JP3468449B2 - Pwm変換器の交流電圧推定装置 - Google Patents

Pwm変換器の交流電圧推定装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、PWM変換器の制
御装置に係わり、特に交流電圧を推定する装置に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】PWM変換器のスイッチング作用により
交流を直流に変換するPWMコンバータ、直流を交流に
変換するPWMインバータは公知である。 図2はその従来の技術を説明するための交直流変換を行
うPWM変換器の回路構成図であって、同図において、
5は変換器を構成するPWM変換ブリッジ、6は直流電
源あるいは負荷、8は多相交流電源あるいは負荷、7は
交流リアクトルである。
【0003】交流制御の目的は、一般的に交流電流(リ
アクトル電流)をその指令値に追従することであるが、
図2から明らかであるように、交流電流の増減は基本的
にリアクトル両端の電圧の差でコントロールされる。リ
アクトル左端の電圧VCは制御器(PWM変換ブリッ
ジ)で発生する制御電圧で、直流電圧(VD)と制御出
力の開閉パターンから容易に求められる。右端の交流電
圧(VA)は交流負荷または交流電源の電圧であり、電
流制御を行うために直接または間接に求める必要があ
る。
【0004】このため、従来では、ハード的に電圧セン
サを設けて、交流電圧を直接に検出することが多い。ま
た、ハード的に電圧センサを設けずに、制御器との絡み
合いで、電流制御誤差を用いて、何らかの計算手段で交
流電圧の値を求める手法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ハード的に交
流電圧を直接検出して求めるのが最も確実であるが、コ
ストの面では好ましくない。また、従来のように電流制
御誤差から交流電圧を推定する方法では、推定動作はそ
の制御器の種類に強く依存している。つまり、その制御
器にしか適用できず、他の制御器に変えると成立しなく
なることがある。本発明は上述した点に鑑みてなされた
もので、その目的とするところは、上記した問題点に対
して、交流電圧センサを設けず、しかも、制御器の種類
に係わらず常に安定に動作する交流電圧の推定装置を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】つまり、その目的を達成
するための手段は、 1)請求項1において、半導体スイッチングブリッジと
交流リアクトルを介し、直流から交流に、あるいは交流
から直流に電力を変換するPWM変換器の交流電圧の推
定装置に関するもので、前記PWM変換器の直流電圧
(VD)を検出する第1の手段と、交流電流(IA)を
検出する第2の手段と、前記第1の手段で求められた直
流電圧値と前記半導体スイッチングブリッジの発生パタ
ーンから交流制御電圧(Vc)を求める第3の手段と、
前記第2、3の手段で求められた交流電流値、交流制御
電圧値と前記交流リアクトル値(L)と交流基本周波数
値(ωo)を用いて、交流電圧推定値を求める第4の手
段と、を設け、該第4の手段で求められた交流電圧推定
値を交流電圧の推定値とすることを特徴とするPWM変
換器の交流電圧推定装置である。
【0007】2)請求項2において、前記第4の手段と
して、数1で表したものとする請求項1記載のPWM変
換器の交流電圧推定装置である。以下、本発明の一実施
例を図面に基づいて交流電圧推定の原理を詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は汎用性のある交流電圧推
定方法を得るために、内部モデル原理を含んだオブザー
バー理論に基づいて、交流電圧推定器を構成する。図1
は本発明の交流電圧の推定装置の構成を示すブロック図
であり、同図において、1は本発明の第1の手段であ
り、直流電圧値(VD)を検出する。2は本発明の第2
の手段であり、多相交流電流値(IA)を検出する。3
は本発明の第3の手段であり、第1の手段で求められた
直流電圧値と制御器出力のスイッチングパターンとより
制御電圧(Vc)を求める手段である。例えば、制御器
をキャリアPWM制御で実現し、ある相であるキャリア
周期のデューティー比がαである場合、その相の制御電
圧はVc=VD*αのように計算できる。4は第4の手
段で、本発明の中心となる交流電圧オブザーバーであ
り、定数行列I,Jは数2の(1)式として定義する。
