JP3461245B2 - インクジェット記録ヘッドの発熱体基板 - Google Patents

インクジェット記録ヘッドの発熱体基板

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JP3461245B2
JP3461245B2 JP18543596A JP18543596A JP3461245B2 JP 3461245 B2 JP3461245 B2 JP 3461245B2 JP 18543596 A JP18543596 A JP 18543596A JP 18543596 A JP18543596 A JP 18543596A JP 3461245 B2 JP3461245 B2 JP 3461245B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バブルジェット方
式の記録ヘッドに用いられる発熱体基板に関し、耐久
性、量産性に優れ、特にフルラインヘッド等長尺ヘッド
に適した発熱体基板に関する。
【0002】
【従来の技術】バブルジェット方式は、高速高密度印字
が可能で、かつカラー化、コンパクト化に適しており、
近年とみに注目を集めている。従来の典型的なバブルジ
ェットヘッドの吐出部近傍の構成を図1に示す。図1に
おいて1は支持体である。支持体は、発熱体を構造的に
支持するだけでなく、発泡、吐出のためのパルス印加終
了後には発熱部近傍が一定温度以下に速やかにもどるよ
う発熱体で発生した余分な熱を拡散しなければならず、
熱伝導性の高いことが要求される。また、安定したイン
ク吐出のために、発熱部において均一でエネルギー密度
の高い発泡を生じさせるためには、発熱部の平滑性が重
要であり、そのためには支持体表面の平滑性も重要であ
る。さらに、発熱体や電極、ノズル等の微細なパターン
形成には支持体の平面性も重要な要素となる。通常Si
ウェハー等が用いられることが多い。
【0003】図1における2は、蓄熱層である。この部
分は、パルス印加中発熱抵抗体で発生した熱が支持体に
逃げてしまうのを抑制し、効率よくインクに作用させる
役割を果たす。従って、支持体とは逆に熱伝導性の低い
ことが要求される。さらに発熱抵抗体と直に接すること
から、耐熱性や、個々の抵抗体、電極間を導通させない
ための絶縁性が必要であり、通常無機の絶縁性物質、と
くに熱伝導性の低い酸化珪素等が用いられる。
【0004】図1における3は発熱抵抗層(発熱抵抗
体)である。駆動回路や電源等(共に不図示)と電気的
に接続された共通電極4、個別電極4’を通じて電極間
の発熱抵抗層3に電気パルスが印加され、インクの発泡
に必要な熱が発生する。発熱抵抗体には、耐熱性、適度
な大きさの比抵抗、抵抗の安定性が要求され、従来Hf
B2、TaAl等が用いられている。電極4、4’は比
抵抗の小さなAl、Au等を用いるのが普通である。
【0005】図1における5は保護層であり、電極や発
熱抵抗体をインクから遮断し、導電性を有するインクに
対する絶縁および電気化学的損傷の防止をするととも
に、発熱抵抗体の酸化防止層としての役割を果たす。保
護層には、耐熱性、絶縁性等が必要であり、酸化珪素、
窒化珪素等が用いられる。
【0006】図1における6は耐キャビテーション層で
ある。インクの消泡時に生ずるキャビテーションのダメ
ージから発熱抵抗体を守るはたらきをする。通常Ta等
のキャビテーションエロージョンに対する耐性の強い金
属等が用いられる。高温でインクに接するため、ある程
度の化学的な安定性も必要である。さらに、5や6のピ
ンホールによる電極の損傷を防止するために、発熱部を
除いた部分に、塗布法による保護膜(有機保護膜等)を
形成する場合もある。1〜6等からなる発熱体基板7上
に、記録液供給口(不図示)に連通し個々の発熱体に対
応した液流路8、および吐出口9等が形成されて、バブ
ルジェットヘッド10が完成する。
【0007】この吐出部近傍の発熱体基板の構成は、従
来のいわゆるサーマルヘッドの構成と類似している。し
かしながら、液体に直接接する点や、インクの発泡、消
泡の繰り返しによる機械的衝撃(キャビテーションエロ
ージョン)に曝される点、〜数マイクロ秒という短い時
間に数100〜1000℃もの温度の上昇、下降に曝さ
れる点で、熱的、化学的に要求される特性はサーマルヘ
ッドより一層厳しい。
