JP3460777B2 - 分解性共重合体及びその製造方法 - Google Patents

分解性共重合体及びその製造方法

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JP3460777B2 JP32540696A JP32540696A JP3460777B2 JP 3460777 B2 JP3460777 B2 JP 3460777B2 JP 32540696 A JP32540696 A JP 32540696A JP 32540696 A JP32540696 A JP 32540696A JP 3460777 B2 JP3460777 B2 JP 3460777B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートと分解性を有する脂肪族ポリエステルとを触媒の
存在下、加熱脱水反応させることにより得られる分解性
共重合体及びその製造方法に関する。本発明の製造方法
により製造される分解性共重合体は、芳香族ポリカーボ
ネートが本来具備する特性(優れた耐熱性、機械的強
度、寸法安定性等)に加え、芳香族ポリカーボネートが
本来具備しない特性(優れた溶融流動性、分解性等)を
も有し、加えて従来技術による芳香族ポリカーボネート
系ポリマーブレンド(芳香族ポリカーボネート+アクリ
ル系樹脂、芳香族ポリカーボネート+他のポリマー)が
本来具備しない特性(優れた透明性等)を有する点で、
従来技術と比較して特徴的であり、このような過酷な物
性・特性を要求される加工品の用途に広く応用すること
ができる。また、本発明に係る分解性共重合体は、構成
成分の脂肪族ポリエステルに比べガラス転移温度が高く
なることに加え、脂肪族ポリエステルの重量分率が低い
場合でも分解性を示すが、脂肪族ポリエステルの重量分
率が多い場合には、優れた分解性を示す。以上により、
耐熱性に優れ、かつ環境負荷の低い加工品を製造するこ
とができる。すなわち、本発明に係る分解性共重合体
は、以下の〜の少なくとも以下の5つの優れた物性
・特性を有する。 通常の芳香族ポリカーボネートで
は発現し得ない優れた分解性。 芳香族ポリカーボネ
ートに匹敵する優れた透明性。 通常の脂肪族ポリエ
ステルでは発現し得ない優れた耐熱性。 通常の芳香
族ポリカーボネートよりも優れた溶融流動性。 通常
の芳香族ポリカーボネートよりも優れた成型加工性。
【0002】
【従来の技術】[技術的背景] 従来より、芳香族ポリカーボネートは、透明性、耐熱
性、機械的強度、寸法安定性等に優れたエンジニアリン
グプラスチックとして知られている。通常、芳香族ポリ
カーボネートを製造する際には、製造されるポリカーボ
ネートの分子量を調節する目的でフェノール又は4−t
ert−ブチルフェノール等の1価のヒドロキシ芳香族
化合物を使用して重合が行われている。しかし、フェノ
ールや、4−tert−ブチルフェノールによって末端
が停止された芳香族ポリカーボネートは、溶融粘度が非
常に高く、溶融流動性が悪いという難点があった。芳香
族ポリカーボネートの流動性を改質するために、特別な
分子量調整剤を用いる方法や、芳香族ポリカーボネート
とアクリル系樹脂をブレンドする方法が知られている。
前者の具体例としては、開昭51−34992号、特開
平7−304864号が挙げられ、後者の例としては、
特開平2−284949号、特公昭47−16063号
等が挙げられる。しかしながら、後者の技術により得ら
れた樹脂組成物は、流動性を向上させるために必要な量
の樹脂を添加すると、不透明性(真珠光沢性)となり、
熱的、機械的物性が大きく低下する難点があり、そのた
め該組成物は大型、薄肉の成形物が得にくく、用途が装
飾品その他の雑貨類に制限されるという問題点があっ
た。従来技術による芳香族ポリカーボネート系のポリマ
ーブレンド(例えば、芳香族ポリカーボネート+アクリ
ル系樹脂等)は、主として、ポリカーボネートの流動性
の改質を目的としたものであるが、芳香族ポリカーボネ
ートが本来具備する優れた透明性や耐熱性を損ねる場合
が多かった。
【0003】また、特開平7−109413号には、芳
香族ポリカーボネートに、ポリ乳酸及び/又は乳酸とそ
の他のヒドロキシカルボン酸の共重合体をブレンドする
ことにより、高度の流動性を有する樹脂組成物が得られ
ることが開示されている。しかしながら、この樹脂組成
物は、真珠光沢を有することを特徴とするものであり、
つまり、不透明なものであった。
【0004】また、特開平7−82369号には、ラク
タイドとポリカーボネート系重合体とをエステル化触媒
の存在下、開環付加重合させることを特徴とするラクタ
イド系共重合体の製造方法が開示されている。この方法
で得られる重合体は、高い強度と生分解性を有するもの
の、不透明で、かつ、構成成分のポリラクタイドと比較
して、ガラス転移温度が低くなる傾向がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の問題点を克服し、優れた熱的、機械的物性を保持し
ながら、流動性を向上させることができる分解性共重合
体、及び、その製造方法を提供することを目的とする。
【0006】つまり、本発明は、アクリル系樹脂やポリ
乳酸及び/又は乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸の
共重合体と芳香族ポリカーボネートとの樹脂組成物や、
ラクタイドとポリカーボネート系重合体との共重合体に
はみられない透明性を有すること、ポリ乳酸及び/又は
乳酸とその他のヒドロキシカルボン酸の共重合体と芳香
族ポリカーボネートとの樹脂組成物よりも優れた分解性
を有すること、及び、本発明に係る分解性共重合体の構
成成分である脂肪族ポリエステルよりも高いガラス転移
温度を有すること等、従来技術と比較して、優れた特性
を発揮することにより、一層広く利用することができる
分解性共重合体、及び、その製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】本発明は、少なくとも以下の〜の5つ
の優れた物性・特性を有する、分解性共重合体を提供す
ることを目的とする。 通常の芳香族ポリカーボネー
トでは発現し得ない優れた分解性。 芳香族ポリカー
ボネートに匹敵する優れた透明性。 通常の脂肪族ポ
リエステルでは発現し得ない優れた耐熱性。 通常の
芳香族ポリカーボネートよりも優れた溶融流動性。
通常の芳香族ポリカーボネートよりも優れた成型加工
性。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意検討を行った結果、芳香族ポリカーボネ
ートと、ポリ乳酸を代表とする脂肪族ポリエステルとを
触媒の存在下、加熱脱水反応させることにより上記目的
を達成する分解性共重合体が得られることを見い出し、
本発明を完成するに至った。本発明は、以下の[1]〜
[14]に記載した事項により特定される。
【0009】[1] 芳香族ポリカーボネートと脂肪族
ポリエステルを触媒の存在下、加熱脱水反応させること
を特徴とする分解性共重合体の製造方法。
【0010】[2] 100℃以上のガラス転移温度を
有する芳香族ポリカーボネートと、ポリ乳酸及び/又は
コポリ乳酸を、触媒の存在下、加熱脱水反応させること
を特徴とする分解性共重合体の製造方法。
【0011】[3] 有機溶媒中で加熱脱水反応させる
ことを特徴とする[1]又は[2]に記載した分解性共
重合体の製造方法。
【0012】[4] 反応系の有機溶媒の少なくとも一
部を除去し、除去した有機溶媒の水分量よりも少ないか
等しい水分量を有する有機溶媒を反応系に装入すること
により、反応系の有機溶媒の水分量を制御することを特
徴とする[3]に記載した分解性共重合体の製造方法。
【0013】[5] 反応系から除去した有機溶媒の水
分量よりも少ないか等しい水分量を有する有機溶媒を調
製する方法が、乾燥剤と接触させることによるものであ
る[4]に記載した分解性共重合体の製造方法。
【0014】[6] 乾燥剤がモレキュラーシーブ類、
イオン交換樹脂からなる群から選択された少なくとも1
種類である[5]に記載した分解性共重合体の製造方
法。
【0015】[7] 有機溶媒がエーテル系溶媒、ハロ
ゲン化炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒からなる群から
選択された少なくとも1種類である[3]乃至[6]の
何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。
【0016】[8] 反応系から除去した有機溶媒の水
分量よりも少ないか等しい水分量を有する有機溶媒が、
50ppm以下の水分量を有するものである[4]乃至
[7]の何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。
【0017】[9] 触媒が錫系、亜鉛系及びチタン系
触媒からなる群から選択された少なくとも1種類である
[1]乃至[8]の何れかに記載した分解性共重合体の
製造方法。
【0018】[10] 100℃以上のガラス転移温度
を有する芳香族ポリカーボネートと、ポリ乳酸及び/又
はコポリ乳酸とを、錫系触媒の存在下、有機溶媒中で加
熱脱水反応させることを特徴とする[4]乃至[8]の
何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。の製造方
法。
【0019】[11]芳香族ポリカーボネートが、10
0℃以上のガラス転移温度を有するものである[1]乃
至[9]の何れかに記載した分解性共重合体の製造方
法。
【0020】[12]脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸
及び/又はコポリ乳酸である[1]乃至[9]、又は、
[11]の何れかに記載した分解性共重合体の製造方
法。
【0021】[13] [1]乃至[12]の何れかに
記載した製造方法により製造された、透明性が厚み10
0μmのときのヘイズ値が10%以下に相当し、かつ、
ガラス転移温度が原料とした脂肪族ポリエステルのガラ
ス転移温度よりも実質的に高いものである分解性共重合
体。
【0022】[14] 芳香族ポリカーボネートブロッ
クと、鎖状炭化水素及び/又は脂環式炭化水素からなる
脂肪族ポリエステルブロックとからなる、透明性が厚み
100μmのときのヘイズ値が10%以下に相当し、か
つ、ガラス転移温度が、脂肪族ポリエステルブロックと
同一の繰り返し構造を有する脂肪族ポリエステルよりも
実質的に高いものである分解性共重合体。
