JP3433825B2 - ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム - Google Patents

ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム

Info

Publication number
JP3433825B2
JP3433825B2 JP22561693A JP22561693A JP3433825B2 JP 3433825 B2 JP3433825 B2 JP 3433825B2 JP 22561693 A JP22561693 A JP 22561693A JP 22561693 A JP22561693 A JP 22561693A JP 3433825 B2 JP3433825 B2 JP 3433825B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
recording film
recording
hologram
film
incident
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP22561693A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0798560A (ja
Inventor
豪 堀田
桑原祐子
修 竹厚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
Priority to JP22561693A priority Critical patent/JP3433825B2/ja
Publication of JPH0798560A publication Critical patent/JPH0798560A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3433825B2 publication Critical patent/JP3433825B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Holo Graphy (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホログラム記録方法及
び記録されたホログラムに関し、特に、記録フィルムに
連続的にホログラム、干渉縞を記録するようにしたホロ
グラムの記録方法及び記録されたホログラムに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ホログラム、干渉縞の記録方法として、
記録材料の垂直方向から光を照射することはよく知られ
ている。しかし、記録する干渉縞ピッチを種々選択する
ために、記録材料面に対して小さい角度で光束を照射す
る場合があるが、入射角度が小さいと空気と記録材料間
の屈折率差によって反射する割合が高くなり、記録材料
に入射する光が少なくなってしまう。そのため、単位時
間当たりにホログラム乾板内部に入射される光束のエネ
ルギーが小さくなって、露光時間が長くなってしまう。
このように、記録材料面に対して小さい角度で光束を照
射する場合には、光束に対してほぼ垂直な面を有する透
明体を介して光束を入射させることが行われており、そ
のため、ガラスブロックやプリズムを用いる方法が知ら
れている。
【0003】図9はガラスブロックを使用する例を示し
ており、記録材料21の両側に記録材料と屈折率が近い
ガラスブロック22、23を密着させ、ガラスブロック
22、23を介してそれぞれ光束24、25を入射させ
ることにより、記録材料表面における反射をなくし、単
位時間当たりに入射するエネルギー量を大きくして、効
率的にホログラムの記録を行うことができる。
【0004】図10はプリズムを使用する例で、同様に
記録材料の両側にプリズム26、27を配置し、プリズ
ムの面にほぼ直角に入射する光束24、25によって記
録材料内で干渉させ、ホログラム記録を行う。
【0005】また、図示は省略するが、入射する光束に
対してガラスブロックの面が常に垂直になるようにガラ
スブロックを回転させるようにするものも提案されてい
る(特開平3−237481号)。
【0006】また、透明体の平面を記録フィルムに密着
し、この透明体を介して露光することにより、ホログラ
フィックミラーを連続的に作製する方法も、特開平1−
154079号と特開平3−271788号において知
られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、記録材料の両
側に透明体を密着させる従来のホログラム記録方法で
は、特に大面積の露光を行う場合に、非常に大きな透明
体材料が必要となり、その結果、装置が高価となると共
に嵩張って重量も大きくなってしまうという問題があ
る。
【0008】また、透明体を介して露光することによ
り、ホログラフィックミラーを連続的に作製する方法
は、記録フィルム膜面に対して干渉縞を平行に形成する
方法であり、その膜面に対して傾斜した干渉縞を連続的
に形成する方法ではない。後記するように、特に、熱線
反射膜のように垂直以外の方向から入射する太陽光線を
反射させる場合には、膜面に対して傾斜した干渉縞を記
録することが、反射効率を著しく大きくできる上から望
ましい。
【0009】また、この方法は、原理的にはホログラフ
ィックミラーを記録することができるが、光束入射のた
めに用いる透明体と記録フィルムの密着面が平面である
ため、実際には下記のような数多くの問題が生じ、作製
されるホログラムの品質が低下する。 ○透明体端部との接触の際、記録フィルムに傷が付く。 ○透明体との接触面が平面であるため、インデックスマ
ッチング液に気泡が必ず混入し、その部分でホログラム
記録の抜けが起こる。 ○構造上、インデックスマッチング液の供給量が多いた
め、インデックスマッチング液が不均一になり、また、
透明体や記録フィルムがインデックスマッチング液で汚
れるため、不要な干渉縞が生じたり、回折特性の不均一
性が生じる。 ○さらに、記録される干渉縞の傾きが一方向(膜面に対
して平行)であり、多重化できないので、熱線反射膜の
ように、広い回折スペクトルのものを得ることが困難で
ある。
【0010】本発明はこのような課題を解決するために
なされたものであり、その目的は、記録材料中に光束を
導く透明体に工夫を施して、記録フィルムに傷を付ける
ことなく、インデックスマッチング液を介して透明体と
記録フィルムを均一に密着させ、かつ、記録の抜け、不
要干渉縞の発生がなく、安定的に均一な連続露光がで
き、傷、ムラのない良品ホログラムの大面積化、量産化
を図ることができるホログラムの記録方法及び記録され
たホログラムを提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のホログラムの記録方法は、連続的に供給される記録
フィルムの一方の面に、その移動方向にのみ凸に湾曲し
た曲面を有する透明体を、その自重と記録フィルムのテ
ンションにより、又は、その透明体を固定し、記録フィ
ルムのテンションにより密着させ、この透明体の1つの
面に光束を入射し、記録フィルムに到達した入射光束と
記録フィルムの反対側の面と空気との境界面で反射した
光束とを記録フィルム内で干渉させて干渉縞を記録する
ことを基本原理としている。
