JP3425225B2 - 高出力赤外レーザ光検知体とその製造方法 - Google Patents

高出力赤外レーザ光検知体とその製造方法

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JP3425225B2 JP15921194A JP15921194A JP3425225B2 JP 3425225 B2 JP3425225 B2 JP 3425225B2 JP 15921194 A JP15921194 A JP 15921194A JP 15921194 A JP15921194 A JP 15921194A JP 3425225 B2 JP3425225 B2 JP 3425225B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、赤外レーザ光を可視光
に変換して該赤外光の存在を肉眼で検知するための赤外
レーザ光検知体であり、特にYAGレーザ光などの高出
力赤外レーザ光に対する損傷閾値が高く耐久性に優れる
と共に発光効率の良い高出力赤外レーザ光検知体に関す
る。
【0002】
【従来技術とその課題】YAGレーザからは高出力の赤
外光が出力されるので切断機や溶接機に利用されてい
る。ところが光線自体は不可視光であるため光軸調整な
どの作業に危険が伴う。そこで該レーザ光の存在を検知
する簡易な検知体が必要となる。このような検知体とし
て、赤外光を可視光に変換する蛍光体粉末を基板上に塗
布し、赤外光を受光した蛍光体が光ることによってその
存在を検知できるようにした検知体が知られている。
【0003】ところが、現在使用されている多くの検知
体は、耐熱ガラスまたは金属基板上にポリビニルアルコ
ールなどの有機結合材によって蛍光体粉末を接着したも
のであり、数ワット以上の出力の赤外光を長時間受光す
ると結合材が劣化し、赤外光の熱で揮発するなどの問題
がある。さらに、透明な樹脂基板の間に蛍光体を挟み込
んだ形状のものも知られているが、樹脂基板は耐熱性に
劣り、レーザ光によって基板に孔が生じ易い。
【0004】このような欠点を解消する一例として、耐
熱基板表面に、水ガラス、低融点ガラスまたはセメント
などの無機結合材によって蛍光体粉末を付着したものが
知られている(実願平3−23547号)。しかし、こ
の検知体も数150W/cm2以下の出力を有する赤外光
がその使用限界であり、YAGレーザ光のように発振出
力が数KW/cm2 の高エネルギーを有する赤外光に対し
ては蛍光体層がレーザ光の熱で揮発し、孔が生じる欠点
がある。さらに蛍光体の揮発によって基板も損傷を受け
る虞があり、また蛍光体層が揮発すると、揮発物質がレ
ーザ光のビーム照射口に付着してビームの照射を妨げる
ので照射口の交換が必要になるなど深刻な問題を招き、
装置のメンテナンスが非常に煩雑になる。
【0005】検知体の損傷を避けるために、ビーム形状
の確認や光軸調整の際にビームの出力を下げることも行
われているが、出力の低下によってビーム形状などが影
響を受けるので、このような方法は微小領域でのレーザ
光による加工処理には適さない。以上のように、従来の
光検知体はYAGレーザ光のような高出力光によって損
傷され易く、YAGレーザ光に対して十分な耐久性と安
定性を有し、発光強度の高い光検知体は現在得られてい
ない。
【0006】
【発明の解決課題】本発明は、従来の光検知体における
上記課題を解決したものであり、高出力赤外レーザ光に
対して優れた耐久性と発光強度を有する光検知体を提供
するものである。本発明は、フッ化鉛、フッ化イッテル
ビウム(以下、フッ化Yb)およびフッ化エルビウム
(以下、フッ化Er)を加熱溶融して得たフッ化物粉末
を蛍光体粉末とし、これにガラス物質を加えて固結する
ことにより、高出力なYAGレーザ光によっても損傷さ
れ難く、長期間安定な発光特性を保ち、しかも粉末状態
の蛍光体よりも優れた発光強度を有する光検知体を得た
