JP3443742B2 - 層状成形体 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐摩耗性に富む層状
成形体、特に耐摩耗を必要とする装置、設備、機器その
他の物体面に耐摩耗保護層を形成するのに有利な層構成
からなる耐摩耗層状成形体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、コンベヤベルトや各種ロール類、
タイヤなどを始めとし各種の装置、設備、機器その他に
おいては、各物体面の強度を向上させるために各種繊維
類を混入させることが行われている。 【0003】例えば、コンベヤベルトやタイヤにおいて
はゴム中に合成繊維やガラス繊維あるいは綿布、麻布、
ワイヤーなどを複数層含めて加硫成形されており、FR
Pではポリエステル樹脂などがガラス繊維で強化されて
いる。また、金網で補強されたガラスは網入りガラスと
して重宝されている。 【0004】ゴム、樹脂、ガラス等の素材は耐食など優
れた特性を有するために上述した各製品に特色を発揮
し、使用されているが、耐摩耗の点では必ずしも充分と
は云えない面を有している。そのため、これらの素材の
耐摩耗性を改善し、増大させる方法として更にこれらの
素材にケイ砂やセラミツク粒を混合する方法が提案され
ている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案に係るケイ砂やセラミツク粒を混合する方法は例えば
ゴムはケイ砂やセラミツク粒と混合したり成型する過程
でケイ砂やセラミツク粒子との摺擦による装置、設備の
摩耗という困難な問題に遭遇し、一方、樹脂の場合、大
量施工では混合に力を要し、可使時間に制約され、成型
作業、とりわけ精密な膜厚を出すには相当な熟練を要す
るという問題を有している。 【0006】本発明は上述の如き実状に鑑み、これに対
処してその解消を図るべく耐摩耗材を保持せしめた基材
を使用し、ゴム組成物との一体化を図ることにより、従
来と別段変わりのない容易な製法で精密な作業性で得ら
れるより優れた性能を有する耐摩耗製品を得ることを目
的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴は、貫通空隙を有する多孔原基材に耐摩耗材を
保持せしめた基材を未加硫ゴム間に位置させて加圧加硫
し、基材とゴム組成物が固着一体構成化されてなる層状
成形体にある。ここで、上記本発明に使用される耐摩耗
材としては、層構成に用いられる原基材及び層形成組成
物より耐摩耗性を有する粒子であり、かつ目的摩耗物と
近似又はそれより大きな硬度物質の粒子である。例えば
コルク、クルミ殻、椰子殻、獣骨等の動植物性粒子、ベ
ークライト、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の合成
樹脂系物の粒子、砂、バラス、ケイ砂、石英ガラス、ケ
イ藻土、エメリー、ガーネット、ダイヤモンド、タング
ステン、チタン、高クロム鉄、酸化チタン、酸化鉄、酸
化クロム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カ焼アル
ミナ等の天然および合成の金属、金属化合物、合金、鉱
物等の粒子、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒
化ホウ素、チタンナイトライド、窒化アルミニウム、ラ
ンタンボライド、溶解アルミナ、溶解ジルコニア等のセ
ラミックス粒が挙げられ、これらの天然または人造の高
硬度化合物の細粒、それらのウイスカまたは焼結、細砕
して得られた粉粒体が用いられ、高炉焼結鉱等の福次生
産品、碍子粉砕品、コンクリート粉砕品あるいは耐摩耗
材含有組成物再利用としてこれらの破砕粒等も対象とな
し、目的により材質、形状、大きさ、密度などが適宜選
択され、これらは単独または併用して用いることができ
る。 【0008】耐摩耗性の低い素材粒子、あるいは上述し
たような耐摩耗性粒子であっても、さらに耐摩耗性を向
上させるためそれらの表面に著しい耐摩耗性を有する物
質、例えば、耐摩耗性プラスチック、金属、合金、酸化
物、炭化物、窒化物、セラミック等をめっき、化学蒸