【0012】すなわち、本発明のホログラムの記録方法
は、連続的に供給される記録フィルムに光の干渉により
ホログラムを記録する方法において、記録フィルムの一
方の面側に透明体を配置し、この透明体の記録フィルム
に密着する面を記録フィルム搬送方向にのみ凸に湾曲し
た曲面にして、かつ、この密着面とフィルムとの間にイ
ンデックスマッチング液を満たして、該インデックスマ
ッチング液を介して透明体に記録フィルムを密着させ、
前記透明体の密着面以外の面に対して光束を入射させ、
前記密着面を経て記録フィルムに到達した入射光束と記
録フィルムの反対側の面と空気との境界面で反射した光
束とを記録フィルム内で干渉させて干渉縞を記録するこ
とを特徴とする方法である。
【0013】この場合、透明体の密着面以外の面に対し
て入射される光束が、記録フィルム搬送方向に交差する
方向に往復走査される光ビームからなり、密着面を経て
記録フィルムに到達した走査光ビームと記録フィルムの
反対側の面と空気との境界面で反射した光ビームとを記
録フィルム内で干渉させて干渉縞を記録するようにする
こともできる。
【0014】また、記録フィルムの透明体と密着しない
側の面に、記録フィルム搬送方向と垂直方向に膜厚分布
を有する層を形成し、この層の表面で入射光束を反射さ
せるようにすることもできる。
【0015】また、透明体の光束入射面及び記録フィル
ムと接触する面以外の面に光吸収性の加工処理を施し、
また、記録フィルムの照射部分以外には光が当たらぬよ
うに遮光することが望ましい。
【0016】さらに、透明体は、記録フィルムとの屈折
率の差が15〜25℃の範囲で0.2以下を有する材料
からなることが望ましい。具体例として、記録フィルム
の主成分がポリビニルカルバゾール誘導体の場合、透明
体はF2ガラス、ポリエステル樹脂、高屈折率アリル樹
脂又は高屈折率アクリル樹脂からなり、記録フィルムの
主成分がポリ酢酸ビニル誘導体の場合、透明体はBK−
7ガラス又は石英ガラスからなり、記録フィルムの主成
分がポリエステルの場合、透明体はF2ガラスからなる
ことが望ましい。
【0017】また、透明体への入射光束はこの透明体の
入射面に対して90±10度の角度で入射するようにす
ることが望ましい。
【0018】また、透明体の密着面の曲率半径は10m
m以上100mm以下であることが望ましい。さらに、
この密着面に記録フィルムが接触を開始するときの透明
入射体側面と記録フィルムのなす角度、及び、この密着
面から記録フィルムが接触を終了するときの透明入射体
側面と記録フィルムのなす角度が、何れも5度以上45
度以下の範囲にあることが望ましい。
【0019】さらに、入射光束の記録フィルム搬送方向
の太さは、最大強度の13.5%までの太さでみると
き、3mm以下であることが望ましい。
【0020】また、記録フィルムに10〜50kg/m
のテンションがかけられ、記録フィルムと密着面の間の
インデックスマッチング液の厚さが500μm以下であ
ることが望ましい。
【0021】なお、透明体は記録フィルムの上側に配置
しても、その下側に配置してもよい。
【0022】ところで、記録フィルムの透明体と密着し
ない側の面に、記録フィルム搬送方向と垂直方向に膜厚
分布を有する層を形成する場合、その膜厚分布を有する
層の膜厚が次第に厚くなる分布とすることができ、その
場合、膜厚分布を有する層の表面と記録フィルム表面と
のなす角度を0度より大きく10度以下にすることがで
きる。この場合、記録フィルムに記録される干渉縞をフ
ィルム表面に対して0度より大きく10度以下の角度傾
いているようにすることができる。
【0023】また、本発明のホログラムは、記録フィル
ムの平面の少なくとも一方向に沿って平行にその内部に
等間隔の干渉縞が記録されてなるホログラムにおいて、
その方向の断面内での干渉縞の乱れがその方向に直角な
方向の断面内での干渉縞の乱れよりも大きくなるように
記録されていることを特徴とするものである。
【0024】この場合、上記の直角な方向の断面内での
干渉縞が記録フィルムの平面に対して角度をなしている
ように記録することもできる。
【0025】
【作用】本発明においては、記録フィルムの一方の面側
に透明体を配置し、この透明体の密着面とフィルムとの
間にインデックスマッチング液を満たして、インデック
スマッチング液を介して透明体に記録フィルムを密着さ
せ、前記透明体の密着面以外の面に対して光束を入射さ
せ、前記密着面を経て記録フィルムに到達した入射光束
と記録フィルムの反対側の面と空気との境界面で反射し
た光束とを記録フィルム内で干渉させて干渉縞を記録す
るので、記録フィルム面に対して小さい角度でも効率良
い露光を行うことができ、さらに、入射光束の記録フィ
ルム面に対する入射角度を変化させることによって記録
する干渉縞のピッチを種々選択できる。
【0026】さらに、長尺の記録フィルムを移送して、
線状の光束で露光することにより、大面積でかつムラの
ない高品質のホログラムを容易に製造することが可能と
なり、歩留りが良く量産に向いた製造方法を提供するこ
とができる。
【0027】また、透明体の記録フィルムに密着する面
を記録フィルム搬送方向にのみ凸に湾曲した曲面にし、
かつ、この密着面とフィルムとの間にインデックスマッ
チング液を満たして、インデックスマッチング液を介し
て透明体に記録フィルムを密着させるようにしたため、
記録フィルムと透明体との密着性が良くなり、記録フィ
ルムを移送する際の記録フィルムの動きがスムーズで、
密着面との接触によっても記録フィルムに傷が付かず、
泡等の混入がなく、インデックスマッチング液の厚みを
薄く均一にし、かつ、インデックスマッチング液による
記録フィルムの他方の面等の汚れがなく、記録フィルム
に均一に入射光束及び反射光束を照射できるため、ムラ
のない良好なホログラムの記録を連続的に大面積で行う
ことが可能となる。さらに、この密着面の形状により、
記録フィルムに形成される干渉縞は、傾き角が若干異な
る多数の干渉縞を重畳した形態になるため、記録フィル
ムに記録されたホログラフィックミラーは、回折スペク
トルが輝線スペクトルでなくブロードなバンドスペクト
ルとなるため、赤外域の光だけ反射させるソーラーリフ
レクター等に適したものが得られる。
【0028】さらに、記録フィルムの透明体と密着しな
い側の面に、記録フィルム搬送方向と垂直方向に膜厚分
布を有する層を形成し、この層の表面で入射光束を反射
させるようにすることにより、記録フィルム面に対して
傾いた干渉縞を形成することができ、ソーラーリフレク
ター等の製造に適した方法となる。
【0029】また、透明体の光束入射面及び記録フィル
ムと接触する面以外の面に光吸収処理を施すことによ
り、乱反射を防ぎ、干渉縞の乱れを少なくすると同時
に、記録フィルムの露光部以外の部分には光が当たらぬ
ようになり、大掛かりな遮光板を設置しなくて済む。
【0030】
【実施例】以下、好適な実施例に基づいて本発明のホロ
グラム記録方法についてさらに詳しく説明する。図1は
本発明のホログラムの記録方法を実施するための装置構
成の一例を示す図である。図1において、1はロール
列、2は記録フィルム、3は透明入射体である。ロール
列1は記録フィルム2を移送し、透明入射体3へ供給す
る。8はインデックスマッチング液4を透明入射体3の
上流において記録フィルム2に供給する供給ノズルであ
る。5は記録フィルム2がインデックスマッチング液4
を介在させて密着する透明入射体3の密着面である。
