JP3458869B2 - 水銀蒸気放電ランプ用水銀合金、水銀蒸気放電ランプおよび照明装置 - Google Patents

水銀蒸気放電ランプ用水銀合金、水銀蒸気放電ランプおよび照明装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水銀合金を用いて水銀
を定量封入した水銀蒸気放電ランプ用水銀合金、水銀蒸
気放電ランプおよび照明装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、蛍光ランプに代表される低圧水銀
蒸気を封入した水銀蒸気放電ランプに水銀を封入する方
法としては、液状の水銀をランプに接続した細管から滴
下するのが最も一般的であるが、水銀を定量封入するこ
とが困難である。これを解決するために、水銀をアマル
ガムとして封入する方法、例えばGEMEDIS(サエ
ス社製 商品名)などの水銀合金を封入しこの水銀合金
を加熱して水銀を放出させる方法、水銀をペレットに含
浸させてから封入する方法、および、水銀をガラスカプ
セルに入れて封入する方法などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アマル
ガムを用いる方法は、アマルガムはその温度特性からど
のようなランプにも利用できるものではなく、また、ア
マルガムは水銀を放出した後に再吸収し、水銀蒸気放電
ランプ内の水銀蒸気圧が変化して良好な放電が得られな
いおそれがある。
【0004】また、ガラスカプセルやペレットを用いる
方法では、ガラスカプセルやペレットの構造が複雑で高
価であり、水銀の担持量にも限りがある。
【0005】さらに、水銀合金を用いる方法では、水銀
蒸気放電ランプのガラスバルブの排気管から排気工程後
に粒状の水銀合金を投入する方法が水銀の定量封入が容
易で安価に行えるために一般的であるが、一部の水銀合
金は表面に水銀が染み出し、この染み出した水銀により
水銀合金がべたついて排気管や排気装置、水銀合金投入
装置の途中に水銀合金が引っ掛かってしまい、製造が煩
雑となる。また、ガラスバルブ内に投入した水銀合金
は、ガラスバルブの端部の蛍光体が設けられていない箇
所に移動させて固定するが、ガラスバルブ内に投入した
際に、ガラスバルブの端部に移動するまでに染み出した
水銀がガラスバルブの内面に設けた蛍光体に付着し、黒
化などの染みとなって外観不良となる問題がある。
【0006】このような問題点を解決するために、亜鉛
水銀合金を封入する技術が本発明者らにより開発されて
いる。この亜鉛水銀は数%アマルガム化しているが、水
銀を一度放出すると実質的に短時間では再吸収せず(消
灯後一週間くらいで半分程度再吸収する)、アマルガム
のように動作中に管内の水銀蒸気圧を変化させることは
ない。
【0007】このような亜鉛水銀合金は、粒状にして排
気工程の後に排気管を通して管内に封入しているが、数
%程度粒が排気管あるいは排気装置あるいは水銀封入装
置の途中でひっかかってしまう問題が本発明者らによっ
て見出された。その場合の亜鉛水銀合金を観察すると、
水銀が表面に染みだしており、この水銀が粘着性を出し
て、排気管あるいは排気装置あるいは水銀封入装置の途
中でひっかかってしまうこともわかった。
【0008】本発明者らが先に試みた亜鉛水銀合金の組
成比はいずれも重量比で50:50であり、同じ組成比
にもかかわらず、ひっかかってしまうものと、そうでな
いものとがでていた。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑みなされたもの
で、水銀の定量封入が容易で安価に行え、しかも、ラン
プにこれまでよりも確実に封入しやすい水銀合金とこれ
を用いた水銀蒸気放電ランプおよび照明装置を提供する
ことを目的とする。
【0010】本発明者らはランプに封入できず、途中で
ひっかかってしまった亜鉛水銀合金をX線回析装置で結
