JP3441057B2 - 多孔状感光体及びその製造方法 - Google Patents

多孔状感光体及びその製造方法

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JP3441057B2 JP27784199A JP27784199A JP3441057B2 JP 3441057 B2 JP3441057 B2 JP 3441057B2 JP 27784199 A JP27784199 A JP 27784199A JP 27784199 A JP27784199 A JP 27784199A JP 3441057 B2 JP3441057 B2 JP 3441057B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、FAX、
プリンタなどに使用される感光体とその製造方法に関す
るものであり、より詳細には、等間隔に配置した多数の
微小孔を有する多孔状層を表面に有する感光体(以下、
「多孔状感光体」と呼ぶ)とその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来より複写機、プリンタの画像形成技
術として電子写真プロセスが知られており、広く実用化
されている。このプロセスの代表的なものとしてカール
ソン法(ゼログラフィ)がある。しかし、この方式では
帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングという6
工程を経て印字が行われ、各工程に専用ユニットを要す
るため装置全体の大型化が避けられない。そこで、カー
ルソン法に代わる簡略化させた電子写真プロセスがいく
つか提案されており、その一つが特開平9−20409
2号公報により開示されている。同公報により開示され
た方法は、上面に電極が形成された多孔状の絶縁層が感
光体の表面に積層された多孔状感光体の細孔中に帯電し
た導電性着色粒子を充填し、印字情報に応じた画像光を
透光性支持体側から照射することによって、記録紙を介
した対向電極側へ着色粒子を選択的に飛翔させるもので
あり、着色粒子充填工程、露光飛翔工程、定着工程の3
工程にて印字工程が終了するため、装置の小型化を図る
ことが可能である。
【0003】この方式では、多孔状の絶縁層における多
数形成された孔の一つが最小印字構成単位(1ドットと
呼ばれる)となっている為、一定以上の画像濃度を確保
するには、孔内の着色粒子数に帰着する孔の深さ、つま
り多孔状層の厚みをある値以上とし、さらに、高解像度
画像を得るために、孔と孔の間隔を細かく密にする必要
がある。而して、前記公報にて提案された多孔状層の形
成方法は、レーザ加工あるいは機械的加工によるもので
あったため、製造コストが嵩んだり、高密度・高精度の
要求に対応できないなどの問題があった。そこで、光硬
化性樹脂を用いて多孔状層を形成する方法が、特開平1
1−149164号公報、特願平10−325210号
により提案されている。
【0004】図8は、特願平10−325210号にて
提案された方法により作製された多孔状感光体10の構
成を示す断面斜視図である。同図に示すように、透光性
支持体11の上に、透光性導電層12、さらに電荷発生
層13a及び電荷輸送層13bからなる光導電層13が
積層され、その表面にごく薄い反射防止層19が形成さ
れ、さらにその上に、微細孔17を有する絶縁性の多孔
状層15が形成され、そしてその上面に上部電極16が
形成されている。図には、均一間隔に開設された微細な
孔17に、記録時に用いられる導電性着色粒子(特願平
10−325210号での名称は導電性粒子)18が充
填されている様子が示されている。
【0005】次に、多孔状感光体10のうち特に反射防
止層19と多孔状層15の形成方法について説明する。
反射防止層19は、有機系あるいは無機系の紫外線吸収
剤を含む層形成用の塗液を光導電層13上に塗布するこ
とにより形成する。尚、後述される光硬化性樹脂の未硬
化部分を取り除く現像工程の際、同時に、反射防止層1
9を孔底からの除去を行う。なぜならば除去されずに孔
底に残り続けると、反射防止層19の膜厚によっては、
導電性着色粒子18と光導電層13との間に障壁が存在