【0031】図2は図1の装置構成図におけるAA’断
面図であって、同じ番号は同じ部分を示している。図
1、図2において、6は透明入射体3の側面に設けられ
密着面5に対して所定の角度をなす光束の入射面であ
り、11は線状の入射光束である。7は記録フィルム2
の透明入射体3と密着していない他方の面であり、12
は反射光束である。
【0032】図示されていないが、光束の入射面6及び
記録フィルム2に密着する面5を除く透明入射体3の面
は光吸収面であり、記録フィルム2を干渉させる部分以
外は遮光されている。
【0033】このような構成において、入射光束11は
入射面6に対してほぼ垂直に入射される。入射光束11
が入射面6の法線となす角が大きいと入射面6で反射が
起きて光束の利用効率が悪くなるため、法線となす角は
0〜10°の範囲が望ましい。そして、入射光束11
は、透明入射体3内を直進し、その密着面5に達する。
記録フィルム2、透明入射体3及びインデックスマッチ
ング液4の屈折率はほぼ同じにしてある。その結果、入
射光束11は、密着面5とインデックスマッチング液4
の界面、インデックスマッチング液4と記録フィルム2
との界面で反射せずに、記録フィルム2に入射し、記録
フィルム2の他方の面7に入射する。ここで、入射光束
11と透明入射体3の密着面5のなす角θが小さい場
合、記録フィルム2の透明入射体3と密着していない他
方の面7と空気(n≒1.0)との界面で全反射して、
入射光束11と反射光束12とが、記録フィルム2内で
干渉して干渉縞が生じ、記録される。
【0034】そして、図1に示す一例においては、透明
入射体3の密着面5の形状は凸面の円筒状になってい
る。これは、インデックスマッチング液4を介在させ
て、記録フィルム2と透明入射体3との密着性を良好な
らしめ、記録フィルム2を移送する際の記録フィルム2
の動きがスムーズで、密着面5との接触によっても記録
フィルム2に傷が付かず、泡等の混入がなく、インデッ
クスマッチング液4の厚みを薄く均一にし、かつ、イン
デックスマッチング液4による記録フィルム2の他方の
面7等の汚れがなく、記録フィルム2に均一に入射光束
11及び反射光束12を照射できるため、ムラのない良
好なホログラムの記録が連続的に大面積で行うことが可
能となる。このようなためには、円筒面の密着面5の曲
率半径は、通常、10mm以上100mm以下であるこ
とが望ましく、記録フィルム2にかけるテンションは、
10〜50kg/mで、インデックスマッチング液4の
厚さが500μm以下になることが望ましい。また、密
着面5に記録フィルム2が接触を開始するときの透明入
射体3側面と記録フィルム2のなす角度α、及び、密着
面5から記録フィルム2が接触を終了するときの透明入
射体3側面と記録フィルム2のなす角度β(図1)は、
何れも5°以上45°以下の範囲にあることが望まし
い。さらに、断面線状入射光束11の厚さは、最大強度
の1/e2 =13.5%までの厚さでみると、3mm以
下であることが望ましい。
【0035】前述したように、透明入射体3の材料は、
記録フィルム2の屈折率に近い屈折率を有する材料が好
ましく、通常記録フィルム2の屈折率は1.3〜1.7
であるので、透明入射体3の材料としては、後記するよ
うに、ガラス、プラスチック、無機物質を使用すること
ができる。なお、露光は記録フィルム2の移送方向に直
角な線状の露光となるので、振動の影響はあまり受けな
くて済むが、光束照射時間が長い場合は、質量があって
振動しにくいガラスを透明入射体3及び反射体4に用い
ることが好ましい。
【0036】このように、本発明においては、透明入射
体3の凸面円筒状の密着面5に記録フィルム2を密着さ
せながら連続的に移送して線状露光するので、透明入射
体3の大きさは、面状露光の大きさより小さな線状露光
の大きさで済み、小さく軽く安価である。また、記録フ
ィルム2と透明入射体3との密着性良く露光ができるの
で、ホログラムの大面積化及び品質の均一化を実現する
ことができる。また、線状の露光となることにより振動
の影響もほとんど受けない。さらに、入射光束11を全
反射する記録フィルム2の他方の面7が透明入射体3の
密着面5に沿う凸面円筒状になるため、反射光束12は
平行光束でなく若干収束する形状になるので、入射光束
11と反射光束12の干渉によって形成される干渉縞
は、傾き角が若干異なる多数の干渉縞を重畳した形態に
なる。図8(a)は、図1と図2の配置により記録した
ホログラムの記録フィルム2の進行方向に垂直な断面と
その進行方向に平行な断面での干渉縞の形態を模式的に
示したものであり、この図から明らかなように、本発明
の方法により記録されたホログラムは、この場合、記録
フィルム2の平面の何れの方向に沿っても平行にその内
部に等間隔の干渉縞が記録されているが、記録フィルム
2の進行方向に平行な断面内での干渉縞の乱れは、記録
フィルム2の進行方向に垂直な断面内での干渉縞の乱れ
よりも大きくなっている。これは、上記した凸面円筒状
に沿って記録する効果であり、このようなホログラフィ
ックミラーは、上記の干渉縞の乱れにより、回折スペク
トルが輝線スペクトルでなくブロードなバンドスペクト
ルとなるため、赤外域の光だけ反射させるソーラーリフ
レクター等に適したものが得られる。
【0037】なお、図1において、9は線状露光領域
を、10は線状の入射光束11が入射する入射面6の入
射領域を示している。このような線状の入射光束11を
形成するには、例えば図3に示すように、細いレーザー
光13を共焦点で配置した平凹シリンドカルレンズ14
と平凸シリンドカルレンズ15を通して一方向に拡大す
ればよい。
【0038】図2に示すように、透明入射体3に対して
入射光束11が入射領域10から入射面6にほぼ垂直に
入射し、記録フィルム2の他方の面7で反射されるが、
この面7以外で反射が起こると、その反射光が記録フィ
ルム2内に入射して干渉縞を乱すことになる。そこで、
透明入射体3の入射面6及び密着面5以外の面に対して
は光吸収処理を施すことによって乱反射を防止する。そ
うすることで、大掛かりな遮光板を設置せずに記録フィ
ルム2の未露光部及びすでに露光が済んだ部分への光の
侵入も防止でき、干渉縞の乱れを防止することができ
る。
【0039】記録フィルム2、透明入射体3、インデッ
クスマッチング液4の三者間の屈折率の差は温度15〜
25℃の範囲において、0.2好ましくは0.1以下で
あると効果的である。透明入射体3の材料としては、記
録フィルム2の主成分がポリビニルカルバゾール誘導体
の場合、F2ガラス、ポリエステル樹脂、高屈折率アリ
ル樹脂、高屈折率アクリル樹脂等が好ましく、記録フィ
ルム2の主成分がポリ酢酸ビニル誘導体の場合、BK−
7ガラス、石英ガラス等が好ましく、記録フィルム2の
主成分がポリエステルの場合、F2ガラス等が好まし
い。
【0040】また、本発明は、図4に示すように、同様
な透明入射体3を記録フィルム2の下側に配置するよう
にしてもよい。図4においては、図1と同様、記録フィ
ルム2に接する面5が凸面円筒状になっている透明入射
体3の上にインデックスマッチング液4を介して記録フ
ィルム2が巻き付くような形になるため、透明入射体3
の上流及び下流のロール1で記録フィルム2が透明入射
体3を上から押さえるようにすれば、透明入射体3と記
録フィルム2との密着性が良く、不用な迷光が除去で
き、良品質のものが作成できる。この場合にも、透明入
射体3の光束入射面6及び密着面5以外の面に対して、
