JP3442628B2 - 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法 - Google Patents

溶融金属浸漬部材及びその冷却方法

Info

Publication number
JP3442628B2
JP3442628B2 JP29906097A JP29906097A JP3442628B2 JP 3442628 B2 JP3442628 B2 JP 3442628B2 JP 29906097 A JP29906097 A JP 29906097A JP 29906097 A JP29906097 A JP 29906097A JP 3442628 B2 JP3442628 B2 JP 3442628B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
refrigerant
inner cylinder
outer cylinder
molten metal
flow path
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP29906097A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH11132671A (ja
Inventor
昌宏 前田
隆夫 峯
宏彦 徳永
康次 中西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP29906097A priority Critical patent/JP3442628B2/ja
Publication of JPH11132671A publication Critical patent/JPH11132671A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3442628B2 publication Critical patent/JP3442628B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Furnace Details (AREA)
  • Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融金属精錬容器
(カバー、浸漬管等)を効率的に冷却することのできる
新規な溶融金属浸漬部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属の精錬工程においては、取鍋内で不
活性ガスにより溶融金属を攪拌しつつ、取鍋内湯面上に
設置した浸漬管やフード内では、ランスにより酸素を溶
融金属湯面に向けて吹き付け、溶鋼温度を昇温する等の
処理がなされる。この様な処理を効率的に行う為、内表
面を耐火物で被覆された金属製浸漬管やフード形状の槽
などが用いられている。
【0003】これらの浸漬管や槽は、溶融金属に直接接
すると共に、精錬装置の内部では吹酸によるAl,S
i,Fe等の酸化反応により1800℃以上の高温にな
る等、常に高温環境下にさらされることから、耐火物の
損傷、溶融金属浸漬部材の変形などによる耐火物の亀裂
発生や脱落を招いていた。
【0004】そこで、上述した問題の回避を目的とし
て、溶融金属浸漬部材を冷却する方法が種々提案されて
いる。
【0005】例えば特開昭58−96813には、浸
漬管芯金をジャケット構造若しくは冷却管の接合体にす
る方法が提案されている。しかしながら、この方法では
冷却流路が長く、冷媒自身の温度上昇により熱流束が末
端に向かうにつれ低下する為、均一に冷却することが困
難である。
【0006】また、特公平3−50804には、二重
円筒構造の内部に冷媒供給支管を一定間隔で配置した浸
漬管が、更に特公平6−29454には、前記の浸
漬管内部に金属板を介挿する等して抜熱効果を高める方
法が提案されている。
【0007】このうちは、冷媒が冷媒供給支管内を下
降する際、内・外部の鉄皮との接面を介して鉄皮を冷却
し、該支管の下端にある吐出口では底部を衝突噴流で冷
却し、更に反転して上昇する際には、該上昇流により内
・外部の鉄皮表面を冷却することにより浸漬管全体を冷
却しようというものである。ところが、この方法では鉄
皮下端部が主に冷却され、前述した高温の酸化反応生成