晶構造を観測した。すると、亜鉛水銀の金属間結合Zn
3−Hgの強いスペクトルに混じって、亜鉛原子の単結
晶のスペクトルが強い強度でみられた。このことは、多
くの亜鉛原子が亜鉛水銀の金属間結合Zn3−Hgをお
こしているのに対し、一部に亜鉛原子が単結晶状態で存
在していることを意味している。
【0011】一方、ひっかからなかったものについても
X線解析装置で結晶構造を観測すると、亜鉛原子の単結
晶のスペクトルが弱いながらも必ず見られた。このこと
から、従来の良品も、潜在的にひっかかる可能性を秘め
ていることが判った。
【0012】亜鉛原子が単結晶状態で存在すると、水銀
が何故べたつくかを検討した結果、亜鉛水銀合金の組成
比が重量比で50:50ということは、原子数比で、Z
n:Hg=0.76:0.25であり、少しでも亜鉛の
単結晶状態の部分、すなわち、亜鉛が遍在している部分
があると、その結果として、亜鉛と金属間結合できない
水銀が生まれるという結論にいたった。そしてこの水銀
が染みだしてきて、べたつきを引き起こすことがわかっ
た。
【0013】そこで本発明は、水銀のべたつきを引き起
こす原因の結晶状態に着眼し、亜鉛水銀ペレットの結晶
状態を実質的に金属間結合Zn3−Hgとすればよいと
の結論にいたり、本発明を完成した。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の水銀蒸気
放電ランプ用水銀合金は、水銀放出前に水銀と亜鉛とが
1:3〜1:4のモル比で金属間結合しており、亜鉛の
単結晶構造が5%未満であって実質的にZn 3 −Hgか
らなる合金を形成しているものである。
【0015】請求項記載の水銀蒸気放電ランプ用水銀
合金は、請求項1に記載の水銀蒸気放電ランプにおい
て、水銀放出後の再吸収の際に水銀と亜鉛とが金属間結
合するものである。
【0016】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、放
電媒体を収容した透光性気密容器と、この透光性気密容
器に配設された放電手段と、前記透光性気密容器内に固
定され、請求項1または2に記載の水銀合金から水銀を
この透光性気密容器内に放出した後の水銀放出金属とを
具備したものである。
【0017】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、透
光性気密容器と、この透光性気密容器に設けられた放電
手段と、前記透光性気密容器内に設けられ、水銀放出後
はランプ動作中は水銀を実質的に再吸収しない、請求項
または2に記載の水銀合金とを具備したものである。
【0018】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、請
求項または記載の水銀蒸気放電ランプにおいて、透
光性気密容器は、環形であるものである。
【0019】請求項記載の照明装置は、請求項ない
いずれか1に記載の水銀蒸気放電ランプと、この水
銀蒸気放電ランプを装着する器具本体とを具備したもの
である。
【0020】
【作用】請求項1記載の水銀蒸気放電ランプ用水銀合金
は、水銀放出前に水銀と亜鉛とが1:3以上のモル比で
金属間結合しているため、亜鉛と水銀との金属結合力が
増大することにより、製造工程中に水銀と亜鉛との結合
が切断して水銀が染み出すのを低減し、水銀放出前に亜
鉛の単結晶構造が5%未満であるため、水銀が亜鉛と金
属間結合を構成し、自由な水銀量が低減して、製造工程
中に自由な水銀の染み出しが低減するとともに、水銀放
出前に水銀と亜鉛とのモル比が1:4以下であるため、
亜鉛と金属結合を構成しない水銀が減少し、製造工程中
に自由な水銀の染み出しが低減するなど、製造性が向上
する。
【0021】請求項記載の水銀蒸気放電ランプ用水銀
合金は、請求項1に記載の水銀蒸気放電ランプ用水銀合
金において、水銀放出後の再吸収の際に水銀と亜鉛とが