光吸収処理を施すことが好ましい。
【0041】以上は、透明入射体3の入射面6から図3
のような光学系で形成された線状の入射光束11を入射
させ、線状露光領域9を同時に常に照射しているが、こ
の線状露光領域9に速い速度で往復する走査ビームを照
射するようにすることもできる。そのための図3に代わ
る光学系の1例を図5に示す。この光学系においては、
レーザー光源30から発振されたレーザー光はガルバノ
ミラー31で偏向され、放物面鏡32により平行移動す
る走査ビームに変換され、ミラー33、34を経て走査
光ビーム11′となって透明入射体3の入射面6上の線
状入射領域10に、図の両矢符で示したような往復移動
するビームとして入射される。したがって、記録フィル
ム2の移動方向にほぼ垂直に走査光ビーム11′が照射
され、その入射光ビーム11′は、記録フィルム2の他
方の面7で全反射され、入射光ビーム11′と反射光ビ
ームとが記録フィルム2内で干渉して干渉縞を記録フィ
ルム2の横断方向に順次記録する。
【0042】このような往復走査する光ビーム11′を
用いるメリットとしては、図3のような光学系を用いて
線状に拡大された線状光束11を用いる場合には、端部
での光強度が中心部でのそれより弱くなり、記録面内で
光強度の不均一が生じるのに対し、図5のような走査光
ビーム11′を用いると、このような記録面内で光強度
の不均一が発生しない点があげられる。このような均一
露光のためには、ビーム11′が1往復する間に記録フ
ィルム2がビーム11′の幅の半分以下の移動しかしな
いことが必要となり、これを式で表すと、ビーム11′
の幅をc、その走査速度をs、記録フィルム2の幅を
d、その搬送速度をaとするとき、 2d/s≦c/2a の関係を満たすことが必要となる。
【0043】ところで、以上の方法によって作製したホ
ログラフィックミラーは、干渉縞が記録フィルム膜面に
対して平行なものである。しかしながら、このようなホ
ログラフィックミラーを、例えば窓ガラスに貼って赤外
線を反射させるソーラーリフレクターとして用いると
き、干渉縞は記録フィルム膜面に対して所望の角度で斜
めに形成されている方が望ましい。図7は、平行な干渉
縞からなる体積ホログラムからの回折効率を具体的に測
定した例を示すものであるが、干渉縞に垂直(90°)
に入射させる場合に比較して、干渉縞に斜め(64°)
に入射させると、回折効率が低下し、かつ、回折波長が
短波長側にシフトしてしまう。このことは回折理論から
一般的に言えることであり、したがって、高回折効率
で、設計通りの波長を反射回折させるには、斜め上方か
ら太陽光が入射する窓の場合、入射光に対して干渉縞が
垂直になるように、干渉縞を記録フィルムの膜面に対し
て傾斜して記録できるようにすることが望ましい。
【0044】図6はこのように記録フィルム2の膜面に
対して傾いた干渉縞を記録する例の図2と同様な図であ
り、図1の装置構成を用いて記録する。この例において
は、記録フィルム2の構成のみが図2の場合と異なる。
以下、図1と図6を参照にして説明する。図6は図1の
装置構成図におけるAA’断面図であって、同じ番号は
同じ部分を示している。図1、図6において、透明入射
体3は上記した通りであり、記録フィルム2の透明入射
体3に密着する面と反対側には、図6に示すように、断
面が楔状の保護膜16が設けられている。
【0045】このような構成において、記録フィルム2
自身、保護膜16、透明入射体3、インデックスマッチ
ング液4の屈折率はほぼ同じにしてある。その結果、入
射光束11は、密着面5とインデックスマッチング液4
の界面、インデックスマッチング液4と記録フィルム2
との界面、記録フィルム2自身と保護膜16との界面で
反射せずに、保護膜16に入射し、その傾斜した他方の
面17に入射する。ここで、入射光束11と保護膜16
の他方の面17とのなす角θ2 が小さい場合、この面1
7と空気(n≒1.0)との界面で全反射して、入射光
束11と反射光束12とが記録フィルム2内で干渉し
て、記録フィルム2の面に対して傾いた干渉縞が生じ、
記録される。このような製造方法の場合、保護膜16の
他方の面17と記録フィルム2のなす角度θ3 は、0°
以上10°以下とすることが可能であり、したがって、
製造されるソーラーリフレクターの干渉縞の傾き角は、
記録フィルム2の面に対して0°以上10°以下とな
る。なお、上記θ2 が大きい場合は、保護膜16の露出
面17の面上にはアルミニウム等を蒸着して鏡面反射層
とするか、ホログラム反射層とすればよい。
【0046】この場合も、図2の場合と同様、透明入射
体3の密着面5の形状は凸面の円筒状になっているた
め、インデックスマッチング液4を介在させて、記録フ
ィルム2と透明入射体3との密着性を良好ならしめ、記
録フィルム2を移送する際の記録フィルム2の動きがス
ムーズで、密着面5との接触によっても記録フィルム2
に傷が付かず、泡等の混入がなく、インデックスマッチ
ング液4の厚みを薄く均一にし、かつ、インデックスマ
ッチング液4による記録フィルム2の他方の面7等の汚
れがなく、記録フィルム2に均一に入射光束11及び反
射光束12を照射できるため、ムラのない良好なホログ
ラムの記録が連続的に大面積で行うことが可能となる。
また、透明入射体3の大きさは、面状露光の大きさより
小さな線状露光の大きさで済み、小さく軽く安価であ
る。また、線状の露光となることにより振動の影響もほ
とんど受けない。さらに、入射光束11を全反射する保
護膜16の他方の面17が透明入射体3の密着面5に沿
う凸面円筒状になるため、反射光束12は平行光束でな
く若干収束する形状になるので、入射光束11と反射光
束12の干渉によって形成される干渉縞は、傾き角が若
干異なる多数の干渉縞を重畳した形態になる。図8
(b)は、図1と図6の配置により記録したホログラム
の記録フィルム2の進行方向に垂直な断面とその進行方
向に平行な断面での干渉縞の形態を模式的に示したもの
であり、この図から明らかなように、本発明の方法によ
り記録されたホログラムは、この場合は、記録フィルム
2の進行方向に沿ってはフィルム面に平行で、記録フィ
ルム2の進行方向に垂直な方向においては、記録フィル
ム2の平面に対して角度をなして、その内部に等間隔の
干渉縞が記録されているが、記録フィルム2の進行方向
に平行な断面内での干渉縞の乱れは、記録フィルム2の
進行方向に垂直な断面内での干渉縞の乱れよりも大きく
なっている。これは、上記した凸面円筒状に沿って記録
する効果であり、このようなホログラフィックミラー
は、上記の干渉縞の乱れにより、回折スペクトルが輝線
スペクトルでなくブロードなバンドスペクトルとなるた
め、赤外域の光だけ反射させるソーラーリフレクター等
に適したものが得られる。
【0047】ところで、記録フィルム2の一面にこのよ
うな断面楔状の保護膜16を形成する方法としては、記
録フィルム2の表面に液を膜厚分布を持たせて塗布して
乾燥させる方法、厚さに分布のある膜を貼り付ける方法
等があり、何れも用いることができる。膜厚分布を持た
せて塗布する方法にも種々のものがあるが、例えば、ス
リット幅を膜厚分布形状に合わせて変えたダイコート、
圧力をかけて供給量に膜厚分布形状に合わせた分布を持
たせるダイコート、ディップコートした後に基材を立て
て一方の側縁を下にしてその側縁側に塗布液が寄るよう
して水平に搬送させる方法、基材を立てて上部から塗布
液をかけ流して下の側縁側に塗布液が寄るようして水平