【0023】
【発明の実施の形態】[芳香族ポリカーボネート] 本発明において使用する芳香族ポリカーボネートは、2
価フェノールとカーボネート前駆体とを、溶液法、溶融
法等の公知の製造方法で製造される。「2価フェノー
ル」と「カーボネート前駆体」については後述する。芳
香族ポリカーボネートの製造に際し、適当な分子量調節
剤、分岐剤、その他の改質剤などの添加は差し支えな
い。本発明においては、一般的には、100℃以上のガ
ラス転移温度を有する芳香族ポリカーボネートが好まし
い。芳香族ポリカーボネートの分子量については特に制
限がないが、一般的には、得られる共重合体の熱的、機
械的物性を考えると重量平均分子量が10,000〜1
00,000であることが好ましく、30,000〜8
0,000であることがより好ましい。芳香族ポリカー
ボネートは、線状、大環状、分岐状、星形、三次元網目
状等のいずれでもよい。芳香族ポリカーボネートは、ホ
モポリマー(芳香族ポリカーボネート)であっても、コ
ポリマー(芳香族コポリカーボネート)であってもよ
い。コポリマーの配列の様式は、ランダム共重合体、交
替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等の
いずれでもよい。本発明において使用する芳香族ポリカ
ーボネートは、1種類を単独で使用しても、2種以上を
混合して使用してもよい。
【0024】[2価フェノール] 本発明で使用する芳香族ポリカーボネートの原料である
2価フェノールは、一般式(1)[化1]又は(2)
[化2]で表される化合物である。
【0025】
【化1】
【0026】
【化2】 (式中、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ、独立し
て、同一でも別個でもよい2価の芳香族基を、Xは、A
r1とAr2を結び付ける連結基を表す)
【0027】一般式(1)[化1]又は(2)[化2]
において、Ar1、Ar2及びAr3は、それぞれ、独立
して、同一でも別個でもよい2価の芳香族基を表し、好
ましくは、フェニレン基である。また、フェニレン基は
置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン
原子、ニトロ基、アルキル基、シクロアルキル基、アル
ケニル基、アラルキル基、アリール基、アルコキシ基等
が挙げられる。
【0028】Ar1とAr2は、両方ともが、p−フェニ
レン基、m−フェニレン基又はo−フェニレン基、又
は、一方が、p−フェニレン基であり、他方が、m−フ
ェニレン基若しくはo−フェニレン基であることが好ま
しく、特にAr1とAr2の両方がp−フェニレン基であ
ることが好ましい。
【0029】Ar3は、p−フェニレン基、m−フェニ
レン基又はo−フェニレン基であり、好ましくは、p−
フェニレン基又はm−フェニレン基である。
【0030】Xは、Ar1とAr2を結び付ける連結基で
ある。より具体的には、Xは、例えば、単なる単結合、
2価の炭化水素基、2価の炭化水素以外の基が挙げられ
る。2価の炭化水素以外の基の具体例としては、例え
ば、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−
等が挙げられる。
【0031】2価の炭化水素基の具体例としては、例え
ば、メチレン基、エチレン基、2,2−プロピリデン
基、シクロヘキシリデン基等のアルキリデン基、アリー
ル基等で置換されたアルキリデン基、芳香族基やその他
の不飽和の炭化水素基を含有する炭化水素基等が挙げら
れる。2価フェノールは、1種類を単独で使用しても、
又は、2種以上を併用してもよい。本発明の製造方法に
おいては、入手の容易さ、製造される芳香族ポリカーボ
ネートの諸物性から、特に、ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)アルカン系が好ましく、なかでもビスフェノール
Aを使用するのが好ましい。
【0032】[2価フェノールの具体例] 2価フェノールの具体例としては、例えば、以下の(1)
〜(12)に示すものが挙げられる。 (1) ビス(ヒドロキシアリール)アルカン類 例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,
1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン〔”ビスフェノールA”〕、2−(4’−ヒドロキシ
フェニル)−2−(3’−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−
メチルプロパン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)−3−メチルブタン、2,2−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)オクタン、2,2−ビス(3’−メチ
ル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−
ビス(3’−エチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’−n−プロピル−4’−ヒド
ロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−イソ
プロピル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3’−sec−ブチル−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−tert−ブ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−
ビス(3’−シクロヘキシル−4’−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(3’−アリル−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3’−メ
トキシ−4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2
−ビス(3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(2’,3’,5’,
6’−テトラメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、2,2−ビス(3’−クロロ−4’−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3’,5’−ジクロ
ロ−4’−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−
ビス(3’−ブロモ−4’−ヒドロキシフェニル)プロ
パン、2,2−ビス(3’,5’−ジブロモ−4’−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(2’,
6’−ジブロモ−3’,5’−ジメチル−4’−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シアノメタン、1−シアノ−3,3−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン等のビス
(ヒドロキシアリール)アルカン類を挙げることができ
る。
【0033】(2) ビス(ヒドロキシアリール)シクロ
アルカン類 例えば、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−
シクロペンタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−シクロドデカン、
1,1−ビス(3’−メチル−4’−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3’,5’−ジメ
チル−4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)−4−メチルシクロヘキサン、1,
1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−
トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)ノルボルナン、8,8−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)トリシクロ〔5.2.1.02,
6〕デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)アダマンタン等のビス(ヒドロキシアリール)シク
ロアルカン類を挙げることができる。
【0034】(3) ビス(ヒドロキシアリール)エーテ
ル類 例えば、4,4’−ジヒドロキシ−ジフェニルエーテ
ル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、エチレングリコールビス(4−ヒドロ
キシフェニル)エーテル等のビス(ヒドロキシアリー
ル)エーテル類を挙げることができる。
【0035】(4) ビス(ヒドロキシアリール)スルフ
ィド類 例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィ
ド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフ
ェニルスルフィド、3,3’−ジシクロヘキシル−4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−
ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のビス(ヒドロキ
シアリール)スルフィド類を挙げることができる。
【0036】(5) ビス(ヒドロキシアリール)スルホ
キシド類 例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシ
ド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフ
ェニルスルホキシド等のビス(ヒドロキシアリール)ス
ルホキシド類が挙げられる。
【0037】(6) ビス(ヒドロキシアリール)スルホ
ン類 例えば、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニ
ルスルホン等のビス(ヒドロキシアリール)スルホン類
を挙げることができる。
【0038】(7) ビス(ヒドロキシアリール)ケトン
類を 例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス
(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン等のビ
ス(ヒドロキシアリール)ケトン類を挙げることができ
る。
【0039】(8) アミノ酸類縁体 例えば、3,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メ
チル]−2,5−ジケトピペラジン、デスアミノチロシ
ルチラミン、デスアミノチロシル−チロシンヘキシルエ
ステル、N−ベンジロキシカルボニル−チロシルチロシ
ンヘキシルエステル等のアミノ酸類縁体を挙げることが
できる。
【0040】(9) スピロ化合物 例えば、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’
−テトラメチルスピロ(ビス)インダン〔”スピロイン
ダンビスフェノール”〕、7,7’−ジヒドロキシ−
3,3’,4,4’−テトラヒドロ−4,4,4’,
4’−テトラメチル−2,2’−スピロビ(2H−1−
ベンゾピラン)等のスピロ化合物を挙げることができ
る。
【0041】(10) ビス(4−ヒドロキシフェニル)誘
導体 例えば、トランス−2,3−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)−2−ブテン、9,9−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)フルオレン、3,3−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、1,
1−ジクロロ−2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−
2,2−ビス(5’−フェノキシ−4’−ヒドロキシフ
ェニル)エチレン、α,α,α’,α’−テトラメチル
−α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−キ
シレン、α,α,α’,α’−テトラメチル−α,α’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m−キシレン、
3,3−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)フタリド等
のビス(4−ヒドロキシフェニル)誘導体を挙げること
ができる。
【0042】(11) 芳香族ジヒドロキシ化合物 例えば、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジ
ヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレ
ン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノ
ン、レゾルシン等の芳香族ジヒドロキシ化合物を挙げる
ことができる。
【0043】(12) エステル結合を含む2価フェノール エステル結合を含む2価フェノール、例えば、ビスフェ
ノールAを2モルと、イソフタロイルクロライド又はテ
レフタロイルクロライドを1モルとを反応させることに
より製造することができるエステル結合を含む2価フェ
ノール等を挙げることができる。
【0044】[カーボネート前駆体] 本発明で使用する芳香族ポリカーボネートの原料である
カーボネート前駆体としては、例えば、カルボニルハラ
イド、カルボニルエステル及びハロホルメート等が挙げ
られ、より具体的には、ホスゲン、ジフェニルカーボネ
ート、2価フェノールのジハロホルメート等が挙げられ
る。カーボネート前駆体は、単独又は2種以上を混合し
て使用することができ、さらに得られた芳香族ポリカー
ボネートを2種以上を混合して使用してもよい。
【0045】[語「脂肪族ポリエステル」の概念] 本出願の明細書において用いる「脂肪族ポリエステル」
なる語の概念は、ホモポリマーたる脂肪族ポリエステル
のみならず、コポリマーたる脂肪族コポリエステルをも
包含する。本出願の明細書において用いる「脂肪族ポリ
エステル」なる語の概念は、狭義の脂肪族ポリエステル
のみならず、広義の脂肪族ポリエステルをも包含する。
ここで、「広義の脂肪族ポリエステル」とは、狭義の脂
肪族ポリエステル及びポリヒドロキシカルボン酸を包含
する。ここで、「狭義の脂肪族ポリエステル」とは、脂
肪族多価カルボン酸(例えば、脂肪族ジカルボン酸)と
脂肪族多価アルコール(例えば、脂肪族ジオール)が脱
水縮合した重合体を意味する。
【0046】[脂肪族ポリエステル] 脂肪族ポリエステルについては公知の方法、例えば、開
環重合法、直接脱水縮合法等により、製造することがで
きる。例えば、開環重合によらず直接脱水重縮合により
脂肪族ポリエステルを製造する場合には、米国特許5,
310,865号に開示されているように、乳酸類と、
必要に応じて、他のヒドロキシカルボン酸を、好ましく
は有機溶媒、特にフェニルエーテル系溶媒の存在下で、
共沸脱水縮合し、特に好ましくは、共沸により留出した
溶媒から水を除き、実質的に無水の状態にした溶媒を反
応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に
適した脂肪族ポリエステルが得られる。脂肪族ポリエス
テルの製造に際し、適当な分子量調節剤、分岐剤、その
他の改質剤などの添加は差し支えない。本発明において
は、脂肪族ポリエステルとして、L−乳酸を主原料とす
るL−ポリ乳酸及びコポリ乳酸を(これを乳酸系ポリマ
ーとする。)が好ましく使用される。本発明に使用する
脂肪族ポリエステルは単独でも2種類以上使用しても良
い。一般に、芳香族ポリカーボネートの方が脂肪族ポリ
エステルよりもはるかに溶融粘度が高く、流動性改良の
効果には支障がないことから、脂肪族ポリエステルの分
子量については特に制限されないが、熱的、機械的物性
面からは重量平均分子量が30,000以上が好まし
く、50,000〜300,000であるものが特に好
ましい。脂肪族ポリエステルは、線状、大環状、分岐
状、星形、三次元網目状等のいずれでもよい。脂肪族ポ
リエステルは、ホモポリマーであっても、コポリマーで
あってもよい。コポリマー(共重合体)の配列の様式
は、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合
体、グラフト共重合体等のいずれでもよい。脂肪族ポリ
エステルの重量平均分子量及び分子量分布は、その重合
方法において、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温
度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法、反
応系の溶媒の脱水の程度等の反応条件を適宜選択するこ
とにより所望のものに制御することができる。
【0047】[ポリ乳酸] 本発明において、ポリ乳酸は、乳酸を直接重合する直接
法により製造したポリ乳酸のみならず、乳酸の環状ダイ
マーであるラクチドを重合する間接法により製造したポ
リラクチドでもよい。ポリ乳酸の構造単位は、L体、D
体、L体とD体の混合物、すなわち、ラセミ体でもよい
が、諸物性を考慮すると、L−ポリ乳酸及びD−ポリ乳
酸が好ましく、なかでも、L−ポリ乳酸が好ましい。ポ
リ乳酸の重量平均分子量及び分子量分布は、その重合方
法において、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温
度、反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法、反
応系の溶媒の脱水の程度等の反応条件を適宜選択するこ
とにより所望のものに制御することができる。
【0048】[コポリ乳酸(乳酸系ポリマー)] 本発明において使用されるコポリ乳酸(乳酸系ポリマ
ー)は、分子内の構造単位に乳酸単位を有していれば、
特に制限されない。本発明において使用されるコポリ乳
酸(乳酸系ポリマー)の態様としては、例えば、以下の
〜が挙げられる。 乳酸と乳酸以外の脂肪族ヒド
ロキシカルボン酸の脂肪族コポリエステル。 乳酸と
脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸からなる脂肪族コ
ポリエステル。 分子内に、ポリ乳酸ブロックと、乳
酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の脂肪族ホモ又は
脂肪族コポリエステルブロックを有する脂肪族コポリエ
ステル。 分子内に、ポリ乳酸ブロックと、脂肪族ジ
オールと脂肪族ジカルボン酸からなる脂肪族ホモ又は脂
肪族コポリエステルブロックを有する脂肪族コポリエス
テル。 〜の混合物。〜において、脂肪族ポ
リエステル分子内の乳酸構造単位は、L−乳酸単位、D
−乳酸単位及びそれらの混合したものであってもよい。
【0049】[ヒドロキシカルボン酸] 本発明で使用する脂肪族ポリエステルの原料である乳酸
類としてはL−及びD−乳酸、又はその混合物、乳酸の
二量体であるラクタイドの何れも使用できる。また、乳
酸類と併用できる他のヒドロキシカルボン酸類として
は、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキ
シ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草
酸、6−ヒドロキシカプロン酸などがあり、さらに、ヒ
ドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グ
リコール酸の二量体であるグリコライドや6−ヒドロキ
シカプロン酸の環状エステルであるε−カプロラクトン
を使用することもできる。これらは、必要に応じて2種
類以上混合使用してもよい。分子内に不斉炭素を有する
場合は、D体、L体、それぞれ単独であってもよいし、
D体、L体の混合物、すなわちラセミ体でもよい。
【0050】[脂肪族多価カルボン酸及びその無水物] 本発明方法において用いることができる脂肪族多価アル
コールと脂肪族多価カルボン酸からなる脂肪族ポリエス
テルは、一種類又は二種類以上の脂肪族多価カルボン酸
(好ましくは、脂肪族ジカルボン酸) 及び/又はこれ
らの無水物と、一種類又は二種類以上の脂肪族多価アル