物に起因する浸漬管やフードの熱的負荷を避けることが
困難である。また前記と同様、冷媒の上昇中に冷媒の
温度が上昇する為熱流束が低下し、均一に冷却し難いと
いう問題もある。更ににおける伝熱は、管内熱伝熱と
ほぼ同様の熱伝達率となり、比較的多量の冷媒量が必要
になる等、コストの増大を招く。
【0008】また、は、の場合に比べて冷媒量の低
減を図ることができるが、芯金の製作コストが増大する
という問題がある。
【0009】この様に従来提案されている方法は、いず
れも種々の不具合を有している。とりわけ上記方法に共
通して生じる「浸漬管やフードの不均一冷却」は、溶融
金属浸漬部材高さ方向の温度格差を招き、ひいては熱応
力が増大して該支持材が変形し、寿命が低下することか
ら、早急に解決することが切望されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであり、その目的は、浸漬管やフー
ド等の溶融金属精錬容器を均一且つ効率的に冷却するこ
とができる新規な溶融金属浸漬部材を提供することにあ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の溶融金属浸漬部材は、外筒、内筒、およびドーナ
ッツ状底板によって構成される空間内に、上方から下方
へ向かう冷媒下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒上
昇流路を有する溶融金属浸漬部材において、該冷媒下降
流路には、前記外筒及び/又は内筒の側壁に向けて、若
しくは外筒と内筒の間の空間に向けて冷媒を吹出す吹出
し孔が高さ方向に複数設けられているところに要旨を有
するものである。
【0012】具体的には、本発明の溶融金属浸漬部材
は、以下に示す第1〜第3の態様に分けられる。
【0013】まず、第1の態様では、上記冷媒下降流路
は、外筒と内筒の両方または一方に当接して配置された
冷媒供給管によって構成されている。なおこの第1の態
様では、冷媒としてガスを用い、冷媒上昇流路は強制排
気手段と接続させないのが望ましい。
【0014】第2の態様では、上記冷媒下降流路は、外
筒と内筒のいずれにも当接しない様に配置された冷媒供
給管によって構成されている。
【0015】第3の態様では、外筒と内筒の間が1枚若
しくは2枚の同心円状金属板によって区画され、該金属
板の高さ方向複数位置に上記吹出し孔が設けられてお
り、1枚の同心円状金属板によって、一方を冷媒下降
流路に、他方を冷媒上昇流路に区画される場合と、2
枚の同心円状金属板によって、該2枚の金属板の間を冷
媒下降流路に、該金属板と内筒および該金属板と外筒の
間を冷媒上昇流路に区画される場合に分けられる。
【0016】これら第1〜第3の態様の溶融金属浸漬部
材を用い、前記吹出し孔から冷媒を吹き出させれば、溶
融金属浸漬部材を均一且つ効率的に冷却することができ
る。
【0017】また、上記第2および第3の態様におい
て、上記吹出し孔と被冷却面との距離をL(mm),吹
出し孔の孔径をd(mm)としたときの冷却効率が下式
(1)を満足するものは、本発明の好ましい態様であ
る。
【0018】 25(kcal/m2h・ ℃)≦C1 ×[Ve]0.75×(d/L )
0.17×(d/p )0.6・・・(1) {式中、[Ve]は冷媒を吹き付ける速度(m/sec ), p は各吹出し孔の間隔(mm), 0.04≦(d/p ), C1 は定数を夫々意味する。} 尚、本発明の溶融金属浸漬部材において、耐火物を除い
た部分または耐火物を支持している金属構造体(即ち、
本発明を最も特徴付ける部分)を芯金と呼ぶ。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明者らは、溶融金属浸漬部材
の寿命拡大を図るという課題のもと、従来の浸漬部材で
は、浸漬管やフード等を均一に冷却することが困難であ
るという問題点を解決すべく鋭意検討した。その結果、
冷媒供給流路の高さ方向に、冷媒を吹出す吹出し孔を複
数設けることにより所期の目的が達成できることを見出
し、本発明を完成したのである。即ち、本発明の溶融金
属浸漬部材は、外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
よって構成される空間内に、上方から下方へ向かう冷媒
下降流路(冷媒供給流路)と、下方から上方へ向かう冷
