JP3427469B2 - 支持装置 - Google Patents

支持装置

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JP3427469B2
JP3427469B2 JP06541294A JP6541294A JP3427469B2 JP 3427469 B2 JP3427469 B2 JP 3427469B2 JP 06541294 A JP06541294 A JP 06541294A JP 6541294 A JP6541294 A JP 6541294A JP 3427469 B2 JP3427469 B2 JP 3427469B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学素子の検査装置等
に使用できる支持装置、特に被支持物の支持の際に生じ
る変形を軽減し得る支持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光学素子に対して極めて高い形状
精度が要求されることが多く、特に縮小投影露光装置で
使用される縮小投影光学素子が最も代表的な変形を軽減
すべき物体の一つである。このような縮小投影光学素子
の形状精度の検査を行う場合、検査手段と縮小投影光学
素子との相対的な位置決めが必要であり、光学素子を検
出手段の所定位置に固定するための支持装置が用いられ
ている。
【0003】レンズ等の光学素子の場合は、レンズ周辺
部を支持する構造の支持装置が一般的に用いられてい
る。例えば、図7に示すように、枠状基台101の3等
分割位置に回転自在に固定された部材112に各々2つ
づつ支持部材111が設けられてなる支持装置がある。
これは、被支持物をこれら各支持部材111との6ケ所
の接触点で支持するものであり、6ケ所の接触点での応
力が各回転自在構造によって均等化され、縮小投影光学
素子等の被支持物の支持点(接触点)において生じる被
支持物の変形量が平均して全体的に軽減されるような構
成となっている。
【0004】また、縮小投影露光装置と縮小投影光学素
子との相対的な位置決めを行う場合には、図8に示すよ
うに、枠状基台201の、被支持物205である縮小投
影光学素子との接触支持部位201aを縮小投影光学素
子の形状に倣って極めて高い形状精度で加工することに
より、縮小投影光学素子の支持部における変形量が微小
となるような状態で支持するものを用いることもある。
【0005】さらに、反射鏡などの周辺のみで支持する
必要のない光学素子の形状精度検査を行う場合に用いる
支持装置としては、鏡の裏面で平面的に支持する構造の
ものがある。比較的小口径のものであれば、鏡裏面の全
面をフェルトなどで平均に支持することもあるが、ある
程度の大きさ以上の口径を持つもの用には、図9に示す
ような、鏡裏面の3ケ所、6ケ所、9ケ所、18ケ所、
……と多点で接触支持し、各支持点における荷重・応力
を平均化する機構を持つ支持装置が用いられていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
如き図7、図9に示したような複数の接触点にて被支持
物を支持する装置においては、接触部位に生じる応力の
均等化が比較的良好に実現できるものの、より、高い変
形量の軽減を図るためには、被接触物との接触部位の数
を増すことが考えられるが、非常に多数の接触支持点を
各々所定間隔で基台上に形成することは実施が困難であ
り、また、これら接触支持点への荷重・応力を平均化す
るための機構も大型化してしまい、構成が複雑で大きな
空間も必要となり実用的でない等の問題がある。
【0007】また、図8に示すように被支持物の形状に
倣って極めて高い形状精度で加工された支持部位を持つ
支持装置おいては、被支持物に対する変形量軽減の程度
は、被支持物と接触する支持部位の加工精度により制限
され、局部的な接触領域の相互の変形や、被支持物を載
置する過程において接触に伴う相互の変形を軽減しにく
く、縮小投影光学素子の持っている本来の性能が損なわ
れる恐れがあった。また、被支持物毎にその形状にあっ
た形状に支持部位を加工するのは時間的にも、コスト的