することになる為、反射防止層19に絶縁性があったな
らば両層間における電荷授受が円滑に行えなくなり、記
録紙への印字ができなくなるからである。なお、上記の
特開平11−149164号公報においてはこの反射防
止膜が用いられていない。この反射防止層を設置するこ
とにより、後述される光硬化性樹脂のパターン露光工程
の際、下地層における乱反射等によって孔底の光硬化が
広がって貫通孔が形成されにくくなるという特開平11
−149164号公報の従来技術の問題点が解決されて
いる。
【0006】多孔状層15は反射防止層19上に、紫外
光照射により硬化する光硬化性液状樹脂を塗布した後、
図9に示すように、光硬化性液状樹脂32上に、所定の
パターンを有するマスク33を密着して配置し、露光ラ
ンプ91より露光光75を照射して紫外線露光を行う。
そして、光硬化性液状樹脂32上よりマスク33を取り
除き、現像を行って多孔状層15を形成する。この方法
によれば、高アスペクト比の孔を高密度に一括して形成
することが可能になり、従って、高精度な微細孔を有す
る多孔状感光体を安価に提供することが可能になる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様に一括密着露光を行った場合、露光後のマスク剥離時
に、硬化した光硬化性樹脂がマスクに貼り付き、部分的
に樹脂がちぎれる等により像が欠損してしまうことがあ
った。もちろんマスクと被露光物間にギャップを保持し
て露光を行えば前述の問題は発生しないが、ギャップ層
挿入によって急激に解像度及びアスペクト比が低下する
こと、樹脂厚み及びマスク位置制御に数ランク上の精度
確保が必要となる等の、別種の不具合が発生してしまう
ため、簡便な作製法を提供するという観点からは不適で
あった。前者の樹脂剥離の問題は、密着露光時において
重要なポイントである、光硬化性樹脂層と光導電層との
密着性について配慮がなされていないために生ずる問題
であった。本発明のもう一つの課題は、反射防止膜を使
用しなくても光導電層からの乱反射光の影響を少なくし
て貫通孔が形成されなくなるという不都合を回避できる
ようにすることである。
【0008】従って、本発明の課題は上述した従来技術
の問題点を解決することであって、その目的は、多孔状
層の剥離や像の欠損等の問題を起こさずマスク剥離を可
能にするとともにマスクパターン通りの孔が形成できる
ようにし、感光体上に一定の厚みにて均一な間隔の孔が
高精度に形成された多孔状層を簡易に作製し、低コスト
な多孔状感光体の製造を可能にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明によれば、透光性支持体上に透光性導電層、
光導電層及び表面に電極層を有する、多数の微小孔を有
する絶縁性の多孔状層を積層した多孔状感光体におい
て、前記光導電層と前記多孔状層との間には、前記光導
電層と前記多孔状層との両者に対して接着性の良好な
その表面粗さRaが1.0μm以下の中間層が形成され
ていることを特徴とする多孔状感光体、が提供される。
【0010】また、上記の目的を達成するため、本発明
によれば、(1)透光性支持体上に透光性導電層を形成
する工程と、(2)前記透光性導電層上に光導電層を形
成する工程と、(3)前記光導電層上に中間層を形成す
る工程と、(4)前記中間層上に光硬化性液状樹脂を塗
布する工程と、(5)前記光硬化性液状樹脂にマスクを
密着させて前記光硬化性液状樹脂を露光し現像して多数
の微小孔を有する多孔状層を形成する工程と、を有する
多孔状感光体の製造方法において、前記光硬化性液状樹
脂の微小液滴を、前記光導電層上に滴下したときの接触
角をθa、前記マスク上に滴下したときの接触角をθ
b、前記中間層に滴下したときの接触角をθcとしたと
き、θa、θb>θcとなる表面物性値を有することを
特徴とする多孔状感光体の製造方法、が提供される。
【0011】また、上記の目的を達成するため、本発明
によれば、(1′)透光性支持体上に透光性導電層を形
成する工程と、(2′)前記透光性導電層上に光導電層
を形成する工程と、(3′)前記光導電層上に中間層を
形成する工程と、(4′)前記中間層上に光硬化性液状
樹脂を塗布する工程と、(5′)前記光硬化性液状樹脂
