JP3465929B2 - 熱可塑性樹脂チューブ表面溝付け加工方法および装置 - Google Patents

熱可塑性樹脂チューブ表面溝付け加工方法および装置

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JP3465929B2 JP19914493A JP19914493A JP3465929B2 JP 3465929 B2 JP3465929 B2 JP 3465929B2 JP 19914493 A JP19914493 A JP 19914493A JP 19914493 A JP19914493 A JP 19914493A JP 3465929 B2 JP3465929 B2 JP 3465929B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は内視鏡チャンネルチュー
ブ等の熱可塑性樹脂チューブの表面外周に螺旋状溝を形
成する加工方法および装置に係り、特に加熱して軟化し
たチューブの表面に線材を巻き付けて螺旋状溝を形成し
た後、チューブに巻き付けた線材をチューブから引き戻
し、次の溝付け加工の際に上記引き戻した線材を再びチ
ューブに巻き付けることが可能な熱可塑性樹脂チューブ
表面溝付け加工方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にチューブを湾曲させて使用する場
合、チューブに座屈すること無く均一な可撓性を持たせ
るためにチューブ表面外周に溝を設け、その溝に合わせ
てコイルを巻き付ける手法が用いられている。
【0003】図5はチューブ表面外周に螺旋状の溝を形
成する従来の加工装置を示すもので、丸棒心材(以下心
材という)1を挿入したチューブ2を保持するチャック
3を有した回転装置4、溝付け用の線材6を繰り出す線
材供給装置20、チャック3と同軸に配置したセンタ押
し台5が設けられている。線材供給装置20には繰り出
す線材6を案内するワイヤガイド21が設けられ、チャ
ック3には線材供給装置20から繰り出した線材6の先
端を固定する止めネジ7が設けられている。10はチュ
ーブ加熱用のヒータである。
【0004】上記加工装置によりチューブ2の表面外周
に溝付け加工を施す場合、まずチューブ2の内腔にその
内径に合う外径の心材1を挿入し、チューブ2をチャッ
ク3で把持するとともに、心材1のもう一端をセンタ押
し台5により回動自在に保持する。ここで線材供給装置
20から線材6を繰り出しワイヤガイド21に通したう
え、その先端を止めネジ7に固定する。この際、図示し
ない機構を用いて、線材6の張力を調整する。この張力
の調整は、チューブ2表面に形成される溝の谷径を決め
るものである。次にチューブ2を回転装置4で回転させ
ながらチューブ2の表面をヒータ10で加熱し、その回
転に比例したピッチ分の速度でワイヤガイド21をチュ
ーブ2のスラスト方向(図中A方向)に送りながら、線
材6をチューブ2に巻き付けていく。このようにしてチ
ューブ2の所定の範囲に線材7を巻き付け終わったら、
回転装置4の回転,ヒータ10による加熱,ワイヤガイ
ド21の送りを停止させ、線材6をワイヤガイド21の
繰り出し口および止めネゾ7付近でそれぞれ切りはず
し、線材6をチューブ2から取り外してチューブ表面に
溝を形成する加工を終了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の加工方
法および装置では加工が終了する毎に線材6を切断し、
チューブ2から線材6を取り外した後、再び線材6を線
材供給装置20から引出してワイヤガイド21に通し、
その先端を止めネジ7に固定した上で張力の調整を行う
という、非常に手間のかかる工程をふまなければ次の加
工に移ることができず大変不便であった。
【0006】本発明は従来技術の問題点に鑑みてなされ
たもので、加工毎に線材6をセットし直す工程を省くこ
とが可能な熱可塑性樹脂チューブ表面溝付け加工方法お
よび装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、回動自在なチャックにより保持した熱可