コール(好ましくは、脂肪族ジオール)とを脱水重縮合
することにより製造することができる。この場合の脂肪
族ポリエステルの原料である脂肪族多価カルボン酸及び
その無水物の具体例としては、例えば、シュウ酸、コハ
ク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ
ン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸等及びそ
の無水物が挙げられる。これらの脂肪族多価カルボン酸
及びその無水物は、必要に応じて2種類以上混合使用し
てもよい。分子内に不斉炭素を有する場合は、D体、L
体、それぞれ単独であってもよいし、D体、L体の混合
物、すなわちラセミ体でもよい。
【0051】[脂肪族多価アルコール] 本発明で使用する脂肪族ポリエステルの原料である脂肪
族多価アルコール類の具体例としては、例えば、エチレ
ングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレング
リコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコ
ール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−
ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリテトラ
メチレングリコール、1,4−ヘキサンジオール、シク
ロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等が挙
げられる。これらの多価アルコールは、必要に応じて2
種類以上混合使用してもよい。分子内に不斉炭素を有す
る場合は、D体、L体、それぞれ単独であってもよい
し、D体、L体の混合物、すなわちラセミ体でもよい。
【0052】[語「脂肪族」の概念] 本出願の明細書において用いる「脂肪族」なる語の概念
には、狭義の脂肪族のみならず、実質的に芳香族度が低
い脂環族をも包含する。本出願の明細書において用いる
「脂肪族」化合物なる語の概念には、少なくとも、分子
内のすべての炭素原子が一列の鎖状につながっているも
の、又は、炭素原子の鎖に枝分かれ構造があっても環式
構造を含まないものを包含し、実質的に芳香族度の低い
化合物からなる群をも包含し、具体的には、狭義の脂肪
族基のみならず、実質的に芳香族度の低い脂環族基、こ
れらを組み合わせた基、又はこれらが水酸基、窒素、硫
黄、けい素、りんなどで結合されるような2価の残基を
分子内に有する化合物からなる群をも包含し、さらに具
体的には、上記のものに、例えば、水酸基、アルキル
基、シクロアルキル基、アリル基、アルコキシル基、シ
クロアルコキシル基、アリルオキシル基、ハロゲン
(F、Cl、Br等)基等が置換した基を分子内に有す
る化合物からなる群をも包含する。これらの置換基を適
宜選択することにより、本発明に係る共重合体の諸特性
(耐熱性、強靱性、分解性、強度特性、分解性等)を制
御することができる。本出願の明細書において用いる
「脂肪族」化合物なる語の概念には、一種類の化合物の
みならず、二種類以上の組み合わせによるものをも包含
する。
【0053】[語「透明性」の概念] 本出願の明細書において用いる「透明性」なる語の概念
には、成形体を100μm厚とした際に、成形体と新聞
を重ねた場合に、成形体を介して新聞の文字を認識でき
る程度の透明性を包含する。本出願の明細書において用
いる「透明性」なる語の概念には、成形体を100μm
厚とした際に、透明性と逆相関するパラメーターである
ヘイズ値で評価した場合、10%以下である状態を包含
する。本発明においては、「透明性」は、成形体を10
0μm厚とした際に、透明性と逆相関するパラメーター
であるヘイズ値で評価した場合、好ましくは10%以
下、より好ましくは5%以下、より好ましくは3%以
下、さらに好ましくは1%以下である状態を包含する。
【0054】[語「耐熱性」の概念] 本出願の明細書において用いる「耐熱性」なる語の概念
には、成形体が、目的とする用途の雰囲気の温度におい
て、熱変形や寸法安定性の低下等をしない性質を包含す
る。本出願の明細書において用いる「耐熱性」なる語の
概念には、例えば、清涼飲料用容器の用途においては、
製造、保管、流通、販売の各過程における温度を勘案し
て、成形体が、例えば、PET成形体のガラス転移温度
(68℃程度)と同等かそれ以上のガラス転移温度を有
する性質を包含する。
【0055】[語「ガラス転移温度(Tg)」の概念] 本出願の明細書において用いる「ガラス転移温度(T
g)」なる語の概念には、高分子物質を加熱した場合に
ガラス状の固い状態から、ゴム状に変わる現象が起こる
温度を包含する。本出願の明細書において用いる「ガラ
ス転移温度(Tg)」なる語の概念には、示差走査熱量
分析(DSC分析)において、熱可塑性重合体を、圧力
1気圧のもとで10℃/minの昇温速度で加熱した時
の転移点の温度を包含する。
【0056】[語「分解性」の概念] 本出願の明細書において用いる「分解性」なる語の概念
には、有機材料に関し、特定の目的に使用している期間
は、目的に合致した材料特性を保持し、目的終了後又は
廃棄後に、自然環境下又は生体内環境下において、脆弱
化及び無害化するような機能をも包含する。本出願の明
細書において用いる「分解性」なる語の概念には、例え
ば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東
京、1988年)」・424頁右欄〜425頁左欄の
「崩壊性高分子」の項に記載されている「崩壊性」の概
念をも包含する。その記載は全て、引用文献及び引用範
囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部と
し、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明
細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的
かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。本出願の
明細書において用いる「分解性」なる語の概念には、例
えば、「新版高分子辞典(高分子学会編、朝倉書店、東
京、1988年)」・369頁左欄の「光崩壊性」の項
に記載されている「光崩壊性」の概念をも包含する。そ
の記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことに
より本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲
を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又
は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せ
る事項又は開示とする。本出願の明細書において用いる
「分解性」なる語の概念には、例えば、「MARUZE
N高分子大辞典−Concise Encyclope
dia of Polymer Science an
d Engineering(Kroschwitz
編、三田 達監訳、丸善、東京、1994年)」・53
9左欄〜540頁右欄の「生分解性ポリマー」の項に記
載されている「生分解性」の概念をも包含する。その記
載は、参照により、本出願明細書に記載した事項又は開
示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事
項又は開示とする。本出願の明細書において用いる「分
解性」なる語の概念には、「コンポスタブル(comp
ostable、土壌回帰性)」の概念をも包含する。
「分解性」の評価は、例えば、土壌中への埋め込み試
験、培養微生物による分解試験、酵素標品による分解試
験、血清中でのイン−ビトロ分解試験、生体内埋植によ
るイン−ビボ分解試験、光照射試験等によって評価する
ことができ、より具体的には、例えば、ASTM D5
209−91(生分解性試験)やASTMD 5338
−92(コンポスタビリティー(土壌回帰性能)試験)
によっても評価することができる。
【0057】[触媒] 本発明において芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエ
ステルを触媒の存在下、溶融状態で加熱脱水反応させて
も、有機溶媒に溶かして加熱脱水反応させてもよい。 触媒の種類 本発明において使用する触媒は、実質的に、反応速度を
促進するものであれば、特に制限されない。本発明にお
いて使用する触媒は、一種類でも、二種類以上の組み合
わせでも、使用することができる。本発明の製造方法に
使用する触媒の具体例としては、通常、周期表II、I
II、IV、V族の金属、その酸化物あるいはその塩な
どが挙げられる。より具体的には、亜鉛末、錫末、アル
ミニウム、マグネシウムなどの金属、酸化錫、酸化アン
チモン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化マグネシウ
ム、酸化チタン等の金属酸化物、塩化第一錫、塩化第二
錫、臭化第一錫、臭化第二錫、フッ化アンチモン、塩化
亜鉛、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム等の金属ハ
ロゲン化物、硫酸錫、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム等の
硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛等の炭酸塩、酢酸
錫、オクタン酸錫、乳酸錫、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウ
ム等の有機カルボン酸塩、トリフルオロメタンスルホン
酸錫、トリフルオロメタンスルホン酸亜鉛、トリフルオ
ロメタンスルホン酸マグネシウム、メタンスルホン酸
錫、p−トルエンスルホン酸錫等の有機スルホン酸塩、
ホウ酸亜鉛等が挙げられる。中でも、錫末、酸化第一
錫、ホウ酸亜鉛、酢酸亜鉛が好ましい。その他の例とし
ては、ジブチルチンオキサイド等の上記金属の有機金属
酸化物、又はチタニウムイソプロポキサイド等の上記金
属の金属アルコキサイド、又はジエチル亜鉛等の上記金
属のアルキル金属等が挙げられる。これらは単独又は混
合して用いることができる。中でもチタニウムイソプロ
ポキサイドが好ましい。