媒上昇流路(冷媒排出流路)を有する溶融金属浸漬部材
において、該冷媒供給流路には、前記外筒及び/又は内
筒の側壁に向けて、若しくは外筒と内筒の間の空間に向
けて冷媒を吹出す吹出し孔が高さ方向に複数設けられて
いるものである。
【0020】具体的には、本発明の溶融金属浸漬部材は
前述した通り、3つの態様に分けられる。以下、各態様
について詳細に説明する。
【0021】まず、第1の態様は、冷媒下降流路が、外
筒と内筒の両方または一方に当接して配置された冷媒供
給管(複数の冷媒供給支管から構成されていても良い)
によって構成されているものである。図1に、本発明の
溶融金属浸漬部材を適用することのできる精錬装置断面
図の一例を、図2(a)に、図1のA−A断面の部分図
を、図2(b)に、図1のB−B断面の部分図を夫々示
す。尚、図示した例は、第1の態様のうち、冷媒供給管
が外筒と内筒の両方に当接して配置されているものであ
る。本発明の特徴を一層明確にする為に、従来例の代表
として特公平3−50804に開示されている浸漬管の
うち、上記図2(a)に対応する部分図を図3(a)
に、図2(b)に対応する部分図を図3(b)に夫々併
記する。図中、1はフード、2は浸漬管、3は溶鋼、4
はランス、5はAl,Si,Fe等で生成した酸化物、
6は冷媒供給支管、7は外筒、8は内筒、9は底板、1
0は上板、11は芯金、12は耐火物を意味する。
【0022】図2及び図3より明らかな通り、本発明の
第1の態様を従来例と対比すると、冷媒供給管6が外筒
7と内筒8の両方に当接している点では共通するが、本
発明では、外筒7及び/又は内筒8の側壁に向けて冷媒
を吹出す吹出し孔13が高さ方向に複数設けられている
点で従来例と大きく相違する。この様に本発明では、冷
媒供給管6の下端14のみならず上板10から下端14
の間に複数の吹出し孔13を設けている為、冷媒が供給
管6内を下降する際、吹出し孔13の角度に応じて、外
筒7と内筒8の間の空間に向けて、若しくは外筒7及び
/又は内筒8の側壁に向けて該吹出し孔13から冷媒が
吹出し、溶融金属浸漬部材全体を均一に冷却することが
できる。詳細には、冷媒が支管6内を下降する際、冷媒
は外筒7及び/又は内筒8との間隙に分配されるので、
その部分の冷媒速度が相対的に高まる。また、分配され
た冷媒は支管6の下端から吐出し、反転して上昇する
が、その間に伝熱されることはないので、冷媒の温度を
低下させることができる。よって、溶融金属浸漬部材の
下端のみならず上板10から下端の間の部分(中間部
分)についても効率的に冷却することができるのであ
る。本発明と従来例における冷却効果の相違は、冷媒供
給支管6の下端から吐出された冷媒が反転して上昇する
際におけるガス温度(Tg)、ガス流速(V)および熱
流束(q)の観点からも確認することができる。図4
(a)は従来例における冷媒の流れを示す図、図4
(b)〜(d)は高さ方向におけるTg,V,qの変化
を夫々グラフ化したものであり、一方、図5(a)は本
発明例における冷媒の流れを示す図、図5(b)〜
(d)は高さ方向におけるTg,V,qの変化を夫々グ
ラフ化したものである。図4と図5を対比すると明らか
な様に、本発明は従来例に比べて、支持材下端と上端
の温度差が小さい,支持材上端のガス流速が大きい,
支持材下端と上端で熱流束に差が見られず、一定であ
る,ことが分かる。これらの点を総合的に考慮すれば、
溶融金属浸漬部材の上端から下端に亘って全体を均一に
冷却できるという点で、本発明は従来例に比べて格段に
優れていることが理解できる。
【0023】上述した例は、第1の態様のうち、冷媒供
給管6が外筒7と内筒8の両方に当接して配置されてい
るものであり、これにより、外筒7も内筒8も両方冷却
することができる。本発明では更に、冷媒供給管6が外
筒7と内筒8の一方に当接して配置されているものも包
含され、これにより、外筒7若しくは内筒8のいずれか
一方のみを集中して冷却することもできる。
【0024】尚、本発明では、上記吹出し孔13の個数
や孔径、冷媒供給支管6の数等を調整することにより、
冷媒の分配量を調整することができる。冷媒の分配量を
うまく調整することにより、溶融金属浸漬部材の高さ方
向における温度差を一層小さくし得、寿命の更なる向上
を図ることができる。これらは、精錬の操業条件や浸漬
管への熱負荷に応じて変更し得、所望の冷却効果が得ら
