JP3462549B2 - 刃物及びその製造方法 - Google Patents

刃物及びその製造方法

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康弘 有賀
健壽 石川
吉道 及川
敬二 加藤
史彦 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、刃物及びその製造方法
に係り、特に、鋳鉄を用いて製造する刃物及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の刃物は、例えば、ばね鋼,高炭素
鋼,構造用低合金鋼等の所謂「鋼」に属する材料で製造
されており、平鋼や平鋼板から所定の形状に切り出さ
れ、主として熱間鍛造加工などにより成形されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の鋼製
の刃物にあっては、平鋼や平鋼板から所定の形状に切り
出し、更に、熱間鍛造加工などの加工を行なわなければ
ならないので、製造工数が多くなっており、また、切り
出しを行なうことから例えば立体的に複雑な形状に作り
にくく、そのため、コスト高になっているという問題が
あった。
【0004】本発明は上記の問題点に鑑みて為されたも
ので、製造工数を削減するとともに、複雑な形状のもの
を容易に作り出すことができるようにし、コストダウン
を図った刃物及びその製造方法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るための本発明の刃物は、刃物の形状に合わせた鋳型を
用い、鋳造により鋳鉄で形成したものである。
【0006】そして、上記鋳鉄は球状黒鉛鋳鉄であると
ともに、ロックウエル硬さ(HRC)が50以上である
成としている。
【0007】また、このような課題を解決するための本
発明の刃物の製造方法は、刃物の形状に合わせた鋳型を
用い、球状黒鉛鋳鉄で刃物状の一次製品を鋳造し、この
一次製品を800℃〜950℃に加熱し、次に、250
℃〜300℃に一次冷却し、その後、常温に二次冷却し
ロックウエル硬さ(HRC)が50以上である刃物を製
造するものである。また、二次冷却は水浴中にて急冷す
る。
【0008】そして、上記250℃〜300℃の一次冷
却は、スズ浴中で行なう。
【0009】
【作用】上記のように構成された刃物及びその製造方法
によれば、刃物の形状に合わせた鋳型を用い、鋳造によ
り鋳鉄で形成される。そのため、製造工数が少なく、複
雑な形状の刃物等、種々の形状の刃物に対応できる。
【0010】
【実施例】以下添付図面に基づいて、本発明の実施例に
係る刃物及びその製造方法について詳細に説明する。図
1に示すように、実施例に係る刃物は、柄と刃部とが一
体に成型された包丁である。この包丁は、鋳鉄で形成さ
れ、この鋳鉄は球状黒鉛鋳鉄であるとともに、ロックウ
エル硬さ(HRC)が50以上になっている。図2には、
球状黒鉛鋳鉄の成分例を示す。
【0011】次に、図3を用い、本発明の実施例に係る
刃物の製造方法について詳細に説明する。 A.鋳造工程 鋳型としては、例えば、金属を機械加工や鍛造等で成形
したもの、あるいは、砂やセラミックス等の耐火物を成
形したものが用いられる。そして、この鋳型を用い、周
知の処理により上記の成分の球状黒鉛鋳鉄からなる包丁
の一次製品を鋳造する。この一次製品は、パーライト,
フェライト,黒鉛からなる周知の組織状態であり、黒鉛
の球状化率が80%以上で、その粒数が300〜100
0個/mm2 になるように鋳造されている。
【0012】B.熱処理工程 次に、この一次製品を以下の工程により熱処理する。図
4はこの熱処理工程の温度の変化を示すグラフである。 黒鉛塗布工程 一次製品に、澱粉に黒鉛を溶いたもの塗布する。この場
合、澱粉が糊として作用し、黒鉛が良く表面に付着す
る。
【0013】加熱工程 この一次製品を、電気炉,重油炉やコークス炉等に入
れ、800℃〜950℃に加熱する。時間は、例えば、
肉厚が3〜5mmのものについては、15〜30分行な
う。これにより、組織がオーステナイト化される。この
場合、黒鉛は表面に付着したままであり、澱粉は炭素化
する。
【0014】第一冷却工程 次に、この一次製品を250℃〜300℃のスズ(S
