JP3462949B2 - 負電荷酸素原子発生方法 - Google Patents

負電荷酸素原子発生方法

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JP3462949B2
JP3462949B2 JP35449295A JP35449295A JP3462949B2 JP 3462949 B2 JP3462949 B2 JP 3462949B2 JP 35449295 A JP35449295 A JP 35449295A JP 35449295 A JP35449295 A JP 35449295A JP 3462949 B2 JP3462949 B2 JP 3462949B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は負電荷酸素原子を
気相状態で発生させる負電荷酸素原子発生方法に関す
る。本発明負電荷酸素原子発生方法、大気圧で安定
な放電を発生させる大気圧放電発生方法に利用しうる
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、負電荷酸素原子(O- を意味す
る)を発生させる方法は、通常、放電などによって発生
させた酸素原子に低エネルギー電子を付着させてO-
する方法が知られている。しかし、この方法では、高真
空の維持や放電あるいは電子銃を使用するため、高エネ
ルギーが必要であるという欠点がある。
【0003】また近年、負電荷酸素原子の新規な発生方
法として、酸素ガス中で放電させてオゾンを発生させ、
そのオゾンに紫外光を照射し、発生した酸素原子に低エ
ネルギー電子を付着させてO- を生成させる方法が提案
されている(特開昭62−237733号公報)。この
方法では、真空チャンバーと放電装置を備え、そこに紫
外光を照射できるよう窓が設けられ、さらには低エネル
ギー電子銃が設置されている。しかし、この発生装置
は、構造が複雑でかつ、放電エネルギーや電子銃のため
の高エネルギーを必要とし、放電を得るためには高真空
が必要なためランニングコストが非常に高くつくもので
ある。
【0004】一方、従来より金属酸化物表面を熱的ある
いは化学的に還元しておき、そこに一酸化二窒素を導入
してO- を金属酸化物上で生成させる方法も知られてい
る。具体的には、一酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミ
ナ、酸化マグネシウムなどの金属酸化物を熱的あるいは
化学的に還元状態にし、そこに一酸化二窒素を導入する
事によってN2 O→O- の過程によりO- が発生するも
のである(有機化学合成、第40巻8号1982)。
【0005】しかし、この方法では、O- の発生状態は
金属酸化物表面であるため、反応基質との反応場は、金
属酸化物表面に限られる。そのため、O- と反応基質と
の反応は金属酸化物状態に依存し、目的酸化物を得るた
めには、その目的にあった金属酸化物を選択しなくては
ならない。また、一酸化二窒素ガスは毒性ガス(笑気性
ガス)であるため、操作性に問題がある。
【0006】一方、従来より、大気圧以上の気圧下でグ
ロー放電を発生させる目的で、各種の方法、装置が開発
されている。
【0007】例えば、特開平5−275191号公報に
は、導電体の電極を同心円筒状に配し、該電極の隙間に
高誘電率を有する円筒状絶縁体を同心円状に、かつ外側
電極に接するように挿入し、該絶縁体の隙間に希ガスを
主体とする気体を大気圧状態で送流状態に保持し、前記
電極間に交流電界を印加して希ガスを主体とする気体を
電離することにより、プラズマを発生させる大気圧放電
方法が開示されている。
【0008】また、特開平4−168281号公報に
は、高圧電極と接地電極間に形成される放電空間内ある
いは接地電極側に被成膜材を配置して、前記電極間に高
電圧を印加して大気圧近傍でグロー放電あるいは無声放
電する放電空隙に、成膜種に応じたモノマー気体あるい
は処理に応じたプラズマ用気体と不活性ガスからなる反
応ガスを導入して成膜する大気圧グロープラズマ放電装
置において、高圧電極と接地電極の少なくとも一方を導
電性網電極で構成し、当該網電極の外側より放電空間に