れる様、適宜適切な範囲を選択できるが、概ね、吹出し
孔13の個数を1〜5個(より好ましくは2,3個)、
吹出し孔13の孔径を1〜10mm(より好ましくは3
〜7mm)、冷媒供給支管6の数を100〜150(よ
り好ましくは110〜130個、更により好ましくは1
20個)の範囲内に制御することが推奨される。
【0025】次に、第2の態様は、冷媒下降流路が、外
筒7と内筒8のいずれにも当接しない様に配置された冷
媒供給管6によって構成されているものであり、冷媒供
給管6が被冷却面である外筒7,内筒8の間に距離を置
いて(空隙をあけて)配置されている点で第1の態様と
相違する。図6(a)に、この溶融金属浸漬部材を図1
の精錬装置に適用した場合における該図1のA−A断面
の部分図を、図6(b)に、上記図1のB−B断面の部
分図を夫々示す。
【0026】図6より明らかな通り、本発明の第2の態
様を従来例と対比すると、冷媒供給管6が外筒7と内筒
8のいずれにも当接しない様に配置されている点、およ
び外筒7及び/又は内筒8の側壁に向けて冷媒を吹出す
吹出し孔13が高さ方向に複数設けられている点で従来
例と大きく相違する。第2の態様では、各冷媒供給支管
6へ分配された冷媒は、支管6に設置された吹出し孔1
3より噴出し、外筒7及び内筒8を冷却しつつ上昇して
から上部開口部より排出される。この吹出し孔13は、
外筒7及び/又は内筒8に対してほぼ正面に配置するこ
とが好ましく、それにより冷却効果を一層高めることが
できる。尚、第2の態様では、被冷却面と吹出し孔13
の距離を適切に制御する(後記する)ことにより、第1
の態様に比べて一層優れた冷却効果を得ることができ
る。
【0027】最後に第3の態様は、外筒7と内筒8の間
が1枚若しくは2枚の同心円状金属板15によって区画
され、該金属板15の高さ方向複数位置に上記吹出し孔
13が設けられているものである。詳細には、1枚の
同心円状金属板15によって、一方を冷媒下降流路に、
他方を冷媒上昇流路に区画される場合と、2枚の同心
円状金属板15によって、該2枚の金属板15の間を冷
媒下降流路に、該金属板と内筒および該金属板15と外
筒7の間を冷媒上昇流路に区画される場合に分けられ
る。図7(a)に、上記の溶融金属浸漬部材を図1の
精錬装置に適用した場合における該図1のA−A断面の
部分図を、図7(b1)に、上記図1のB−B断面の部
分図を、図7(b3)に溶融金属浸漬部材を周方向から
みた断面図を夫々示す。
【0028】図7より明らかな通り、本発明の第3の態
様を従来例と対比すると、冷媒供給管6を使用せずに、
吹出し孔13が高さ方向に複数配置した上記金属板15
を使用している点で従来例と大きく相違する。この吹出
し孔13は、前記第2の態様と同様、外筒7及び/又は
内筒8に対してほぼ正面に配置することが好ましく、そ
れにより冷却効果を高めることができる。この様な金属
板15を配置することにより、冷媒供給管6を用いなく
とも外筒7と内筒8の間を分割(区画)でき、一方を冷
媒の流入側、他方を冷媒の排出側として使用することに
より冷媒の流れを調整することができる。また、被冷却
である内筒8若しくは外筒7と、吹出し孔13の距離
は、冷媒速度を調整するうえで非常に重要であり、この
距離を小さくする(即ち、上記金属板15を、内筒8若
しくは外筒7に近づける)ことにより、その間隙を通過
する冷媒速度を調整することができる。更に、金属板1
5上に設けられた吹出し孔13の所有面積(孔径と孔数
で決まる)を調整することにより、例えば溶融金属浸漬
部材の上端部のみを冷却したり中間部のみを冷却すると
いった局部的な冷却を行うことも可能である。
【0029】尚、第3の態様では、外筒7と内筒8の間
に設置される金属板15の数については、前記冷媒供給
管6と同様、特に限定されず、1個でもあっても良い
し、或いは複数でもあっても構わない。例えば、上記金
属板15が1個の場合は3重円筒鉄板構造になり、一方
が冷媒下降流路に、他方が冷媒上昇流路に区画されるこ
とになる。また、該金属板15が2個の場合は4重円筒
鉄板構造になり、これら金属板15の間が冷媒下降流路
に、該金属板15と内筒8および該金属板15と外筒7
の間が冷媒上昇流路に区画されることになる。
【0030】尚、上記第2の態様と第3の態様は、外筒
7と内筒8の間を分割する手段が冷媒供給管6であるか
若しくは金属板15であるかの相違はあるものの、該供
