JP3455091B2 - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

液晶表示素子及びその製造方法

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JP3455091B2 JP30870097A JP30870097A JP3455091B2 JP 3455091 B2 JP3455091 B2 JP 3455091B2 JP 30870097 A JP30870097 A JP 30870097A JP 30870097 A JP30870097 A JP 30870097A JP 3455091 B2 JP3455091 B2 JP 3455091B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子及び
液晶表示素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】情報機器のディスプレイに用いられる表
示素子として、これまでに多くの液晶表示素子が提案さ
れている。これら液晶表示素子の中で、現在は、特開昭
47−11737号で開示されるTNモード(twisted
nematic mode)や特開昭60−107020号で開示さ
れるSTNモード(super twisted nematic mode)を代
表とする、ネマチック液晶を用いるタイプの液晶表示素
子が多用されている。
【0003】TNモード及びSTNモードの液晶表示素
子においては、液晶分子の配列は、初期状態において、
それぞれ90°前後及び260°前後捩じれた構造をと
る。したがって、素子に入射した光は、液晶分子配列の
捩れ構造と複屈折とにより、偏光状態の変化を受けて出
射する。
【0004】これら表示モードの液晶表示素子におい
て、液晶層に電圧を印加すると、液晶分子は電界方向に
再配列し、上述の捩れ構造が消滅する。その結果、複屈
折が失われ、入射光は偏光状態を変えることなく出射す
る。したがって、素子を2枚の直線偏光子で挟んだ構造
とすることにより、電圧の印加/非印加に応じて液晶層
の光学的性質が変化し、出射光の強度変化が観察される
のである。TNモード及びSTNモードは、この動作原
理に基づいて明暗のコントラストを得る表示方式であ
る。
【0005】これら表示方式の液晶表示装置は、CRT
(cathode ray tube)ディスプレイに比べて消費電力が
著しく少なく、薄型化が可能であるという利点を有して
おり、パーソナルコンピュータやワードプロセッサ等の
オフィス用情報機器に広く用いられている。
【0006】しかしながら、上記表示方式の液晶表示装
置は、偏光子を用いているため、入射光を有効に利用し
ているとは言い難い。そのため、上記液晶表示装置の多
くにおいては、出射光の強度を確保するために、液晶表
示素子の後方に光源(バックライト)が付設されてい
る。また、カラーフィルタが設けられた液晶表示装置に
おいては、光の透過率がさらに減少するため、より強力
な光源が必要となる。
【0007】ところが、この光源の電力は、駆動回路を
含む液晶表示素子の消費電力に匹敵する。そのため、上
記表示方式の液晶表示装置は、電池で電力を供給される
携帯用情報機器のディスプレイには適していない。
【0008】すなわち、従来の表示方式の液晶表示装置
においては、カラーディスプレイであるか白黒ディスプ
レイであるかに関わらず、明るさの向上と低消費電力化
とが二律背反の関係にあった。
【0009】また、このような液晶表示装置では、通常
バックライトに蛍光灯が用いられているため、長時間デ
ィスプレイを見続けた場合に目に与える疲労が大きく、
望ましくない。したがって、バックライトを必要としな
い反射型液晶表示素子に適用可能な、光の利用効率の高
い表示方式の開発が望まれている。
【0010】また、液晶表示装置を投射型ディスプレイ
として使用する場合においても、光透過率を高めること
により、装置の小型化、長寿命化、及び機器全体の節電
等を図ることが可能である。したがって、投射型液晶表
示素子においても、光の利用効率の高い表示方式の開発
が望まれている。
【0011】このような要望に対し、偏光子を用いない
様々な表示方式が提案されている。例えば、ジャーナル
・オブ・アプライド・フィジックス(J. Appl. Phy
s.)、45巻、4718〜4723頁(1974年)で
は、White−Taylor型ゲスト・ホスト液晶表
示素子が開示されている。この液晶表示素子において
は、カイラルネマチック相を示す液晶と二色性色素との
混合物が液晶層に用いられ、それらは初期状態において
基板面に平行に配列している。
【0012】この液晶層に電圧を印加すると、液晶分子
の配列が変化し、それに伴って二色性色素の向きが変わ
り、その結果、光の透過率が変化する。また、この素子
においては、カイラルネマチック相に起因する捩れ構造
のために、色素による光吸収が効率よく起こるので、原
理的には偏光子なしでも高い表示コントラストを得るこ
とができる。
【0013】しかしながら、この液晶表示素子において
高いコントラストを達成するためには、カイラルネマチ
ック相を呈する液晶分子配列の螺旋ピッチを光の波長オ
ーダーとすることが必要である。このように螺旋ピッチ
を短くした場合、ディスクリミネーションラインが数多
く発生するため表示品質が損なわれ、同時に、ヒステリ
シス現象が発生するため電圧印加に対する応答速度が極
端に遅くなる。したがって、上述のTNモード及びST
Nモードの液晶表示素子に比べて、いまひとつ実用性に
乏しい。
【0014】偏光子を用いない他の表示方式としては、
NCAP(Nematic Curvilinear Aligned Phase )或い
はPDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)と呼
ばれる方式が知られている。この表示方式においては、
高分子マトリクス中に、正の誘電異方性を有するネマチ
ック液晶が直径数μm程度の粒子状に分散されて液晶層
が形成される。また、この液晶は、常光についての屈折
率が高分子マトリクスそれとほぼ同じとなり、異常光に
ついての屈折率が高分子マトリクスのそれと異なるよう
に選ばれる。
【0015】この表示方式によると、初期状態において
は、それぞれの液晶粒子中の液晶分子は歪んだ配列構造
をとり、しかも、各液晶粒子間で配列方向が異なるた
め、大部分の液晶粒子と高分子マトリクスとの間で屈折
率の差が生じ、その結果、すりガラスのように光散乱が
生じる。
【0016】この液晶層に十分な電圧を印加すると、そ
れぞれの液晶粒子中で液晶分子の再配列が生じ、液晶粒
子と高分子マトリクスとの間で、液晶層に垂直に入射す
る光に対する屈折率が等しくなる。その結果、液晶粒子
と高分子マトリクスとの間の界面での屈折及び反射がな
くなり、透過状態となる。なお、入射光は直線光である
必要はない。
【0017】この表示方式によると、上述の動作原理に
より表示が行われるため、偏光子は不要であり、入射光
を有効に活用することができるため、明るい表示が可能
となる。なお、この表示方式においては、液晶中に二色
性色素を混合させることにより、着色−消色変化を生じ
させることができることも知られている。
【0018】上述の表示方式は、後述する液晶マイクロ
カプセルを用いた表示方式とは異なり、媒体中に液晶を
分散させるものである。この表示方式の液晶表示装置
は、上記液晶粒子が分散された高分子マトリクスを、一
般的な液晶表示装置に用いられるガラスセルに封入する
こと、或いは基板に塗布することにより、容易に形成す
ることができる。
【0019】しかしながら、コントラストを高めるため
に、液晶の配向を延伸等の後処理で揃える場合、或いは
導電性ポリマーフィルムでラミネートする場合、この液
晶層は強度が十分であるとはいえない。また、透明−白
濁変化、もしくは黒色の二色性色素を添加することによ
り白−黒変化を生じさせて表示を行う場合は問題とはな
らないが、カラー表示を行う場合はカラーフィルタが必
要であるため、光の利用効率を高めることができない。
【0020】高い光の利用効率を有するカラー液晶表示
素子を得るために、吸収波長の異なるゲスト・ホスト液
晶マイクロカプセルを作製し、それらを混合して液晶層
を形成すること(特開昭58−144885号)や、ゲ
スト・ホスト液晶マイクロカプセルを用いて、3色の液
晶層をガラスやプラスチック等の中間基板を用いること
