JP3455954B2 - ビニルエーテルまたはプロペニルエーテル重合用リビング重合開始剤、およびそれを用いたリビング重合法 - Google Patents

ビニルエーテルまたはプロペニルエーテル重合用リビング重合開始剤、およびそれを用いたリビング重合法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、新規なリビング重合開始
剤およびこの開始剤を用いたリビング重合方法に関し、
さらに詳しくは、高分子量で、しかも分子量分布の狭い
ビニルエーテル類のカチオン重合系リビング重合体を製
造することができるようなビニルエーテルまたはプロペ
ニルエーテル重合用リビング重合開始剤およびリビング
重合方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、スチレン、α−オレフ
ィン、ビニルエーテルなどのビニル化合物を付加重合さ
せてポリスチレン、ポリオレフィン、ポリビニルエーテ
ルなどを製造する方法は工業的に広く行われている。
【0003】このような付加重合は、その置換基または
重合開始剤(触媒)などによって、カチオン重合反応、
アニオン重合反応またはラジカル重合反応によって重合
が進行している。
【0004】ところでビニル化合物のうちでも、ビニル
エーテルなどのような電子供与性の置換基を有するビニ
ル化合物は、プロトン酸系触媒、あるいはルイス酸系触
媒によってカチオン重合することが知られている。しか
しながらこのようなこのカチオン重合においては、生長
炭素カチオンが異性化および種々の物質との連鎖移動反
応を起こしやすく、得られる重合体の分子量あるいは分
子量分布を規制することは困難であった。
【0005】このため、このようなビニル化合物のカチ
オン重合においても、得られる重合体の分子量分布を容
易に制御することができるようなカチオン重合系リビン
グ重合開始剤および重合方法の出現が望まれている。
【0006】本発明者は、このようなカチオン重合系リ
ビング重合について研究したところ、ハロゲン含有重合
開始剤[A]と、特定のルイス酸[B]と、特定のホウ
素化合物[C]とからなる重合開始剤を用いると、ビニ
ルエーテル類あるいはプロペニルエーテル類をリビング
重合させることができ、得られる重合体の分子量分布も
狭いことを見出して本発明を完成するに至った。
【0007】なお本発明者らは、先にイソブチルビニル
エーテル(IBVE)を、HClなどのハロゲン化合物
と、TiCl4 、SnCl4 などのルイス酸と、(n-B
u)4(+) Cl(-) などのハロゲン化アンモニウム塩
とからなる重合開始剤の存在下で、リビング重合させる
方法を提案している(Macromolecules, 26, 1643(199
3))。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、ビニルエーテル類あるいはプ
ロペニルエーテル類を、リビング重合させうるリビング
重合開始剤、およびこれを用いたビニルエーテル類ある
いはプロペニルエーテル類のリビング重合方法を提供す
ることを目的としている。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るビニルエーテルまたはプロ
ペニルエーテル重合用リビング重合開始剤は、 [A]下記の重合開始剤(a-i) または(a-ii)と: (a-i) ハロゲン化水素;HX(XはCl、BrまたはI
である。)、 (a-ii)このHXとビニルエーテルとの付加体;CH3-C
HX(OR)、またはHXとプロペニルエーテルとの付
加体;CH3-CH2-CHX(OR)(Rはアルキル基ま
たはヘテロ原子を含む原子団で置換されたアルキル基で
ある。)、 [B]SnX4、SnX2、ZnX2 またはTiX4 (X
はCl、BrまたはI)から選ばれるルイス酸と、 [C]下記式(c-i) または(c-ii)で示されるホウ素化合
物と Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-i) Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-ii) (式中、Ra は一級または二級のアルキル基またはアラ
ルキル基であり、Rb は芳香族炭化水素基であり、ハロ
ゲンまたはアルキル基で置換されていてもよい。)から
なることを特徴としている。
【0010】本発明に係るリビング重合方法は、上記の
ような重合開始剤の存在下に、ビニルエーテルまたはプ
ロペニルエーテルをリビング重合させることを特徴とし
ている。
【0011】本発明において、重合温度は、−100℃
〜0℃であることが好ましい。本発明に係るリビング重