金属間結合するため、水銀の再吸収の際に水銀合金に自
由な水銀が存在することを低減して、自由な水銀の染み
出しによる黒化などの外観不良や水銀蒸気圧の変動を防
止する。
【0022】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、放
電手段を配設し放電媒体を収容した透光性気密容器内
に、請求項1または2に記載の水銀の染み出しを低減し
た水銀合金を固定し、この水銀合金から水銀を透光性気
密容器内に放出させるため、透光性気密容器内への水銀
合金の投入の際に、染み出した水銀により水銀合金が各
所に付着することを防止して製造性を向上させるととも
に、染み出した水銀が各所に付着することを防止して黒
化などの外観不良を防止し、水銀蒸気圧の変動を防止す
る。
【0023】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、放
電手段を設けた透光性気密容器内に、水銀放出後はラン
プ動作中は水銀を実質的に再吸収しない、請求項1また
は2に記載の水銀合金を設けたため、水銀蒸気圧の変動
を防止して安定した放電が得られる。
【0024】請求項記載の水銀蒸気放電ランプは、請
求項または記載の水銀蒸気放電ランプにおいて、透
光性気密容器を環形に形成したため、水銀合金の封入が
容易となる。
【0025】請求項記載の照明装置は、請求項ない
いずれか1に記載の水銀蒸気放電ランプを装着する
器具本体を設けたため、安定した放電が得られ、良好な
照明が得られる。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明
する。
【0027】図2において、1はペンダント型の照明装
置本体で、この照明装置本体1は、器具本体2と、この
器具本体2に着脱自在に装着される水銀蒸気放電ランプ
3を取り付けるランプ保持体4とから構成されている。
【0028】そして、器具本体2は、下面が開口された
皿状の基板部6と略球弧面状の本体カバー7とにて構成
され、この本体カバー7の外側面は、白色の拡散反射面
または銀色反射面などの反射面8が形成されている。そ
して、この反射面8は、下面部まで連続して全体が略球
弧面状に形成され、直径方向に細長のランプ保持体嵌合
凹部9が形成されている。
【0029】また、器具本体2のランプ保持体嵌合凹部
9の内底面の中央部にはプルスイッチ嵌合突部11が形成
され、このプルスイッチ嵌合突部11の下面には、図示し
ないプルスイッチの引紐12が挿通される挿通孔13が形成
されている。そして、ランプ保持体嵌合凹部9の内底面
の一側には図示しないコネクタ孔が形成されている。
【0030】さらに、ランプ保持体嵌合凹部9の内底面
の他側には略筒状の図示しない常夜灯配設部が突設さ
れ、この常夜灯配設部の下面は開口され、この下面の開
口には透光性のカバー体14が着脱自在に嵌着されてい
る。そして、このカバー体14は、例えば電圧を印加する
と透明から不透明まで連続的に透視度が変化する調光液
晶シートにて形成されている。
【0031】また、本体カバー7の外側面に形成したラ
ンプ保持体嵌合凹部9の中央部両側外縁部には手が挿入
可能な半円凹弧状の操作部15が形成されている。
【0032】さらに、本体カバー7内には、図示しない
プルスイッチ、常夜灯となる発光ダイオード、インバー
タからなる電子安定器などの点灯回路を形成する回路部
品が搭載された回路基板が設けられている。
【0033】一方、ランプ保持体4は、器具本体2のラ
ンプ保持体嵌合凹部9に嵌着される略細長形状で、下面
部が本体カバー7と同様に略球弧面状に形成され、ラン
プ保持体4を器具本体2のランプ保持体嵌合凹部9に嵌
着した時に、器具本体2の反射面8の略球弧面状の下面
部の曲面と、ランプ保持体4の下面部の略球弧面状の曲
面とが略面一の曲面となるように形成されている。
【0034】そして、ランプ保持体4には、一側にソケ