なく積層すること(特願平7−56086号)が知られ
ている。
【0021】このように、液晶マイクロカプセルを用い
た液晶表示素子においては、偏光子等を用いる必要がな
い。また、塗布や印刷等により液晶層を形成することが
できるため、液晶セルへ液晶材料を注入する必要がな
い。さらに、液晶材料は液晶マイクロカプセルの透明被
膜中に包含されるため、配向膜の形成やそのラビング処
理等の工程を行う必要がない。したがって、液晶マイク
ロカプセルを用いることにより、高い自由度で液晶表示
素子を製造することができる。
【0022】上述のように、液晶材料が樹脂壁に内包さ
れて液滴状の微小領域を形成する高分子分散型の液晶表
示素子においては、いずれも高い成形の自由度を得るこ
とができる。しかしながら、この微小領域は均一な大き
さに形成することが困難である。また、上述の高分子分
散型の液晶表示素子において微小領域は球状に形成され
る。そのため、散乱、ヒステリシス、及びγ値の増大等
が生じ、良好な電気光学特性を得ることができない。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたものであり、良好な電気光学特性を有す
る液晶表示素子及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、少なくとも一方の主面に電極が形成され
た基板、前記基板の電極が形成された面に設けられた透
明樹脂膜に、前記基板の一方の主面と平行に偏平した形
状を有する液晶領域が封入されてなる液晶層、及び前記
液晶層上に設けられた対向電極を具備することを特徴と
する液晶表示素子を提供する。
【0025】また、本発明は、少なくとも一方の主面に
電極が形成された基板、前記基板の電極が形成された面
に設けられた透明樹脂膜に、前記基板の一方の主面と平
行な方向の最大長が30μm以上である液晶領域が封入
されてなる液晶層、及び前記液晶層上に設けられた対向
電極を具備することを特徴とする液晶表示素子を提供す
る。
【0026】また、本発明は、少なくとも一方の主面に
電極が形成された基板、前記基板の電極が形成された面
に設けられた透明樹脂膜中に液晶材料を注入することに
より形成された液晶領域を有する液晶層、及び前記液晶
層上に設けられた対向電極を具備することを特徴とする
液晶表示素子を提供する。
【0027】また本発明は、1)少なくとも一方の主面
に電極が形成された基板、2)a)前記基板の電極が形
成された面に設けられた液晶領域と、b)前記液晶領域
上に設けられ、前記液晶領域を封止する透明樹脂膜とを
有する液晶層、及び3)前記液晶層上に設けられた対向
電極を具備し、前記液晶領域は、前記基板の一方の主面
と平行に偏平した形状を有することを特徴とする液晶表
示素子を提供する。
【0028】また、本発明は、1)少なくとも一方の主
面に電極が形成された基板、2)a)前記基板の電極が
形成された面に設けられた液晶領域と、b)前記液晶領
域上に設けられ、前記液晶領域を封止する透明樹脂膜と
を有する液晶層、及び3)前記液晶層上に設けられた対
向電極を具備し、前記液晶領域は、前記基板の一方の主
面と平行な方向の最大長が30μm以上であることを特
徴とする液晶表示素子を提供する。
【0029】さらに、本発明は、1)少なくとも一方の
主面に電極が形成された基板、2)a)前記基板の電極
が形成された面に設けられた透明樹脂膜と、b)前記透
明樹脂膜の被覆下で、隣接して配置され、液晶材料から
実質的になる複数の微小領域を結合することにより形成
された液晶領域とを有する液晶層、及び3)前記液晶層
上に設けられた対向電極を具備することを特徴とする液
晶表示素子を提供する。
【0030】また、上記課題を解決するために、本発明
は、少なくとも一方の主面に電極が形成された基板の電
極上に、透明樹脂膜を形成する工程、前記透明樹脂膜中
に液晶材料を注入して液晶領域を形成する工程、及び前
記液晶領域が形成された透明樹脂膜上に対向電極を設け
る工程を具備することを特徴とする液晶表示素子の製造
方法を提供する。
【0031】また、本発明は、前記液晶領域を形成する
工程が、前記透明樹脂膜上で、液晶材料を透明被膜で包
含した液晶マイクロカプセルを破壊して、前記液晶マイ
クロカプセル中の液晶材料を前記透明樹脂膜中に注入す
ることを含むことを特徴とする請求項19に記載の液晶
表示素子の製造方法を提供する。
【0032】さらに本発明は、少なくとも一方の主面に
電極が形成された基板の電極上に隣接して配置され液晶
材料から実質的になる複数の微小領域と、前記複数の微
小領域を被覆する透明樹脂膜とを形成する工程、前記複
数の微小領域の少なくとも一部を相互に結合させて、前
記透明樹脂膜で封止された液晶領域を形成する工程、及
び前記透明樹脂膜上に対向電極を設ける工程を具備する
ことを特徴とする液晶表示素子の製造方法を提供する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、図面を参
照しながらより詳細に説明する。
【0034】図1に、本発明の実施形態に係る液晶表示
素子の断面図を示す。
【0035】図1において、液晶表示素子1は、対向し
て設けられた一対の基板2,8と、これら基板のそれぞ
れの対向面に設けられた電極3,7と、基板2、8間に
挟持された液晶層6とで構成されている。
【0036】上記液晶表示素子1において、基板2とし
ては、ガラスやプラスチック等の透明基板等が用いら
れ、電極4としては、ITO等の透明導電膜やアルミニ
ウム等の金属膜等が用いられる。基板8は必ずしも設け
る必要はなく、代わりに透明樹脂等の保護膜を設けても
よい。電極7(対向電極)としては、ITO等の透明導
電膜が用いられる。
【0037】上記液晶表示素子1において、液晶層6
は、透明樹脂膜4と、この透明樹脂膜4中に埋め込ま
れ、液晶材料からなる液晶領域5とで構成されている。
なお、液晶領域5は、必ずしも透明樹脂膜4中に埋め込
まれる必要はない。例えば、液晶領域5を、基板2と透
明樹脂膜4とで封止してもよい。すなわち、液晶領域5
は、透明樹脂膜4に封止されることにより、外界から遮
断され、かつその形状が維持されるのである。
【0038】この透明樹脂膜4に用いられる材料として
は、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノー
ル樹脂、フラン樹脂等の縮合系ポリマーや、スチレン−
ジビニルベンゼン共重合体、メチルメタクリレート−ビ
ニルアクリレート共重合体等の三次元架橋ビニルポリマ
ー等の熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0039】また、透明樹脂膜4に用いる材料として、
ポリエチレン類;塩素化ポリエチレン類;エチレン・酢
酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイ
ン酸共重合体等のエチレン共重合体;ポリブタジエン
類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル
類;ポリプロピレン類;ポリイソブチレン類;ポリ塩化
ビニル類;ポリ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;
ポリビニルアルコール類;ポリビニルアセタール類;ポ
リビニルブチラール類;四フッ化エチレン樹脂類;三フ
ッ化塩化エチレン樹脂類;フッ化エチレン・プロピレン
樹脂類;フッ化ビニリデン樹脂類;フッ化ビニル樹脂
類;四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレ
ン共重合体、四フッ化エチレン・パーフルオロアルキル
ビニルエーテル共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化
プロピレン共重合体、四フッ化エチレン・エチレン共重
合体等の四フッ化エチレン共重合体;含フッ素ポリベン
ゾオキサゾール等のフッ素樹脂類;アクリル樹脂類;ポ
リメタクリル酸メチル等のメタクリル樹脂類;ポリアク
リロニトリル類;アクリロニトリル・ブタジエン・スチ
レン共重合体等のアクリロニトリル共重合体;ポリスチ
レン類;ハロゲン化ポリスチレン類;スチレン・メタク
リル酸共重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体
等のスチレン共重合体;ポリスチレンスルホン酸ナトリ
ウム、ポリアクリル酸ナトリウム等のイオン性ポリマ