ものである。
【0007】
【課題の解決手段】本発明によれば、以下の構成からな
る高出力赤外レーザ光検知体とその製造方法が提供され
る。 (1)赤外レーザ光を可視光に変換する蛍光体であっ
て、フッ化鉛中にフッ化エルビウムおよびフッ化イッテ
ルビウムが固溶した結晶質のフッ化物粉末からなる蛍光
体粉末100重量部に、ガラス物質2〜30重量部を添
加し、加圧成形した後に焼結してなることを特徴とする
高出力赤外レーザ光検知体。 (2)フッ化鉛中のイッテルビウム量が5〜30原子
%、エルビウム量が0.5〜4.5原子%であって、エル
ビウム量がイッテルビウム量の1/5以下である蛍光体
粉末を用いた上記(1)に記載する高出力赤外レーザ光検
知体。 (3)イッテルビウムおよびエルビウムと共に希土類元
素を少量含む蛍光体粉末を用いた上記(1)または(2)に記
載する高出力赤外レーザ光検知体。 (4)蛍光体粉末にガラス物質を添加後、約1ton/cm2
の加圧下で成形し、500℃以上の温度に加熱して焼結
した上記(1)、(2)または(3)に記載する高出力赤外レーザ
光検知体。 (5)フッ化鉛、フッ化イッテルビウムおよびフッ化エ
ルビウムの混合粉末を大気中で800〜1200℃に加
熱溶融することによってフッ化鉛中にフッ化エルビウム
およびフッ化イッテルビウムが固溶した結晶質のフッ化
物からなる蛍光体とし、これを粉砕し、この蛍光体粉末
100重量部に対して2〜30重量部のガラス物質を添
加して約1ton/cm2の加圧下で成形し、大気中で、50
0℃以上〜ガラス軟化点以下の温度に加熱して焼結する
ことを特徴とする高出力赤外レーザ光検知体の製造方
法。
【0008】
【具体的な説明】本発明を実施例と共に以下に詳細に説
明する。本発明の光検知体は、高出力レーザ光に対して
優れた耐久性と発光特性を有する赤外可視光変換蛍光体
であって、フッ化鉛中に少量のYbおよびErを含有す
るフッ化物粉末を蛍光体粉末として用い、これをガラス
物質によって固結したものである。
【0009】赤外光を可視光に変換する光変換蛍光体と
して、従来、蓄光性の硫化物蛍光体(ZnS、CaSな
ど)が知られている。この種の蛍光体は予め励起を受け
た蛍光体が赤外線を受光して発光する輝尽現象を利用し
たものであるが、予備励起が不可欠である。予備励起が
不要な蛍光体として、希土類イオンのエネルギー準位を
利用したものが知られており、Erなどの希土類元素を
発光関与物質として含む希土類酸化物や希土類ハロゲン
化物が提案されている。
【0010】これらの希土類酸化物や希土類ハロゲン化
物のうち、ErやYbなどの発光関与物質は酸化物より
もハロゲン化物において励起され易く、また希土類ハロ
ゲン化物のうち、塩化物、臭化物はフッ化物に比べて安
定性および耐水性が乏しく、さらにフッ化物は酸化物よ
りも希土類元素を多く含有できる利点を有している。そ
こで本発明は希土類フッ化物を蛍光体粉末として用い
る。
【0011】本発明の希土類フッ化物はフッ化鉛を母材
とし、これにフッ化Ybおよびフッ化Erを添加混合
し、加熱溶融して得たものである。本発明において蛍光
体として用いるフッ化物粉末のX線回折チャートの一例
を図1に示す(図1(a) )。なお併せて原料のフッ化
鉛、フッ化Yb、フッ化ErのX線回折チャートを同図
に示した(図1(b),(c),(d) )。図示するように、本発
明のフッ化物は、概ね26度、31度、44度、51
度、70度の各回折角度において回折ピークを有し、母
材のフッ化鉛に類似したX線回折ピークを有するが、対
比して示したフッ化鉛(PbF2 ) の回折ピークに比べると
何れのピークもフッ化鉛よりは高角度側に1〜2度ずれ
ており、また相当量含まれているフッ化Yb、フッ化E
rの回折ピークが殆ど検出されない。この結果から判断
すると、本発明のフッ化物は、母材のフッ化鉛中にフッ
化Yb、フッ化Erが固溶したものであると考えられ
る。
