JP3449717B2 - 阻害剤耐性セリンプロテアーゼ - Google Patents

阻害剤耐性セリンプロテアーゼ

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、セリンプロテアーゼ阻害剤に耐性を示すよ
うに修飾されたキモトリプシンスーパーファミリーのセ
リンプロテアーゼに関する。本発明は、また、このよう
な化合物の前駆体、それらの製法、それらをコードする
核酸及びそれらの医薬用途に関する。
セリンプロテアーゼは、ペプチド結合切断において求
核基としてセリンを用いるエンドペプチダーゼである。
セリンプロテアーゼには、2つの公知のスーパーファミ
リーがあり、キモトリプシンスーパーファミリーとスト
レプトミセスズブチリシンスーパーファミリーである
{Barrett,A.J.,Proteinase Inhibitors,Ed.Barrett,A.
J.et al.,Elsevier,Amsterdam,pp 3−22(1986)及びJa
mes,M.N.G.,Proteolysis and Physiological Regulatio
n,Ed.Ribbons,D.W.et al.,Academic Press,New York,pp
125−142(1976)}。
本発明は、特に、プラスミン、組織プラスミノーゲン
活性化因子(t−PA)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲ
ン活性化因子(u−PA)、トリプシン、キモトリプシ
ン、グランザイム(granzyme)、エラスターゼ、アクロ
シン、トニン(tonin)、ミエロブラスチン(myeloblas
tin)、プロステート−特異抗原{prostate−specific
antigen(PSA)}、ガンマレニン、トリプターゼ、ヘビ
毒セリンプロテアーゼ、アジプシン、プロテインC、カ
テプシンG、補体成分C1R、C1S及びC2、補体因子B、D
及びI、キマーゼ、ヘプシン、メダラシン、及びカリク
レイン、トロンビン及びVII a因子、IX a因子、X a因
子、XI a因子とXII a因子を含む血液凝固カスケードの
蛋白のような化合物を含むキモトリプシンスーパーファ
ミリーのセリンプロテアーゼに関する。キモトリプシン
スーパーファミリーのメンバーは、触媒ドメインの配列
を比較するとアミノ酸の挿入又は欠失の存在が示される
けれども、触媒ドメインのアミノ酸及び構造上の相同性
を持っている。
しかしながら、これらの挿入及び欠失は、分子と基質
及び阻害剤との相互作用の特異性に寄与する傾向がある
けれども、それらは折りたたみ分子の表面に位置し、従
って基本構造には影響しない{Strassburger,W.et al.,
FEBS Lett.,157,219−223(1983)}。
セリンプロテアーゼ阻害剤も公知であり、以下のファ
ミリーに分類されている:ウシ膵臓トリプシン阻害剤
(BPTI)ファミリー、カザルファミリー(Kazal famil
y)、アルファ−2−マクログロブリン(A2M)ファミリ
ー、ストレプトミセスズブチリシン阻害剤(SSI)ファ
ミリー、セルピンファミリー(serpin family)、クニ
ッツファミリー、4−ジスルフィドコアファミリー(fo
ur−disulphide core family)、ポテト阻害剤ファミリ
ー及びボーマン・バークファミリー。
セリンプロテアーゼ阻害剤は、その同族のセリンプロ
テアーゼを阻害し、これらのプロテアーゼと安定な1:1
複合体を形成する。構造上のデータが、トリプシンBPT
I、キモトリプシン−オボムコイド阻害剤及びキモトリ
プシン−ポテト阻害剤を含む数種のプロテアーゼ−阻害
剤複合体において得られている{Read,R.J.et al.,Prot
einase Inhibitors,Ed.Barrett,A.J.et al.,Elsevier,A
msterdam,pp 301−336(1986)}。全てのセリンプロテ
アーゼ阻害剤に共通の構造上の特徴は、同族のセリンプ
ロテアーゼの活性部位を認識する配列を含む分子の表面
からのびるループであり、実際に、阻害剤の多様な配列
にもかかわらず、異なる阻害剤とそれらの同族のセリン
プロテアーゼとの間の特異的な相互作用において、顕著
な類似性がある。
キモトリプシンスーパーファミリーのセリンプロテア
ーゼは、ヒト及び動物の生理機能において重要な役割を
持っている。最も重要なセリンプロテアーゼ阻害剤のい
くつかは、血液凝固と繊維素溶解に関連するものであ
る。血液凝固の過程において、酵素活性のカスケード
は、血餅又は血栓のフレームワークを形成するフィブリ
ンネットワークを生じることに関連している。フィブリ
ンネットワークの分解(繊維素溶解)は、プロテアーゼ
阻害剤、プラスミンを必要とする。プラスミンは、その
不活性前駆体プラスミノーゲンから、プラスミノーゲン
のアルギニン561とバリン562との間のペプチド結合の切
断によって形成される。この反応は、t−PA又はu−PA
によって触媒される。
凝固と繊維素溶解系との間の平衡が局所的に障害され
るようになると、環状動脈血栓症及び心筋梗塞、深静脈
血栓症、卒中、末梢動脈閉塞、及び塞栓症のような病態
に導く不適切な部位に、脈管内血餅が形成されるであろ
う。このような病態を治療する公知の方法は、キモトリ
プシンスーパーファミリーのセリンプロテアーゼ又はそ
のような酵素の前駆体を患者に投与することである。例
えば、ストレプトキナーゼと複合したアニソイレーテッ
ド(anisoylated)プラスミノーゲンの形態でのt−P
A、u−PA及びプラスミノーゲンは心筋梗塞の治療に用
いられ、プラスミノーゲンは血栓崩壊治療を増強するた
めに自然循環プラスミノーゲンレベルを補足するのに用
いられ、プロテインCは抗血栓剤として用いられてい
る。キモトリプシンスーパーファミリーのセリンプロテ
アーゼ、例えばVII a因子及びIX因子は、血友病のよう
な疾患における血液凝固を誘発するために投与されてい
る。このようなタイプの治療におけるこれらの全ての剤
の使用に伴う主な問題は、治療効果を減少しかつ剤の必
要投与量を増加する、セリンプロテアーゼ阻害剤による
迅速な中和である。従って、その活性を維持すると同時
にセリンプロテアーゼ阻害剤による不活性化に耐性であ
る、これらのエンドペプチダーゼの修飾された類似体を
開発することは、有利であろう。しかしながら、エンド
ペプチダーゼ活性の有意な減少を伴うことなく増加した
阻害耐性に導く修飾を予測することは、容易ではない。
WO−A−9010649は、修飾されかつセリンプロテアー
ゼ阻害剤に対する増加した耐性を持つといわれるキモト
リプシンスーパーファミリーのセリンプロテアーゼを開
示している。その文献の著者らは、トリプシンとBPTIと
の間の複合体の公知構造を研究し、主要な認識部位にお
けるアミノ酸以外に、BPTIと直接接触するトリプシンの
アミノ酸が、ポリペプチド鎖の残基37〜41の間の領域及
び残基210〜213の間の領域に位置することを理解した。
次いで、その著者らは、セリンプロテアーゼの触媒ドメ
イン間に高度な構造上の相同性があることに基づいてこ
のことから外挿し、あらゆるセリンプロテアーゼにおけ
るトリプシンのTyr−39残基に相当する残基の突然変異
により、修飾された類似体は、野生型セリンプロテアー
ゼと比較して耐性が増加することを示唆した。彼らはま
た、阻害耐性t−PA類似体を、Arg−304(トリプシンの
Tyr−39に相当する)での予測される接触点に隣接し
た、トリプシンにおいてではなくt−PAにおいて起こる
7つのアミノ酸の付加的伸長の突然変異によって作るこ
とができることも示唆している。しかしながら、一般
に、セリンプロテアーゼのキモトリプシンスーパーファ
ミリーのメンバーの触媒ドメインは配列及び構造上の相
同性を持つけれども、トリプシンのTyr−39は、蛋白の
表面上のループ構造上にあり、図1に示されるように、
他のセリンプロテアーゼにおける相当する領域は、スー
パーファミリー内で非常に多様である。実際に、このこ
とは、WO−A−9010649において認められている。従っ
て、蛋白のこの領域におけるループの特異的立体配座
が、異なるセリンプロテアーゼ間で、特にトリプシンと
プラスミンの場合のようにループ中の残基の数が異なる
場合に保持されることは、決して明白ではない。従っ
て、その領域における残基は、類似の配列を持つそれら
のフランキング領域の整列のために、連続的に整列され
るけれども、それらの側鎖が等しい空間の位置にあるこ