にも非常に問題がある。
【0008】本発明は、上記問題点を解消し、簡便な構
成でありながらも、複数の接触支持部位にて均等な支持
力で被支持物を支持し得る支持装置を得ることを主目的
とする。また、被支持物の変形量の軽減の程度が支持部
位の加工精度に制限されにくく、かつ被支持物に局部的
な変形を生じにくい支持装置を得ることを目的とする。
また、接触支持部位の数を容易に増やすことのできる構
成の支持装置をえることを目的とする。また、被支持物
をその周辺部にて複数の接触支持部位で支持する際に、
各支持部位で均等な支持力で支持できる支持装置を得る
ことを目的とする。また、被支持物をその周辺部に限ら
ず平面的に複数の接触支持部位で支持する際に、各支持
部位で均等な支持力で支持できる支持装置を得ることを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明に係る支持装置では、被支持
物に当接して下方から支持する当接部材を複数備えた第
1支持手段と、前記第1支持手段の当接部材を下方から
支持する保持部材を複数備えた第2支持手段と、前記第
2支持手段の保持部材を下方から保持する基台部と、を
有し、前記第2支持手段は、前記保持部材を基台上で横
方向へ移動可能に構成すると共に、その可動範囲を予め
定めた範囲に制限する移動制御手段を備えており、前記
当接部材と前記保持部材とは、互いに接触し、当該接触
部位において互いの部材に生じる相互反力の方向が当接
部材が支持する被支持物の荷重方向に対して傾斜するよ
うに構成され、前記当接部材のうち被支持物からの荷重
を受けた当接部材の変位により該当接部材と接する保持
部材に生じた横方向の力が、被支持物の荷重を受けてい
ない当接部材を支持する保持部材に付加されるよう前記
各々の保持部材が互いに連係するように配設され、被支
持物を載置した際に、前記被支持物に当接してその荷重
を受ける当接部材からの前記荷重による斜め方向の分力
によって該当接部材と当接する保持部材に横方向への分
力が付加され、これにより横方向へ移動される該保持部
材に連係された他の保持部材に横方向の力が付加され、
該他の保持部材に支持され前記被支持物に当接していな
かった当接部材が押し上げられて前記被支持物に当接
し、すべての保持部材の横方向への力が均衡した状態
で、前記第1支持手段のすべての当接部材が均等な支持
力で前記被支持物を保持するものである。
【0010】また、請求項2に記載の発明に係る支持装
置では、請求項1に記載の支持装置において、前記基台
が円形枠状であり、前記移動制御手段として前記枠状基
台の周上に設けられた溝状凹部を備え、前記第2支持手
段の保持部材は、該溝状凹部底面上に配置されたもので
ある。
【0011】また、請求項3に記載の発明に係る支持装
置では、請求項1に記載の支持装置において、前記基台
が盤状であり、前記移動制御手段として前記盤状基台上
面に予め定められた形状で設けられた凹部を備え、前記
第2支持手段の保持部材は、該凹部底面上に配置された
ものである。
【0012】
【作用】請求項1に記載の本発明では、第1支持手段の
複数の当接部材を被支持物に当接して下方から支持し、
第2支持手段の複数の保持部材が第1支持手段の当接部
材を下方から支持し、この第2支持手段の保持部材を下
方から基台部が保持する支持装置であり、第2支持手段
の保持部材は、基台上を移動制御手段によって予め定め
られた制限範囲内を横方向へ移動可能となっている。さ
らに、当接部材と保持部材は互いに接触し該接触部位に
おいて互いに生じる相互反力の方向が被支持物の荷重方
向に対して傾斜するものであり、当接部材のうち被支持
物からの荷重を受けた当接部材の変位により該当接部材
と接する保持部材に生じた横方向の力が、被支持物の荷
重を受けていない当接部材を支持する保持部材に付加さ
れるよう前記各々の保持部材が互いに連係するように配
設されている。
【0013】以上の構成において、当接部材および保持
部材が鋼球等の球体である場合を例に図6を用いて本発
明の作用を以下に説明する。例えば、レンズ等の曲面を
持つ光学素子を被支持物Sとする場合、第1支持手段上
に被支持物Sを載置しようとすると、当初は被支持物S