【0008】以上のような構成を持つバブルジェットヘ
ッドは、フォトリソグラフィー等の微細パターン形成技
術を用いて作成されることによって、ヘッドの高密度
(数10ノズル/mm)、高集積化(数100ノズル/
ヘッド)が容易であり、従って非常に高品位な記録が可
能である上に、インク滴の吐出周波数が、例えばサーマ
ルヘッドの記録周波数などと比較して格段に高い(数〜
数10kHz)ため、かなり高速の記録も可能である。
カラー対応も容易であり、ヘッドはコンパクトであっ
て、ランニングコストも小さい。等々数多くの優れた特
性を持っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】前述のように現状でも
優れた特性を持ったバブルジェットヘッドであるが、コ
ンピューター等の処理能力の向上、情報量の増加に伴
い、記録速度の更なる高速化が望まれてきている。しか
も記録密度の増加は高速化を一層厳しくする。記録の高
速化の最も単純な方法の一つは、ヘッドのノズル数の増
加である。しかしながら、従来の構成のヘッドのノズル
数を増やし長尺化してゆくと、以下のような種々の問題
点が生じてくる。
【0010】まず、前述のように従来支持体としてはS
iウェハーが用いられてきた。Siウェハーは入手が容
易であって、耐熱性、熱伝導性が高い。表面平滑性、平
面性が高い。従来半導体プロセスなどで用いられてきた
成膜、パターニング装置等がそのまま使用できる。さら
に、駆動用ICを支持基体内に作りこむことができる
等、数多くの長所を有する基体材料であるが、一方で、
1チップの長いヘッドが得られないという短所を持つ。
現在一般的に入手が容易な8インチウェハーでは、A4
幅のフルラインヘッドを1チップで取ることはできな
い。より大きなウェハーを使えば1チップで取ることは
可能になるが、そのようなウェハーに対応した装置が現
在のところ一般的でない上に、取り個数が少なく、コス
トが大幅に増加する。従ってSiウェハーを使用して長
尺ヘッドを得るためには、1ヘッドを複数のチップ(支
持体)で構成するか、1ラインを複数のヘッドで構成す
る必要があるが、どちらも個々のチップ、あるいはヘッ
ドの位置合せが容易でない。記録密度が増加し、より高
品位の記録が求められるにつれ、この位置合せの困難さ
は急激に増大する。従って長尺のバブルジェットヘッド
を作成するためには、Siウェハーに代わる長尺用支持
体が望まれることになる。
【0011】支持体上には、図1の2に示すような熱伝
導率の低い物質からなる蓄熱層を何らかの方法によって
成膜する必要がある。Siウェハーを支持体として用い
た場合には、ウェハー自身の表面を変質した熱酸化Si
O2膜を蓄熱層として用いることができるが、他の支持
体を用いる場合には、スパッタリングやCVDその他の
方法で酸化珪素等、絶縁性、耐熱性、低い熱伝導性を兼
ね備えた物質を支持体上に成膜する必要がある。一般に
物理蒸着、化学蒸着あるいは塗布焼成等で成膜した酸化
珪素等は、熱酸化SiO2と比較して化学的安定性など
の膜質において劣っている。
【0012】発明者等は、この蓄熱層の膜質の違いが、
時にバブルジェットの発熱抵抗体の耐久性に大きな影響
を及ぼすことを見出した。蓄熱層の膜質が悪いと、ヘッ
ド駆動時の発熱抵抗体の抵抗値変化が大きくなったり、
早期に破断してしまうこともあり、できるだけ膜質の良
い蓄熱層を形成することが必要となる。一方、効率的な
吐出を行うためのバブルジェットヘッドの蓄熱層は、駆
動パルス幅にもよるが、酸化珪素等をその材質として用
いた場合、通常1.5〜2μm以上の厚さが必要である
が、この程度の厚さになると、膜の応力は支持体に大き
な影響を及ぼす。たとえば、膜の応力が大きすぎると支
持体に反りが生じてしまったり、応力に耐えきれずに膜
が剥離してしまったりして、いずれも製造プロセス上大
きな問題となる。そこで蓄熱層としての膜質のみでな
く、膜応力のコントロールもまた必要となる。ヘッドが
長尺化し、対応する支持体が大判化するに従い膜応力コ
ントロールの重要性も増加する。一般にスパッタリング
やCVDその他の方法によって得られる膜の膜質は、成
膜中の基板温度を高くしたり、バイアススパッタリング
等の方法によりイオンなどで衝撃を加えながら成膜する
ことによって向上させることができる。しかし、例えば
基板温度を高くして成膜すると、支持体と膜材料の熱膨