ットアーム17が外側に向かって下方に傾斜状に設けられ
ている。そして、このソケットアーム17の先端近傍に
は、上面にそれぞれ大小の管径の異なる環形の水銀蒸気
放電ランプ3,3の口金部18,18の図示しないランプピ
ンを接続するランプソケット19,19が設けられている。
また、ランプ保持体4の他側には、上面に水銀蒸気放電
ランプ3,3を弾性的に保持する図示しない保持部を設
けたランプ保持アーム20が、ソケットアーム17と同様
に、外側に向かって下方に傾斜状に設けられている。
【0035】また、ランプ保持体4の中央部には、プル
スイッチ嵌合突部11を挿通する挿入孔22が上下面に貫通
形成され、この挿入孔22の他側に位置して、カバー体14
を下方に臨ませて常夜灯配設部を挿通する通孔23が上下
面に貫通形成されている。そして、このランプ保持体4
を本体カバー7のランプ保持体嵌合凹部9に嵌着した状
態でプルスイッチ嵌合突部11は挿入孔22に挿通されて引
紐12が引き出され、常夜灯配設部のカバー体14が通孔23
に露出され、ランプ保持体嵌合凹部9のコネクタ孔を介
してランプソケット19,19が回路基板に接続されるよう
になっている。
【0036】一方、水銀蒸気放電ランプ3は、図1に示
すように、鉛成分を含まないソーダライムガラスバルブ
からなる透光性気密容器としての環状のメインチューブ
31を有し、このメインチューブ31の内部には水銀(H
g)およびアルゴン(Ar)などの希ガスを含む放電媒
体としての可電離性媒体が封入されている。さらに、メ
インチューブ31内面には、蛍光発光層32が形成されてい
る。
【0037】また、33は放電手段としての電極であっ
て、電極33は鉛ガラスからなるステム34に設置されてい
る。ステム34には閉塞された排気管35が設けられてい
る。さらに、メインチューブ31とステム34の境界部36に
は、節部37がモールド整形されている。なお、この節部
37は、本来直管状のガラスバルブを環状に整形するとき
に図示しないチャックで掴まれるものである。
【0038】さらに、この節部37には、端部側の蛍光発
光層32の形成されていない部分に粒状の水銀合金38が固
定されている。この水銀合金38は、水銀を放出した後の
金属で、亜鉛(Zn)を主成分としたものである。
【0039】そして、この節部37に固定された水銀合金
38は、加熱によりほとんどの水銀が放出され、水銀を僅
かに含んだZn−Hg合金だけが残留した組成である。
【0040】また、この水銀合金38の水銀放出前の組成
は、水銀と亜鉛とのモル比が1:4以下、すなわち水銀
がモル比で1/5以上の合金で、X線回折による亜鉛の
単結晶構造がX線回折でピークとして検出できない5%
未満で、亜鉛と水銀とが1:3以上のモル比で金属間結
合しておりほとんどZn3−Hg合金の組成である。
【0041】この水銀合金38の作製に際しては、所定量
に秤量された亜鉛および水銀の材料金属を十分に混合溶
融させ、例えば比較的高温に保持された水より熱伝導率
の低い油などの溶媒中に図示しないノズルなどから滴下
させて急冷しないように冷却スピードを調整して冷却し
合金粒を形成する。
【0042】ところで、この水銀合金38を作製する際
に、水銀と亜鉛とのモル比が1:より水銀が多くなる
と、亜鉛と金属間結合できない自由な水銀が増加し、水
銀合金の表面に水銀が染み出し始める。また、水銀と亜
鉛とのモル比が1:4以下となるように秤量して混合溶
融させても、攪拌混合が不十分であったり急冷させた場
合には、部分的に亜鉛の単結晶を偏析する。そして、こ
の亜鉛の単結晶がX線回折でピークとして検出される全
体の5%以上となると、亜鉛と金属間結合できない自由
な水銀が増大し、水銀合金38の表面に水銀が染み出し始
める。
【0043】また、水銀と亜鉛とが1:3未満のモル比
で金属間結合させると、Zn3−Hg合金の他にZn−
Hg合金の割合が増大する。ところで、このZn−Hg