給管6若しくは金属板15が外筒7・内筒8との間に当
接されずに(距離を置いて)配置されている点で共通す
る。この様な上記第2・第3の態様を、冷媒供給支管6
が外筒7・内筒8の両方または一方に当接して配置され
ている前記従来例と対比すると、従来例では、冷媒は支
管6の下端14より全て供給されるのに対し、第2・第
3の態様では、冷媒は供給管6若しくは金属板15の下
端より供給される訳ではなく、各供給支管6若しくは金
属板15に配置された吹出し孔13から供給される(衝
風冷却)点で相違する。冷却に関する上述した両者の相
違は、冷却効率に大きな影響を及ぼしている。例えば冷
媒供給支管6に供給される冷媒風量を同一にした場合、
本発明例は従来例に比べて、冷却効率の点でも冷却ガス
噴出流速の点でも格段に優れていることを確認してい
る。
【0031】次に本発明者らは、第2・第3の態様にお
ける優れた冷却効率を一層向上し得、ひいては溶融金属
浸漬部材の寿命を著しく延長することのできる方法につ
き、熱伝達率の観点から鋭意検討した。
【0032】一般に、冷却効率(熱伝達率:h)は下式
より算出することができる。
【0033】
【数1】
【0034】式中、C,α及びβは定数, [Ve]は冷媒を吹き付ける速度(噴出流速;m/se
c), pは各吹出し孔13の間隔(mm), dは吹出し孔13の孔径(mm), Lは吹出し孔13の出口から被冷却面までの距離を夫々
意味する。
【0035】従って、被冷却面(伝達面)の部分によっ
て熱流束が相違するケースでは、熱伝達率を一定にして
冷却すると表面温度や外筒7・内筒8金属板の温度に温
度格差が生じ、熱応力の発生によって金属板や溶融金属
浸漬部材の寿命も低下してしまうが、各部分における熱
流束の程度に応じた熱伝達率を被冷却面に与えてやれ
ば、上述した温度格差が生じることもなく、温度を均一
に保つことができ、溶融金属浸漬部材等の寿命を著しく
向上させることができる。この熱伝達率は、上記Ve,
d,L,Pによって決定されるから、これらの数値をう
まく設定すれば良い。この様な観点に基づき、更に鋭意
検討したところ、(d/L)が上式(1)を満足するも
のは所期の目的を達成できることが分かった。
【0036】上式(1)中、C1 は定数であり、溶鋼温
度や精錬装置の種類等によって決定されるものである。
また、(d/p)を0.04以上にした理由は、溶融金
属浸漬部材の寿命を少なくとも500回/台以上にする
という目標値を達成する為である。図8に、後記する実
施例の結果に基づき、溶融金属浸漬部材の寿命と温度の
関係を示すグラフを、図9に、溶融金属浸漬部材と熱伝
達率(h)の関係を示すグラフを、更に図10に、熱伝
達率(h)と(d/p)の関係を示すグラフを、夫々示
す。
【0037】まず、図8より、本発明例ではいずれも溶
融金属浸漬部材の寿命が500回/台以上と、従来例に
比べて長くなっている。その理由は、溶融金属浸漬部材
の温度を500℃以下に低く抑えることができたことに
基づくものと考えられる。ここで、溶融金属浸漬部材の
温度を500℃以下にする為には、熱伝達率を25kcal
/m2h・ ℃以上に設定することが必要であり(図9)、そ
の為には、(d/p)を0.04以上にしなければなら
ないのである(図10)。
【0038】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
【0039】
【実施例】以下の実施例では、1チャージ当たり240
tの取鍋内溶鋼を底吹Arガスで攪拌しながら、取鍋内
溶鋼湯面上に配置された浸漬管2を溶鋼3(200m
m)中に浸漬し、フード1及び浸漬管内部では吹酸ラン
ス4から溶鋼湯面に向けて、純酸素を3600Nm3
hr吹きつけると同時に、Alをチャージ平均で250
kg添加して溶鋼3を昇熱する設備を使用した。この様
な設備に、下記3態様の芯金11を内蔵した浸漬管2を
適用した。本実施例に使用した浸漬管2は、内径150
0mm、高さ800mmで、操業前における初期の内面
耐火物の厚みは100mm、初期の外面耐火物の厚みは
70mmである。尚、冷媒としては圧縮空気(1200
Nm3 /hr)を使用した。
【0040】第1及び第2の態様では、冷媒供給支管6
としてSGP15A(SGP:JIS規格の一般配管用
炭素用鋼管,15A:15Aのサイズ) を用いた。こ
の冷媒供給支管6には、径5〜10mmの噴流吹出し孔