ー;アセタール樹脂類;ナイロン66等のポリアミド
類;ゼラチン;アラビアゴム;ポリカーボネート類;ポ
リエステルカーボネート類;セルロース系樹脂類;フェ
ノール系樹脂類;ユリア樹脂類;エポキシ樹脂類;不飽
和ポリエステル樹脂類;アルキド樹脂類;メラミン樹脂
類;ポリウレタン類;ジアリールフタレート樹脂類;ポ
リフェニレンオキサイド類;ポリフェニレンスルフィド
類;ポリスルフォン類;ポリフェニルスルフォン類;シ
リコーン樹脂類;ポリイミド類;ビスマレイミドトリア
ジン樹脂類;ポリイミドアミド類;ポリエーテルスルフ
ォン類;ポリメチルペンテン類;ポリエーテルエーテル
ケトン類;ポリエーテルイミド類;ポリビニルカルバゾ
ール類;ノルボルネン系非晶質ポリオレフィン類;ポリ
フマル酸エステル類等の熱可塑性樹脂も挙げることがで
きる。
【0040】また、透明樹脂膜4は、メタクリレート、
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロ
キシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレー
ト、アクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリ
レート、エチルヘキシルアクリレート、アクリロニトリ
ル等の水溶性モノマー;ポリビニルアルコール、ポリビ
ニルピロリドン、ヒドロキシメチルエチルセルロース、
カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ニト
ロセルロース、ポリエチレングリコール等を塗布或いは
印刷することにより形成することができる。
【0041】さらに、透明樹脂膜4は、粒径が数10n
m〜数100nmの親水性の樹脂微粒子を塗布或いは印
刷することにより形成することができる。この親水性の
樹脂微粒子としては、カルボキシル基、スルホン酸基、
水酸基等の親水性置換基で表面修飾された樹脂微粒子を
挙げることができる。この樹脂微粒子は、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、イソブチルメタクリ
レート、ターシャリブチルメタクリレート、ヒドロキシ
エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、グリシジルメタクリレート、アクリレート、イソプ
レン、イソブチレン、アクリロニトリル、エステル、メ
ラミン、ウレタン、エポキシ、ジビニルベンゼン、TM
PTA等を用いて形成することができる。
【0042】上述の透明樹脂膜4を構成する材料のう
ち、特に粘着性或いはゴム弾性を有する透明樹脂を用い
ることが好ましい。このような透明樹脂を用いた場合、
上記液晶表示素子1の製造を容易に行うことができる。
【0043】粘着性或いはゴム弾性を有し、特に有用な
透明樹脂としては、例えば、イソプレン、ブタジエン、
及びジイソブチルフマレート等を挙げることができる。
【0044】液晶領域5を形成する液晶材料として、例
えば、下記一般式(1)〜(10)に示す液晶化合物を
用いることができる。
【0045】
【化1】
【0046】
【化2】
【0047】
【化3】
【0048】なお、上記一般式(1)〜(10)におい
て、置換基R及びXは、それぞれアルキル基、アルコキ
シ基、アルキルフェニル基、アルコキシアルキルフェニ
ル基、アルコキシフェニル基、アルキルシクロヘキシル
基、アルコキシアルキルシクロヘキシル基、アルキルシ
クロヘキシルフェニル基、シアノフェニル基、シアノ
基、ハロゲン原子、フルオロメチル基、フルオロメトキ
シ基、アルキルフェニルアルキル基、アルコキシアルキ
ルフェニルアルキル基、アルコキシアルキルシクロヘキ
シルアルキル基、アルキルシクロヘキシルアルキル基、
アルコキシアルコキシシクロヘキシルアルキル基、アル
コキシフェニルアルキル基、及びアルキルシクロヘキシ
ルフェニルアルキル基を示し、置換基Yは水素原子及び
ハロゲン原子を示す。
【0049】上記置換基R及びXは、アルキル鎖及びア
ルコキシ鎖が光学活性を有するものであってもよく、フ
ェニル基またはフェノキシ基を、フッ素原子や塩素原子
等のハロゲン原子で置換されたものでもよい。また、上
記置換基R及びXは、フェニル基が、水素原子を1個ま
たは2個のフッ素原子や塩素原子等のハロゲン原子で置
換されたものであってもよい。
【0050】本発明においては、上記一般式(1)〜
(10)に示す液晶化合物を混合して用いることもでき
る。また、上記一般式(1)〜(10)に示す液晶化合
物は、いずれも誘電異方性が正であるが、誘電異方性が
負の液晶化合物も、誘電異方性が正の液晶化合物と混合
して混合後の誘電異方性を正とすることにより用いるこ
とができる。また、適当な素子構成及び駆動方式を用い
ることにより、誘電異方性が負の液晶化合物も、誘電異
方性が正の液晶化合物と混合することなく用いることが
できる。
【0051】上記液晶化合物は、二色性色素と混合して
用いることができる。上記液晶表示素子1に、二色性色
素が混合された液晶化合物を用いた場合、すなわち上記
液晶表示素子1をゲスト−ホスト(GH)型液晶表示素
子とした場合、本発明の効果が最も顕著となる。
【0052】この二色性色素としては、下記化学式(1
1)〜(19)に示すイエロー色素、下記化学式(2
0)〜(27)に示すマゼンタ色素、及び下記化学式
(28)〜(31)に示すシアン色素等を挙げることが
できる。
【0053】
【化4】
【0054】
【化5】
【0055】
【化6】
【0056】
【化7】
【0057】
【化8】
【0058】
【化9】
【0059】これら二色性色素は、液晶化合物に対して
0.01〜10重量%混合されることが好ましく、0.
1〜5重量%混合されることがより好ましい。二色性色
素の混合比が下限値未満の場合、十分なコントラストを
得ることができず、上限値を超える場合、電圧印加時に
おいても着色が残るためコントラストが低下するおそれ
がある。
【0060】上記液晶表示素子1において、液晶領域5
は、基板2の主面と平行に偏平した形状を有している。
透明樹脂膜中に液晶材料を収容或いは分散させた従来の
液晶表示素子においては、一般に、液晶領域は球状にか
つ小さな粒径で形成される。また、従来の液晶表示素子
においては、液晶領域が球状にかつ小さな粒径で形成さ
れるため、光が液晶領域を通過することなく液晶層を透
過することが無いように、基板面に垂直な方向に複数の
液晶領域が積層される。
【0061】そのため、このような従来の液晶表示素子
においては、液晶材料と透明樹脂膜との間の界面が非常
に多い。したがって、従来の液晶表示素子においては、
多くの液晶材料が透明樹脂膜と相互作用するため、ヒス
テリシスやγ値が増大する。また、従来の液晶表示素子
においては、液晶材料と透明樹脂膜との間の界面が多
く、さらに、この界面や透明樹脂膜表面は曲面で構成さ
れるため、光の散乱が増加する。したがって、このよう
な従来の液晶表示素子においては、良好な電気光学特性
を得ることができない。
【0062】それに対し、図1に示すように、液晶領域
5を基板2の主面と平行に偏平した形状とした場合、基
板面に平行に隣接する液晶領域5の間隔が低減される。
すなわち、液晶層6を透過する光の殆どが液晶領域5を
通過する。そのため、液晶領域5を基板面に垂直な方向
に積層する必要がなく、単層とすることができ、その結
果、液晶領域5と透明樹脂膜4との間の界面を減少させ
ることができる。また、このように、液晶領域5を基板
2の主面と平行に偏平した形状とすることにより、電極
3側及び電極7側において上記界面を平面化することが
できる。したがって、散乱、ヒステリシス、及びγ値の
低減を図ることができるのである。
【0063】このような効果は、液晶領域5の偏平性を
高めた場合により顕著となる。上記液晶表示素子1にお
いて、液晶層6は、通常、6〜20μmの厚さに形成さ
れる。したがって、液晶領域5の基板2の主面に平行な
方向の長さの最大値を30μm以上とした場合に十分な
効果を得ることができ、50μm以上とした場合により
高い効果を得ることができる。
【0064】また、液晶領域5の基板2の主面に平行な
方向の長さの最大値が、基板2の主面に垂直な方向の長
さの最大値に対して3倍以上である場合、十分な効果を
得ることができ、5倍以上の場合により高い効果を得る
ことができる。
【0065】また、液晶領域5は、透明樹脂膜4に対し
て十分に大きな体積を有することが好ましい。透明樹脂
膜4の体積に対する液晶領域5の体積の比、すなわち容