n:融点231℃)を溶融したスズ浴中に入れ、急激に
冷却し保持する。この工程においては、所謂オーステン
パ処理が行なわれる。即ち、オーステナイトからベーナ
イトへの変態が必要な割合に応じて行なわれる温度に保
持するところの一種の焼き入れを行なう。保持時間は、
例えば、肉厚が3〜5mmのものについて、5〜30分
行なう。これにより、ベーナイト,残留オーステナイ
ト,僅かの一次マルテンサイト及び黒鉛からなる組織状
態に変化する。また、この場合、黒鉛が表面に付着して
いるので、スズが一次製品の表面に合金化することと付
着する事態が防止される。
【0015】また、この冷却保持は、スズ浴中で行なう
ので、スズは熱伝導度が高いので、冷却の進行を速やか
に行うことができ、そのため、内部まで均一な焼き入れ
が行なわれ、内部まで均一なベーナイト組織が生成され
ていく。即ち、図5に示す一般のオーステンパ処理にお
いては、300〜450℃の塩浴中で行なうが、この塩
浴に比較して、スズは熱伝導度が高いので、速やかに変
態温度に保持でき、全期間に亘って内部応力や変形がほ
とんど生じないようにして、内部まで均一な焼き入れを
行なわせることができるのである。
【0016】第二冷却工程 次に、水冷により一次製品を急冷する。この工程におい
ては、残留オーステナイトのうち不安定なものが、マル
テンサイト(二次マルテンサイト)に変態する。これに
より、ベーナイト,安定な残留オーステナイト,マルテ
ンサイト,黒鉛からなる組織状態に変化する。そして、
ロックウエル硬さ(HRC)が、肉厚が3〜5mmのもの
について、52〜60にさせられる。即ち、図5に示す
一般の熱処理においては、300〜450℃の塩浴処理
後は、空冷により徐冷しているので、二次マルテンサイ
トへの変態が起こりにくく、そのため、ロックウエル硬
さ(HRC)は、50に満たないが、これに比較して、実
施例では水冷により急冷するので、二次マルテンサイト
が明確に出現し、そのため、ロックウエル硬さ(HRC)
50以上を実現できるのである。
【0017】C.研磨工程 その後、研磨して製品に仕上げる。この研磨工程では、
先ず、ショットピーニングにより表面処理をし、付着さ
せた黒鉛を取り除くとともに、表面を滑らかにする。こ
の場合、黒鉛の付着によってスズの合金化が阻止されて
いるので、短時間で容易に表面処理が行なわれる。その
後、刃先を研磨する所謂刃付け研磨を行ない、切れ味を
確保する。
【0018】このように、製造された球状黒鉛鋳鉄の刃
物にあっては、球状黒鉛鋳鉄を素材として、これにオー
ステンパ処理を施すことによって、ロックウエル硬さ
(HRC)を50以上にすることができたので、刃物に要
求される各種の厳しい材料特性を鋳造材に付与すること
ができ、鋼製に比較して遜色のない刃物となる。また、
鋳鋼による場合に比較しても、鋳鋼では鋳込み温度も鋳
鉄より高く、縮み代も大きく、歩留まりも低いので、肉
厚を異にする複雑な形状を製造することには困難を極め
るが、本実施例によれば、種々の形状のものを容易に製
造することができる。
【0019】尚、上記のように、鋳造により、刃物が製
造されるので、上記の形状の包丁に限らず、例えば、図
6に示すように、柄を中空にしたもの、あるいは、図7
に示すように、刃が複雑な形状のもの等、種々の形状の
ものを容易に製造することができる。即ち、刃物の形状
は、上述した形状のものに限らず、どのような形状でも
良いことは勿論である。また、上記実施例では、黒鉛を
塗布してスズの合金化を阻止したが、必ずしもこれに限
定されるものではなく、スズの合金化を容認し、研磨工
程で、この合金化した表面組織を削り取るようにしても
よく、適宜変更して差し支えない。
【0020】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の刃物によ
れば、鋳造により鋳鉄で形成したので、従来の平鋼や平
鋼板から製造する場合に比較して、製造工数を少なくで
き、また、複雑な形状の刃物に容易に製造でき、種々の
形状の刃物に対応できる。そのため、製造コストも大幅
に削減できる。
【0021】また、鋳鉄を球状黒鉛鋳鉄で構成し、ロッ
クウエル硬さ(HRC)を50以上にしたので、刃物に要
求される各種の厳しい材料特性を鋳造材に付与すること