反応ガスを供給することを特徴とする大気圧グロープラ
ズマ装置が開示されている。
【0009】しかしながら、これらの放電方法や装置に
は、いずれも高周波高電圧を供給するための装置が必要
であり、更に誘電体と電極のいずれもが複雑な構造であ
るか、また大気圧下でのグロー放電を安定化させるため
に、放電電極に複雑な工夫がなされている。従って、コ
ストや装置の複雑化・大型化などの点で問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、放電
設備、高真空設備及び電子イオン銃などの複雑で高価な
設備や特殊な気体を必要とせず、貴金属電極を用いて低
電圧を印加するだけで負電荷酸素原子(O- )を簡易に
発生させることができる負電荷酸素原子発生方法および
その装置を提供することにある。
【0011】また、本発明の他の目的は、かかる負電荷
酸素原子発生方法を利用することにより、上述したよう
な放電のための高価な付帯設備や、複雑な電極を作製し
ないで大気圧放電が可能な、大気圧放電発生方法及びそ
の装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】 即ち、本発明の要旨は
の電極aとしその金属表面に吸着酸素を有する貴
金属からなる電極を用い、該電極aと間隙を隔てて設置
されている電極bを正極とし、前記貴金属の温度を20
0〜800℃に調節しながら、両電極間に電圧を印加
し、両電極間の空間で負電荷酸素原子(O - )を発生さ
せることを特徴とする負電荷酸素原子発生方法に関す
る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の負電荷酸素原子発生装置について説明す
る。本発明の負電荷酸素原子発生装置は、貴金属よりな
る負の電極aとそれと間隙を隔てて設置されている正の
電極b、および該電極間に電圧を印加する電圧印加手段
とから構成され、該電圧の印加により電極a上の酸素種
を負電荷酸素原子として電極aから電極bの方向に発生
させることを特徴とするものである。
【0014】貴金属は金属上に酸素種を存在させるもの
であれば、特に限定されないが、好ましくは、銀、白
金、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、イリジウム、
オスミウムなどが挙げられる。
【0015】貴金属よりなる電極aの形状は特に限定さ
れないが、貴金属板を用いる以外に、ガラスフィルター
あるいは多孔質アルミナ等の支持体上に貴金属ペースト
を塗布し、貴金属を焼成させ電極とすることも考えられ
る。また、スパッタリング法あるいは真空蒸着法により
支持体表面を被覆する方法や金属メッシュを支持体表面
に接着させる方法でもよい。
【0016】電極の厚さは、特に限定されることなく、
被覆電極の場合は0.1〜50μmが好ましく、さらに
好ましくは0.5〜10μmになるように電極を作製す
る。本発明では、電極a及びその支持体を多孔構造とし
て形成し、該多孔構造を介して電極a上に酸素を供給す
ることが、最初から電極a上に存在する酸素種がすべて
消費されて負電荷酸素原子の発生が停止することがな
く、連続して発生可能な観点より好ましい。多孔性の支
持体としては、多孔質ガラス(例えばコーニングジャパ
ン(株)製のバイコールガラス)、多孔質セラミックス
等が好ましく、多孔性の電極としては、支持体上に貴金
属ペーストを塗布し、貴金属を焼成させて電極としたも
のが好ましい。
【0017】貴金属電極a側空間に設けられた電極b
は、電極材として十分な導電性のあるもので、例えば、
金、白金、銀、銅、鉄、アルミニウム、ニッケル、亜
鉛、鉛等の金属類、2種以上の金属からなる合金類、あ
るいは炭素等が挙げられる。また、その電極は、線状、
棒状、板状のもの、電極材をペースト状にして固体表面
に塗布する方法、あるいはスパッタリング法や真空蒸着
法により固体表面に被覆する方法、金属メッシュなどを
用いても良い。
【0018】電圧印加手段としては、直流電圧が印加で
きるものであれば特に限定されることなく、通常公知の
装置が用いられる。具体的には、通常用いられる直流安
定化電源、あるいは市販されている乾電池などで良い。
【0019】電極aと、空間電極との距離は、通常0.