合では、分子量分布(Mw/Mn)が1.25以下であ
る重合体を製造することが好ましい。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係るビニルエーテ
ルまたはプロペニルエーテル重合用リビング重合開始
よびこれを用いるリビング重合について説明する。
【0013】本発明に係るリビング重合開始剤は、 [A]重合開始剤と、 [B]特定のルイス酸と、 [C]特定のホウ素化合物とからなる。
【0014】図1に、本発明に係るビニルエーテルまた
はプロペニルエーテル重合用リビング重合開始剤の調製
工程図を示す。[A]重合開始剤 本発明で用いられる重合開始剤[A]としては、 (a-i) ハロゲン化水素;HX、または (a-ii)このHXと、ビニルエーテルまたはプロペニルエ
ーテルとの付加体;CH3-CHX(OR)またはCH3-
CH2-CHX(OR)が用いられる。
【0015】上記のようなハロゲン(X)は、塩素、臭
素またはヨウ素であり、好ましくは塩素である。ハロゲ
ン化水素(a-i) としては、好ましくは塩化水素ガスが用
いられる。
【0016】また付加体としてのCH3-CHX(OR)
またはCH3-CH2-CHX(OR)では、置換基Rとし
ては、具体的に、メチル、エチル、イソプロピル、イソ
ブチル、n-ブチル、イソオクチル、n-ヘキサデシル、n-
エイコシルなどの炭素数1〜20の直鎖状または分岐状
アルキル基が挙げられる。
【0017】また置換基Rは、アルキル基の水素の一部
がヘテロ原子を含む原子団で置換された基であってもよ
い。このようなヘテロ原子を含む原子団で置換されたア
ルキル基としては、具体的に、2-クロロエチル、2-ブロ
モエチル、2-アセトキシエチル、3,3-ジ(エトキシカル
ボニルオキシ)プロピル、2-〔N,N-ジ(t-ブトキシカル
ボニルオキシ)〕アミノエチルなどの基が挙げられる。
【0018】このような付加体;CH3-CHX(OR)
としては、具体的に、1-イソブトキシエチルクロライ
ド、1-イソブトキシエチルブロマイド、1-イソブトキシ
エチルヨーダイド、1-メトキシエチルクロライド、1-エ
トキシエチルクロライド、1-イソプロポキシエチルクロ
ライド、1-n-ブトキシエチルクロライド、1-イソオクチ
ルオキシエチルクロライド、1-n-ヘキサデシルオキシエ
チルクロライド、1-n-エイコシルオキシエチルクロライ
ド、1-(2-クロロエチルオキシ)エチルクロライド、1-
(2-ブロモエチルオキシ)エチルクロライド、1-(2-ア
セトキシエチルオキシ)エチルクロライド、1-〔3,3-ジ
(エトキシカルボニルオキシ)プロポキシ)エチルクロ
ライド、1-{〔N,N-ジ(t-ブトキシカルボニルオキ
シ)〕アミノエトキシ}エチルクロライドなどが挙げら
れる。
【0019】また付加体;CH3-CH2-CHX(OR)
としては、具体的に、1-イソブトキシプロピルクロライ
ド、1-イソブトキシプロピルブロマイド、1-イソブトキ
シプロピルヨーダイド、1-メトキシプロピルクロライ
ド、1-エトキシプロピルクロライド、1-イソプロポキシ
プロピルクロライド、1-n-ブトキシプロピルクロライ
ド、1-イソオクチルオキシプロピルクロライド、1-n-ヘ
キサデシルオキシプロピルクロライド、1-n-エイコシル
オキシプロピルクロライド、1-(2-クロロエチルオキ
シ)プロピルクロライド、1-(2-ブロモエチルオキシ)
プロピルクロライド、1-(2-アセトキシエチルオキシ)
プロピルクロライド、1-〔3,3-ジ(エトキシカルボニル
オキシ)プロポキシ)プロピルクロライド、1-{〔N,N-
ジ(t-ブトキシカルボニルオキシ)〕アミノエトキシ}
プロピルクロライドなどが挙げられる。
【0020】これらのうち、塩化水素とイソブチルビニ
ルエーテルまたはn-ブチルビニルエーテルとの付加体で
ある1-イソブトキシエチルクロライド、1-n-ブトキシエ
チルクロライドなどが好ましい。
【0021】[B]ルイス酸 本発明では、活性化剤として特定のルイス酸が用いられ
る。このようなルイス酸としては、SnX4 、Sn
2 、ZnX2 またはTiX4が挙げられる。(Xは塩
素、臭素またはヨウ素である。)このようなルイス酸と
しては、具体的に、SnCl4 、SnBr4 、SnCl
2 、ZnCl2 、ZnBr2 、ZnI2 、TiCl4
TiBr4 などが挙げられる。
【0022】これらのうち、SnCl4 、TiCl4
SnBr4 などが好ましい。[C]ホウ素化合物 本発明では、下記式で示される特定のホウ素化合物が用
いられる。
【0023】Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-i) Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-ii) (式中、Ra は一級または二級のアルキル基またはアラ