に搬送させる方法がある。何れの方法でも、条件を最適
に設定して、適切な膜厚分布を出せばよいが、重要なの
は塗布液の粘度と乾燥速度である。液の粘度は、ダイコ
ートの場合、100cps以上が望ましく、乾燥はスリ
ット通過直後に熱で乾燥させる。熱風を強く当てると膜
面が乱れるので、赤外線ヒーターを併用すると効果が上
がる。
【0048】なお、保護膜16の面17への光束11の
入射角が法線から60°以上の場合は、保護膜16の屈
折率が1.15であれば、保護膜16と空気の界面で全
反射するので、記録可能である。しかし、記録フィルム
2と保護膜16び間での全反射を防ぐために、記録フィ
ルム2の屈折率n1 と保護膜16の屈折率n2 の関係
は、スネルの式から、n2 /n1 ≧0.866を満たす
必要がある。具体的には、ポリビニルアルコールの水溶
液(鹸化度によって、屈折率が1.494から1.55
7まで調節できる。)や、ポリ(p−ヒドロキシスチレ
ン)、スチレンの溶液、ポリエステルフィルム、エチレ
ン−ビニルアセテート共重合体フィルム等を保護膜16
とし用いることができる。
【0049】次に、上述した図1〜図6に構成を示す装
置を使用した本発明のホログラムの記録方法について、
より具体的に例をあげて説明する。 (実施例1)図1、図2に示すように、記録フィルム2
と接する面5のみ凸曲面で、光の入射する面6及びこの
凸曲面の面5以外の面は黒色にして無反射処理を施した
ガラスブロック3に記録フィルム2(デュポン社製フィ
ルム:オムニデックス352、幅1フィート、長さ50
0フィートのロールフィルム)をインデックスマッチン
グ液4(キシレン)を介して密着させた。
【0050】次に、図3に示すように、Arレーザから
発振された波長514nmの光13を平凹シリンドリカ
ルレンズ14の凹面から入射させた後、平凸シリンドリ
カルレンズ15の凸面に入射させて、スリット状の平行
光にした光11を、θ=30°の角度でガラスブロック
3の面6から光強度60〜75mW/cm2 で入射し
た。
【0051】そして、記録フィルム2を連続的に0.5
cm/秒のスピードで供給したところ、干渉縞が記録フ
ィルム2に記録され、370nmのピッチの干渉縞が記
録フィルム2の記録層とほぼ平行方向に幅1フィート、
長さ450フィートにわたって作成された。
【0052】その後、紫外線を1分間照射し、100℃
で1時間ベークして、波長1110nmでの回折効率4
6%の回折格子が得られた。
【0053】この時の回折効率の測定は、干渉縞形成後
の記録フィルムを5cm角程度の大きさに切断し、
(株)島津製作所製分光光度計(島津ダブルモノクロメ
ータ自記分光光度計UV−365)にセットし、140
0nm〜400nmの範囲の垂直入射光に対しての透過
率を測定し、100%からこの透過率を引算した値が反
射率すなわち回折効率とみなして行った。
【0054】このようにして干渉縞を形成した後、この
フィルムを長さ100cmに切断し、窓ガラスに貼った
ところ、1110nm付近の太陽光の赤外線を反射して
窓ガラス近傍の温度の低下が見られた。
【0055】(実施例2)下記の組成の組成物を1,4
−ジオキサン10gに溶解し、0.25μmの孔径の濾
過器によって濾過し、感光液を得た。
【0056】
【化1】
【0057】この感光液を、100μm厚の内面プライ
マー処理済みのPETフィルム(帝人(株):HP−
7)上に、ローラーコーターを使用して乾燥後膜厚が5
μmとなるように塗布し、70℃で45分間乾燥した
後、ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 PVA2
05 重合度500、鹸化度88%)10%水溶液をロ
ーラーコーターで塗布した。これを60℃で10分間乾
燥して、記録フィルム2を得た。
【0058】次いで、図4に示すような状態で、記録フ
ィルム2は下側をポリビニルアルコールコート面、上側
をPETフィルム基材面にして、インデックスマッチン
グ液4としては、屈折率を記録フィルム2に近づけるた
めに、ブロモベンゼン(屈折率1.56)を使用し、ポ
リエステル樹脂(屈折率1.57)からなるブロック3
にArレーザから発振された波長488nmの光を用い
て、θ=27.7°の角度で、光強度28mW/cm2
で入射させ、記録フィルム2は0.9cm/秒のスピー
ドで連続的に供給して行き、干渉縞を記録フィルム2に
記録した。
【0059】Arレーザによる露光後、紫外線放出ラン
プ(東芝(株)製 商品名:ケミカルランプ FL−2
0BL)を使用して、0.1J/cm2 になるように露
光した。この時、シャープカットフィルターL39を用
い、400nm以上の可視光だけ照射した。
【0060】露光後、記録媒体を流水浴中で1分間水洗
し、ポリビニルアルコール層を除去し、乾燥させた。
【0061】次いで、アセトン浴中に2分間浸漬後、ヘ
プタン浴中に1分間浸漬して、記録フィルム2を取り出
した。
【0062】こうして得られたホログラムの回折効率を
実施例1と同様にして測定したところ、950nm付近
の波長で78%であった。すなわち、302nmのピッ
チの干渉縞が記録フィルム2の記録層とほぼ平行方向に
記録された回折効率78%の回折格子が得られた。この
値は記録フィルム2のどの部位でも±3%の範囲で均一
であった。
【0063】なお、上記において、屈折率の値はアッベ
の屈折率計で測定したナトリウムD線のものである。
【0064】(実施例3)図6において、保護膜16は
その反射面17の角度θ3 をθ3 =5°とした膜で、ポ
リビニルアルコール(鹸化度88%、重合度500)の
水溶液を下記の記録フィルム2にダイコートで塗布した
ものを用い、図1、図6に示すように、密着面5は記録
フィルム2と密着する部分が円筒状であり、光の入射す
る入射面6及びこの円筒状の面5以外の面は黒色にして
無反射処理を施してある。
【0065】透明入射体3に記録フィルム2(デュポン
社製フィルム:オムニデックス352、幅1フィート、
長さ500フィートのフィルム)を、インデックスマッ
チング液4としてキシレンを用い、これを介在させて密
着させた。
【0066】次に、図3に示すように、Arレーザから
発振された波長514nmの光13を平凹シリンドリカ
ルレンズ14の凹面から入射させた後、平凸シリンドリ
カルレンズ15の凸面に入射させて、スリット状の平行
光にした光11を、θ1 =20°の角度でガラスブロッ
ク3の面6から光強度60〜75mW/cm2 で入射し
た。
【0067】そして、記録フィルム2を連続的に1cm
/secの速度で移送したところ、膜面に対して5°の
傾きを有する干渉縞が記録フィルム2に記録され、約4
00nmのピッチの干渉縞が記録フィルム2に幅1フィ
ート、長さ450フィートにわたって作成された。
【0068】その後、フュージョン社製のF−450用
のHバルブのランプを用いて紫外線を1分間照射し、1
00℃で1時間ベークして、波長1200nmでの回折
効率50%の回折格子が得られた。回折効率の測定は実
施例1と同様に行った。
【0069】また、フィルムの角度を変えて5°傾けた
時に、上記の最大の回折効率が得られた。
【0070】このような干渉縞を形成した後、このフィ
ルムを干渉縞の傾きが太陽光に垂直に近いような方向に
なるよう考慮して窓ガラス大のサイズに切断し窓ガラス
に貼ったところ、1200nm付近の太陽光の赤外線を
反射して窓ガラス内側近傍の温度の降下が見られた。さ