1〜50cm、好ましくは0.3〜10cmである。
0.1cmより小さいと負電荷酸素原子の反応等に利用
するのに不便な場合があり、50cmより大きいと、印
加電圧を高圧にしなければならないため装置が高価にな
る傾向がある。
【0020】本発明では、電極aの温度を上昇させて負
電荷酸素原子の生成速度を上げるため、温度制御手段を
更に設けることが好ましい。かかる温度制御手段として
は、温度制御器によって任意の温度に保持できるような
加熱器等が用いられ、貴金属よりなる電極aを加熱でき
るように設置される。
【0021】本発明では、大気圧下の空気中でも負電荷
酸素原子を発生させることができるが、負電荷酸素原子
の発生側の酸素濃度を小さくして負電荷酸素原子の発生
量を多くすべく、電極や支持体で仕切られた空間のうち
電極b側を閉鎖系として、該閉鎖系空間を減圧する減圧
手段を更に設けることが好ましい。このとき減圧手段と
しては、通常公知のものが用いられ、例えば真空ポンプ
等が用いられる。
【0022】貴金属電極a表面から電極bに印加するこ
とによって電極ab間に移動拡散したO- は、そのまま
反応基質との反応に用いられたり、あるいはまたキャリ
アガスによって目的とする反応基質の存在するところに
運ばれる。用いるキャリアガスとしては、窒素、ヘリウ
ム、アルゴン等の不活性ガス、空気あるいは反応基質以
外のガスであればキャリアガスに用いることができる。
これらのキャリアガスは、高圧ガスボンベで供給する方
法、エアーポンプ、コンプレッサー等で供給する方法が
ある。従って、本発明の負電荷酸素原子発生装置は、キ
ャリアガスの供給手段を有していてもよい。
【0023】次に本発明の負電荷酸素原子の発生方法に
ついて説明する。本発明の方法は、前述の本発明の装置
を用いて好適に行うことができる。即ち、本発明の方法
は、貴金属を負の電極aとし、それと間隙を隔てて設置
されている電極bを正極として電圧を印加する事によ
り、電極a上の酸素種を負電荷酸素原子として電極aか
ら電極bの方向に発生させることを特徴とするものであ
る。なお、後述の機構により負電荷酸素原子以外の活性
酸素種も生成していると考えられる。
【0024】本発明では、電極aに酸素が供給されても
よいが、その供給方法としては、大気中に電極を露出さ
せる方法でも十分であるが、例えば、酸素あるいは空気
等の酸素混合物の高圧ガスボンベで供給する方法、エア
ーポンプ、エアーコンプレッサーで供給する方法を用い
てもよい。
【0025】前述した装置を用いて、負電荷酸素原子を
含有する活性酸素生成温度、すなわち貴金属の温度は、
用いる貴金属によって使い分けるが、好ましくは200
〜800℃、より好ましくは300〜500℃に設定す
る。
【0026】生成する負電荷酸素原子を含む活性酸素種
量は、電極ab間に印加する電圧で調節する。つまり、
活性酸素種生成側に+の電圧を印加するほど活性酸素種
量は多く生成させることが可能となる。印加する電圧と
しては、通常1V/cm以上、好ましくは10V/cm
以上である。
【0027】以上のように本発明では、従来のように特
殊ガスや放電設備、高真空設備、電子銃などを用いずに
負電荷酸素原子を気相で得ることができる。
【0028】本発明において、負電荷酸素原子の発生場
が、大気圧下の空気中である場合が、その利用の便利
さ、設備の簡便さなどの産業上の利用性等の観点から好
ましい。
【0029】本発明は、大気圧で安定な放電を発生させ
る大気圧放電に利用できる他、発生した負電荷酸素原子
はイチゴのカビ防止、マグロの鮮度維持など、食品の鮮
度保持等の効果があり、また人体に良好な影響を与える
ことが認められて空気洗浄器等にも用いることができ
る。本発明において発生した負電荷酸素原子を食品鮮度
保持等に用いるには、例えば発生した負電荷酸素原子を
ヘリウムガス等に同伴させ、被処理物が入った容器に導
入するなどすればよい。具体的には容器内に予め鮮度保
持のための食品を入れ、当該ガスが均一に接触するよう
にガスを供給する。このとき処理時間は、被処理物の量
に応じて適宜調製すればよい。
【0030】本発明において、貴金属表面から生成する