張係数の違いから、室温に戻した時に大きな内部応力が
発生してしまい、支持体が反ってしまう等の問題が生ず
る。また、蓄熱層の厚さ方向全てにわたってバイアスス
パンタリングにより成膜すると、やはり膜の大きな内部
応力によって支持体が反ってしまう等の問題が生ずる。
このように、膜質と同時に膜応力を適正に保つことは非
常に難しい場合が多い。
【0013】つぎに、従来のバブルジェットヘッドは、
図1に示すように発熱体および電極上に、やはり酸化珪
素や、窒化珪素等による保護膜を設けている。このよう
なタイプのバブルジェットヘッドでは、保護膜形成時に
生ずる欠陥の発生を完全に防止することは非常に困難で
あり、それが量産時に歩留を下げる大きな要因になる。
ヘッドが長尺化し、面積が増大するにつれこの問題は一
層深刻なものとなる。また、発熱抵抗体は保護膜を通し
てインクを熱するから、保護膜が厚いほど吐出に必要な
消費電力が増加し、駆動時におけるヘッド全体の温度変
化が大きくなる。ヘッドの温度変化は吐出液滴の体積変
化につながり、画像での濃度ムラの原因となる。また、
記録の高速化に対応するため、駆動周波数を増やせば、
ヘッドでの消費電力はさらに上昇し、温度変化による画
像の濃度ムラが一層顕著になってくる。これは、記録画
像の高画質化の要求に反するものであり解決すべき問題
となっている。特開昭59−143650号公報、特開
昭60−109850号公報には、発熱抵抗体および電
極それ自身の表層を変質して無機絶縁化し、保護層とす
る内容の記載がある。この方法は、薄く、しかも欠陥の
ない保護膜を形成することが可能であり、かつ大面積の
処理も容易であるうえに工程も簡素という非常に優れた
方法である。発明者等は、さきに、発熱抵抗体としてT
a−Al合金を用いることによつて、この方法を一層有
効に活用できることを見出した。
【0014】一方で発明者等は、前述した蓄熱層膜質の
問題が、この方法で作成されたバブルジェット用発熱体
基板の耐久性において一層顕著になることを見出した。
すなわち、従来のような酸化珪素、窒化珪素等の厚い保
護膜を持たず、発熱体や電極自身を変質した薄い保議膜
を有するタイプのバブルジェット用発熱体基板において
は、蓄熱層膜質の良し悪しが、よりダイレクトに発熱抵
抗体の耐久性に反映されるため、蓄熱層膜質に対する要
求が一層厳しくなる。膜質の良い熱酸化SiO2を蓄熱
層として使用できない長尺ヘッドにおいては、このこと
は大きな障害である。
【0015】そこで、本発明は、上記従来のものにおけ
る課題を解決し、高精細、高速記録が可能な長尺ヘッド
に適し、さらに生産性、信頼性にすぐれたバブルジェッ
トヘッド用発熱体基板を提供することを目的としてい
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、通電によって熱エネルギーを発生する発熱
体と、金属支持体上に成膜にて形成された酸化珪素膜
と、前記発熱体の発熱部に設けられた前記発熱体を形成
する材料自身を変質してなる絶縁性保護層と、を有し、
前記熱エネルギーを用いてインクを発泡吐出させるイン
クジェットヘッドの発熱体基板において、前記酸化珪素
膜はバイアスをかけずに成膜されていると共に、前記発
熱体と前記酸化珪素膜との間に、バイアススパッタリン
グによって成膜された酸化珪素膜を有するように構成し
たものである。そして、本発明においては、前記発熱体
の発熱部以外の部分は、有機樹脂保護膜が形成されるよ
うに構成することができる。また、本発明においては、
前記バイアススパッタリングによって成膜された酸化珪
素層は、その膜厚を0.2〜1μmとすることが好ま
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の上記した目的は、以上の
ように支持体上に設けられる蓄熱層のうち、発熱抵抗体
やインクと直に接する部分のみをバイアススパッタリン
グによって成膜した酸化珪素によって形成することによ
って達成される。バイアススパッタリングによって成膜
される酸化珪素層の厚みは、化学的、熱的安定性のため
に必要とされる程度でよく、通常0.2μm程度以上あ
ればよい。蓄熱効果の不足分は残りの、化学的、熱的安
定性等の膜質は劣るが応力や熱伝導率の小さな層に受け
持たせることができる。そのためバイアススパッタリン