合金は、Zn3−Hg合金の金属間結合力より弱い結合
力であるため、常温でも蒸気圧を有しているので、Zn
−Hg結合が切断して自由となった水銀が水銀合金38の
表面に染み出し始める。
【0044】したがって、従来のメインチューブ31内に
水銀合金38を封入する際に水銀の染み出しにより生じる
製造性の低下や黒化や染みなどを生じた不良品の増大な
どを防止するため、表面に水銀が染み出さないように、
水銀合金38の水銀放出前の組成は、水銀と亜鉛とのモル
比が1:4以下で、X線回折による亜鉛の単結晶構造が
X線回折でピークとして検出できない5%未満で、亜鉛
と水銀とが1:3以上のモル比で金属間結合しておりほ
とんどZn3−Hg合金の組成となるように形成するこ
とが好ましい。
【0045】さらに、水銀合金38は、水銀放出後水銀の
再吸収は実質的に行われない、すなわち、アマルガムの
ようにメインチューブ31内の水銀蒸気圧に影響を与える
程吸収しない、または、再吸収しても電極33が通電され
て加熱した際に水銀を再び放出し、再吸収した際には再
び亜鉛と水銀とがZn3−Hg合金の金属間結合を構成
するように形成されている。
【0046】そして、メインチューブ31内に封入される
水銀合金38の封入量は、水銀放出前は水銀との合金の状
態で直径約1.5mmの大きさの粒1個であるが、これ
よりも小さいものを数個封入してもよい。
【0047】次に、上記実施例の水銀蒸気放電ランプの
製造動作を説明する。
【0048】まず、蛍光体焼成工程などを経て内面に蛍
光発光層32を形成したソーダライムガラスバルブからな
る直管状のメインチューブ31の両端に、電極33と排気管
35を設けた鉛ガラスからなるステム34を封装する。な
お、これらステム34のうちの一方は、排気管35が閉塞さ
れていて、他方のステム34の排気管35は閉塞されていな
いものを用いる。また、ステム34を封装するとき、ガラ
スが柔らかいうちに、メインチューブ31とステム34との
境界部36にモールド整形により節部37を形成する。
【0049】そして、メインチューブ31の両端を封止す
るモールド工程の終了後、排気管35が閉塞されている端
部を下にしてメインチューブ31全体を加熱し、メインチ
ューブ31を軟化させる。この後、下側の節部37を図示し
ないクリップにより掴んでメインチューブ31を曲げ、図
示しない円形ドラムに巻き付けて環状に整形する。この
とき、メインチューブ31内のガス圧を高めて、メインチ
ューブ31が潰れないようにする。
【0050】次に、メインチューブ31全体を加熱しなが
ら閉塞されていない排気管35から排気を行ない、可電離
性媒体を封入した後、所定の組成に形成された水銀放出
前の水銀合金38を排気管35からメインチューブ31内に投
入し、排気管35をチップオフする。なお、投入された水
銀合金38は重力下側に落下して節部37近傍の境界部36に
移動する。そして、メインチューブ31はステム34を含め
てかなり高温になっているため、水銀合金38は、移動し
た高温のメインチューブ31とステム34の境界部36に接触
し、そのままあるいはメインチューブ31の軟化温度未満
の温度で若干の加熱を加えることで水銀を放出するとと
もに溶融し、境界部36の節部37に溶融固着する。そし
て、メインチューブ31の両端を連結するように口金部18
を設けて水銀蒸気放電ランプ3を形成する。
【0051】上記実施例は、水銀合金38として、水銀放
出前の組成は、水銀と亜鉛とのモル比が1:4以下で、
X線回折による亜鉛の単結晶構造がX線回折でピークと
して検出できない5%未満で、亜鉛と水銀とが1:3以
上のモル比で金属間結合しておりほとんどZn3−Hg
合金の組成に形成したものを用いる。
【0052】このため、水銀合金38の表面に水銀が染み
出すことを防止でき、従来のように、水銀が染み出し、
この染み出した水銀により水銀合金がべたついて排気管