13を1本当たり16ケ設け、該供給支管6を約100
mmピッチに合計56本配置した。比較例1として、吹
出孔13を有しない冷媒供給支管6を40mmピッチに
配置したものを用意した。比較例2として、冷媒供給支
管6の数およびピッチは同じで、浸漬管内部に金属板を
介在し、抜熱効果を高めたものを用意した。
【0041】第3の態様では、内筒8と外筒7の間を6
0mm、同心円状金属板15を内筒8から30m離して
設置し、外筒7と中間円筒金属板15の間に冷媒を供給
すると共に、内筒8と中間円筒金属板15の間から冷媒
を排出した。この金属板15には、高さ方向に150m
mピッチ、円周方向に150mmピッチで10φの吹出
し孔13を設置した。
【0042】この様な設備を用い、操業後の芯金11表
面温度、浸漬管2の寿命、および芯金11の寿命を測定
した。浸漬管2および芯金11の寿命は下記の様にして
測定した。
【0043】[浸漬管2の寿命] 内面耐火物の残厚が25mm以下になった時点で寿命と
判断し、一旦オフラインで冷却した後、残りの耐火物を
解体して除去し、芯金11に耐火物を再度施工して使用
する、という工程を繰返した。この工程を何回繰返すこ
とができるか、即ち、耐火物を再施工したとしても内面
耐火物の残厚が25mmを超えなくなる耐火物施工数を
算出し、浸漬管2の寿命とした。
【0044】[芯金11の寿命] 比較例の芯金11を連続して40チャージ使用した後、
耐火物を再施工する、という工程を約5回程度繰返し、
150〜250チャージ使用した時点で芯金11の状況
を観察した。芯金11が変形して溶接部が外れるか、若
しくは芯金11の残厚膨張が半径方向で30mm以上に
なったときのチャージ数を芯金11の寿命とした。
【0045】これらの結果を表1に示す。尚、表中、N
o.1は本発明第1の態様の結果を、No.2は第2の態様
の結果を、No.3は第3の態様の結果を夫々示す。
【0046】
【表1】
【0047】表1より、本発明例はいずれも、芯金11
表面温度が500℃以下に低く抑えられる結果、耐火物
の寿命を50回以上、芯金11の寿命を500チャージ
にまで高めることができた。特に第2,第3の態様で
は、これらの寿命を一層長くすることができ、とりわけ
第2の態様では、耐火物の寿命が70回以上、芯金11
の寿命が約800チャージと格段に優れていた。
【0048】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、浸漬管やフード等に代表される溶融金属精錬容器を
均一且つ効率的に冷却し得る溶融金属浸漬部材を提供す
ることができ、上記溶融金属精錬容器の寿命が著しく高
められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の溶融金属浸漬部材を適用することので
きる精錬装置断面図の一例を示す図。
【図2】第1の態様を図1の装置に適用した場合におけ
るA−A断面及びB−B断面の部分図。
【図3】従来例を図1の装置に適用した場合におけるA
−A断面及びB−B断面の部分図。
【図4】従来例における冷媒の流れ、溶融金属浸漬部材
の高さ方向におけるTg,V,qの変化を示す図。
【図5】本発明例における冷媒の流れ、溶融金属浸漬部
材の高さ方向におけるTg,V,qの変化を示す図。
【図6】第2の態様を図1の装置に適用した場合におけ
るA−A断面及びB−B断面の部分図。
【図7】第3の態様を図1の装置に適用した場合におけ
るA−A断面及びB−B断面の部分図、及び周方向から
みた断面図。
【図8】溶融金属浸漬部材の寿命と温度の関係を示すグ
ラフ。
【図9】溶融金属浸漬部材の温度と熱伝達率(h)の関
係を示すグラフ。
【図10】熱伝達率(h)と(d/p)の関係を示すグ
ラフ。
【符号の説明】
1 フード 2 浸漬管 3 溶鋼 4 ランス 5 Al,Si,Fe等で生成した酸化物 6 冷媒供給支管 7 外筒 8 内筒 9 底板 10 上板 11 芯金 12 耐火物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中西 康次 兵庫県加古川市金沢町1番地 株式会社 神戸製鋼所 加古川製鉄所内 (56)参考文献 特開 平10−259416(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F27D 9/00 C21C 7/10