ルキル基であり、Rb は芳香族炭化水素基であり、ハロ
ゲンまたはアルキル基で置換されていてもよい。)上記
のようなRa としては、具体的に、メチル、エチル、イ
ソプロピル、イソブチル、n-ブチル、イソオクチル基な
どのアルキル基、ベンジルなどのアラルキル基が挙げら
れる。
【0024】Rb としては、フェニル、p-メチルフェニ
ル、p-フルオロフェニル、ヘキサフルオロフェニルなど
が挙げられる。上記のような式(c-i) および(c-ii)で示
されるホウ素化合物としては、より具体的に、 テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート;(B
u)4(+)B(φ)4 (-)、 テトラメチルアンモニウムテトラフェニルボレート;(M
e)4(+)B(φ)4 (-)、 テトラブチルアンモニウムテトラキス(4-フルオロフェ
ニル)ボレート;
【0025】
【化1】
【0026】テトラブチルアンモニウムテトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ボレート;(Bu)4(+)B(-C6
5)4 (-) 、 テトラブチルホスホニウムテトラフェニルボレート;(B
u)4(+)B(φ)4 (-)、 テトラブチルホスホニウムテトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)ボレート;(Bu)4(+)B(-C65)4 (-)
どが挙げられる。
【0027】これらのうち、テトラブチルアンモニウム
テトラフェニルボレート、テトラブチルアンモニウムテ
トラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが好
ましい。
【0028】リビング重合開始剤 本発明に係るビニルエーテルまたはプロペニルエーテル
重合用リビング重合開始剤は、上記のような[A]重合
開始剤と、[B]特定のルイス酸と、[C]特定のホウ
素化合物とからなるが、これらは重合に際して、それぞ
れ重合容積1リットルに対して [A]重合開始剤は、1〜10ミリモル、好ましくは5
〜10ミリモルの量で、 [B]ルイス酸は、1〜10ミリモル、好ましくは1〜
5ミリモルの量で、 [C]ホウ素化合物は、1〜20ミリモル、好ましくは
1〜10ミリモルの量で用いられることが望ましい。
【0029】リビング重合 本発明では、上記のような重合開始剤の存在下に、ビニ
ルエーテル(CH2=CHOR)またはプロペニルエー
テル(CH3-CH=CHOR)を重合させる。
【0030】このような置換基Rとしては、具体的に、
メチル、エチル、イソプロピル、イソブチル、n-ブチ
ル、イソオクチル、n-ヘキサデシル、n-エイコシルなど
の炭素数1〜20の直鎖状または分岐状アルキル基が挙
げられる。また置換基Rは、アルキル基の水素の一部が
ヘテロ原子を含む原子団で置換された基であってもよ
い。このようなヘテロ原子を含む原子団で置換されたア
ルキル基としては、具体的に、2-クロロエチル、2-ブロ
モエチル、2-アセトキシエチル、3,3-ジ(エトキシカル
ボニルオキシ)プロピル、2-〔N,N-ジ(t-ブトキシカル
ボニルオキシ)〕アミノエチルなどの基が挙げられる。
【0031】本発明でリビング重合されるビニルエーテ
ルおよびプロペニルエーテルとしては、より具体的に、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプ
ロピルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n-
ブチルビニルエーテル、イソオクチルビニルエーテル、
n-ヘキサデシルビニルエーテル、n-エイコシルビニルエ
ーテルなどのアルキルビニルエーテル類、メチルプロペ
ニルエーテル、エチルプロペニルエーテル、イソプロピ
ルプロペニルエーテル、イソブチルプロペニルエーテ
ル、n-ブチルプロペニルエーテル、イソオクチルプロペ
ニルエーテル、n-ヘキサデシルプロペニルエーテル、n-
エイコシルプロペニルエーテルなどのアルキルプロペニ
ルエーテル類が挙げられる。
【0032】さらには、2-クロロエチルビニルエーテ
ル、2-ブロモエチルビニルエーテル、2-アセトキシエチ
ルビニルエーテル、3,3-ジ(エトキシカルボニルオキ
シ)プロピルビニルエーテル、2-〔N,N-ジ(t-ブトキシ
カルボニルオキシ)〕アミノエチルビニルエーテル、2-
クロロエチルプロペニルエーテル、2-ブロモエチルプロ
ペニルエーテル、2-アセトキシエチルプロペニルエーテ