35や図示しない排気装置および水銀合金投入装置の途中
に水銀合金38が引っ掛かることを防止でき、製造性を向
上できる。また、メインチューブ31内に投入した水銀合
金38を、メインチューブ31の端部に移動するまでに染み
出した水銀が蛍光発光層32に付着し、黒化などの染みと
なって外観不良が生じることも防止できる。
【0053】さらに、水銀合金38として、水銀放出後水
銀の再吸収は実質的に行われない、すなわち、アマルガ
ムのようにメインチューブ31内の水銀蒸気圧に影響を与
える程吸収しない、または、再吸収しても電極が通電さ
れて加熱した際に水銀を再び放出し、再吸収した際には
再び亜鉛と水銀とがZn3 −Hg合金の金属間結合を構
成するように形成したものを用いるため、水銀蒸気放電
ランプ3の動作中に水銀蒸気圧が変動することを防止で
き、安定した放電が得られ、良好な照明が得られるとと
もに、寿命特性も向上できる。
【0054】さらに、粒状の水銀合金38を用いて水銀を
定量封入するため、液状の水銀をそのまま滴下させるも
のより正確に水銀を定量封入できる。
【0055】また、水銀合金38は、比較的低い温度で水
銀を放出するため、メインチューブ31を環状に屈曲する
際の加熱を利用して水銀を放出できるとともに、水銀放
出後の水銀合金38を容易に固定でき、水銀放出のための
加熱手段やリング状の水銀合金を電極33の周囲に配置す
るなどの特別な構成を必要とせず、簡単な構造で安価に
水銀蒸気放電ランプ3を容易に形成できる。
【0056】さらに、水銀合金38を節部37に固着する
際、メインチューブ31の鉛成分が水銀合金38と馴染み、
水銀合金38を容易にかつ強固に固着できる。
【0057】また、メインチューブ31は環形であり、環
形に加工した後水銀合金38を封入するので、節部37の水
銀合金38が位置する箇所を若干加熱する場合には、加熱
が容易に行え、水銀合金38の封入が容易にできる。
【0058】なお、上記実施例において、水銀蒸気放電
ランプ3は、上述の低圧型の蛍光ランプのようなものに
限らず、高圧型のものでもよく、環状でなく直管型のも
の、水銀ランプなどの蛍光発光層32を有していないも
の、電極33が外部に設けられた無電極型のものなど、メ
インチューブ31内に水銀蒸気を封入するいずれの水銀蒸
気放電ランプでもできる。さらに、照明装置としては、
照明器具、電球型蛍光ランプ、安定器別置きの灯光器な
ど、いずれのものでもよい。
【0059】また、亜鉛と水銀とを金属間結合させて水
銀合金38を形成して説明したが、亜鉛の他にタンタル
(Ta)、アルミニウム(Al)、モリブデン(Mo)
など、水銀が表面に染み出さないように金属間結合させ
て合金を形成させたものでもできる。
【0060】
【発明の効果】請求項1記載の水銀蒸気放電ランプ用水
銀合金によれば、水銀放出前に水銀と亜鉛とが1:3以
上のモル比で金属間結合しているため、亜鉛と水銀との
金属結合力が増大することにより、製造工程中に水銀と
亜鉛との結合が切断して水銀が染み出すのを低減でき
水銀放出前に亜鉛の単結晶構造が5%未満であるため、
水銀が亜鉛と金属間結合を構成し、自由な水銀量が低減
して、製造工程中に自由な水銀の染み出しを低減できる
とともに、水銀放出前に水銀と亜鉛とのモル比が1:4
以下であるため、亜鉛と金属結合を構成しない水銀が減
少し、製造工程中に自由な水銀の染み出しを低減できる
など、製造性を向上できる。
【0061】請求項記載の水銀蒸気放電ランプ用水銀
合金によれば、請求項1記載の水銀蒸気放電ランプ用水
銀合金に加え、水銀放出後の再吸収の際に水銀と亜鉛と
が金属間結合するため、水銀の再吸収の際に水銀合金に
自由な水銀が存在することを低減でき、自由な水銀の染
み出しによる黒化などの外観不良や水銀蒸気圧の変動を
防止でき、安定して放電できる。
【0062】請求項記載の水銀蒸気放電ランプによれ
ば、放電手段を配設し放電媒体を収容した透光性気密容