量比率が小さい場合、光の利用効率を高めることができ
ず、かつ光散乱が増加する。したがって、画素部上にお
ける透明樹脂膜の体積に対して、液晶領域の体積が8倍
以上であることが好ましい。なお、上述の強度に関する
理由から、透明樹脂膜の体積に対して液晶領域の体積は
9.5倍以下であることが好ましい。
【0066】上記液晶表示素子1は、例えば、以下に示
すようにして製造することができる。
【0067】図2(a)〜(d)に、本発明の実施形態
に係る液晶表示素子1の製造工程の一例を概略的に示
す。なお、図2(a)〜(d)は、それぞれ断面図であ
る。
【0068】液晶表示素子1を製造するに当り、まず、
図2(a)に示すように、一方の主面に電極3が形成さ
れた透明基板2上に、透明樹脂膜4を形成する。
【0069】次に、液晶材料9を透明被膜10で被覆し
てなる液晶マイクロカプセル11を所定の液体に分散さ
せた液晶マイクロカプセル塗布液を調製する。この液晶
マイクロカプセル塗布液を透明樹脂膜4上に塗布或いは
印刷して、図2(b)に示すように、透明樹脂膜4上に
液晶マイクロカプセル11を配置する。
【0070】次に、透明樹脂膜4上に配置された液晶マ
イクロカプセル11に熱や圧力等を印加する。これによ
り、液晶マイクロカプセル11の透明被膜10は破壊さ
れ、それぞれの液晶マイクロカプセル11中の液晶材料
9は透明樹脂膜4中に注入される。この液晶材料9の注
入の際に、複数の液晶マイクロカプセル11が隣接して
配置されていると、図2(c)に示すように、それぞれ
の液晶マイクロカプセル11中に包含される液晶材料9
は、透明樹脂膜4中において、1つの液晶領域5を形成
する。したがって、液晶マイクロカプセル11を透明樹
脂膜4上に配置する際に、液晶マイクロカプセル塗布液
の印刷パターンを変えることにより、液晶領域5の大き
さを制御することができる。
【0071】このようにして液晶領域5を形成した後、
破壊され空になった透明被膜10を必要に応じて除去す
る。透明被膜10は必ずしも除去する必要はないが、除
去することにより光の散乱等をより効果的に防止するこ
とができる。また、空になった透明被膜10を除去する
代わりに、透明被膜10をそのガラス転移温度以上に加
熱して溶融させてもよい。このように透明被膜10を溶
融させることにより、透明被膜10を透明樹脂膜4と一
体化させることができ、かつ平坦化することができる。
したがって、光の散乱等をより効果的に防止することが
できる。
【0072】さらに、図2(d)に示すように、透明樹
脂膜4上に、一方の主面に電極7が設けられた透明基板
8を配置する。以上のようにして、液晶表示素子1が製
造される。
【0073】本発明の実施形態に係る液晶表示素子1
は、他の方法により製造することもできる。
【0074】図3(a),(b)及び図4(a),
(b)に、本発明の実施形態に係る液晶表示素子1の製
造工程の他の例を概略的に示す。なお、図3(a),
(b)及び図4(a),(b)は、それぞれ断面図であ
る。
【0075】液晶表示素子1を製造するに当り、まず、
図3(a)に示すように、一方の主面に電極(図示せ
ず)が形成された透明基板2上に、塗布や印刷により複
数の液晶マイクロカプセル11を配置し、これら液晶マ
イクロカプセル11を覆うように透明樹脂膜4を形成す
る。透明樹脂膜4は、予め基板2上に複数の液晶マイク
ロカプセル11を配置した後、粘着性或いはゴム弾性を
有する透明樹脂を塗布すること等により形成することが
できる。また、予め基板2上に上記透明樹脂を塗布した
後、複数の液晶マイクロカプセル11を配置し、さら
に、その上に透明樹脂を塗布することにより形成しても
よい。すなわち、透明樹脂膜4は、液晶マイクロカプセ
ル11が露出しないように設けられる。
【0076】次に、透明樹脂膜4に覆われた複数の液晶
マイクロカプセル11に熱や圧力等を印加する。これに
より、液晶マイクロカプセル11の透明被膜10は破壊
され、それぞれの液晶マイクロカプセル11中の液晶材
料9は透明樹脂膜4内で混ざり合う。その結果、図3
(b)に示すように、透明樹脂膜4中に液晶領域5が形
成される。
【0077】このようにして液晶領域5を形成した後、
必要に応じて、透明被膜10をそのガラス転移温度以上
に加熱して溶融させる。透明被膜10を溶融させること
により、透明被膜10は透明樹脂膜4或いは基板2に融
着する。特に、液晶領域5と融着下透明被膜10との界
面が平坦化されるまで加熱を続けた場合、光の散乱等を
効果的に防止することができる。
【0078】さらに、透明樹脂膜4上に、一方の主面に
電極(対向電極)が設けられた透明基板を配置すること
により、液晶表示素子1を得ることができる。
【0079】図3(a)及び(b)を用いて説明した製
造方法において、液晶領域5の大きさは、液晶マイクロ
カプセル11の配置パターンを変えることにより制御す
ることができる。すなわち、図3(a)に示すように、
所定の数の液晶マイクロカプセル11を隣接させて配置
し、所望のパターンを形成することにより、図3(b)
に示すように、所望のパターンに分割された液晶領域5
を形成することができる。また、図4(a)に示すよう
に、無数の液晶マイクロカプセル11を隣接して配置す
ることにより、図4(b)に示すような広大な液晶領域
5を形成することができる。
【0080】なお、上述のパターン形成は、液晶マイク
ロカプセル塗布液を印刷することにより行うことができ
る。また、液晶マイクロカプセル塗布液を用いて均一な
膜を形成した後、この膜にレーザーアブレーションを施
すことにより、より高い精度で所望のパターンを形成す
ることができる。また、液晶マイクロカプセル11の表
面を感光性樹脂で構成し、この液晶マイクロカプセル塗
布液を用いて形成した均一な膜に選択露光を行うことに
よっても、より高い精度で所望のパターンを形成するこ
とができる。
【0081】以上、図3(a),(b)及び図4
(a),(b)を用いて説明した製造方法においては、
液晶領域5の形成は、透明樹脂膜4上に対向電極を設け
る前に行われたが、液晶領域5の形成は対向電極を設け
た後に行うこともできる。これを、図5(a)及び
(b)を参照しながら説明する。
【0082】図5(a)及び(b)に、上述した液晶表
示素子1の製造工程の変形例を概略的に示す。なお、図
5(a)及び(b)は、それぞれ断面図である。
【0083】図5(a)において、電極3が設けられた
透明基板2上には、液晶層6が形成され、液晶層6上に
は、対向電極7が設けられた透明基板8が配置されてい
る。また、液晶層6は、透明樹脂膜4と、液晶マイクロ
カプセル11とで構成されている。すなわち、図5
(a)に示す構造体において、上述の液晶領域は形成さ
れていない。
【0084】この構造体の液晶マイクロカプセル11に
熱や圧力等を印加することにより、液晶マイクロカプセ
ル11の透明被膜10は破壊され、それぞれの液晶マイ
クロカプセル11中の液晶材料9は透明樹脂膜4内で混
ざり合う。その結果、図5(b)に示すように、透明樹
脂膜4に被覆された液晶領域5が形成される。
【0085】上述した全ての製造方法においては、液晶
材料9を透明被膜10で包含してなる液晶マイクロカプ
セル11が用いられる。液晶マイクロカプセル11中の
液晶材料9は、液晶領域5を形成するのに用いられる。
したがって、液晶マイクロカプセル11に用いられる液
晶材料には上述した材料を用いることができる。
【0086】また、液晶マイクロカプセル11の透明被
膜10は、液晶表示素子の製造過程で破壊される。した
がって、上述の製造方法に用いる液晶マイクロカプセル
11は、通常の液晶表示素子に用いられる液晶マイクロ
カプセル程高い強度で形成する必要はない。
【0087】この透明被膜10の破壊は、上述したよう
に、熱または圧力を印加することにより行うことができ
る。透明被膜10を加熱して破壊する場合、透明被膜1
0のガラス転移温度が透明樹脂膜4のガラス転移温度よ
りも低くなるように、それぞれの材料を選択することが
好ましい。このように、それぞれの材料を選択し、透明
樹脂膜4のガラス転移温度未満、透明被膜10のガラス
転移温度以上に加熱することにより、透明樹脂膜4を破
壊することなく、透明被膜10のみを選択的に破壊する
ことができる。これら材料のガラス転移温度の差は、1
0℃以上であれば十分である。
【0088】この透明被膜10としては、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フラン