にマスクを密着させて前記光硬化性液状樹脂が全膜厚に
わたって完全に感光することのない露光量にて前記光硬
化性液状樹脂を露光する工程と、(6′)露光済みの前
記光硬化性液状樹脂を現像して多数の微小孔を有する多
孔状層を形成する工程と、(7′)前記多孔状層を全面
的に露光する工程と、を有することを特徴とする多孔状
感光体の製造方法、が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。図1は、本発明による多孔
状感光体の構成を示す断面斜視図である。従来例(図8
参照)との違いは、反射防止層に代って中間層14が形
成され、また、多孔状層15の孔17の底部分にも中間
層14は存在する点である。中間層14及び多孔状層1
5、用いられるマスク以外の形成方法や材質、層厚等に
ついては従来と同様である。また、従来と同様に、光硬
化性樹脂を硬化させるための露光光には、紫外光を使用
する。その理由は、室内照明の光によって硬化が進行す
ることを防ぐためである。
【0013】次に、上記多孔状感光体10の作製法につ
いて述べる。透光性支持体11としては、図示しない露
光源からの光を遮ることない性質を有するものであれ
ば、例えばPET(polyethylene terephthalate)等の
可とう性を有するフィルムやもしくは平板ガラス等のい
ずれも使用可能である。透光性導電層12は、透光性支
持体11上に例えばアルコール分散した透明導電膜IT
O(Indium Tin Oxide)をディップコート法で塗布・乾
燥することにより形成され、その厚みは30nm程度で
ある。
【0014】光導電層13としては、無機系材料あるい
は有機系材料の両方が従来から知られているが、環境負
荷低減の面からも、有機材料の使用が主流になってきて
いる。光導電層13は0.05〜1μm程度の厚みの電
荷発生層13aと、さらにその上に厚み1〜30μm、
好適には、5〜25μmの厚みの電荷輸送層13bから
なる。電荷発生層13aとしては、例えば特開平3−9
962号公報に開示されたn型チタニルフタロシアニン
とポリビニルブチラールとを用いディップコートにより
塗布した。また電荷輸送層13bとしては、PC(ポリ
カーボネート)をバインダー樹脂とし、THF(テトラ
ヒドロフラン)等の有機溶媒に、例えば特許第2606
111号に係る公報にて開示された下記の電荷輸送材料
を20〜40wt%含有させたものを同様にディップコ
ートにより塗布し、その後、恒温槽にて乾燥させる。本
実施の形態にて用いた電荷輸送材料は、構造式(1)に
て示される化合物を含み、かつ構造式(2)、(3)で
表される化合物を少なくとも1種含むものである。
【0015】
【化1】
【0016】(式中Aは、炭素数10以下の置換もしく
は非置換のアルキリデン基を示す。R1 は水素もしくは
m位、p位置換のメチル基を示す。R2 は水素、フェニ
ル基、m−トリル基、p−トリル基を示す。)
【0017】
【化2】
【0018】(式中B1 〜B4 はアルキル基で相互に同
じでも異なっていてもよい。)
【0019】
【化3】
【0020】以上のようにして光導電層13を形成した
後、光導電層13上に中間層14を形成するのである
が、ここで中間層14を形成する際に求められる条件を
以下に記す。先ず、従来から知られたディップコート法
等により容易に塗布できること。かつ、塗布済の光導電
層を溶解・溶出させないこと。また、塗布後は一定の厚
みを保つ硬度を持つこと。そして、後述する多孔状層へ
の穿孔のための現像液にも侵されない耐薬品性を有する
こと。さらに、その上にその後塗られる光硬化性樹脂に
も硬化障害等の悪影響を与えない物質であること。以上
のことが望まれる。さらに、本発明における中間層には
以下の条件が求められる。光導電層及び光硬化性液状
樹脂の各層と良好な接着性を有すること。特に支障無く
マスクを剥離するため、マスク−光硬化性樹脂間接着力
よりも、中間層−光硬化性樹脂間接着力の方が強いこ
と。また、中間層表面において、前記光硬化性液状樹
脂を硬化させる光を乱反射しないこと。加えて、中間
層が電荷輸送層と導電性着色粒子との間の電荷授受を阻
害しない程度に薄膜であることが挙げられる。
【0021】上記の条件のうち、については、液状の