ができ、鋼製に比較して遜色のない刃物とすることがで
きる。
【0022】そして、本発明の刃物の製造方法によれ
ば、刃物を鋳造により鋳鉄で形成したので、従来の平鋼
や平鋼板から製造する場合に比較して、製造工数を少な
くでき、また、複雑な形状の刃物を容易に製造でき、種
々の形状の刃物に対応できるとともに、鋳造した球状黒
鉛鋳鉄製の一次製品を、800℃〜950℃に加熱した
後、250℃〜300℃に一次冷却してオーステナイト
からベーナイトへの変態を行なわせるので、ベーナイ
ト,残留オーステナイト,僅かの一次マルテンサイトと
二次マルテンサイト及び球状黒鉛からなる強固な組織状
態にすることができ、刃物に要求される資質を付与する
ことができる。
【0023】また、一次冷却をスズ浴中で行なうことか
ら、スズは熱伝導度が高いので、冷却の進行を速やかに
行うことができ、そのため、内部まで均一な焼き入れを
行なって、内部まで均一なベーナイト組織を生成するこ
とができ、刃物の品質を向上させることができる。更
に、スズ浴は塩浴と異なって、公害防止装置や設備を必
要としないという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に係る刃物の形状を示す斜視図
である。
【図2】刃物の成分例を示す成分表図である。
【図3】本発明の実施例に係る刃物の製造方法を示す工
程図である。
【図4】本発明の実施例に係る刃物の製造方法における
熱処理工程の温度変化を示すグラフ図である。
【図5】一般的な熱処理工程の温度変化を示すグラフ図
である。
【図6】刃物の形状の別の例を示す斜視図である。
【図7】刃物の形状の他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
A 鋳造工程 B 熱処理工程 黒鉛塗布工程 加熱工程 第一冷却工程 第二冷却工程 C 研磨工程
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 勝負沢 善行 岩手県盛岡市厨川一丁目12−15 (72)発明者 町田 俊一 岩手県盛岡市西松園三丁目21−13 (72)発明者 有賀 康弘 岩手県盛岡市下米内字馬場野4−2 (72)発明者 石川 健壽 岩手県江刺市愛宕字西下川原16の1 (72)発明者 及川 吉道 岩手県水沢市字小石田63番地1 (72)発明者 加藤 敬二 岩手県水沢市佐倉河字東高山245の1 (72)発明者 渡辺 史彦 岩手県水沢市台町1−12 (72)発明者 宮 伸穂 岩手県盛岡市紺屋町2−5 (56)参考文献 特開 昭63−250445(JP,A) 特開 昭60−197841(JP,A) 特開 平5−112817(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 刃物の形状に合わせた鋳型を用い、鋳造
    により鋳鉄で形成した刃物であって、上記鋳鉄は球状黒
    鉛鋳鉄であるとともに、ロックウエル硬さ(HRC)が5
    0以上であることを特徴とする刃物。
  2. 【請求項2】 刃物の形状に合わせた鋳型を用い、球状
    黒鉛鋳鉄で刃物状の一次製品を鋳造し、この一次製品を
    800℃〜950℃に加熱し、次に、スズ浴中で250
    ℃〜300℃に一次冷却し、その後、水冷により二次冷
    却してロックウエル硬さ(HRC)が50以上である刃物
    を製造することを特徴とする刃物の製造方法。
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KR100757105B1 (ko) * 2006-10-17 2007-09-10 변상교 오스템퍼드 닥타일 아이언 열처리 방법
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CN106319338B (zh) * 2016-08-31 2018-03-20 西安理工大学 一种自润滑滚动轴承及其制备方法
CN110788582A (zh) * 2019-10-17 2020-02-14 安庆创跃电器有限公司 一种激光刀片的处理工艺

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