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
    よって構成される空間に、上方から下方へ向かう冷媒ガ
    ス下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒ガス上昇流路
    (ただし、該上昇流路は、強制排気手段と接続するもの
    を除く)を有する溶融金属浸漬部材において、 前記冷媒ガス下降流路は、前記外筒と内筒のいずれにも
    当接しない様に配置された冷媒ガス供給管によって構成
    されており、かつ該冷媒ガス下降流路には、前記外筒及
    び/又は内筒の側壁に向けて、若しくは外筒と内筒の間
    の空間に向けて冷媒を吹出す吹出し孔が高さ方向に複数
    設けられていることを特徴とする溶融金属浸漬部材。
  2. 【請求項2】 外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
    よって構成される空間内に、上方から下方へ向かう冷媒
    下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒上昇流路を有す
    る溶融金属浸漬部材において、 前記冷媒下降流路は、前記外筒と内筒の両方または一方
    に当接して配置された冷媒供給管によって構成されてお
    り、かつ該冷媒下降流路には、前記外筒及び/又は内筒
    の側壁に向けて、若しくは外筒と内筒の間の空間に向け
    て冷媒を吹出す吹出し孔が高さ方向に複数設けられてい
    ることを特徴とする溶融金属浸漬部材。
  3. 【請求項3】 外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
    よって構成される空間内に、上方から下方へ向かう冷媒
    下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒上昇流路を有す
    る溶融金属浸漬部材において、 前記外筒と内筒は、これらの間に配置された1枚の同心
    円状金属板によって、一方を前記冷媒下降流路に、他方
    を前記冷媒上昇流路に区画されており、 該金属板の高さ方向複数位置に、前記冷媒下降流路から
    冷媒を吹出すための吹出し孔が設けられていることを特
    徴とする溶融金属浸漬部材。
  4. 【請求項4】 外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
    よって構成される空間内に、上方から下方へ向かう冷媒
    下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒上昇流路を有す
    る溶融金属浸漬部材において、 前記外筒と内筒は、これらの間に配置された2枚の同心
    円状金属板によって、該2枚の金属板の間を冷媒下降流
    路に、該金属板と内筒および該金属板と外筒の間を冷媒
    上昇流路に区画されており、 該金属板の高さ方向複数位置に前記冷媒下降流路から冷
    媒を吹き出すための吹出し孔が設けられていることを特
    徴とする溶融金属浸漬部材。
  5. 【請求項5】 前記吹出し孔と被冷却面との距離をL
    (mm),吹出し孔の孔径をd(mm)としたときの冷
    却効率が下式(1)を満足するものである請求項1、3
    又は4に記載の溶融金属浸漬部材。 25(kcal/m2h・℃)≦C1×[Ve]0.75×(d/L)0.17
    ×(d/p )0.6・・・(1) {式中、[Ve]は冷媒を吹き付ける速度(m/sec), p は各吹出し孔の間隔(mm), 0.04≦(d/p ), C1は定数を夫々意味する。}
  6. 【請求項6】 外筒、内筒、およびドーナッツ状底板に
    よって構成される空間に、上方から下方へ向かう冷媒
    下降流路と、下方から上方へ向かう冷媒ガス上昇流路
    を有する溶融金属浸漬部材を冷却する方法であって、 該冷媒ガス下降流路に、前記外筒及び/又は内筒の側壁
    に向けて、若しくは外筒と内筒の間の空間に向けて冷媒
    を吹出す吹出し孔を高さ方向に複数設け、 該吹き出し孔からガスを吹き出させることを特徴とする
    溶融金属浸漬部材の冷却方法。
JP29906097A 1997-10-30 1997-10-30 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法 Expired - Lifetime JP3442628B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29906097A JP3442628B2 (ja) 1997-10-30 1997-10-30 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP29906097A JP3442628B2 (ja) 1997-10-30 1997-10-30 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH11132671A JPH11132671A (ja) 1999-05-21
JP3442628B2 true JP3442628B2 (ja) 2003-09-02