らにその後、窓ガラスに貼ったフィルムを剥がすと再び
温度の上昇が見られた。
【0071】(実施例4)実施例2と同様の組成の感光
液を用い、この感光液を、100μm厚さの内面プライ
マー処理済みのPETフィルム(帝人 (株) 製 HP−
7)上に、ローラーコーターを使用して乾燥後膜厚が8
μmとなるように塗布し、70℃で45分間乾燥した
後、ポリ(p−ヒドロキシスチレン)の30%イソプロ
ピルアルコール溶液をディップコーターで塗布した。膜
厚に垂直な方向で搬送して、5秒後に60℃で10分間
乾燥して、記録フィルム2を得た。
【0072】次いで、実施例3と同様な方法で、F2ガ
ラス( (株) 御幸光学工業製 屈折率1.61989)
からなる透明入射体3にArレーザから発振された波長
488nmの光を用いて、θ1 =13°の角度で、光強
度28mW/cm2 で入射させ、記録フィルム2は0.
9cm/秒の速度で連続的に供給して行き、干渉縞を記
録フィルム2に記録した。
【0073】Arレーザによる露光後、紫外線放出ラン
プ(東芝 (株) 製 ケミカルランプFL−20BL)を
使用して、0.1J/cm2 になるように露光した。こ
の時、シャープカットフィルターL39を用い、400
nm以上の可視光だけ照射した。
【0074】露光後、記録媒体をイソプロピルアルコー
ル浴中で1分間水洗し、ポリ(p−ヒドロキシスチレ
ン)層を除去し乾燥させた。
【0075】次いで、アセトン浴中に2分間浸漬後、ヘ
プタン浴中に1分間浸漬して、干渉縞記録された記録フ
ィルム2を取り出した。
【0076】こうして得られたホログラムの回折効率
は、実施例1と同様にして測定したところ、現像後の収
縮により、950nm付近の波長で78%であった。す
なわち、約298nmのピッチの干渉縞が記録フィルム
2の記録層と8°の傾きで記録された回折効率78%の
回折格子が得られた。この値は記録フィルム2のどの部
位でも±3%の範囲で均一であった。
【0077】なお、上記において、屈折率の値はアッベ
の屈折率計で測定したナトリウムD線のものである。
【0078】以上の実施例に記載されたホログラム記録
方法は本発明の一例であって、本発明はこれら実施例だ
けに限定されるものではない。
【0079】干渉縞を斜めに記録する本発明の方法にお
いては、記録フィルムは移送されてもよく、移送されな
くてもよいことは明らかである。また、移送は連続的で
あっても、また間歇的であってもよいことは明らかであ
る。さらに、露光も連続的、間歇的の何れであってもよ
いことは明らかである。
【0080】本発明の主旨の範囲で様々な実施態様を行
うことができ、それらも本発明に含まれることは言うま
でもない。
【0081】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
のホログラム記録方法及び記録されたホログラムによれ
ば、記録フィルムの一方の面側に透明体を配置し、この
透明体の密着面とフィルムとの間にインデックスマッチ
ング液を満たして、インデックスマッチング液を介して
透明体に記録フィルムを密着させ、前記透明体の密着面
以外の面に対して光束を入射させ、前記密着面を経て記
録フィルムに到達した入射光束と記録フィルムの反対側
の面と空気との境界面で反射した光束とを記録フィルム
内で干渉させて干渉縞を記録するので、記録フィルム面
に対して小さい角度でも効率良い露光を行うことがで
き、さらに、入射光束の記録フィルム面に対する入射角
度を変化させることによって記録する干渉縞のピッチを
種々選択できる。
【0082】さらに、長尺の記録フィルムを移送して、
線状の光束で露光することにより、大面積でかつムラの
ない高品質のホログラムを容易に製造することが可能と
なり、歩留りが良く量産に向いた製造方法を提供するこ
とができる。
【0083】また、透明体の記録フィルムに密着する面
を記録フィルム搬送方向にのみ凸に湾曲した曲面にし、
かつ、この密着面とフィルムとの間にインデックスマッ
チング液を満たして、インデックスマッチング液を介し
て透明体に記録フィルムを密着させるようにしたため、
記録フィルムと透明体との密着性が良くなり、記録フィ
ルムを移送する際の記録フィルムの動きがスムーズで、
密着面との接触によっても記録フィルムに傷が付かず、
泡等の混入がなく、インデックスマッチング液の厚みを
薄く均一にし、かつ、インデックスマッチング液による
記録フィルムの他方の面等の汚れがなく、記録フィルム
に均一に入射光束及び反射光束を照射できるため、ムラ
のない良好なホログラムの記録を連続的に大面積で行う
ことが可能となる。さらに、この密着面の形状により、
記録フィルムに形成される干渉縞は、傾き角が若干異な
る多数の干渉縞を重畳した形態になるため、記録フィル
ムに記録されたホログラフィックミラーは、回折スペク
トルが輝線スペクトルでなくブロードなバンドスペクト
ルとなるため、赤外域の光だけ反射させるソーラーリフ
レクター等に適したものが得られる。
【0084】さらに、記録フィルムの透明体と密着しな
い側の面に、記録フィルム搬送方向と垂直方向に膜厚分
布を有する層を形成し、この層の表面で入射光束を反射
させるようにすることにより、記録フィルム面に対して
傾いた干渉縞を形成することができ、ソーラーリフレク
ター等の製造に適した方法となる。
【0085】また、透明体の光束入射面及び記録フィル
ムと接触する面以外の面に光吸収処理を施すことによ
り、乱反射を防ぎ、干渉縞の乱れを少なくすると同時
に、記録フィルムの露光部以外の部分には光が当たらぬ
ようになり、大掛かりな遮光板を設置しなくて済む。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のホログラムの記録方法を実施するため
の配置の1形態を示す図である。
【図2】透明入射体の記録フィルム移動方向に垂直な断
面を示す図である。
【図3】線状光束を形成するための光学系の1例を示す
図である。
【図4】別の形態を示す図である。
【図5】走査光ビームを形成するための光学系の1例を
示す図である。
【図6】傾いた干渉縞を記録するための形態を示す図2
と同様な断面図である。
【図7】体積ホログラムからの回折効率の測定例を示す
図である。
【図8】本発明の方法により記録されたホログラムの干
渉縞の形態を模式的に示す図である。
【図9】従来のホログラム記録方法を説明するための図
である。
【図10】従来のもう1つのホログラム記録方法を説明
するための図である。
【符号の説明】
1…ロール列 2…記録フィルム 3…透明入射体 4…インデックスマッチング液 5…透明入射体の密着面 6…透明入射体の入射面 7…記録フィルムの他方の面 8…供給ノズル 9…線状露光領域 10…入射領域 11…入射光束 11′…走査光ビーム 12…反射光束 13…レーザー光 14…平凹シリンドカルレンズ 15…平凸シリンドカルレンズ 16…保護膜 17…保護膜の他方の面 30…レーザー光源 31…ガルバノミラー 32…放物面鏡 33、34…ミラー
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−188478(JP,A) 特開 平1−154079(JP,A) 特開 平4−329585(JP,A) 特開 平4−219781(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03H 1/04