【0012】上記フッ化物蛍光体において、Erは発光
中心元素であり、Ybは励起エネルギーの伝達媒体であ
る。YbイオンはYAGレーザ光(波長1.06μm )によ
って励起されるエネルギー準位を有し、YAGレーザ光
の照射を受けて励起され、エネルギーを放出する。この
エネルギーはErイオンに吸収され、Erイオンのエネ
ルギー準位を高めて発光させる。このようにErイオン
はYbイオンとの共存によって発光し、Erイオン単独
では発光しない。ErイオンはYbイオンとの共存下で
約900〜1100nmの赤外光を吸収し、緑色光(5
50nm付近)および赤色光(665nm付近)を生じ
ることが知られている。
【0013】フッ化鉛は蛍光体の母材であるが、従来知
られているフッ化Baを母材としたものよりも発光強度
が高い。また、Er、Ybなどの希土類元素をフッ化Z
rなどのガラス母材中に含有させた各種のフッ化ガラス
が知られているが、本発明の蛍光体はこれらのフッ化ガ
ラスとは異なり、上記のとおり特有のX線回折ピークを
有する結晶質のフッ化物粉末を用いたものである。ガラ
ス材はかなり広い範囲でフォノンエネルギーを制御でき
るので、種々の希土類フッ化物ガラスが検討されている
が、ガラス形成能を有する母材が限られ、またガラス化
する成分範囲も限定されるなどの制約がある。本発明は
上記フッ化物粉末を固結した不透明の蛍光体であるが、
従来のフッ化物ガラスよりも発光強度に優れガラス化の
ための熱処理が不要であるため製造が簡単である。
【0014】発光強度は発光関与物質であるErとYb
の含有量によって影響され、後述の実施例に示すよう
に、一定範囲内で概ねErの量が多いほど発光強度が強
いが、一定濃度を超えると濃度消光によって発光は弱く
なる。一方、Erの含有量が少な過ぎると十分な発光強
度が得られない。すなわち、フッ化物中のErの含有量
は0.5原子%以上、好ましくは1原子%以上であっ
て、4.5原子%以下、好ましくは2.5原子%以下が
適当である。また、Erの量はYbの1/5以下、好ま
しくは、1/10程度が適当である。Erの含有量がY
bより多いと発光強度が低下する。一方、Ybの含有量
は5原子%以上、好ましくは10原子%以上であって、
30原子%以下、好ましくは20原子%以下が適当であ
る。Ybの含有量が上記範囲より少ないと励起不足にな
り十分な発光強度が得られず、また上記範囲を越えても
発光強度は向上しない。さらに、ErおよびYbの含有
量は、その合計量が5原子%以上、好ましくは10原子
%以上であって、30原子%以下、好ましくは20原子
%以下が適当である。
【0015】以上のように本発明の蛍光体に用いるフッ
化物はフッ化鉛、フッ化Ybおよびフッ化Erからなる
ものであるが、上述の発光強度および損傷閾値を損なう
ことなく他の元素を少量添加することができる。Erお
よびYbのほかにY、Gd、Laなどの希土類元素を少
量添加することにより従来の有機結合材によって蛍光体
粉末を固結してなる光検知体より発光の持続性が良く、
かつ損傷閾値も高い蛍光体が得られる。
【0016】本発明の光検知体は上記フッ化物蛍光体粉
末を少量のガラス物質によって固結してなるものであ
る。原料のフッ化鉛、フッ化Ybおよびフッ化Erの各
粉末を均一に混合し加熱溶融すると上記フッ化物が得ら
れ、これを冷却後、粉砕して蛍光体粉末を得る。粉砕前
のフッ化物も粉砕した後のフッ化物粉末も、赤外光に対
する発光強度はほぼ同等であるが、これをガラス物質に
よって固結し緻密性を高めたものは粉末状のものよりも
発光強度が高い。また、ガラス物質を加えない粉末状態
のものは、YAGレーザ光の高出力エネルギーによって
揮発し、発光強度も低いのでYAGレーザ光用検知体と
しては実用性がない。ガラス物質を加えて固結し、緻密
性を高めることによって発光強度が向上する理由は明ら
かではないが、ガラス物質が結合材として作用するほか
に上記フッ化物の発光機構に何等かの影響を及ぼしてい