樹脂等の縮合系ポリマーや、スチレン−ジビニルベンゼ
ン共重合体、メチルメタクリレート−ビニルアクリレー
ト共重合体等の三次元架橋ビニルポリマー等の熱硬化性
樹脂を用いることができる。
【0089】また、透明被膜10としては、ポリエチレ
ン類;塩素化ポリエチレン類;エチレン・酢酸ビニル共
重合体、エチレン・アクリル酸・無水マレイン酸共重合
体等のエチレン共重合体;ポリブタジエン類;ポリエチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート等のポリエステル類;ポリプロ
ピレン類;ポリイソブチレン類;ポリ塩化ビニル類;ポ
リ塩化ビニリデン類;ポリ酢酸ビニル類;ポリビニルア
ルコール類;ポリビニルアセタール類;ポリビニルブチ
ラール類;四フッ化エチレン樹脂類;三フッ化塩化エチ
レン樹脂類;フッ化エチレン・プロピレン樹脂類;フッ
化ビニリデン樹脂類;フッ化ビニル樹脂類;四フッ化エ
チレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体、四
フッ化エチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル
共重合体、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重
合体、四フッ化エチレン・エチレン共重合体等の四フッ
化エチレン共重合体;含フッ素ポリベンゾオキサゾール
等のフッ素樹脂類;アクリル樹脂類;ポリメタクリル酸
メチル等のメタクリル樹脂類;ポリアクリロニトリル
類;アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体
等のアクリロニトリル共重合体;ポリスチレン類;ハロ
ゲン化ポリスチレン類;スチレン・メタクリル酸共重合
体、スチレン・アクリロニトリル共重合体等のスチレン
共重合体;ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリア
クリル酸ナトリウム等のイオン性ポリマー;アセタール
樹脂類;ナイロン66等のポリアミド類;ゼラチン;ア
ラビアゴム;ポリカーボネート類;ポリエステルカーボ
ネート類;セルロース系樹脂類;フェノール系樹脂類;
ユリア樹脂類;エポキシ樹脂類;不飽和ポリエステル樹
脂類;アルキド樹脂類;メラミン樹脂類;ポリウレタン
類;ジアリールフタレート樹脂類;ポリフェニレンオキ
サイド類;ポリフェニレンスルフィド類;ポリスルフォ
ン類;ポリフェニルスルフォン類;シリコーン樹脂類;
ポリイミド類;ビスマレイミドトリアジン樹脂類;ポリ
イミドアミド類;ポリエーテルスルフォン類;ポリメチ
ルペンテン類;ポリエーテルエーテルケトン類;ポリエ
ーテルイミド類;ポリビニルカルバゾール類;ノルボル
ネン系非晶質ポリオレフィン類;ポリフマル酸エステル
類等の熱可塑性樹脂も用いることができる。
【0090】透明被膜10は、上記熱硬化性樹脂及び熱
可塑性樹脂から選ばれる2種以上の樹脂を用いて多層膜
として形成されてもよい。また、上述のように、透明被
膜10は、液晶表示素子1の製造過程で破壊されるた
め、その破壊が行われるまでの間のみ十分な強度が要求
される。
【0091】以上のように構成される液晶マイクロカプ
セル11は、界面重合法、in situ重合法、液中
硬化被覆法、水溶液系からの相分離法、有機溶液系から
の相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁法、及びスプレ
ードライング法等を用いることができる。また、液晶マ
イクロカプセル11は、平均粒径が5μm〜7μm程度
となるように形成される。
【0092】上述の液晶表示素子1には、所望の配向処
理を施すことができる。
【0093】図6(a)〜(c)に、本発明の実施形態
に係る液晶表示素子1の、配向処理工程を含む製造方法
を概略的に示す。なお、図6(a)〜(c)は、それぞ
れ断面図である。
【0094】配向処理を行なうに当り、まず、図6
(a)に示すように、一方の主面に電極(図示せず)が
設けられた基板2上に、配向膜15を形成する。この配
向膜15には、予めラビング処理や加熱下での延伸等に
より、所定の配向性を付与する。次に、図6(b)に示
すように、この配向膜15上に複数の液晶マイクロカプ
セル11を配置し、これら液晶マイクロカプセル11を
覆うように透明樹脂膜4を設ける。さらに、図6(c)
に示すように、それぞれの液晶マイクロカプセル11の
透明被膜10を破壊して、液晶領域5を形成することに
より、液晶表示素子1が形成される。
【0095】以上のようにして得られた液晶表示素子1
において、配向膜15の液晶領域5と接する界面には配
向処理が施されている。しかしながら、透明樹脂膜4の
液晶領域5と接する界面には配向処理は施されていな
い。この界面への配向処理は、紫外線を照射すること、
或いは透明樹脂膜4のガラス転移温度以上で加熱しなが
ら、延伸等により所定の方向に圧力を印加することによ
り行うことができる。
【0096】上述の配向処理は、配向膜15を用いるこ
となく行うことができる。
【0097】図7(a)〜(c)に、本発明の実施形態
に係る液晶表示素子1の、配向処理工程を含む製造方法
を概略的に示す。なお、図7(a)〜(c)は、それぞ
れ断面図である。
【0098】配向処理を行うに当り、まず、図7(a)
に示すように、一方の主面に電極(図示せず)が設けら
れた基板2上に透明樹脂膜4-1を形成し、この透明樹脂
膜4上に複数の液晶マイクロカプセル11を配置する。
次に、図7(b)に示すように、これら液晶マイクロカ
プセル11を覆うように透明樹脂膜4-2を設ける。さら
に、図7(c)に示すように、それぞれの液晶マイクロ
カプセル11の透明被膜10を破壊して、液晶領域5を
形成することにより、液晶表示素子1が形成される。
【0099】以上のようにして得られた液晶表示素子1
において、透明樹脂膜4-1及び4-2の表面には配向処理
は施されていない。これら透明樹脂膜4-1及び4-2への
配向処理は、図6(a)〜(c)に関して説明したのと
同様に、紫外線を照射すること、或いは透明樹脂膜4-1
及び4-2のガラス転移温度以上で加熱しながら、延伸等
により所定の方向に圧力を印加することにより行うこと
ができる。
【0100】特に、透明樹脂膜4-1及び4-2に、それぞ
れガラス転移温度の異なる材料を用いた場合、それぞれ
に所望の方向の配向処理を施すことができる。例えば、
透明樹脂膜4-1にガラス転移温度のより高い材料を用い
た場合、まず、透明樹脂膜4-1のガラス転移温度以上に
加熱しながら、所望の方向に圧力を印加して、透明樹脂
膜4-1に配向処理を施す。次に、透明樹脂膜4-1のガラ
ス転移温度未満の温度で、かつ透明樹脂膜4-2のガラス
転移温度以上に加熱しながら、例えば、先の圧力印加方
向と垂直に加圧する。これにより、透明樹脂膜4-1の配
向方向と垂直な方向に、透明樹脂膜4-2に配向処理を行
うことができる。なお、透明樹脂膜4-2への配向処理
は、透明樹脂膜4-1のガラス転移温度未満で行われるた
め、透明樹脂膜4-1の配向性が損なわれることはない。
【0101】このように、透明樹脂膜4-1及び4-2への
配向処理は、それぞれのガラス転移温度が異なることを
利用している。このガラス転移温度の差は10℃以上で
あれば十分である。
【0102】以上説明したように、上記液晶表示素子1
に用いられる透明樹脂膜4に、配向膜としての機能を与
えることも可能である。特に、液晶層6の両側の配向膜
或いは透明樹脂膜に、それぞれ配向方向を変えて配向処
理を施すことにより、TNモードの液晶表示素子におけ
るのと同様の配向を実現することができる。したがっ
て、用いる液晶材料を問わず、大画面化やセルギャップ
の低減を図ることができる。
【0103】本発明の実施形態に係る液晶表示素子1に
おいて、液晶領域5は、上述のように、液晶マイクロカ
プセル11を破壊することにより形成される。このよう
にして液晶領域5を形成する場合、製造条件によって
は、それぞれの液晶領域5中に含まれる液晶材料の量に
ばらつきが生じ、液晶領域5の厚さが不均一となるおそ
れがある。また、上述の方法においては、セルギャップ
を所望の値に正確に制御することは困難である。このよ
うな液晶領域5の厚さが不均一となるのを防止するた
め、及びセルギャップの制御を容易にするために、基板
2の電極3が形成された面に窪みを設けることができ
る。
【0104】図8(a)及び(b)に、本発明の他の実