光硬化性樹脂とマスク・中間層との濡れが重要と考え、
滴下した光硬化性液状樹脂液滴の各層表面への接触角を
測定比較する。図2に示すように、着弾後の光硬化性液
状樹脂液滴21を協和界面科学の接触角計CA−Xによ
りCCDカメラにて拡大観察し、樹脂表面22とのなす
接触角θを測定した。すなわち、液滴が広がりやすい
(濡れやすい)ほどに密着性が良く、接着力が強いため
である。については、形成後の中間層の屈折率と、光
硬化性液状樹脂層の屈折率に大きな差があると、その界
面において入射光が屈折しやすく散乱光となり、後述す
る多孔状層の孔形成に支障をきたすため、中間層屈折率
と光硬化性液状樹脂層屈折率との差Δnが0.1以下、
より好適には0.08以下である。さらに同様に形成後
の中間層の表面が粗いと、入射光が拡散反射される為、
表面粗さRaが、1.0μm以下、より好適には0.5
以下である。本測定は、中心線平均粗さRaを小坂研究
所製サーフコーダSE−1700等により測定する。
については、ディップコート時の固形分比と、粘度、及
び引き上げ速度等が、成膜される中間層の厚みに大きく
影響する。その為、これらを調整して希望する薄膜を形
成するようにし、その最終的な厚みは形成後のSEMに
よる断面観察から見積もる。
【0022】上述より、具体的な中間層材料の候補とし
て、塗布作業性、溶解性の面から考慮すると、例えば光
もしくは熱硬化性樹脂などの溶媒非含有重合タイプの硬
化性液状樹脂、もしくは塗布済の光導電層に対し貧溶媒
である溶剤で希釈した樹脂塗布液を塗布後、乾燥させ、
中間層化できる樹脂が考えられる。これに上述の及び
の項目を加味すると、この2つを同時に満たす塗液、
つまり硬化型の樹脂を溶媒に希釈し塗布後溶媒を乾燥さ
せ固形化するとともに、さらに重合/架橋化しなけれ
ば、後述する現像液耐性が十分でないことが分かる。加
えての要請を加味し、後述する多孔状層用の光硬化性
液状樹脂との屈折率の差Δnが小さい樹脂を探したとこ
ろ、日本合成ゴム製UV硬化型ハードコート材デソライ
ト(メタノール溶媒)を用いた場合に、最も良好な結果
が得られた。
【0023】これを用いて中間層の形成をする際、好ま
しくは20℃において1〜20cP(centi poise)の粘
度になるよう固形分を調整したこの塗布液中に前記光導
電層を浸漬し、0.5〜10mm/sec、好ましくは
2mm/sec前後の速度にて引き上げディップコート
し、塗布後、80℃に保った恒温槽中でおよそ10分間
保持することによって、メタノール溶媒成分を揮発させ
る。乾燥後固形分のみの層に、後述する光硬化性液状樹
脂の硬化に用いる紫外線照射装置を用いて紫外光を照射
し硬化させ中間層とする。こうして硬化後の中間層厚み
が、断面のSEM撮影の結果によると、約0.31μm
のものが得られる。この中間層の厚みが1μm以上であ
るとき、詳細な理由は不明であるが、印字実験の結果、
画像情報に応じた十分な導電性着色粒子の飛翔が得られ
なかった。また実測0.1μm厚み以下になると、部分
的に中間層が形成されていない部分が生じ、光硬化性液
状樹脂層の浮きがみられる場合があることが判った。
【0024】形成した中間層上に、下記に述べる方法に
よって紫外光照射により硬化する光硬化性液状樹脂によ
り多孔状層を形成する。図3に示すように、所望の多孔
状層厚みと同じ厚みである100μm厚のスペーサ31
を、多孔状層の形成されなくても支障のない部位に数箇
所取り付け多孔状層形成予定部分を囲むようにし、中間
層14上に光硬化性液状樹脂32を適量滴下後、マスク
33(詳細は後述する)を上から密着し、設けたギャッ
プすなわちスペーサ31の厚み分にて中間層表面全面に
樹脂が伸び、液状樹脂の膜厚が面内で均一になるまでし
ばらく保持する。もしくは、予めギャップを保って対峙
したマスク33と光導電層13間に、減圧下で液状樹脂
を注入する。したがって多孔状層厚み均一化のためマス
ク33はガラス板等の剛体であることが望ましいが、図
4に示すように、後でマスク33剥離時に端部を矢印の
ように少しずつ持ち上げて除去するため、マスク33全
体もしくは引き上げ部分となる一部に可とう性が必要と
なる。
【0025】そのためマスク33としては、図5(a)
に示すように、例えばPET等の光透過のよいポリマー