着、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ、プラズマ溶射等の手法でコーティングさせた粒子を
使用することもできる。 【0009】一方、上記耐摩耗材を保持させるための原
基材としては例えば紙、パルプや木綿、絹、麻などの天
然繊維、レーヨン、などの再生繊維素繊維、ポリエステ
ル、ナイロン、塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリイ
ミド繊維などの合成繊維又は金属繊維、鉱物繊維、炭素
繊維、ガラス繊維などの無機繊維、獣皮、ゴムからなる
粗目または網状布帛、網状体や、合成樹脂成形による
網、金網、エキスパンドメタルなどが挙げられ、これら
は単独または併用してもよい。また、これらは正確な網
目構造に限らず種々の形状の通孔を有するシート状物、
ベルト状物または糸、線、紐状物、棒状物など多孔構造
物であってもよく、かつ形状、構造物とも単独または複
合使用してもよい。 【0010】しかし、上記原基材は上述の構造物に限る
ものではなく、それ自体、形状を自由に形成し得る布
目、編目など空隙を有する織布、編布など所要の拡がり
をもつ多孔性構造物でもよく、更に糸条を単独または多
数本束ね各糸条間に空隙を有する適宜太さの糸条束で
も、組紐、編紐の如き細幅の紐条でもよい。また、フィ
ルム、平鉄板等の無孔扁平構造物に必要に応じて貫通孔
を施すことによっても本発明の原基材となし得る。 【0011】とりわけ、これら原基材の多孔空隙は原基
材を貫通し、耐摩耗材粒がその内部を通過しまたは収納
し得る大きさを有していること、さらに後述のゴム組成
物の滲透が容易であることが有利である。 【0012】これらの基材は各種の強化剤、難燃剤、帯
電防止剤、シランカツプリング剤、チタンカップリング
剤等で処理しておくのも有効であり、着色剤で着色して
おくこともできる。 【0013】次に上記原基材に対し前記耐摩耗材を保持
させる方法としては、耐摩耗材粒を原基材面に電植ある
いは直接圧植したり圧絡させる方法、扁平網状袋に耐摩
耗材を封入し要所々々をステッチして保持させる方法等
も挙げられるが、予め原基材面に接着剤を塗布し、その
後、耐摩耗材を付着させ接着剤の硬化と共に基材に固着
保持させる方法が好ましい。 【0014】上記耐摩耗材を固着させる接着剤は原基材
に対し耐摩耗材を固着できるもので且つ、層状成形体の
耐摩耗性を著しく阻害しないものであれば無機系、有機
系の別なく、いかなるものでもよく、場合によっては粘
着剤など仮止め程度のものでもよく、ホットメルト系の
接着剤で熱封着することもできる。使用する接着剤の量
は耐摩耗材が原基材に固着するに足る少量が好ましい。 【0015】具体的な接着剤としては、例えば天然、ま
たは合成のゴムのり、ラテックス、蛋白質、澱粉、膠等
の動植物系、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、
ポリアクリレート、シアノアクリレート、エチレン酢酸
ビニルコポリマー、不飽和ポリエステル樹脂、クロルス
ルホン化ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリ
ウレタン、エポキシ、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂
等の合成樹脂系、水ガラス、石膏、セメント等の無機系
接着剤が挙げられるが、これらに限定するものではな
く、これらは単独または複合して使用してもよい。しか
しながら、ゴム組成物に対して著しい非固着性のもの、
層状成形体の相応の耐摩耗性や、他の目的を著しく阻害
するものは適宜選択、使用を避けるべきことは云うまで
もないことである。 【0016】耐摩耗性を保持する基材は、さらにゴム組
成物との固着を強化せしめるための活性化剤、耐摩耗材
と原基材との接着性を補強するための補強剤、必要に応
じて柔軟処理剤、耐電防止剤、その他、目的効果を助長
させるための助剤等で表面処理することは、本発明の効
果をさらに向上させる手段として有効である。 【0017】耐摩耗材を保持する基材は予め定形に製作
することもできるし、薄手のものにあっては、鋏、ダイ