とは、全く明白ではない。従って、配列の整列において
等しい残基は、必ずしも折りたたみ蛋白において等しい
相互作用を形成することはできない。プラスミンを例と
して挙げるならば、トリプシン/BPTI複合体におけるTyr
−39に類似の疎水性相互作用に関連しうる3つの疎水性
残基(Phe−22、Met−24及びPhe−26)があることを、
図1から見ることができる。上述のプラスミン残基の番
号は、プラスミンのプロテアーゼドメインを表すSEQ ID
No2の番号である。SEQ ID No 2において1で示される
残基は、成熟蛋白の位置562である。図1を検討する
と、これらの残基のいずれでも、図1の番号系において
位置29で起こるトリプシンのTyr−39に相当しうること
が示されている。従って、明らかに、阻害に対して耐性
であるプロテアーゼを設計するためのWO−A−9010649
に記載の方法は、全く信頼性がなく、異なる方法で阻害
耐性突然変異体を設計するのが好ましいであろう。
本発明者らは、セリンプロテアーゼ阻害剤は、それら
の活性中心ループにおいて構造上の相同性があり、それ
らの同族体セリンプロテアーゼと類似の相互作用を形成
する{Read,R.J.et al.,Proteinase Inhibitors,Ed.Bar
rett.A.J.et al.,Elsevier,Amsterdam,pp 301−336(19
86)}ので、セリンプロテアーゼ阻害剤による阻害に対
して耐性を持つようになる、いずれの与えられたセリン
プロテアーゼにおける突然変異でも、キモトリプシンス
ーパーファミリーのあらゆる他のメンバーにおける空間
的に又は連続的に等しい残基の突然変異に適用可能であ
ることを理解した。
酵素と酵素活性の阻害を行う阻害剤との間の相互作用
は、酵素の触媒部位のアミノ酸と阻害剤の反応部位のア
ミノ酸に関連する。この重要な相互作用は、分子間の他
の相互作用によって安定化される。プロテアーゼとその
阻害剤との間には、比較的に大きい相互作用面があるけ
れども、プロテアーゼ/阻害剤複合体は、主に少しの鍵
となる相互作用によって安定化される。これらのこと
は、他のセリンプロテアーゼの触媒ドメインとそれらの
同族体阻害剤との間の相互作用のモデルとして役立つ、
トリプシンとBPTIとの間のプロテアーゼ/阻害剤複合体
において観察される相互作用によって例証される{Hube
r,R.et al.,J.Mol.Biol.89:73−101(1974)}。トリプ
シン/BPTI複合体において、重要な認識部位における残
基とは別に、阻害剤と相互作用するプロテアーゼの鍵残
基は、最も重要であるTyr−39を持つ、残基37−41及び2
10−213(キモトリプシン番号)である。この相互作用
は、t−PA/PAI−1複合体における空間的に等しい残基
が同定されかつ阻害剤耐性突然変異体が記載されている
WO−A−9010649の基礎として役立つものであった。
WO−A−9010649の開示とは対照的に、本発明者ら
は、阻害剤耐性に導くプロテアーゼ/阻害剤相互作用の
望ましい崩壊が、その文献で同定された特異的残基又は
他のセリンプロテアーゼにおけるそれらの等価物を突然
変異させることによって引き起こされる必要はないこと
を理解した。実際に、これらの鍵残基に連続的よりもむ
しろ空間的に近接した残基が突然変異され、プロテアー
ゼと阻害剤との間のあまり安定ではない複合体を生じる
であろう。
本発明の第1の観点によれば、セリンプロテアーゼ阻
害剤に耐性であり、修飾が、プロテアーゼと同族体プロ
テアーゼ阻害剤との間の相互作用部位に(連続的な近接
以外に)空間的に極めて近接した1以上の残基の突然変
異からなることに特徴づけられる、セリンプロテアーゼ
のキモトリプシンスーパーファミリーの修飾エンドペプ
チダーゼ、又はそのようなエンドペプチダーゼの前駆体
が提供される。
本発明の関係において、用語「前駆体」とは、セリン
プロテアーゼに関連して用いられるとき、活性セリンプ
ロテアーゼを産生するために酵素によって切断可能であ
る蛋白をいう。
阻害剤に対する耐性を生じる突然変異は、 i)生成する阻害剤との複合体が阻害剤と野生型蛋白と
の間の相当する複合体よりも安定ではないようになる、
プロテアーゼの局部の折りたたみにおける立体配座の変
化、 ii)生成する複合体が阻害剤と野生型蛋白との間の相当
する複合体よりも安定ではないようになる、複合体形成
に関するプロテアーゼと阻害剤の相対配行における変
化、 iii)生成する複合体が阻害剤と野生型蛋白との間の相
当する複合体よりも安定ではないようになる、阻害剤結
合部位の領域におけるプロテアーゼの立体的なバルクに
おける変化、 iv)生成する複合体が阻害剤と野生型蛋白との間の相当
する複合体よりも安定ではないようになる、阻害剤結合
部位の領域における静電的ポテンシャル場における変
化、又は v)上記のいずれかの組み合わせ を誘発するであろう。
突然変異させる残基は、プロテアーゼ鎖の三次元折り
たたみ形成により、連続的には遠隔の残基を空間的に近
接させるので、プロテアーゼ/阻害剤相互作用に関連す
る鍵残基に連続的に近接する必要はない。突然変異体を
生じるのに用いられるプロテアーゼか、又はセリンプロ
テアーゼのキモトリプシンスーパーファミリーの別のメ
ンバーのどちらかのモデルに基づいて、突然変異用の残
基を選択することが必要である。突然変異させるプロテ
アーゼの三次元構造が知られていない場合には、突然変
異用の残基の選択は、相同性モデリング又は別の技術を
用いて誘導される、突然変異させる蛋白の三次元モデル
か、又は突然変異させる蛋白と、公知の三次元構造を持
つセリンプロテアーゼのキモトリプシンスーパーファミ
リーの別のメンバーとの間の配列の整列のどちらかに基
づくであろう。配列の整列が用いられるならば、鍵残基
に対する空間の近接を公知の三次元構造を持つ整列した
それらの蛋白から推測することができるので、阻害剤耐
性を与えるための突然変異用の残基を選択するために、
関連するプロテアーゼの三次元構造モデルを発生する必
要はない。突然変異させる残基とプロテアーゼ/阻害剤
相互作用における鍵残基との間の空間的な関係は、適当
な方法によって推測することができる。適切な方法は、
当業者において公知である。
修飾セリンプロテアーゼは、キモトリプシンスーパー
ファミリーのセリンプロテアーゼのいずれでもよい。そ
れは、これらの酵素の全てが共通の作用メカニズムを持
っているからである。本発明によって修飾されることが
できるセリンプロテアーゼ阻害剤の例は、以下のようで
ある: プラスミン、組織プラスミノーゲン活性化因子(t−
PA)、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子(u
−PA)、トリプシン、キモトリプシン、グランザイム
(granzyme)、エラスターゼ、アクロシン、トニン(to
nin)、ミエロブラスチン(myeloblastin)、プロステ
ート−特異抗原{prostate−specific antigen(PS
A)}、ガンマレニン、トリプターゼ、ヘビ毒セリンプ
ロテアーゼ、アジプシン、プロテインC、カテプシン
G、補体成分C1R、C1S及びC2、補体因子B、D及びI、
キマーゼ、ヘプシン、メダラシン、及びカリクレイン、
トロンビン及びVII a因子、IX a因子、X a因子、XI a因
子とXII a因子を含む血液凝固カスケードの蛋白。
しかしながら、プラスミン、t−PA、u−PA、活性化
プロテインC、トロンビン及びVII a因子、IX a因子、X
a因子、XI a因子及びXII a因子の修飾された類似体
は、プラスミノーゲンの修飾版として、特に有用であ
る。それは、これらの化合物の全てが繊維素溶解又は血
栓剤として用いることができるからである。阻害耐性プ
ラスミン類似体が、特に好ましい。
本発明の修飾セリンプロテアーゼが耐性を示すセリン
プロテアーゼ阻害剤は、セリンプロテアーゼが修飾され
たことに明らかに依存するであろう。プラスミンの場合
には、主な生理的阻害剤は、セリンプロテアーゼ阻害剤
のセルピン(serpin)ファミリーに属するアルファ2−
アンチプラスミンである。プラスミンとアルファ2−ア
ンチプラスミンとの間の反応は、2つの工程からなる:
即ち、プラスミンのクリングル1リジン結合部位と阻害
剤のカルボキシ末端領域との間の非常に早い可逆的反応
と、それに続く、非常に安定な1:1化学量論の酵素的に
不活性な複合体の形成に導くプラスミンの触媒部位と阻
害剤の反応性領域との間の反応{Holmes,W.E.et al.,J.