負電荷酸素の生成機構は、以下のように考えられる。金
属表面の吸着酸素(本発明ではこれらを総称して「酸素
種」という)は、O2 ⇔O2 - ⇔2O- ⇔2O2-との平
衡関係があるとされ、ESRスペクトル解析などにより
前述の関係が説明されている(岩本正和、有機合成化
学、第40巻8号(1982))。さらに、貴金属電極
を負電極とすることにより、金属表面を電子で満たすこ
とができる。すなわち、前述した吸着酸素の平衡関係が
ずれることとなる。また、空間電極に正電荷を印加する
ことによっても、貴金属表面の吸着酸素と金属間に電子
の分極がおこり、金属と吸着酸素の電子結合状態が、非
結合性軌道に移ることとなる。よって、非結合性軌道に
移った吸着酸素、すなわち負電荷酸素は、空間電極の正
電位に引かれて空間に移動拡散すると考えられる。
【0031】なお上述の方法によって発生した負電荷酸
素原子の存在は、図1に示すような測定システムにおけ
る四重極質量分析器によって確認された。測定に用いた
四重極質量分析計は、日本真空社製、MSQ−200を
負電荷イオン測定用に設定したものである。負電荷イオ
ン測定のため、イオン検出部(二次電子増倍管=SE
M)を正電位(4KV)に設定し、負イオンのみを検出
できるようにした。
【0032】貴金属電極aと電極b間に電圧を印加する
事によって発生する物質は、印加電圧によって加速され
四重極に取り込まれる。四重極に導入された負電荷物質
は、質量選択され、検出器に到達する。到達した負電荷
イオンはSEMによって増幅され、高電圧直流分をカッ
トした後、パルス測定システムに電流として取り込まれ
る。パルス測定システムでは、オシロスコープ32に
て、入力パルスに対し、トリガーをかけ、そのトリガー
を電圧として周波数測定器31に出力する。周波数測定
器によってトリガー周波数を観測し、四重極によって選
択された質量数に応じた周波数としてパソコン33にて
データを蓄積する。
【0033】以上のような負電荷酸素原子の発生は、広
義には放電現象としてとらえることもできるが、狭義の
放電現象は気体等に対して高電圧を印加したときに、電
子なだれのような中性原子もしくは分子の電離現象によ
って荷電粒子及び電子を急激に増殖して大きな電流を生
じる現象であり、両者は全く同一ではない。
【0034】しかしながら、本発明の負電荷酸素原子発
生方法において、電極bと電極aの間の空間に、必要に
より希ガスを存在させつつ、電極に印加する電圧を
より高める(例えば直流電圧で1000V/cm以上)
ことにより、上記のような狭義の放電現象を引き起こす
ことができる。つまり、本発明において、大気圧放電に
好適な態様とすることにより、本発明の他の目的であ
る、放電のための高価な付帯設備や、複雑な電極を作製
しないで大気圧放電が可能な、大気圧放電発生方法及び
その装置を提供することができる。以下、本発明の負電
荷酸素原子発生方法において、大気圧放電に好適な態様
について順に説明する。
【0035】本発明では、貴金属を負の電極aとし、そ
れと間隙を隔てて設置されている電極bを正極として電
圧を印加する際に、印加する電圧を1000V/cm以
上として、発生した負電荷酸素原子により大気圧下で放
電を発生させることができる。
【0036】加熱器と温度制御器により任意の温度に設
定する場合、その設定温度は、用いる電極aの種類等に
合わせて設定するが、好ましくは100〜600℃、よ
り好ましくは200〜400℃に設定する。大気圧放電
では、高電圧をかける為、低温で電子が飛び出し、電子
なだれ現象が起るので電極aの温度を低目に設定でき
る。
【0037】ガス体流通状態、及び電極aの温度が定常
になったところで、両電極間に任意の電圧を印加するこ
とによって放電が開始する。このとき放電開始電圧は、
電極間距離や用いるガス体の種類によって異なるが、良
好な放電状態を得るためには、好ましくは1000V/
cm以上、より好ましくは1200〜2000V/cm
の直流電圧を印加すればよい。
【0038】本発明における大気圧放電の機構は、次の
ように考えられている。本発明では電極a上で負電荷酸
素原子が発生し、電極間に電圧を印加する事によって加