塑性樹脂チューブの表面をヒータで加熱しながら上記チ
ューブを回転して線材を巻き付け、その線材によって上
記チューブの表面外周に螺旋状溝を形成する熱可塑性樹
脂チューブ表面溝付け加工方法において、上記線材を線
材供給・排出機構から引き出しつつ上記チューブに巻き
付け、所定量の線材を上記チューブに巻き終えた後、上
記線材供給・排出機構に線材を引き戻すことにした。
【0008】また、本発明は、回転自在なチャックによ
り保持した熱可塑性樹脂チューブの表面をヒータで加熱
しながら回転して線材を巻き付け、この線材によって上
記チューブの表面外周に螺旋状溝を形成する熱可塑性樹
脂チューブ表面溝付け加工装置において、上記線材を上
記チューブに供給するとともに上記チューブから線材を
排出する機構部と上記チューブに上記線材を誘導するた
めのガイド機構部とからなる線材供給・排出機構を上記
チューブの長手方向に移動自在なテーブル上に設けて構
成した。
【0009】
【作用】上記構成の加工方法および装置によれば、チュ
ーブ表面に螺旋状溝を形成するため線材供給・排出機構
から引き出されてチューブに巻き付けられた線材は、溝
付け加工の終了した後、線材供給・排出機構に引き戻さ
れる。そして、次のチューブの溝付け加工際に、引き戻
されていた線材を再び線材供給・排出機構から引き出し
てチューブの表面に巻き付ける。
【0010】
【実施例1】図1は本発明の実施例1の加工装置を示す
構成図である。本実施例の加工装置には、その内腔に合
い外径の丸棒心材1を挿通したチューブ2を把持するチ
ャック3を有する速度可変の回転装置4が設けられてい
る。このチャック3の対向位置には、チャック3で保持
したチューブ2の心材1の端部を回動自在に保持するセ
ンタ押台5がチャック3と同軸に設けられている。また
チャック3には溝形成用線材(以下線材とする)6を保
持するための止め具7が設置されている。チャック3と
センタ押台5の間には、チューブ2の長手方向に図示さ
れない駆動装置によって、チューブ2の長手方向に設置
したレール8上をチューブ2の回転に同期したピッチの
速度で移動可能なテーブル9が設けられている。
【0011】テーブル9には、チューブ2の表面を加熱
するためのヒータ10および線材供給・排出機構が載設
されている。線材供給・排出機構はトルクモータ11に
より一定のトルクで正逆転が可能で線材6を供給しかつ
巻き取るためのリール12およびリール12から繰り出
した線材6をチューブ2に案内するためのガイド13に
より構成されている。
【0012】次に、上記加工装置を用いた加工方法を加
工工程に従って作用とともに説明する。 1) 回動自在な状態のリール12から線材6をガイド
13を介して引出し、その先端をチャック3に設けた止
め具7に固定する。 2) 所定の長さに切断したチューブ2にその径および
長さが見合う心材1を挿通し、チューブ2の一端をチャ
ック3で把持するとともに、チャック3と反対側の心材
1の端面をセンタ押台5により回動自在に保持する。 3) チューブ2を回転装置4で正転させながら、チュ
ーブ2の表面をヒータ10で所定の温度に加熱し、回転
に同期したピッチの速度でテーブル9をチューブ2の長
手方向でセンタ押台5側に送りながら、線材6をチュー
ブ2に巻き付けていく。この時線材6は希望する溝の谷
径が得られるような適度な張力をトルクモータ11によ
り与えられながら、リール12から繰り出されていく。
そして、ヒータ10により表面が軟化されたチューブ2
には、巻き付けられる線材6によって表面外周に螺旋状
溝が形成されていく。
【0013】4) 所定の範囲に線材6を巻き付ける作
業が終了した後、チューブ2の回転と、テーブル9の送
りと、リール12の回転およびヒータ10の送風を停止
する。 5) チューブ2が冷却されるのに十分な時間をおいた
後、チューブ2の回転装置4を逆転させ、かつ図示を省
略した駆動装置によりテーブル9をチューブ2の回転に
比例した速度でチューブ2の長手方向でチャック3側へ
移動させる。これと同時にトルクモータ11によりリー
ル12を巻取り方向に回転させ、チューブ2に巻き付け
た線材6をリール12に巻き取っていく。 6) このようにしてチューブ2に巻き付けた線材6を
