸着剤を用いた不
純物分離装置においては、一般に、比較的低温高圧の被
処理ガスを、吸着剤が充填された処理容器内に導入し
て、被処理ガス中の不純物を吸着剤に吸着させ、その
後、比較的高温低圧の再生ガスを処理容器内に流通させ
て吸着剤を加熱し、吸着不純物を再生ガス中に放散させ
て吸着剤を再生するようにしている。そして、再度吸着
工程に移る前に、低温低圧の再生ガスを流通させて吸着
剤を冷却するようにしている。 【0004】吸着剤が充填された処理容器においては、
このように吸着、再生、冷却の各工程を順次繰り返され
るが、この処理容器を複数並列して設置しておけば、こ
れらの処理容器間で吸着工程と再生・冷却工程とを交互
に行うことで、連続処理が可能になる。 【0005】ところが、このように一部の処理容器が吸
着工程にあり、残りの処理容器が再生・冷却工程にある
と、両者間がバルブで相互に遮断されているとはいえ、
同一装置内を高圧ガスと低圧ガスとが同時に流通するこ
とになる。このような状況では、万一閉じているべきバ
ルブが誤操作あるいは誤動作で開いた場合、再生ガスの
加温装置及びその前後の配管からなる送気部や、処理容
器から排出された再生ガスを冷却する冷却装置及びその
前後の配管からなる排気部に、高圧の被処理ガスが大量
に流入して、低圧設計されているこれらの装置や配管を
破損しないとも限らない。 【0006】そこで、これらの装置や配管を保護するた
め、被処理ガスと再生ガスとの流れの向きが対向する送
気部に対しては、逆止弁を設けて高圧ガスの流入を阻止
すると共に、被処理ガスと再生ガスとの流れの向きが同
じになる排気部に対しては、安全弁等の圧力放出手段を
設けてガスの一部を大気中に放出・焼却して、圧力を低
下させるようにしている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところが、被処理ガス
と再生ガスとの圧力差が大きくなると、排気部に流入す
る大量の高圧ガスを速やかに放出するのに、安全弁等の
圧力放出手段を大容量化する必要があり、製造コストが
上昇する上に、大量の被処理ガスが浪費されるといった
不都合があった。特に、被処理ガスが流量コントロール
されていない場合は、この放出ガス量は極めて大量にな
る。 【0008】本発明は、このような従来技術の不都合を
解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、
バルブの異常動作による低圧設計部への高圧ガスの流入
量を、低コストな構成で効果的に制限し得るガス中の不
純物の吸着分離装置を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】このような目的は、本発
明によれば、吸着剤が充填された複数の処理容器間で比
較的低温高圧状態の被処理ガスと比較的高温低圧状態の
再生ガスとを交互に流通させて、前記被処理ガス中の不
純物を前記吸着剤にて吸着分離する一方で、吸着された
前記不純物を前記吸着剤から前記再生ガス中に放散させ
て前記吸着剤を再生するようにしてなり、前記複数の処
理容器の各々を流通した前記再生ガスを回収する配管の
下流に安全弁が設けられたガス中の不純物の吸着分離装
置であって、前記安全弁の上流側の前記再生ガス回収配
管に、高圧ガスの流入をチョークフローの発生により制
限するための流路絞り手段を設けたことを特徴とするガ
ス中の不純物の吸着分離装置を提供することにより達成
される。 【0010】 【作用】このような構成にすれば、高圧の被処理ガスが
流路絞り手段を通過する際、チョークフローが生じて大
幅に流量が制限されるため、その下流側にある低圧設計
部を保護するのに要する安全弁等の圧力放出手段を小容
量化し得る上、放出ガス量を大幅に低減し得る。 【0011】 【実施例】以下に添付の図面に示された具体的な実施例
に基づいて本発明の構成を詳細に説明する。 【0012】図1は、本発明に基づき構成されたガス中
の不純物吸着分離装置を示している。この装置は、天然
ガスの精製・液化の前処理として、天然ガス中の水分を
分離、すなわち脱水するものであり、処理すべき原料ガ
スが比較的高圧で流通する第1・第2の吸着塔1・2及
びこれらを並列接続する上下流の配管P1〜P8からな
る高圧部Aと、両吸着塔1・2に比較的高温低圧の再生
ガスを送り込む送気部Bと、吸着塔内を流通した再生ガ
スを系外に排出する排気部Cとを有している。なお、こ
の装置は、後述する吸着剤の種類を変更することで、例
えば水素ガス中のメタンやエタン、或いは脱水天然ガス
中の硫化水素といったように種々のガス中の様々な不純
物を吸着・分離することができる。 【0013】第1・第2の吸着塔1・2の内部には、高
圧状態で原料ガスから吸着分離した水分を、高温低圧状
態で再生ガス中に放散する特性を有する吸着剤として、
モレキュラーシーブ(商品名)が充填されている。これ
らの両吸着塔1・2の各上流側配管P1・P2にはそれ
ぞれバルブV1・V2が、各下流側配管P3・P4には
それぞれバルブV3・V4が設けられている。また、各