Family

ID=17867694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP29906097A Expired - Lifetime JP3442628B2 (ja) 1997-10-30 1997-10-30 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3442628B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH11132671A (ja) 1999-05-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4620507A (en) Stave cooler
CN1918306B (zh) 冶金容器
US6221312B1 (en) Refractory wall, metallurgical vessel comprising such a refractory wall and method in which such a refractory wall is applied
JP2001040411A (ja) 溶鋼の精錬用取鍋
JP3442628B2 (ja) 溶融金属浸漬部材及びその冷却方法
US20120067983A1 (en) Use of an altitude-compensating nozzle
WO1998015664A1 (fr) Appareil de fusion d'acier fondu destine a la production d'acier a tres faible teneur en carbone, et procede de fusion faisant appel a cet appareil
AU2004201935B2 (en) Metallurgical reactor for the production of cast iron
EP0128987B1 (en) Tuyere and method for blowing gas into molten metal
US4477279A (en) Annular tuyere and method
JP4765372B2 (ja) ガス吹き込み羽口
JP4487824B2 (ja) 精錬用容器で用いる底吹き羽口
US6368549B1 (en) Metallurgical vessel
JP3167858B2 (ja) 溶銑予備処理用浸漬単管ランス
US4615373A (en) Method and an apparatus for manufacturing a hollow steel ingot
JP2002532252A (ja) 注入チューブ
JPH0629454B2 (ja) 浸漬管の冷却方法
JPH09296205A (ja) 高炉炉壁用冷却板
JP3569337B2 (ja) 浸漬管
US4344607A (en) Blast furnace support apparatus
JPH1121617A (ja) シール金物変形防止構造を有するrh設備浸漬管
JP3769060B2 (ja) 溶融金属内へのガスの底吹き方法
JPS5916914A (ja) 2層冷却帯からなる高炉炉壁の冷却構造
JPH047519Y2 (ja)
JPH08302414A (ja) 転炉吹錬用ランスノズル

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20030527

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080620

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090620

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100620

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100620

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110620

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120620

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130620

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term