グで成膜される酸化珪素層の膜応力が大きくても、蓄熱
層全体としての応力は小さくおさめることができる。
【0018】次に好ましい態様によって本発明をより詳
しく説明する。図2は本発明の好ましい態様の一例であ
る。本発明のバブルジェット用発熱体基板に用いる支持
体1としては、前述した支持体に要求される特性を満足
するものであればどんなものでも構わないが、長尺1チ
ップヘッドが得られるように大判化が可能なものとして
は、熱伝導性、加工性、コスト等の点からアルミニウム
等各種の金属基板を挙げることができる。サーマルヘッ
ドの支持体として用いられるアルミナ基板は、焼結体で
あるため研磨時に粒子の欠落した凹部が多数存在するた
めバブルジェットヘッド用支持体として不適である。ま
た、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板は、熱伝
導性が低いため高速で駆動するバブルジェットヘッドに
不向きである。
【0019】次に本発明の最も大きな特徴である蓄熱層
2は、前述のように機能分離した複数の層によって形成
する。支持体側に形成する下層2aとしては、熱伝導性
と、膜応力が小さいことが重要であり、さらにある程度
の耐熱性も必要である。好ましい材料としては通常のバ
イアスをかけないスパッタリングやプラズマCVDによ
って成膜される酸化珪素を挙げることができる。化学
的、熱的安定性等の膜質に対する要求がそれほど厳しく
ないため成膜時の基板温度を低く保つことができる。前
述したように、成膜時の基板温度を高くすると、室温に
戻したときに支持体と膜の熱膨張係数の違いによって大
きな応力が生じ、支持体の反りが発生したりして望まし
くない。もしバイアススパッタリングによって成膜され
る酸化珪素層である2bを設けずこのような下層2aの
材質だけで蓄熱層すべてを形成した場合には、膜質が十
分でないため発熱抵抗体の耐久性が劣化する。
【0020】本発明における蓄熱層の上層2bは、複数
層からなる蓄熱層のうち発熱抵抗体あるいはインク等の
記録剤と直に接する部分の層であってバイアススパッタ
リングによって成膜される酸化珪素層により形成され
る。この上層2bに要求される特性としては、高温での
化学的、熱的安定性、絶縁性、発熱抵抗体との密着性な
どが重要である。その厚さはこれらの特性が効果を発揮
する程度であればよく、通常0.2μm程度以上あれば
十分なため膜応力が少々高くても構わない。また、蓄熱
効果の不足分は下層2aに受け持たせることができる。
ただし、この場合にも成膜時の基板温度を高くすること
は好ましくない。これは、下層を低温で成膜してもその
後に再び高温にさらせば、高温で応力緩和した状態とな
り、再び室温に戻したときには熱膨張係数に起因する応
力が下層2a中でも大きくなって支持体の反り等を生じ
てしまうからである。成膜時に低い基板温度で前記のよ
うな特性を満足する上層2bとしては、スパッタリング
や、プラズマCVDで形成される窒化珪素膜を好ましい
材料として挙げることができる。バイアススパッタリン
グによって成膜される酸化珪素層は、前述のような高温
での化学的、熱的安定性、絶縁性、発熱抵抗体との密着
性などの特性に優れているが、一般にその他の方法で成
膜した酸化珪素と比較して膜の内部応力が大きく、2μ
m以上の厚さが必要な蓄熱層2をそれだけで全て形成し
た場合には、支持体の反り等の問題を生じてしまう。こ
のような問題を避けるためには、バイアススパッタリン
グによって成膜される酸化珪素層の厚さを最大でも1μ
m以下に抑えることが望ましい。
【0021】以上のようにして形成された蓄熱層2上に
形成する発熱抵抗体3および電極4は、後に陽極酸化等
の方法によってその表面を変質し、絶縁性保護層12を
形成できるものであることが望ましい。そのような発熱
抵抗体や電極材料を選択することにより前述の特開昭5
9−143650号公報、特開昭60−109850号
公報記載のような熱効率が高く、欠陥が少なく、しかも
工程が簡素で長尺ヘッドに適した製造方法を採用できる
からである。本発明の蓄熱層2は、このような製造方法
によって作成されるバブルジェット用発熱体基板におい
て特に大きな効果を発揮する。そのような発熱抵抗体と
して特に好ましいものとしては、Ta−Al系合金から
なる発熱抵抗体であり、電極としてはAlを主成分とし
たものである。このような発熱抵抗体や電極は、スパッ