の凹凸に応じて被支持物Sに当接する当接部材と当接し
ない当接部材とが存在する。
【0014】ここで被支持物Sに当接する当接部材を第
1の当接部材a1 、この第1の当接部材a1 に隣接し被
支持物Sに当接しない当接部材を第2の当接部材a2
する。まず、被支持物Sに当接しその荷重を受けた第1
の当接部材a1 は、該荷重によって荷重方向へ押し下げ
られると共に荷重の一部を斜め方向の荷重分力として、
第1の当接部材a1 を支持する第1の保持部材b1 に与
える。第1の保持部材b1 は、与えられた荷重分力と基
台Bからの抗力によって、基台B表面に沿った横方向へ
の移動力をもつ。第1の保持部材b1 は、基台B表面に
沿って横方向へ移動し、この移動力は、第1の保持部材
1 に隣接し第2の当接部材a2 を保持する第2の保持
部材b2 に与えられる。
【0015】第2の保持部材b2 は、与えられた横方向
の移動力によって基台B表面に沿って横方向へ移動し、
この移動力を第2の当接部材a2 に荷重方向に対して斜
め方向の反力として与える。第2の当接部材a2 は、こ
の反力によって上方へ押し上げられ、被支持物Sに当接
し、第1の当接部材a1 と同じ支持力で被支持物Sを支
持する。第1の保持部材b1 と第2の保持部材b2 とが
兼用で一つの保持部材が隣接する第1および第2の当接
部材を下方から支持する構成であってもよい。この場
合、第1の当接部材a1 からの斜め方向の荷重分力を与
えられた保持部材は、基台表面に沿った横方向の移動力
をもち、これを直接第2の当接部材a2 へ斜め方向の反
力とし、第2の当接部材a2 を上方へ押し上げ、被支持
物に対する支持力とする。
【0016】このような荷重・応力の分散、均等化が第
1支持手段および第2支持手段全体で行われ、保持部材
の基台表面に沿った移動が移動制御手段によってその可
動範囲が制限されているため、最終的には、すべての保
持部材の横方向への力が均衡した状態で、第1支持手段
の全ての当接部材が均等な支持力で被支持物Sを支持す
る。
【0017】したがって、本発明の支持装置において
は、各当接部材による支持点に掛かる応力、支持力は均
等であり、何処かの支持点で荷重が偏って被支持物に局
所的に大きな変形量が生じることなく、変形量は全体的
に均等な極めて小さいものとなる。また、以上に説明し
たように、被支持物の載置に際しては、その被支持物の
形状に応じて当接部材が流動的に移動し、被支持物に安
定した状態で当接、停止するので、従来のように被支持
物載置過程にて被支持物の支持装置への接触に伴う変形
を生じる恐れもない。
【0018】また、被支持物を載置した後に装置本体に
作用する外力や、被支持物と基台の熱変形の影響により
支持力の均衡が崩れて被支持物と当接部材との接触部位
に局部的な変形が生じても、直ちに再び均衡を保つ方向
へ保持部材および当接部材へ荷重が分散、均等化するよ
う力が伝達され、生じた変形はすぐに軽減される。従っ
て、本発明の支持装置によれば、初期の被支持物の性能
を長期にわたって容易に維持することができる。
【0019】尚、ここでは説明の簡単のために当接部材
と保持部材が球体の場合を示したが、本発明はこれに限
定されるものではなく、当接部材と保持部材との接触部
位が球面、円錐側面、円柱面等の曲面どうしの接触であ
り、部材の変位に伴って部材同士の接触部位が相対的に
移動でき、接触部位において荷重分力の伝達が行えるも
のであれば種々の形状のものが当接部材および保持部材
として使用可能である。また被支持物の位置決めをより
高い精度で実現するには、より弾性係数の高い材質を使
用することが望ましい。また保持部材の基台表面に沿っ
た横方向への移動は、回動、摺動、滑動のいずれであっ
ても構わない。
【0020】また、第1支持手段は、より小さく多数の
当接部材を備えた構成とすることによって被支持物の変
形量をより軽減することができる。即ち、ヘルツの弾性
接触理論によれば、球面同士が接触する場合の両球体中
心の接近量δ(これを変形量とみなす)は、接触荷重P
と両球体の曲率半径Ra ,Rb と両球体の縦弾性係数E
a ,Eb と両球体のポアソン比νa ,νb との関数で、