るものと考えられる。
【0017】ガラス物質の種類としては、650〜85
0℃の軟化点を有するものが適当であり、市販の粉末ガ
ラスを用いることができる。具体的にはSiO2 −B2
3−PbO、SiO2 −B2 3 −RO、SiO2
Al2 3 −RO(Rはアルカリ土類元素)のケイ酸ガ
ラスおよびZnO−B2 3 −PbOなどの酸化亜鉛系
ガラスなどを用いることができる。軟化点が850℃よ
り高いと焼結時にフッ化物粉末が再溶融するので好まし
くない。また650未満の軟化点では高出力の赤外線に
対する固結性が不十分になる。
【0018】ガラス物質の添加量は蛍光体粉末100重
量部に対して2〜30重量部が適当であり、5〜15重
量部が好ましい。ガラスの種類にもよるが添加量が30
重量部を上回ると相対的に上記フッ化物の量が少なくな
り発光強度が低下する。またガラス物質が2重量部より
少ないと成形性に劣り、また発光強度も低下する。
【0019】次に上記蛍光体の製造方法について説明す
る。上記フッ化物原料粉末を最終的に所定量になるよう
に白金ルツボに装入し、800〜1200℃、好ましく
は950〜1050℃の温度範囲で加熱する。加熱時に
原料のフッ化物に由来する酸化物を低減する目的でフッ
化アンモニウムなどのフッ化剤を添加しても良い。加熱
温度が800℃以下ではこの溶融が不十分になり発光強
度が低下する。一方、1200℃以上で溶融しても発光
強度に大きな差はない。溶融時の雰囲気は大気中が好ま
しい。アルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気下で溶融
すると生成物が黒変し、蛍光体の発光特性を低下させ
る。
【0020】上記加熱処理により原料のフッ化物は溶融
ないし半溶融の状態になり、冷却した結晶質のフッ化物
が得られる。このフッ化物は、図1(a) に示すように母
材の高温型フッ化鉛(図1(b) )と類似したX線回折ピ
ークを有するが、既に述べたように、フッ化鉛の回折ピ
ークに比べると何れのピークもフッ化鉛よりは低角度側
に1〜2度ずれており、また相当量含まれているフッ化
Yb、フッ化Erの回折ピークが殆ど検出されないこと
から、母材のフッ化鉛中にフッ化Ybおよびフッ化Er
が固溶したものであると考えられる。
【0021】上記フッ化物の溶融物を冷却後、粉砕して
蛍光体粉末を得る。この蛍光体粉末に上記ガラス物質を
添加して約1ton/cm2 の加圧下で成形し、引続き、50
0℃以上の温度に加熱して焼結させる。成形圧力が50
0 Kg/cm2 程度では成形体が崩れ易い。焼結温度がガラ
ス物質の軟化点より高いと成形体が変形する。また焼結
温度がガラスの軟化点よりかなり低く、450℃以下で
あると成形体が脆く取扱いが困難になる。焼結雰囲気は
大気中が好ましい。不活性ガス雰囲気では蛍光体が黒変
し、変色部分のレーザ光による損傷閾値が低くなる。
【0022】
【実施例および比較例】以下に本発明の実施例を比較例
と共に示す。本実施例は例示であり発明の範囲を限定す
るものではない。
【0023】実施例1 酸化Yb155gに市販特級塩酸250mlと蒸留水50
mlを加えて加熱溶解後、市販フッ化水素酸117mlを添
加してフッ化Yb沈殿を生成させた。これを濾過、洗浄
後、150℃にて乾燥し、粗粉砕後、350℃で焼成し
てフッ化Ybを得た。さらに酸化Ybに代えて酸化Er
150gを用い、同様にしてフッ化Erを得た。フッ化
鉛は市販特級試薬を用いた。これらのフッ化Er、フッ
化Ybおよびフッ化鉛を 1.7:18.3: 81 の量比に混合
し、980℃に加熱して溶融し、溶融物を冷却後、粉砕
して蛍光体粉末を得た。この蛍光体粉末のX線回折チャ
ートを図1(a) に示す。なお、原料のフッ化鉛、フッ化
Erおよびフッ化YbのX線回折チャートも併せて同図
に示した。この蛍光体粉末に表1に示す市販のガラス材
粉末を所定量混合し、1ton/cm2 の加圧下でペレット状