フィルム52にパターンを形成し、ガラス板51等で背
面より補強しマスク33としたもの、あるいはその逆に
図5(b)に示すように、ガラス板51等にパターン5
3を形成し、ポリマーフィルム52と同様な光透過のよ
いフィルム54で覆ったもの、あるいはこれらの組み合
わせが望ましい。これらのマスクはギャップ設定時には
所望ギャップを保持し、剥離時にその可とう性を利用し
端部より持ち上げることによって、像欠損なく露光済み
光硬化性液状樹脂より剥離できる。また前述のように、
光硬化性液状樹脂液滴とマスク33との接触角θbが、
中間層との接触角θcより大きくなるように、光硬化性
液状樹脂と接触するマスク面にフッ素処理を施したり、
もしくは前述のフィルム54として、透過性のよい薄膜
であるPTFE(polytetrafluoroethylene)等のフッ
素系樹脂シート、もしくはフッ素を含有しないポリオレ
フィン系ポリマーながら離型性のよい、三井化学製のポ
リ−4−メチルペンテン(製品名TPX)を、パターン
が印刷された基材と積層しマスクとしてもよい。尚、こ
こで用いるフィルムの透過率は、不必要な界面における
ハレーションを生じさせないため、光硬化性樹脂を硬化
させるための光の波長域において75%以上の特性を有
するものにする。このように本発明においては、スペー
サ厚みにて多孔状層の厚みを制御するように、簡便な方
法により安価に多孔状層を形成することが可能なことが
大きな特徴である。
【0026】光硬化性樹脂としては、例えばポリビニル
ケイ皮酸系、ポリアミド系、アクリレート系、エポキシ
樹脂系、エン・チオール系、不飽和ポリエステル系、不
飽和ポリウレタン系、シリコン樹脂系等が従来から知ら
れているが、例えば光硬化性樹脂は、硬化前後の適切な
硬度、溶解性の許容幅が広いこと、固化後の収縮が少な
いことなどの点から、帝人製機のエポキシ−アクリレー
ト樹脂系のTSR−810樹脂等が挙げられる。該樹脂
は、365nm近傍の特定波長光で硬化する特性を有す
るため、露光源としては500Wの超高圧水銀ランプを
有するウシオ電機製の紫外線照射装置ML−501C等
を用い、以下に記す方法に従って一括密着露光を行う。
【0027】一般に光硬化性樹脂の露光量に対する硬化
進行度は、図6のごとくあるしきい値以上の露光量を照
射すると硬化が始まり、適当な傾きをもって完全硬化に
至る。本発明における光硬化性液状樹脂による多孔状層
の形成時には、図7に示すように露光光75はマスク3
3の透光部72のみを通過し、その透過光71によって
樹脂が硬化し、遮光部73は樹脂が硬化しない為、後述
するように現像工程において除去される。ここで図6の
露光量b点照射時には、少なからず生じる光硬化性液状
樹脂32内における散乱(図示せず)、もしくは図7中
に示すように下地層である光導電層13からの反射光7
4のため、除去したい孔中の樹脂部分まで硬化してしま
う。そのため、穿孔性を上げる目的より、露光量を図6
中a点に留め、樹脂を半硬化状態にするのが好ましい。
尚、具体的なa点の露光量は実験結果に基づいて決定さ
れる。
【0028】ところが一方、光硬化性液状樹脂層が曝さ
れる光は、マスク33と光硬化性液状樹脂32の接触界
面が最も強く、樹脂内の光吸収のため層底部が弱くな
る。そのため図のa点の露光量を本発明の中間層14を
具備しない系に用いると、光硬化性液状樹脂の底部にお
いては半硬化状態、すなわち、下地層との接着性が十分
でないため、マスク剥離時に硬化樹脂がマスク側へと転
写される現象が起こる。前述したように、光導電層表面
に本発明による中間層を具備することによって、よりT
SR樹脂液滴は前記中間層に広がり(濡れ)やすくな
る、したがって、液状樹脂と中間層の密着性がよく、マ
スク剥離時に前記不具合が生じないと考えられる。この
ように本発明によれば、高解像度を得られかつ簡易な作
製法である密着露光において、樹脂接着性と穿孔性と剥
離性とを兼備させることができる。
【0029】露光後、マスクやマスクの一部であるフィ
ルムを剥離する。その後、未硬化部分の樹脂を除去する
ため、現像を行う。この現像工程は、多孔状層となる光
硬化性樹脂の硬化部分は溶解することなくかつ未硬化部
分のみを溶解する溶剤によって処理するウェットプロセ