タリングや蒸着等公知の方法で成膜が可能であり、また
フォトリソグラフィー等やはり公知の方法でパターニン
グが可能である。
【0022】発熱抵抗体および電極表面を変質して絶縁
保護層5を形成する方法としては、電解質溶液中での陽
極酸化法を挙げることができる。装置が簡便で大判処理
に向いている。さらに、発熱部以外の部分に有機樹脂
等、塗布型の保護膜11を形成することは、信頼性やプ
ロセス時のハンドリング性を向上させる上で有用であ
る。このようにして本発明のバブルジェット用発熱体基
板7が完成する。
【0023】以上のようにして得られたバブルジェット
用発熱体基板7上に、例えば特開昭62−253457
号公報に記載されている方法等、公知の方法によって液
流路8や吐出口9等を形成することにより、バブルジェ
ットヘッドを製造することができる。このバブルジェッ
トヘッドに、さらにインク供給系、駆動装置(共に図示
せず)を接続してバブルジェット記録装置が完成する。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例にしたがって更に詳細
に説明する。 [実施例1]実施例1においては、本発明のバブルジェ
ットヘッドをつぎのようにして作成した。支持体とし
て、神鋼ノース(株)製の表面が鏡面研磨されたAl基
板(5386材、大きさ330×150×2mm)を用
い、研磨面上に、ノーバイアスのRFスパッタリングに
よって、まず蓄熱層の下層として厚さが約2.2μmに
なるよう酸化珪素膜を成膜し、続いて今度は基板側に−
100Vのバイアス電圧を加えたバイアススパッタリン
グによって上層となる酸化珪素膜を約0.3μmの厚さ
に成膜した。更に続いて、今度はTaとAlの複合ター
ゲットのDCスパッタリングによりTa−Al合金の発
熱抵抗体層を約0.25μmの厚さに、続けて電極とな
るAlをやはりDCスパッタリングによって約1μmの
厚さに成膜した。ついでフォトリソグラフィーおよびR
IE(リアクティブイオンエッチング)の手法により、
まず電極のパターニング、ついで発熱抵抗体のパターニ
ングを行って、発熱部の大きさ20×100μm、ピッ
チが63.5μmのパターンをA4幅(210mm)に
わたって形成した(約3300セグメント)。
【0025】ついで、やはりフォトリソグラフィーの手
法により、電気的接点など酸化膜を形成したくない部分
にフォトレジストによるマスクを形成した後に、酒石酸
アンモニウム水溶液中で白金電極を対向にして陽極酸化
処理を行い、電極および発熱抵抗体の表面に絶縁性の保
護層を形成した。陽極酸化は、はじめ10mA/cm2
の定電流、電圧が100Vに達した時点で定電圧にきり
かえて10分間保持した。絶縁性保護層の厚さは約0.
15μm程度であると考えられる。陽極酸化処理後に
は、フォトリソグラフィーによってパターニングが可能
な樹脂(東レ(株)製フォトニースUR−3100)に
より、発熱部および外部との電気的接続点を除いて有機
保護層を約2μmの厚みに形成してバブルジェット用発
熱体基板を完成した。この発熱体基板に対して特開昭6
2−253457号公報に記載されている方法に従っ
て、液流路、吐出口、共通液室などを形成して、図2に
示すような構成でA4幅が記録可能なバブルジェットラ
インヘッドを得た。
【0026】このようにして作成したバブルジェットヘ
ッドを、つぎのように評価した。 a)CST(コンスタントストレステスト) 作製したヘッドの液路に、下記組成のインクが供給され
るようにし、かつ外部駆動回路を接続して、幅10μs
ecの矩形パルス電圧を印加しながら、その電圧を徐々
に上げてゆき、吐出口からインクが吐出を開始する時の
電圧(吐出閾値電圧Vth)を求めた。次にヘッドから
インクを抜き、1.25Vthの電圧パルスを2KHz
の周渡数で印加して、発熱抵抗体の抵抗変化を測定し
た。 インク組成 水 77部 ジエチレングリコール 20部 黒色染料(CI Food Black2) 3部 pH調整剤(CH3COONa) 0.1部以下 b)吐出耐久試験 作製した別のヘッドでa)と同様なVthの測定を行っ
た後、1.2Vthの電圧パルスを印加してA4用紙1
万枚分の記録に相当するインク滴の吐出を行った。この
吐出の前後(初期および1万枚分吐出後)においてこの
ヘッドを別の記録装置に装着して文字等の記録を行い、