に成形し、表1の温度で焼成することにより固形の光検
知体を得た。
【0024】この光検知体について、その発光強度およ
び損傷閾値を測定した。照射試験は次のように行った。
まずYAGレーザ光強度をパワーメータにて測定後、同
一条件下で蛍光体ブロックにYAGレーザ光を60秒間
連続照射した。照射後、蛍光体ブロック層からの揮発成
分の有無を確認し、また蛍光体ブロックの照射位置での
孔の有無を目視にて確認した。この測定を照射強度を変
化させて複数回実施し、蛍光体ブロックに孔が発生しな
い最高照射強度を損傷閾値とした。また、発光強度は3
0W/cm2 の照射強度にてYAGレーザ光を試料に照射
し、目視にて発光の強さを判断し、これを強、中、弱の
3段階で評価した。この結果を表1に示した。この結果
から明らかなように、本例の蛍光体は発光強度が高く、
またYAGレーザ光に対して損傷閾値が高い。
【0025】比較例1 実施例1と同様にしてフッ化鉛−フッ化Yb−フッ化E
rからなる蛍光体粉末(実施例1と同一の量比)を得
た。この蛍光体粉末にガラス物質を加えず、粉末状態の
発光強度および損傷閾値を実施例1と同一条件下で測定
した。この結果を表1に示した。本例の蛍光体は実施例
1と同一量比のフッ化物からなるが、発光強度が低く、
損傷閾値も格段に低い。
【0026】実施例2 実施例1と同様にして製造したフッ化Yb粉末およびフ
ッ化Er粉末と市販特級フッ化鉛の粉末を表2に示す量
比に混合し、980℃に加熱溶融し、冷却後粉砕し、こ
れに市販の粉末ガラス10重量%加えて、1ton/cm2
加圧下でペレット状に成形し、540℃に焼成して蛍光
成形体を得た。この蛍光体を用いて実施例1と同様に発
光強度を測定した。この結果を表2に示した。本例の結
果から明らかなように、上記蛍光体粉末中のErおよび
Ybの含有量は、 Er0.5〜4.5原子%、Yb5
〜30原子%であって、その合計量が5.5〜35原子
%が適当である。
【0027】比較例2 実施例1と同様にして製造したフッ化Erおよびフッ化
Yb粉末を用い、このフッ化Er、フッ化Ybと市販特
級フッ化Ba粉末とを 1.6:18.2:80.2の量比に混合
し、1350℃に加熱して溶融し、冷却後粉砕し、これ
に市販ケイ酸ガラス粉末10重量%加えて、1ton/cm2
の加圧下でペレット状に成形し、570℃に焼成して蛍
光成形体を得た。この結果を表2に示した。本例の結果
から、蛍光体が発光関与物質としてフッ化Erおよびフ
ッ化Ybを含有してもフッ化Baを母材とするものは本
発明の蛍光体粉末よりも発光強度が劣る。
【0028】比較例3 実施例1で得た蛍光体粉末に市販のケイ酸ガラスガラス
粉末を10重量%混合し、0.1、0.3、0.5ton/
cm2 の圧力で成形した他は実施例1と同様にして製造し
た蛍光成形体について、実施例1と同様の発光試験を行
った。この結果、表1に示すように、本例の蛍光体は発
光強度が何れも粉末の場合と大差なく、損傷閾値も大幅
に低かった。
【0029】実施例3 フッ化鉛、フッ化Ybおよびフッ化Erと共に表3に示
す元素のフッ化物粉末を原料とし、これらを同表に示す
量比に混合して実施例1と同様の方法で蛍光体の成形体
を製造し、発光強度および損傷閾値を測定したところ、
同表に示すように、本例の蛍光成形体は従来の有機結合
材によって蛍光体粉末を固結してなる光検知体より発光
の持続性が良く、かつ損傷閾値も高いものであった。
【0030】比較例4 蛍光体粉末を得る際の加熱処理温度を400℃とした他
は実施例1と同様の方法でフッ化物の粉末を製造した。
このフッ化物粉末のX線回折チャートには原料のフッ化
鉛、フッ化Ybおよびフッ化Erの各回折ピークが混在
しており、従って原料のフッ化物粒子が混在して焼結し
た状態のものであり、フッ化Ybおよびフッ化Erがフ
ッ化鉛中に固溶したものではない。このフッ化物粉末を
用い、実施例1と同様にしてガラス物質添加後、加圧成
形し焼成して成形体を得た。この成形体について発光試