Claims (20)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連続的に供給される記録フィルムに光の
    干渉によりホログラムを記録する方法において、記録フ
    ィルムの一方の面側に透明体を配置し、この透明体の記
    録フィルムに密着する面を記録フィルム搬送方向にのみ
    凸に湾曲した曲面にして、かつ、この密着面とフィルム
    との間にインデックスマッチング液を満たして、該イン
    デックスマッチング液を介して透明体に記録フィルムを
    密着させ、前記透明体の密着面以外の面に対して光束を
    入射させ、前記密着面を経て記録フィルムに到達した入
    射光束と記録フィルムの反対側の面と空気との境界面で
    反射した光束とを記録フィルム内で干渉させて干渉縞を
    記録することを特徴とするホログラムの記録方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法において、前記透明
    体の密着面以外の面に対して入射される光束が、前記記
    録フィルム搬送方向に交差する方向に往復走査される光
    ビームからなり、前記密着面を経て記録フィルムに到達
    した走査光ビームと記録フィルムの反対側の面と空気と
    の境界面で反射した光ビームとを記録フィルム内で干渉
    させて干渉縞を記録することを特徴とするホログラムの
    記録方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法において、記録フィ
    ルムの透明体と密着しない側の面に、記録フィルム搬送
    方向と垂直方向に膜厚分布を有する層を形成し、この層
    の表面で入射光束を反射させることを特徴とするホログ
    ラムの記録方法。
  4. 【請求項4】 請求項1から3の何れか1項記載の方法
    において、透明体の光束入射面及び記録フィルムと接触
    する面以外の面に光吸収性の加工処理を施し、また、記
    録フィルムの照射部分以外には光が当たらぬように遮光
    したことを特徴とするホログラムの記録方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から3の何れか1項記載の方法
    において、前記透明体は、記録フィルムとの屈折率の差
    が15〜25℃の範囲で0.2以下を有する材料からな
    ることを特徴とするホログラムの記録方法。
  6. 【請求項6】 請求項5の方法において、記録フィルム
    の主成分がポリビニルカルバゾール誘導体であり、前記
    透明体がF2ガラス、ポリエステル樹脂、高屈折率アリ
    ル樹脂又は高屈折率アクリル樹脂からなることを特徴と
    するホログラムの記録方法。
  7. 【請求項7】 請求項5の方法において、記録フィルム
    の主成分がポリ酢酸ビニル誘導体であり、前記透明体が
    BK−7ガラス又は石英ガラスからなることを特徴とす
    るホログラムの記録方法。
  8. 【請求項8】 請求項5の方法において、記録フィルム
    の主成分がポリエステルであり、前記透明体がF2ガラ
    スからなることを特徴とするホログラムの記録方法。
  9. 【請求項9】 請求項1から3の何れか1項記載の方法
    において、前記透明体への入射光束がこの透明体の入射
    面に対して90±10度の角度で入射することを特徴と
    するホログラムの記録方法。
  10. 【請求項10】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、前記密着面の曲率半径が10mm以上10
    0mm以下であることを特徴とするホログラムの記録方
    法。
  11. 【請求項11】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、前記密着面に記録フィルムが接触を開始す
    るときの透明入射体側面と記録フィルムのなす角度、及
    び、前記密着面から記録フィルムが接触を終了するとき
    の透明入射体側面と記録フィルムのなす角度が、何れも
    5度以上45度以下の範囲にあることを特徴とするホロ
    グラムの記録方法。
  12. 【請求項12】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、前記入射光束の記録フィルム搬送方向の太
    さが、最大強度の13.5%までの太さでみるとき、3
    mm以下であることを特徴とするホログラムの記録方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、記録フィルムに10〜50kg/mのテン
    ションがかけられ、記録フィルムと前記密着面の間のイ
    ンデックスマッチング液の厚さが500μm以下である
    ことを特徴とするホログラムの記録方法。
  14. 【請求項14】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、前記透明体が記録フィルムの上側に配置さ
    れていることを特徴とするホログラムの記録方法。
  15. 【請求項15】 請求項1から3の何れか1項記載の方
    法において、前記透明体が記録フィルムの下側に配置さ
    れていることを特徴とするホログラムの記録方法。
  16. 【請求項16】 請求項3記載の方法において、前記の
    膜厚分布を有する層の膜厚が次第に厚くなる分布である
    ことを特徴とするホログラムの記録方法。
  17. 【請求項17】 請求項16記載の方法において、前記
    の膜厚分布を有する層の表面と記録フィルム表面とのな
    す角度が0度より大きく10度以下であることを特徴と
    するホログラムの記録方法。
  18. 【請求項18】 請求項3記載の方法において、記録フ
    ィルムに記録される干渉縞がフィルム表面に対して0度
    より大きく10度以下の角度傾いていることを特徴とす
    るホログラムの記録方法。
  19. 【請求項19】 記録フィルムの平面の少なくとも一方
    向に沿って平行にその内部に等間隔の干渉縞が記録され
    てなるホログラムにおいて、その方向の断面内での干渉
    縞の乱れがその方向に直角な方向の断面内での干渉縞の
    乱れよりも大きくなるように記録されていることを特徴
    とするホログラム。
  20. 【請求項20】 前記の直角な方向の断面内での干渉縞
    が記録フィルムの平面に対して角度をなしていることを
    特徴とする請求項18記載のホログラム。
JP22561693A 1992-12-16 1993-09-10 ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム Expired - Lifetime JP3433825B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP22561693A JP3433825B2 (ja) 1992-12-16 1993-09-10 ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33611992 1992-12-16
JP4-336119 1992-12-26
JP19454093 1993-08-05
JP5-194540 1993-08-05
JP22561693A JP3433825B2 (ja) 1992-12-16 1993-09-10 ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0798560A JPH0798560A (ja) 1995-04-11
JP3433825B2 true JP3433825B2 (ja) 2003-08-04