以下の式1で表される。 δ3 =9/16・(Ra+Rb)/RaRb・〔(1- νa 2)/Ea+(1- νb 2)/
Eb22 …(1)
【0021】(1) 式において、被支持物の当接支持面を
球面と等価とし、第1支持手段の当接部材に球体を用い
た場合で接触荷重Pと当接支持面の曲率半径Ra 、弾性
係数Ea 、ポアソン比νa および当接部材の弾性係数E
b 、ポアソン比νb とが同一条件であれば、当接手段の
曲率半径Rb が小さく、この部材が多数であるほどδ、
即ち被支持物の変形量は小さくなることがわかる。例え
ば、第1支持手段を、当接部材の曲率半径Rb を1/4
で4倍の数とした場合、変形量は約6割に軽減できる。
【0022】前述したように、従来の支持装置では接触
支持部位の数を増やすことは非常に困難であったが、本
発明の構成においては、第1支持手段の当接部材に、よ
り小型の部材を多数使用できるよう設定するだけで接触
支持部位の数を増すことが容易に実現可能となる。ま
た、接触支持部位を被支持物の形状に応じて加工する必
要もなく、被支持物の変形量の軽減程度がその加工精度
に制限されることもない。
【0023】また、請求項2に記載の本発明は、円形枠
状の基台に移動制御手段として枠状基台の周上に溝状凹
部を備え、この溝状凹部内をその底面に沿って第2支持
手段の保持部材が移動するよう構成したものである。こ
のような構成においては、第1支持手段の当接部材によ
る接触支持部位が枠状基台の周上に存在することになる
ので、本発明の支持装置によれば、縮小投影光学素子な
ど中心部付近では光が透過可能な状態のまま支持したい
光学素子を、その周辺部のみで変形量が極めて小さい状
態で支持することができる。
【0024】また、請求項3に記載の本発明は、盤状の
基台に移動制御手段として予め定められた形状の凹部を
備え、該凹部内をその底面に沿って第2支持手段の保持
部材が移動するよう構成したものである。このような構
成においては、第1支持手段の当接部材による接触支持
部位が、凹部の平面形状内に複数点在することになるの
で、被支持物が反射鏡等の周辺部のみの支持の必要がな
いものを、裏面から平面的に変形量が極めて小さい状態
で支持することができる。
【0025】
【実施例】以下に、本発明を実施例をもって説明する。 (実施例1)本発明の第1実施例として、図1に、円形
の枠状基台1からなり、当接部材および保持部材として
それぞれ球体を用いた支持装置を示す。(a)は平面図
で(b)は被支持物としてレンズ5を載置した状態の断
面図である。本実施例による支持装置は、枠状基台1の
周上に溝状凹部1aが形成されており、この溝状凹部1
aの底部に第1支持手段としての当接部材(球体)2を
支持する第2支持手段の保持部材(球体)3が輪帯状に
配置されている。ここでは、溝状凹部1aが保持部材の
可動範囲を制限する移動制御手段となり、当接部材の移
動案内ともなる。各当接球体2は、互いに隣接する2つ
の保持球体3の各2接触支持点と凹部側面との接触点と
によって支持されている。
【0026】以上の構成において、レンズ5が本支持装
置に載置されるにあたって、まず第1支持手段の当接球
体2のうち、レンズ5の荷重を受けた当接球体2は、荷
重方向へ変位すると共に、その荷重を両球体の接触点を
相対移動させつつ接触部位から保持球体3へ荷重方向に
対して斜め方向の荷重分力として与える。各保持球体3
は、与えられた荷重分力と、溝状凹部1aの底面と側壁
面からの抗力とによって横方向の移動力を持ち、互いに
隣接する保持球体3同士でそれが支持する当接球体2を
介して力を伝達し合い、最終的にはすべての保持球体3
の横方向の力が均衡した状態でかつ、すべての当接球体
2がレンズ5に当接し、均等な支持力でレンズ5を支持
する安定状態となる。
【0027】ここで、全当接球体2のレンズ5との接触
支持部位における応力は均等化されており、荷重・応力
の偏りによるレンズ5の局所的に大きな変形は生じるこ
となく、変形量は均等で極めて小さいものである。ま
た、被支持物載置時における荷重・応力の均等化を促進
するために、振動発生手段Xを設けて基台に振動を加え
ても良い。
【0028】溝状凹部1aの幅や高さなどの形状は、用
いる当接部材、保持部材の形状、大きさに応じて設定す