【0058】 触媒の使用量 本発明において使用する触媒の使用量は、実質的に、反
応速度を促進する程度のものであれば、特に制限されな
い。触媒の使用量は、一般的には、得られる樹脂組成物
の0.0001から5重量%の範囲が好ましく、経済性
を考えると、0.001から1重量%の範囲がより好ま
しい。
【0059】[有機溶媒] 有機溶媒の種類 本発明に係る分解性共重合体の製造方法において使用す
る有機溶媒は、実質的に、反応の進行を維持できるもの
であれば、特に制限されない。本発明において使用する
ことができる有機溶媒の具体例としては、例えば、ベン
ゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の炭化水素系
溶媒、クロロベンゼン、ブロモベンゼン、ヨードベンゼ
ン、o−ジクロロベンゼン、1,1,2,2−テトラク
ロロエタン、p−クロロトルエン等のハロゲン化炭化水
素系溶媒、3−ヘキサノン、アセトフェノン、ベンゾフ
ェノン等のケトン系溶媒、ジブチルエーテル、アニソー
ル、フェネトール、o−ジメトキシベンゼン、p−ジメ
トキシベンゼン、3−メトキシトルエン、ジベンジルエ
ーテル、ベンジルフェニルエーテエル、メトキシナフタ
レン等のエーテル系溶媒、フェニルスルフィド、チオア
ニソール等のチオエーテル系溶媒、安息香酸メチル、フ
タル酸メチル、フタル酸エチル等のエステル系溶媒、ジ
フェニルエーテル、4−メチルフェニルエーテル、3−
メチルフェニルエーテル、3−フェノキシトルエン等の
アルキル置換ジフェニルエーテル、又は4−ブロモフェ
ニルエーテル、4−クロロフェニルエーテル、4−ブロ
モジフェニルエーテル、4−メチル−4−ブロモジフェ
ニルエーテル等のハロゲン置換ジフェニルエーテル、又
は4−メトキシジフェニルエーテル、4−メトキシフェ
ニルエーテル、3−メトキシフェニルエーテル、4−メ
チル−4−メトキシジフェニルエーテル等のアルコキシ
置換ジフェニルエーテル、又はジベンゾフラン、キサン
テン等の環状ジフェニルエーテル等のジフェニルエーテ
ル系溶媒が挙げられ、これらは単独又は混合して使用す
ることができる。これらの中では、例えば、ベンゼン
(沸点=80℃)、トルエン(沸点=110.6℃)、
m−キシレン(沸点=139.3℃)、o−キシレン
(沸点=144℃)、p−キシレン(沸点=137〜1
38℃)、o−ジクロロベンゼン(沸点=180.5
℃)、ジフェニルエーテル(沸点=259℃)、及び、
これらの任意の組合せの混合物が好ましく使用される。
【0060】 有機溶媒の使用量 本発明において用いる有機溶媒の使用量は、実質的に、
反応の進行を維持できれば特に制限されないが、一般的
には、工業的見地から、反応速度、反応生成物の純度、
容積効率や溶媒回収等を勘案して設定する。本発明にお
いて用いる有機溶媒の使用量は、一般的には、得られる
ポリマーの濃度に換算すると、10〜80%の範囲であ
ることが好ましい。
【0061】 有機溶媒の沸点 通常、本発明で用いる溶剤の沸点は高い方が好ましく、
一般的には、80℃以上が好ましく、溶媒の沸点は、1
10℃以上がより好ましく、135℃以上がより好まし
く、180℃以上がさらに好ましい。反応を、低温、高
真空度で行うことにより、又は乾燥窒素置換下で行うこ
とにより、好ましくない副反応を伴うことなく、効率的
に脱水を進行することができる。
【0062】 有機溶媒からの水の分離性 本発明においては、一般的には、前述したように反応中
に生成する水を除去しながら反応させることが好まし
く、そのために、分液や蒸留等の分離手段により、水を
容易に分離することができる溶媒が好ましい。
【0063】 有機溶媒の脱水処理 本発明においては、反応中に生成して反応系の有機溶媒
に溶解している水により、ポリマーが加水分解すること
を防ぐために、反応系の溶媒の一部を取り出して、系外
で乾燥剤処理や蒸留により脱水した後に、再び系内に戻
して反応させてもよい。通常、反応混合物中の水分含有
率を50ppm以下にすることが好ましく、20ppm
にすることがより好ましく、5ppm以下にすることが
最も好ましい。本発明において反応系に使用する有機溶
媒は、実質的に、何らかの手法により脱水することが可
能であれば、水と共沸するものでも、しないものでもよ
く、水と分液するものでも、しないものでもよい。ま
た、本発明における反応系の有機溶媒の脱水処理の態様
には、過剰の有機溶媒を予め装入しておき、単に有機溶
媒を抜き出すのみで脱水する方法、反応系の有機溶媒を
他の有機溶媒を用いて乾燥する方法等も含まれる。ま
た、さらに、これらの態様を改変したものとして、反応
系の有機溶媒自体を液状のまま水分を除去してもよい。
【0064】[乾燥剤] 本発明において使用する乾燥剤は、実質的に、反応の進
行を維持できる程度まで、充分に高い重量平均分子量を
有する反応生成物(本発明に係る分解性共重合体)を得
る程度まで、又は、生成物の可逆的加水分解を抑制でき
る程度まで、反応系の有機溶媒中の水分を脱水すること
ができるのであれば、特に制限されない。本発明におい
て使用する乾燥剤は、一種類でも、二種類以上の組み合
わせでも、使用することができる。本発明において使用
することができる乾燥剤の具体例としては、例えば、モ
レキュラーシーブ3A、モレキュラーシーブ4A、モレ
キュラーシーブ5A、モレキュラーシーブ13X等のモ
レキュラーシーブ類、イオン交換樹脂、アルミナ、シリ
カゲル、塩化カルシム、硫酸カルシウム、五酸化二リ
ン、濃硫酸、過塩素酸マグネシウム、酸化バリウム、酸
化カルシウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、あ
るいは水素化カルシウム、水素化ナトリウム、水素化リ
チウム、水素化アルミニウム等の金属水素化物、又は、
ナトリウム等のアルカリ金属等が挙げられる。これら
は、単独で又は混合して用いることができる。一般的に
は、取扱い及び再生の容易さから、モレキュラーシーブ
類、イオン交換樹脂(特に陽イオン交換樹脂)が好まし
い。
【0065】[反応温度] 本発明に係る製造方法に使用する芳香族ポリカーボネー
ト、及び、脂肪族ポリエステルを溶融状態に維持して反
応を行なう場合の反応温度は、反応の全過程で存在し得
る高分子(芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリエステ
ル、反応生成物)を実質的に溶融状態を維持することが
でき、高分子が加熱により実質的に分解せず、反応の進
行を維持できれば特に制限されない。一般的には、分解
性共重合体の生成速度及び熱分解速度を考慮して、好ま
しくは100℃から220℃の範囲であり、より好まし
くは100℃から200℃の範囲であり、減圧下で行っ
てもよい。
【0066】本発明において有機溶媒を用いる場合の反
応温度は、実質的に、反応系に存在する有機溶媒の液相
状態を維持することができ、又は、反応の進行を維持で
きれば特に制限されない。一般的には、分解性共重合体
の生成速度及び熱分解速度を考慮して、好ましくは90
℃から200℃の範囲であり、より好ましくは110℃
から180℃の範囲である。通常、反応は常圧下で、使
用する有機溶媒の留出温度で行われる。また、高沸点の
有機溶媒を用いる場合には、反応温度を好ましい範囲に
するために、減圧下で行ってもよく、これにより、好ま
しくない副反応を伴うことなく、効率的に脱水反応を進
行させることができる。また、溶媒が水と共沸するため
に沸点が低下したとしても所定の温度で行われればよ
い。
【0067】[反応器及び反応進行における操作] 本発明に係る分解性共重合体を製造するには、系外から
水分が入らないように、及び系内で発生した水分を除去
しながら、真空又は窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲
気で行なうことが好ましく、不活性ガスで置換しなが
ら、又は不活性ガスでバブリングしながら行ってもよ
い。本発明に係る分解性共重合体を製造する反応は、連
続操作でも回分操作でも行なうことができる。また、溶
媒の脱水、溶媒の装入も、連続操作でも回分操作でも行
なうことができる。
【0068】[反応生成物の回収方法] 本発明において採用する、反応終了後に反応液から反応
生成物(本発明に係る分解性共重合体)を回収する方法
は、実質的に、反応生成物を所望の純度で回収できるも
のであれば、特に制限されない。反応生成物の回収方法
は、公知・公用のいずれの方法によってもよい。反応生
成物の回収方法の具体例としては、反応終了後に、適当
な温度において、反応生成物が溶解している反応液に、
過剰の貧溶媒(例えば、イソプロピルアルコール等)を
加え、析出した反応生成物の結晶を、デカンテーション
又は濾過等により回収し、該結晶を溶解しない貧溶媒で
充分に洗浄後、乾燥する方法等が挙げられる。本発明に
係る分解性共重合体は、任意の比率の芳香族ポリカーボ
ネートと脂肪族ポリエステルから重合される。
【0069】[分解性共重合体] 本発明に係る分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネー
トにはない土壌分解性を有しており、環境に優しい成形
物(例えば、ボトル容器等)を製造することができる。
本発明に係る分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネー
ト(例えば、ビスフェノールA型ポリカーボネート)と
脂肪族ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、乳酸系ポリマ
ー等)との樹脂組成物よりも優れた分解性を示す。本発
明に係る分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネート
や、ポリエチレンテレフタレート並の透明性を有してお
り、芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエステルの樹
脂組成物や、ラクタイドとポリカーボネートを開環付加
重合して得られる共重合体とは異なり、高い透明性を有
している。本発明に係る分解性共重合体は、高い透明性
を有しており、一般的には、熱プレスフィルムの厚さが
100μmの時、Haze値が5%(厚み100μm
時)以下である。芳香族ポリカーボネート(PC)やポ
リエチレンテレフタレート(PET)などの代替品とし
て使用する場合には、それらと同等又は同等以上の透明
性に相当するHaze値1%(厚み100μm時)以下
であることが特に好ましい。本発明に係る分解性共重合
体は、分子内の脂肪族ポリエステルブロックと同一の繰