リール12に全て巻き取った後、回転装置4と、テーブ
ル9の送りおよびリール12の回転を停止させる。 7) チューブ2をチャック3およびセンタ押台5より
取り外して加工を終了する。図2に本加工方法および装
置により作製した、表面外周に螺旋状溝14を有するチ
ューブ2aのサンプルを示す。 8) 以後上記2)へ戻り、次の加工を行う。
【0014】本実施例によれば、チューブ2の表面に溝
を形成する線材6をリール12から繰り出し、かつ繰り
出した線材6をリールに巻き取るようにしたので、溝付
け加工の際にチューブ2に巻き付けた線材6を切断する
ことなく次のチューブ2の加工に移ることが可能にな
り、従来技術のように切断した線材6の代わりに新たな
線材6を付け換える段取り工数を省くことが可能となる
上、自動連続運転にも対応しやすくなる。また線材6を
繰り返して使用するため、線材6の消費量を大幅に軽減
することが可能となる。
【0015】
【実施例2】図3は本発明の実施例2の加工装置を示す
構成図である。本実施例の加工装置は、実施例1におけ
るガイド13およびリール12からなる線材供給・排出
機構の構成を、線材ガイドヘッド15および重り16に
変更して構成した点に特徴を有する。その他の構成は実
施例1と同様である。線材ガイドヘッド15はテーブル
9上に載設されており、線材6は線材ガイドヘッド15
を介してその一端が止め具7に保持されるようになって
いる。線材6の他端には重り16が取り付けられ、線材
6に張力を付与している。
【0016】次に、上記加工装置を用いた加工方法を加
工工程に従って作用とともに説明する。 1) 線材ガイドヘッド5を介して線材6の一端を止め
具7で保持する。 2) 線材6の他端には、所望の溝径を得られる張力が
線材6にかけられるよう重り16を取り付ける。加工さ
れる溝の谷径はこの張力によって調整される。 3) 実施例1と同様にチューブ2を回転装置4により
正転させながらチューブ2の表面を所定の温度に加熱
し、その回転に同期したピッチの速度でテーブル9をチ
ューブ2の長手方向でセンタ押台5側に送り、線材6に
よる溝付け加工を開始する。
【0017】4) 所定の範囲に線材6を巻き付ける作
業が終了した後、チューブ2の回転と、テーブル9の送
りおよびヒータ10の送風を停止する。 5) チューブ2を逆転させ、かつ図示を省略した駆動
装置によりテーブル9をチューブ2の長手方向でチャッ
ク3側へ移動させつつ重り16の作用によって線材6を
チューブ2から外していく。 6) このようにしてチューブ2に巻き付けた線材6を
線材供給・排出機構にほどき出した後、チューブ2の回
転およびテーブル9の送りを停止させる。 7) 溝付け加工が完了したチューブ2をチャック3お
よびセンタ押台5から取り外す。 8) 以後次に加工するチューブ2をセットし、上記
3)に戻り次のチューブ2の加工を行う。
【0018】本実施例によれば、上記実施例1の効果に
加えて、テーブル9に載設する部材を減少させて加工装
置の簡素化を図ることができるとともに、重り16の重
量によって所望の溝径が得られるため溝付け加工が簡単
になる。
【0019】
【実施例3】図4に本発明の実施例3の加工装置を示す
構成図である。本実施例の加工装置は、線材供給・排出
機構が上記実施例2の線材供給・排出機構に線材固定ヘ
ッド17および滑車18を加えて構成されている点に特
徴を有する。線材固定ヘッド17はテーブル9上に載設
され、この線材固定ヘッド17には、線材ガイドヘッド
15を介して一端を止め具7で保持した線材6の他端が
保持されている。滑車18は、線材ガイドヘッド15と
線材固定ヘッド17の間で線材6に懸吊されており、こ
の滑車18には線材6に張力を付与する重り16が取り
付けられている。その他の構成は実施例1と同様であ
る。
【0020】次に、上記加工装置を用いた加工方法を加
工工程に従って作用とともに説明する。 1) 線材6の一端を線材固定ヘッド17で保持する。 2) 線材6のもう一端を線材ガイドヘッド14を介し
た上で止め具7で保持する。 3) 線材ガイドヘッド14と線材固定ヘッド17の間
で、線材6に滑車17を懸吊させる。 4) 所望の溝径が得られる張力が線材6にかけられる