れば良いが、枠状基台内周の側壁部にテーパー部1bを
設けるなど、被支持物を載置する際に、当接部材以外の
部分に被支持物が接触することがないよう設計する必要
がある。
【0029】また、前述したように、当接部材はより小
型で多数であるほど接触支持部位における変形量は小さ
いくなるが、用いる当接部材の形状、大きさ、数、材質
およびこれに対応した保持部材の形状、大きさ、数等
は、被支持物に応じて許容されるあるいは要求される変
形量の程度や、部材の入手や製造し易さ、コスト等を考
慮して適宜選択すれば良い。例えば、縮小投影光学素子
の支持装置では、許容される変位量は数十nmである。
具体的には、口径が100〜300mmのレンズなら
ば、半径1mm程度の当接球体2が数百個からなる第1
支持手段が妥当な構成である。部材の材質としては、鋼
球、ルビー製、セラミックス製などを用いることができ
る。
【0030】次に、図2に、第1実施例の変形例とし
て、第2支持手段の保持部材として円柱体4を用いた場
合を示した。各当接球体2は、互いに隣接する2つの保
持円柱体4の側面上の各2接触支持点と凹部側面との接
触点とによって支持されている。
【0031】レンズ5を本支持装置に載置する際、まず
第1支持手段の当接球体2のうち、レンズ5の荷重を受
けた当接球体2は、荷重方向へ変位すると共に、その荷
重を円柱側面上での接触点を相対移動させつつ接触部位
から保持円柱体4へ荷重方向に対して斜め方向の荷重分
力として与える。各保持円柱体4は、与えられた荷重分
力と、溝状凹部1aの底面と側壁面からの抗力とによっ
て横方向の移動力を持ち、互いに隣接する保持円柱体4
同士でそれが支持する当接球体2を介して力を伝達し合
い、最終的にはすべての保持円柱4の横方向の力が均衡
した状態でかつ、すべての当接球体2がレンズ5に当接
し、均等な支持力でレンズ5を支持する安定状態とな
る。全当接球体2のレンズ5との接触支持部位における
応力は均等化されており、荷重・応力の偏りによるレン
ズ5の局所的に大きな変形は生じることなく、変形量は
均等で極めて小さいものである。
【0032】当接部材および保持部材に用いられるの
は、球体や円柱体に限られないが、両部材が曲面同士で
接触し、当接部材が受ける荷重に伴う変位に応じて両部
材の接触点が相対移動可能で、この接触点において両部
材の相互反力が伝達できるものであれば良い。
【0033】以上の実施例に示した支持装置では、保持
部材は各々適当な横方向への可動範囲もって配置されて
いるが、何らかの力が加わったり、隣り合った保持部材
同士が過度に接近して他の保持部材間隔が大きく成って
しまった場合に、当接部材が保持部材間にはまり込む恐
れがある。従って、保持部材同士が過度に近接すること
を防止する手段を設けることが望ましい。例えば、任意
の保持部材間に各々が接近できないような部材を挿入す
るか、溝状凹部1aの側壁部に一体的に設けても良い。
【0034】また、被支持物の載置の際に、被支持物と
当接部材との姿勢及び位置を決定するために、保持部材
あるいは当接部材の少なくとも任意の1つの位置を調整
する手段を設けることが好ましい。例えば、図3に示す
ように、当接部材2の位置調節を行う螺子部材6や、あ
るいは、保持部材の位置調節を行う螺子部材8を設け、
基台1外部から螺子を回転させることによって各々の部
材を押し上げる、または押圧し、その位置を固定するこ
とができる。また、溝状凹部1a底部の保持部材3の下
に積層圧電素子7を設けこれに電圧を印加することによ
ってひずみを生じさせ、その上の保持部材3の位置を調
整することもできる。調整手段や調整の方向は、ここで
示した範囲に限らなく、また図示した全てを付加する必
要はない。また、被支持物に直接作用する調整手段を設
けてもよい。
【0035】また、安定な被支持物の支持を維持するた
めに、外部からの振動を抑制する手段を設けても良い。
例えば、図4に示すように、溝状凹部1a内において被
支持物と当接部材2、保持部材3との相互空間の一部を
シリコン、ブチルゴム等の粘性体を満たす方法がある。
もちろん基台1自体に振動を軽減する機構を備えても良
い。
【0036】(実施例2)次に本発明の第2実施例とし
