JP3440520B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池

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  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、非水電解液二次電池に
関し、特にその構成要素である巻回電極体の改良に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子技術の進歩により、電子機器
の高性能化、小型化、ポータブル化が進み、これら電子
機器に使用される電源として高エネルギー密度電池の要
求が強まっている。
【0003】従来、これらの電子機器に使用される二次
電池としては、鉛電池やニッケル・カドミウム電池等が
挙げられるが、これらの電池では放電電位が低く、エネ
ルギー密度の高い電池の要求には十分には応えられてい
ないのが実情である。
【0004】最近、金属リチウムやリチウム合金を負極
とするリチウム二次電池、さらには炭素材料のようなリ
チウムイオンをドープかつ脱ドープ可能な物質を負極と
し、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物
等のリチウム複合酸化物を正極とする非水電解液二次電
池であるリチウムイオン二次電池が提案されている。
【0005】この非水電解液二次電池は、電池電圧が高
く、高エネルギー密度を有し、自己放電も少なく、二次
電池としては非常に優れた電池である。そのため、8mm
VTR、CDプレーヤー、ラップトップコンピュータ
ー、セルラーテレフォン等のポータブル用電子機器の電
源として提案されており、大いに期待される二次電池で
ある。
【0006】また、ポータブル用電子機器の電源として
使用される場合、厳しい環境下、例えば、夏季の自動車
内での放置等での信頼性が要求されたり、高温多湿、例
えば、夏季の倉庫保管、船積みでの輸送等で保存された
りする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような厳しい環境
条件で使用されたり保存されたりすると、電池性能が劣
化する欠点がみられる。これに対して、リチウムをドー
プかつ脱ドープ可能な物質を負極活物質とする非水電解
液二次電池の電解液として、炭酸プロピレンと炭酸ジエ
チルとの混合溶媒が高温環境下(45℃)での使用にお
いて好ましいとされている。しかし、さらに高温(60
℃以上)で保存されたり使用されたりすると、電池の性
能が低下する欠点があり、十分な対策になっていないの
が現状である。
【0008】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、高温下におけ
る電池容量の劣化を最小限に抑え、長期にわたって高エ
ネルギー密度を保持することができ、サイクル特性が大
幅に向上した非水電解液二次電池を提供することにあ
る。
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明は、帯状の集電体の表裏両面に電極合剤が
塗布された負極および正極を、セパレータを介して対向
させて巻回してなる巻回電極体を有する非水電解液二次
電池において、上記巻回電極体の最外周部及び最内周部
に位置する上記負極の上記正極の正極合剤と対向しない
負極合剤未反応部に予めリチウムを含有させた活物質合
剤を配設したものである。
【0009】本発明が適用される円筒型の非水電解液二
次電池は、次のように構成されている。この非水電解液
二次電池は、図1に示すように、帯状の正極集電体12
aの両面に正極活物質を塗布して形成された正極合剤層
12bおよび12cよりなる正極12と、帯状の負極集
電体11aの両面に負極活物質を塗布して形成された負
極合剤層11bおよび11cよりなる負極11とを、ポ
リオレフィン系フィルムよりなるセパレータ13を介し
て巻回して巻回電極体1とし、この巻回電極体1の上下
に絶縁板17を設置した状態で電池缶3に収納してい
る。
【0010】この場合、一般に、充電時においてリチウ
ムが析出して電池内部で短絡が生じることを防止するた
めに、正極12に対向する負極11は、幅および長さを
正極12よりも大きく形成される。このため、負極合剤
層と正極合剤層とが対向せず、充放電反応に関与しない
部分が存在する。
【0011】具体的には、図2および図3に示す巻回前
負極11において、負極11の幅および長さが正極12
よりも広い部分の負極合剤層(2重斜線部分)が充放電
反応に関与しない部分である。この部分は図4に示す巻
回電極体では、負極11の最外周部Aおよび最内周部B
の負極合剤層(2重斜線部分)に相当する。以下、正極
合剤層と対向していない負極合剤層部分を負極合剤未反