スにて行うことが簡便であり適している。実験的に、該
溶剤を満たした容器中に樹脂層を浸漬し、効率的に未硬
化樹脂を除去するため超音波振動を加えたり、現像液を
コンプレッサー等を用いて加圧しノズルから吐出噴射さ
せるスプレー現像法や、圧縮空気等でミスト状にした現
像液を噴霧するエアブラシ現像法等を種々の条件下にて
試行した。その結果、エアブラシ現像法が最も高解像度
を得られる現像が可能であり、さらには現像剤消費が最
も少量ですむこと等を見出した。そこで、IPA(イソ
プロピルアルコール)を2分間露光後の液状樹脂に吹き
付けて顕像化した。
【0030】さらに実験において、現像時間を調整する
ことによって、メタノール、エタノール等のアルコール
系、さらにはMEK(メチルエチルケトン)、MIBK
(メチルイソブチルケトン)等のケトン類を現像液とし
て使用した場合には、良好な穿孔結果が得られた。ケト
ン系の現像液を用いた場合には、光導電層に直接に接触
した際、層の溶解をもたらすこともあったが、本発明の
中間層を用いることにより、これらの溶剤に光導電層が
溶解することを回避できる。このように、本発明による
中間層は光導電層を保護する機能をも併せもつ。
【0031】現像終了後、像表面に付着した現像液を除
去するため、80℃でおよそ10分間恒温槽中で保管し
乾燥する。マイクロスコープにより孔状態を拡大観察し
穿孔が面内均一に行われていることを確認後、再度、樹
脂の硬化が完了するのに十分な光を、前述の光源により
全面に照射し樹脂強度を確保した。樹脂硬化後、上部電
極16は、多光状層15の上面にのみおよそ250Å厚
の電極層を真空アルミ蒸着により形成する。あるいは、
アルミ蒸着による形成の他、金、ビスマス等の金属、I
TOの蒸着、または無電解メッキ等による付着、さらに
は導電性ポリマー等を表層にコートしてもよい。以上の
工程により多孔状感光体が作製された。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
本発明による中間層を用いることにより高解像度露光が
実現でき、スペーシングのごとく簡易なギャップ設定が
可能なマスク密着露光によっても、多孔状層の剥離によ
る像の欠損等無くマスク剥離することが可能になる。ま
た、本中間層はハレーション防止の機能をもつため、孔
内の樹脂硬化を防ぐことができ、高解像度を得ることが
可能になる。また、中間層は耐薬品性に優れるため、多
孔状層に孔を開ける現像工程において、光導電層を保護
する機能をもつ。これにより、従来使用することができ
なかった穿孔性に優れた溶剤を現像液として用いること
が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明により作製された多孔状感光体の断面
斜視図。
【図2】 本発明にて行われる接触角測定の概略説明
図。
【図3】 本発明の実施の形態を説明するための断面
図。
【図4】 本発明の実施の形態を説明するための露光後
のマスクの剥離工程を示す断面図。
【図5】 本発明の実施の形態を説明するためのマスク
の断面図。
【図6】 本発明の実施の形態を説明するための光硬化
性樹脂の露光量と硬度の関係を示すグラフ。
【図7】 本発明の実施の形態を説明するためのマスク
を透過した光のハレーションを示す図。
【図8】 従来における多孔状感光体の断面斜視図。
【図9】 露光方法を説明するための図。
【符号の説明】
10 多孔状感光体 11 透光性支持体 12 透光性導電層 13 光導電層 13a 電荷発生層 13b 電荷輸送層 14 中間層 15 多孔状層 16 上部電極 17 孔 18 導電性着色粒子 19 反射防止層 21 光硬化性液状樹脂液滴 22 樹脂表面 31 スペーサ 32 光硬化性液状樹脂 33 マスク 51 ガラス板 52 ポリマーフィルム 53 パターン 54 フィルム 71 透過光 72 透光部 73 遮光部 74 反射光 75 露光光 91 露光ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 舩山 康弘 東京都港区芝五丁目7番1号 日本電気 株式会社内 (56)参考文献 特開 平11−258828(JP,A) 特開 平11−258829(JP,A) 特開 平11−258830(JP,A) 特開 昭63−97960(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/00 - 5/16