ヤモンドカッター等で適宜必要形状に切断成型すること
もできる。基材の形状としては特に制限はないが、例え
ば、シート状、矢板状、帯状、短冊状、波板状、パイプ
状、棒状、リング状、球状、中空状、箱状、網状等が挙
げられる。 【0018】かくして得られた耐摩耗材を保持する基材
は、ゴム組成物と組み合わせることによって、耐摩耗性
を有した層状成形体を形成する。 【0019】本発明に使用するゴム組成物としては、上
記耐摩耗材、原基材及び原基材に耐摩耗材を付着させて
いる接着剤等とよく固着することのできるもので、耐摩
耗性のあるもの、例えば天然または合成のゴムが挙げら
れ、これらは単独または併用して用いることができる。 【0020】これらのゴム組成物には、揺変剤、発泡
剤、発泡防止剤、増粘剤、帯電防止剤、増量剤、シラン
カップリン剤、チタンカップリン剤、ガラスフレーク、
可塑剤、着色剤、炭素せんい、金属せんい等の変性助剤
を併用することも有効である。 【0021】本発明で得られた耐摩耗材を保持する基材
とゴム組成物とから固着一体化された層状成形体を得る
方法としては、例えば二組の未加硫ゴムシート間に耐摩
耗材を保持する基材を挿入し、加圧加硫すれば容易に本
発明の層状成形体を得ることができる。 【0022】かくして得られた本発明の層状成形体は、
同じかまたは異なる耐摩耗材を保持させた同質または異
質の基材または物体を、同じかまたは異なる層形成組成
物と組み合わせて複数層積層させることができる。 【0023】 【作用】上記本発明層状成形体は、それ自体耐摩耗性を
有する製品として品質、性状、形状を自由に設計するこ
とが可能であり、ロール、タイヤなどの製品として耐摩
耗性を増大せしめ得る。また、物体表面に該層状成形体
をゴムのり等で固着させることにより、耐摩耗性を付与
された新たな層状成形体を形成し得る。 【0024】しかも上記各利用に際し、耐摩耗材を保持
する基材を所要大きさに切断し、あるいは層の厚さに応
じ適宜、積層数用いることが容易となり、如何なる形態
にもまた如何なる厚さにも自由に対応せしめて種々の層
状成形体を得ることを可能ならしめる。 【0025】 【実施例】以下、更に本発明の実施例を掲げる。 【0026】実施例1 約2mm桝の綿糸製網に、桝目を閉塞しないようにポリ
ウレタン樹脂を薄く塗布させ浸透させ、タックのあるう
ちに、平均粒径500ミクロンのケイ砂を撒布、付着さ
せた。付着せず残った余分のケイ砂を除いたのち樹脂を
硬化させてケイ砂付綿網を得た。クロロプレン未加硫ゴ
ム板にケイ砂付綿網を置きその上にさらに未加硫ゴム板
を重ねたのち、加圧、加熱して加硫を行い、ゴム、ケイ
砂付綿網の層状成形体を得た。ゴム面に#24ディスク
サンダーを30秒間かけたところ、表面のゴム層は簡単
に削られ、ケイ砂付綿網の目が出たところで摩耗が進ま
ず残った。 【0027】比較例1 実施例1のケイ砂付綿網の代わりにケイ砂を付けないで
厚手の綿布を用い、実施例1に準拠して綿布入りクロロ
プレンゴム板を成形し、#24ディスクサンダーで30
秒間表面を研磨したところ、綿布層は切れてしまって下
層のゴム層まで削られた。 【0028】 【発明の効果】本発明は以上説明したように、貫通空隙
を有する原基材に耐摩耗材を保持せしめた基材を未加硫
ゴム間に位置させて加圧加硫し、基材と、ゴム組成物が
一体化されてなる層状成形体であるため、それ自体すぐ
れた摩耗性を有した製品として有用のみならず、他の製
品に装着、固着して耐摩耗性を付加させうるものであ
り、何れの場合も耐摩耗性を主目的としていながら付加
的に研磨、切削、または滑り止め等の作用を期待するこ
とができる効果を有する。また層状成形体の品質、性
状、形状も自由に設計、組み合わせられるため、耐熱、
耐水、耐食等の応用範囲も広汎であると共に、耐摩耗材
を保持する基材は成形、裁断が自由で、如何なる形態で
も自由に対処しうると共に層の厚さに応じても自由で、
均等な厚味あるいは厚さを変える必要がある場合でも、
積層度合いを変えて適宜変化させられ、層形成に極めて
有利であり、この種産業界に寄与貢献すること大であ
る。 【0029】更に本発明の層状成形体は装置、設備、機
材等の表面に直接固着させて一種のライニング、コーテ