【0009】
【数2】
【0010】以下、第4の手段を中心に詳述する。な
お、表現上の簡潔のために、交流量は三相二相変換した
ものとする。すなわち、例えば、交流電流IAについ
て、数3の(2)式のように変換したものとして定義さ
れる。
【0011】
【数3】
【0012】交流電圧が正弦波であることに注目し、交
流回路のダイナミックモデルを数4の(3)式のように
表す。
【0013】
【数4】
【0014】(3)式のモデルの上の式の正弦波内部モ
デルは従来では用いないものであり、本発明では、交流
量は正弦波である特徴に注目し、この内部モデルを使用
して、推定値にオフセットおよび位相ずれを防ぐことに
している。モデルを確立したら、オブザーバーを数5の
(4)式のように構成する。
【0015】
【数5】
【0016】数5の(4)式の推定装置は本発明請求項
の第2項で請求する内容である。以下、(4)式のオブ
ザーバーにあるゲイン定数行列H1、H2の一選択例を
紹介する。設計目標は推定誤差をダンピング率がζ、減
衰率がωnとしよう。(4)式のオブザーバーの特性
は、次に示すその特性方程式p(s)の数6の(5)式
の根で決められる。ただし、sはラプラス演算子を表
す。
【0017】
【数6】
【0018】上記特性方程式を希望通りに数7の(6)
式となるように、H1、H2を次に示す数8の(7)式
のように選択することによって、所望の収束特性を得る
ことができる。
【0019】
【数7】
【数8】
【0020】したがって、本発明によれば、交流電圧推
定値を安定に交流電圧の真値に追従させることができ、
また、オブザーバーのゲインを適当に調整すれば、任意
の収束率で収束させることが指定できる。以上は本発明
請求項に請求した内容である。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、P
WM変換器の交流電圧推定装置において、PWM制御器
の種類と関係無しに、汎用的に交流電圧を推定すること
ができる。また、推定装置に正弦波内部モデルを組み込
んだので、推定誤差オフセット、位相ずれを無くしてい
る。さらに、推定装置のゲインを適当に選定すれば、任
意の収束率、任意のダンピング係数で推定値を真値に追
従させることができ、実用上、極めて有用性の高いもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を示すブロック図である。
【図2】従来の技術を説明するための変換器主回路を示
す構成図である。
【符号説明】
1 第1の手段 2 第2の手段 3 第3の手段 4 第4の手段 5 PWM変換ブリッジ 6 直流電源または負荷 7 交流リアクトル 8 交流電源または負荷 VA 交流電圧 IA 交流電流 Vc 制御電圧 VD 直流電圧 I,J 定数行列 H1 ゲイン定数行列 H2 ゲイン定数行列 ω0 交流基本周波数値 ωn 減衰率 ξ ダンピング率

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半導体スイッチングブリッジと交流リア
    クトルを介し、直流から交流に、あるいは交流から直流
    に電力を変換するPWM変換器の交流電圧の推定装置に
    おいて、前記PWM変換器の直流電圧(VD)を検出す
    る第1の手段と、交流電流(IA)を検出する第2の手
    段と、前記第1の手段で求められた直流電圧値と前記半
    導体スイッチングブリッジの発生パターンから交流制御
    電圧(Vc)を求める第3の手段と、前記第2,3の手段
    で求められた交流電流値、交流制御電圧値と前記交流リ
    アクトル値(L)と交流基本周波数値(ω0)を用いて
    構成される正弦波内部モデルを含む 【数4】 ここに、VAは交流電圧、 は交流電圧の微分値、 は交流電流の微分値、 は定数行列。に基づき、交流電圧推定値を求める第4の
    手段と、を設け、該第4の手段で求められた交流電圧推
    定値を交流電圧の推定値とする事を特徴とするPWM変
    換器の交流電圧推定装置。
  2. 【請求項2】 前記第4の手段として、 【数1】 ここに、H1,H2はゲイン定数行列、 はそれぞれ交流電流の推定値およびその微分値、 は交流電圧推定値の微分値、 は交流電圧の推定値。とする請求項1記載のPWM変換
    器の交流電圧推定装置。
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