Family

ID=27326959

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP22561693A Expired - Lifetime JP3433825B2 (ja) 1992-12-16 1993-09-10 ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3433825B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1671163A4 (en) * 2003-09-26 2009-10-21 Pd Ld Inc METHOD FOR PRODUCING VOLUME BRAGG GRILLE ELEMENTS
DE102019110833A1 (de) * 2019-04-26 2020-10-29 HELLA GmbH & Co. KGaA Verfahren und Vorrichtung zur Herstellung eines Hologramms, Hologramm so-wie Beleuchtungsvorrichtung für ein Fahrzeug

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0798560A (ja) 1995-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101177146B1 (ko) 리플렉터 및 백라이트 장치
KR920010944B1 (ko) 광확산 장치
KR900001646B1 (ko) 홀로그램 내의 플레어 감소 장치 및 방법
US5330264A (en) Method and apparatus for copying and manufacturing hologram plate
EP0840183A2 (en) Process for making holograms and holography device
US4023903A (en) Light composer for providing even field illumination and diffuse light
US20170212289A1 (en) Holographic windows
US5504593A (en) Continuous and uniform hologram recording method and uniformly recorded hologram
CA2047146A1 (en) Uniform intensity profile catadioptric lens
CN110133793B (zh) 一种导光膜及显示装置
US5145756A (en) Method for making a holographic mirror
JPH10206643A (ja) 面状光源装置
US6567216B2 (en) Polarization element of an irradiation device for polarized light for optical alignment of a liquid crystal alignment layer
US3776995A (en) Method of producing x-ray diffraction grating
JP3433825B2 (ja) ホログラムの記録方法及び記録されたホログラム
CA2022016C (en) Holographic exposure system to reduce spurious hologram noise
JPH09211728A (ja) 投影スクリーン等の改良またはそれに関連する改良
US4863225A (en) Reflection holograms formed by scanning
EP0435510A2 (en) Method and apparatus for recording Lippmann holographic mirrors
JP2605134B2 (ja) 面光源素子
JP3410153B2 (ja) ホログラム記録方法
JP2887090B2 (ja) 平行光照明光学系
JPS60167201A (ja) ランプ構成体に対する光学装置の製造方法
CN213656654U (zh) 一种激光照明的导光柱结构
CN212569191U (zh) 一种透射式体全息光栅

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080530

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090530

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090530

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100530

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110530

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120530

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130530

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140530

Year of fee payment: 11