JP3471875B2 - ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィド樹脂組成物Info
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Description
サート金属部品等の金属に対する腐食性が抑制されたポ
リアリーレンスルフィド樹脂組成物に関し、さらに詳し
くは、腐食防止性に優れ、かつ、機械的特性や加工特性
が良好なポリアリーレンスルフィド樹脂組成物に関す
る。
レンケトンスルフィド、ポリフェニレンスルホンスルフ
ィド等の分子鎖中にアリーレン基とスルフィド基とを有
するポリアリーレンスルフィド樹脂(以下、PAS樹脂
と略記)は、耐熱性、機械的特性、耐薬品性、難燃性、
電気的特性、成形加工性等に優れたエンジニアリング・
プラスチックスであり、電気・電子機器部品、自動車機
器部品、化学機器部品等の広範な分野で用いられてい
る。
たときに亜硫酸ガスや塩酸ガスなどの腐食性ガスを生成
し易く、そのため、成形加工時に加工機械や金型等の金
属部分を腐食させたり、あるいは成形品中の金属接点や
インサート金属部品等を腐食させるという問題点を有し
ている。例えば、通常の加工機械は、鉄系材質で作製さ
れているため、成形時に溶融したPAS樹脂と接触する
と化学的腐食を受け易く、一方、成形品も着色し易くな
る。金型が腐食すると、金型が高価なため経済的な損失
が大きく、しかも精密成形が困難となる。PAS樹脂を
ベースポリマーとして使用したリレーの金属接点が腐食
すると、接点不良を生じる。インサート金属部品が腐食
すると、インサート金属部での半田接着性が低下する。
腐食性ガスを発生し易いPAS樹脂を電子部品の封止材
料として使用すると、電子部品の信頼性が低下する。
性の問題を解決するために、各種の腐食防止剤を配合す
ることが提案されている。例えば、アルカリ金属の水酸
化物または炭酸塩(米国特許第4,017,450
号)、ハイドロタルサイト(特開昭60−186561
号、特開平2−218754号)、周期律表IA、II
A及びIIB族から選ばれる金属のしゅう酸塩(米国特
許第4,178,276号)、γ−アルミナ(特開昭6
2−241962号)、酸化亜鉛(特公昭63−457
11号、特開平4−164961号)、周期律表IIA
族金属の水酸化物、酸化物または芳香族カルボン酸塩、
あるいはIA族金属の芳香族カルボン酸塩(特開昭62
−109850号)、アルミン酸金属塩(特開昭62−
295955号)、炭酸亜鉛及び/または水酸化亜鉛
(特開平2−105857号)、亜硫酸リチウム(特開
平2−36264号)、亜鉛、鉛、マグネシウム、マン
ガン、バリウム、錫から選ばれた少なくとも1種の元素
(特開昭57−205445号)、周期律表IIB族の
リン酸塩(特開平4−161457号)、周期律表IA
またはIIA族金属のメタホウ酸塩、四ホウ酸塩など
(米国特許第4,212,793号)、尿素などのアン
モニア前駆体(米国特許第4,115,344号)、亜
硝酸ナトリウム(米国特許第4,214,021号)、
アリールアルカン酸のアルカリ金属塩(米国特許第4,
237,039号)、炭酸カルシウム(特開平2−19
6858号、特開平3−143958号)などが、各種
PAS樹脂の腐食防止剤として提案されている。
例えば、腐食防止効果が不十分であるもの(炭酸カルシ
ウム、γ−アルミナ、酸化亜鉛、しゅう酸ナトリウム
等)、機械的強度を低下させるもの(酸化亜鉛、炭酸亜
鉛、γ−アルミナ等)、あるいは、腐食防止効果はある
ものの、溶融粘度を大幅に上昇させたり、結晶化速度を
大幅に低下させるなど、PAS樹脂の溶融流動特性や結
晶化特性を低下させ、したがって、その加工特性を低下
させるもの(周期律表IIA族金属の水酸化物または酸
化物、クエン酸ナトリウム、アルミン酸金属塩、炭酸ナ
トリウム、炭酸リチウム)等の欠点を有しており、実用
上十分に満足できる腐食防止剤のないのが現状である。
アリーレンスルフィド樹脂が本来持っている優れた耐熱