速されたガス体中の正電荷物あるいは電子が、その負電
荷酸素原子と衝突し、その際に電子をより多く電極間
(放電発生場)に放出し、その電子が印加電圧によって
さらに加速されガス体に衝突するため、大気圧下におい
て放電が開始され、安定な放電が得られる。
【0039】即ち、本発明における大気圧放電の機構
は、電極からの電子の放出のし易さによるものであり、
当該電子の放出のし易さと放電条件の関係を併せて、以
下にその詳細を説明する。
【0040】本発明では、前述のような機構で負電荷酸
素原子が電極表面上に生成し、電圧が印加される事によ
りガス体中のイオン(例えばHe+ ) が加速され、負電
極である電極a表面に衝突する。その際に、電極表面に
吸着している負電荷酸素原子が衝突によって電子を放出
し、次いで電子が印加電圧によってさらに加速されガス
体に衝突することによって、ガス体が安定な放電状態に
移行する。
【0041】一般に、放電が生じる条件として、全電流
密度をJとしたとき、Jが無限大(J→∞)となること
をもって火花放電の条件としたタウンゼントの火花条件
が知られている。これを数式で表すと、
【0042】
【数1】
【0043】となる。即ち、eq−1の分母がゼロにな
ることが、Jが無限大になる条件であり、即ち、
【0044】
【数2】
【0045】の条件を満たすことがJが無限大になるた
めに必要となる。ここでαは、衝突電離係数、即ち電子
が電界方向に移動する間に電子1個が衝突により気体分
子を電離する平均回数を表し、γは二次電子放出係数、
即ち1個のイオンあるいは電子が陰極にあたって出す二
次電子の数を表し、Lは放電空間の距離を表している。
【0046】電極間で加速されたガス体中に存在するイ
オンあるいは電子が、電極上に吸着している負電荷酸素
原子に衝突することによって、多量の電子を放出するた
め、上述式のγが大きくなる。従って、通常αがほとん
ど0に近いので上記の条件を満たしやすくなるため、大
気圧下において放電が開始され、定常状態では安定な放
電が得られる。
【0047】即ち、以上のような放電現象は、上記の条
件を満たすことにより電流量が不連続的に増加する現象
であり、本発明の負電荷酸素原子発生方法において、空
間電極に印加する電圧をより高めることにより引き起こ
すことができる。従って、本発明における負電荷酸素原
子の発生と大気圧放電の発生の相違は、上記の条件を満
たすか否かで決まるものであり、電流量を測定すること
により容易に確認することができる。
【0048】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定
されるものではない。
【0049】実施例1 図2は、図1の装置の負電荷酸素発生場の周辺の部分縦
断面図を示すものである。1は、外径18mm、内径1
4mmの石英管である。2はペースト状の白金(田中貴
金属(株)製)を筆塗りして作製された白金電極(厚さ
約5μm)である。3は負電荷酸素原子の発生場で、4
は電極a側空間に、電極表面から1cmのところに設置
されたステンレス製の電極bである。電極bの中央に
は、負電荷イオンを通過させるための5mmの穴が設け
られている。5は電極ab間に電位を印加するための直
流電源である。なお図1における6は、負電荷イオンを
測定できるように改造された四重極質量分析器であり、
7の真空ポンプにつながれており、系内を10-5Torrま
での減圧に設定できる。系内の真空度は8の電離真空計
にて測定できる。9は白金表面を加熱するために設けら
れたヒーター及び温度制御器である。
【0050】この装置で、実際に生成する負電荷酸素原
子を測定するため、次のような操作を行った。あらかじ
めヒーターを500℃に設定し、真空ポンプにて系内を
真空引きし、真空計にて10-5Torrを確認した。次に、
白金電極を負電位とし、質量分析器をグランドとした空
間電極間に直流電源5によって100Vを印加した。
【0051】質量分析器のイオン検出器に正電位4KV
を加え、さらに質量制御器にて質量数(M.N.)を1
〜40までを変化させ、パルス測定系にて検出器から出
力されるパルス数を計測した。計測結果を図3に示し