応部Nと称し、正極合剤層と対向している負極合剤層部
分を負極合剤反応部Mと称する。
【0012】このように、負極11の幅および長さが、
正極12よりも大きい巻回電極体1を使用する非水電解
液二次電池において、高温での寿命性能が低下する原因
を解明すべく検討を重ねた結果、使用中および保存中に
負極合剤反応部Mにドープされたリチウムが負極合剤未
反応部Nへ拡散し、そのため電池容量が著しく劣化する
することが分かった。
【0013】この詳細な原因は明らかではないが、以下
のように推測される。例えば、正極活物質としてLix
MO2(ただし、Mは1種以上の遷移金属を表す。ま
た、0.05≦X≦1.10である。)を含有する帯状
の正極と、負極活物質としてリチウムをドープかつ脱ド
ープ可能な炭素材料を含有した負極とからなる非水電解
液二次電池においては、例えばMがCoのとき、(1)
式に示す反応で正極からリチウムが脱ドープされ、負極
にリチウムがドープされる。
【0014】 LiCoO2+C=Li1-xCoO2+LixC ・・・(1) 次に、負極合剤反応部Mにドープされたリチウムが放電
反応で脱ドープされるが、使用中および保存中に、ドー
プされたリチウムの一部が、負極合剤反応部Mから、負
極合剤未反応部Nへ拡散してしまう。つまり、負極合剤
反応部Mと負極合剤未反応部Nとでリチウム濃度に勾配
があり、リチウム濃度が高い負極合剤反応部Mから、リ
チウム濃度が低い負極合剤未反応部Nへ、リチウムが拡
散してしまうのである。その後、リチウムの濃度勾配が
解消されるまで、このリチウムの拡散は継続するものと
推測される。従って、本来放電反応で脱ドープされるべ
きリチウムが減少してしまい、使用中および保存中に電
池の容量劣化を引き起こしていると思われる。
【0015】そこで、本発明は、巻回電極体の最内周側
及び最外周側に位置する負極の上記正極の正極合剤と対
向しない負極合剤未反応部に予めリチウムを、0.10
mg/cm 2 以上、3.00mg/cm 2 以下含有させた活物質合剤
を存在させることで、負極合剤反応部Mから負極合剤未
反応部Nへリチウムが拡散してしまうのを防止するもの
である。
【0016】なお、負極合剤未反応部Nへリチウムを存
在させる方法は、どんな方法でもよく、例えば、物理的
にリチウムを貼り付けたり、電気化学的にリチウムをド
ープさせたりする方法がある。
【0017】
【作用】本発明の非水電解液二次電池においては、負極
合剤未反応部Nに予めリチウムを存在させることによ
り、ドープされたリチウムの、リチウム濃度が高い負極
合剤反応部Mから、リチウム濃度が低い負極合剤未反応
部Nへの拡散を防止できる。従って、放電反応で脱ドー
プされるべきリチウムが負極合剤反応部Mから減少する
のを防止できる。
【0018】
【実施例】以下に、本発明を適用した具体的な実施例に
ついて、図面や実験結果を参照しながら説明する。
【0019】実施例1 図1に示すような非水電解液二次電池を次のように作製
した。
【0020】まず、負極を次のように作製した。負極活
物質には、出発材料に石油ピッチを用い、これに酸素を
含む官能基を10%〜20%導入(いわゆる酸素架橋)
した後、不活性ガス気流中1000℃で焼成して得られ
たガラス状炭素に近い性質を持つ難黒鉛炭素材料粉末を
用いた。
【0021】このようにして得られた炭素材料を90重
量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)
10重量部を混合して負極合剤を作製し、この負極合剤
をN−メチル2ピロリドンに分散させてスラリー状にし
た。負極集電体として帯状銅箔を用い、この負極集電体
11aの両面に、負極合剤(スラリー)11bおよび1
1cを均一に塗布し、乾燥させた後ローラープレス機で
圧縮成型した。次に負極合剤未反応部Nの表面に(表裏
の両面に)0.10mg/cm2のリチウムを貼り付け、帯状
負極11を作製した。
【0022】次に正極を次のように作製した。炭酸リチ
ウムと炭酸コバルトをLi/Co(モル比)=1になる
ように混合し、空気中で900℃、5時間焼成しLiC
oO2 を得た。このLiCoO2 を正極活物質として、
LiCoO2を91重量部、電導材としてグラファイト
を6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PV
DF)を3重量部を混合し正極合剤を作製し、これをN
−メチル2ピロリドンに分散させてスラリー状にした。
正極集電体として帯状アルミニウム箔を用い、この正極
集電体12aの両面に、正極合剤(スラリー)12bお
よび12cを均一に塗布し、乾燥させた後、ロールプレ
ス機で圧縮成型し、帯状正極12を作製した。
【0023】以上のように作製した帯状負極11と帯状
正極12とを、厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレン
フィルムからなるセパレーター13を介して積層し、負
極11を内側にして、図2または図3中で矢印Yで示す
方向で、多数回巻回することにより巻回電極体1を作製
した。
【0024】このようにして作製した巻回電極体1をニ
ッケルメッキを施した鉄製の電池缶3に収容した。この
とき、巻回電極体1の上下両面に絶縁板17を設置し、
負極11および正極12の集電を行うために、ニッケル
製の負極リード14を負極集電体から導出して電池缶3
に溶接し、アルミニウム製の正極リード15を正極集電
体から導出して上蓋部2に溶接した。
【0025】その後、電池缶3の中にプロピレンカーボ
ネートとジエチルカーボネートとの等容量混合溶媒中に
LiPF6を1モル/lの割合で溶解した非水電解液を
電池缶3に注入して、巻回電極体1に含浸させた。
【0026】そして、アフファルトを塗布した絶縁ガス
ケット18を介して電池缶3をかしめて電池蓋2を固定
し、直径18mm、高さ65mmの円筒型非水電解液二次電
池を作製した。
【0027】実施例2 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
0.30mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0028】実施例3 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
0.50mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0029】実施例4 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
1.00mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0030】実施例5 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
1.50mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0031】実施例6 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
2.00mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0032】実施例7 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
3.00mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0033】実施例8 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤反応部Mにリチウムを貼り付けずに、
代わりに負極に次の前処理を行った。まず、実施例1と
同様に負極合剤11bおよび11cを負極集電体11a
の両面に塗布し、乾燥させた後ローラープレス機で圧縮
成型をした。その後、前処理として、負極合剤反応部M
をポリプロピレン製のシートでマスキングし、負極より
も幅および長さの大きい正極と組み合わせて規定量の充
電を行うことにより、負極合剤未反応部Nに電気化学的
に3.00mg/cm2のリチウムをドープさせた。それ以外
は、実施例1と同様である。
【0034】比較例1 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
0.05mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0035】比較例2 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを
4.00mg/cm2とした。それ以外は、実施例1と同様で
ある。
【0036】比較例3 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを、
3.00mg/cm2として、負極の片面(外周側)だけに貼
り付けた。それ以外は、実施例1と同様である。
【0037】比較例4 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nに貼り付けるリチウムを、
3.00mg/cm2として、負極の片面(内周側)だけに貼
り付けた。それ以外は、実施例1と同様である。
【0038】比較例5 実施例1と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ただし、負極合剤未反応部Nにリチウムを貼り付けなか
った。それ以外は、実施例1と同様である。
【0039】このようにして作製した非水電解液二次電
池ついて、エージング後の負極表面のリチウムの有無