性、機械的特性、加工特性等を悪化させることなく、成
形時及び成形後の金属腐食性を十分に抑制したPAS樹
脂組成物を提供することにある。本発明者らは、前記従
来技術の問題点を克服するために鋭意研究した結果、特
定のニッケル化合物が、PAS樹脂に優れた腐食防止効
果を付与すると共に、PAS樹脂の溶融流動特性や結晶
化特性、機械的特性を損なうことがなく、腐食防止剤と
して優れた特性を示すことを見いだし、その知見に基づ
いて本発明を完成するに至った。
ば、ポリアリーレンスルフィド樹脂に、 (a)炭酸ニッケル、 (b)水酸化ニッケル、及び (c)ニッケルの有機カルボン酸塩からなる群より選ば
れる少なくとも1種のニッケル化合物を配合してなるこ
とを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物が
提供される。
に、PAS樹脂の溶融成形時の腐食性ガスの発生を効果
的に抑え、加工機械や金型の腐食あるいは金属接点やイ
ンサート金属部品等の腐食を大幅に低減できること、第
二に、優れた溶融時の流動特性を示すこと、第三に、優
れた結晶化特性を示すこと、及び、第四に、成形品の機
械的特性に優れることである。前記したとおり、従来の
腐食防止剤は、腐食性ガスの発生を抑える効果が不十分
であったり、機械的特性を低下させたり、あるいは腐食
防止効果は優れていても、溶融粘度を増大させたり、溶
融結晶化温度を大幅に低下させて、加工特性を著しく悪
化させるものであった。これに対して、本発明のPAS
樹脂組成物は、腐食性の抑制効果と、加工特性、機械的
特性等とのバランスが良好である。
レン基とスルフィド基とを有する芳香族ポリマーであ
る。
ニレン基、m−フェニレン基、置換フェニレン基(置換
基は、アルキル基、好ましくは炭素数1〜5のアルキル
基、またはフェニル基)、p,p′−ジフェニレンスル
ホン基、p,p′−ビフェニレン基、p,p′−ジフェ
ニレンエーテル基、p,p′−ジフェニレンカルボニル
基、ナフタレン基などを挙げることができる。前記アリ
ーレン基を有するPAS樹脂の中でも、主として同一の
アリーレン基を有するポリマーを好ましく用いることが
できるが、加工特性や耐熱性の観点から2種以上の異種
のアリーレン基を含んだコポリマーを用いることもでき
る。本発明で使用するPAS樹脂としては、化学式
主構成要素(該繰り返し単位を50重量%以上含む)と
するポリp−フェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂)
が、加工特性に優れ、しかも工業的に入手が容易である
ことから特に好ましい。本発明で使用するPAS樹脂の
他の例としては、一般式
ンケトンケトンスルフィドの繰り返し単位をそれぞれ主
構成要素(該繰り返し単位を50重量%以上含む)とす
るポリアリーレンケトンスルフィド樹脂(PKS樹脂)
及びポリアリーレンケトンケトンスルフィド樹脂(PK
KS樹脂)を挙げることができる。本発明で使用するP
AS樹脂の他の好ましい例としては、一般式
位を主構成要素(該繰り返し単位を50重量%以上含
む)とするポリアリーレンスルホンスルフィド樹脂(P
SS樹脂)を挙げることができる。
ある場合には、p−フェニレンスルフィド繰り返し単位
とm−フェニレンスルフィド繰り返し単位を含む共重合
体が好ましく、特に好ましくは、これらの各繰り返し単
位のブロックを含有するブロック共重合体(例えば、特
開昭61−14228号)が挙げられる。他の好ましい
共重合体型のPAS樹脂としては、フェニレンスルフィ
ド繰り返し単位とアリーレンケトンスルフィド繰り返し
単位を有する共重合体、フェニレンスルフィド繰り返し
単位とアリーレンケトンケトンスルフィド繰り返し単位
を有する共重合体、フェニレンスルフィド繰り返し単位
とアリーレンスルホンスルフィド繰り返し単位を有する
共重合体、アリーレンケトンスルフィド繰り返し単位と
アリーレンスルホンスルフィド繰り返し単位を有する共
重合体、アリーレンケトンケトンスルフィド繰り返し単