ィング方法として利用し得る外、如何なる場所でも搬
送、保存、取り扱いが可能であるため現場ライニング作
業が誰でも、何時でも容易にでき、被加工体である装
置、設備などを遠隔移動させる必要がないため、運賃の
軽減、作業能率が著しく向上し、ライニング層取替えの
手間も簡単となって装置、設備の保守管理を極めて経済
的にかつ合理化し得る顕著な効果を有し、装置、設備本
体の摩耗損傷を防止し寿命を長期化する実用的効果が大
である。
成形体、特に耐摩耗を必要とする装置、設備、機器その
他の物体面に耐摩耗保護層を形成するのに有利な層構成
からなる耐摩耗層状成形体に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、コンベヤベルトや各種ロール類、
タイヤなどを始めとし各種の装置、設備、機器その他に
おいては、各物体面の強度を向上させるために各種繊維
類を混入させることが行われている。 【0003】例えば、コンベヤベルトやタイヤにおいて
はゴム中に合成繊維やガラス繊維あるいは綿布、麻布、
ワイヤーなどを複数層含めて加硫成形されており、FR
Pではポリエステル樹脂などがガラス繊維で強化されて
いる。また、金網で補強されたガラスは網入りガラスと
して重宝されている。 【0004】ゴム、樹脂、ガラス等の素材は耐食など優
れた特性を有するために上述した各製品に特色を発揮
し、使用されているが、耐摩耗の点では必ずしも充分と
は云えない面を有している。そのため、これらの素材の
耐摩耗性を改善し、増大させる方法として更にこれらの
素材にケイ砂やセラミツク粒を混合する方法が提案され
ている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記提
案に係るケイ砂やセラミツク粒を混合する方法は例えば
ゴムはケイ砂やセラミツク粒と混合したり成型する過程
でケイ砂やセラミツク粒子との摺擦による装置、設備の
摩耗という困難な問題に遭遇し、一方、樹脂の場合、大
量施工では混合に力を要し、可使時間に制約され、成型
作業、とりわけ精密な膜厚を出すには相当な熟練を要す
るという問題を有している。 【0006】本発明は上述の如き実状に鑑み、これに対
処してその解消を図るべく耐摩耗材を保持せしめた基材
を使用し、ゴム組成物との一体化を図ることにより、従
来と別段変わりのない容易な製法で精密な作業性で得ら
れるより優れた性能を有する耐摩耗製品を得ることを目
的とするものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明の特徴は、貫通空隙を有する多孔原基材に耐摩耗材を
保持せしめた基材を未加硫ゴム間に位置させて加圧加硫
し、基材とゴム組成物が固着一体構成化されてなる層状
成形体にある。ここで、上記本発明に使用される耐摩耗
材としては、層構成に用いられる原基材及び層形成組成
物より耐摩耗性を有する粒子であり、かつ目的摩耗物と
近似又はそれより大きな硬度物質の粒子である。例えば
コルク、クルミ殻、椰子殻、獣骨等の動植物性粒子、ベ
ークライト、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等の合成
樹脂系物の粒子、砂、バラス、ケイ砂、石英ガラス、ケ
イ藻土、エメリー、ガーネット、ダイヤモンド、タング
ステン、チタン、高クロム鉄、酸化チタン、酸化鉄、酸
化クロム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、カ焼アル
ミナ等の天然および合成の金属、金属化合物、合金、鉱
物等の粒子、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒
化ホウ素、チタンナイトライド、窒化アルミニウム、ラ
ンタンボライド、溶解アルミナ、溶解ジルコニア等のセ
ラミックス粒が挙げられ、これらの天然または人造の高
硬度化合物の細粒、それらのウイスカまたは焼結、細砕
して得られた粉粒体が用いられ、高炉焼結鉱等の福次生
産品、碍子粉砕品、コンクリート粉砕品あるいは耐摩耗
材含有組成物再利用としてこれらの破砕粒等も対象とな
し、目的により材質、形状、大きさ、密度などが適宜選
択され、これらは単独または併用して用いることができ