ル、3,3-ジ(エトキシカルボニルオキシ)プロピルプロ
ペニルエーテル、2-〔N,N-ジ(t-ブトキシカルボニルオ
キシ)〕アミノエチルプロペニルエーテルなどのヘテロ
原子を含む原子団で置換されたアルキル基を有するビニ
ルエーテル類およびプロペニルエーテル類が挙げられ
る。
【0033】本発明では、これらのうち、イソブチルビ
ニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、イソブ
チルプロペニルエーテルなどを重合させることが好まし
い。上記のような重合開始剤の存在下に行われるビニル
エーテル類の重合は、−100℃〜0℃、好ましくは−
80〜−15℃の重合温度で実施されることが望まし
い。
【0034】また重合時間は、通常10秒間〜90分
間、好ましくは30秒間〜10分間である。本発明に係
るリビング重合は、溶媒中で行うことが好ましく、この
ような溶媒としては、塩化メチレン、トルエン、n-ヘキ
サン、1,2-ジクロロエタンなどが用いられる。
【0035】また重合時のビニルエーテル類またはプロ
ペニルエーテル類の初期濃度は、通常0.1〜5モル/
リットル、好ましくは0.5〜2モル/リットルである
ことが望ましい。
【0036】上記のような重合開始剤の存在下に行われ
るビニルエーテル類の重合では、リビング重合体である
ポリビニルエーテル類が得られるが、このカチオン重合
系リビング重合では、たとえばイソブトキシエチルクロ
ライドと、SnCl4 と、テトラブチルアンモニウムテ
トラフェニルボレートとからなる重合開始剤の存在下に
イソブチルビニルエーテルを重合させると、生長末端の
炭素カチオンがテトラフェニルボレートアニオンで安定
化されていると推測される。
【0037】なおこれに対して、リビング重合ではない
従来のイソブチルビニルエーテルのカチオン重合では、
下記のような活性種を生じることが知られている。
【0038】
【化2】
【0039】本発明において、リビング重合が進行して
いることは、重合反応が終了した系に新たにモノマー
(ビニルエーテル類、プロペニルエーテル類)を添加す
ると、これらのモノマーがさらに重合され、分子量の大
きい重合体が得られることから確かめられる。
【0040】リビング重合体 上記のような本発明によれば、ビニルエーテルまたはプ
ロペニルエーテルのリビング重合体が得られる。
【0041】本発明では、これらの重合体の分子量を容
易に制御することができる。本発明で得られるリビング
重合体では、重合度が、通常10〜1000、好ましく
は10〜500であり、数平均分子量Mnは、通常、1
×103 〜1×106 、好ましくは1×103〜5×1
4 であることが望ましい。
【0042】また分子量分布Mw(重量平均分子量)/
Mnは、1.25以下、好ましくは1.20以下である
ことが望ましい。
【0043】
【発明の効果】本発明に係るビニルエーテルまたはプロ
ペニルエーテル重合用リビング重合開始剤は、新規なカ
チオン重合系リビング重合開始剤であって、この開始
用いるとビニルエーテル類あるいはプロペニルエーテ
ル類をカチオン重合させることができる。
【0044】このような本発明によれば、分子量分布の
狭いビニルエーテル類あるいはプロペニルエーテル類の
リビング重合体を製造することができる。
【0045】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例により限定されるものではな
い。
【0046】
【実施例1】以下の操作は、すべて乾燥窒素雰囲気下で
行ない、試薬は注射器で採取して添加した。
【0047】重合反応は、充分に乾燥した三方コック付
きシュレンク反応管中で行い、反応に先立ち、モレキュ
ラーシーブ(3A)で乾燥させた窒素で置換した。 [1-イソブトキシエチルクロライドの合成]イソブチル
ビニルエーテル(IBVE)を1.0モル/リットルの
濃度で含むn-ヘキサン溶液70ml中に、0℃で塩化水
素ガスを30分間吹き込み、1-イソブトキシエチルクロ
ライドを定量的に合成して、濃度920ミリモル/リッ
トルの1-イソブトキシエチルクロライド/n-ヘキサン溶
液を得た。
【0048】塩化水素ガスは、三ツ口フラスコに塩化ナ
トリウムを入れ、ここへ滴下ロートを介して濃硫酸を滴
下して発生させた。 [重合]シュレンク反応管に、イソブチルビニルエーテ
ル(IBVE)0.33ml、四塩化炭素0.18ml
および塩化メチレン3mlを装入し、充分混合した後、
−78℃に冷却した。
【0049】得られた溶液に、上記で得られた1-イソブ
トキシエチルクロライド/n-ヘキサン溶液をさらにn-ヘ
キサンによって濃度50ミリモル/リットルに希釈した
1-イソブトキシエチルクロライド/n-ヘキサン溶液0.