位とアリーレンスルホンスルフィド繰り返し単位を有す
る共重合体などが挙げられ、これらの共重合体は、ラン
ダム共重合体だけではなく、ブロック共重合体であって
もよい(例えば、特開平2−225527号、特開平3
−223332号、EP 0459619 A2号、E
P 0459621 A2号、特開昭62−11503
0号、特開昭62−27434号、特開平4−1008
26号)。これらのPAS樹脂の中では、結晶性のポリ
マーが、加工特性や耐熱性等に優れているので、特に好
ましく使用することができる。これらのPAS樹脂は、
それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用
することができる。
化特性等を改良する配合剤は、ニッケルの有機カルボン
酸塩、炭酸ニッケル、及び水酸化ニッケルである。本発
明で使用するニッケルの有機カルボン酸塩としては、例
えば、クエン酸ニッケル、蓚酸ニッケル、酢酸ニッケ
ル、安息香酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル、パルチ
ミン酸ニッケルが挙げられる。高温時の熱安定性の点か
ら、ニッケルのポリカルボン酸塩、その中でも、ジカル
ボン酸塩またはトリカルボン酸塩であるクエン酸ニッケ
ル及び蓚酸ニッケルが好ましく用いられる。本発明で使
用する炭酸ニッケルとしては、正炭酸塩と塩基性炭酸塩
が挙げられる。特に、効果と工業的入手性から塩基性炭
酸塩(炭酸水酸化ニッケル)が好ましく用いられる。
和物の形で入手可能である。これらのニッケル化合物の
水和物は、そのままで、あるいは結晶水を脱水してから
用いることができる。これらのニッケル化合物は、PA
S樹脂との接触面積をできるだけ大きくとれるように、
細かい粒子径のものを均一に分散させることが、腐食防
止性を高める上で好ましい。粒径の細かいものは、公知
の粉砕・分級技術により容易に調製することができる。
これらのニッケル化合物は、それぞれ単独で、あるいは
2種以上を組み合わせて使用することができる。ニッケ
ル化合物の配合割合は、PAS樹脂100重量部に対
し、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.01〜
5重量部の範囲である。この割合が0.01重量部未満
では、腐食防止効果が少なく、逆に、10重量部超過で
は、機械的物性低下や流動性低下などの問題が生じるお
それがある。
比較して、金属に対する腐食性が大幅に抑制されてい
る。また、本発明のPAS樹脂組成物は、溶融粘度の増
大や結晶化温度の低下が小さいため、加工特性が良好で
あり、しかも機械的特性に優れている。
S樹脂が有する金属腐食性が著しく抑制されていること
にある。PAS樹脂またはPAS樹脂組成物の金属腐食
性は、以下の試験法により評価することができる。 <腐食性試験法>PAS樹脂4gまたはPAS樹脂4g
を含むPAS樹脂組成物を粉末状(目開き355μm即
ち42メッシュの篩をパスし、目開き150μm即ち1
00メッシュの篩をオンするもの)の形で、外径21m
m、長さ200mmのガラス製試験管に入れる。次に、
ステンレス箔SUS304H(厚み50μm、巾18m
m、長さ160mm)の腐食試験片を入れ、シリコンゴ
ムの連続気泡スポンジ製栓で蓋をする。ブロックバス
(センシュー科学製、SSC−9100)を用い、28
0℃で3時間加熱する。加熱処理後、約12時間室温に
て放置し、しかる後、試験片の腐食状態を目視にて観察
する。
性のPAS樹脂を用いた場合に、PAS樹脂の有する優
れた結晶化特性を保持できることにある。結晶化特性の
中でも、結晶化の容易さは、射出成形等において、固化
速度を決める主要因子であり、生産性に大きな影響を及
ぼす。また、結晶化の容易さは、耐熱性や弾性率などの
機械的物性を支配する結晶化度にも大きな影響を及ぼ
す。したがって、腐食防止剤の少量添加により、結晶性
PAS樹脂の結晶化特性が阻害されることは好ましくな
い。PAS樹脂の結晶化特性は、溶融結晶化温度によっ