る。 【0008】耐摩耗性の低い素材粒子、あるいは上述し
たような耐摩耗性粒子であっても、さらに耐摩耗性を向
上させるためそれらの表面に著しい耐摩耗性を有する物
質、例えば、耐摩耗性プラスチック、金属、合金、酸化
物、炭化物、窒化物、セラミック等をめっき、化学蒸
着、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティン
グ、プラズマ溶射等の手法でコーティングさせた粒子を
使用することもできる。 【0009】一方、上記耐摩耗材を保持させるための原
基材としては例えば紙、パルプや木綿、絹、麻などの天
然繊維、レーヨン、などの再生繊維素繊維、ポリエステ
ル、ナイロン、塩化ビニル繊維、アクリル繊維、ポリイ
ミド繊維などの合成繊維又は金属繊維、鉱物繊維、炭素
繊維、ガラス繊維などの無機繊維、獣皮、ゴムからなる
粗目または網状布帛、網状体や、合成樹脂成形による
網、金網、エキスパンドメタルなどが挙げられ、これら
は単独または併用してもよい。また、これらは正確な網
目構造に限らず種々の形状の通孔を有するシート状物、
ベルト状物または糸、線、紐状物、棒状物など多孔構造
物であってもよく、かつ形状、構造物とも単独または複
合使用してもよい。 【0010】しかし、上記原基材は上述の構造物に限る
ものではなく、それ自体、形状を自由に形成し得る布
目、編目など空隙を有する織布、編布など所要の拡がり
をもつ多孔性構造物でもよく、更に糸条を単独または多
数本束ね各糸条間に空隙を有する適宜太さの糸条束で
も、組紐、編紐の如き細幅の紐条でもよい。また、フィ
ルム、平鉄板等の無孔扁平構造物に必要に応じて貫通孔
を施すことによっても本発明の原基材となし得る。 【0011】とりわけ、これら原基材の多孔空隙は原基
材を貫通し、耐摩耗材粒がその内部を通過しまたは収納
し得る大きさを有していること、さらに後述のゴム組成
物の滲透が容易であることが有利である。 【0012】これらの基材は各種の強化剤、難燃剤、帯
電防止剤、シランカツプリング剤、チタンカップリング
剤等で処理しておくのも有効であり、着色剤で着色して
おくこともできる。 【0013】次に上記原基材に対し前記耐摩耗材を保持
させる方法としては、耐摩耗材粒を原基材面に電植ある
いは直接圧植したり圧絡させる方法、扁平網状袋に耐摩
耗材を封入し要所々々をステッチして保持させる方法等
も挙げられるが、予め原基材面に接着剤を塗布し、その
後、耐摩耗材を付着させ接着剤の硬化と共に基材に固着
保持させる方法が好ましい。 【0014】上記耐摩耗材を固着させる接着剤は原基材
に対し耐摩耗材を固着できるもので且つ、層状成形体の
耐摩耗性を著しく阻害しないものであれば無機系、有機
系の別なく、いかなるものでもよく、場合によっては粘
着剤など仮止め程度のものでもよく、ホットメルト系の
接着剤で熱封着することもできる。使用する接着剤の量
は耐摩耗材が原基材に固着するに足る少量が好ましい。 【0015】具体的な接着剤としては、例えば天然、ま
たは合成のゴムのり、ラテックス、蛋白質、澱粉、膠等
の動植物系、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、
ポリアクリレート、シアノアクリレート、エチレン酢酸
ビニルコポリマー、不飽和ポリエステル樹脂、クロルス
ルホン化ポリエチレン、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリ
ウレタン、エポキシ、フェノール樹脂、レゾルシン樹脂
等の合成樹脂系、水ガラス、石膏、セメント等の無機系
接着剤が挙げられるが、これらに限定するものではな
く、これらは単独または複合して使用してもよい。しか
しながら、ゴム組成物に対して著しい非固着性のもの、
層状成形体の相応の耐摩耗性や、他の目的を著しく阻害
するものは適宜選択、使用を避けるべきことは云うまで
もないことである。 【0016】耐摩耗性を保持する基材は、さらにゴム組
成物との固着を強化せしめるための活性化剤、耐摩耗材
と原基材との接着性を補強するための補強剤、必要に応
じて柔軟処理剤、耐電防止剤、その他、目的効果を助長
させるための助剤等で表面処理することは、本発明の効