施形態に係る液晶表示素子の製造方法を概略的に示す。
なお、図8(a)及び(b)は、それぞれ断面図であ
る。
【0105】図8(a)において、基板2の電極3が設
けられた面には、凹部20が設けられている。凹部20
の開口部には、半透膜21が設けられている。この半透
膜21は、液晶領域5から凹部20内への液晶材料の透
過を許容し、凹部20内から液晶領域5への液晶材料の
透過は許容しない。
【0106】図8(a)に示す液晶領域5の厚さが不均
一である場合、或いは、所望の厚さよりも厚い場合は、
液晶領域5を被覆する透明樹脂膜4に、基板2の主面に
垂直な方向から加圧する。これにより、図8(b)に示
すように、液晶領域5中の過剰な液晶材料9は半透膜2
1を透過し、凹部20内へと収容される。
【0107】この半透膜21には、ナイロン66等を用
いることができる。また、基板2への凹部20の形成
は、サンドブラスト等を用いて行うことができる。
【0108】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。
【0109】(実施例1)以下に示す方法により、図1
に示す液晶表示素子1を作製した。
【0110】液晶材料としては、正の誘電異方性を有す
るネマチック液晶であるメルク社製LIXON−505
2を用いた。この液晶材料82重量部、イソプレン18
重量部、及び架橋剤であるTMPTA0.5重量部を混
合・溶解した。この混合液を、3重量部のポリビニルア
ルコールとともに300重量部の純水中に投入し、ホモ
ジナイザで乳化した。
【0111】これを80℃の温度、500rpmの攪拌
速度で1時間攪拌して、重合反応させた。1時間経過
後、1μmの孔径のフィルタを用いて、上記混合液を濾
過し、純水で3回洗浄することにより、液晶材料が透明
被膜で包含された液晶マイクロカプセルを得た。なお、
この液晶マイクロカプセルは、平均粒径が6μmであ
り、透明被膜のガラス転移温度は、およそ50℃であっ
た。この液晶マイクロカプセルを、1重量%のヒドロキ
シメチルセルロース水溶液中に20重量%の濃度で分散
させ、さらに減圧下(1Torr)で攪拌することによ
り脱泡処理を施して、液晶マイクロカプセル塗布液を調
製した。
【0112】次に、一方の主面に透明電極3が設けられ
たガラス基板2上に、透明樹脂膜4を形成した。すなわ
ち、ガラス基板2の透明電極3が設けられた面に、ディ
ッピングにより、ゴム弾性の大きなイソプレン及びブタ
ジエン等を含有するポリビニルアルコール膜を形成し
た。このガラス基板2を空気雰囲気下で100℃に加熱
することにより、ポリビニルアルコール膜から溶媒であ
る水を除去し、透明樹脂膜4を形成した。
【0113】この透明樹脂膜4上に、上述の液晶マイク
ロカプセル塗布液をスリットコートにより塗布した。透
明樹脂膜4上に塗布された液晶マイクロカプセル塗布液
を窒素雰囲気下で乾燥させた後、透明樹脂膜4上に剥離
シートを減圧下(1Torr)で圧着した。なお、この
剥離シートはテフロンで構成されている。
【0114】剥離シートの圧着を続けながら、ガラス基
板2を120℃に加熱したところ、液晶マイクロカプセ
ルの透明被膜が破壊され、液晶マイクロカプセル中に収
容されていた液晶材料が透明樹脂膜4中に注入された。
その結果、透明樹脂膜4中に液晶領域5が形成された。
ガラス基板2から剥離シートを剥がすことにより、破壊
され空になった液晶マイクロカプセルの透明被膜を、透
明樹脂膜4の表面から除去して、透明樹脂膜4と液晶領
域5とからなる液晶層6を形成した。以上のようにして
液晶領域5が形成された透明樹脂膜4を光学顕微鏡を用
いて観察した。
【0115】図9は、本発明の実施例に係る液晶表示素
子の透明樹脂膜を示す顕微鏡写真のコピーである。な
お、顕微鏡写真の撮影は、透明樹脂膜4に対して斜方向
から光を照射し、液晶領域5の密度の低い位置を選んで
行った。この図で、液晶領域5はドーム状に隆起した位
置に形成されている。この液晶領域5の大きさを調べた
ところ、基板2の主面に平行な方向の長さの最大値が6
0μmであり、基板2の主面に垂直な方向の長さの最大
値が15μmであることが判明した。
【0116】この液晶層6を十分に乾燥させた後、透明
電極5が形成されたガラス基板3を液晶層6上に配置
し、減圧下で圧着することにより、液晶表示素子1を作
製した。
【0117】以上のようにして作製した液晶表示素子1
にクロスニコルで50Hz、12Vの交流電圧を印加
し、コントラスト比を求めたところ、3:1と良好な値
が得られた。
【0118】(比較例1)実施例1で作製した液晶マイ
クロカプセル塗布液を、透明電極が設けられたガラス基
板上に塗布し、これを窒素雰囲気下で乾燥させて、液晶
層を形成した。この液晶層上に、透明電極が設けられた
ガラス基板を配置し、減圧下で圧着することにより、液
晶表示素子を作製した。
【0119】以上のようにして作製した液晶表示素子に
クロスニコルで50Hz、12Vの交流電圧を印加し、
コントラスト比を求めたところ、2:1とコントラスト
が低いことが分かった。また、実施例1で作製した液晶
表示素子1に比べて、ヒステリシス及びγ値が増大して
いた。
【0120】以上のようにして作製した実施例1、比較
例1の液晶表示素子、及び液晶層が設けられていない液
晶セルについて、透過時、すなわち電圧非印加時におけ
る光透過率を測定した。その結果を図10(a)及び
(b)に示す。
【0121】図10(a)及び(b)は、それぞれ、本
発明の実施例及び比較例に係る液晶表示素子、及びこれ
らの液晶セルの光透過率を示すグラフである。なお、図
10(b)は、図10(a)の一部を拡大したグラフで
ある。また、それぞれのグラフにおいて、横軸は基板面
と透過光成分とがなす角度であり、縦軸は透過光の強度
(相対値)を示しており、曲線30、31、及び32
は、実施例1の液晶表示素子、比較例1の液晶表示素
子、及び液晶層が設けられていない液晶セルについての
データをそれぞれ示している。
【0122】この図に示されるように、比較例1の液晶
表示素子についてのデータを示す曲線31は、ブロード
であり、90°における透過光強度が低い。これは、比
較例1の液晶表示素子は、光散乱性が高いことを示して
いる。それに対し、実施例1の液晶表示素子1について
のデータを示す曲線30は、曲線31に比べて遥かにシ
ャープであり、90°における透過光強度もより高い。
すなわち、実施例1の液晶表示素子1は、比較例1の液
晶表示素子に比べて光散乱が生じにくいのである。
【0123】(実施例2)以下に示す方法により、図1
1に示す液晶表示素子40を作製した。
【0124】図11は、本発明の実施例に係る液晶表示
素子を示す断面図である。図11に示す液晶表示素子4
0は、図1に示す液晶表示素子1と、それぞれの画素を
分離する隔壁41が設けられている点でのみ異なってい
る。
【0125】液晶表示素子40を作製するに当り、液晶
材料として、チッソ社製フッ素系液晶Lixon−50
65xxを用いた。この液晶材料80重量部、アクリロ
ニトリル9重量部、イソプレンモノマー7重量部、架橋
剤であるジビニルベンゼン1重量部、及び開始剤である
ベンゾイルパーオキサイド0.2重量部を混合・溶解し
た。この混合液を、3重量部のポリビニルアルコールと
ともに300重量部の純水中に投入し、ホモジナイザで
乳化した。
【0126】これを85℃の温度、500rpmの攪拌
速度で1時間攪拌して、重合反応させた。1時間経過
後、1μmの孔径のフィルタを用いて、上記混合液を濾
過し、純水で3回洗浄することにより、液晶材料が透明
被膜で包含された液晶マイクロカプセルを得た。なお、
この液晶マイクロカプセルは、平均粒径が4μmであっ
た。この液晶マイクロカプセルを、2重量%のヒドロキ
シメチルセルロース水溶液中に25重量%の濃度で分散
させることにより、液晶マイクロカプセル塗布液を調製
した。
【0127】次に、所定のパターンにパターニングされ
たアルミニウム反射電極3が形成されたプラスチック基
板2上に、オフセット印刷により、それぞれの画素を分
離するように、格子状にポリカーボネート隔壁41を形
成した。なお、この隔壁41は、縦150μm、横15
0μm、高さ10μmに形成した。この隔壁41を形成
したプラスチック基板2上に、5重量%のイソプレンを
含有するキシレン溶液を、スリットコートにより塗布し
た。空気雰囲気下、100℃の温度で溶媒(キシレン)
を除去することにより、基板2上に透明樹脂膜4を形成
した。
【0128】この透明樹脂膜4上に、上述のようにして
調製した液晶マイクロカプセル塗布液を、ピエゾ変形型