よう滑車18に重り15を取り付ける。加工される溝の
谷径はこの張力によって調整される。 5) 実施例2と同様にして加工を開始しチューブ2に
溝を形成する。このとき、線材6がチューブ2に巻き付
けられるに従い、滑車18は上昇して行く。 6) 加工終了後、チューブ2の回転とテーブル9の送
りおよびヒータの送風を停止し、チューブ2を逆転させ
巻き付けられた線材6を線材供給・排出機構にほどき出
すに従い、滑車18は下降していき、線材6がチューブ
2から取り外される。それ以後は実施例2と同様であ
る。
【0021】上記実施例2に示した加工装置では長尺の
チューブ2の加工や、ピッチの細かい溝の加工および狭
幅溝の加工等、すなわち長い線材6を必要とする加工の
際、重り16が床に接地してしまい、重り16により線
材6に張力をかけることが不可能となる。これに対し、
本実施例によれば滑車18を設けることにより垂れ下が
る重り6とテーブル9間の距離を、実施例2に示す構成
と比較して約半分にすることができるため、長い線材6
を必要とする加工が対応可能となる。また、さらに滑車
18の数を増やせば、より長い線材6が必要となる加工
にも対応可能となる。その他の効果は実施例1,2と同
様である。
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、チュー
ブの加工毎に溝付け用線材をセットし直す工程がなくな
り、従来技術による加工と比較して、溝付け用線材の交
換を自動化した加工が可能となる。さらに同一の線材を
繰り返して使用できるため、線材の節約が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の加工装置を示す構成図であ
る。
【図2】本発明の各実施例による加工サンプルを示す断
面図である。
【図3】本発明の実施例2の加工装置を示す構成図であ
る。
【図4】本発明の実施例3の加工装置を示す構成図であ
る。
【図5】従来の加工装置を示す構成図である。
【符号の説明】
2 熱可塑性樹脂チューブ 3 チャック 4 回転装置 6 線材 9 テーブル 10 ヒータ 12 リール 13 ガイド 14 螺旋状溝 15 線材ガイドヘッド 16 重り 17 線材固定ヘッド 18 滑車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−347(JP,A) 特開 平5−285092(JP,A) 特許2966559(JP,B2) 特許3290739(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B29C 59/02 A61B 1/00 310 A61B 1/00 334

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回動自在なチャックにより保持した熱可
    塑性樹脂チューブの表面をヒータで加熱しながら上記チ
    ューブを回転して線材を巻き付け、その線材によって上
    記チューブの表面外周に螺旋状溝を形成する熱可塑性樹
    脂チューブ表面溝付け加工方法において、上記線材を線
    材供給・排出機構から引き出しつつ上記チューブに巻き
    付け、所定量の線材を上記チューブに巻き終えた後、上
    記線材供給・排出機構に線材を引き戻すことを特徴とす
    る熱可塑性樹脂チューブ表面溝付け加工方法。
  2. 【請求項2】 回転自在なチャックにより保持した熱可
    塑性樹脂チューブの表面をヒータで加熱しながら回転し
    て線材を巻き付け、この線材によって上記チューブの表
    面外周に螺旋状溝を形成する熱可塑性樹脂チューブ表面
    溝付け加工装置において、上記線材を上記チューブに供
    給するとともに上記チューブから線材を排出する機構部
    と上記チューブに上記線材を誘導するためのガイド機構
    部とからなる線材供給・排出機構を上記チューブの長手
    方向に移動自在なテーブル上に設けたことを特徴とする
    熱可塑性樹脂チューブ表面溝付け加工装置。
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