Biol.Chem.,262,1659−1664(1987)}である。従っ
て、セリンプロテアーゼがプラスミンであるとき、プラ
スミンが耐性を示すセリンプロテアーゼ阻害剤がアルフ
ァ2−アンチプラスミンであるならば、特に有用であ
る。プラスミンは、アルファ2−マクログロブリン及び
アルファ2−アンチトリプシンによっても阻害され、こ
れらの阻害剤による阻害に対する耐性も有用である。
プラスミン/アンチプラスミン複合体の三次元モデル
(方法1に記載)から、プラスミンにおいて、プロテア
ーゼと阻害剤との間の相互作用の鍵残基に空間的に非常
に近接した残基は、残基17−20、44−54、62、154、15
8、198−213であることが決定された。上記で用いた番
号は、プラスミンのプロテアーゼドメインを表し、成熟
蛋白の位置562で始まる配列ID No 2の番号系である。ア
ルファ2−アンチプラスミンのようなセリンプロテアー
ゼ阻害剤による阻害に対して耐性であるためには、これ
らの領域の1以上においてプラスミンを修飾することが
必要である。プロテアーゼ阻害耐性は、キモトリプシン
スーパーファミリーの他のセリンプロテアーゼにおい
て、これらの蛋白の相当する領域を修飾することによっ
て誘発可能である。図1は、種々のプロテアーゼのプロ
テアーゼドメイン配列を示し、図1を検討すると、プロ
テアーゼ阻害剤に対する耐性を誘発するために修飾され
るべき位置が明らかである。図1の番号系において、上
述の修飾領域は、残基17−22、49−64、72、203、214及
び264−281で起こる。阻害に対する耐性を誘発するのに
適切である突然変異のタイプには、単一もしくは多重ア
ミノ酸置換、付加又は欠失がある。しかし、アミノ酸置
換が特に好ましい。
プラスミンにおいて、SEQ ID No 2の番号系を用い
て、アルファ2−アンチプラスミンによる阻害に対する
修飾された応答に導くアミノ酸置換突然変異の例は、Gl
u−62からLysもしくはAla、Ser−17からLeu、Arg−19か
らGluもしくはAla、及びGlu−45からLys、ArgもしくはA
laである。プロテアーゼ阻害に対する耐性は、他のセリ
ンプロテアーゼにおいて、相当する部位で修飾を行うこ
とにより、誘発可能である。阻害に対する耐性の程度
は、プロテアーゼにおける単一又は多重突然変異のどち
らかを行うことにより、又は置換に使用するアミノ酸の
種類を変えることにより、変更することができる。
本発明の修飾に加えて、セリンプロテアーゼは、野生
型蛋白と比較されるような他の方法で修飾されてもよ
い。いずれの修飾でも、その活性を失わないという条件
で、蛋白に行うことができる。
修飾セリンプロテアーゼに代わるものとして、前駆体
から誘導される酵素が望ましい阻害耐性を持つように、
酵素の前駆体を修飾することもできる。セリンプロテア
ーゼ前駆体の例には、プラスミンの不活性前駆体である
プラスミノーゲンがある。プラスミノーゲンのプラスミ
ンへの変換は、プラスミノーゲンのアルギニン561とバ
リン562との間のペプチド結合の切断によって達せられ
る。生理学的条件下で、この切断は、t−PA又はu−PA
によって触媒される。本発明の修飾プラスミノーゲン変
異型の切断は、上記のようなプラスミン変異型を産生す
るであろう。プラスミノーゲン変異型が、上記の好まし
いプラスミン変異型の1つを産生するために切断される
のが好ましいのは、もちろんのことである。
さらに、セリンプロテアーゼのように、前駆体は、他
の修飾を持ってもよい。野生型プラスミノーゲン分子の
分析により、それが、セリンプロテアーゼドメイン、5
つのクリングルドメイン及びプラスミン切断によって除
去される78アミノ酸のN−末端配列より構成されるグリ
コプロテインであることが示された。プラスミンによる
切断は、Arg(68)−Met(69)、Lys(77)−Lys(78)
又はLys(78)−Val(79)結合の加水分解に関連してお
り、それによってN−末端メチオニン、リジン又はバリ
ン残基を持つプラスミノーゲンの形態が造られ、それら
の全てが共通にLys−プラスミノーゲンと呼ばれてい
る。無傷のプラスミノーゲンは、N−末端グルタミン酸
残基を持つので、glu−プラスミノーゲンと称されてい
る。グリコシル化は、残基Asn(289)及びThr(346)で
起こるが、その程度及び構成は変動可能であり、それに
よって血漿中には若干の異なる分子量形態を持つプラス
ミノーゲンが存在する。上記プラスミノーゲン変異型の
いずれでも、本発明による変異型を産生するために修飾
することができる。Sottrup−Jensenらの蛋白配列決定
の研究{Atlas of Protein Sequence and Structure(D
ayhoff,M.O.,ed.)5 suppl.3,p.95(1978)}により、
プラスミノーゲンは790アミノ酸蛋白であり、その切断
部位はArg(560)−Val(561)ペプチド結合であること
が指摘された。本発明による修飾に適切なプラスミノー
ゲン変異型は、位置65で余分のイソロイシンを持ち、Fo
rsgrenらによって単離されたcDNAによってエンコードさ
れる、791残基の蛋白である{FEBS Letters,213,254−2
60(1987)}。これらのいずれのプラスミノーゲン類似
体のセリンプロテアーゼドメインでも、そのセリンプロ
テアーゼとの相同性及びプラスミンへの活性化に基づい
て認識されることができ、フィブリン分解に関連する触
媒的に活性なドメインである。5つのクリングルドメイ
ンは、t−PA及びプロトロンビンのような他の血漿蛋白
におけるクリングルドメインに相同であり、フィブリン
結合、及び従ってトロンビンに対するプラスミノーゲン
やプラスミンの局在化に関連している。
本発明のプラスミノーゲン類似体は、(野生型glu−
プラスミノーゲンと比較して)他の修飾(1以上の付
加、欠失又は置換)を含んでもよい。特に適切なプラス
ミノーゲン類似体の例は、我々の共継続中の出願である
WO−A−9109118及びGB9222758.6に記載されており、活
性プラスミンを産生するための血液凝固に関連する酵素
によって切断可能なプラスミノーゲン類似体からなる。
本発明によれば、これらのプラスミノーゲン類似体は、
切断によって、産生されるプラスミンがアルファ2−ア
ンチプラスミンのようなセリンプロテアーゼ阻害剤によ
る阻害に対して耐性を示すように、さらに修飾されても
よい。本発明のプラスミノーゲン類似体を産生するため
に修飾されてもよい他のプラスミノーゲン類似体は、1
以上のクリングルドメインが付加、除去、置換又は交代
された類似体である。他の適切なプラスミノーゲン類似
体は、アミノ末端の68、77又は78アミノ酸が欠失されて
いる、Lys−プラスミノーゲン変異型である。このよう
な変異型は、野生型glu−プラスミノーゲンに比べてLys
−プラスミノーゲンで観察されているように、フィブリ
ン結合活性を増強することができる{Bok,R.A.and Mang
el,W.F.,Biochemistry,24,3279−3286(1985)}。ま
た、本発明の範囲内には、グリコシル化のパターンを防
止、減少又は変えるための1以上の修飾を含む複数修飾
プラスミノーゲン類似体も含まれる。このような類似体
は、より長い半減期、減少した血漿クリアランス及び/
又はより高い比活性を持つことができる。
本発明の修飾セリンプロテアーゼ及びセリンプロテア
ーゼ前駆体は、適切な方法によって製造することがで
き、本発明の第2の観点によれば、まとまって連続した
アミノ酸残基をカップリングすること、及び/又はオリ
ゴペプチドを結合することからなる、このようなセリン
プロテアーゼ及びセリンプロテアーゼ前駆体の製造方法
が提供される。原則として、蛋白は、化学的な手段によ
って完全に又は部分的に合成することができるけれど
も、対応する核酸配列の、好ましくはin vivoでのリボ
ソーム翻訳によって製造するのが好ましい。さらに、そ
の方法は、適当なグリコシル化工程を含んでもよい。
組換えDNA技術を用いて本発明の蛋白を製造するのが
好ましい。天然に生じるセリンプロテアーゼ又は前駆体
をエンコードするDNAは、cDNAもしくはゲノムクローン
から得ることができ、又は合成することができる。アミ
ノ酸置換、付加又は欠失は、部位特異的突然変異誘発に
よって導入されるのが好ましい。glu−プラスミノーゲ
ン、Lys−プラスミノーゲン、他のプラスミノーゲン類
似体及びセリンプロテアーゼ変異型をエンコードするDN
A配列は、遺伝子工学の分野における当業者が熟知して
いる手順によって得ることができる。
組換えDNA技術を用いて蛋白を製造する方法は、通
常、発現ベクター中に適切なコーディング配列を挿入