と、2サイクル目の初期容量に対する300サイクル後
の容量維持率の二点について評価を行った。結果を表1
に示す。
【0040】
【表1】
【0041】まず、負極表面に貼り付いたリチウムの有
無について、非水電解液二次電池作製後4週間後に解体
し調査した。実施例1〜7および比較例1〜2の調査結
果からわかるように、負極表面に貼り付けるリチウム量
が3.0mg/cm2まではリチウムは全て負極合剤未反応部
Nの炭素材料に拡散し、負極表面にリチウムの存在は認
められなかった。しかし、負極表面に貼り付けるリチウ
ム量が4.0mg/cm2以上になるとリチウムは炭素材料に
拡散しきれずに負極表面にリチウムの存在が認められ
た。また、実施例8に示したように電気化学的にリチウ
ムをドープしても負極表面にリチウムの存在は認められ
ず、リチウムを存在させる方法の違いは認められなかっ
た。
【0042】次に、60℃雰囲気下、充電電圧4.20
V、充電電流1000mA、充電時間2.5hの条件で
充電を行い、放電電流500mA、終止電圧2.75V
の条件で放電を行うサイクル寿命試験を行った。
【0043】実施例1〜7に示したように、負極表面に
貼り付けるリチウム量が0.10mg/cm2以上、3.0mg
/cm2以下であれば高温雰囲気下における寿命性能が改善
された。
【0044】また、実施例8に示したようにリチウムの
存在のさせ方が違っていても同様な改善効果が認められ
た。これらは本来の充電反応で負極合剤反応部Mにドー
プされたリチウムが、負極合剤未反応部Nに拡散しない
ために容量劣化が小さくなったものと推測される。
【0045】次に、比較例1のように、貼り付けるリチ
ウム量が少ない場合は改善の効果が認められず、比較例
2のように、貼り付けるリチウム量が多すぎると負極表
面にリチウムが存在し、この金属リチウムの影響で、か
えって寿命性能が低下してしまう。これは、金属状態の
リチウムが電解液と反応して電池の性能に悪影響をおよ
ぼすものと推測される。
【0046】さらに、比較例3〜4から負極の片面のみ
にリチウムを貼り付けた場合は、貼り付けていない負極
表面の影響が現れ、寿命性能における効果はほとんど認
められなかった。
【0047】
【発明の効果】上述したように、本発明は、帯状の集電
体の表裏両面に電極合剤が塗布された負極および正極
を、セパレータを介して対向させて巻回してなる巻回電
極体を有する非水電解液二次電池において、正極と対向
していない負極部に予めリチウムを存在させることによ
り、高温下における電池容量の劣化を最小限に抑え、長
期にわたって高エネルギー密度を保持することができ、
サイクル特性を大幅に向上することできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した非水電解液二次電池を、模式
的に示す断面図である。
【図2】本発明を適用した非水電解液二次電池の巻回電
極体の構成要素である負極の巻回以前の状態を、巻回時
に外側となる面から見た斜視図である。
【図3】本発明を適用した非水電解液二次電池の巻回電
極体の構成要素である負極の巻回以前の状態を、巻回時
に内側となる面から見た斜視図である。
【図4】本発明を適用した非水電解液二次電池の巻回電
極体を、模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
1 巻回電極体、 2 上蓋部、 3 電池缶、 11
負極、 11a 負極集電体、 11b,11c 負
極合剤層、 12 正極、 12a 正極集電体、 1
2b,12c 正極合剤層、 13 セパレーター、
A 負極最外周部、 B 負極最内周部、 M 負極合
剤反応部、 N 負極合剤未反応部、Y 巻回方向

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 帯状の集電体の表裏両面にリチウムをド
    ープかつ脱ドープ可能な活物質を含む電極合剤が塗布さ
    れた負極および正極を、セパレータを介して対向させて
    巻回してなる巻回電極体を有する非水電解液二次電池に
    おいて、 上記巻回電極体の最外周部及び最内周部に位置する上記
    負極の上記正極の正極合剤と対向しない負極合剤未反応
    部に予めリチウムを、0.10mg/cm 2 以上、3.00mg
    /cm 2 以下含有させた活物質合剤を配設したことを特徴と
    する非水電解液二次電池。
  2. 【請求項2】 上記負極合剤未反応部に、リチウムが貼
    り付けられていることを特徴とする請求項1記載の非水
    電解液二次電池。
  3. 【請求項3】 上記負極合剤未反応部に、リチウムを電
    気化学的にドープさせたことを特徴とする請求項1記載
    の非水電解液二次電池。
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