り返し構造を有する脂肪族ポリエステルのガラス転移温
度よりも高い。本発明に係る分解性共重合体は、反応条
件(例えば、芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエス
テルの比率等)を適宜選択することにより、分子内の脂
肪族ポリエステルブロックと同一の繰り返し構造を有す
る脂肪族ポリエステルのガラス転移温度以上であって、
芳香族ポリカーボネートブロックと同一の繰り返し構造
を有する芳香族ポリカーボネートのガラス転移温度以下
の、所望のガラス転移温度に設定することができる。例
えば、ポリ乳酸に20%の芳香族ポリカーボネートを反
応させた分解性共重合体でも、ポリ乳酸に比べ8℃以上
もガラス転移温度が上昇し、ポリエチレンテレフタレー
トに匹敵するガラス転移温度を有する。このことから、
本発明に係る分解性共重合体は耐熱性の面で用途が制限
されていた脂肪族ポリエステルに比べ、さらに広範な分
野での用途が期待できる。より具体的にはポリエチレン
テレフタレートの代替品として広く使用することができ
る。本発明に係る分解性共重合体のガラス転移温度は、
芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエステルの比率を
選択することにより、原料の脂肪族ポリエステルが有す
るガラス転移温度よりも、好ましくは5℃以上、より好
ましくは8℃以上、さらに好ましくは10℃以上上昇さ
せることができる。
【0070】本発明に係る分解性共重合体は、芳香族ポ
リカーボネートに比べ、大きく溶融流動性が改善され、
優れた成形加工性を有する。本発明に係る分解性共重合
体の溶融流動性は、芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポ
リエステルの比率を選択することにより、原料の芳香族
ポリカーボネートが有する溶融流動性よりも、好ましく
は2倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらに好ま
しくは3倍以上上昇させることができる。
【0071】以上のことから、本発明に係る分解性共重
合体は、従来の芳香族ポリカーボネート並びに、脂肪族
ポリエステルに比べさらに広い範囲での用途が期待でき
る。本発明に係る製造方法により得られた分解性共重合
体について、13C−NMRスペクトルにより解析する
と、エステル交換に帰属されるピークが認められないこ
とから、この分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネー
トブロックと脂肪族ポリエステルブロックのブロック性
が高いことが推測される。また、この高いブロック性が
要因の一つとなって、この分解性共重合体は、芳香族ポ
リカーボネートと脂肪族ポリエステルの相溶化を促進す
る機能と、それにより樹脂組成物に高い透明性を付与す
る機能を有する相溶化剤となり得ることが示唆された。
本発明に係る分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネー
トと脂肪族ポリエステルと混合(ブレンド)して、樹脂
組成物としてもよい。
【0072】[芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエ
ステルの比率] 本発明に係る分解性共重合体は、任意の比率の芳香族ポ
リカーボネートと脂肪族ポリエステルから重合される。
本発明に係る分解性共重合体の分解性を高めるという側
面からは、一般的には、芳香族ポリカーボネート10〜
50重量%、脂肪族ポリエステル90〜50重量%の範
囲の比率が好ましい。本発明に係る分解性共重合体の耐
熱性を高めるという側面からは、一般的には、芳香族ポ
リカーボネート50〜90重量%、脂肪族ポリエステル
50〜10重量%の範囲の比率が好ましい。
【0073】[分解性共重合体の分子量及び分子量分布
の制御] 本発明に係る分解性共重合体の重量平均分子量及び分子
量分布は、溶媒の種類、触媒の種類及び量、反応温度、
反応時間、共沸により留出した溶媒の処理方法、反応系
の溶媒の脱水の程度等の反応条件を適宜選択することに
より、所望のものに制御することができる。本発明に係
る分解性共重合体の重量平均分子量には特に制限はない
が、一般的には、約30,000〜400,000の範
囲のものが好ましく、約50,000〜200,000
の範囲のものがより好ましい。
【0074】[添加剤等] 上記組成物には、本発明の特性を損なわない範囲におい
て、各種エラストマー(SBR、NBR、SBS型熱可
塑性エラストマー等)、添加剤(可塑剤、顔料、安定
剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌
剤、染料等)、フィラー類(炭酸カルシウム、クレー、
カーボンブラック、耐衝撃性コア/シェル型粒子、イン
パクトモディファイアー等)、顔料(酸化チタン、メタ
リック顔料、パール顔料等)を目的や用途に応じて適宜
使用することができる。
【0075】[用途] 本発明の分解性共重合体は、芳香族ポリカーボネート及
び脂肪族ポリエステルよりも広範な分野への使用が可能
であるが、芳香族ポリカーボネートの耐熱性及び無毒性
と脂肪族ポリエステルの分解性及び安全性を兼ね備えて
いることから、耐熱性が要求される分野や食品、医療分
野への用途が適している。本発明の分解性共重合体は、
射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形加工によっ
て、例えば、弁当箱、食器、コンビニエンスストアで販
売されているような弁当や惣菜の容器、箸、フォーク、
スプーン、ほ乳びん、吸い飲み、シャンプーや液状石鹸
用のポンプ付き又はポンプなしのボトル、化粧品容器、
洗剤容器、漂白剤容器、人工透析器のケース、輸液用部
品等があげられる。
【0076】[成形] 本発明に係る分解性共重合体を成形する方法論は、以下
のとおりである。本発明に係る分解性共重合体からなる
成形体は、射出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成
形、熱成形等により製造することができる。また、フィ
ルム状、シート状、板状の成形体の成形方法としては、
インフレーション成形、Tダイ成形等が挙げられるが、
その方法に何等制限はない。本発明に係る成形体は、例
えば、公知・公用の成形法で得られるフィルム、シー
ト、カップ、ボトル、トレー等の成形体を包含しその形
状、大きさ、厚み、意匠等に関しては何等制限はない。
成形時及び又は成形の前後において、型温度、型温度の
履歴(温度変化パターン、昇型温速度、冷却速度等)、
型内熱処理の温度の履歴(温度変化パターン、昇型温速
度、冷却速度等)、型外熱処理の温度の履歴(温度変化
パターン、昇型温速度、冷却速度等)を適宜設定するこ
とにより、所望の透明性と耐熱性、あるいは、所望の非
晶性と結晶性に、制御することができる。
【0077】[成形体の態様] 本発明に係る分解性共重合体からなる成形体は、適当な
成形加工法により、例えば、弁当箱、食器、コンビニエ
ンスストアで販売されるような弁当や惣菜の容器、箸、
割り箸、フォーク、スプーン、飲料の自動販売機で使用
されるようなカップ、鮮魚・精肉・青果・豆腐・惣菜等
の食料品用の容器やトレイ、牛乳・ヨーグルト・乳酸菌
飲料等の乳製品用のボトル、炭酸飲料・清涼飲料等のソ
フトドリンク用のボトル、ビール・ウィスキー等の酒類
ドリンク用のボトル、シャンプーや液体石けん用のポン
プ付き又はポンプなしのボトル、歯磨き粉用チューブ、
化粧品容器、洗剤容器、漂白剤容器、保冷箱、浄水器カ
ートリッジの包装材、人工腎臓や人工肝臓等の包装材、
注射筒の包装材、活性炭(あるいはそれを応用した脱臭
材、浄水器交換カートリッジ等)の包装材等としても好
適に使用することができる。本発明に係る分解性共重合
体からなる成形体は、食品・菓子包装用容器、食品用容
器、医薬品(例えば塩酸ブロムヘキシン、酢酸トコフェ
ロール等)用容器、生薬(例えば、胃腸薬等)用容器、
肩こりや捻挫等に適用される外科用貼付薬用容器、化粧
品・香粧品用容器、農薬品用容器等として好適に使用す
ることができる。また、本発明に係る分解性共重合体か
らなる成形体は、適当な成形加工法により、例えば、経
口医薬品用カプセル又はその包装材、肛門・膣用座薬用
包装材、皮膚・粘膜用貼付剤用包装材、農薬用カプセル
又はその包装材、肥料用カプセル又はその包装材、種苗
用カプセル又はその包装材等として使用することができ
る。
【0078】[フィルムやシートの製造・製膜] 本発明に係る分解性共重合体からなる成形体の態様とし
て、未延伸のフィルムやシートが挙げられる。本発明に
係る分解性共重合体からなるフィルム・シート・板は、
射出成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、熱成形等
により製造することができる。また、フィルム状、シー
ト状、板状の成形体の成形方法としては、インフレーシ
ョン成形、Tダイ成形等が挙げられるが、その方法に何
等制限はない。 製造技術本発明に係るフィルムやシ
ートは、公知・公用の押出法、共押出法、カレンダー
法、ホットプレス法、溶媒キャスティング法、インフレ
ーション法、バルーン法等の技術により製造できる。製
造に供する本発明に係る分解性共重合体の熱的特性、分
子構造、結晶性等を考慮して製造条件を設定する。
【0079】 添加剤 添加剤(酸化防止剤、熱安定剤、紫外線安定剤、滑剤、
充填剤、付着防止剤、帯電防止剤、表面ぬれ改善剤、焼
却補助剤、滑り防止剤、顔料等)、押出条件等を目的に
応じて、適宜、選択することにより、所望の物性、ガス
バリア性、光学特性、透過光波長スペクトル、遮光性、
耐油性等の特性を有する、本発明に係るフィルムやシー
トを製造することができる。また、有機ガラス板とする
こともできる。
【0080】 工程設計 製造工程においては、熱処理温度、熱処理温度の変化速
度、冷却ローラーの数、冷却ローラーの配置形式、冷却
ローラーへの巻き付け形式、冷却ローラー温度、冷却ロ
ーラー表面の鏡面仕上度等の条件を目的に応じて、適
宜、設定することができる。
【0081】 品質管理の方法論 製造工程において、放射線、電磁波、光、超音波等を用
いた、公知・公用の計測工学的方法を採用することによ
り、製品の厚さのデータを検出し、該データを製造工程
にフィードバックすることにより、製品の厚さのバラツ
キを、手動により又は自動制御により品質管理をするこ
とができる。放射線を用いた計測工学的方法としては、