て、図5に、円盤状基台11からなり、当接部材および
保持部材としてそれぞれ球体を用いた支持装置を示す。
本実施例による支持装置は、円盤状基台11の上面部に
平面六角形の凹部11aが形成されており、この凹部1
1aの底部に第1支持手段としての当接部材(球体)1
2を支持する第2支持手段の保持部材(球体)13が配
置されている。ここでは、凹部11aが保持球体13の
可動範囲を制限する移動制御手段となる。各当接球体1
2は、互いに隣接する3つの保持球体13の各3接触支
持点とによって支持されている。
【0037】以上の構成において、反射鏡等の周辺部の
みで支持する必要のない被支持物がその裏面で平面的に
支持される。被支持物(不図示)が本支持装置に載置さ
れるにあたって、まず第1支持手段の当接球体12のう
ち、被支持物の荷重を受けた当接球体12は、荷重方向
へ変位すると共に、その荷重を両球体の接触点を相対移
動させつつ接触部位から保持球体13へ荷重方向に対し
て斜め方向の荷重分力として与える。各保持球体13
は、与えられた荷重分力と、凹部11aの底面と側壁面
からの抗力とによって底面に沿って横方向の移動力を持
ち、互いに隣接する保持球体13同士でそれが支持する
当接球体12を介して力を伝達し合い、最終的にはすべ
ての保持球体13の横方向の力が均衡した状態でかつ、
すべての当接球体12が被支持物に当接し、均等な支持
力で被支持物を支持する安定状態となる。
【0038】ここで、全当接球体12の被支持物との接
触支持部位における応力は均等化されており、荷重・応
力の偏りによる被支持物の局所的に大きな変形は生じる
ことなく、変形量は均等で極めて小さいものである。も
ちろん、本実施例による支持装置においても、実施例1
と同様に、当接部材および保持部材に用いられるのは、
球体や円柱体に限られないが、両部材が曲面同士で接触
し、当接部材が受ける荷重に伴う変位に応じて両部材の
接触点が相対移動可能で、この接触点において両部材の
相互反力が伝達できるものであれば良い。
【0039】また、保持部材同士が過度に近接すること
を防止する手段や被支持物の載置の際に、被支持物と当
接部材との姿勢及び位置を決定するために保持部材ある
いは当接部材の少なくとも任意の1つの位置を調整する
手段、安定な被支持物の支持を維持するための外部から
の振動を抑制する手段等を設けても良い
【0040】なお、以上の実施例においては、支持構造
が第1支持手段と第2支持手段との2層構造の場合につ
いて説明したが、本発明はこれに限らず、第1支持手段
の当接部材と第2支持手段の保持部材が相互に荷重分力
や反力等を伝達できるのであれば、第1支持手段と第2
支持手段との間に第3あるいはそれ以上の支持手段を介
しても良い。
【0041】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明に係る支
持装置によれば、広い空間を必要とせず、簡便な構成で
ありながらも、被支持物を複数の接触支持点において均
等な支持力で極めて変形量の小さい状態で支持すること
ができる。また、より被支持物の変形量を軽減する為に
当接部材による接触支持部位を容易に増加させることが
できる。さらに、被支持物の変形量の軽減の程度が基台
の加工形状精度に制限されにくく、被支持物と当接部材
との接触部位に生じる応力を複数の接触部位の間で均等
化することにより、接触部位におけるの相互の変形や、
被支持物載置過程での接触に伴う相互の変形を軽減する
ことができる。さらにまた、被支持物の載置後に装置本
体に作用する外力や、被支持物と基台の熱変形の影響に
より被支持物と当接部材との接触部位に生じる局部的な
変形を軽減することができ、初期の被接触物の性能を長
期にわたって容易に維持できる。
【0042】また、被支持物が、縮小投影光学素子のよ
うに、周辺部でのみ支持されるべき光学部材であって
も、本発明の支持装置によれば、複数の接触支持部位に
おいて均等な支持力で極めて変形量が小さい状態で支持
することができる。また、被支持物が、反射鏡のように
裏面全面に対して平面的支持が行えるものであってもも
ちろん複数の接触支持部位において均等な支持力で極め