のインクジェットにより塗布・乾燥した。その結果、液
晶マイクロカプセルの透明被膜が破壊され、液晶マイク
ロカプセル中に収容されていた液晶材料が透明樹脂膜4
中に注入された。すなわち、透明樹脂膜4中に液晶領域
5が形成された。
【0129】透明樹脂膜4の表面に残留する、破壊され
空になった液晶マイクロカプセルの透明被膜を、純水を
用いて洗い流した。十分に乾燥させた後、透明樹脂膜4
上に、一方の主面に透明電極が設けられた高分子フィル
ムを、シートローラによりラミネートすることにより、
液晶表示素子40を作製した。
【0130】以上のようにして得られた液晶表示素子4
0を、長焦点の光学顕微鏡を用いて観察したところ、隔
壁41が形成するそれぞれの格子内において、液晶領域
5は格子内全体に広がり、分割されることなく、均一に
形成されていることが分かった。また、液晶領域5は透
明樹脂膜4に対して、およそ倍の体積を有していた。さ
らに、以上のようにして作製した液晶表示素子40にク
ロスニコルで50Hz、12Vの交流電圧を印加し、コ
ントラスト比を求めたところ、4:1と良好な値が得ら
れた。
【0131】(実施例3)以下に示す方法により、図5
(b)に示す液晶表示素子1を作製した。なお、この液
晶表示素子1の基板2には、図8(a)及び(b)に示
す凹部20及び半透膜21を設けた。
【0132】液晶材料としては、正の誘電異方性を有す
るネマチック液晶であるメルク社製LIXON−505
2を用いた。この液晶材料80重量部、ジイソブチルフ
マル酸モノマー16重量部、及び架橋剤であるTMPT
A0.5重量部を混合・溶解した。この混合液を、3重
量部のポリビニルアルコールとともに300重量部の純
水中に投入し、ホモジナイザで乳化した。
【0133】これを60℃の温度、500rpmの攪拌
速度で1時間攪拌して、重合反応させた。1時間経過
後、1μmの孔径のフィルタを用いて、上記混合液を濾
過し、純水で3回洗浄することにより、液晶材料が透明
被膜で包含された液晶マイクロカプセルを得た。なお、
この液晶マイクロカプセルは、平均粒径が6μmであっ
た。この液晶マイクロカプセルを、1重量%のヒドロキ
シメチルセルロース水溶液中に20重量%の濃度で分散
させ、さらに減圧下(1Torr)で攪拌することによ
り脱泡処理を施して、液晶マイクロカプセル塗布液を調
製した。
【0134】次に、一方の主面に透明電極3がガラス基
板2上に、サンドブラストにより直径5000μm、深
さ5000μmの孔20を形成した。この孔20の開口
部に、ナイロン66からなる半透膜21を熱圧着した。
なお、この半透膜21は、孔20内へ一方向的に液晶材
料を透過するものである。
【0135】以上のようにして孔20を設けた基板2上
に、上述のようにして調製した液晶マイクロカプセル塗
布液を、ディッピングにより塗布した。十分に乾燥させ
た後、基板2上に塗布された液晶マイクロカプセル上
に、ポリエチレンナフタレート樹脂をコートして、透明
樹脂膜4を形成した。この透明樹脂膜4に、一軸方向に
遠赤外線をスキャンさせて熱勾配を形成することによ
り、配向処理を施した。なお、この透明樹脂膜4のガラ
ス転移温度は150℃であり、透明樹脂膜4は最高17
0℃まで加熱された。
【0136】次に、透明樹脂膜4から基板2側へ、2k
g/cm2 の圧力を印加してそれぞれの液晶マイクロカ
プセルの透明被膜を破壊した。これにより、透明樹脂膜
4に覆われた液晶領域5が形成された。また、液晶マイ
クロカプセルの破壊された透明被膜は、自重により沈降
した。この透明被膜を、そのガラス転移温度以上の温度
(130℃)でエージングすることにより、透明被膜は
溶融し、電極3上に平坦な薄膜(図示せず)を形成し
た。なお、このエージングの際に、上述した透明樹脂膜
4への配向処理と同様にして、透明被膜を溶融すること
により形成された薄膜表面に、配向処理を施した。この
ようにして配向処理を施すことにより、液晶領域5中の
液晶材料の配向が制御され、TN型の液晶表示素子とほ
ぼ同じ程度にまで、光散乱が低減された。
【0137】さらに、透明樹脂膜4から基板2側へ、2
kg/cm2 の圧力を印加して、液晶層6の厚さを2μ
mに制御した。この加圧の際、液晶領域5中に過剰に存
在した液晶材料は、半透膜21を透過して孔20内へと
排出された。
【0138】この液晶層6を十分に乾燥させた後、透明
電極5が形成されたガラス基板3を液晶層6上に配置
し、減圧下で圧着することにより、液晶表示素子1を作
製した。
【0139】この液晶表示素子と、液晶層6の厚さの制
御を行わなかったこと以外は同様にして作製した液晶表
示素子とについて、光透過率を測定した。その結果、液
晶層6の厚さの制御を行った液晶表示素子では92%の
透過率が得られ、液晶層6の厚さの制御を行わなかった
液晶表示素子では80%の透過率が得られた。すなわ
ち、液晶層6の厚さの制御を行うことにより、透過率を
大幅に改善することができた。また、液晶層6の厚さの
制御を行った液晶表示素子においては、駆動電圧2V、
応答速度3msという良好な表示特性が得られた。ま
た、この液晶表示素子1にクロスニコルで50Hz、1
2Vの交流電圧を印加し、コントラスト比を求めたとこ
ろ、10:1と良好な値が得られた。
【0140】(実施例4)以下に示す方法により、液晶
材料中に二色性色素させて、図1に示す液晶表示素子1
を作製した。
【0141】すなわち、液晶材料として、正の誘電異方
性を有するネマチック液晶であるメルク社製LIXON
−5052に、上記化学式(16)に示す二色性色素を
2.5重量%の濃度で混合した混合物を用いたこと以外
は、実施例1と同様にして液晶表示素子1を作製した。
【0142】以上のようにして作製した液晶表示素子1
に50Hz、12Vの交流電圧を印加し、コントラスト
比を求めたところ、6:1と良好な値が得られた。
【0143】(実施例5)以下に示すようにして、液晶
領域5の形成にレーザーアブレーションを用いて、図1
に示す液晶表示素子1を作製した。
【0144】実施例1と同様にして、透明樹脂膜4上
に、液晶マイクロカプセル塗布液をスリットコートによ
り塗布して、液晶マイクロカプセル層を形成した。この
液晶マイクロカプセル層を窒素雰囲気下で乾燥させた
後、波長355nmのYAGレーザー光を照射して、液
晶マイクロカプセル層をパターニングした。なお、パタ
ーニングは、それぞれの画素のサイズが250×250
μmとなるように、かつそれぞれの画素間のスペースが
15μmとなるように行った。
【0145】パターニング終了後、実施例1と同様にし
て、透明樹脂膜4中への液晶材料の注入等を行い、液晶
表示素子1を作製した。
【0146】以上のようにして作製した液晶表示素子1
にクロスニコルで50Hz、12Vの交流電圧を印加
し、コントラスト比を求めたところ、9:1と良好な値
が得られた。また、250×250μmという非常に小
さなサイズの画素も、高精度に形成することができた。
【0147】(実施例6)以下に示すようにして、図5
(a)に示す構造物を作製した後、加熱することによ
り、図5(b)に示す液晶表示素子1を作製した。
【0148】実施例4と同様にして調製した液晶マイク
ロカプセル塗布液を、一方の主面に透明電極3が形成さ
れたガラス基板2上に、スクリーン印刷法により、画素
毎にパターニング印刷した。十分に乾燥させた後、基板
2上に塗布された液晶マイクロカプセル上に、メチルメ
タクリレートをコートして、透明樹脂膜4を形成した。
【0149】次に、この透明樹脂膜4上に、透明電極5
が形成されたガラス基板3を液晶層6上に配置し、減圧
下で圧着することにより、図5(a)に示す構造体を作
製した。
【0150】さらに、この構造体を透明樹脂膜4のガラ
ス転移温度よりも低く、液晶マイクロカプセルの透明被
膜のガラス転移温度以上の温度でエージングした。これ
により、透明樹脂膜4に被覆された液晶領域5が形成さ
れ、図5(b)に示す液晶表示素子1が得られた。
【0151】この液晶表示素子1に50Hz、12Vの
交流電圧を印加し、コントラスト比を求めたところ、
5:1と良好な値が得られた。
【0152】上述のように、本発明の実施例に係る液晶
表示素子は、液晶層の散乱が低減されているため、いず
れも高いコントラストでの表示が可能である。また、液
晶領域と透明樹脂膜との間の界面の面積が低減されてい
るため、ヒステリシス及びγ値の増大が生じにくい。さ
らに、本発明の実施例に係る液晶表示素子は、液晶層を
塗布や印刷により形成することができるため、製造が容