器内に、請求項1または2に記載の水銀の染み出しを低
減した水銀合金を固定し、この水銀合金から水銀を透光
性気密容器内に放出させるため、透光性気密容器内への
水銀合金の投入の際に、染み出した水銀により水銀合金
が各所に付着することを防止でき、製造工程が煩雑とな
ることを防止でき、製造性を向上できるとともに、染み
出した水銀が各所に付着することを防止して黒化などの
外観不良を防止でき、水銀蒸気圧の変動を防止でき、安
定して放電できる。
【0063】請求項記載の水銀蒸気放電ランプによれ
ば、放電手段を設けた透光性気密容器内に、水銀放出後
はランプ動作中は水銀を実質的に再吸収しない、請求項
または2に記載の水銀合金を設けたため、水銀蒸気圧
の変動を防止でき安定して放電できる。
【0064】請求項記載の水銀蒸気放電ランプによれ
、請求項または記載の水銀蒸気放電ランプに加
え、透光性気密容器を環形に形成したため、水銀合金を
容易に封入できる。
【0065】請求項記載の照明装置によれば、請求項
ないしいずれか1に記載の水銀蒸気放電ランプを装
着する器具本体を設けたため、安定して放電でき、良好
な照明が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す環形の水銀蒸気放電ラン
プの一部を切り欠いた断面図である。
【図2】同上の水銀蒸気放電ランプを装着した照明装置
本体を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 照明装置本体 2 器具本体 3 水銀蒸気放電ランプ 31 透光性気密容器としてのメインチューブ 33 放電手段としての電極 38 水銀合金
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−260139(JP,A) 特開 平1−169838(JP,A) 特開 平6−283102(JP,A) 特開 平8−17395(JP,A) 特開 昭54−118675(JP,A) 特開 平7−211235(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/24 - 61/30

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水銀放出前に水銀と亜鉛とが1:3
    1:4のモル比で金属間結合しており、亜鉛の単結晶構
    造が5%未満であって実質的にZn 3 −Hgからなる合
    金を形成していることを特徴とする水銀蒸気放電ランプ
    用水銀合金。
  2. 【請求項2】 水銀放出後の再吸収の際に水銀と亜鉛と
    が金属間結合することを特徴とする請求項1記載の水銀
    蒸気放電ランプ用水銀合金。
  3. 【請求項3】 放電媒体を収容した透光性気密容器と、 この透光性気密容器に配設された放電手段と、 前記透光性気密容器内に固定され、請求項1または2
    記載の水銀合金から水銀をこの透光性気密容器内に放出
    した後の水銀放出金属とを具備したことを特徴とする水
    銀蒸気放電ランプ。
  4. 【請求項4】 透光性気密容器と、 この透光性気密容器に設けられた放電手段と、 前記透光性気密容器内に設けられ、水銀放出後はランプ
    動作中は水銀を実質的に再吸収しない、請求項1または
    2に記載の水銀合金とを具備したことを特徴とする水銀
    蒸気放電ランプ。
  5. 【請求項5】 透光性気密容器は、環形であることを特
    徴とする請求項または記載の水銀蒸気放電ランプ。
  6. 【請求項6】 請求項ないしいずれか1に記載の水
    銀蒸気放電ランプと、 この水銀蒸気放電ランプを装着する器具本体とを具備し
    たことを特徴とする照明装置。
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