て評価することができる。具体的には、結晶化の阻害度
合は、以下の方法により評価することができる。
10mgの試料を不活性ガス雰囲気中で、340℃まで
昇温し、1分間保持した後、10℃/分の速度で降温し
た際の溶融結晶化温度を測定する。PAS樹脂のみの溶
融結晶化温度を(Tmc)0、PAS樹脂に腐食防止剤
を添加した組成物の溶融結晶化温度を(Tmc)とする
と、結晶化阻害度合Δ(Tmc)は、以下の式によって
表される。 Δ(Tmc)=〔(Tmc)0−(Tmc)〕/(Tmc)0×100 このΔ(Tmc)値が小さい程、結晶化阻害度合が小さ
いことになり、好ましい。本発明のPAS樹脂組成物で
は、この値が通常15以下、好ましくは14以下、より
好ましくは13以下である。Δ(Tmc)値が15以下
の範囲は、この値がマイナス、即ち、溶融結晶化温度が
上昇する場合をも含む。この値が15超過では、結晶化
速度が非常に小さくなるため、好ましくない。
性(コンスタンシー)にある。特に、薄肉成形や精密成
形には、溶融加工時における樹脂の高流動性が要求され
る。一般の成形加工においても、腐食防止剤の少量添加
によって、流動特性が大きく変化することは、最適の成
形条件を定めることが困難であるため、好ましくない。
流動特性のコンスタンシーは、以下のようにして評価で
きる。
ャピログラフ(東洋精機株式会社製)を用いて、PAS
樹脂の溶融粘度η* 0(剪断速度:1200/秒)と、P
AS樹脂と腐食防止剤を含むPAS組成物の溶融粘度η
*(剪断速度:1200/秒)との比η*/η* 0をもって
表す。測定温度は、310℃とし、内径1mmφ、L/
D=10/1のキャピラリーを使用し、予熱5分後の測
定値とする。本発明のPAS樹脂組成物は、η*/η* 0
が通常0.5〜1.6、好ましくは0.6〜1.5、よ
り好ましくは0.7〜1.4である。η*/η* 0が1.
6を超えるものや0.5未満のものでは、腐食防止剤の
添加により、樹脂組成物の流動性が大きく変化すること
になり、いずれも好ましくない。
なくとも1種のニッケル化合物、即ち、本発明で使用す
る腐食防止剤は、PAS樹脂と均一に混合されることが
好ましい。混合方法としては、種々の公知の方法を用い
ることができる。例えば、PAS樹脂に所定の腐食防止
剤を添加して、ミキサーまたはタンブラー等でドライブ
レンドしてもよい。また、PAS樹脂に腐食防止剤を水
溶液、有機溶媒溶液またはスラリー液の形態で加え、混
合後、乾燥して調製してもよい。混合物を一軸または二
軸押出混練機などに供給して、260〜450℃で溶融
混練してもよい。予め腐食防止剤を高濃度で含むPAS
樹脂組成物を調製し、これをマスターバッチとして用
い、PAS樹脂で所定の配合割合となるように希釈して
もよい。
じて、各種の充填剤を添加してもよい。充填剤は、一般
に、機械的強度、耐熱性、寸法安定性、電気的特性等を
改良するために配合される。充填剤は、無機化合物及び
有機化合物の中から選ばれ、目的に応じて、繊維状、板
状、粉粒状、中空状などの形状で用いられる。繊維状充
填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、
ボロン繊維、チタン酸カリ繊維、シリカ繊維、シリカア
ルミナ繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、窒化ホ
ウ素繊維、窒化ケイ素繊維、炭化ケイ素繊維、ステンレ
ス繊維、アルミナ繊維などを挙げることができる。
リカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化鉄、酸化
亜鉛、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化アル
ミニウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウ
ムなどの金属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシ
ウム、ドロマイトなどの金属炭酸塩;硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、亜硫酸カルシウムなどの金属硫酸塩また
は亜硫酸塩;タルク、クレー、マイカ、アスベスト、ガ
ラスビーズ、ケイ酸カルシウム、モンモリロナイト、ベ
ントナイト、カオリンなどのケイ酸塩;その他、鉄、
鉛、アルミニウムなどの金属;チタン酸、ジルコン酸鉛
などが挙げられる。中空状充填剤としては、ガラスバル
ーン、軽石バルーン、中空シリカなどが挙げられる。
いは2種以上を組み合わせて使用することができる。充
填剤の配合割合は、使用目的によって異なるが、PAS
樹脂組成物中の樹脂成分100重量部に対して、通常4
00重量部以下、好ましくは250重量部以下である。
この配合割合が過大であると、成形加工性や靭性が低下
するので好ましくない。
与効果を有する充填剤を配合することができる。その代
表例として、磁性粉があり、例えば、MO・6Fe2O3
(Mは、Ba、Sr、Ca、Mg、Zn、Pbの1種ま
たは2種以上)で表されるフェライト磁性粉、RCO5
またはR2CO17(Rは、Sm、Pr、Oe、La等の
希土類元素の1種または2種以上)の希土類コバルト磁
性粉、アルニコ磁性粉、マンガン・ビスマス磁性粉、マ
ンガン・亜鉛フェライト磁性粉、マンガン・マグネシウ
ム・フェライト磁性粉、ニッケル・亜鉛磁性粉などが挙
げられる。これらの磁性粉の配合割合は、PAS樹脂組
成物中の樹脂成分100重量部に対して、通常1600
重量部以下、好ましくは200〜1200重量部であ
る。磁性粉の配合割合が1600重量部を超えると、成
形性が悪くなり、磁気特性が低下し、少ないと磁気特性
が不十分となる。
目的を損なわない範囲内で、PAS樹脂と混和可能なそ
の他の熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂を配合してもよ
い。具体的には、例えば、ポリエーテルエーテルケトン
(PEEK)やポリエーテルケトン(PEK)等の芳香
族ポリエーテルケトン、ポリエステル(芳香族ポリエス
テル、液晶性ポリエステル、ポリアリレートを含む)、
ポリアミド(アラミドを含む)、ポリスルホンやポリエ
ーテルスルホン等の芳香族ポリスルホン、ポリエーテル
イミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、
変性ポリフェニレンエーテル、ABS樹脂、ポリカーボ
ネート、ポリアセタール、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂、エポキ
シ樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドなどを挙げること
ができる。
目的でエラストマーを配合することができる。エラスト
マーとしては、側鎖または主鎖にエポキシ基を有するオ
レフィン系共重合体、酸または酸無水物基を有するオレ
フィン共重合体をも含むポリオレフィン系共重合体、ジ
エン系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポ
リアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマ
ー、ポリウレタン系エラストマー、フッ素系エラストマ
ー、シリコーン系エラストマー、多硫化物エラストマ
ー、アクリル酸系共重合体及びそのNa、Zn、K、C
a、Mgなどの金属塩、オルガノシロキサンゴム等を挙
げることができる。
トマー等の樹脂成分は、それぞれ単独で、あるいは2種
以上組み合わせて、PAS樹脂100重量部に対して、
通常0〜400重量部、好ましくは0〜200重量部、
より好ましくは0〜100重量部の割合で配合すること
ができる。この配合割合が400重量部を超えると、P
AS樹脂の有する耐熱性、耐薬品性、成形加工性等が実
質的に損なわれるおそれがある。
剤、安定剤、滑剤、離型剤、顔料、シランカップリング