果をさらに向上させる手段として有効である。 【0017】耐摩耗材を保持する基材は予め定形に製作
することもできるし、薄手のものにあっては、鋏、ダイ
ヤモンドカッター等で適宜必要形状に切断成型すること
もできる。基材の形状としては特に制限はないが、例え
ば、シート状、矢板状、帯状、短冊状、波板状、パイプ
状、棒状、リング状、球状、中空状、箱状、網状等が挙
げられる。 【0018】かくして得られた耐摩耗材を保持する基材
は、ゴム組成物と組み合わせることによって、耐摩耗性
を有した層状成形体を形成する。 【0019】本発明に使用するゴム組成物としては、上
記耐摩耗材、原基材及び原基材に耐摩耗材を付着させて
いる接着剤等とよく固着することのできるもので、耐摩
耗性のあるもの、例えば天然または合成のゴムが挙げら
れ、これらは単独または併用して用いることができる。 【0020】これらのゴム組成物には、揺変剤、発泡
剤、発泡防止剤、増粘剤、帯電防止剤、増量剤、シラン
カップリン剤、チタンカップリン剤、ガラスフレーク、
可塑剤、着色剤、炭素せんい、金属せんい等の変性助剤
を併用することも有効である。 【0021】本発明で得られた耐摩耗材を保持する基材
とゴム組成物とから固着一体化された層状成形体を得る
方法としては、例えば二組の未加硫ゴムシート間に耐摩
耗材を保持する基材を挿入し、加圧加硫すれば容易に本
発明の層状成形体を得ることができる。 【0022】かくして得られた本発明の層状成形体は、
同じかまたは異なる耐摩耗材を保持させた同質または異
質の基材または物体を、同じかまたは異なる層形成組成
物と組み合わせて複数層積層させることができる。 【0023】 【作用】上記本発明層状成形体は、それ自体耐摩耗性を
有する製品として品質、性状、形状を自由に設計するこ
とが可能であり、ロール、タイヤなどの製品として耐摩
耗性を増大せしめ得る。また、物体表面に該層状成形体
をゴムのり等で固着させることにより、耐摩耗性を付与
された新たな層状成形体を形成し得る。 【0024】しかも上記各利用に際し、耐摩耗材を保持
する基材を所要大きさに切断し、あるいは層の厚さに応
じ適宜、積層数用いることが容易となり、如何なる形態
にもまた如何なる厚さにも自由に対応せしめて種々の層
状成形体を得ることを可能ならしめる。 【0025】 【実施例】以下、更に本発明の実施例を掲げる。 【0026】実施例1 約2mm桝の綿糸製網に、桝目を閉塞しないようにポリ
ウレタン樹脂を薄く塗布させ浸透させ、タックのあるう
ちに、平均粒径500ミクロンのケイ砂を撒布、付着さ
せた。付着せず残った余分のケイ砂を除いたのち樹脂を
硬化させてケイ砂付綿網を得た。クロロプレン未加硫ゴ
ム板にケイ砂付綿網を置きその上にさらに未加硫ゴム板
を重ねたのち、加圧、加熱して加硫を行い、ゴム、ケイ
砂付綿網の層状成形体を得た。ゴム面に#24ディスク
サンダーを30秒間かけたところ、表面のゴム層は簡単
に削られ、ケイ砂付綿網の目が出たところで摩耗が進ま
ず残った。 【0027】比較例1 実施例1のケイ砂付綿網の代わりにケイ砂を付けないで
厚手の綿布を用い、実施例1に準拠して綿布入りクロロ
プレンゴム板を成形し、#24ディスクサンダーで30
秒間表面を研磨したところ、綿布層は切れてしまって下
層のゴム層まで削られた。 【0028】 【発明の効果】本発明は以上説明したように、貫通空隙
を有する原基材に耐摩耗材を保持せしめた基材を未加硫
ゴム間に位置させて加圧加硫し、基材と、ゴム組成物が
一体化されてなる層状成形体であるため、それ自体すぐ
れた摩耗性を有した製品として有用のみならず、他の製
品に装着、固着して耐摩耗性を付加させうるものであ
り、何れの場合も耐摩耗性を主目的としていながら付加
的に研磨、切削、または滑り止め等の作用を期待するこ
とができる効果を有する。また層状成形体の品質、性
状、形状も自由に設計、組み合わせられるため、耐熱、
耐水、耐食等の応用範囲も広汎であると共に、耐摩耗材
を保持する基材は成形、裁断が自由で、如何なる形態で
も自由に対処しうると共に層の厚さに応じても自由で、
均等な厚味あるいは厚さを変える必要がある場合でも、
積層度合いを変えて適宜変化させられ、層形成に極めて
有利であり、この種産業界に寄与貢献すること大であ