験を行ったところ、発光は認められなかった。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【発明の効果】本発明の光検知体は、高出力のYAGレ
ーザ光に対しても損傷閾値が高く、繰り返し長時間使用
してもYAGレーザ光によって蛍光体が損傷を受けるこ
とがなく、信頼性が高い。また従来の検知体に比べて発
光強度が格段に大きく、YAGレーザ光の検知が明瞭で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施例1で製造したフッ化物蛍光体
粉末のX線回折チャートであり、同図(b)(c)
(d)は原料粉末であるフッ化鉛、フッ化Yb、フッ化
ErのX線回折チャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石渡 正治 埼玉県大宮市北袋町1丁目297番地 三 菱マテリアル株式会社中央研究所内 (72)発明者 大川 桂太郎 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三菱マテリアル株式会社内 (72)発明者 王 宇湖 東京都千代田区神田須田町1丁目28番地 株式会社住田光学ガラス内 (72)発明者 大塚 正明 東京都千代田区神田須田町1丁目28番地 株式会社住田光学ガラス内 (72)発明者 沢登 成人 東京都千代田区神田須田町1丁目28番地 株式会社住田光学ガラス内 (72)発明者 永濱 忍 東京都千代田区神田須田町1丁目28番地 株式会社住田光学ガラス内 (56)参考文献 特開 平5−72028(JP,A) 特開 平5−45216(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 11/85 C09K 11/66 C09K 11/02 G01J 1/58

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】赤外レーザ光を可視光に変換する蛍光体で
    あって、フッ化鉛中にフッ化エルビウムおよびフッ化イ
    ッテルビウムが固溶した結晶質のフッ化物粉末からなる
    蛍光体粉末100重量部に、ガラス物質2〜30重量部
    を添加し、加圧成形した後に焼結してなることを特徴と
    する高出力赤外レーザ光検知体。
  2. 【請求項2】フッ化鉛中のイッテルビウム量が5〜30
    原子%、エルビウム量が0.5〜4.5原子%であって、
    エルビウム量がイッテルビウム量の1/5以下である蛍
    光体粉末を用いた請求項1に記載する高出力赤外レーザ
    光検知体。出力赤外レーザ光検知体。
  3. 【請求項3】イッテルビウムおよびエルビウムと共に希
    土類元素を少量含む蛍光体粉末を用いた請求項1または
    2に記載する高出力赤外レーザ光検知体。
  4. 【請求項4】蛍光体粉末にガラス物質を添加後、約1to
    n/cm 2 の加圧下で成形し、500℃以上の温度に加熱し
    て焼結した請求項1 2または3に記載する高出力赤外
    レーザ光検知体。
  5. 【請求項5】フッ化鉛、フッ化イッテルビウムおよびフ
    ッ化エルビウムの混合粉末を大気中で800〜1200
    ℃に加熱溶融することによってフッ化鉛中にフッ化エル
    ビウムおよびフッ化イッテルビウムが固溶した結晶質の
    フッ化物からなる蛍光体とし、これを粉砕し、この蛍光
    体粉末100重量部に対して2〜30重量部のガラス物
    質を添加して約1ton/cm 2 の加圧下で成形し、大気中
    で、500℃以上〜ガラス軟化点以下の温度に加熱して
    焼結することを特徴とする高出力赤外レーザ光検知体の
    製造方法。
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