し、適切な宿主細胞中にそのベクターを形質移入する工
程を含むであろう。従って、本発明の第3の観点によれ
ば、上記のような修飾セリンプロテアーゼをコードする
核酸が提供される。核酸は、DNA又はRNAのいずれでもよ
く、プラスミド、コスミド又はファージのようなベクタ
ーの形態であってもよい。ベクターは、細菌細胞のよう
な原核細胞及び/又は酵母もしくは哺乳動物細胞のよう
な真核細胞を形質移入又は形質転換するのに適応するこ
とができる。ベクターは、クローニングベクター又は発
現ベクターでもよく、クローニング部位、好ましくは少
なくとも1つのマーカー遺伝子を含む。発現ベクター
は、クローニング部位に挿入される配列に操作的に連結
されたプロモーター、及び好ましくは蛋白産物を分泌さ
せることができる配列を、付加的に持つであろう。
tPAのような分子を含む本発明の蛋白のほとんどは、
上記のような発現ベクター中にコーディング配列を挿入
し、そのベクターを適切な宿主細胞中に形質移入するこ
とによって容易に得ることができる。適切な宿主細胞と
しては、大腸菌のような細菌、酵母のような真核微生物
又は高等な真核細胞が挙げられる。発現するのが著しく
困難であるプラスミノーゲンのような分子では、我々の
共継続中の出願であるWO−A−9109118に記載されたタ
イプのベクターを用いることが必要であり、そのベクタ
ーは、ヒトサイトメガロウイルス由来の強力なプロモー
ター及びエンハンサー配列を含む第二核酸配列に操作的
に連結された、修飾セリンプロテアーゼをコードする第
一核酸配列、SV40由来のポリアデニル化配列をエンコー
ドする第三核酸配列、及びSV40プロモーターから発現さ
れる選択可能なマーカーをコードし、その選択可能なマ
ーカー配列の3'末端に追加のSV40ポリアデニル化シグナ
ルを持つ第四核酸配列からなっている。そのようなベク
ターは、単一の核酸分子からなっていてもよく、また、
例えば第一、第二及び第三配列が第一核酸分子中に含ま
れ、第四配列が第二核酸分子中に含まれるように、その
ような分子の複数からなっていてもよい。このベクター
は、プラスミノーゲン及びプラスミノーゲン類似体の発
現に特に有用である。
本発明のいずれの蛋白においても、その蛋白が、追加
の生物学的もしくは化学的手順を必要とすることなく、
生物学的に活性な形態で発現されかつ細胞培養培地中に
分泌されるように、ベクターを選択するのが好ましい。
プラスミノーゲンの場合には、このことは、上記のベク
ターを用いて達成することができる。
本発明のさらなる観点によれば、まとまって連続した
ヌクレオチドをカップリングすること、及び/又はオリ
ゴ及び/又はポリヌクレオチドを結合することからな
る、セリンプロテアーゼ阻害剤に耐性を示す修飾セリン
プロテアーゼをエンコードする核酸を製造する方法が提
供される。
本発明のさらなる観点によれば、上記のようなベクタ
ーによって形質転換又は形質移入された細胞が提供され
る。適切な細胞もしくは細胞系には、原核及び真核細胞
の両方が含まれる。原核細胞の代表的な例は、大腸菌の
ような細菌細胞である。適切な真核細胞には、サッカロ
ミセス・セレビシエ(Sacchromyces cerevisiae)又は
ピチア・パストリス(Pichia pastoris)のような酵母
細胞が含まれる。他の適切な真核細胞の例は、連続培養
で生育する哺乳動物細胞であり、そのような細胞の例に
は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、P3X63−
Ag8.653及びNSOのようなマウス骨髄腫細胞系、COS細
胞、ヒーラ細胞、293細胞、BHK細胞、ボウス(Bowes)
細胞系のようにメラノーマ細胞系、マウスL細胞、HepG
2のようなヒト肝癌細胞系、マウス繊維芽細胞及びマウ
スNIH3T3細胞が含まれる。CHO細胞は、プラスミノーゲ
ン及びプラスミノーゲン類似体を発現するための宿主と
して特に適切である。細胞の形質転換は、いずれかの便
利な方法によって達成することができるが、エレクトロ
ポレーションが特に適切な方法である。
プラスミノーゲンのようないくつかの分子において
は、培養中に低レベルの望ましくない活性化があるかも
しれない。従って、本発明のさらなる観点によれば、セ
ルピン耐性セリンプロテアーゼをエンコードする第一DN
A配列及び同族体阻害剤をエンコードする追加のDNA配列
で形質移入もしくは形質転換された真核宿主細胞が提供
される。
本発明の修飾セリンプロテアーゼには、種々の用途が
あり、そのセリンプロテアーゼが繊維素溶解又は血栓崩
壊酵素であるならば、それは、セリンプロテアーゼの有
効量を患者に投与することからなる、血液凝固によって
引き起こされる疾患もしくは病態の治療及び/又は予防
方法に有効であろう。
従って、本発明のさらなる観点によれば、医薬、特に
血液凝固によって仲介される疾患の治療に用いるため
の、繊維素溶解、血栓崩壊、抗トロンビン又はプロトロ
ンビン特性を持つ、本発明の第一の観点による修飾セリ
ンプロテアーゼが提供される。このような病態には、心
筋及び脳梗塞、動脈及び静脈血栓症、血栓塞栓症、外科
的手術後癒着、血栓性静脈炎、及び糖尿病性血管障害が
含まれる。
本発明は、また、血液凝固によって仲介される疾患も
しくは病態の治療及び/又は予防剤の製造における、本
発明の第一の観点による修飾された繊維素溶解、血栓崩
壊、抗トロンビン又はプロトロンビンのセリンプロテア
ーゼの用途を提供する。このような病態の例は上で述べ
られている。
さらに、本発明の第一の観点による1以上の修飾セリ
ンプロテアーゼと、医薬的に及び/又は獣医学的に許容
される担体とからなる医薬もしくは獣医用組成物も提供
される。
組成物は、経口、局所又は静脈内もしくは筋肉内注射
もしくは注入を含む非経口ルートによる投与に適応する
ことができる。適切な注射可能な組成物は、等張の生理
的塩類溶液及び/又は緩衝液中の化合物の製剤からな
り、注射の痛みを緩和するために局所麻酔剤を含んでい
てもよい。類似の組成を、注入用に用いることができ
る。化合物が局所的に投与される場合には、適切な基材
中のクリーム、軟膏又はローションとして処方すること
ができる。
本発明の化合物は、例えばアンプル又は袋のような密
封して閉じられた容器中のドライパウダー又は無水濃縮
物として、単一投与量形態で供給することができる。
投与される材料の量は、必要とされる繊維素溶解もし
くは凝固の阻害量、必要とされる作用速度、血栓塞栓部
位の重大さ、及び血餅の大きさに依存するであろう。正
確な投与量は、本発明の化合物によって治療を意図する
病態の性質のために、医者によって決定されるであろ
う。しかしながら、ガイドラインとして、成熟血栓の治
療が行われる患者は、一般に、例えば5回までの投薬に
おける注射か、又は注入のいずれかで、0.01〜10mg/kg
体重のプラスミノーゲン類似体の一日当たの投与量を受
けるであろう。
本発明を、以下の図面を参照して、実施例によってさ
らに記載する。
図1は、キモトリプシンスーパーファミリーの触媒ド
メインのアミノ酸の整列を示している。
図2は、pGWH及びpGWHgPベクターの地図を示してい
る。
図3は、プラスミノーゲン突然変異体A3の活性に関す
るアルファ2−アンチプラスミンの効果を示している。
図4は、アルファ2−アンチプラスミンモデルを発生
するのに用いられる、オボアルブミン及びアルファ2−
アンチプラスミンにおける配列の整列を示している。
以下の実施例により、本発明をさらに例証する。実施
例1〜5は、高等な真核細胞からの種々のプラスミノー
ゲン類似体の発現を記載し、実施例6は、アルファ2−
アンチプラスミンに対する耐性を評価するために用いら
れるアッセイを記載している。
実施例1−A1及びA12の構築及び発現 プラスミノーゲンcDNAの単離及びベクターpGWHとpGWH
gP(図2)の構築は、WO−A−9109118に記載されてい
る。pGWHgPにおいて、プラスミノーゲンcDNAをとおして
の転写は、HCMVプロモーター/エンハンサーで開始する
ことができ、選択可能なマーカーgptが用いられる。
以下の修飾プラスミノーゲン例の製造に用いた遺伝子
操作、発現及び蛋白精製の技術は、遺伝子工学の分野に
おける当業者に公知である。その技術のほとんどの記載
は、以下の実験便覧の1つに見ることができる:Cold Sp
ring Harbor Laboratory,Box 100,New York,によって出
版されたT.Maniatis,E.F.Fritsch及びJ.Sambrookによる
“Molecular Cloning"又はElsevier Science publishin
g Co.Inc.,New Yorkによって出版されたL.G.Davis,M.D.