た。質量数16のところにシグナルが観測され、白金金
属表面から負電荷酸素原子(O- )が生成していること
が確認された。
【0052】実施例2 実施例1において、白金電極をペースト状の銀(日本エ
ンゲルハルト(株)製)を筆塗りして作製された銀電極
(厚さ約5μm)に代え、かつヒーター温度を500℃
から470℃に変えること以外は実施例1と同様にして
負電荷酸素原子(O- )を生成させ、同様にパルス数を
計測した。その結果を図4に示すが、質量数16のとこ
ろにシグナルが観測され、白金金属表面から負電荷酸素
原子(O- )が生成していることが確認された。
【0053】実施例3 実施例1において、石英管上に設けた白金電極を、円筒
型多孔質ガラス(平均孔径2nm、バイコールガラス、
コーニングジャパン(株)製、長さ300mm,外径1
7mm,内径14mm)の外側表面に銀ペースト(日本
エンゲルハルト社製)を塗布し、650℃で1時間焼成
処理を行ったものに代え、ヒーター温度を500℃から
470℃に変え、操作圧力を10-5Torrから5×10-5
Torrに変えること以外は実施例1と同様にして負電荷酸
素原子(O- )を生成させ、同様にパルス数を計測し
た。その結果、質量数16のところにシグナルが観測さ
れ、白金金属表面から負電荷酸素原子(O- )が生成し
ていることが確認された。
【0054】実施例4 図5は、本実施例において用いられた大気圧放電のため
の負電荷酸素原子発生装置の縦断面図を示すものであ
る。円筒型の多孔質ガラス管11(平均孔径2nm、バ
イコールガラス、コーニングジャパン(株)製、長さ3
00mm,外径17mm,内径14mm)の外側表面に
銀ペースト(日本エンゲルハルト社製)を塗布し、65
0℃で1時間焼成処理を行い、作成した電極a12を負
電極とした。さらに、石英管19(長さ150mm,外
径25mm,内径22mm)内側に銀ペーストを塗布
し、650℃で1時間焼成処理を行い、作成した電極b
18を正電極とした。こうして出来た電極を、一定間隙
を保つよう設置し、両極間に電位差をかけられるよう設
定した。
【0055】得られた両電極間に、流量調節されたヘリ
ウムガス800cc/minを流しつつ、石英管19の
外側を、温度調節器と一体型になった伝熱炉で覆い、温
度を400℃に設定した。また、温度が設定温度になっ
たところで、両電極間に800Vを印加した。あらかじ
め両電極間に生じる電流を測定するため設置された電流
計20によって、印加時に生じる電流を観測したが、電
流計は、5mAを示した。このとき放電観察窓22を通
して5mAの電流が観測されている際の発光を、分光計
23にて観測を行った。結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】実施例5 実施例4において、ヘリウムガス800cc/minを
流す代わりに、空気800cc/minを流し、印加電
圧を1200Vに変える以外は実施例4と同様にして放
電を行い、その時の電流測定を行った。その結果、電流
計は、1mAを示した。また、放電窓を通して1mAの
電流が観測されている際の発光を、分光計にて観測を行
った。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】実施例6 石英管(長さ250mm,外径25mm,内径23m
m)の中央部に0.03mmの穴を開け、石英管の内側
に金ペースト(日本金液社製)を用い金電極を作製し
た。石英管の外側は、シース付きヒーターを巻き付け、
石英管の加熱器とした。バイコールガラス(長さ400
mm,外径17mm,内径13mm)の外側に銀ペース
ト(日本エンゲルハルト社製)を用い銀電極を作製し
た。これらの円管を図1と同様なQ−MASS装置に設
置した。石英管とバイコールガラス管内に空気供給装置
により100cc/minの空気を流しながら、Q−M
ASS装置の真空度を5×10-5torrを保った。石
英管及びバイコールガラスをヒーターによって設定温度
400℃とした。負電荷酸素原子の発生を開始させるた
め、石英管内側の電極bとバイコールガラスの電極a間