る。 【0029】更に本発明の層状成形体は装置、設備、機
材等の表面に直接固着させて一種のライニング、コーテ
ィング方法として利用し得る外、如何なる場所でも搬
送、保存、取り扱いが可能であるため現場ライニング作
業が誰でも、何時でも容易にでき、被加工体である装
置、設備などを遠隔移動させる必要がないため、運賃の
軽減、作業能率が著しく向上し、ライニング層取替えの
手間も簡単となって装置、設備の保守管理を極めて経済
的にかつ合理化し得る顕著な効果を有し、装置、設備本
体の摩耗損傷を防止し寿命を長期化する実用的効果が大
である。
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(51)Int.Cl.7 識別記号 FI
B29K 105:20 B29L 9:00
B29L 9:00 B29C 67/14 X
(58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名)
B32B 1/00 - 35/00
B29C 63/00 - 63/48
B29C 70/00 - 70/88
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】貫通空隙を有する多孔原基材に耐摩耗材を
保持せしめた基材を未加硫ゴム間に位置させて加圧加硫
し、基材とゴム組成物が固着一体化されてなることを特
徴とする耐摩耗層状成形体。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32486792A JP3443742B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 層状成形体 |
AU50427/93A AU667242B2 (en) | 1992-11-09 | 1993-11-03 | Wear-resistant base material and wear-resistant composite material and its use for composite laminate or lining |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32486792A JP3443742B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 層状成形体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06143480A JPH06143480A (ja) | 1994-05-24 |
JP3443742B2 true JP3443742B2 (ja) | 2003-09-08 |
Family
ID=18170534
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32486792A Expired - Fee Related JP3443742B2 (ja) | 1992-11-09 | 1992-11-09 | 層状成形体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3443742B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP5425116B2 (ja) * | 2011-01-20 | 2014-02-26 | 住友ゴム工業株式会社 | Oaローラおよびoaローラ用コーティング剤 |
CN112808998B (zh) * | 2020-12-30 | 2022-09-06 | 辽宁科技大学 | 一种钛合金材料粘结剂及其制备方法、复合材料、应用 |
-
1992
- 1992-11-09 JP JP32486792A patent/JP3443742B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06143480A (ja) | 1994-05-24 |
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