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透光性支持体上に透光性導電層、光導電
    層及び表面に電極層を有する、多数の微小孔を有する絶
    縁性の多孔状層を積層した多孔状感光体において、前記
    光導電層と前記多孔状層との間には、前記光導電層と前
    記多孔状層との両者に対して接着性の良好な、その表面
    粗さRaが1.0μm以下の中間層が形成されているこ
    とを特徴とする多孔状感光体。
  2. 【請求項2】 透光性支持体上に透光性導電層、光導電
    層及び表面に電極層を有する、光硬化性液状樹脂を露光
    ・現像して形成した、多数の微小孔を有する絶縁性の多
    孔状層を積層した多孔状感光体であって、前記光導電層
    と前記多孔状層との間には、前記光導電層と前記多孔状
    層との両者に対して接着性の良好な中間層が形成されて
    いる多孔状感光体において、前記中間層の屈折率と前記
    光硬化性液状樹脂の屈折率の差Δnが0.1以下である
    ことを特徴とする多孔状感光体。
  3. 【請求項3】 前記中間層は、前記光導電層上全面を覆
    って形成されていることを特徴とする請求項1または2
    記載の多孔状感光体。
  4. 【請求項4】 前記中間層は、光硬化性樹脂を硬化させ
    たものであることを特徴とする請求項1、2または3記
    載の多孔状感光体。
  5. 【請求項5】 前記中間層は、その厚みが0.1μm以
    上1μm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何
    れかに記載の多孔状感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記光導電層が前記透光性導電層側に電
    荷発生層を、前記中間層側に電荷輸送層を有するもので
    あることを特徴とする請求項1〜5の中の何れかに記載
    の多孔状感光体。
  7. 【請求項7】 (1)透光性支持体上に透光性導電層を
    形成する工程と、 (2)前記透光性導電層上に光導電層を形成する工程
    と、 (3)前記光導電層上に中間層を形成する工程と、 (4)前記中間層上に光硬化性液状樹脂を塗布する工程
    と、 (5)前記光硬化性液状樹脂にマスクを密着させて前記
    光硬化性液状樹脂を露光し現像して多数の微小孔を有す
    る多孔状層を形成する工程と、を有する多孔状感光体の
    製造方法において、 前記光硬化性液状樹脂の微小液滴を、前記光導電層上に
    滴下したときの接触角をθa、前記マスク上に滴下した
    ときの接触角をθb、前記中間層に滴下したときの接触
    角をθcとしたとき、 θa、θb>θc となる表面物性値を有することを特徴とする多孔状感光
    体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記第(5)の工程が、 (a)前記光硬化性液状樹脂にマスクを密着させて前記
    光硬化性液状樹脂が全膜厚にわたって完全に感光するこ
    とのない露光量にて前記光硬化性液状樹脂を露光するサ
    ブ工程と、 (b)露光済みの前記光硬化性液状樹脂を現像して多数
    の微小孔を有する多孔状層を形成するサブ工程と、 (c)前記多孔状層を全面的に露光するサブ工程と、を
    有するものであることを特徴とする請求項7記載の多孔
    状感光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 (1′)透光性支持体上に透光性導電層
    を形成する工程と、 (2′)前記透光性導電層上に光導電層を形成する工程
    と、 (3′)前記光導電層上に中間層を形成する工程と、 (4′)前記中間層上に光硬化性液状樹脂を塗布する工
    程と、 (5′)前記光硬化性液状樹脂にマスクを密着させて前