Dibner及びJ.F.Batteyによる“Basic Methods in Molec
ular Biology"。
追加及び修正された方法は、以下の方法の項で詳述さ
れる。
アルファ2−アンチプラスミンによる阻害に耐性であ
るように設計されるプラスミノーゲン類似体が、構築さ
れた。A1は、アミノ酸Phe−587がAsnで置き換えられた
プラスミノーゲン類似体である。A12は、Arg−580でGlu
で置き換えられたプラスミノーゲン類似体である。この
実施例における修飾の手順は、本質的に、突然変異誘発
反応がバクテリオファージM13mp18中にクローン化され
たトロンビンを活性化することができるプラスミノーゲ
ン類似体T19の1.87kb Kpn I〜Hinc IIフラグメントに関
して行われたWO−A−9109118の実施例3に記載のとお
りである。一本鎖の鋳型を調製し、突然変異を、オリゴ
ヌクレオチド特異的突然変異誘発によって作った。A1に
ついては、24塩基の長いオリゴヌクレオチド5′GGTGCC
TCCACAATTGTGCATTCC3′(SEQ.ID.3)を突然変異誘発を
指示するために用い、A12については、27塩基のオリゴ
ヌクレオチド5′CCAAACCTTGTTTCAAGACTGACTTGC3′(SE
Q.ID.7)を用いた。
プラスミドDNAを、以下の方法の項に記載されている
ように、800V及び25μFを用いてエレクトロポレーショ
ンによってCHO細胞中に導入した。選択培地{250μl/ml
キサンチン、5μg/mlミコフェノール酸、1×ヒポキサ
ンチン−チミジン(HT)}を形質移入24時間後の細胞に
加え、培地を2〜3日毎に交換した。gpt−耐性コロニ
ーを生じるプレートを、エライザ(ELISA)分析を用い
てプラスミノーゲン産生に関してスクリーニングした。
高レベルの抗原を産生する細胞を再クローン化し、最高
の産生物を、産生を注意深くモニターするためのフラス
コ中に拡大化した。これらの全ての細胞系の凍結ストッ
クを貯蔵した。産生細胞を条件培地を提供するためにロ
ーラーボトル中に拡大化し、それからプラスミノーゲン
蛋白をリジンセファロース4B(用語セファロースは商品
名である)を用いて精製した。
実施例2−A3及びA16の構築と発現 突然変異誘発がM13中にクローン化された野生型プラ
スミノーゲンの3′を含むEcoR V〜Hind IIIフラグメン
ト(0.85kb)に関して行われたことを除いて、一般に実
施例1の手順に従った。使用したオリゴヌクレオチド
は、Glu−623がLysに代えられ、従って酸性アミノ酸が
塩基性アミノ酸に変えられた27mer 5′GTTCGAGATTCACTT
TTTGGTGTGCAC3′(SEQ.ID.4)であった。生じた突然変
異体を、対応する野生型配列を置換しているEcoR V〜Sp
h1フラグメントとしてクローン化した。27塩基のオリゴ
ヌクレオチド5′GTTCGAGATTCACTGCTTGGTGTGCAC3′(SE
Q.ID.10)を、A16を産生するためにGlu−623をAlaに代
えるのに用いた。
実施例3−A4、A14及びA15の構築と発現 突然変異体A4を、アンチプラスミンへの結合を防止す
るプラスミノーゲンの表面上のイオン相互作用を崩壊す
るために設計する。突然変異誘発及びサブクローン化の
手順は、Glu−606をLysに変換するように設計された24
塩基のオリゴヌクレオチド5′CTTGGGGACTTCTTCAAGCAGT
GG3′(SEQ.ID.5)を用いて、実施例1に記載のとおり
であった。24塩基のオリゴヌクレオチド5′CTTGGGGACT
TGGCTAGACAGTGG3′(SEQ.ID.8)を、A14を産生するため
にGlu−606をAlaに代えるのに用い、25塩基のオリゴヌ
クレオチド5′CTTGGGGACTTCCTTAGACAGTGGG3′(SEQ.I
D.9)を、A15を産生するためにGlu−606をArgに代える
のに用いた。
実施例4−A5の構築と発現 プラスミノーゲン類似体A5を、Tyr−39を含む構造上
のループの位置を代えるために設計し、実施例1の手順
に記載のように一般的に作った。A5においては、鋳型と
してM13におけるプラスミノーゲンのKpn I〜EcoR Vフラ
グメント上の24mer 5′CTCGTACGAAGCAGGACTTGCCAG3′
(SEQ.ID.6)を用いて、Ser−578がLeuに置き換えられ
た。突然変異を、制限酵素Hind III及びSpl Iを用いてp
GW1Hg.プラスミノーゲン中に直接的にクローン化した。
これらの部位は、突然変異誘発をとおして、各々プラス
ミノーゲンの5'末端及び1850に予め導入された。プラス
ミノーゲンをコードする配列は、この手順によって影響
されなかった。
実施例5−二重突然変異体A3A4の構築と発現 プラスミノーゲン突然変異体A3A4は、各々実施例2及
び3に記載の2つの突然変異A3とA4とを組み合わせたも
のである。突然変異誘発を、A3突然変異誘発オリゴヌク
レオチド(SEQ.ID.4)を用いてM13中にクローン化され
たA4のEcoR V〜Sph Iフラグメントに関して行った。
実施例6−プラスミノーゲン−アンチプラスミン相互作
用の分析 色素分析を、プラスミン(プラスミノーゲン)突然変
異体のアルファ2−アンチプラスミンによる阻害に対す
る耐性を評価するために用いた。プラスミン活性の阻害
は、プラスミンの色素基質S2251(Quadratech,P.O.Box
167,Epsom,Surrey.KT17 2SB)の切断速度の変化によっ
て決定した。
分析の前に、野生型プラスミノーゲンにおける突然変
異体用としてウロキナーゼか、又はトロンビン活性化プ
ラスミノーゲン(thrombin activatable plasminogen)
突然変異体用としてトロンビン(WO−A−9109118)の
どちらかを用いて、プラスミノーゲンをプラスミンに活
性化した。野生型プラスミノーゲンのプラスミンへの活
性化は、プラスミノーゲン(ca.14μg)を、1750μl
の分析用緩衝液{50mMトリス、0.1mM EDTA、0.00005%
トリトンX100、0.1%(w/v)ヒト血清アルブミン、pH8.