上流側配管P1・P2からバルブV1・V2の下流側で
T字状にそれぞれ分岐した各配管P5・P6には各々バ
ルブV5・V6が設けられており、これらの分岐配管P
5・P6は、互いに合流した後、安全弁3とその上流側
に配設された流路絞り手段としてのベンチュリー管4を
介して排気部Cに接続されている。この排気部Cには、
再生ガスを冷却するクーラー8が設けられている。 【0014】送気部Bには、再生ガスを加熱するヒータ
ー6が設けられている。このヒーター6は、再生ガスを
所定温度に一定に保持するように、その下流側の温度セ
ンサー7からの信号をもとに制御されている。また、ヒ
ーター6へ導入される再生ガスをバイパス可能にする配
管P9と、ヒーター6側の配管P10には、これらの合
流点の上流側にそれぞれバルブV9・V10が設けられ
ている。これらの配管P9・P10は互いに合流した
後、逆止弁5を経て配管P7と配管P8とに分岐し、前
述した両吸着塔1・2の各下流側配管P3・P4にそれ
ぞれ接続されている。これらの分岐配管P7・P8には
各々バルブV7・V8が設けられている。なお、上記の
各バルブV1〜V10は、ソレノイドやモータなどで遠
隔開閉操作可能な2方開閉弁である。 【0015】各吸着塔1・2においては、吸着、再生、
冷却の各工程を順次繰り返すよう操作され、両吸着塔1
・2のうちの一方が吸着工程のあるときには、他方は再
生・冷却工程にあるように操作して連続処理ができるよ
うになっている。図1には、第1吸着塔1が吸着工程に
あり、第2吸着塔2が再生・冷却工程にあるときの原料
ガス及び再生ガスの流れを矢印で併記している。バルブ
V1・V3・V6・V8は開いており、反対にバルブV
2・V4・V5・V7は全閉している。 【0016】このとき、高圧の原料ガス(圧力35〜1
00kg/cm2G、温度20〜40℃)が、バルブV
1を通って第1吸着塔1の頂部から内部に導入され、下
向きに流通して原料ガスが脱水される。乾燥ガスは、第
1吸着塔1の底部から流出して、バルブV3を通って回
収される。 【0017】他方、再生・冷却工程にある第2吸着塔2
においては、まず、バルブV10が開き、かつバルブV
9が閉じた状態で、ヒーター6で加熱された高温の再生
ガスが、バルブV10・V8を通って第2吸着塔2の内
部に導入される。この再生ガスには、吸着塔1・2で処
理された乾燥ガスや、窒素ガスにメタン等を混合したも
のなどが用いられる。高温の再生ガスが第2吸着塔2の
内部を上向きに流通すると、吸着剤が加熱されて吸着水
分が再生ガス中に放散される。水分を含んだ再生ガス
は、第2吸着塔2の頂部からバルブV6を経てベンチュ
リー管4を通った後、クーラー8で冷却されて回収され
る。 【0018】次いで、バルブV10が閉じ、かつバルブ
V9が開いた状態で、再生ガスが加熱されずにそのまま
バルブV8を通って第2吸着塔2の内部に導入され、高
温状態にある吸着剤を冷却する。吸着剤を冷却したガス
は、上記と同様に、クーラー8で冷却されて回収され
る。 【0019】上記とは反対に、第1吸着塔1が再生・冷
却工程にあり、第2吸着塔2が吸着工程にある場合は、
バルブV1・V3・V6・V8を閉じると共に、バルブ
V2・V4・V5・V7を開いた上で、第2吸着塔2に
原料ガスを導入して吸着処理する一方で、上述した操作
方法と同様にして第1吸着塔1の吸着剤の再生が行われ
る。 【0020】このような吸着分離装置において、例え
ば、図1に示されるように、第1吸着塔1が吸着工程に
あり、第2吸着塔2が再生・冷却工程にあると仮定し、
第1吸着塔1に、原料ガスが温度25℃、圧力60ba
rA、流量13,000kg−mol/hで供給され、
第2吸着塔2に、温度250℃まで加熱された圧力25
barAの再生ガスが流量1,000kg−mol/h
で流通しているか、或いは温度40℃の再生ガスが流通
しているものとする。なお、第1・第2の両吸着塔1・
2は、共に内径3,700mm、高さ6,000mmの
円筒形容器である。 【0021】このような状態において何らかの理由によ
りバルブV2が突然開いた場合、高圧の原料ガスがバル
ブV6を経て排気部Cに流入して、そこの圧力を急激に
上昇させる。この圧力が設定値を越えると、安全弁3が
作動して原料ガスを放出する。他方、第2吸着塔2及び
バルブV8を通って送気部Bに逆流しようとする原料ガ
スは、逆止弁5の作動によって流通を阻止され、送気部
Bは低圧状態に保持される。このとき、ベンチュリー管
4が設けられていないと、高圧部Aから排気部C側に流
出する原料ガスの流量は、安全弁3の上流側配管内の流
速が音速に達するチョークフローまで上昇する。その流
量は約80,000kg−mol/hになり、これだけ
の流量の原料ガスを速やかに放出するには、6in×8
inの安全弁を12基設ける必要がある。それが、本発
明のように、例えば呼び径14in、スロート部4.2
inのベンチュリー管を設けると、同サイズの安全弁を
3基設置すれば十分である。 【0022】ところで、ベンチュリー管4の設置に伴う
正常運転時における影響は、通常流量時の再生ガスに対