易である。
【0153】
【発明の効果】以上示したように、本発明の液晶表示素
子において、液晶層は、透明樹脂膜と、この透明樹脂膜
に被覆され偏平した形状を有する液晶領域とで構成され
る。そのため、液晶材料と透明樹脂膜との間の界面の面
積の低減、及びこれら界面の平坦化を図ることができ
る。したがって、光散乱、ヒステリシス、及びγ値を低
減することができ、良好な電気光学特性を得ることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の断面
図。
【図2】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の製造工
程の一例を概略的に示す断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の製造工
程の他の例を概略的に示す断面図。
【図4】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の製造工
程の他の例を概略的に示す断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の製造工
程の変形例を概略的に示す断面図。
【図6】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の、配向
処理工程を含む製造方法を概略的に示す断面図。
【図7】本発明の実施形態に係る液晶表示素子の、配向
処理工程を含む製造方法を概略的に示す断面図。
【図8】本発明の他の実施形態に係る液晶表示素子の製
造方法を概略的に示す断面図。
【図9】本発明の実施例に係る液晶表示素子の透明樹脂
膜を示す顕微鏡写真のコピー。
【図10】本発明の実施例及び比較例に係る液晶表示素
子、及びこれらの液晶セルの光透過率を示すグラフ。
【図11】本発明の実施例に係る液晶表示素子を示す断
面図。
【符号の説明】
1,40…液晶表示素子 2,8…基板 3,7…電極 4,4-1,4-2…透明樹脂膜 5…液晶領域 6…液晶層 9…液晶材料 10…透明被膜 11…液晶マイクロカプセル 15…配向膜 20…凹部 21…半透膜 30,31,32…曲線 41…隔壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 春原 一之 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33番地 株式会社東芝生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 平5−80302(JP,A) 特開 平7−120730(JP,A) 特開 平8−194210(JP,A) 特開 平9−68698(JP,A) 特開 平10−319375(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/13 - 1/141

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の主面に電極が形成され
    た基板、 前記基板の前記電極が形成された面に設けられた透明樹
    脂膜中に液晶材料を注入することにより形成された液晶
    領域を有する液晶層、及び前記液晶層上に設けられた対
    向電極を具備し、 前記液晶領域は、前記透明樹脂膜上で、前記液晶材料を
    透明被膜で包含してなる液晶マイクロカプセルを破壊す
    ることにより、前記液晶マイクロカプセル中の前記液晶
    材料を前記透明樹脂膜中に注入して形成された ことを特
    徴とする液晶表示素子。
  2. 【請求項2】 前記透明被膜のガラス転移温度が、前記
    透明樹脂膜のガラス転移温度に対して、10℃以上低い
    ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
  3. 【請求項3】 1)少なくとも一方の主面に電極が形成
    された基板、 2)a)前記基板の前記電極が形成された面に設けられ
    た液晶領域と、 b)前記液晶領域上に設けられ、前記液晶領域を封止す
    る透明樹脂膜とを有する液晶層、及び 3)前記液晶層上に設けられた対向電極を具備し、 前記液晶領域は、前記基板の一方の主面と平行に偏平し
    た形状を有し、 前記基板の前記一方の主面に凹部が形成され、前記凹部
    の開口部に、前記液晶領域中の液晶材料が前記凹部内へ
    と一方向的に透過することが可能な半透膜を具備する
    とを特徴とする液晶表示素子。
  4. 【請求項4】 前記液晶領域は、前記基板の一方の主面
    に垂直な方向の長さの最大値に対して、前記基板の前記
    一方の主面に平行な方向の長さの最大値が3倍以上であ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載
    の液晶表示素子。
  5. 【請求項5】 前記液晶領域は、前記透明樹脂膜に対し
    て9倍以上の体積を有することを特徴とする請求項1〜
    4のいずれか1項に記載の液晶表示素子。
  6. 【請求項6】 前記液晶材料は、液晶化合物と二色性色
    素とを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載の液晶表示素子。
  7. 【請求項7】 前記透明樹脂は、粘着性或いはゴム弾
    性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1
    項に記載の液晶表示素子。
  8. 【請求項8】 少なくとも一方の主面に電極が形成され
    た基板の電極上に、透明樹脂膜を形成する工程、 前記透明樹脂膜中に液晶材料を注入して液晶領域を形成
    する工程、及び前記液晶領域が形成された前記透明樹脂
    膜上に対向電極を設ける工程を具備し、 前記液晶領域を形成する工程が、前記透明樹脂膜上で、
    前記液晶材料を透明被膜で包含した液晶マイクロカプセ
    ルを破壊して、前記液晶マイクロカプセル中の前記液晶
    材料を前記透明樹脂膜中に注入することを含む ことを特
    徴とする液晶表示素子の製造方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも一方の主面に電極が形成され
    た基板の前記電極上に隣接して配置され液晶材料から実
    質的になる複数の微小領域と、前記複数の微小領域を被
    覆する透明樹脂膜とを形成する工程、 前記複数の微小領域の少なくとも一部を相互に結合させ
    て、前記透明樹脂膜で封止された液晶領域を形成する工
    程、及び前記透明樹脂膜上に対向電極を設ける工程を具
    し、 前記複数の微小領域及び前記透明樹脂膜を形成する工程
    は、前記基板の前記電極上に、前記液晶材料を透明被膜
    で包含してなる液晶マイクロカプセルを複数配置し、前
    記複数の液晶マイクロカプセルを被覆する前記透明樹脂
    膜を形成することを含み、 前記液晶領域を形成する工程は、前記複数の液晶マイク
    ロカプセルをそれぞれ破壊することを含む ことを特徴と
    する液晶表示素子の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記透明被膜の破壊を、前記液晶マイ
    クロカプセルに熱及び圧力の少なくとも一方を印加する
    ことにより行うことを特徴とする請求項8または9に記
    載の液晶表示素子の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記透明被膜のガラス転移温度が、前
    記透明樹脂膜のガラス転移温度に対して10℃以上低
    く、前記透明被膜の破壊を、前記透明被膜のガラス転移
    温度以上、前記透明樹脂膜のガラス転移温度未満の温度
    に加熱することにより行うことを特徴とする請求項8ま
    たは9に記載の液晶表示素子の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記破壊された透明被膜をそのガラス
    転移温度以上に加熱して、前記透明樹脂膜へ融着させる
    工程を具備することを特徴とする請求項8〜11のいず
    れか1項に記載の液晶表示素子の製造方法。
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