0}中で、37℃5分間ウロキナーゼ(16.8×10-3U)とイ
ンキュベートすることによって達成した。トロンビンを
活性化することができるプラスミノーゲン突然変異体の
プラスミンへの活性化は、プラスミノーゲン(ca.14μ
g)を、1750μlの分析用緩衝液中で、37℃でトロンビ
ンとインキュベートすることによって達成した。トロン
ビンは色素基質を切断するので、トロンビン活性を阻害
するためにヒルジンを加えた。
プラスミン(125μl)を、250μlのS2251(2mg/ml
分析用緩衝液)及び125μlのアンチプラスミン(1.25
μg/分析用緩衝液、#4032 American Diagnostica In
c.,222 Railroad Avenue,P.O.Box 1165,Greennwich,CTO
6836−1165)又は125μlの分析用緩衝液とキュベット
中で混合し、405nmの吸光度を時間中ずっと測定した。
ベックマンのDU64分光光度計及びベックマンの「デー
タ リーダー」データ捕獲ソフトウエアを、405nmでの
吸光度を8分間1秒間隔で記録するために用いた。デー
タ リーダー ソフトウエア パッケージを、時間に対
する405nmでの吸光度の変化割合、即ち時間に対する活
性プラスミン濃度の評価を提供するために、データの最
初の微分係数を計算するのに用いた。野生型プラスミン
は、アルファ2−アンチプラスミンによって迅速に不活
性化された。即ち、わずか15秒後に、プラスミンは本質
的に不活性化された。対照的に、プラスミノーゲン突然
変異体A3は、アンチプラスミン耐性表現型を有し、約75
秒のt1/2(t=15秒でのOD変化の半分の割合)で、アル
ファ2−アンチプラスミンによってわずかにゆっくり不
活性化された(図3)。
方法 1.モデル構造を、トリプシン/BPTIのX−線構造に基づ
いて相同性によって立てた。精製プラスミノーゲン構造
を、BodeらからのPPACK/トロンビンX−線構造{Bode,
W.et al.,EMBO J.8:3467−3475(1989)}を用いてトロ
ンビンに対する相同性により設計した。精製アルファ2
−アンチプラスミン(A2AP)構造を、反応性結合を含む
ループを除いて、ブロックヘイブン タンパク データ
バンク エントリー 1OVA(Brookhaven Protein Data
Bank entry 1OVA)から原子配位を用いてオボアルブミ
ンに対する相同性により設計した。反応性結合を含むル
ープは、PDBエントリー2PTC(PDB entry 2PTC)からBPT
Iの残基13〜19に関する配位を用いて設計された。A2AP
モデルを発生するために用いられた整列が、図4に示さ
れている。ここで記載されたA2APモデルには、79N−末
端残基及び55C−末端残基に関する配位は含まれていな
い。
ほとんどのセリンプロテアーゼに対する阻害剤は、共
通の基質様標準メカニズム(substrate−like standard
mechanism){Bode,W.and Huber,R.,Eur.J.Biochem.20
4:433−451(1992)}に従って、同族体酵素と反応す
る。特に、それらは全て、特徴的な標準立体配座を持つ
露出した活性部位結合ループを有する。従って、A2APモ
デル上の結合ループは、PDBエントリー2PTC(BPTIはト
リプシンと複合している)から原子配位を用いて、BPTI
(残基13〜19)の相当するループに基づいて設計され
た。
A2APとプラスミンセリンプロテアーゼドメインとの複
合体を、PDB entry 2PTCからトリプシン/BPTI複合体構
造を用いて設計した。A2APモデルを、2つの阻害剤の活
性部位結合ループにおける背骨原子(backbone atoms)
の配位間のRMS相違(RMS difference)を利用すること
によって、BPTI構造に適合させた。プラスミンセリンプ
ロテアーゼドメインモデルを、2つの蛋白の最適配列の
整列において保持された残基のC−アルファ原子の配位
間のRMS相違を利用することによって、トリプシン構造
に適合させた。次いで、A2AP/プラスミン複合体モデル
をエネルギー最小化(energy−minimisation)によって
精製した。
相同性モデル化を、モレキュラー シミュレーション
ズ インコーポレーテッド(Molecular Simulations In
corporated)からのクアンタ(Quanta)分子モデル化プ
ログラムを用いて、シリコン グラフィックス インジ
ゴ ワークステーション(Silicon Graphics Indigo wo
rkstation)に基づいて行った。配列の整列を、クアン
タ、ウィスコンシンの大学からのGCG配列分析ソフトウ
エア{Devereux,Haeberli and Smithies,Nucleic Acids
Research 12(1)387−395(1984)}、及び所有の配
列整列ソフトウエアを用いて製造した。しかしながら、
相同性モデルが立てられた実際のモデルは、本発明にお
いて重大ではない。
相同性モデル化に使用したトリプシン及びBPTI配列
は、ブロックヘイブン タンパク データバンク 原子
配位エントリー 2PTC(Brookhaven Protein Data Bank
atomic co−ordinate entry 2PTC)から得られた。ト
ロンビン配列は、PPACK/トロンビン配位ファイルから得
られた。プラスミノーゲン配列は、SWISSPROTデータベ
ースエントリーPLMN_HUMANから得られた。A2AP配列は、
SWISSPROTエントリーA2AP_HUMANから得られた。
2.ムングビーンヌクレアーゼ消化 10単位のムングビーン(mung bean)ヌクレアーゼ
を、30mM NaOAc pH5.0、100mM NaCl、2mM ZnCl、10%グ
リセロールを含む緩衝液中の制限酵素で消化された約1
μgのDNAに加えた。ムングビーンヌクレアーゼを37℃
で30分間インキュベートし、フェノールで抽出してエタ
ノールで沈澱させる前に67℃15分間で不活性化した。
3.オリゴヌクレオチド合成 オリゴヌクレオチドを、シアノエチルホスホルアミダ
イト(cyanoethyl phosphoramidites)を用いて、自動
化されたホスホルアミダイト化学によって合成した。そ
の方法は、現在広く使用され、記載されている{Beauca
ge,S.L.and Caruthers,M.H.Tetrahedron Letters 24,24
5(1981)and Caruthers,M.H.Science 230,281−285(1
985)}。
4.オリゴヌクレオチドの精製 オリゴヌクレオチドを脱保護し、濃縮NH3中でインキ
ュベートすることによって、CPG支持体から除去した。
典型的に、1μMのオリゴヌクレオチドを担持する50mg
のCPGを、600μlの濃縮NH3中で70℃5時間インキュベ
ートすることによって脱保護した。上清を新鮮なチュー
ブに移し、オリゴマーを3容量のエタノールで沈澱させ
た。遠心分離後、ペレットを乾燥し、1mlの水中に再懸
濁した。次いで、粗オリゴマーの濃度を、260nmの吸光
度を測定することによって決定した。ゲル精製のため
に、10吸光度単位の粗オリゴマーを、乾燥し、15μlの
マーカー染料(90%脱イオン化ホルムアミド、10mMトリ
ス、10mMホウ酸塩、1mM EDTA、0.1%ブロモフェノール
ブルー)中に再懸濁した。サンプルを90℃で1分間加熱
し、次いで1.2mm厚の変性ポリアクリルアミドゲル上
に、1.6mm広さのみぞで負荷した。ゲルは、1×TBE中に
おける15%アクリルアミド、0.6%ビスアクリルアミド
及び7M尿素のストックから調製され、0.1%アンモニウ
ムパースルフェート及び0.025%TEMEDを用いて重合され
た。ゲルを1時間前泳動した。サンプルを1500Vで4〜
5時間泳動した。バンドをUVシャドーイングによって目
に見えるようにし、完全長の生成物に対応するバンドを
切抜き、マイクロテスチューブ(micro−testubes)に
移した。オリゴマーを、AGEB(0.5M酢酸アンモニウム、
0.01M酢酸マグネシウム及び0.1%SDS)中に一晩浸すこ
とによって、ゲルスライスから溶出させた。次いで、AG
EB緩衝液を新鮮なチューブに移し、オリゴマーを、70℃
15分間で3容量のエタノールを用いて沈澱させた。沈澱
物を、エッペンドルフマイクロフュージ(microfuge)
中で10分間遠心分離することによって集め、ペレットを
80%エタノールで洗浄し、精製オリゴマーを乾燥し、1m
lの水中に再溶解し、最終的に、0.45ミクロンのマイク
ロフィルターをとおして濾過した。(用語エッペンドル
フは、商標名である。)精製された生成物の濃度を、26
0nmで吸光度を測定することによって決定した。
5.オリゴマーのキネーシング 100ピコモルのオリゴマーを乾燥し、20μlのキナー
ゼ緩衝液(70mMトリスpH7.6、10mM MgCl2、1mM ATP、0.