得られた記録物にたいして目視での評価を行った。
【0027】(比較例1)比較例1として、蓄熱層を実
施例1の蓄熱層の下層と同じノーバイアススパッタリン
グによって成膜した酸化珪素1層のみで形成し、その厚
さを約2.5μmとした以外は実施例1と同様にしてバ
ブルジェット用発熱体基板およびバブルジェットヘッド
を作成し、同様な評価を行った。
【0028】(比較例2)比較例2として、実施例1に
おいて蓄熱層のノーバイアススパッタリングによって成
膜した酸化珪素膜の厚さを2.4μm、バイアススパッ
タリングによって成膜した酸化珪素膜の厚さを0.1μ
mとした以外は実施例1と同様にしてバブルジェット用
発熱体基板およびバブルジェットヘッドを作成し、同様
な評価を行った。
【0029】(比較例3)比較例3として、蓄熱層を実
施例1の蓄熱層の上層であるバイアス電圧−100Vの
バイアススパッタリングで成膜した酸化珪素1層のみで
形成し、その厚さを約2.5μmとしたところ、蓄熱層
成膜後にAl基板が大きく反ってしまい以後の工程に進
むことができなかった。図3に実施例、比較例のCST
結果をしめす。蓄熱層を2層で形成し、上層に熱的安定
性に優れたバイアススパッタリングで成膜した酸化珪素
を用いた実施例は、発熱抵抗体の抵抗変化が小さく、駆
動時の熱サイクルに対する耐久性に優れていることがわ
かる。表1に吐出耐久試験の結果を示す。
【0030】
【表1】 吐出耐久試験結果 ここで記号は次のような評価を示す。 〇 良好な記録が得られる場合 × 吐出しないノズルがあって白スジなどの欠点が
あらわれる状態 ×× 吐出しないノズルが多数あって、画像がかすれ
てしまっている状態 表から明らかなように、初期にはどちらも良好な記録特
性を示すが、吐出耐久試験後では、依然として良好な記
録特性を示す実施例のヘッドに対して、比較例のヘッド
では発熱抵抗体の破断が生じており、正常な記録が得ら
れなくなってしまっている。蓄熱層の発熱抵抗体やイン
クと接する部分の化学的、熱的安定性の違いによるもの
と思われる。
【0031】
【発明の効果】本発明は、以上のように、蓄熱層を化学
的、熱的安定性、密着性に優れた上層であるバイアスス
パッタリングで成膜した酸化珪素と、膜応力、熱伝導性
の小さな下層によって形成することにより、駆動時にお
ける発熱抵抗体の耐久性に優れ、かつ、基板の反りや膜
の剥離などプロセス上の問題の生ずることのない、長尺
ヘッドに適した、生産性に優れたバブルジェット用発熱
抵抗体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の典型的なバブルジェットヘッドの吐出部
近傍の構成である。
【図2】本発明の好ましい態様の一例である。
【図3】本発明の実施例、比較例のCST結果を示す図
である。
【符号の説明】
1:支持体 2:蓄熱層 3:発熱抵抗層 4:共通電極 4’:個別電極 5:保護層 6:耐キャビテーション層 7:発熱体基板 8:液流路 9:吐出口 10:バブルジェットヘッド 11:保護膜

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通電によって熱エネルギーを発生する発熱
    体と、金属支持体上に成膜にて形成された酸化珪素膜
    と、前記発熱体の発熱部に設けられた前記発熱体を形成
    する材料自身を変質してなる絶縁性保護層と、を有し、
    前記熱エネルギーを用いてインクを発泡吐出させるイン
    クジェットヘッドの発熱体基板において、前記酸化珪素膜はバイアスをかけずに成膜されていると
    共に、前記発熱体と前記酸化珪素膜との間に、バイアス
    スパッタリングによって成膜された酸化珪素膜を有する
    ことを特徴とするインクジェットヘッドの発熱体基板。
  2. 【請求項2】前記発熱体の発熱部以外の部分は、有機樹
    脂保護膜が形成されていることを特徴とする請求項1に
    記載の発熱体基板。
  3. 【請求項3】前記バイアススパッタリングによって成膜
    された酸化珪素膜は、その膜厚が0.2〜1μmである
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発熱
    体基板。
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