    記光硬化性液状樹脂が全膜厚にわたって完全に感光する
    ことのない露光量にて前記光硬化性液状樹脂を露光する
    工程と、 (6′)露光済みの前記光硬化性液状樹脂を現像して多
    数の微小孔を有する多孔状層を形成する工程と、 (7′)前記多孔状層を全面的に露光する工程と、を有
    することを特徴とする多孔状感光体の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記中間層の屈折率と前記光硬化性液
    状樹脂の屈折率の差Δnが0.1以下であることを特徴
    とする請求項7〜9の何れかに記載の多孔状感光体の製
    造方法。
  11. 【請求項11】 前記第(3)または前記第(3′)の
    工程において、粘度ηが20℃において1〜20cPの
    液状の塗布液を前記光導電層上に0.5〜10mm/s
    ecの引き上げ速度で塗布して前記中間層を形成するこ
    とを特徴とする請求項7〜10の何れかに記載の多孔状
    感光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記塗布液は、光硬化性樹脂を揮発性
    の溶媒に溶解したものであることを特徴とする請求項1
    1記載の多孔状感光体の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記塗布液を塗布後加温して溶媒成分
    を揮発せしめた後に光照射することによって完全硬化さ
    せて前記中間層を形成することを特徴とする請求項12
    記載の多孔状感光体の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記中間層は、前記光硬化性液状樹脂
    の現像時に使用される現像液に対し耐薬品性を有するこ
    とを特徴とする請求項7〜13の何れかに記載の多孔状
    感光体の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記マスクは、少なくとも前記光硬化
    性液状樹脂と接する面に離型処理が施されていることを
    特徴とする請求項7〜14の何れかに記載の多孔状感光
    体の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記マスクは、透光性フィルムと、パ
    ターンが形成された透光性基材とを積層したものからな
    ることを特徴とする請求項7〜15の何れかに記載の多
    孔状感光体の製造方法。
  17. 【請求項17】 前記透光性フィルムは、フッ素含有ポ
    リマーにより構成されていることを特徴とする請求項1
    6記載の多孔状感光体の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記透光性フィルムは、ポリ−4−メ
    チルペンテンにより構成されていることを特徴とする請
    求項16記載の多孔状感光体の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記透光性フィルムは、前記光硬化性
    液状樹脂が硬化する波長域において、光透過率が75%
    以上であることを特徴とする請求項16〜18の何れか
    に記載の多孔状感光体の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記第(4)または前記第(4′)の
    工程は、前記中間層上に所定の高さの枠構造のスペーサ
    を形成し該スペーサ内を光硬化性液状樹脂により満たす
    工程であることを特徴とする請求項7〜19の何れかに
    記載の多孔状感光体の製造方法。
  21. 【請求項21】 前記第(4)または前記第(4′)の
    工程は、前記中間層上に所定の間隙を隔てて前記マスク
    を配置し、前記中間層と前記マスクとの間に光硬化性液
    状樹脂を注入する工程であることを特徴とする請求項7
    〜19の何れかに記載の多孔状感光体の製造方法。
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