5mlを添加して、次いで、−78℃に冷却された四塩
化スズ(SnCl4 )25ミリモルと、テトラブチルア
ンモニウムテトラフェニルボレート〔(Bu)4 NB
(φ)4 〕を濃度30ミリモル/リットルで含む塩化メ
チレン溶液1.0mlを添加して、振り混ぜて重合を開
始させた。
【0050】重合開始時の重合系における各成分の量
は、 1-イソブトキシエチルクロライド:0.025ミリモ
ル、 四塩化スズ(SnCl4 ) :0.025ミリモ
ル、 テトラブチルアンモニウムテトラフェニルボレート〔(B
u)4 NB(φ)4 〕:0.03ミリモル、 イソブチルビニルエーテル(IBVE):2.5ミリモ
ルであった。
【0051】−78℃で6分間重合させた後、メタノー
ル2mlを加え、重合を停止させた。得られた反応液
を、四塩化炭素を内部標準とするガスクロマトグラフィ
ーで分析して、イソブチルビニルエーテル(IBVE)
の重合率を求めた。重合率は93%であった。
【0052】このようにして得られた反応液を、ヘキサ
ンで希釈し、希塩酸および水で順次洗浄した後、溶媒を
減圧留去することにより、ポリイソブチルビニルエーテ
ルを得た。
【0053】得られたポリイソブチルビニルエーテル
を、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GP
C:ポリスチレン換算)で測定したところ、数平均分子
量Mnは、12600(計算値9300)であり、分子
量分布Mw/Mnは、1.05であった。
【0054】
【実施例2】 [重合]実施例1において、6分間重合させた後、重合
を停止させることなく、反応溶液にイソブチルビニルエ
ーテルを新たに0.33ml添加し、さらに14分間重
合を続けた。
【0055】実施例1と同様にして分析した結果、新た
に添加したイソブチルビニルエーテルの重合率は、88
%であった。また得られたポリイソブチルビニルエーテ
ルは、数平均分子量Mnが、24700(計算値188
00)であり、分子量分布Mw/Mnが、1.05であ
った。
【0056】
【実施例3】実施例1において、重合開始時にテトラブ
チルアンモニウムテトラフェニルボレートを0.01ミ
リモルの量で用い、−15℃で30秒間重合させた以外
は、実施例1と同様にして重合を行った。
【0057】イソブチルビニルエーテルの重合率は、1
00%であった。また得られたポリイソブチルビニルエ
ーテルは、数平均分子量Mnが、9600(計算値10
000)であり、分子量分布Mw/Mnが、1.10で
あった。
【0058】
【実施例4】実施例3において、−40℃で1分間重合
させた以外は、実施例3と同様にして重合を行った。
【0059】イソブチルビニルエーテルの重合率は、8
8%であった。また得られたポリイソブチルビニルエー
テルは、数平均分子量Mnが、7800(計算値880
0)であり、分子量分布Mw/Mnが、1.12であっ
た。
【0060】
【実施例5】実施例1において、重合開始時に 四塩化
スズに代えて四塩化チタンを用い、テトラブチルアンモ
ニウムテトラフェニルボレートを0.015ミリモルの
量で用い、10分間重合させた以外は、実施例1と同様
にして重合を行った。
【0061】イソブチルビニルエーテルの重合率は、9
7%であった。また得られたポリイソブチルビニルエー
テルは、数平均分子量Mnが、9500(計算値970
0)であり、分子量分布Mw/Mnが、1.20であっ
た。
【0062】
【比較例1】実施例1において、テトラブチルアンモニ
ウムテトラフェニルボレートを添加せず10秒間重合さ
せた以外は、実施例1と同様にして重合を行った。
【0063】イソブチルビニルエーテルの重合率は、1
00%であった。また得られたポリイソブチルビニルエ
ーテルは、数平均分子量Mnが、11700(計算値1
0000)であり、分子量分布Mw/Mnが、1.35
であった。
【0064】
【比較例2】実施例1において、テトラブチルアンモニ
ウムテトラフェニルボレートに代えてテトラブチルアン
モニウムテトラフルオロボレートを用いた以外は、実施
例1と同様にして重合を行った。
【0065】重合を開始して10秒間以内に、イソブチ
ルビニルエーテルの重合率は、100%に達した。得ら