2mMスペルミジン、0.5mMトレイトール)中に再懸濁し
た。10uのT4ポリヌクレオチドキナーゼを加え、混合物
を37℃で30分間インキュベートした。次いで、キナーゼ
を70℃で10分間加熱することによって不活性化した。
6.デオキシ配列決定法 使用したプロトコールは、本質的には記載されている
とおりである{Biggin,M.D.,Gibson,T.J.,Hong,G.F.,P.
N.A.S.80 3963−3965(1983)}。適当なところで、そ
の方法は、記載{Guo,L−H.,Wu R Nucleic Acids Resea
rch 11 5521−5540(1983)}されているように、プラ
スミドDNAに関して配列決定できるように修正された。
7.形質転換 標準手順を用いて、形質転換を行った。プラスミドベ
クターを用いるクローニングにおいて受容体として使用
した菌株は、HW87又は以下の遺伝子型を持つDH5であっ
た。
araD139(ara−leu)de17697(lac I POZY)de174 ga
lU galK hsdR rpsL srl recA56 RZ1032は、DNA代謝の2つの酵素:即ち(a)高濃度
の細胞内dUTPに導くdUTPase(dut)、及び(b)DNAか
ら誤って導入されたウラシルを除去する役割をになって
いるウラシルN−グリコシラーゼ(ung){Kunkel et a
l,Methods in Enzymol.,154,367−382(1987)}が欠如
している大腸菌の誘導体である。その主要な利益は、こ
れらの突然変異が部位特異的突然変異誘発においてより
高頻度の突然変異体に導くことである。RZ1032は、以下
の遺伝子型を持っている。
HfrKL16PO/45[lysA961−62],dutl,ungl,thil,re
[A],Zbd−279::Tn10,supE44 JM103は、M13に基づくベクターに関連する操作のため
の標準受容体菌株である。
8.部位特異的突然変異誘発 キネースド(Kinased)突然変異誘発プライマー(2.5
ピコモル)を、宿主としてRZ1032を用いて、70mMトリ
ス、10mM MgCl2を含む10μlの最終反応混合物中に(1
μg)調製された一本鎖鋳型DNAにアニーリングした。
ポリプロピレンマイクロテスチューブ(エッペンドル
フ)中の反応混合物を、250mlの水を含むビーカー中に7
0℃で3分間、次いで37℃で30分間置いた。次いで、ア
ニーリングされた混合物を、氷の上に置き、以下の試薬
を加えた:1μlの10×TM(700mMトリス、100mM MgCl2 p
H7.6)、1μlの全4つのデオキシリボヌクレオチドト
リフォスフェートの各々5mMでの混合物、2μlのT4 DN
Aリガーゼ(100u)、DNAポリメラーゼの0.5μlクレノ
ウフラグメント及び4.5μlの水。次いで、ポリメラー
ゼ反応混合物を、15℃で4〜16時間インキュベートし
た。反応が完了した後、180μlのTE(10mMトリス、1mM
EDTA pH8.0)を加え、突然変異誘発混合物を−20℃で
保存した。
次いで、突然変異体クローンを単離するために、混合
物を、以下のようにして受容体JM103中に形質転換し
た。2×YT(1.6%バクトトリプトン、1%酵母抽出
物、1%NaCl)中における5mlのJM103のオーバーナイト
培養物を、50mlの予め温められた2×YT中に100倍(1 i
n a 100)希釈した。培養物を、A600が0.4に至るまで、
エアレーションによって37℃で増殖させた。細胞をペレ
ット化し、50mM CaCl2の0.5容量中に再懸濁し、15分間
氷上に維持した。次いで、細胞を4℃で再ペレット化
し、2.5mlの冷却した50mM CaCl2中に再懸濁した。形質
移入のために、突然変異誘発混合物の0.25、1、2、
5、20及び50μlのアリコートを、30分間氷上に維持し
たコンピテント細胞200μlに加えた。次いで、細胞を4
2℃で2分間加熱してショックを与えた。次いで、各々
のチューブに、0.2mlのJM103の後期指数培養物を含む3.
5mlのYTソフトアガーを加え、内容物を簡単に混合し、
次いで、1.5%アガーで凝固させた2×YTを含む予め温
められたプレートの表面上に注いだ。ソウトアガー層を
セットし、次いでプレートを37℃で一晩インキュベート
した。
次いで、一本鎖DNAを、以下のようにして単離された
クローンから調製した:単一プラークを、2×YT中に10
μlのJM103の新鮮なオーバーナイト培養物をまかれ
た、4mlの2×YT中に採った。培養物を勢いよく6時間
振とうした。次いで、0.5mlの培養物を除去し、0.5mlの
50%グルセロールに加えて、−20℃で保存する参照スト
ックを得た。残りの培養物を、細胞を除去するために遠
心分離し、ファージ粒子を有する1mlの上清を、新鮮な
エッペンドルフチューブに移した。次いで、20%PEG600
0、250mM NaClの250μlを加え、混合し、チューブを氷
上で15分間インキュベートした。次いで、ファージを10
000rpm10分間でペレット化し、上清を捨て、次いで除去
して捨てることができるPEG溶液の最終の痕跡量を集め
るために、チューブを再遠心分離した。ファージペレッ
トを、200μlのTEN(10mMトリス、1mM EDTA、0.3M NaO
Ac)中に完全に再懸濁した。DNAを、等容量のトリス飽
和フェノールを用いて抽出することによって単離した。
ファージを短時間の遠心分離によって分離し、水層を清
浄なチューブに移した。DNAを、100μlのフェノールと
100μlのクロロホルムの混合物を用いて再抽出し、フ
ァージを遠心分離によって再び分離した。痕跡量のフェ
ノールを、クロロホルムを用いる3回の連続的な抽出に
よって除去し、DNAを、−20℃で一晩2.5容量のエタノー
ルを用いて沈澱することによって最終的に単離した。DN
Aを、10000rpm 10分間でペレット化し、70%エタノール
で洗浄し、乾燥し、最終的に50μlのTE中に再懸濁し
た。
9.エレクトロポレーション チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)又はマウス
骨髄腫細胞系p3X63−Ag8.653を増殖させ、中間の対数増
殖期で収穫した。細胞を洗浄し、PBS中に再懸濁し、生
菌数を作った。次いで、細胞をペレット化し、1×107
細胞/mlで再懸濁した。40μgの線状DNAを1mlの細胞に
加え、氷上で15分間放置した。800V/25μFの1パルス
を、市販のエレクトロポレーション装置(BIORAD GENE
PULSER−商品名)を用いて細胞に与えた。細胞を、氷上
でさらに15分間インキュベートし、次いで、ウエル当た
り200μlの培地を有する5×96穴プレート(DMEM,5%F
CS、Pen/Strep、グルタミン)又は各々のディッシュに1
0mlの培地を有する3×9cmのディッシュ中で培養し、一
晩インキュベートした。24時間後、培地を除去し、キサ
ンチン(250μg/ml)、ミコフェノール酸(5μg/ml)
及び1×ヒポキサンチン/チミジン(HT)を含む選択培
地で置き換えた。細胞は、3日毎に栄養が供給された。
約14日後、gpt耐性コロニーが、いくつかのウエル中又
はプレート上で明白にみられた。プレートを、各々のウ
エル又はプレートから培地のアリコートを除去すること
によって、プラスミノーゲンに対してスクリーニング
し、エライザ法を用いて分析した。プラスミノーゲンを
産生するコロニーを拡大化し、発現レベルを最良の生産
物の選択を考慮してモニターした。
10.ヒトプラスミノーゲンに関するエライザ エライザプレート(Pro−Bind,Falcon)を、コーティ
ングバッファー{4.0g Na2CO3(10H2O)、2.93g NaHCO3
/リットル水、pH9.6}で1000倍希釈したヤギ抗ヒトプラ
スミノーゲン血清(シグマ)の50μl/ウエルで被覆し、
4℃で一晩インキュベートした。次いで、被覆溶液を除
去し、プレートを、室温で15分間、50μl/ウエルのPBS/
0.1%カゼインでインキュベートすることによりブロッ
クした。次いで、プレートをPBS/0.05%ツイーン20で3
回洗浄した。プラスミノーゲンのサンプル又はPBS/ツイ
ーンで希釈した標準物質をプレートに加え、室温で2時
間インキュベートした。次いで、プレートをPBS/ツイー
ンで3回洗浄し、50μl/ウエルのモノクローナル抗ヒト
プラスミノーゲン抗体(eg American Diagnostica,New
York,USAからの#3641及び#3642)をPBS/ツイーンで10
00倍希釈したものを加え、室温で1時間インキュベート
した。プレートを再びPBS/ツイーンで3回洗浄し、次い
で、50μl/ウエルのホースラディッシュ(horse radis
h)ペルオキシダーゼ共役ヤギ抗マウスIgG(シグマ)を
加え、室温で1時間インキュベートした。また、結合プ
ラスミノーゲンを、50μl/ウエルのホースラディッシュ
ペルオキシダーゼ共役ヒツジ抗ヒトプラスミノーゲン
(結合部位)とインキュベートすることによって現す。
プレートをPBS/ツイーンで5回洗浄し、次いで、100μl
/ウエルのペルオキシダーゼ基質(100mg/リットルの3,
3′,5.5′−テトラメチルベンジジン及び13mM H2O2を含
む0.1M酢酸ナトリウム/クエン酸緩衝液pH6.0)とイン
キュベートした。反応を、25μl/ウエルの2.5M硫酸を加
えることによって約5分後に停止し、450nmの吸光度を
プレートリーダーで読んだ。
11.プラスミノーゲン変異型の精製 プラスミノーゲン変異型を、リジンセファロース4B
(ファルマシア)を用いるクロマトグラフィーによる単
一工程で精製した。カラムを、少なくとも10カラム容量
の0.05Mリン酸ナトリウム緩衝液pH7.5で平衡化する。カ
ラムに、標準物質としてヒトglu−プラスミノーゲンを
用いてエライザによって決定されたプラスミノーゲン変