するベンチュリー管4の圧損が0.1bar以下である
ことから、殆ど問題にならない。 【0023】なお、本実施例においては、流路絞り手段
としてベンチュリー管4を設けたが、本発明はこれに限
定されるものではなく、例えばオリフィス管やパイプス
プールでも良い。また、本実施例においては、被処理ガ
スを天然ガスとし、分離すべき不純物を水分としたが、
本発明はこれに限定されるものではなく、この他のガス
中の不純物を吸着分離する装置であっても等しく適用し
得る。 【0024】 【発明の効果】このように本発明によれば、ベンチュリ
ー管等の流路絞り手段によりバルブ異常動作時における
低圧設計部への高圧ガスの流入量を大幅に低減し得るた
め、圧力放出手段が小容量化され、装置の製造コストを
低減する上に多大な効果を奏する。しかも、圧力放出手
段から放出される被処理ガス量も大幅に低減され、被処
理ガスの浪費を抑えることができる。 【0025】特に、上記実施例のように、流路絞り手段
をベンチュリー管とすれば、再生ガス流通時の圧力損失
が小さいため、通常運転時の支障にならないといった利
点がある。
装置の概略構成を示すブロックであり、一方の吸着塔が
再生工程にある場合の作動状況を併せて示している。 【符号の説明】 1 第1吸着塔 2 第2吸着塔 3 安全弁 4 ベンチュリー管 5 逆止弁 6 ヒーター 7 温度センサー 8 クーラー A 高圧部 B 送気部 C 排気部 V1〜V10 バルブ P1〜P10 配管
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 吸着剤が充填された複数の処理容器間で
比較的低温高圧状態の被処理ガスと比較的高温低圧状態
の再生ガスとを交互に流通させて、前記被処理ガス中の
不純物を前記吸着剤にて吸着分離する一方で、吸着され
た前記不純物を前記吸着剤から前記再生ガス中に放散さ
せて前記吸着剤を再生するようにしてなり、前記複数の
処理容器の各々を流通した前記再生ガスを回収する配管
の下流に安全弁が設けられたガス中の不純物の吸着分離
装置であって、 前記安全弁の上流側の前記再生ガス回収配管に、高圧ガ
スの流入をチョークフローの発生により制限するための
流路絞り手段を設けたことを特徴とするガス中の不純物
の吸着分離装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33111894A JP3471946B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | ガス中の不純物の吸着分離装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33111894A JP3471946B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | ガス中の不純物の吸着分離装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08155242A JPH08155242A (ja) | 1996-06-18 |
JP3471946B2 true JP3471946B2 (ja) | 2003-12-02 |
Family
ID=18240072
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33111894A Expired - Lifetime JP3471946B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | ガス中の不純物の吸着分離装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3471946B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CA2991985C (en) * | 2015-08-27 | 2022-05-31 | Jgc Corporation | Pretreatment equipment for hydrocarbon gas to be liquefied and shipping base equipment |
CN109652155B (zh) * | 2019-02-22 | 2023-10-10 | 中国石油工程建设有限公司 | 一种用于天然气处理领域的分子筛脱水系统及工艺 |
JP7426223B2 (ja) * | 2019-12-16 | 2024-02-01 | 東京瓦斯株式会社 | 水素製造装置 |
-
1994
- 1994-12-08 JP JP33111894A patent/JP3471946B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08155242A (ja) | 1996-06-18 |
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