例えば、透過型(吸収型)又は散乱型のアルファ線厚さ
計、ベータ線厚さ計、ガンマ線厚さ計を用いる方法が包
含され、線源としては、公知・公用の放射性同位元素が
用いられる。
【0082】 後処理工程及び仕上工程の方法論 後処理工程又は仕上工程においては、ウェルディング、
ヒートシール、ミシン目付与、プライマー塗布、粘着剤
塗布、薬剤塗布、パーカライジング、蒸着、スパッタリ
ング、CVD(ケミカル・ヴェイパー・デポジショ
ン)、FVD(フィジカル・ヴェイパー・デポジショ
ン)、コーティング、エッチング、噴き付け、染色、塗
装、静電塗装、エアブラッシング、ラミネート、サンド
イッチ、エンボス賦与、立体模様賦与、型押し、波付
け、印刷、転写、サンディング、サンドプラスト、シャ
ーリング、パンチング、打ち抜き、ハニカム構造化、段
ボール構造化、積層体形成等の後処理や仕上の加工を行
なうこともできる。後処理工程又は仕上工程には、目的
に応じ、カレンダー法、押し出し法、スクリーン印刷
法、グラビア印刷法、凸版法、凹版法、ドクターブレー
ド法、浸漬法、スプレー法、エアブラシ法、静電塗装法
等の公知・公用の方法を採用することができる。本発明
に係る分解性共重合体からなるフィルム又はシートは、
紙や他のポリマー等の他の材質のシートと、ラミネート
や貼り合わせ等により、多層構造の積層体とすることも
できる。本発明に係る透明性、結晶性及び分解性を併有
するフィルム又はシートは、紙と、ラミネートや貼り合
わせ等により、多層構造の紙製品とすることもできる。
【0083】 押出法又は共押出法の方法論 押出法又は共押出法において、Tダイ、インフレーショ
ンダイ(円形ダイ)、フラットダイ、フィードブロック
/シングルマニホールドダイやいくつかのフィードブロ
ックを組み合わせたシングルマニホールドダイ等の公知
・公用のダイを用いることができる。共押出法において
は、性質の異なる複数の該ポリマー及び又は他種ポリマ
ーを用いて、多層フィルムを製造することができる。
【0084】 二次的加工 本発明に係る分解性共重合体からなるフィルム又はシー
トは、さらに、ブロー加工、真空成形等の二次元的又は
三次元的な形状を賦与する二次的な加工にも好適な材料
である。
【0085】 用途の具体例 本発明に係るフィルム又はシートは、ショッピングバッ
グ、ゴミ袋、コンポストバッグ、セメント袋、肥料袋、
食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、農
業用・園芸用フィルム、温室用フィルム、ビデオやオー
ディオ等の磁気テープカセット製品包装用フィルム、フ
ロッピーディスク包装用フィルム、フェンス、海洋用・
河川用・湖沼用オイルフェンス、粘着テープ、テープ、
結束材、防水シート、かさ、テント、土嚢用袋、セメン
ト袋、肥料用袋等として好適に使用することができる。
本発明の成形体の一態様であるフィルム又はシートは、
食品・菓子包装用フィルム、食品用ラップフィルム、医
薬品用ラップフィルム、生薬用ラップフィルム肩こりや
捻挫等に適用される外科用貼付薬用ラップフィルム、化
粧品・香粧品用ラップフィルム、農薬品用ラップフィル
ム、オーバーヘッドプロジェクター用フィルム、製版用
フィルム、トレーシングフィルム、等に、特に、好適に
使用することができる。本発明の成形体の一態様である
フィルム又はシートは、その特性を活かし、透明性、耐
熱性、分解性が要求される用途に、特に、好適に使用す
ることができる。
【0086】特に、エレクトロニクス、メカトロニク
ス、オプトエレクトロニクス、レーザー(光通信、C
D、CD−ROM、CD−R、LD、DVD、光磁気記
録等も含む。)、液晶、光学、オフィスオートメーショ
ン(OA)、ファクトリーオートメーション等の分野に
おいて好適に使用することができる。その高機能な用途
の具体例としては、例えば、透明導電性フィルム(例え
ば、コンピューター入力用画面タッチパネル等)、熱線
反射フィルム、液晶ディスプレー用フィルム、液晶ディ
スプレー用偏光フィルム、PCB(プリント回路基盤)
等が挙げられる。
【0087】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるも
のではない。また、文中に「%」、「部」及び「分子
量」とあるのは、特に断わらない限り重量基準である。
重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィー(GPC)で測定し、ポリスチレンを基準として換
算した値で示した。以上の実施例、比較例の中で、各物
性は以下の要領で評価した。 曲げ試験、 熱変形
温度、 アイゾット衝撃試験のサンプルの作製方法
は、得られた共重合体及びブレンドポリマーを250〜
280℃に設定した射出成形機で試験片に成形し、それ
ぞれの物性を測定した。また、 引張試験、 透明
性、 分解性については、240℃にて熱プレスして
厚さ100μmのフィルムを作製し、それぞれの物性を
測定した。 引張試験(引張破断強度、破断伸度);ASTM−
D638に準拠した。 曲げ試験(曲げ弾性率、曲げ降伏強度);ASTM
−D790に準拠した。 熱変形温度;ASTM−D648に準拠した。 流動性改質効果;アルキメデス型スパイラル金型
(流動厚さ1mm、流動幅10mm)を用い、樹脂温度28
0℃、金型温度100℃、射出圧力500kgf/cm
2の条件下で流動長を測定した。 また,同じ射出圧力での芳香族ポリカーボネート樹脂の
流動長と比較して、流動長が3倍以上となる場合を流動
性改質効果大、2倍以上〜3倍未満の場合を小、2倍未
満を改良不充分と分類して評価した。 透明性;Haze(曇度)をJIS K−6714
に従って、HazeメーターTC−HIII(東京電色
(株))にて測定した。 分解性;発酵堆肥中に58℃で105日間埋設し
た。評価は目視で行った。 アイゾッド衝撃試験(衝撃値);ASTM−D25
6に準拠した。
【0088】[実施例1] 重量平均分子量10万のL-ポリ乳酸128.6g、重量
平均分子量5.8万のポリカーボネート(帝人化成
(株)製パンライトK−1300)32.2g、酸化錫
(II)0.74gに水分が10ppm以下であるo-
ジクロロベンゼン482gを加え、モレキュラーシーブ
3Αが70g充填され、水分が10ppm以下であるo
-ジクロロベンゼン96.5gが入った管を取り付け、
還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブを通って
再び系内に戻るようにして、150℃/320mmHg
で10時間、系内に水を混入させないようにしながら加
熱攪拌し反応させた。なお、モレキュラーシーブを通過
後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液
に0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800m
lを加え、1時間攪拌させたのち、吸引濾過する操作を
2回行い、錫末を除去した。濾塊をイソプロピルアルコ
ール600mlで攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液
が中性になるまで行った。その後、60℃熱風乾燥し、
141.5g(収率88.0%)のコポリマーを得た。
得られたコポリマーの重量平均分子量は8.6万であっ
た。該分解性共重合体を示差熱分析したところ、ガラス
転移温度は、66.9℃の値を示した。フィルム物性は
以下の通りである。 引張破断強度;670kgf/cm2 引張破断伸度;7% 透明性(Haze);<1% 分解性 ;目視で確認できないほど分解していた。
【0089】[実施例2] 重量平均分子量13万のL−ポリ乳酸15.8g、重量
平均分子量5.8万のポリカーボネート(帝人化成
(株)製パンライトK−1300)142.3g、酸化
錫(II)0.08gに水分が10ppm以下であるo
-ジクロロベンゼン471gを加え、モレキュラーシー
ブ3Αが70g充填され、水分が10ppm以下である
o-ジクロロベンゼン95.3gが入った管を取り付
け、還流により留出する溶媒がモレキュラーシーブを通
って再び系内に戻るようにして、150℃/320mm
Hgで17時間、系内に水を混入させないようにしなが
ら加熱攪拌し反応させた。なお、モレキュラーシーブを
通過後の溶媒中の水分量は、2ppmであった。この反
応液に0.7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液80
0mlを加え、1時間攪拌させたのち、吸引濾過する操
作を2回行い、錫末を除去した。濾塊をイソプロピルア
ルコール600mlで攪拌した後、吸引濾過する操作を
濾液が中性になるまで行った。その後、60℃熱風乾燥
し、123.4g(収率78.1%)のコポリマーを得
た。得られたコポリマーの重量平均分子量は5.2万で
あった。該分解性共重合体を示差熱分析したところ、ガ
ラス転移温度は、62.7及び133.4℃の値を示し
た。フィルム物性は以下の通りである。 引張破断強度;740kgf/cm2 引張破断伸度;7% 透明性(Haze);<1% 分解性 ;わずかに形状を残すのみで、大部分は分解し
ていた。
【0090】[実施例3] L−ポリ乳酸80%とポリブチレンサクシネート20%
を共重合させた重量平均分子量8万のポリ乳酸/ポリブ
チレンサクシネート共重合体15.8g、重量平均分子
量5.8万のポリカーボネート(帝人化成(株)製パン
ライトK−1300)142.3g、錫末0.65gに
水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル482
gを加え、モレキュラーシーブ3Αが70g充填され、
水分が10ppm以下であるジフェニルエーテル10
3.5gが入った管を取り付け、還流により留出する溶
媒がモレキュラーシーブを通って再び系内に戻るように
して、150℃/33mmHgで23時間、系内に水を
混入させないようにしながら加熱攪拌し反応させた。な
お、モレキュラーシーブを通過後の溶媒中の水分量は、
2ppmであった。この反応液に0.7%塩酸/イソプ
ロピルアルコール溶液800mlを加え、1時間攪拌さ
せたのち、吸引濾過する操作を2回行い、錫末を除去し
た。濾塊をイソプロピルアルコール600mlで攪拌し
た後、吸引濾過する操作を濾液が中性になるまで行っ
た。その後、60℃熱風乾燥し、135.2g(収率8
5.5%)のコポリマーを得た。得られたコポリマーの
重量平均分子量は9.2万であった。該分解性共重合体
を示差熱分析したところ、ガラス転移温度は、132.