れたポリイソブチルビニルエーテルは、数平均分子量M
nが、9300(計算値10000)であり、分子量分
布Mw/Mnが、1.44であった。
【0066】なお実施例1〜5および比較例1、2の結
果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るリビング重合開始剤系を図示す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 柏 典 夫 山口県玖珂郡和木町和木六丁目1番2号 三井石油化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭63−273607(JP,A) 特開 平6−234805(JP,A) Kamigaito Masam ら,Macromolecules, 1993年,第26巻 第7号,1643−1649頁 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 4/00 - 4/82

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】[A]下記の重合開始剤(a-i) または(a-i
    i)と: (a-i) ハロゲン化水素;HX(XはCl、BrまたはI
    である。)、 (a-ii)このHXとビニルエーテルとの付加体;CH3-C
    HX(OR)、またはHXとプロペニルエーテルとの付
    加体;CH3-CH2-CHX(OR)(Rはアルキル基ま
    たはヘテロ原子を含む原子団で置換されたアルキル基で
    ある。)、 [B]SnX4、SnX2、ZnX2 またはTiX4 (X
    はCl、BrまたはI)から選ばれるルイス酸と、 [C]下記式(c-i) または(c-ii)で示されるホウ素化合
    物と Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-i) Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-ii) (式中、Ra は一級または二級のアルキル基またはアラ
    ルキル基であり、 Rb は芳香族炭化水素基であり、ハロゲンまたはアルキ
    ル基で置換されていてもよい。)からなることを特徴と
    するビニルエーテルまたはプロペニルエーテル重合用
    ビング重合開始剤。
  2. 【請求項2】[A]下記の重合開始剤(a-i) または(a-i
    i)と: (a-i) ハロゲン化水素;HX(XはCl、BrまたはI
    である。)、 (a-ii)このHXとビニルエーテルとの付加体;CH3-C
    HX(OR)、またはHXとプロペニルエーテルとの付
    加体;CH3-CH2-CHX(OR)(Rはアルキル基ま
    たはヘテロ原子を含む原子団で置換されたアルキル基で
    ある。)、 [B]SnX4、SnX2、ZnX2 またはTiX4 (X
    はCl、BrまたはI)から選ばれるルイス酸と、 [C]下記式(c-i) または(c-ii)で示されるホウ素化合
    物と Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-i) Ra 4(+) BRb 4 (-) …(c-ii) (式中、Ra は一級または二級のアルキル基または ア
    ラルキル基であり、 Rb は芳香族炭化水素基であり、ハロゲンまたはアルキ
    ル基で置換されていてもよい。)からなるリビング重合
    開始剤の存在下に、ビニルエーテルまたはプロペニルエ
    ーテルを重合させることを特徴とするリビング重合方
    法。
  3. 【請求項3】ビニルエーテルまたはプロペニルエーテル
    を、−100℃〜0℃で重合させることを特徴とする請
    求項2に記載のリビング重合方法。
  4. 【請求項4】分子量分布(Mw/Mn)が1.25以下
    である重合体を製造することを特徴とする請求項2また
    は3に記載のリビング重合方法。
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