剤などの各種添加剤を所望に応じて適宜添加してもよ
い。また、本発明の目的を損なわない範囲内で、従来公
知の腐食防止剤を添加することも可能である。特に、銀
腐食防止に効果があるとされる、特定の亜鉛化合物(特
開平4−164961号)及び炭酸亜鉛や水酸化亜鉛
(特開平2−105857号)等が好ましく用いられ
る。
コーティング材料として使用することができる。本発明
のPAS樹脂組成物は、射出成形、押出成形、真空成
形、圧縮成形などによって成形されるが、ペレット化時
やこれら成形時に成形機器の金属腐食の発生が抑制され
る。また、サビなどの腐食生成物の混入が防止された成
形物が得られる。本発明のPAS樹脂組成物は、成形用
組成物として、特に金属と併用する成形品用、あるいは
アウトサート成形用やインサート成形用として有用であ
る。
挙げて、さらに具体的に説明するが、本発明は、これら
の実施例のみに限定されるものではない。
ポリp−フェニレンスルフィド樹脂(PPS樹脂;呉羽
化学工業社製、フォートロンKPS W205)100
重量部に対し、表1に示す各種金属化合物を表1に示す
割合で添加し、ハンドブレンドした。これをシリンダー
温度310℃の単軸押出機で混練し、樹脂組成物の押出
物を得た。この押出物を粉砕し、ふるいで篩分けし、4
2メッシュをパスし、100メッシュにオンする一定の
粒径を有する試料を調製した。
結果から、本発明のPAS樹脂組成物は、腐食性に優れ
るとともに、溶融粘度の変化率も少なく、かつ、添加量
依存性も少ないなど、流動特性に優れている。また、結
晶化速度についても、PAS樹脂の結晶化速度とほとん
ど変わらないなど、極めて特徴的である。これに対し
て、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、アルミン酸ナ
トリウムなどの公知の腐食防止剤は、腐食防止効果が良
好であるものの、PAS樹脂の溶融粘度や結晶化速度を
大幅に変化させることが分かる。
また、添加量は、純度換算である。 (1)炭酸ニッケル:塩基性炭酸ニッケル 〔略組成:NiCO3・2Ni(OH)2・4H2O〕
(和光純薬工業) (2)水酸化ニッケル:Ni(OH)2(ナカライテス
ク) (3)クエン酸ニッケル:Ni3(C6H5O7)・14H
2O(関東化学) (4)蓚酸ニッケル:NiC2O4・2H2O(ナカライ
テスク) (5)ステアリン酸ニッケル:Ni(C18H35O2)
2(ナカライテスク) (6)水酸化カルシウム:Ca(OH)2(関東化学) (7)炭酸ナトリウム:Na2CO3(関東化学) (8)アルミン酸ナトリウム:NaAlO2(和光純薬
工業)
うな優れた効果を有する。 (1)腐食性が大幅に低減された樹脂組成物であるた
め、溶融成形時に、シリンダー、金型等の金属部分の腐
食が少なく、経済的、効率的な加工ができる。 (2)PAS樹脂の流動特性や結晶化特性を損なうこと
なく、腐食性が大幅に改良されるため、用途の適用範囲
を拡大できる。 (3)機械的物性を損なうことなく、腐食性が大幅に改
善される。 (4)金属に対する腐食性が少ないため、金属との組み
合わせのある成形品用、あるいはアウトサートやインサ
ート成形用の樹脂組成物として好適である。
Claims (3)
- 【請求項1】 ポリアリーレンスルフィド樹脂に、 (a)炭酸ニッケル、 (b)水酸化ニッケル、及び (c)ニッケルの有機カルボン酸塩からなる群より選ば
れる少なくとも1種のニッケル化合物を配合してなるこ
とを特徴とするポリアリーレンスルフィド樹脂組成物。 - 【請求項2】 炭酸ニッケルが塩基性炭酸ニッケルであ
る請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項3】 前記ニッケル化合物の配合割合が、ポリ
アリーレンスルフィド樹脂100重量部に対して、0.
01〜10重量部の範囲である請求項1または2記載の
樹脂組成物。
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