異型の0.6mg当たり1ml樹脂の割合で条件培地を負荷し
た。典型的に、プラスミノーゲンを含む条件培地の400m
lを、4℃で、56ml/cm/hの線形流速で、10mlのカラム
(H:D=4)にアプライした。負荷が完了した後、カラ
ムを、非特異的結合蛋白の溶出が終わるまで、最小の5
カラム容量の0.5M NaClを含む0.05Mリン酸緩衝液pH7.5
で洗浄した。結合プラスミノーゲンの脱着を、0.2Mイプ
シロン−アミノ−カプロン酸/脱イオン水pH7.0を適用
することによって行う。溶出には、2カラム容量必要で
あり、17ml/cm/hの線形流速で行われた。純度を調べる
ためのSDS PAGEによる分析後、予めパックされたディス
ポーザブルのセファデックスG25M(ファルマシア)を含
むPD10カラムを用いるクロマトグラフィーによって、イ
プシロン−アミノ−カプロン酸を連続的に除去し、例え
ばトリス、PBS、HEPES又は酢酸塩のような適切な緩衝液
で置換した。(用語セファデックスは、商品名であ
る。)0.3mg/mlの濃度の2.5mlの各々のプラスミノーゲ
ン突然変異体を、製造業者の指示に従って、プロセシン
グする。次いで、A280によって決定されるプラスミノー
ゲンを含むフラクションをプールする。
配列のリスト (1)一般的情報 (i)出願人 (A)名称:ブリティッシュ バイオ−テクノロジ
ーリミテッド (B)通り:ウォトリントン ロード (C)市:カウリー、オックスフォード (E)国:イギリス (F)郵便番号(ZIP):OX4 5LY (ii)発明の名称:修飾プロテアーゼ (iii)配列の数:10 (iv)コンピューター可読型:適用不可能 (2)SEQ ID NO:1の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:690塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:二本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (iii)仮説:なし (iv)アンチセンス:なし (vi)起源: (A)生物:ホモサピエンス (ix)特徴 (A)名称/キー:CDS (B)位置:1..690 (C)他の情報:/部分的 /コドン_スタート=1 /機能=「エンコード プラスミン プロ
テアーゼドメイン」 /生成物=「対応する蛋白を持つヌクレオ
チド」 /ナンバー=1 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:1: (2)SEQ ID NO:2の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:230アミノ酸 (B)タイプ:アミノ酸 (D)形態:直線 (ii)分子型:蛋白 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:2: (2)SEQ ID NO:3の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:24塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (iii)仮説:なし (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..24 (C)他の情報:/機能=「A1のための突然変異誘発
プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:3: (2)SEQ ID NO:4の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:27塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..27 (C)他の情報:/機能=「A3のための突然変異誘発
プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:4: (2)SEQ ID NO:5の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:24塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..24 (C)他の情報:/機能=「A4のための突然変異誘発
プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:5: (2)SEQ ID NO:6の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:24塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..24 (C)他の情報:/機能=「A5のための突然変異誘発
プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:6: (2)SEQ ID NO:7の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:27塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..27 (C)他の情報:/機能=「A12のための突然変異誘
発プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:7: (2)SEQ ID NO:8の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:24塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..24 (C)他の情報:/機能=「A14のための突然変異誘
発プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:8: (2)SEQ ID NO:9の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:25塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..25 (C)他の情報:/機能=「A15のための突然変異誘
発プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:9: (2)SEQ ID NO:10の情報: (i)配列の特徴 (A)長さ:27塩基対 (B)タイプ:核酸 (C)鎖:一本鎖 (D)形態:直線 (ii)分子型:cDNA (ix)特徴 (A)名称/キー:misc_特徴 (B)位置:1..27 (C)他の情報:/機能=「A16のための突然変異誘
発プライマー」 /生成物=「合成DNA」 (xi)配列の記載:SEQ ID NO:10:
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C12N 5/10 C12N 9/76 9/64 C12R 1:19 1:865 9/74 C12N 9/64 9/76 15/00 ZNAA //(C12N 1/21 5/00 B C12R 1:19) A61K 37/54 (C12N 1/21 37/465 C12R 1:865) (C12N 9/64 C12R 1:19) (72)発明者 ギルバート,リチャード,ジェームス イギリス国、オックスフォード オーエ ックス4 5エルワイ、カウリー、ウォ トリントン ロード(番地なし)ブリテ ィッシュ バイオテック ファーマシュ ーティカルズ リミテッド内 (56)参考文献 特表 平6−501616(JP,A) 特表 平4−504952(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) EUROPAT(QUESTEL) SwissProt/PIR/GeneS eq GenBank/EMBL/DDBJ/G eneSeq BIOSIS/WPI(DIALOG)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】SEQ ID NO:2の残基62、158又は45に対応す
    るアミノ酸が置換、付加又は欠失されたアミノ酸配列を
    有し、かつプラスミン阻害剤に対する耐性を有すること
    を特徴とする、プラスミンまたはその前駆体。
  2. 【請求項2】アミノ酸の置換が、Glu62からLysもしくは
    Alaへの置換、Ser−17からLeuへの置換、又はGlu−45か
    らLysもしくはArgへの置換の1以上からなることを特徴
    とする請求項1に記載のプラスミン又はその前駆体。
  3. 【請求項3】アミノ酸の置換が、Glu−45からLysへの置
    換であることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミ
    ン又はその前駆体。
  4. 【請求項4】アミノ酸の置換が、Glu62からLysへの置換
    であることを特徴とする、請求項1に記載のプラスミン
    又はその前駆体。
  5. 【請求項5】アミノ酸の置換が、Glu−45からLysへの置
    換及びGlu62からLysへの置換であることを特徴とする、
    請求項3又は4に記載のプラスミン又はその前駆体。
  6. 【請求項6】請求項2〜5のいずれか1つに記載のプラ
    スミン又はその前駆体をコードする単離されたヌクレオ
    チド配列。
  7. 【請求項7】請求項2〜5のいずれか1つに記載のプラ
    スミン又はその前駆体と、医薬的に許容される担体とか
    らなる、血液凝固によって引き起こされる疾患もしくは
    病態の治療及び/又は予防用医薬組成物。
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