9℃の値を示した。フィルム物性を以下に示す。 引張破断強度;720kgf/cm2 引張破断伸度;7% 透明性(Haze);<1% 分解性 ;わずかに形状を残すのみで、大部分は分解し
ていた。
【0091】[比較例1・2] 特表平4−504731号に開示されている方法により
製造した重量平均分子量11万のポリL乳酸及び重量平
均分子量5.8万ポリカーボネート(帝人化成(株)製
パンライトL−1225)を表2に示す割合で配合した
後、タンブラーミキサーで十分に混合して、スクリュー
径37mm、L/D=32の二軸押出機にて、溶融温度
250℃、スクリュー回転数80rpmで溶融混合し、
押出してペレットを得た。フィルム物性を以下に示す。
【0092】[比較例1] 引張破断強度;680kgf/cm2 引張破断伸度;8% 透明性(Haze);71.4% 分解性 ;わずかに形状を残すのみで、大部分は分解し
ていた。
【0093】[比較例2] 引張破断強度;730kgf/cm2 引張破断伸度;8% 透明性(Haze);72.0% 分解性 ;若干脆くなったものの、形状は維持してい
た。
【0094】[比較例3] L−ラクタイド128.6g、重量平均分子量5.8万
のポリカーボネート(帝人化成(株)製パンライトK−
1300)32.2gを窒素雰囲気下で系内を置換した
後、165℃で1時間両者を溶融混合させ、オクタン酸
錫0.032gと水分が10ppm以下であるo−ジク
ロロベンゼン482gを加え、モレキュラーシーブ3Α
が70g充填され、水分が10ppm以下であるo−ジ
クロロベンゼン96.5gが入った管を取り付け、還流
により留出する溶媒がモレキュラーシーブを通って再び
系内に戻るようにして、165℃/520mmHgで8
時間、系内に水を混入させないようにしながら加熱攪拌
し反応させた。なお、モレキュラーシーブを通過後の溶
媒中の水分量は、2ppmであった。この反応液に0.
7%塩酸/イソプロピルアルコール溶液800mlを加
え、1時間攪拌させたのち、吸引濾過する操作を2回行
い、錫末を除去した。濾塊をイソプロピルアルコール6
00mlで攪拌した後、吸引濾過する操作を濾液が中性
になるまで行った。その後、60℃熱風乾燥し、13
1.5g(収率81.8%)のコポリマーを得た。得ら
れたコポリマーの重量平均分子量は9.3万であった。
該分解性共重合体を示差熱分析したところ、ガラス転移
温度は、57.0℃の値を示した。フィルム物性を以下
に示す。 引張破断強度;670kgf/cm2 引張破断伸度;8% 透明性(Haze);<1% 分解性 ;目視で確認できないほど分解していた。
【0095】[比較例4] 実施例1、2の分解性共重合体の耐熱性を評価するため
に、重量平均分子量13万のL−ポリ乳酸のガラス転移
温度と熱変形温度を以下に示す。 ガラス転移温度;58℃ 熱変形温度; 57℃ [比較例5] 重量平均分子量5.8万のポリカーボネート(帝人化成
(株)製パンライトK−1300)についての諸物性を
比較例の表に記載した。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【発明の効果】本発明に係る分解性共重合体は、芳香族
ポリカーボネートと脂肪族ポリエステルのブレンドポリ
マーよりも優れた分解性を有しており、また、該ブレン
ドポリマー並びにラクタイドとポリカーボネートの共重
合体は不透明であるのに対し、本発明にの分解性共重合
体は、高度の流動性及びバランスのよい機械的物性を具
備しながら透明性を有している。加えて、本発明に係る
分解性共重合体のガラス転移温度は、構成成分の脂肪族
ポリエステルのそれよりも高いことから、耐熱性が向上
し、幅広い用途への応用が可能である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08G 63/00 - 63/91 C08G 81/00

Claims (14)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリカーボネートと脂肪族ポリエ
    ステルを触媒の存在下、加熱脱水反応させることを特徴
    とする分解性共重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 100℃以上のガラス転移温度を有する
    芳香族ポリカーボネートと、ポリ乳酸及び/又はコポリ
    乳酸を、触媒の存在下、加熱脱水反応させることを特徴
    とする分解性共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機溶媒中で加熱脱水反応させることを
    特徴とする請求項1又は2に記載した分解性共重合体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 反応系の有機溶媒の少なくとも一部を除
    去し、除去した有機溶媒の水分量よりも少ないか等しい
    水分量を有する有機溶媒を反応系に装入することによ
    り、反応系の有機溶媒の水分量を制御することを特徴と
    する請求項3に記載した分解性共重合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 反応系から除去した有機溶媒の水分量よ
    りも少ないか等しい水分量を有する有機溶媒を調製する
    方法が、乾燥剤と接触させることによるものである請求
    項4に記載した分解性共重合体の製造方法。
  6. 【請求項6】 乾燥剤がモレキュラーシーブ類、イオン
    交換樹脂からなる群から選択された少なくとも1種類で
    ある請求項5に記載した分解性共重合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 有機溶媒がエーテル系溶媒、ハロゲン化
    炭化水素系溶媒、炭化水素系溶媒からなる群から選択さ
    れた少なくとも1種類である請求項3乃至6の何れかに
    記載した分解性共重合体の製造方法。
  8. 【請求項8】 反応系から除去した有機溶媒の水分量よ
    りも少ないか等しい水分量を有する有機溶媒が、50p
    pm以下の水分量を有するものである請求項4乃至7の
    何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。
  9. 【請求項9】 触媒が錫系、亜鉛系及びチタン系触媒か
    らなる群から選択された少なくとも1種類である請求項
    1乃至8の何れかに記載した分解性共重合体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 100℃以上のガラス転移温度を有す
    る芳香族ポリカーボネートと、ポリ乳酸及び/又はコポ
    リ乳酸とを、錫系触媒の存在下、有機溶媒中で加熱脱水
    反応させることを特徴とする請求項4乃至8の何れかに
    記載した分解性共重合体の製造方法。の製造方法。
  11. 【請求項11】 芳香族ポリカーボネートが、100℃
    以上のガラス転移温度を有するものである請求項1乃至
    9の何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。
  12. 【請求項12】 脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸及び
    /又はコポリ乳酸である請求項1乃至9、又は、請求項
    11の何れかに記載した分解性共重合体の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項1乃至12の何れかに記載した
    製造方法により製造された、透明性が厚み100μmの
    ときのヘイズ値が10%以下に相当し、かつ、ガラス転
    移温度が原料とした脂肪族ポリエステルのガラス転移温
    度よりも実質的に高いものである分解性共重合体。
  14. 【請求項14】 芳香族ポリカーボネートブロックと、
    鎖状炭化水素及び/又は脂環式炭化水素からなる脂肪族
    ポリエステルブロックとからなる、透明性が厚み100
    μmのときのヘイズ値が10%以下に相当し、かつ、ガ
    ラス転移温度が、脂肪族ポリエステルブロックと同一の
    繰り返し構造を有する脂肪族ポリエステルよりも実質的
    に高いものである分解性共重合体。
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