て変形量の小さい状態でしじすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1実施例による支持装置の概略
構成図であり、(a)は平面図、(b)は被支持物(レ
ンズ)を載置した際の断面図である。
【図2】実施例1の変形例として、保持部材に円柱体を
用いた場合の支持装置の断面図である。
【図3】実施例1の支持装置に位置調整手段を設けた場
合を示す断面図である。
【図4】実施例1の支持装置に振動軽減手段を設けた場
合を示す断面図である。
【図5】本発明に係る第2実施例による支持装置の概略
構成を示す平面図である。
【図6】本発明の作用を説明するための説明図である。
【図7】従来の支持装置の概略構成を示す平面図であ
る。
【図8】従来の支持装置の概略構成を示す断面図であ
る。
【図9】従来の支持装置の概略構成図であり、(a)は
平面図、(b)は被支持物(ミラー)を載置した際の断
面図である。
【符号の説明】
1,11:基台 1a,11a:基台凹部 1b:テーパー部 2,12:当接球体(第1支持手段) 3,13:保持球体(第2支持手段) 4:保持円柱体(第2支持手段) 5:被支持物(レンズ) 6:螺子部材(当接球体位置調整用) 7:積層圧電素子 8:螺子部材(保持球体位置調整用) 9:粘性体 X:振動発生手段 101:基台 110:回転自在な固定点の回転中心軸 111:支持部材 112:支持部材保持回転自在部材 201:基台 201a:接触支持部位 205:被支持物(レンズ) 301:基台 305:被支持物(ミラー) 311:支持部材

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被支持物に当接して下方から支持する当
    接部材を複数備えた第1支持手段と、前記第1支持手段
    の当接部材を下方から支持する保持部材を複数備えた第
    2支持手段と、前記第2支持手段の保持部材を下方から
    保持する基台部と、を有し、 前記第2支持手段は、前記保持部材を基台上で横方向へ
    移動可能に構成すると共に、その可動範囲を予め定めた
    範囲に制限する移動制御手段を備えており、 前記当接部材と前記保持部材とは、互いに接触し、当該
    接触部位において互いの部材に生じる相互反力の方向が
    当接部材が支持する被支持物の荷重方向に対して傾斜す
    るように構成され、 前記当接部材のうち被支持物からの荷重を受けた当接部
    材の変位により該当接部材と接する保持部材に生じた横
    方向の力が、被支持物の荷重を受けていない当接部材を
    支持する保持部材に付加されるよう前記各々の保持部材
    が互いに連係するように配設され、 被支持物を載置した際に、前記被支持物に当接してその
    荷重を受ける当接部材からの前記荷重による斜め方向の
    分力によって該当接部材と当接する保持部材に横方向へ
    の分力が付加され、これにより横方向へ移動される該保
    持部材に連係された他の保持部材に横方向の力が付加さ
    れ、該他の保持部材に支持され前記被支持物に当接して
    いなかった当接部材が押し上げられて前記被支持物に当
    接し、すべての保持部材の横方向への力が均衡した状態
    で、前記第1支持手段のすべての当接部材が均等な支持
    力で前記被支持物を保持することを特徴とする支持装
    置。
  2. 【請求項2】 前記基台が円形枠状であり、前記移動制
    御手段として前記枠状基台の周上に設けられた溝状凹部
    を備え、前記第2支持手段の保持部材は、該溝状凹部底
    面上に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の支
    持装置。
  3. 【請求項3】 前記基台が盤状であり、前記移動制御手
    段として前記盤状基台上面に予め定められた形状で設け
    られた凹部を備え、前記第2支持手段の保持部材は、該
    凹部底面上に配置されたことを特徴とする請求項1に記
    載の支持装置。
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