にDC250Vを印加し、電流計によって両電極間に生
じた電流100nAを確認した。電流が確認された後、
Q−MASS内に移動拡散した負電荷物質の質量計測を
始める(操作法は実施例1と同様)。計測によって得ら
れたMASSスペクトルを図6に示した。図6から、負
電荷を持つ質量数16の物質が確認できた。
【0060】
【発明の効果】本発明によれば、貴金属電極と、電極a
側空間に設けられた電極bに正電荷を印加することによ
って、負電荷酸素原子を簡単に発生させることができ
る。また、本発明ではかかる負電荷酸素原子発生方法を
利用し、大気圧で安定な放電を発生させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の負電荷酸素原子の発生を確認
する測定システムである。
【図2】図2は、図1の装置の負電荷酸素発生場の周辺
の部分縦断面図を示すものである。
【図3】図3は、実施例1(電極aとして白金を使用)
において測定された質量数と負電荷イオンパルス数の関
係を示す図である。
【図4】図4は、実施例2(電極aとして銀を使用)に
おいて測定された質量数と負電荷イオンパルス数の関係
を示す図である。
【図5】図5は、実施例4において用いられた大気圧放
電のための負電荷酸素原子発生装置の縦断面図を示すも
のである。
【図6】図6は、実施例6(電極aとして銀を使用し、
大気圧下の空気中で行う)において測定された質量数と
負電荷イオンパルス数の関係を示す図である。
【符号の説明】
1 石英管 2 電極a 3 負電荷酸素原子発生場 4 空間電極b 5 直流電源 6 四重極質量分析器 7 真空ポンプ 8 電離真空計 9 ヒーター及び温度制御器 11 多孔質ガラス管 12 電極a 13 酸素供給側 14 放電発生場 15 ガス入口 15’ガス出口 16 流量計 17 希ガス源ボンベ 18 電極b 19 石英管 20 電流計 21 直流電源 22 放電場観察窓 23 分光計 24 伝熱炉 25 温度調節器 31 周波数測定器 32 オシロスコープ 33 パソコン 34 高圧電源 35 アイソレーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−248301(JP,A) 特開 平6−248481(JP,A) 特開 平5−238702(JP,A) 特開 平5−82238(JP,A) 特開 平9−110599(JP,A) 特開 平9−87880(JP,A) 特開 平9−99213(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 13/02 C01B 13/11 H01T 23/00

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 負の電極aとしその金属表面に吸着
    酸素を有する貴金属からなる電極を用い、該電極aと間
    隙を隔てて設置されている電極bを正極とし、前記貴金
    属の温度を200〜800℃に調節しながら、両電極間
    電圧を印加し、両電極間の空間で負電荷酸素原子(O
    - )を発生させることを特徴とする負電荷酸素原子発生
    方法。
  2. 【請求項2】 電極aとして、銀、白金、ルテニウム、
    パラジウム、ロジウム、イリジウム、及びオスミウムよ
    りなる群から選ばれる1種以上の貴金属を用いる請求項
    1記載の負電荷酸素原子発生方法。
  3. 【請求項3】 電極a及びその支持体を多孔構造として
    形成し、該多孔構造を介して電極a上に酸素を供給しつ
    つ負電荷酸素原子を発生させる請求項1又は2記載の負
    電荷酸素原子発生方法。
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WO2005056470A1 (ja) * 2003-12-11 2005-06-23 Oxy Japan Company Limited ヒーター一体型負電荷酸素原子発生装置
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